説明

デヒドロアビエチン酸誘導体及びその製造方法、並びに12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法

【課題】植物由来の化合物に由来する主骨格を有する重合体を形成可能な12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法、並びにこれに用いられるデヒドロアビエチン酸誘導体を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体を酸化及び脱炭酸することで12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体を製造する。


(一般式(I)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デヒドロアビエチン酸誘導体及びその製造方法、並びに12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、資源の脱石油化が検討され、様々な天然資源が注目されている。プラスチックの分野でも脱石油化が図られ、グルコースの発酵により得られる乳酸を原料としたポリ乳酸が包装材料等に用いられている。ポリ乳酸は透明性に優れるが、耐熱性が低いため、射出成型等による成型品への適用は高温に曝されない限定的用途に留まっている。
【0003】
ところで、天然物(好ましくは植物)由来の成分として、松脂等から採取できるロジンがある。このロジンは種々のカルボン酸から構成されるが、そのカルボン酸のうちアビエチン酸を高分子材料に利用することが知られている。例えば、アビエチン酸をフェノール樹脂又はエポキシ樹脂の末端部に修飾することにより、ロジン変性フェノール樹脂及びロジン変性エポキシ酸樹脂として塗料等の結合剤とすることが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−274150号公報
【特許文献2】特開平6−87946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1又は2に記載の樹脂は、フェノール樹脂又はエポキシ樹脂を主骨格としているため、石油依存の原料であり、地球環境保護の観点に至っていない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、植物由来の化合物に由来する主骨格を有する重合体を形成可能な12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法、並びにこれに用いられるデヒドロアビエチン酸誘導体及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体。
【0008】
【化1】

【0009】
(一般式(I)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す)
【0010】
<2> 前記一般式(I)において、Rは水素原子、炭素数6〜15のアリール基又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示し、Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又は炭素数2〜5のアシルオキシメチレン基を示す、前記<1>に記載のデヒドロアビエチン酸誘導体。
【0011】
<3> 前記一般式(I)において、Rは水素原子、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又は炭素数2〜4のアシルオキシメチレン基を示す、前記<1>に記載のデヒドロアビエチン酸誘導体。
【0012】
<4> 下記一般式(I)で表わされるデヒドロアビエチン酸誘導体を酸化及び脱炭酸する工程を含む、下記一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法。
【0013】
【化2】

【0014】
(一般式(I)及び一般式(II)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す)
【0015】
<5> 下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物とを反応させる工程を含む、下記一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法。
【0016】
【化3】

【0017】
(一般式(I)、一般式(III)及び一般式(IV)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す。Yは水素原子又は脱離基を示す)
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、植物由来の化合物に由来する主骨格を有する重合体を形成可能な12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法、並びにこれに用いられるデヒドロアビエチン酸誘導体及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施例にかかる例示化合物(A−1)のH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【図2】本実施例にかかる例示化合物(A−8)のH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【図3】本実施例にかかる例示化合物(A−6)のH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【図4】本実施例にかかる例示化合物(B−1)のH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【図5】本実施例にかかる12−カルボキシデヒドロアビエチン酸のH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【図6】本実施例にかかる12−カルボキシデヒドロアビエチン酸メチルエステルのH−NMRスペクトルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0021】
本発明のデヒドロアビエチン酸誘導体は、下記一般式(I)で表されることを特徴とする。
かかる特定構造の置換基を有することで、酸化及び脱炭酸という簡便な工程で、植物由来の化合物に由来する主骨格を有する重合体を形成可能な12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体を、高純度に且つ優れた収率で製造することができる。
【0022】
さらに一般式(I)で表される化合物のうち、Xがヒドロキシメチレン基である化合物は乳酸様の部分構造を有している。従って例えば、特許423704号公報等に記載されているように、単独重合または乳酸等との共重合によりポリ乳酸様の重合体を形成することができる。
また一般式(I)で表される化合物のうち、Xがカルボニル基である化合物は、α,β−ジケトン構造を有している。従ってα,β−ジケトン構造を利用して簡便にヘテロ環形成することが可能である。例えば、国際公開2008/33999号パンフレット等の記載に準じて、デヒドロアビエチン酸骨格にヘテロ環を導入することができる。
【0023】
【化4】

【0024】
一般式(I)中、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す。
【0025】
におけるアリール基としては、炭素数6〜15のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましい。アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基等を挙げることができる。中でも、フェニル基又はビフェニル基あることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
における炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、デシル基及び2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でも炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることがより好ましい。
【0026】
におけるアリール基及びアルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアミド基などを挙げることができる。
またRにおける置換基は、一般式(I)で表される化合物に由来する基、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基及び酸素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成される置換基であってもよい。ここで、一般式(I)で表される化合物に由来する基とは一般式(I)で表される化合物から水素原子を1個取り除いて構成される基であり、水素原子が取り除かれる位置は特に制限されない。
尚、Rにおけるアルキル基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0027】
における炭素数1〜10のアルキル基は、Rにおける炭素数1〜10のアルキル基と同義である。中でも炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
【0028】
Xは、カルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を表す。これらの2価の基は、Xに結合しているカルボキシル基又はエステル基と共に、酸化及び脱炭酸反応によりカルボキシル基に変換可能な官能基(以下、「特定官能基」ともいう)を構成するものである。一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン誘導体が、12位に特定官能基を有することで、一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン誘導体から簡便に且つ効率よく12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体を製造することができる。
特定官能基を有する一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体は、具体的には下記一般式(A)又は一般式(B)で表される。
【0029】
【化5】

【0030】
式中、R及びRは一般式(I)におけるR及びRとそれぞれ同義である。Rは水素原子又はアシル基を表す。
におけるアシル基の炭素数は特に制限されない。例えば炭素数1〜30とすることができ、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜4であることがより好ましく、炭素数1〜3であることが更に好ましい。
またアシル基は、飽和脂肪族アシル基、不飽和脂肪族アシル基及び芳香族アシル基のいずれであってもよい。中でも炭素数1〜6の飽和脂肪族アシル基又は炭素数3〜8の不飽和脂肪族アシル基であることが好ましく、炭素数1〜4の飽和脂肪族アシル基又は炭素数3〜4の不飽和脂肪族アシル基であることがより好ましく、炭素数1〜3の飽和脂肪族アシル基又は炭素数3の不飽和脂肪族アシル基であることが更に好ましい。
【0031】
で表されるアシル基の具体例としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、(メタ)アクリル基、クロトノイル基、ベンゾイル基及びシンナモイル基等を挙げることができる。
中でも、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基及び(メタ)アクリル基からなる群より選ばれるアシル基であることが好ましい。
特にアシル基が(メタ)アクリル基等の不飽和脂肪族アシル基である場合には、デヒドロアビエチン酸骨格を有するアクリル系重合体の形成に好適に適用することができる。
【0032】
以下に、一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体の具体例を示すが本発明はこれらに限定されない。
【0033】
【化6】



【0034】
【化7】



【0035】
<デヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法>
一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体は、デヒドロアビエチン酸又はそのエステル誘導体から製造することができる。またデヒドロアビエチン酸は、ロジンから調製することができる。
ロジンは松脂から採取される樹脂成分であり、採取の方法により、代表的なものとして「ガムロジン」、「トールロジン」及び「ウッドロジン」の3種がある。ロジンに含まれる構成成分は、これら採取の方法、松の産地等により異なるが、一般的には、以下にその構造を示す、アビエチン酸(1)、ネオアビエチン酸(2)、パラストリン酸(3)、レボピマール酸(4)、デヒドロアビエチン酸(5)、ピマール酸(6)、イソピマール酸(7)等のジテルペン系樹脂酸の混合物である。
【0036】
【化8】

【0037】
これらのジテルペン系樹脂酸のうち、(1)から(4)で表される各化合物は、例えばアパタイト系等の触媒存在下、加熱処理することにより不均化を起こし、デヒドロアビエチン酸(5)と下記構造のジヒドロアビエチン酸(8)に変性することができる。変性は例えば、特開2002−284732号公報等を参考に行うことができる。
【0038】
【化9】

【0039】
一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体は、下記一般式(III)で表される化合物(デヒドロアビエチン酸及びそのエステル誘導体)と下記一般式(IV)で表される化合物とを反応させる工程を含み、必要に応じてその他の工程を含む製造方法によって製造することができる。
かかる製造方法であることで、一般式(III)で表される化合物に対して、優れた収率で且つ位置選択的に特定官能基を導入することができる。
【0040】
【化10】

【0041】
一般式(I)、一般式(III)及び一般式(IV)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す。またYは水素原子又は脱離基を示す。
、R及びXの詳細は既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
Yにおける脱離基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニルオキシ基、並びにアルキル及びアリールアミノスルホニルオキシ基等を挙げることができる。中でも、Yにおける脱離基としては、反応性と生産性の観点から、ハロゲン原子であることが好ましい。
【0042】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物とを反応させる工程は、いわゆる芳香族求電子置換反応である。芳香族求電子置換反応の反応条件には特に制限はなく、一般式(IV)で表される化合物の構造等に応じて、通常用いられる反応条件から、適宜選択することができる。例えば、酸性条件下で、一般式(III)で表される化合物と一般式(IV)で表される化合物と混合する方法等を挙げることができる。
【0043】
より具体的には、一般式(I)で表される化合物のうち、一般式(A)で表される化合物は、例えば以下のような合成経路で合成することができる。
以下の一般式中、R及びRは、一般式(I)におけるR及びRとそれぞれ同義である。またRとこれが結合するカルボニル基から構成されるアシル基は、一般式(A)のRにおけるアシル基と同義である。
【0044】
【化11】

【0045】
一般式(III)で表される化合物において、Rが水素原子である化合物はデヒドロアビエチン酸自体である。またRが水素原子以外である化合物は、デヒドロアビエチン酸及びRに対応するアルコールから、通常用いられるエステル化方法によって製造することができる。
【0046】
一般式(III)で表される化合物に、一般式(V)で表されるカルボン酸の存在下に、一般式(IVa)で表されるグリオキシル酸誘導体を反応させることで、一般式(A1)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体を製造することができる。反応条件は、通常の芳香族求電子置換反応に適用される反応条件から適宜選択することができる。例えば、一般式(V)で表わされるカルボン酸を溶媒として、濃硫酸等の強酸の存在下に反応を行なうことができる。
尚、一般式(A1)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体は、一般式(A)においてRがアシル基であるデヒドロアビエチン酸誘導体に相当する。
【0047】
一般式(III)で表される化合物に、一般式(IVa)で表されるグリオキシル酸誘導体を反応させる工程において、一般式(III)で表される化合物に対する、一般式(IVa)で表されるグリオキシル酸誘導体の使用量は特に制限されない。例えば1当量以上とすることができ、1当量以上5当量以下であることが好ましい。
【0048】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IVa)で表されるグリオキシル酸誘導体とを反応させる工程においては、触媒を用いてもよい。触媒としては例えば、塩化鉄及び塩化亜鉛等を挙げることができる。
また触媒の使用量は特に制限されない。例えば一般式(III)で表される化合物に対して0.01当量以上とすることができ、0.01当量以上3当量以下であることが好ましい。
【0049】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IVa)で表されるグリオキシル酸誘導体とを反応させる工程においては、溶媒を用いてもよい。溶媒としては一般式(V)で表されるカルボン酸の他、酢酸エチル等のカルボン酸エステル、塩化メチレン及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。
反応に溶媒を用いる場合、溶媒の使用量は特に制限されない。例えば一般式(III)で表される化合物に対して50質量%以上とすることができ、50質量%以上2000質量%以下であることが好ましい。
また反応温度は特に制限されず、例えば、−20〜100℃とすることができ、0〜80℃であることが好ましい。
【0050】
一般式(A2)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体は、一般式(A1)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体を、エステル加水分解反応に付する製造することができる。エステル加水分解反応の反応条件は所望の化合物が得られる限り特に制限されず、通常用いられるエステル加水分解反応の反応条件から適宜選択することができる。例えば、アルカリ性水溶液を用いた一般的な加水分解反応条件等を挙げることができる。
尚、一般式(A2)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体、一般式(A)においてRが水素原子であるデヒドロアビエチン酸誘導体に相当する。
【0051】
一般式(A1)で表される化合物を加水分解する工程においては、溶媒を用いてもよい。溶媒としては特に制限されず、一般式(A1)で表される化合物の溶解性等に応じて適宜選択することができる。具体的には、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
また反応温度は特に制限されず、例えば、10〜200℃とすることができ、20〜150℃であることが好ましい。
【0052】
また一般式(I)で表される化合物のうち、一般式(B)で表される化合物は、例えば以下のような合成経路で合成することができる。
以下の一般式中、R及びRは、一般式(I)におけるR及びRとそれぞれ同義である。またLGは脱離基を表し、一般式(IV)のYにおける脱離基と同義である。
【0053】
【化12】

【0054】
一般式(III)で表される化合物に、一般式(IVb)で表されるオキサリル酸誘導体を反応させることで、一般式(B)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体を製造することができる。反応条件は、通常の芳香族求電子置換反応に適用される反応条件から適宜選択することができる。例えば、一般的なフリーデルクラフツ型の反応条件を選択することができる。
【0055】
一般式(III)で表される化合物に、一般式(IVb)で表されるオキサリル酸誘導体を反応させる工程において、一般式(III)で表される化合物に対する、一般式(IVb)で表されるオキサリル酸誘導体の使用量は特に制限されない。例えば1当量以上とすることができ、1当量以上3当量以下であることが好ましい。
【0056】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IVb)で表されオキサリル酸誘導体とを反応させる工程においては、触媒を用いてもよい。触媒としては例えば、塩化鉄及び塩化亜鉛等を挙げることができる。
また触媒の使用量は特に制限されない。例えば一般式(III)で表される化合物に対して0.01当量以上とすることができ、0.01当量以上3当量以下であることが好ましい。
【0057】
一般式(III)で表される化合物と一般式(IVb)で表されるオキサリル酸誘導体とを反応させる工程においては、溶媒を用いてもよい。溶媒としては所望の化合物が得られる限り特に制限されない。例えば、塩化メチレン及びクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。
反応に溶媒を用いる場合、溶媒の使用量は特に制限されない。例えば一般式(III)で表される化合物に対して50質量%以上とすることができ、50質量%以上2000質量%以下であることが好ましい。
また反応温度は特に制限されず、例えば、−20〜100℃とすることができ、−10〜50℃であることが好ましい。
【0058】
本発明の一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法は、生成物の単離工程をさらに含むことが好ましい。
単離工程としては所望の生成物が得られる限り特に制限されず、通常用いられる単離方法から適宜選択して適用することができる。例えば、反応中に析出した生成物の結晶を単純に濾取する方法;反応後、反応液に氷水を注いで析出した生成物を濾取する方法;反応液に氷水を注いだ後、水層を分離し、さらに洗液がほぼ中性になるまで水洗した後、有機層の溶媒を減圧留去して生成物を得る方法等を挙げることができる。
得られた生成物はさらに精製工程に付してもよい。生成物の精製方法としては特に制限されない。例えば、再結晶、再沈殿、カラムクロマト等の通常用いられる精製方法から適宜選択することができる。
【0059】
<12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法>
本発明の下記一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法は、下記一般式(I)で表わされるデヒドロアビエチン酸誘導体を酸化及び脱炭酸する工程を含み、必要に応じてその他の工程を含んで構成される。一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体を出発物質とすることで、簡便に且つ優れた収率で、一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体を製造することができる。
【0060】
【化13】

【0061】
一般式(I)及び一般式(II)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す。
、R及びXの詳細は既述の通りであり、好ましい態様も同様である。
【0062】
一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体は、酸化工程及び脱炭酸工程を経ることで、一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体に変換される。
酸化工程及び脱炭酸工程は、1つの工程として適用してもよく、またそれぞれ独立した工程として順次適用してもよい。
【0063】
酸化工程及び脱炭酸工程を1つの工程として適用する場合、その反応条件としては、例えば、アルカリ条件下に過酸化水素で処理する方法、弱酸性条件下にタングステン酸ナトリウム触媒存在下にて過酸化水素で処理する方法、弱酸性条件下に次亜塩素酸/亜塩素酸で処理する方法、貴金属触媒存在下にて過ヨウ素酸で処理する方法等を挙げることができる。
【0064】
また酸化工程及び脱炭酸工程を別々独立した工程として適用する場合、その適用順は一般式(I)におけるXの種類等に応じて適宜選択することができる。
酸化工程における反応条件としては、特に制限されず通常用いられる酸化反応条件から適宜選択することができる。例えば、過酸化水素等の過酸化物を用いる方法や次亜塩素酸等を用いる方法などを挙げることができる。
脱炭酸工程における反応条件としては、特に制限されず通常用いられる脱炭酸反応条件から適宜選択することができる。例えば、酸性条件下で処理する方法や光照射する方法等を挙げること挙げることができる。
【0065】
一般式(I)で表される化合物が一般式(B)で表される場合、酸化工程及び脱炭酸工程に供される一般式(B)で表される化合物におけるR及びRは特に制限されない。中でも反応効率の観点から、Rが水素原子であることが好ましい。
が水素原子である一般式(B)で表される化合物は、酸化工程及び脱炭酸工程に供する前に予めRが水素原子以外である一般式(B)で表される化合物からエステル加水分解反応等により調製してもよい。またRが水素原子以外である一般式(B)で表される化合物におけるRを水素原子に変換する工程と、酸化工程及び脱炭酸工程とを連続的に行なってもよい。
【0066】
また一般式(I)で表される化合物が一般式(A)で表される場合、酸化工程及び脱炭酸工程に供される一般式(A)で表される化合物におけるR、R及びRは特に制限されない。
例えば、Rが水素原子である一般式(A)で表される化合物は、酸化工程及び脱炭酸工程に供する前に予めRがアシル基である一般式(A)で表される化合物からエステル加水分解反応等により、調製することができる。またRがアシル基である一般式(A)で表される化合物におけるRを水素原子に変換する工程と、酸化工程及び脱炭酸工程とを連続的に行ってもよい。
【0067】
一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体は、植物由来の骨格を有するジカルボン酸化合物である。一般にジカルボン酸化合物は、ポリエステル重合体、ポリアミド重合体及びポリウレタン重合体の構成要素の一部として用いることができる。従って一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体は、植物由来の骨格を主鎖に有するポリエステル重合体、ポリアミド重合体及びポリウレタン重合体の製造に用いることができる。
具体的には例えば、国際公開2010/150847号明細書等に記載されたポリエステル重合体の製造に好適に適用することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0069】
<実施例1>
例示化合物(A-1)の合成
下記合成経路によって例示化合物(A−1)を合成した。
【0070】
【化14】

【0071】
92%デヒドロアビエチン酸(以下、「DHA」ともいう;荒川化学工業社製)1.00Kgと塩化メチレン2Lの混合物に、塩化オキサリル0.45Kgを室温で滴下した。5時間撹拌した後、溶媒を減圧留去し、そこにメタノール0.55Kgを滴下した。室温で5時間撹拌後、過剰のメタノールを減圧留去し、デヒドロアビエチン酸メチルエステル(DHA−Me)の白色結晶1.10Kgを得た。
【0072】
15℃に冷却した氷酢酸1.5Lに濃硫酸500mlを系内の温度を25℃以下に保ちつつ、ゆっくりと滴下した。上記で得られたDHA−Me314g及びグリオキシル酸水和物136gを加えて、40℃にて4時間30分攪拌した後、系内を10℃まで冷却した。系内の溶液を氷冷した水を攪拌しながら添加し、析出した結晶を濾取することで、白色結晶として例示化合物(A−1)500gを得た。
得られた例示化合物(A−1)のH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl)の一例を図1に示す。
【0073】
<実施例2>
例示化合物(A−8)の合成
下記合成経路によって例示化合物(A−8)を合成した。
【0074】
【化15】

【0075】
実施例1で合成した例示化合物(A−1)117.7gのテトラヒドロフラン500mL溶液に、50wt/v%の水酸化ナトリウム水溶液60mLを滴下した。そのまま室温まで昇温し、一晩放置した。酢酸エチル500mL、氷水200mLを加えて濃塩酸にて中和し、分液、水洗浄を行い、有機層を減圧留去することで、白色結晶が析出した。ヘキサンにて分散洗いを行った後、乾燥することで、例示化合物(A−8)の白色結晶95.2gを得た。
例示化合物(A−8)のH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl)一例を図2に示す。
【0076】
<実施例3>
例示化合物(A−6)の合成
下記合成経路によって例示化合物(A−6)を合成した。
【0077】
【化16】

【0078】
5℃に冷却したアクリル酸150mLに濃硫酸50mLを系内の温度を15℃以下に保ちつつ、ゆっくりと滴下した。DHA−Me31.4g及びグリオキシル酸水和物13.6gを加えて、40℃にて5時間攪拌した後、系内を10℃まで冷却した。系内の溶液を氷冷した水を攪拌しながら添加し、酢酸エチル500mLにて抽出した。抽出液を重曹水、水の順に洗浄した後、溶媒を留去した。得られた油状物をヘキサン/酢酸エチル混合溶媒にてカラムクロマトにて精製することで、例示化合物(A−6)の油状物32.2gを得た。
例示化合物(A−6)のH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl)の一例を図3に示す。
【0079】
<実施例4>
例示化合物(B−1)の合成
下記合成経路によって例示化合物(B−1)を合成した。
【0080】
【化17】

【0081】
DHA−Me314gのクロロベンゼン溶液1Lにエチルオキサリルクロライド163.8gを加えた。系内の温度を5℃まで冷却し、塩化アルミニウム(III)333.4gを系内の温度を10℃程度に保ちながら、3回に分けて分割添加した。そのまま2時間攪拌した後、酢酸エチル1.5Lを系内の温度を15℃以下に保ちつつ添加した。その後、水1.5L/メタノール0.2Lの混合溶液を、系内の温度を30℃以下に保ちつつ添加した。分液により下層の水相を除去した後、5mol/L塩酸水1Lにて洗浄した。続いて15%食塩水にて水相のPHが4〜7の範囲になるまで数回繰り返し洗浄を行った。有機層を濃縮して、ヘキサンにて晶析を行うことで、例示化合物(B−1)の白色結晶320gを得た。
例示化合物(B−1)のH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl)の一例を図4に示す。
【0082】
<実施例5>
例示化合物(A−18)の合成
下記合成経路によって例示化合物(A−18)を合成した。
【0083】
【化18】

【0084】
実施例1において、メタノールの代わりにn−プロピルアルコールを用いたこと以外は実施例1と同様にして、デヒドロアビエチン酸n−プロピルエステル(DHA−Pr)を得た。
得られたDHA−Prを用いたこと以外は実施例1と同様にして、例示化合物(A−18)を得た。
【0085】
<実施例6>
例示化合物(A−4)の合成
下記合成経路によって例示化合物(A−4)を合成した。
【0086】
【化19】

【0087】
実施例1において、氷酢酸の代わりにプロピオン酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして例示化合物(A−4)を得た。
【0088】
<実施例7>
例示化合物(A−13)の合成
下記合成経路によって例示化合物(A−13)を合成した。
【0089】
【化20】

【0090】
92%デヒドロアビエチン酸(荒川化学工業社製)をSongzhi Jiagong Gongyi, China Forestry Publication, Beijing, Chinese, 1998, pp. 49−51.記載の方法により精製して99%デヒドロアビエチン酸を得た。
得られた99%デヒドロアビエチン酸300g、アセトキシビフェニル135g、酢酸ナトリウム4gを窒素下、160℃にて溶融させ、1時間攪拌した。その後、生成する酢酸を留去しながら、280度まで段階的に昇温させた。TLCにて原料の消失を確認した後、室温まで冷却した。酢酸エチルを加えて溶解させた後、水にて洗浄分液し、溶媒留去した。酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒にて晶析を行うことで、DHA−Bp340gを得た。
15℃に冷却した氷酢酸300mlに濃硫酸100mlを系内の温度を25℃以下に保ちつつ、ゆっくりと滴下した。上記で得られたDHA−Bp75g及びグリオキシル酸水和物27gを加えて、40℃にて5時間攪拌した後、系内を10℃まで冷却した。系内の溶液を氷冷した水を攪拌しながら添加し、析出した結晶を濾取することで、白色結晶として例示化合物(A−13)81gを得た。
【0091】
<実施例8>
例示化合物(B−1)を用いた12―カルボキシデヒドロアビエチン酸の合成
【0092】
【化21】

【0093】
上記で得られた例示化合物(B−1)254.5g、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液536ml及びエチレングリコール216mlのスラリー溶液を内温100℃まで加熱し、5時間攪拌した。反応系はスラリー状から透明な溶液に変化した。系の温度を10℃まで冷却し、水710mlを加えた後、30%過酸化水素水88.3gを系内温度を25℃以下に保ちながら滴下した。系内はやや発泡が見られ、発泡がなくなった後さらに1時間攪拌した。亜硫酸ナトリウム19.4g水溶液200mlをゆっくりと滴下した後、よう素カリウムでん粉紙にて過酸化水素の残存が無いことを確認した。メタノール710mlを添加した後、10mol/L塩酸水にて系内を中和することで、白色結晶が析出した。結晶をヌッチェでろ取し、水をかけ洗いを行った後、乾燥させることで12−カルボキシデヒドロアビエチン酸の白色結晶210gを得た(収率99%、純度99.5%)。
得られた12−カルボキシデヒドロアビエチン酸のH−NMRスペクトル(溶媒:DMSO−d)の一例を図5に示す。
【0094】
<実施例9>
例示化合物(B−1)を用いた12―カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の合成
【0095】
【化22】

【0096】
上記で得られた例示化合物(B−1)207g、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液125ml及びテトラヒドロフラン500mlからなる溶液を内温15℃にて、5時間攪拌した。原料の消失を確認した後、系の温度を10℃まで冷却した。酢酸エチルで希釈した後、塩酸を加えて中和、水洗、分液を行った。溶媒を留去した後、4mol/L水酸化ナトリウム水溶液1Lに溶解させた。そこに30%過酸化水素水70gを系内温度を25℃以下に保ちながら滴下した。系内はやや発泡が見られ、発泡がなくなった後さらに1時間攪拌した。亜硫酸ナトリウム15g水溶液150mlをゆっくりと滴下した後、よう素カリウムでん粉紙にて過酸化水素の残存が無いことを確認した。10mol/L塩酸水にて系内を中和することで、白色結晶が析出した。析出した結晶をヌッチェでろ取し、水でかけ洗いを行った後、乾燥させることで12−カルボキシデヒドロアビエチン酸メチルエステルの白色結晶170gを得た(収率95%、純度99.0%)。
得られた12−カルボキシデヒドロアビエチン酸メチルエステルのH−NMRスペクトル(溶媒:CDCl)の一例を図6に示す。
【0097】
<実施例10>
例示化合物(A−1)を用いた12―カルボキシデヒドロアビエチン酸の合成
【0098】
【化23】

【0099】
上記で得られた例示化合物(A−1)80.3g、3.2mol/L水酸化ナトリウム水溶液320mlのスラリー溶液を内温100℃まで加熱し、5時間攪拌した。反応系はスラリー状から透明な溶液に変化した。系の温度を10℃まで冷却し水700mlを加えた後、塩酸水にて中和することで、析出した粉体をろ取し、化合物(A−1−2)64.0gを得た。
得られた(A−1−2)を、J.Am.Chem.Soc.1997,Vol.119,p12386−12387に記載の方法に準じて処理して12−カルボキシデヒドロアビエチン酸を得ることができた(収率92%、純度99.1%)。
【0100】
以上から、一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体を酸化及び脱炭酸することで、簡便に且つ優れた収率で、一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体を高純度に製造することができることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体。
【化1】


(一般式(I)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す)
【請求項2】
前記一般式(I)において、Rは水素原子、炭素数6〜15のアリール基又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示し、Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又は炭素数2〜5のアシルオキシメチレン基を示す、請求項1に記載のデヒドロアビエチン酸誘導体。
【請求項3】
前記一般式(I)において、Rは水素原子、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示し、Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又は炭素数2〜4のアシルオキシメチレン基を示す、請求項1に記載のデヒドロアビエチン酸誘導体。
【請求項4】
下記一般式(I)で表わされるデヒドロアビエチン酸誘導体を酸化及び脱炭酸する工程を含む、下記一般式(II)で表される12−カルボキシデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法。
【化2】


(一般式(I)及び一般式(II)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す)
【請求項5】
下記一般式(III)で表される化合物と下記一般式(IV)で表される化合物とを反応させる工程を含む、下記一般式(I)で表されるデヒドロアビエチン酸誘導体の製造方法。
【化3】


(一般式(I)、一般式(III)及び一般式(IV)中、Rは水素原子、アリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を示す。Xはカルボニル基、ヒドロキシメチレン基又はアシルオキシメチレン基を示す。Yは水素原子又は脱離基を示す)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−201676(P2012−201676A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71229(P2011−71229)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】