説明

デバイス、その制御方法、及びプログラム

【課題】イベントに係る通信に使用するプロトコルをイベント提供装置にかかる通信負荷を考慮して柔軟に変更できるようにする。
【解決手段】デバイスは、クライアントから送信されるイベント登録要求を受信し、その受信したイベント登録要求に基づいて、発生したイベントをクライアントに通知する。また、デバイスは、イベントの通知に対する通信負荷に係る閾値を記憶しており、イベント登録要求を受信した場合、イベントの通知に対する通信負荷が前記閾値を超えるか否かを判定する。そして、デバイスは、その判定結果に基づいて、前記イベント登録要求に対するイベントの通知の為に使用するプロトコルを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント装置からの要求に応じてイベントを通信媒体を介して提供する場合のプロトコルの選択技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワーク上のクライアント装置からのイベント登録要求に基づいて、イベント提供装置の状態の遷移時などにイベントをクライアント装置に送信するイベント提供システムが知られている。
【0003】
また、イベントを提供するイベント提供装置でのイベント登録、登録イベントの削除、イベントの制御・表示等を行うアプリケーションソフトウエア、ユーティリティソフトウエア、オペレーティングシステム等を提供するための各種のプロトコル、アーキテクチャが提案されている。
【0004】
さらに、複数の企業、標準化団体が、イベント登録、イベント送信、登録イベント削除等の標準的な方法の拡張に対応すべく、仕様の策定作業を進めている。
【特許文献1】特開平11−224226
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術を用いてイベントを利用することによって即時情報更新が可能となりユーザの利便性が向上する。しかしながら、イベント登録要求を行うクライアント装置が多くなると、イベントを送信するイベント提供装置の通信部に大きな通信負荷がかかるという問題があった。
【0006】
すなわち、一般に、TCPプロトコルは、UDPプロトコルに比べて、通信部に対して大きな通信負荷がかかる。また、IPSecやSSLプロトコルは、TCPプロトコルに比べて、通信部に対して大きな通信負荷がかかる。
【0007】
そのため、一般ユーザの利用するアプリケーションが高負荷のかかるプロトコルを利用してしまう場合に、管理者のネットワーク機器管理アプリケーションが使えなくなる場合があった。
【0008】
また、イベントを送信するイベント提供装置のイベント送信先数(エンドポイント数)は、プロトコル毎、又は全プロトコルで登録数に限界がある。そのため、一般ユーザの通信機器モニタアプリケーションにより、エンドポイント数の上限までイベント登録がなされてしまうと、管理者のネットワーク機器管理アプリケーションがイベント登録を行えなくなっていた。
【0009】
本発明は、このような背景の下になされたもので、その目的は、イベントに係る通信に使用するプロトコルをイベント提供装置にかかる通信負荷を考慮して柔軟に変更できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るデバイスは、ネットワーク上の情報処理装置から送信されるイベント登録要求を受信する受信手段と、前記受信手段で受信したイベント登録要求に基づいて、発生したイベントを前記情報処理装置に通知する通知手段と、イベントの通知に対する通信負荷に係る閾値を記憶する記憶手段と、前記受信手段がイベント登録要求を受信した場合、イベントの通知に対する通信負荷が前記閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記イベント登録要求に対するイベントの通知の為に使用するプロトコルを決定する決定手段とを有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イベントに係る通信に使用するプロトコルをイベント提供装置にかかる通信負荷を考慮して柔軟に変更することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1〜第3の実施の形態に係るイベント提供装置(デバイス)を含む通信システムのシステム構成図である。なお、本システム構成図は、主として、イベント登録を行うユーティリティソフトウエアの構成を示したものである。
【0014】
図1に示したように、本通信システムは、クライアント装置100とネットワーク対応装置(デバイス)200を有し、両装置はEthernet(登録商標)等のネットワークにより接続されている。なお、本実施の形態では、クライアント装置100としては、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を想定している。ネットワーク対応装置200としては、プリンタを想定しているが、スキャナ、コピー機、ファクシミリ、複合機等であってもよく、ネットワークに接続可能なデバイスである。また、ネットワーク対応装置200としてのプリンタは、イベント提供装置として機能している。さらには、実際には複数のクライアント装置100がネットワークを介してネットワーク対応装置200に接続されているが、図1では、1台のクライアント装置100だけを図示している。
【0015】
図1において、クライアント装置100は、Ethernet(登録商標)に対応した通信機能を有している。すなわち、クライアント装置100は、TCP/UDP/IPプロトコルスタック1、及びHTTP2を備え、これらを用いてHTTPリクエストの解析、レスポンス処理等を行う。
【0016】
また、TCP/UDP/IPプロトコルスタック1、およびHTTP2の上位層には、SOAP(Simple Object Access Protocol)プロセッサ3が設けられている。ユーティリティ9、及びWSEモジュール5は、SOAPプロセッサ3の制御の下にXML(eXtensible Markup Language)で記述されたデータの双方向通信を行う。
【0017】
また、イベント制御モジュール4は、イベントを制御し、イベント登録やイベント受信に必要な情報をメモリコントローラ6を介して記憶装置8に書込み、読出し、消去する。
【0018】
また、イベント制御モジュール4は、Subscribe等のメッセージの送信処理をWSEモジュール5に対して依頼する。
【0019】
WSEモジュール5は、SOAPプロセッサ3の制御の下に、イベント登録時のSubscribe、登録イベント削除時のUnsubscribe等のメッセージをネットワーク対応装置200に発行する発行処理を行う。Subscribeとは、デバイスで発生したイベントのうち、クライアント装置に通知すべきイベントの内容を登録するための要求である。Unsubscribeとは、デバイスに登録されたイベントを削除するための要求である。WSEモジュール5は、上記の発行メッセージに基づいてネットワーク対応装置200から通知されるNotificationメッセージに対する処理を行う。この場合、ネットワーク対応装置200は、登録イベントに係る状態遷移があると、Notificationメッセージをクライアント装置100に送信する。
【0020】
イベント制御モジュール4は、上記のNotificationメッセージを受信した場合、そのメッセージをユーティリティ9、アプリケーション10など、当該イベント制御モジュール4に対してイベント要求を行ったソフトウェアに対して通知する。なお、受信に係るイベント、メッセージ等は、メモリコントローラ6により、記憶装置8に格納される。
【0021】
ネットワーク対応装置200は、クライアント装置100と同様に、Ethernet(登録商標)に対応した通信機能を有している。すなわち、ネットワーク対応装置200は、TCP/UDP/IPプロトコルスタック11、及びHTTP12を備え、これらを用いてHTTPリクエストの解析、レスポンス処理等を行う。
【0022】
TCP/UDP/IPプロトコルスタック11、HTTP12の上位層には、SOAPプロセッサ13が設けられている。WSEモジュール15、及びプリンタコントローラ16は、SOAPプロセッサ13の制御の下に、XMLで記述されたデータの双方向通信を行う。
【0023】
WSEモジュール15は、SOAPプロセッサ13の制御の下に、クライアント装置100から発行されるイベント登録時のSubscribeメッセージに対する応答処理を行う。同様に、WSEモジュール15は、登録イベント削除時のUnsubscribeメッセージに対する応答処理、イベント送信時のNotificationメッセージの通知等を行う。
【0024】
ユーザ認証/権限確認モジュール20は、クライアント装置100から送信されてきたSubscribeメッセージ等に添付されているユーザ証明書に基づいてユーザ認証を行う。また、ユーザ認証/権限確認モジュール20は、認証したユーザがSubscribe時のイベントの登録権限を有するか否かを判定したり、Notify時のイベント通知用プロトコルが許可されたプロトコルであるか否かを判定したりする。
【0025】
なお、ユーザ認証/権限確認モジュール20は、ネットワーク対応装置200が保持する、又はネットワークを経由して入手可能なルート証明機関の証明書を用いてユーザ認証を行う。また、ユーザ認証/権限確認モジュール20は、ユーザの権限情報を管理するユーザ管理サーバに問い合わせることにより、権限確認を行う。
【0026】
プロトコル決定モジュール21は、ネットワーク対応装置200にかかる通信負荷やネットワークリソースの不足により、クライアント装置100へのイベント送信に利用するプロトコルを利用できない、或いは利用制限を行う必要があるのか否かを判定する。
【0027】
次に、第1の実施の形態におけるイベント登録処理を図2のフローチャートに基づいて説明する。なお、本実施形態におけるSubscribeメッセージは、図3に示したフォーマットでXML−SOAPで記述されている。
【0028】
図2において、クライアント装置100は、ネットワーク対応装置200に対して、イベント登録要求に係るSubscribeメッセージをSOAPメッセージとして送信する(ステップS201)。このクライアント装置における送信処理は、イベント制御モジュール4の制御により、WSEモジュール5、SOAPプロセッサ3、TCP/UDP/IPプロトコルスタック1を介して行われる。
【0029】
ネットワーク対応装置200は、このイベント登録要求に係るSubscribeメッセージをネットワークを介して受信する(ステップS202)。この受信したSubscribeメッセージは、TCP/UDP/IPプロトコルスタック11を介してSOAPプロセッサ13に通知されて解析される。そして、SOAPプロセッサ13は、その解析結果をWSEモジュール15に通知する。WSEモジュール15は、SOAPプロセッサ13から通知されたSubscribeメッセージを解析し、イベント制御モジュール14に通知する。
【0030】
イベント制御モジュール14は、イベント登録テーブルの情報を取得する(ステップS203)。このテーブル情報の取得処理は、イベント登録要求に係るSubscribeメッセージを送信したクライアント装置100のアドレス(イベント登録アドレス)と、ネットワーク対応装置200に登録済みのイベントのイベント通知先アドレス(EndPoint)を比較するために行われる。なお、イベント登録テーブルは、記憶装置18上に構築されている。
【0031】
イベント制御モジュール14は、イベント登録要求に係るSubscribeメッセージ中のイベント通知先アドレスが新規のEndPointであるか否かを判別する(ステップS204)。その結果、当該イベント通知先アドレスが既にイベント登録テーブルに登録されている場合は、イベント制御モジュール14は、イベント登録テーブル上の当該イベント通知先アドレスに係るイベントを更新する(ステップS208)。即ち、新規のEndPointでない場合は、イベント制御モジュール14は、イベント登録テーブル上の当該イベント通知先アドレスに係るイベントを更新する。この更新処理では、受信したイベント登録要求に係るSubscribeメッセージに記述されたイベントが、イベント登録テーブル上の既存のイベント通知先アドレスと対応付けて新たに登録されることとなる。
【0032】
次に、イベント制御モジュール14は、Subscribeの結果、すなわち要求に係るイベントを登録した旨のメッセージをクライアント装置100に返信する(ステップS209)。
【0033】
ステップS204にて、登録要求に係るイベント通知先アドレスが新規のEndPointであると判別された場合は、ステップS205に進む。ステップS205において、イベント制御モジュール14は、プロトコル決定モジュール21により、リクエストプロトコルでの新規イベント登録が可能であるか否かを判別させる。なお、リクエストプロトコルとは、イベント登録要求に係るSubscribeメッセージでイベント返信(通知)時のプロトコルとして要求されたプロトコルを意味する。
【0034】
リクエストプロトコルでの新規イベント登録が可能であると判別された場合は、イベント制御モジュール14は、イベント登録テーブル上の当該イベント通知先アドレスに係るイベントを更新する(ステップS208)。この更新処理では、受信したイベント登録要求のSubscribeメッセージに係るイベントと、当該メッセージ中でリクエストされたプロトコルとが、当該Subscribeメッセージ中のイベント通知先アドレスと対応付けてイベント登録テーブルに登録される。この更新登録情報は、Subscribeの結果として、クライアント装置100に返信される(ステップS209)。
【0035】
一方、クライアント装置100がリクエストするプロトコルでのイベント登録が不可能であれば、イベント制御モジュール14は、プロトコル決定モジュール21により、登録可能な他のイベントプロトコルがあるか否かを判別させる(ステップS206)。
【0036】
このステップS206の判別処理は、次のようにして行なわれる。例えば、ネットワーク対応装置200は、通信負荷を考慮すると、通信負荷が比較的に大きなTCPを5EndPoint、通信負荷が比較的に小さなUDPを10EndPoint登録(返信)できるものとする。また、ネットワーク対応装置200は、現在、既にTCPの5EndPointが全て登録済みであり、UDPのEndPointが未だ登録可能状態にあったものとする。さらに、この状態でクライアント装置100からのイベント登録(Subscribe)でTCPによるイベント登録のリクエストがあったものとする。
【0037】
この場合、プロトコル決定モジュール21は、当該Subscribeについて、リクエストプロトコルであるTCPでのイベント登録は不可能であるが、UDPでのイベント登録は可能であると判定する。
【0038】
なお、クライアント装置100がイベント登録要求時に利用するプロトコルでイベント通知を行わない場合には、予め決められた優先プロトコルから1つのプロトコルを決定するように構成することも考えられる。また、ステップS205の判別処理も、同様に、ネットワーク対応装置200にかかる通信負荷を考慮してプロトコル毎に設定されたエンドポイント数に基づいて行っている。
【0039】
イベント制御モジュール14は、プロトコル決定モジュール21により、登録可能なイベントプロトコルが無いと判別された場合は、イベント登録テーブル上の当該イベント通知先アドレスに係るイベントを更新する(ステップS208)。この更新処理では、リクエストに係るイベント通知先アドレスだけが新規のEndPointとして登録され、リクエストに係るプロトコルとは登録されることはない。この更新登録情報は、Subscribeの結果として、クライアント装置100に返信される(ステップS209)。
【0040】
一方、イベント制御モジュール14は、登録可能なイベントプロトコルが有るとプロトコル決定モジュール21により判別された場合、その登録可能なイベントプロトコルをクライアント装置100に通知するためのメッセージを返信する(ステップS207)。
【0041】
クライアント装置100は、この登録可能なイベントプロトコルを通知するメッセージを受信する(ステップS210)。この場合、クライアント装置100は、その登録可能プロトコルをイベント返信用プロトコルとして指定してイベントの再登録を行うべく、イベント登録要求のSubscribeメッセージを作成し直す(ステップS211)。そして、クライアント装置100は、ステップS201に戻り、この作成し直したイベント登録要求のSubscribeメッセージを、通知に係る登録可能なプロトコルによりネットワーク対応装置200に再送信する。
【0042】
この場合、ネットワーク対応装置200は、再送されたイベント登録要求のSubscribeメッセージに基づいて、イベント登録テーブル上の該当するイベント通知先アドレスと対応付けて、通知に係る登録可能なプロトコルを登録する(ステップS204→S208の処理)。
【0043】
また、クライアント装置100は、ステップS209で返信されたSubscribeの結果に係るメッセージを受信することにより、イベント待ち状態に遷移する(ステップS212)。
【0044】
一方、ネットワーク対応装置200は、イベントが発生すると(ステップS213)、そのイベント情報を、対応するクライアント装置100に送信する(ステップS214)。
【0045】
この場合、イベント待ち状態に遷移していたクライアント装置100は、自己宛のイベント情報を受信する(ステップS215)。
【0046】
なお、ステップS213〜S215のイベント発生からイベント受信までのフローは、一般的なイベント登録プロトコルと同様にSubscribeからUn Subscribeまでの期間は有効であり、その有効期間中は繰り返し実行される。
【0047】
以上説明したように、第1の実施の形態では、イベント提供装置としてのネットワーク対応装置200は、イベント返信時の通信負荷を考慮して、プロトコル毎にイベント登録可能なユーザ(クライアント装置)の数、すなわちエンドポイント数を設定している。そして、ネットワーク対応装置200は、クライアント装置100からイベント登録要求があった場合は、そのエンドポイント数の範囲内でイベント登録処理を行う。この際、ネットワーク対応装置200は、イベント返信時のプロトコルとして、登録要求に係るプロトコルは登録できないが、通信負荷の小さな他のプロトコルは登録できる場合は、そのプロトコルをクライアント装置100に通知する。ネットワーク対応装置200は、その通知に係るプロトコルをイベント返信時のプロトコルとする旨のイベント登録要求が再度なされた場合は、正式にイベント登録処理を行う。
【0048】
従って、イベントに係る通信に使用するプロトコルをイベント提供装置にかかる通信負荷を考慮して柔軟に変更することが可能となる。さらには、管理者が利用するネットワーク機器管理アプリケーションを利用できなくなるといった事態を回避することが可能となる。
【0049】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、ネットワーク対応装置200において、イベント登録をリクエストしたユーザを特定し、イベント返信プロトコルの利用制限を行うものである。なお、第2の実施の形態におけるシステム構成は、図1に示した第1の実施の形態に係るシステム構成と全く同様である。また、図4に示した第2の実施の形態に係るイベント登録処理は、図2に示した第1の実施の形態に係るイベント登録処理と重複する部分が多く、ここでは、相違点を主として説明する。また、図4では、図2と同一の処理内容に係るステップには、同一のステップ番号を付している。
【0050】
図4において、ネットワーク対応装置200は、クライアント装置100から送信されてきたイベント登録リクエストのSubscribeメッセージを受信する(ステップS201)。この受信メッセージは、WSEモジュール15からユーザ認証/権限確認モジュール20に通知される。ここで、イベント登録をリクエストしたクライアント装置100が新規のEndPointであったものとする(ステップS204)。この場合、ユーザ認証/権限確認モジュール20は、記憶装置18に格納されている各ユーザのイベント登録権限情報のリストを取得する(ステップS401)。
【0051】
そして、ユーザ認証/権限確認モジュール20は、各ユーザのイベント登録権限情報のリストに基づいて、イベント登録リクエストに係るSubscribeメッセージを送信したユーザについて、ユーザ認証を行う。また、当該ユーザのイベント登録権限を判別する(ステップS402)。この場合、ユーザ認証/権限確認モジュール20は、イベント登録要求に係るSubscribeメッセージに添付されたユーザ証明書を用いて、チャレンジ・レスポンス方式等によって、ユーザ認証処理を行い、イベント登録権限の有無を判別する。
【0052】
なお、イベント登録権限の有無の判別処理は、ユーザを認証できたことを条件として行われる。また、ユーザ認証/権限確認処理は、ユーザの権限情報を管理するユーザ権限管理サーバ等に問い合わせることにより、又はネットワークを経由して入手可能なルート証明機関の証明書を用いて行う。
【0053】
さらに、イベント登録権限の有無だけでなく、クライアント装置100に対してNotifyを行う際のイベント返信(通知)用プロトコルが許可されたプロトコルであるか否かの確認処理を行うことも可能である。
【0054】
ユーザを認証できない場合、当該ユーザにイベント登録権限が無い場合、或いはNotifyを行う際のイベント返信用プロトコルが許可されたプロトコルでない場合は、イベント制御モジュール14は、イベント登録要求を行ったクライアント装置100にイベント登録の失敗を通知する(ステップS403)。この通知を受けて、クライアント装置100は、イベント登録処理を終了する。
【0055】
図5は、ユーザ毎のイベント送信で利用可能なプロトコル情報を例示した図である。図5に示したように、ユーザ名501と対応付けて、当該ユーザがイベント返信時に使用可能なプロトコル名が登録されている。このプロトコル情報は、記憶装置18に予め記憶されている。
【0056】
イベント登録権限があり、Notifyを行う際のイベント返信用プロトコルが許可されたプロトコルである場合、権限確認により権限がある場合は、続いて、リクエストプロトコルでの新規イベント登録が可能か判定を行う(ステップS205)。
【0057】
以上の処理により、ユーザ毎にイベント返信で利用可能なプロトコルを制限することが可能となる。
【0058】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、イベント登録処理を行うに当たり、ネットワーク対応装置200でのイベント返信時の通信負荷が高くなる場合は、一般ユーザのイベント返信プロトコルを変更するものである。
【0059】
なお、第3の実施の形態におけるシステム構成は、図1に示した第1の実施の形態に係るシステム構成と全く同様である。また、図6に示した第3の実施の形態に係るイベント登録処理は、図2、図4に示した第1,第2の実施の形態に係るイベント登録処理と重複する部分が多く、ここでは、相違点を主として説明する。また、図6では、図2,図4と同一の処理内容に係るステップには、同一のステップ番号を付している。
【0060】
図6において、イベント登録処理を行う際のステップS201〜S215の処理は、第1の実施の形態と同様なので、その説明を省略する。
【0061】
今、例えば多数のクライアント装置100からのイベント登録要求が同時間帯に集中してイベント返信時の通信負荷が急増する可能性がある等のプロトコル変更要因が発生したものとする(ステップS601)。このようなプロトコル変更要因が発生した場合、イベント制御モジュール14は、イベント返信用プロトコルを変更する必要があるか否かを判別する(ステップS602)。
【0062】
この判別基準は、次のようにして決定することができる。ネットワーク対応装置200において、例えば、イベント送信時の通信負荷のCPU負荷に対する割合、TCPのEndPointの最大許容登録数等、イベント送信時の通信処理負荷の閾値を予め決めておく。そして、この閾値を越えた場合に、負荷が比較的大きなTCPプロトコルから負荷が比較的小さなUDPプロトコルに変更する等の方法が考えられる。
【0063】
イベント制御モジュール14は、イベント返信用プロトコルを変更する必要がない場合は、終了する。一方、イベント返信用プロトコルを変更する必要がある場合は、イベント制御モジュール14は、変更後の登録可能なプロトコルをクライアント装置100に通知する(ステップS603)。尚、図5のテーブルにおいて、ユーザ毎に優先度を対応付けて管理することにより、優先度のより低いユーザのクライアント装置に対してのみ、変更要求を通知するようにしてもよい。
【0064】
クライアント装置100は、登録可能なプロトコルの通知を受信し(ステップS604)、登録可能なプロトコルをイベント返信用プロトコルとして指定するSubscribeメッセージにより、イベントの登録要求を再度行う(ステップS605,S201)。
【0065】
なお、本発明は、第1〜第3の実施の形態に限定されることはない。例えば、第1〜第3の実施の形態では、通信負荷が大きくなったために、イベント送信用プロトコルをTCPからUDPに変更する場合を想定している。しかし、TCPに対するEndPointが許容限度まで登録されている状態で、管理者権限のユーザがTCPでイベント登録要求を行った場合は、一般ユーザのイベント送信用プロトコルをTCPからUDPに変更することも可能である。
【0066】
また、クライアント装置100によるイベント登録要求、及びネットワーク対応装置200によるイベント通知(返信)を行う際には、WS−Eventingで定義されるプロトコルを採用しているが、他のプロトコルを利用することも可能である。
【0067】
さらに、通信媒体としては、第1〜第3の実施の形態で使用したEthernet(登録商標)以外の例えばローカルI/O、ネットワーク等を使用することも可能である。さらに、プリンタ以外のスキャナ、ストレージ装置等のネットワーク対応の装置をイベント提供装置として機能させることも可能である。
【0068】
また、上述した実施例においては、ネットワーク対応装置200がユーザの権限を確認するためのメモリ上に保持するデータにアクセスする形態を示した。ただし、ユーザ権限に限らず、事前設定されているデータベースアクセスや、アプリケーション、ユーティリティソフトウエアの保持するデータのアクセスに対しても適用可能である。また、これらのデータがネットワーク対応装置200上に保持されている場合、あるいは第3のサーバ上に保持されている場合にも適用可能である。
【0069】
この実施の形態に記載されているプロトコル、バージョン、アドレス、その他の数値等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0070】
また、本発明の目的は、前述した各実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによって達成してもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0071】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した各実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0072】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0073】
また、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0074】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その拡張機能を拡張ボードや拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した各実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1〜第3の実施の形態に係るイベント提供装置(デバイス)を含む通信システムのシステム構成図である。
【図2】第1の実施の形態におけるイベント登録処理を示すフローチャートである。
【図3】Subscribeメッセージ例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態におけるイベント登録処理を示すフローチャートである。
【図5】ユーザ毎のイベント通知で利用可能なプロトコルを例示した図である。
【図6】第3の実施の形態におけるイベント登録処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1,11…TCP/UDP/IPプロトコル
3,13…SOAPプロセッサ
4,14…イベント制御モジュール
5,15…WSEモジュール
18…記憶装置
20…ユーザ認証/権限確認モジュール
100…クライアント装置
200…ネットワーク対応装置(イベント提供装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上の情報処理装置から送信されるイベント登録要求を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したイベント登録要求に基づいて、発生したイベントを前記情報処理装置に通知する通知手段と、
イベントの通知に対する通信負荷に係る閾値を記憶する記憶手段と、
前記受信手段がイベント登録要求を受信した場合、イベントの通知に対する通信負荷が前記閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記イベント登録要求に対するイベントの通知の為に使用するプロトコルを決定する決定手段と、
を有することを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記イベント登録要求は、該イベント登録要求に対するイベントの通知の為に使用するプロトコルの識別情報を含み、前記決定手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて、該イベント登録要求において要求されているプロトコルを変更することを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記決定手段は、前記判定手段によってイベントの通知に対する通信負荷が前記閾値を超えると判定された場合、前記受信手段で受信したイベント登録要求において要求されているプロトコルを変更することを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記決定手段は、前記受信手段で受信したイベント登録要求において要求されているプロトコルを変更するに先立って、該イベント登録要求を送信した情報処理装置に変更後のプロトコルを通知し、当該変更後のプロトコルでイベント登録要求が再送された場合にプロトコルを変更することを特徴とする請求項2又は3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記決定手段は、管理者としての権限を有するユーザ又は情報処理装置からイベント登録要求が送信されてきた際にプロトコルを変更する場合は、管理者以外のユーザ又はクライアント装置に係るプロトコルを変更することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のデバイス。
【請求項6】
前記イベント登録要求を送信したユーザ又は前記情報処理装置が前記デバイスにイベント登録を行う権限を有するか否かを判定する第2の判定手段を有することを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記決定手段は、プロトコルを変更する場合は、通信負荷が小さいプロトコルに変更することを特徴とする請求項2〜6の何れかに記載のデバイス。
【請求項8】
ネットワーク上の情報処理装置から送信されるイベント登録要求を受信する受信工程と、
前記受信工程で受信したイベント登録要求に基づいて、発生したイベントを前記情報処理装置に通知する通知工程と、
イベントの通知に対する通信負荷に係る閾値を記憶する記憶工程と、
前記受信工程がイベント登録要求を受信した場合、イベントの通知に対する通信負荷が前記閾値を超えるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定結果に基づいて、前記イベント登録要求に対するイベントの通知の為に使用するプロトコルを決定する決定工程と、
を有することを特徴とするデバイスの制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の制御方法を実行するプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−293503(P2007−293503A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119257(P2006−119257)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】