説明

デジタルビデオ収録再生装置

【課題】
入力される映像データのビットレートに応じて最長遅延時間を容易に変更可能なデジタルビデオ収録再生装置を目的とする。
【解決手段】
同期信号をカウントしてフレームカウンタ値αを生成する同期信号カウント部42と、
前記同期信号カウント部42でカウントした前記フレームカウンタ値αを各デジタルユニットに供給すると共に、前記各デジタルユニットに対する処理開始の指示を、フレームカウンタ値で表記される処理終了期限を示す情報とともに出力する制御部41とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像データの収録や映像データの再生を行うデジタルビデオ収録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルビデオの収録や再生を行う放送装置では、同期信号を使用して映像データの記憶装置や再生装置などの処理装置を制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の放送装置では、同期信号に同期してデータ処理を行う記憶ユニットや再生ユニットの処理開始タイミングなどのタイミングは、最長遅延時間を考慮して設計される。最長遅延時間とは、記憶ユニットや再生ユニット等の各ユニットが処理に必要とする最長時間を示すものである。各ユニットが必要とする処理時間は、デジタルビデオ収録再生装置に入力される映像データのビットレートによって異なるため、映像データのビットレートに応じてこの最長遅延時間が決定される。なお、最長遅延時間の決定には、映像データのビットレートに応じた処理時間だけでなく、各ユニットの負荷によって変化する各ユニット間のコマンドを受け渡しするタイミングのずれやその他の不測の事態も考慮される。最長遅延時間は、フレーム周期と同じ周期の信号である同期信号の周期単位で定められる。
【0004】
また、各ユニットが同期信号に同期して処理することにより、各ユニット間のタイミングが制御される。すなわち、各ユニットが処理の指示(例えば、データ転送要求)をあるフレームで受けた場合、指示を受けたユニットが処理を開始するタイミングは、指示を受けたフレームの次のフレームとなる。また、その処理の次の処理を行うユニットは、前のユニットによって処理が終了したフレーム以降のフレームで処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−140050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記述べたように、最長遅延時間は、入力される映像データのビットレートに応じて決定され、決定された最長遅延時間に基づき各ユニット間のタイミング設計が行われる。これにより、各ユニット間の動作タイミングは、同期信号に同期して制御が行われる。
【0007】
しかしながら、各ユニットの動作を同期信号に同期させるので、ユニット間のタイミング設計が複雑になるという問題がある。また、入力される映像データのビットレートに変更があった場合、ユニット間の動作タイミングを設計し直す必要がある。しかし、ビットレート変更に対応することは困難である。
【0008】
そこで、本発明では、入力される映像データのビットレートに応じて最長遅延時間を容易に変更可能なデジタルビデオ収録再生装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のデジタルビデオ収録再生装置は、映像データを記憶し、記憶された前期映像データを読み出す記憶手段と、前記記憶手段から読み出された前記映像データを再生する再生手段と、同期信号を前記記憶手段および前記再生手段へ送出する同期手段と、前記同期手段から送出された前記同期信号をカウントしてフレームカウンタ値を生成する同期信号カウント部と、前記フレームカウント値を前記記憶ユニットおよび前記際し得ユニットに供給し、前記映像データの再生処理開始および前期フレームカウンタ値で表記される第1の処理終了期限を前記記憶ユニットに出力し、および前記データ再生処理開始指示および前記フレームカウンタ値で表記される第2の処理終了期限を前記際し得ユニットに出力する制御手段とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態のデジタルビデオ収録再生装置の構成を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態の制御ユニット40の構成を示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る記憶ユニット10および再生ユニット20の構成を示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態の処理のタイミングを示す図。
【図5】従来の処理のタイミングを示す図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る記憶ユニット10および再生ユニット20の構成を示す図。
【図7】本発明の第2の実施形態のデジタルビデオ収録再生装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るデジタルビデオ収録再生装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態のデジタルビデオ収録再生装置は、記憶ユニット10、再生ユニット20、同期ユニット30、制御ユニット40、外部IF(インターフェイス)50、およびスイッチパネル60を備える。これらの各ユニットは、実線で示すデータ線1を用いて信号、映像データ等を受信し出力する。
【0014】
なお、デジタルビデオ収録再生装置は、図示しないデータ収録ユニットや再生するためのファイルを作成するファイル出力ユニット等のデジタルビデオ収録再生に利用できるユニットを含んでいてもよい。
【0015】
記憶ユニット10は、磁気ディスク装置、光ディスクオス知、半導体メモリ等の記憶媒体を有する。記憶ユニット10は、図示しない映像撮影機等の外部装置から取り込まれた映像データを記憶し、また記憶した映像データを読み出して出力する。記憶される映像データは、例えばMPEG2により符号化されたデータである。また、記憶ユニット10には制御ユニット40に設けられる同期信号カウント部42から送出されるフレームカウンタ値αを受信するフレームカウンタ値受信部11(図3を参照)が設けられている。記憶ユニット10は、このフレームカウンタ値受信部11でフレームカウンタ値αを受け取り、このフレームカウンタ値αを記憶ユニット10の処理のタイミング制御に使用する。
【0016】
記憶ユニット10は、制御ユニット40から読出し処理の開始指示を受け取ると、映像データを読み出す読出し処理を開始する。記憶ユニット10は、読み出した映像データを再生ユニット20に送る。この読出し処理の開始指示は、処理を終わらせる期限を示す処理終了期限を含む。この処理終了期限は、フレームカウンタ値αで表記される。また、記憶ユニット10は、また、記憶ユニット10は、処理を終えると、制御ユニット40へ処理を終えたことを示す処理終了通知を出力する。
【0017】
再生ユニット20は、記憶ユニット10から送られてきた映像データに、誤り訂正、デコード等の処理を行い、処理された映像データを外部表示装置(図示しない)へ出力する。この一連の処理は再生処理と呼ばれる。また、再生ユニット20には、制御ユニット40から送出されるフレームカウンタ値αを受信するフレームカウンタ値受信部21が設けられている(図3を参照)。再生ユニット20は、このフレームカウンタ値受信部21でフレームカウンタ値αを受け取り、このフレームカウンタ値αを再生ユニット20の処理のタイミング制御に使用する。
【0018】
再生ユニット20は、制御ユニット40より再生処理の開始指示を受け取ると再生処理を開始する。この再生処理の開始指示には、処理を終わらせる期限を示す処理終了期限が含まれる。この処理終了期限は、フレームカウンタ値αで表記される。また、再生ユニット20は、処理を終えると、制御ユニット40へ処理を終えたことを示す処理終了通知を出力する。
【0019】
同期ユニット30は、同期信号100を発生し、同期信号100を記憶ユニット10、再生ユニット20、制御ユニット40に送出する。同期信号100の間隔は、例えば通常の映像信号のフレーム周期と同じ33ms(millisecond)である。なお、同期信号100の間隔は33msより短い周期であってもよいし、また33msより長い周期であっても良い。記憶ユニット10および再生ユニット20の基本動作は同期信号100に同期して制御される。
【0020】
制御ユニット40は、図2に示すように制御部41と同期信号カウント部42とを含んで構成されている。
【0021】
制御部41は、外部IF(外部インターフェイス)50を経由してスイッチパネル60から送られてくる再生開始コマンドを受け取り、同期ユニット30から送られてきた同期信号100をもとに記憶ユニット10、再生ユニット20の動作のタイミングを制御する。また、制御部41は、同期信号カウント部42から受信したフレームカウンタ値αを決められた周期ごとに記憶ユニット10および再生ユニット20へ送出する。
【0022】
ここで、スイッチパネル60とは、再生処理や収録処理に対応したスイッチを備えるユーザインタフェースである。このスイッチパネル60のスイッチ操作によって処理の指示がデジタルビデオ収録装置へ入力され、この指示は、外部IF50を介して制御ユニット40へ入力される。なお、このスイッチパネル60は、ユーザからの指示を受け付けるものであり、スイッチパネル60の代わりにキーボードやマウス、もしくはタッチパネル等の入力装置が用いられてもよい。
【0023】
また、制御部41は、記憶ユニット10や再生ユニット20へ処理を開始する指示を行う。この指示は、処理を終わらせる期限を示す処理終了期限を含む。この処理終了期限は、フレームカウンタ値αで表記される。なお、各ユニットで行われる処理に対する指示は、フレーム単位またはGOP(Group Of Pictures)単位のデータ毎に行われる。
【0024】
制御部41は、処理を指示する際に、フレームカウンタ値αで示される処理終了期限を指定するため、記憶ユニット10や再生ユニット20から送られてくる処理終了通知がいつまでに届くかが決定される。そのため、記憶ユニット10や再生ユニット20から送られてくる処理終了通知が所定のタイミングまでに制御部41に届かなければ、制御部41は、記憶ユニット10の処理や再生ユニット20の処理が遅れていると判断する。そして、制御部41が、処理が遅れていると判断した場合、制御部41は処理が遅れた分のデータの破棄を記憶ユニット10や再生ユニット20に指示し、その次の処理のタイミングを、前の処理に遅れがなかったものとして、調整する。すなわち、処理が遅れたデータの次のデータの処理の開始指示は、前の処理に遅れがなかった場合のタイミングで行われる。この開始指示に含まれる処理終了期限は、前の処理に遅れがなかった場合の処理終了期限を示す。
【0025】
同期信号カウント部42は、同期ユニット30から送られてきた同期信号100を、制御部41を介して受け取る。同期信号カウント部42は、同期信号を受け取る毎にフレームカウンタ値αに1を加算してフレームカウンタ値αを生成する。同期信号カウント部42は、生成したフレームカウンタ値αを制御部41に送出する。
【0026】
同期信号100とは、同期ユニット30から記憶ユニット10、再生ユニット20、および制御ユニット40へ送出されるフレーム周期ごとの信号である。記憶ユニット10、再生ユニット20、および制御ユニット40は、同期信号100のフレーム周期ごとに動作が制御される。
【0027】
フレームカウンタ値αとは、同期信号100をカウントした値である。フレームカウンタ値αは、同期信号カウント部42内でカウントされ生成される。フレームカウンタ値αの初期値を例えば「0」とすると、6回目の同期信号を受信した場合は、フレームカウンタ値αは「6」となる。
【0028】
次に、本実施形態の動作について説明する。
【0029】
ここでは、映像データの再生をGOP単位で行う例を説明する。ユーザにより、再生開始を指示するようにスイッチパネル60が操作されると、外部IF50を介して再生開始コマンドが制御ユニット40へ送られる。制御ユニット40の制御部41は再生開始コマンドを受け取る。再生開始コマンドを受取ると、制御部41は、同期信号カウント部42へ同期信号100を出力する。同期信号カウント部42は、同期信号100を受信し、生成したフレームカウンタ値αを制御部41へ送出する。その後、制御部41は、記憶ユニット10および再生ユニット20へ再生開始を指示する。つまり、制御部41は、記憶ユニット10へ読出し処理の開始指示を送り、また再生ユニット20へ再生処理の開始指示を送る。この再生開始の指示には、処理終了期限を示すフレームカウンタ値αが含まれる。なお、この処理終了期限を示すフレームカウンタ値αは、再生開始の指示を行う際に、この指示とは異なる信号で送られてもよい。
【0030】
制御部41は、決められた周期毎にフレームカウンタ値αを記憶ユニット10および再生ユニット20へ送出する。
フレームカウンタ値αの送出周期とは、フレームカウンタ値αが制御部41から送出される周期である。フレームカウンタ値αの送出周期は同期信号の周期である必要はなく、例えば同期信号が10回送出される10フレーム(例えば、330ms)毎でもよいし、10フレームより長時間間隔であってもよいし、10フレームより短時間間隔であってもよい。
【0031】
このフレームカウンタ値αが、図3に示す記憶ユニット10のフレームカウンタ値受信部11、および再生ユニット20のフレームカウンタ値受信部21に受信される。記憶ユニット10および再生ユニット20は、フレームカウンタ値αを受信した場合、前回受信したフレームカウンタ値αと比較することにより、前回フレームカウンタ値αを受信してからどれだけフレームカウンタ値が進んだかを判断する。例えば、前回受信したフレームカウンタ値αが100で、今回受信したフレームカウンタ値αが105であれば、前回受信した時点から今回受信した時点までに、フレームカウンタ値αが5進んだと判断する。
ここで、記憶ユニット10または再生ユニット20の処理が予定より遅れた場合について述べる。
【0032】
例えば、記憶ユニット10の読み出し動作が遅れたとする。この場合、制御部41は、記憶ユニット10の処理終了期限を記憶し、記憶ユニット10から処理終了通知が届くはずのタイミングまでにこの処理終了通知を受信しなければ、記憶ユニット10の処理が遅れたと判断する。
【0033】
制御部41が、処理が遅れていると判断した場合、制御部41は処理が遅れた分のデータの破棄を記憶ユニット10に指示し、その次の処理のタイミングを、前の処理に遅れがなかったものとして、調整する。すなわち、処理が遅れたデータの次のデータの処理の開始指示は、前の処理に遅れがなかった場合のタイミングで指示される。また、この開始指示に含まれる処理終了期限は、前の処理に遅れがなかった場合の処理終了期限を示す。記憶ユニット10はデータの破棄の指示を受けると、処理が遅れたデータを破棄する。再生ユニット20の処理が遅れた場合も、記憶ユニット1−の場合と同様にして、制御部40は、処理中のデータの破棄を再生ユニット20に指示し、際し得ユニット20は、処理が遅れたデータを破棄する。
【0034】
ここで、第1の実施形態の動作を図4、図5を用いて具体的に説明する。
【0035】
図4は、第1の実施形態の処理のタイミングを示す図である。図4のフレームF0乃至フレームF16は、それぞれ同期信号100を受信するタイミングであり、Fに続く数値がフレームカウンタ値αである。図5は、従来の処理のタイミングを示す図である。以下、本実施携帯の処理のタイミングを、従来の処理のタイミングと比較しながら説明する。
【0036】
(1)制御ユニット40は、再生開始コマンドを外部IF50から受信する(F0〜F1)。従来でも同様である(F0〜F1)
(2)制御ユニット40は、制御ユニット最長遅延時間内に、記憶ユニット10へ読出し処理の開始指示および再生ユニット20へ再生処理の開始指示を通知する(F1〜F4)。この際、制御ユニット40は、記憶ユニット10へは、読出し処理の開始指示とともに、記憶ユニット10の処理終了期限:F5を通知する。制御ユニット40は、再生ユニット20へは再生処理の開始指示とともに再生ユニット20の処理終了期限:F10を通知する。なお、最長遅延時間は映像データのビットレートおよび処理する映像データのフレーム数に応じて決定され、この最長遅延時間に基づいて記憶ユニット10の処理終了期限と再生ユニット20の処理終了期限が決定される。従来は、最もビットレートが高い映像データに合わせて最長遅延時間が設定されていたが、本実施形態では映像データのビットレートおよび処理する映像データのフレーム数に応じて決定することで、最長遅延時間は従来に比べて短く設定されている。従来の制御ユニット最長遅延時間がF1〜F5の4フレーム分であったのに対して、本実施形態の制御ユニット最長遅延時間はF1〜F4の3フレーム分である。
【0037】
なお、制御ユニット40からの記憶ユニット10、再生ユニット20への指示には、ビットレートの情報や処理するフレーム数の情報を含む。可変長GOPであれば、処理するフレーム数は必ず通知される。固定長GOPであれば、処理対象の映像データの処理開始時に、処理対象フレーム数やビットレートの情報を予め各ユニットへ通知するようにしてもよい。
【0038】
なお、映像データのビットレートおよび処理する映像データのフレーム数毎に制御ユニット40、再生ユニット20、記憶ユニット10のそれぞれの最長遅延時間の組み合わせを予め用意しておき、処理する映像データのビットレートに応じて、制御ユニット40が各ユニットの最長遅延時間を決定する。また制御ユニット40は、それぞれ決定された最長遅延時間に基づいて、読出し処理の開始指示毎にフレームカウンタ値で表記された記憶ユニット10の処理終了期限を決め、また再生処理の開始指示毎にフレームカウンタ値で表記された再生ユニット20の処理終了期限を決める。
【0039】
(3)記憶ユニット10は、読出し処理の開始指示および処理終了期限を受け取ると、制御ユニット40からの指示に含まれる情報から、自己ユニットの読出し処理の開始タイミングを計算する。記憶ユニット10は、算出した開始タイミングで再生処理を開始し、処理終了期限までに読み出した映像データを再生ユニット20へ送出する(F2〜F5)。従来の処理では、最もビットレートが高い映像データに合わせて最長遅延時間が設定されていたが、本実施形態では映像データのビットレートに応じて最長遅延時間を決定することで、最長遅延時間は従来の処理に比べて短く設定されている。従来の処理の最長遅延時間がF5〜F9の4フレーム分だったのに対して、本実施形態の最長遅延時間はF2〜F5の3フレーム分である。また、従来の処理は、同期信号に同期して処理を行っていたため、再生処理の開始指示を受信したフレームの次のフレームから処理が開始される。
【0040】
(4)再生ユニット10は、再生処理の開始指示および処理終了期限を受け取ると、制御ユニット40からの指示に含まれる情報から、自己ユニットの復号化処理の開始タイミングを計算する。記憶ユニット10は記憶媒体からデータを読み出す必要があるので、記憶ユニット10から再生ユニット20へのデータの転送時間も考慮に入れて、制御ユニット40からの指示に含まれる情報から、再生ユニット20は、自己ユニットの開始タイミングを計算する。再生ユニット20は、算出した開始タイミングでは、記憶ユニット10から送られた映像データの復号処理を開始し、処理終了期限内にデータの再生処理を行う(F5〜F10)。
【0041】
従来の処理では、最もビットレートが高い映像データに合わせて最長遅延時間が設定されていたが、本実施形態では映像データのビットレートに応じて決定することで、最長遅延時間は従来の処理に比べ短く設定されている。従来の処理の最長遅延時間がF9〜F15の6フレーム分だったのに対して、本実施形態の最長遅延時間はF5〜F10の5フレーム分である。
【0042】
(5)デジタルビデオ収録再生装置で処理された1GOP分の15フレームの映像データが、再生ユニット20の出力バッファ(図示しない)に出力される(F10以降)。従来の処理でも同様に1フレームの時間内に、映像データが出力バッファに出力される(F15以降)。また、出力バッファに一時保持された映像データは、所定のタイミングで外部表示装置等に出力される。
【0043】
以降、目的の映像データについて読出し処理、再生処置が完了するまで、(2)〜(5)の処理が繰り返えされる。
【0044】
本実施形態(1)〜(5)の処理を行った処理時間と、従来の処理で(1)〜(5)の処理を行った処理時間とを比較する。従来の処理は上記に示すようにF0〜F16までの16フレーム分かかるが、本実施形態ではF0〜F10までの10フレーム分で済み、6フレーム分の処理時間が短縮される。
【0045】
以上のように、フレームカウンタ値α用いて、処理終了期限を指定することによって、各ユニットの処理開始を同期信号と非同期に行うことができ、再生コマンドが入力されてから映像が出力されるまでの時間を短縮することができる。
【0046】
なお、上記実施形態では制御部41内が、処理の遅れを判断する。しかし、図6に示すように、記憶ユニット10又は再生ユニット20が自身の処理状況の遅れを判断する遅延判定部12、22を融資、遅延反転部12、22が処理状況の遅れを判断した際に制御部41に通知しても良い。この場合、遅延判定部12、22が、処理状況が遅れていると判定すると、記憶ユニット10又は再生ユニット20は、処理が遅れたデータを破棄する。
【0047】
例えば、制御部41から送られてきたフレームカウンタ値αを記憶ユニット10のフレームカウンタ値受信部11で受信する。この際、受信したフレームカウンタ値αが処理終了期限であるフレームカウンタ値αと等しい場合、記憶ユニット10の遅延判定部12は処理の完了の有無に基づいて、記憶ユニット10の処理が遅れているか否かを判断する。処理が完了していない場合、遅延判定部12は処理状況が遅れていると判定し、記憶ユニット1−は処理が遅れたデータを破棄する。なお、この場合、制御ユニット40は、フレームカウンタ値αを、例えば、同期信号の周期で記憶ユニット10および再生ユニット20に送る。なお、制御ユニット40は、フレームカウンタ値αを、所定の周期毎に加えて処理終了期限の時にも、処理終了期限である記憶ユニット10または再生ユニット20に送ってもよい。
【0048】
このようにして、本実施形態のデジタルビデオ収録再生装置は、記憶ユニット10または再生ユニット20の処理の遅れを、装置全体を再起動させることなく回復することができる。このため、記憶ユニット10または再生ユニット20の最長遅延時間を短縮化したデジタルビデオ収録再生装置設計し、構築できる。
【0049】
そして、記憶ユニット10または再生ユニット20の最長遅延時間を短縮化することにより、デジタルビデオ収録再生装置全体のデータ処理に要する時間を短縮することができる。
【0050】
また、記憶ユニット10または再生ユニット20の処理のタイミングをフレームカウンタ値αでとることにより、他の記憶ユニットまたは再生ユニットの処理速度を考慮した設計負担が減るので、複数のデジタルビデオ収録ユニットにまたがるシーケンス制御が容易となる。すなわち、本実施形態によれば、入力される映像データのビットレートに応じて最長遅延時間を容易に変更可能なデジタルビデオ収録再生装置が提供される。
【0051】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るデジタルビデオ収録再生装置の構成を示すブロック図である。
【0052】
本実施形態と第1の実施形態との違いは、本実施形態が複数の記憶ユニット、複数の再生ユニットとを有する点である。図7に示すデジタルビデオ収録再生装置20は、簡単のため2つの記憶ユニット10a、10bおよび2つの再生ユニット20a、20bを有するが、デジタルビデオ収録再生装置200はさらに多い台数の記憶ユニットと再生ユニットを有してもよい。
【0053】
記憶ユニット10a、10bまたは再生ユニット20a、20bの何れかのユニットがデジタルビデオ収録再生装置に新たに装着された場合、制御部41は装着されたユニットへフレームカウンタ値αを送出する。また、記憶ユニット10a、10bまたは再生ユニット20a、20bのうち何れかが他のユニットが映像データの再生中に取り除かれた場合、制御部41は他のユニットへ影響することなく処理を継続する。再生ユニット20a、または再生ユニット20bがメンテナンス等のために取り除かれた場合も同様である。
【0054】
記憶ユニット10bは、記憶ユニット10aと同様の機能を持ち、デジタルビデオ収録再生装置の記憶容量を増加する。デジタルビデオ収録再生装置は、複数の記憶ユニット10a、10bを相互にバックアップ装置として取り扱う。よって、一方の記憶ユニットを取り外しても、他方の記憶ユニットが記憶ユニットの機能を発揮する。
【0055】
再生ユニット20bは、再生ユニット20aと同様の機能を持つ。これら複数の再生ユニット20a、20bは同じ映像データを再生し、のいずれか1つの再生ユニットを取り外しても、装置全体の動作は損なわれない。
【0056】
ここで、記憶ユニット10bがメンテナンス等のため一度取り外された後、再装着される場合の動作を説明する。
【0057】
記憶ユニット10bが取り外された際に、制御ユニット40は記憶ユニット10bが取り外されたことを検出する。その後は、記憶ユニット10bがないデジタルビデオ収録再生装置として記憶ユニット10aと再生ユニット20a間の同期をとる。
【0058】
その後、記憶ユニット10bが再装着された場合、制御ユニット40内の制御部41は、記憶ユニット10bが装着されたことを検出する。記憶ユニット10bが装着されたことを判断した制御部41は、フレームカウンタ値αを記憶ユニット10a、10bおよび再生ユニット20a、20bに送出する。
【0059】
新たにフレームカウンタ値αを与えられた、記憶ユニット10a、10bおよび再生ユニット20a、20bは、記憶ユニット10bを備えたデジタルビデオ収録再生装置として同期をとり始め、動作することができる。
【0060】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態のデジタルビデオ記録再生装置と同様に入力される映像データのビットレートに応じて最長遅延時間を容易に変更できる。
【0061】
さらに、第2の実施形態のデジタルビデオ記録再生装置によれば、デジタルビデオ収録再生装置の機能を停止することなく記憶ユニット10a、10bまたは再生ユニット20a、20bの挿抜を行うことができる。
【0062】
よって、メンテナンス中にデジタルビデオ再生装置を利用するために、ユーザが複数のデジタルビデオ収録再生装置を所持する必要性や、日中のテレビ放送に支障をきたさないために深夜にメンテナンスを行う等の負担を解消することができる。
【0063】
なお、本発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態を適宜設計変更することが可能であり、必要に応じて実施形態を適宜組み合わせても良い。例えば、本実施形態では主に記憶ユニットまたは再生ユニット間のフレームカウンタ値αによる制御を述べたが、記憶ユニットまたは再生ユニット内の複数の処理装置に適用しても良い。
【符号の説明】
【0064】
10、10a、10b … 記憶ユニット
20、20a、20b … 再生ユニット
30 … 同期ユニット
40 … 制御ユニット
50 … 外部IF(外部インターフェイス)
100 … 同期信号
α … フレームカウンタ値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを記憶し、記憶された前期映像データを読み出す記憶手段と、
前記記憶手段から読み出された前記映像データを再生する再生手段と、
同期信号を前記記憶手段および前記再生手段へ送出する同期手段と、
前記同期手段から送出された前記同期信号をカウントしてフレームカウンタ値を生成する同期信号カウント部と、
前記フレームカウント値を前記記憶ユニットおよび前記際し得ユニットに供給し、前記映像データの再生処理開始および前期フレームカウンタ値で表記される第1の処理終了期限を前記記憶ユニットに出力し、および前記データ再生処理開始指示および前記フレームカウンタ値で表記される第2の処理終了期限を前記際し得ユニットに出力する制御手段と、
を備えることを特徴とするデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項2】
前記記憶手段の読出し処理が前記第1の処理終了期限よりも遅れた場合、前記記憶ユニットは処理中の映像データを破棄することを特徴とする請求項1に記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項3】
前記再生手段の復号化処理が前記第2の処理終了期限よりも遅れた場合、前記再生手段は処理中の映像データを破棄することを特徴とする請求項1記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項4】
前記記憶手段は、自身の処理状況の遅れを判断する遅延判定部を有することを特徴とする請求項2に記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項5】
前記再生手段は、自身の処理状況の遅れを判断する遅延判定部を有することを特徴とする請求項3に記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、読出し処理が終了すると、第1の処理終了通知を前記制御部へ送出し、
前記制御部が前記第1の処理終了期限までに前記第1の処理終了通知を受取らない場合、前記制御部は前記記憶手段に処理中の映像データの破棄を指示する
ことを特徴とする請求項2記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項7】
前記再生手段は、復号化処理が終了すると、第2の処理終了通知を前記制御部へ送出し、
前記制御部が前記第2の処理終了期限までに前記第2の処理終了通知を受取らない場合、前記制御部は前記再生手段に処理中の映像データの破棄を指示する
ことを特徴とする請求項2記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項8】
前記記憶手段が処理中の映像データを破棄する場合、前記破棄した映像データの次に行われる映像データの処理の前記読出し処理開始指示および前記復号化処理開始指示は、前記第1の処理終了期限よりも遅れた処理に遅れがなかった場合のタイミングで行われることを特徴とする請求項2記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項9】
前記再生手段が処理中の映像データを破棄する場合、前記破棄した映像データの次に行われる映像データの処理の読出し処理開始指示および再生処理開始指示は、前記第2の処理終了期限よりも遅れた処理に遅れがなかった場合のタイミングで行われることを特徴とする請求項2記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記記憶手段に記憶された前記映像データのビットレートおよび処理する前記映像データのフレーム数を、前記記憶手段および前記再生手段に通知することを特徴とする請求項1記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項11】
前記記憶手段は、前記読出し処理開始指示および前記第1の処理終了期限を受け取ると、読出し処理の開始タイミングを計算することを特徴とする請求項1記載のデジタルビデオ収録再生装置。
【請求項12】
前記再生手段は、前記復号化処理開始指示および前記第2の処理終了期限を受け取ると、復号化処理の開始タイミングを計算することを特徴とする請求項1記載のデジタルビデオ収録再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−135557(P2011−135557A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168556(P2010−168556)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】