説明

デジタル放送記録装置及びその制御プログラム

【課題】映像データ、音声データ、データ放送データの少なくとも1つを個別に記録して再生可能にしたデジタル放送記録装置を提供する。
【解決手段】映像データを含む映像パケットと、音声データを含む音声パケットと、データ放送データを含むデータパケットとが多重化されたデジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置は、デジタル放送信号から、映像パケット、音声パケット及びデータパケットのうち少なくとも1つを抽出するパケット抽出部101と、抽出されたパケットに含まれる、映像データ、音声データ及びデータ放送データのうち少なくとも1つを個別に記録する記録部120と、記録部120によって記録された、映像データ、音声データ及びデータ放送データのうち少なくとも1つを個別に読み出す読み出し部104とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上デジタル放送等のデジタル放送を受信し、受信したデジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置が広く利用されている。デジタル放送の伝送方式には、複数の番組及び複数種類のデータを多重化して伝送できるMPEG2−トランスポート・ストリーム(TS)方式が採用されている。デジタル放送記録装置は、映像データを含むTSパケットである映像パケットと、音声データを含むTSパケットである音声パケットと、データ放送データを含むTSパケットであるデータパケットとが多重化されたデジタル放送信号に対する記録処理を行う。
【0003】
このようなデジタル放送記録装置としては、次の構成が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のデジタル放送記録装置は、受信したデジタル放送信号から映像パケット及び音声パケットを抽出し、抽出した映像パケット及び音声パケットを一旦記憶した後に、記憶した映像パケット及び音声パケットからMPEG−4(MP4)データを生成して記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−166598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のデジタル放送記録装置には、次のような問題がある。具体的には、特許文献1に記載のデジタル放送記録装置は、映像パケットに含まれる映像データと音声パケットに含まれる音声データとによって構成されるMP4データを記録できるものの、映像データ、音声データ及びデータ放送データのうち少なくとも1つを個別に記録して再生可能にすることができない。このため、再生可能なデータの種類が限定されるケースや、記録容量が少ないケースに対応できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、映像データ、音声データ、データ放送データの少なくとも1つを個別に記録して再生可能にしたデジタル放送記録装置及びその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係るデジタル放送記録装置の特徴は、映像データを含む映像パケットと、音声データを含む音声パケットと、データ放送データを含むデータパケットとが多重化されたデジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置(例えば、デジタル放送記録再生装置100A又はデジタル放送記録装置100B)であって、前記デジタル放送信号から、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのうち少なくとも1つを抽出するパケット抽出部(パケット抽出部101)と、前記パケット抽出部によって抽出されたパケットに含まれる、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に記録する記録部(記録部120)とを有し、前記記録部によって記録された、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に読み出すことができるようにしたことを要旨とする。
【0008】
このような特徴によれば、映像データ、音声データ、データ放送データの少なくとも1つを個別に記録して再生可能にしたデジタル放送記録装置を提供できる。したがって、本デジタル放送記録装置は、再生可能なデータの種類が限定されるケースや、記録容量が少ないケースにも対応できる。
【0009】
本発明に係るデジタル放送記録装置の他の特徴は、上記の特徴に係るデジタル放送記録装置において、前記パケット抽出部は、前記デジタル放送信号から前記データパケットを抽出し、前記記録部は、前記パケット抽出部によって抽出された前記データパケットに含まれる前記データ放送データを記録し、前記記録部によって記録された前記データ放送データを読み出すことができるようにしたことを要旨とする。
【0010】
このような特徴によれば、データ放送データを記録しておくことにより、デジタル放送を受信できない状況下でも、記録しておいたデータ放送データを読み出して再生可能になる。特に、データ放送データは、映像データ及び音声データと比較してデータ量が非常に少ないため、データ放送データのみを記録しておくことは、記録容量の少ない機器にとって特に効果的である。
【0011】
本発明に係るデジタル放送記録装置の他の特徴は、上記の特徴に係るデジタル放送記録装置において、デジタル放送が受信できる状況において前記パケット抽出部及び前記記録部を常時動作させるように制御する動作制御部(制御部109)をさらに具備することを要旨とする。
【0012】
このような特徴によれば、デジタル放送が受信できる状況であればデータ放送データを自動で記録することによって、デジタル放送を受信できない状況下で、自動で記録されたデータ放送データを再生できるようになり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0013】
本発明に係るデジタル放送記録装置の他の特徴は、上記の特徴に係るデジタル放送記録装置において、前記記録部に新たに記録するデータ放送データと既に記録されているデータ放送データとが一致する場合に、前記新たに記録するデータ放送データ又は前記既に記録されているデータ放送データの何れか一方を削除するように制御する削除制御部(制御部109)をさらに具備することを要旨とする。
【0014】
このような特徴によれば、同一のデータ放送データを複数回受信する場合において、同一のデータ放送データを重複して記録してしまうことを防止でき、記録容量を節約できる。
【0015】
本発明に係るデジタル放送記録装置の他の特徴は、上記の特徴に係るデジタル放送記録装置において、前記パケット抽出部は、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのうち、ユーザ操作により選択されたデータ種類に対応するパケットを前記デジタル放送信号から抽出することを要旨とする。
【0016】
このような特徴によれば、複数種類のデータのうち所望のデータを選択的に記録することが可能になり、記録容量を節約しつつ、再生可能なデータの種類が限定されるケースにも対応可能になる。
【0017】
本発明に係るデジタル放送記録装置の他の特徴は、上記の特徴に係るデジタル放送記録装置において、前記パケット抽出部は、前記デジタル放送信号から、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのそれぞれを抽出し、前記記録部は、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのそれぞれを個別に記録し、前記記録部によって記録された、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち、ユーザ操作により選択された種類のデータを読み出すことができるようにしたことを要旨とする。
【0018】
このような特徴によれば、複数種類のデータのうち所望のデータを選択的に読み出すことが可能になり、再生可能なデータの種類が限定されるケースにも対応可能になる。
【0019】
本発明に係る制御プログラムの特徴は、映像データを含む映像パケットと、音声データを含む音声パケットと、データ放送データを含むデータパケットとが多重化されたデジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置に、前記デジタル放送信号から、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのうち少なくとも1つを抽出する手順と、前記抽出する手順によって抽出されたパケットに含まれる、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に記録する手順と、前記記録する手順によって記録された、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に読み出す手順とを実行させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、映像データ、音声データ、データ放送データの少なくとも1つを個別に記録して再生可能にしたデジタル放送記録装置及びその制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置を含む記録再生システムの全体概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置によるパケット抽出処理を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置による記録処理フローを示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置による再生処理フローを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係るデジタル放送記録装置を含む記録再生システムの全体概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係るデジタル放送記録装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係るデジタル放送記録装置による記録処理フローを示すフローチャートである。
【図9】第2実施形態に係るデジタル放送記録装置による転送処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照して、本発明のデジタル放送記録装置の第1実施形態、第2実施形態及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0023】
(1)第1実施形態
以下において、本発明の第1実施形態について、(1.1)全体概略構成、(1.2)デジタル放送記録再生装置の構成、(1.3)デジタル放送記録再生装置の動作、(1.4)第1実施形態の効果の順に説明する。
【0024】
(1.1)全体概略構成
図1は、第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置100Aを含む記録再生システムの全体概略構成図である。
【0025】
図1に示すように、デジタル放送記録再生装置100Aには、地上デジタル放送を受信するチューナ装置10が接続される。デジタル放送記録再生装置100Aとしては、可搬型の機器(例えば、ノートPC)を想定しているが、据置型の機器であってもよい。また、デジタル放送記録再生装置100Aは、チューナ装置10を内蔵していてもよい。チューナ装置10は、フルセグメント及び/又は1セグメントの地上デジタル放送を受信する。
【0026】
(1.2)デジタル放送記録再生装置の構成
図2は、デジタル放送記録再生装置100Aの構成を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、デジタル放送記録再生装置100Aは、パケット抽出部101、データバッファ部102、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)103、読み出し部104、再生部105、表示部106、音声出力部107、操作受付部108、及び制御部109を有する。なお、HDD103に代えて、SDD(Solid State Drive)等の他の記録媒体を使用してもよい。
【0028】
パケット抽出部101には、チューナ装置10からのデジタル放送信号が入力される。当該デジタル放送信号は、映像データを含む映像パケットと、音声データを含む音声パケットと、データ放送データを含むデータパケットとが多重化されたものである。ここで、映像データ及び音声データのそれぞれは、MPEG方式に従って圧縮符号化されている。データ放送データは、番組に関連した番組情報や、天気情報、ニュース、イベント情報等を含み、例えばブロードキャスト・マークアップ言語(BML)で記述されたものである。
【0029】
パケット抽出部101は、各パケットに付与されるパケット識別子(PID)を検出し、検出したPIDに基づいて、デジタル放送信号から、映像パケット、音声パケット及びデータパケットのうち少なくとも1つを抽出する。第1実施形態においては、パケット抽出部101は、地上デジタル放送が受信できる状況においてデータパケットを常時抽出する。
【0030】
データバッファ部102には、パケット抽出部101によって抽出されたパケットが入力される。データバッファ部102は、パケット抽出部101によって抽出されたパケットに含まれる、映像データ、音声データ及びデータ放送データのうち少なくとも1つを一時的に記憶する。例えば、データバッファ部102は、1番組分のデータを記憶し、ファイル形式のデータを作成する。データバッファ部102としては、例えば揮発性半導体メモリが使用できるが、HDD103の一部領域をデータバッファ部102として使用してもよい。なお、以下において、ファイル形式の映像データを「映像ファイル」と称し、ファイル形式の音声データを「音声ファイル」と称し、ファイル形式のデータ放送データを「データ放送ファイル」と称する。
【0031】
HDD103には、データバッファ部102によって作成されたファイル形式のデータが入力される。HDD103は、データバッファ部102によって作成されたファイル形式のデータをデータ種別毎に個別に記録する。例えば、HDD103は、映像に対応する記憶領域と、音声に対応する記憶領域と、データ放送に対応する記憶領域とを有しており、データバッファ部102によって作成されたファイル形式のデータを対応する記憶領域に記録する。データバッファ部102及びHDD103は、記録部120を構成する。
【0032】
読み出し部104は、HDD103によって記録されたファイル形式のデータをデータ種別毎に個別に読み出す。
【0033】
再生部105には、読み出し部104によって読み出されたファイル形式のデータが入力される。再生部105は、読み出し部104によって読み出されたファイル形式のデータを再生(すなわち、データ復号)する。具体的には、再生部105は、映像ファイルが入力された場合には映像ファイルを再生し、音声ファイルが入力された場合には音声ファイルを再生し、データ放送ファイルが入力された場合にはデータ放送ファイルを再生する。
【0034】
表示部106は、再生部105が映像ファイルを再生することで得られた映像や、再生部105がデータ放送ファイルを再生することで得られたデータ放送を表示する。表示部106としては、例えば液晶ディスプレイが使用できる。
【0035】
音声出力部107は、再生部105が音声ファイルを再生することで得られた音声を出力するスピーカである。
【0036】
操作受付部108は、ユーザからの操作を受け付け、当該操作を電気信号に変換する。操作受付部108としては、例えばキーボード、タッチパッド、ポインティング・デバイス、マウス等が使用できる。表示部106としてタッチパネルを使用する場合には、操作受付部108を表示部106内に設けてもよい。
【0037】
制御部109は、デジタル放送記録再生装置100Aに設けられた各ブロックを制御する。制御部109としては、例えばCPUが使用できる。制御部109には、操作受付部108からの電気信号が入力される。制御部109は、操作受付部108からの電気信号に応じた各種の制御を行う。制御部109は、チューナ装置10を制御可能に構成される。このため、制御部109は、チューナ装置10が受信するチャンネルを指定可能である。
【0038】
第1実施形態においては、制御部109は、地上デジタル放送が受信できる状況において、データ放送を常時記録するようにパケット抽出部101及び記録部120を制御する。例えば、制御部109は、デジタル放送信号がデジタル放送記録再生装置100Aに入力されているか否かを判別し、デジタル放送信号がデジタル放送記録再生装置100Aに入力されている場合には地上デジタル放送が受信できる状況であるとみなす。なお、デジタル放送信号を受信すべきチャンネルについては、ユーザ操作に応じて設定可能である。
【0039】
また、第1実施形態においては、制御部109は、記録部120のHDD103に新たに記録するデータ放送ファイルと既に記録されているデータ放送ファイルとが一致する場合に、新たに記録するデータ放送ファイル又は既に記録されているデータ放送ファイルの何れか一方を削除するように制御する。
【0040】
(1.3)デジタル放送記録再生装置の動作
次に、第1実施形態に係るデジタル放送記録再生装置100Aの動作について、(1.3.1)パケット抽出処理、(1.3.2)記録処理、(1.3.3)再生処理の順に説明する。
【0041】
(1.3.1)パケット抽出処理
図3は、デジタル放送記録再生装置100Aによるパケット抽出処理を説明するための図である。
【0042】
図3(a)に示すように、チューナ装置10が出力し、デジタル放送記録再生装置100Aに入力されるデジタル放送信号は、時間的に連続する多数のTSパケットによって構成される。各TSパケットには、PIDと呼ばれる識別子が付与される。パケット抽出部101及び制御部109は、プログラム・アソシエーション・テーブル(PAT)及びプログラム・マップ・テーブル(PMT)に基づいて、各TSパケットにどのようなデータが含まれているかを判別する。
【0043】
図3(b)に示すように、PATは、デジタル放送信号に含まれる番組(プログラム)の一覧を、PMTを含むTSパケットのPIDで示したものである。PATを含むTSパケットのPIDは特定の値である。ただし、1セグメント受信の場合にはPATが省略され、PMTのPIDが特定の値に設定される。
【0044】
図3(b)及び図3(c)に示すように、PMTは、ある番組(プログラム)に含まれる映像・音声・データ放送の一覧を、各TSパケットのPIDで示したものである。PMTから映像・音声・データ放送に対応するPIDを知ることができれば、それらPIDの付されたTSパケットを抽出することで、番組(プログラム)を再生できる。
【0045】
第1実施形態においては、制御部109は、地上デジタル放送が受信できる状況において、PMTに基づき、データ放送に対応する各TSパケットを常時抽出するようにパケット抽出部101を制御するとともに、データ放送ファイルを常時記録するように記録部120を制御する。
【0046】
(1.3.2)記録処理
図4は、デジタル放送記録再生装置100Aによる記録処理フローを示すフローチャートである。ここでは、データ放送を常時記録する際の記録処理フローを説明する。
【0047】
ステップS101において、制御部109は、デジタル放送信号からデータパケットを抽出するようにパケット抽出部101を制御する。パケット抽出部101は、データパケットに対応するPIDが付されたTSパケットをデータパケットとして抽出する。
【0048】
ステップS102において、制御部109は、1番組分のデータ放送データを記憶するようにデータバッファ部102を制御する。制御部109は、1番組分のデータ放送データの記憶が終了したと判断した場合(ステップS103;YES)、処理をステップS104に移す。
【0049】
ステップS104において、データバッファ部102は、1番組分のデータ放送データによって構成されるデータ放送ファイルを生成する。
【0050】
ステップS103において、制御部109は、データバッファ部102により得られた新たなデータ放送ファイルと、HDD103に記録済みの各データ放送ファイルとを比較し、一致するか否かを判定する。
【0051】
制御部109は、上記の比較の結果、新たなデータ放送ファイルと一致(略一致も含む)する記録済みのデータ放送ファイルが検出された場合(ステップS105;YES)には、ステップS107において当該新たなデータ放送ファイルを削除するようにデータバッファ部102を制御する。
【0052】
また、制御部109は、上記の比較の結果、新たなデータ放送ファイルと一致する記録済みのデータ放送ファイルが検出されない場合(ステップS105;NO)には、ステップS106において当該新たなデータ放送ファイルを記録するようにHDD103を制御する。ここで、制御部109は、新たなデータ放送ファイルをHDD103に記録(HDD更新)した時刻を、当該新たなデータ放送ファイルと共にHDD103に記録しておく。
【0053】
(1.3.3)再生処理
図5は、デジタル放送記録再生装置100Aによる再生処理フローを示すフローチャートである。
【0054】
ステップS111において、操作受付部108は、ユーザからのデータ放送ファイルの視聴操作を受け付ける。
【0055】
ステップS112において、制御部109は、操作受付部108が受け付けた、データ放送ファイルの視聴操作に応じて、HDD103に記録されている各データ放送ファイルの一覧を表示するように表示部106を制御する。
【0056】
ステップS113において、操作受付部108は、ユーザからのデータ放送ファイルの選択操作を受け付ける。
【0057】
ステップS114において、制御部109は、操作受付部108が受け付けた、データ放送ファイルの選択操作に応じて、HDD103に記録されている各データ放送ファイルのうち、選択されたデータ放送ファイルを読み出すように読み出し部104を制御する。
【0058】
ステップS115において、制御部109は、読み出し部104によって読み出されたデータ放送ファイルを再生部105を制御する。再生部105によって再生されたデータ放送ファイルは、表示部106によって表示される。
【0059】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、データ放送ファイルを常時記録しておくことにより、地上デジタル放送を受信できない状況下(例えば、地上デジタル放送の電波圏外や、チューナ装置10が接続されていない状況)でも、記録しておいたデータ放送ファイルを読み出して再生可能になる。データ放送ファイルは、映像ファイル及び音声ファイルと比較してデータ量が非常に少ないため、データ放送ファイルのみを記録しておくことは、記録容量の少ない機器にとって特に効果的である。
【0060】
第1実施形態では、制御部109は、新たに記録するデータ放送ファイルと既に記録されているデータ放送ファイルとが一致する場合に、新たに記録するデータ放送ファイルを削除するようにデータバッファ部102を制御する。これにより、同一のデータ放送を複数回受信する場合において、同一のデータ放送ファイルを重複して記録してしまうことを防止でき、記録容量を節約できる。
【0061】
なお、第1実施形態においては、映像復号能力を有する再生部105を使用する構成について説明したが、映像復号能力を有しない再生部を使用してもよい。この場合、映像を再生できない機器であっても、データ放送が再生可能であれば、データ放送を視聴することができる。
【0062】
(2)第2実施形態
以下において、本発明の第2実施形態について、(2.1)全体概略構成、(2.2)デジタル放送記録装置の構成、(2.3)デジタル放送記録装置の動作、(2.4)第2実施形態の効果の順に説明する。第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点を主として説明し、重複する説明を省略する。
【0063】
(2.1)全体概略構成
図6は、第2実施形態に係るデジタル放送記録装置100Bを含む記録再生システムの全体概略構成図である。
【0064】
図6に示すように、デジタル放送記録装置100Bには、地上デジタル放送を受信するチューナ装置10と、映像ファイル、音声ファイル及びデータ放送ファイルのうち少なくとも1つを再生可能な可搬型再生装置20とが接続される。デジタル放送記録再生装置100Aとしては、据置型の機器(例えば、デスクトップPCやHDDレコーダ等)を想定しているが、可搬型の機器であってもよい。また、デジタル放送記録装置100Bは、チューナ装置10を内蔵していてもよい。チューナ装置10は、フルセグメント及び/又は1セグメントのデジタル放送を受信する。可搬型再生装置20は、例えば、可搬型のオーディオ機器や、携帯電話機等である。
【0065】
(2.2)デジタル放送記録装置の構成
図7は、デジタル放送記録装置100Bの構成を示すブロック図である。
【0066】
図7に示すように、デジタル放送記録装置100Bは、第1実施形態で説明した再生部105に代えて、転送部110を有している。その他の構成については、第1実施形態と同様の構成である。転送部110は、読み出し部104によって読み出された、映像ファイル、音声ファイル、及びデータ放送ファイルのうち少なくとも1つを可搬型再生装置20に転送する。
【0067】
また、第2実施形態においては、パケット抽出部101は、映像パケット、音声パケット及びデータパケットのうち、ユーザ操作により選択されたデータ種類に対応するパケットをデジタル放送信号から抽出する。例えば、ユーザが映像記録を選択した場合には、パケット抽出部101は、映像パケットをデジタル放送信号から抽出する。ユーザが音声記録を選択した場合には、パケット抽出部101は、音声パケットをデジタル放送信号から抽出する。ユーザがデータ放送記録を選択した場合には、パケット抽出部101は、データパケットをデジタル放送信号から抽出する。
【0068】
(2.3)デジタル放送記録装置の動作
次に、第2実施形態に係るデジタル放送記録装置100Bの動作について、(2.3.1)記録処理、(2.3.2)転送処理の順に説明する。
【0069】
(2.3.1)記録処理
図8は、デジタル放送記録装置100Bによる記録処理フローを示すフローチャートである。
【0070】
ステップS201において、操作受付部108は、記録すべきデータ種別を選択する操作をユーザから受け付ける。
【0071】
ステップS202において、制御部109は、PMTに基づき、ユーザ操作により選択されたデータ種類に対応するパケットをデジタル放送信号から抽出するようにパケット抽出部101を制御する。
【0072】
ステップS203において、データバッファ部102は、パケット抽出部101によって抽出されたパケットに含まれるデータをバッファリングする。制御部109は、1番組分のデータを記憶するようにデータバッファ部102を制御する。制御部109は、1番組分のデータの記憶が終了したと判断した場合(ステップS204;YES)、処理をステップS205に移す。
【0073】
ステップS205において、データバッファ部102は、1番組分のデータによって構成されるファイルを生成する。
【0074】
ステップS206において、制御部109は、データバッファ部102によって生成されたファイルを記録するようにHDD103を制御する。
【0075】
(2.3.2)転送処理
図9は、デジタル放送記録装置100Bによる転送処理フローを示すフローチャートである。
【0076】
ステップS211において、操作受付部108は、ユーザからのファイル視聴操作を受け付ける。
【0077】
ステップS212において、制御部109は、操作受付部108が受け付けたファイル視聴操作に応じて、HDD103に記録されている各ファイルの一覧を表示するように表示部106を制御する。
【0078】
ステップS213において、操作受付部108は、ユーザからのファイル選択操作を受け付ける。
【0079】
ステップS214において、制御部109は、操作受付部108が受け付けたファイル選択操作に応じて、HDD103に記録されている各ファイルのうち、選択されたファイルを読み出すように読み出し部104を制御する。転送部110は、読み出し部104によって読み出されたファイルを可搬型再生装置20に転送する。
【0080】
(2.4)第2実施形態の効果
以上説明したように、第2実施形態によれば、パケット抽出部101は、映像パケット、音声パケット及びデータパケットのうち、ユーザ操作により選択されたデータ種類に対応するパケットをデジタル放送信号から抽出する。これにより、複数種類のデータのうち所望のデータを選択的に記録することが可能になり、記録容量を節約しつつ、再生可能なデータの種類が限定されるケースにも対応可能になる。例えば、映像を再生不能な可搬型オーディオ機器を可搬型再生装置20として使用する場合には、音声及びデータ放送の少なくとも一方を記録するといった記録方法が適用できる。このように、使用する再生装置の再生能力に合わせて記録すべきデータを選択できるようになるため、複数の再生装置を使い分けるようなケースにおいて特に効果的である。
【0081】
(2.5)第2実施形態の変更例
上述した第2実施形態においては、パケット抽出部101が、ユーザ操作により選択されたデータ種類に対応するパケットをデジタル放送信号から抽出していた。しかしながら、パケット抽出部101が、映像パケット、音声パケット及びデータパケットのそれぞれをデジタル放送信号から抽出し、記録部120が、映像ファイル、音声ファイル及びデータ放送ファイルを記録し、読み出し部104が、記録された映像ファイル、音声ファイル及びデータ放送ファイルのうち、ユーザ操作により選択されたデータ種類のファイルを読み出すようにしてもよい。
【0082】
これにより、所望のデータ種類のファイルを選択的に読み出すことが可能になり、再生可能なデータの種類が限定されるケースにも対応可能になる。例えば、映像を再生不能な可搬型オーディオ機器を可搬型再生装置20として使用する場合には、音声及びデータ放送の少なくとも一方を読み出すといった方法が適用できる。このように、使用する再生装置の再生能力に合わせて読み出すべきデータを選択できるようになるため、複数の再生装置を使い分けるようなケースにおいて特に効果的である。
【0083】
(3)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0084】
上述した各実施形態においては、MPEG2−TS方式が採用されるデジタル放送について説明したが、映像・音声・データ放送が多重化される方式であれば、MPEG2−TS方式以外の方式に対して本発明を適用可能である。また、上述した各実施形態においては、地上デジタル放送について説明したが、BSデジタル放送等の他のデジタル放送に対して本発明を適用可能である。
【0085】
なお、上述した各実施形態で説明した各処理・手順は、コンピュータプログラムとして実装し、汎用のPCにより実行可能である。
【0086】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0087】
10…チューナ装置、20…可搬型再生装置、100A…デジタル放送記録再生装置、100B…デジタル放送記録装置、101…パケット抽出部、102…データバッファ部、103…HDD、104…読み出し部、105…再生部、106…表示部、107…音声出力部、108…操作受付部、109…制御部、110…転送部、120…記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データを含む映像パケットと、音声データを含む音声パケットと、データ放送データを含むデータパケットとが多重化されたデジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置であって、
前記デジタル放送信号から、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのうち少なくとも1つを抽出するパケット抽出部と、
前記パケット抽出部によって抽出されたパケットに含まれる、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に記録する記録部とを有し、
前記記録部によって記録された、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に読み出すことができるようにしたことを特徴とするデジタル放送記録装置。
【請求項2】
前記パケット抽出部は、前記デジタル放送信号から前記データパケットを抽出し、
前記記録部は、前記パケット抽出部によって抽出された前記データパケットに含まれる前記データ放送データを記録し、前記記録部によって記録された前記データ放送データを読み出すことができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送記録装置。
【請求項3】
デジタル放送が受信できる状況において前記パケット抽出部及び前記記録部を常時動作させるように制御する動作制御部をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載のデジタル放送記録装置。
【請求項4】
前記記録部に新たに記録するデータ放送データと既に記録されているデータ放送データとが一致する場合に、前記新たに記録するデータ放送データ又は前記既に記録されているデータ放送データの何れか一方を削除するように制御する削除制御部をさらに具備することを特徴とする請求項2又は3に記載のデジタル放送記録装置。
【請求項5】
前記パケット抽出部は、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのうち、ユーザ操作により選択されたデータ種類に対応するパケットを前記デジタル放送信号から抽出することを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送記録装置。
【請求項6】
前記パケット抽出部は、前記デジタル放送信号から、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのそれぞれを抽出し、
前記記録部は、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのそれぞれを個別に記録し、前記記録部によって記録された、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち、ユーザ操作により選択された種類のデータを読み出すことができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送記録装置。
【請求項7】
映像データを含む映像パケットと、音声データを含む音声パケットと、データ放送データを含むデータパケットとが多重化されたデジタル放送信号に対する記録処理を行うデジタル放送記録装置に、
前記デジタル放送信号から、前記映像パケット、前記音声パケット及び前記データパケットのうち少なくとも1つを抽出する手順と、
前記抽出する手順によって抽出されたパケットに含まれる、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に記録する手順と、
前記記録する手順によって記録された、前記映像データ、前記音声データ及び前記データ放送データのうち少なくとも1つを個別に読み出す手順とを実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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