説明

デンタルフロス用糸およびデンタルフロス

【課題】良好な清拭効果および使用感をもつデンタルフロスを提供すること。
【解決手段】単糸繊度が2dtex以下で繊維横断面形状がエッジを有する異型である極細繊維マルチフィラメントからなるデンタルフロス用糸であり、複数本の加工糸を引き揃えて合撚せしめた合撚糸であることが好ましく、特に加工糸は仮撚加工糸であることが好ましい。また、極細繊維マルチフィラメントは繊維横断面形状が放射形セグメントAと放射形セグメントを補完する補完形セグメントBからなるものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンタルフロス用糸およびデンタルフロスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯と歯の間はプラーク(歯垢)がつきやすく虫歯や歯周病になりやすい部位である。プラークは、水分と有機質でできており、有機質の大半は細菌(口腔常在菌)とその代謝物であり、口腔内の衛生状態によって細菌が変化し、口臭や歯周疾患の原因となる。
一般的に歯の衛生状態を良好に保つにはまず歯磨きが有効であるが、歯と歯の隙間には歯ブラシが届きにくく、プラークをより効果的に落とすには、デンタルフロスの使用が有効である。
【0003】
このようなデンタルフロスとして、通常、丸断面のナイロン繊維を束ねたものや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)モノフィラメントヤーンを用いたテープ状のものなどが多く用いられている。前者のものは糸が太いために歯間へ挿入しづらく、また歯の隙間の細い所まで届かず、プラークの清拭が十分にできない。後者では、歯間へは挿入しやすいが、歯の微妙な凹凸にフィットしにくく、これも歯間のプラークの清拭が十分でない。
【0004】
また、特許文献1は、プラークの除去効率を上げるために、太さ1〜50μmのフィラメント50〜5000本よりなり、これらのフィラメントを3〜30mm間隔で熱融着などにより結束させたデンタルフロスが記載されている。
【特許文献1】特開平8-117252号公報
【0005】
また、特許文献2には、ナイロンフィラメントにテクスチャー加工を施し、加工された糸の特性を利用して多数の糸に化学療法製剤を含ませたデンタルフロスが記載されている。
【特許文献2】特許第3675822号公報
【0006】
また、特許文献3には、極細繊維糸とそれに添って配した糸を芯にして周囲に巻糸を巻いた撚糸からなる織編物をデンタルフロスに利用することが記載されている。
【特許文献3】特開2005−240190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は、フィラメントの結束方法として熱融着や溶解融着、接着剤接着の方法を取らなければならないが、それらの方法では結束部分が硬化し、デンタルフロスの歯間への挿入時に、使用者にとって違和感が大きい。またこのものはフロッシングする場合に、歯や歯茎へのあたりが一定でないため、清拭効果も、使用感も悪い。
【0008】
また特許文献2は、通常の丸断面のナイロンフィラメントを用いており、日常のフロッシングに用いると、挿入時に歯間へのあたりが強く、また歯と歯や歯茎の隙間の細い所まで届かず、使用者にとってプラークがとれているという満足感がなく、使用感に劣ったものである。
【0009】
また特許文献3では、極細繊維糸とそれに添って配した糸を芯にして周囲に巻糸を巻いた撚糸から作成した織編物を用途の一つとしてデンタルフロスに利用することが記載されているが、具体的に想定したものではなく、太い糸を芯の一部にしてその周りに糸をコイ
ル状に巻いた糸をさらに織編物にしたデンタルフロスではその周径が太いものとなり、歯間に挿入できず、デンタルフロスとしては不適である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来と比べて、清拭感や清拭効果が良好なデンタルフロス用糸およびデンタルフロスを提供することである。また別の目的は、フロッシングの際、歯や歯茎へのあたりが柔らかく良好な使用感をもつデンタルフロス用糸およびデンタルフロスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するために、単糸繊度が2dtex以下で繊維横断面形状がエッジを有する異型である極細繊維マルチフィラメントからなるデンタルフロス用糸をその要旨とする。
なかでも、複数本の加工糸を引き揃えて合撚せしめた合撚糸からなるデンタルフロス用糸が好ましく、加工糸は仮撚加工糸が好ましい。
また、上記極細繊維マルチフィラメントは公定水分率の異なる少なくとも二種以上の繊維形成性ポリマーからなる複合繊維マルチフィラメントを応力で割繊せしめた割繊糸であることが好ましい。
そして、この複合繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状は放射形セグメントとこの放射形セグメントを補完する補完形セグメントであるものがより好ましく、放射形セグメントおよび補完形セグメントは、いずれか一方がポリアミドと他方がポリエステルからなるものがさらに好ましい。
上記合撚糸は、割繊糸を複数本引き揃え、撚り数20〜200T/mで合撚せしめたものであることが好ましい。
また本発明はこれらのデンタルフロス用糸を用いて糸束、編物または織物とせしめてデンタルフロスとして用いられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の、単糸繊度が2dtex以下で繊維横断面形状がエッジを有する異型である極細繊維マルチフィラメントからなるデンタルフロス用糸によれば、従来のものより清拭効果に優れ、清拭感の良好なデンタルフロスを得ることができる。
【0013】
また複数本の加工糸を引き揃えて合撚せしめた合撚糸からなるデンタルフロス用糸であれば、歯や歯茎へのあたりがソフトであり、一定間隔で融着して糸を結束するものと比べて、フロッシングの際、違和感がなく、使用感が良好である。この加工糸が仮撚加工糸であれば、歯や歯茎へのあたりがソフトであり、より使用感が優れたものとなる。
【0014】
また、上記極細繊維マルチフィラメントが公定水分率の異なる少なくとも二種以上の繊維形成性ポリマーからなる複合繊維マルチフィラメントを応力で割繊せしめた割繊糸であると、フロッシングの際、歯と歯の間にデンタルフロスを挿入すると、水分を含み、構成する繊維は糸長差ができ、繊維と繊維の間隔が保たれやすく、掻き取ったプラークを繊維間に保持しやすい。このため、一旦、掻き取ったプラークは歯や歯茎に再付着しにくくなり、清拭感がより優れたものとなる。
また、応力割繊せしめたものであると、上記のような単糸が細い糸であるにも拘わらず、織編等の工程を経ずとも、デンタルフロスとして用いることが可能となるので、安価に提供できるだけでなく、製造工程中の余分な成分が付着することを抑制できるので、口腔内に用いるのに好適なものとなる。
【0015】
そして、この複合繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状が放射形セグメントとこの放射形セグメントを補完する補完形セグメントであれば、セグメントのエッジが歯の凹凸にフィットしやすく、プラークをより確実に補足できる。この横断面形状であれば、掻き
取ったプラークを放射状セグメントの間隙に収納して保持しやすいので、プラークが再付着しにくく、清拭感がより優れたものを得ることができる。また合撚せしめたものであれば、エッジの部分がランダムに糸の表層に発現しやすく、良好な掻き取り効果が得られやすい。
また放射形セグメントおよび補完形セグメントは、いずれか一方がポリアミドと他方がポリエステルからなるものであれば、硬い方のポリマーであるポリエステルの部分は掻き取り効果を促進し、柔らかい方のポリマーであるポリアミドは歯や歯茎へのあたりを柔らかくするため、掻き取り効果や使用感がより好ましいものとなる。
【0016】
上記合撚糸は、割繊糸を複数本引き揃え、撚り数20〜200T/mで合撚せしめたものであれば、熱融着等による結束を一定間隔で行わずとも効率的に合撚糸からなるデンタルフロス用糸が得られ、糸の外観もまるみのあるきれいなものとなる。
【0017】
また本発明はこれらのデンタルフロス用糸を用いて糸束、編物または織物とせしめてデンタルフロスとして用いることができる。デンタルフロスとしては、糸そのものを用いると安価に提供しやすいうえ、製造工程が容易なものになるため、余計なものが付着するおそれが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のデンタルフロス用糸およびデンタルフロスについて、以下、詳しく説明する。
まず、本発明のデンタルフロスは、極細繊維マルチフィラメントからなるデンタルフロス用糸から構成される。
【0019】
本発明のデンタルフロスは、デンタルフロス用糸をそのまま用いてもよいし、デンタルフロス用糸を製編織して、編物や織物として用いてもよい。なかでも、製造工程が簡単で、製造工程中に必要な余計な成分を少なくして、口腔内用に好適に用いることができる点、安価に提供しやすい点等から、デンタルフロス用糸を、織編物とせず、そのまま糸束として、デンタルフロスに用いることが好適である。
【0020】
上記デンタルフロスの伸び率は20〜40%が好ましく、伸縮復元率は20〜40%が好ましい。なお、伸び率は、JIS L1013 8.5.1 引張強さ及び伸び率の測定方法に準じ、標準時試験の、つかみ間隔30cm、引張速度30+−3cm/minで定速緊張形の試験機により測定した伸び率である。また、伸縮復元率は、JIS L1013 8.12により測定した値である。
【0021】
上記デンタルフロス用糸を構成する糸の繊維横断面形状は、エッジを有する異型である。
なお、上記「エッジ」とは、繊維横断面の外形線が、なだらかな円弧状ではなく屈曲した角形状になっており、その角部によって形成される突出部位をいう。そして、上記角部の角度は、鈍角であっても差し支えないが、鋭角のほうがより優れた清拭性能を発揮する。ただし、上記繊維横断面の外形線において、上記角部を有する二辺は、それぞれ、必ずしも直線である必要はなく、円弧状になっていても差し支えない。このエッジは、鈍角でも直角でも、鋭角でも構わないが、プラークの掻きとり効果を効率的に得やすい点から、直角または鋭角、特に鋭角であるものが好ましい。
また、上記エッジは、デンタルフロス用糸の表面に露出していることが好ましく、たとえば、図4に示すように、糸の表面にランダムに露出せしめたものであることが、清拭効果や清拭感の点から好ましい。
【0022】
上記デンタルフロス用糸を構成する糸の繊維横断面形状を例示する。
たとえば、図1に示すように、放射形セグメントAと、放射形セグメントAを補完する
補完形セグメントBとからなる。各セグメントA、Bには、繊維の長手方向に沿うエッジが多数形成されているため(図1においてPで示す部分、同形状の部分は省略)、プラークを効率よく掻きとり、プラークの再付着も防止されて、優れた清拭効果を得ることができる。
このような放射形セグメントAと補完形セグメントBとからなるものの場合、放射形セグメントAは、補完形セグメントBを3個以上に分割せしめているものが好ましい。なお上限は、16個程度が好ましい。特に好ましくは、4〜8個に分割せしめたものである。
【0023】
このようなデンタルフロス用糸は、複合繊維マルチフィラメントを割繊して得ることができる。たとえば、上述した放射形セグメントと補完形セグメントからなるものは、図2(a)、(b)を割繊せしめて得ることができる。
上記複合繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状の他の例としては、図2(c)〜(h)を挙げることができる。図2(g)のものは、複合繊維において外側の部分(C)を溶解除去することにより内側の成分(D:12本のセグメントからなる)のみからなる極細繊維マルチフィラメントを得ることができる。また、図2(h)のものは、易溶解成分Cを溶解除去してDの繊維形成性成分のみからなる極細繊維マルチフィラメントを得ることができる。
【0024】
上記複合繊維マルチフィラメントの割繊は、一方の成分を、溶解や分解によって除去したり、膨潤剤によって膨潤させたり、収縮剤によって収縮させたりすることによって行うことができる。また、複数成分を、摩擦や打撃によって物理的に分割する応力割繊を行うこともできる。本発明においては、応力割繊が好ましく、さらに具体的には、たとえば、叩いたり、もんだりすることによる割繊、水洗いすることによる割繊、染色工程での解燃による割繊、ギヤークリンプ,ニットデニット,仮撚等の加工を施すことによる割繊の方法等が挙げられる。なかでも、仮撚加工による割繊が好ましい。
【0025】
なお、仮撚加工により応力割繊する場合には、各セグメントの型崩れの度合いが低く繊維断面の異型度を保ちやすく、デンタルフロスの清拭効果をより一層高めることができる。また仮撚の際に、撚りを加えた状態で熱セットし、その撚りが解除されるので、フィラメントに捲縮性を与えることができる。これにより、デンタルフロスにボリュームと伸縮性を持たせることができるので、歯や歯茎へのあたりが柔らかくなり、狭い歯間への挿入が容易になり使用感に優れたものとなる。さらに複雑な工程なく、容易に得ることができるので、余分な薬剤等の使用が少なくてすむ。
【0026】
上記デンタルフロス用糸のトータル繊度は、糸そのものを糸束としてデンタルフロスとする場合、使用感や清拭効果の点から500〜1500dtexが好ましい。より好ましくは、700〜1200dtexである。編織物とする場合は、500〜1000dtexが好ましい。
【0027】
上記デンタルフロス用糸は、単糸繊度が2dtex以下の極細繊維マルチフィラメントからなる。ここで、単糸繊度とは、複合繊維マルチフィラメントを割繊したもの(割繊糸)の場合、割繊した後の各セグメントのセグメント繊度を示す。
すなわち、単糸繊度が太すぎる場合は、デンタルフロスの単位繊維表面積が小さくなり、デンタルフロス自体を太くしないと、十分な清拭性を得ることが難しく、十分な清拭効果を得ようとすれば、デンタルフロス自体が太くなってしまい、歯と歯の間への挿入に困難を伴う。そのうえ、一旦、プラ−クや食物片を掻き取っても、繊維のセグメント間に取り込むことができず、再度プラークが歯や歯茎などの口腔内に付着することになる。一方、単糸繊度が2dtex以下の極細繊維であれば、多数の細い繊維でそぎ取るようにプラ−クを掻き取り、繊維群に押し上げて捕捉していく。そして、捉えたプラ−クは繊維同士の間隙の多数の細い空間に大量に収納されて、再付着が防止され、通常のマルチフィラメ
ント使用のフロスでは得られない良好な掻き取り効果が得られる。
また、歯間への挿入時には、極細繊維の集合体であることにより、狭い歯と歯の間に入れた部分のボリュームが小さくなる。本発明は、デンタルフロスとして、バルキー性を持った外観の場合でも、歯間へのフロスの挿入が非常に容易となる。
また、外観が太いデンタルフロスの場合、歯間への挿入しやすさを得るために、通常、ワックスコーディング処理等を施すことが行われている。本発明では、外観が太いデンタルフロスの場合であっても、ワックスコーティングを施さずとも歯間へスムーズに挿入できる。なお、本発明のデンタルフロスは、もちろんワックスコーティングを施しても構わない。
【0028】
上記単糸繊度は、好ましくは、1.1dtex以下であり、より好ましくは、0.75dtex以下である。なお、細すぎる場合、フロッシングにより繊維が切れやすい点を考慮すると、下限は、それぞれのセグメントの単糸繊度は0.05dtex程度が好ましい。
【0029】
本発明のデンタルフロス用糸は、これらの極細繊維マルチフィラメントを少なくとも一部に用いること好ましく、なかでも、デンタルフロス用糸の80重量%以上、特に、略100重量%に用いることが好ましい。
【0030】
また、本発明のデンタルフロス用糸の平均単糸繊度は、良好な使用感、清拭効果を得る点から、2dtex以下が好ましい。好ましくは、1.1dtex以下、より好ましくは0.75dtex以下である。なお下限は、0.1dtexが好ましい。
【0031】
本発明のデンタルフロス用の糸に用いるポリマーの例として、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポレオレフィン等が挙げられる。応力割繊せしめる場合、ポリエステルとポリアミド、ポリプロピレンとポリアミド、ポリエチレンとポリアミドなどのポリマーの組み合わせが好ましく用いられる。
【0032】
本発明のデンタルフロス用糸は、公定水分率(20℃、65%RHの標準時の水分率)が異なる少なくとも二種以上のポリマーからなる上記複合繊維マルチフィラメントを割繊せしめたものが好ましい。このものは、デンタルフロスを口腔内に入れて歯間を清拭する際、デンタルフロスが水分を含み、その公定水分率が高いポリマーからなるセグメントがより膨潤し、公定水分率の低いポリマーからなるセグメントとの間に糸長差ができ、繊維間が広がり、その間隔が適度に保たれる。このため、単一成分からなるものに比べて、それぞれのセグメントの隙間にプラークがより入りやすくなり、またプラークが歯、歯茎へ再付着しにくくなるうえ、清拭効果や使用感に優れたものが得られる。
上記それぞれのポリマーの公定水分率の差は、2%以上が好ましく、より好ましくは3%以上である。なお上限は、5%程度が好ましい。
上記公定水分率の異なるポリマーの組み合わせの好適な例として、ポリエステルとポリアミド、ポリプロピレンとポリアミド、ポリエチレンとポリアミドなどが挙げられる。なお、通常ナイロンの公定水分率は4.5%、ポリエステルの公定水分率は0.4%、ポリエチレンやポリブチレンなどのポリオレフィンは0%である。
特に、汎用性、コスト、清拭感、使用感の点からポリエステルとポリアミドが好ましく、汎用的で安価に入手できる点からポリエチレンテレフタレートとナイロン6との組み合わせが好ましい。
【0033】
このような二種の公定水分率の異なる成分からなるものを用いることによって、単一成分からなる繊維使用のものに比べて歯や歯茎へのあたりがソフトで、それぞれのセグメントの隙間にプラークがより入りやすく、プラークが再付着しづらくなるうえ、清拭効果や
使用感にも優れたものとなる。
【0034】
また、これらのポリマーの組み合わせは、それぞれのポリマーを単糸とした場合の熱収縮率(JISL1013 8.18.1熱水収縮率(b)フィラメント収縮法(b法)による)の差が一定の範囲(たとえば2から10%)となるポリマーであることが好ましい。
【0035】
なお、特に好適に用いられる組み合わせとしては、放射形セグメントAまたは補完形セグメントBのいずれか一方がポリエステルであり、他方がポリアミドであるものである。すなわち、デンタルフロスとして用いた場合に、ポリマーの熱収縮率が大きいポリアミドが大きく収縮し、ポリエステルがそれほど収縮しないため、両者の間に隙間ができ、隙間に、掻き取られたプラークが入り込み、清拭効果が優れたものとなる。また、応力による割繊が容易になり、繊維横断面形状の型崩れの度合いが低く、セグメントのエッジの部分の形状を保ちやすく、清拭効果の高いデンタルフロスを得られる。
【0036】
なかでも、放射形セグメントがポリアミドであり、補完形セグメントがポリエステルであるとポリアミドの部分が柔らかく、放射形セグメントが歯や歯茎への当たりを柔らかくし、硬い補完形のポリエステル部分がプラークを掻き取る役割を果たすので、より一層清拭効果に優れ、清拭感や使用感に優れたものが得られる。
【0037】
本発明のデンタルフロス用糸は、歯や歯茎への当たりを柔らかくする点やプラークの掻き取りを効率的に行うことができる点から、加工糸であることが好ましい。
加工糸としては、通常、合成繊維などの熱可塑性をを利用して嵩高性を与えた糸を示し、加工法として、たとえば、加撚,熱固定,解撚法、仮撚法、擦過法、押込法、賦型法、空気噴射法、複合捲縮法などが挙げられる。本発明の加工糸としては、仮撚法で得た仮撚加工糸が好ましい。
【0038】
本発明のデンタルフロス用糸は、合撚せしめた合撚糸であることが好ましい。合撚糸は、外観がきれいで、歯への挿入が容易で、フロッシングの際、異物感なくスムーズな使用感を得やすい。
上記合撚糸の好適な例として、複数本の上記複合繊維マルチフィラメントを組み合わせて仮撚加工などを施し、応力割繊せしめた後、割繊せしめた割繊糸を、複数本引き揃えて、合撚せしめた合撚糸が挙げられる。この場合、仮撚割繊や合撚の条件を適宜設定することによって、極細繊維であるにも拘わらず、糸そのもの、すなわち糸束そのものからなるデンタルフロスとした場合でも、丸みのある外観のきれいなデンタルフロスとすることができる。
【0039】
次に、複数本の上記複合繊維マルチフィラメントを仮撚割繊した後、合撚する場合についてさらに、詳しく説明する。
その撚り方向は一方方向に仮撚りした後、複数本合わせて同方向に合撚してもよいし、一方方向に仮撚りした後、複数本合わせて反対方向に合撚してもよい。このように割繊せしめたマルチフィラメントを合撚すると、より糸に抱合性と収束性が備わり、細い糸にもかかわらず糸同士が捩れずに扱いやすい。また捲縮した繊維と繊維の間にプラークを確実に補足することができ、使用感と清拭効果に優れたデンタルフロスとなる。
【0040】
上記デンタルフロス用糸は、仮撚加工糸として撚りを加えた状態で熱セットし、その撚りが解除されることでフィラメントに捲縮性を与え、ボリュームと伸縮性を持たせる加工を施すことで、歯と歯茎へのあたりの柔らかさと狭い歯間への挿入の容易さを持ち合わせている。また撚ることで、各セグメントのエッジの部分が斜めにランダムに糸の表面に配され、歯への高い清拭効果を発現する。なお、図4は、本発明のデンタルフロス用糸の一
例を長手方向からみた顕微鏡写真であるが、各セグメントのエッジの部分が斜めにランダムに糸の表面に配されている状態が現れている。
【0041】
なお、仮撚条件や合撚条件は、糸のポリマー、糸の太さ、求める外観等により適宜設定される。たとえば、ポリアミドの放射形セグメントとポリエステルの補完形セグメントからなる複合マルチフィラメントを用いる場合、150〜185℃程度で、仮撚数2700〜3700T/Mにて仮撚加工を施し、得られた仮撚加工糸を複数本引き揃えて、撚り数20〜200T/M、好ましくは40〜150T/Mで合撚する。このような条件であると、デンタルフロスを歯に挿入し易く、フロッシングもスムーズで、糸そのものをデンタルフロスとして用いた場合でも、より丸みのあるきれいな外観のデンタルフロスとなり、特に好ましい。
【0042】
図3は、繊維横断面形状が放射形セグメントと補完形セグメントからなる複合繊維マルチフィラメントを、仮撚加工を施すことにより割繊し、得られた割繊糸を複数本引き揃えて、合撚して得られたデンタルフロス用糸の繊維横断面の顕微鏡写真の例である。このものに通常の処理を施して、デンタルフロスとすると、放射形セグメントと補完形セグメントとの間隙にプラークを補足して取り込み、一旦、取り込んだら、歯や歯肉へプラークが再付着することを効率よく防止できる。
【0043】
上記デンタルフロス用糸は、伸び率が20〜40%であり、伸縮復元率20〜40%であるものが好ましい。この範囲であると、糸に抱合性が備わり、合わせた糸がばらばらにならず、糸の一部が歯の修理した部分に引っ掛かかる等の不都合がなく、糸としてそのままデンタルフロスに用いるのに好適である。また、適度な弾性を持つので、歯の清拭の際、歯や歯茎へのあたりが柔らかいという特性を兼ね備えており、デンタルフロスとして好適である。なお、上記仮撚割繊により得られた割繊糸の伸び率は、伸び率が20〜40%、伸縮復元率が20〜40%であるものが好ましい。
なお、伸び率は、JIS L1013 8.5.1 標準時試験の、つかみ間隔30cm、引張速度30+−3cm/minで定速緊張形の試験機により測定した伸び率である。また、伸縮復元率は、JIS L1013 8.12により測定した値である。
【0044】
本発明のデンタルフロスの好適な製造方法の一例を示す。
まず、上記で示したようなポリマー組成の異型断面セグメントからなる複合繊維マルチフィラメントを準備する。このマルチフィラメントに、たとえば、150〜185℃で撚り数2700〜3700T/mの仮撚加工を施し、それぞれのセグメントに分割する。その後、得られた加工糸を5〜15本引き揃え、撚り数20〜200T/M、より好ましくは40〜150T/mで合撚する。この合撚糸をそのまま糸束として、デンタルフロス用糸として、通常の処理をして、デンタルフロスとして使用する。
この場合、仮撚割繊を用いたが、上述したようなニットデニット等の応力割繊でもよい。また、複数本の仮撚加工糸を合撚せしめる合撚糸の場合、仮撚方向と合撚方向は同一であっても、逆方向であってもよい。また、このデンタルフロス用糸は、ミント等を付着させてデンタルフロスとして用いてもよい。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
図2(a)の横断面形状の84dtex/28fの分割型複合繊維マルチフィラメント(放射形のA成分:ポリアミド、単糸繊度0.75dtex、4個の補完形のB成分(扇形):ポリエステル単糸繊度0.56dtex)(KBセーレン社製ベリーマ(登録商標))を準備した。なおA成分の公定水分率は、4.5%、B成分の公定水分率は、0.4%であり、その差は、4.1%である。
このフィラメントに、オーバーフィード率2%で供給し、スピンドル回転数40万rp
m、仮撚数3600T/M、セット温度175℃の条件でS方向に仮撚を施して、仮撚加工糸(伸縮率は、35.0%、伸縮復元率は、33.2%)を得た。ついで得られた仮撚加工糸を10本引き揃え、Z方向に50T/Mの撚りをかけて合撚し、840dtex/280fの合撚糸を得て、その後、デンタルフロス(A成分:0.75dtex、B成分:0.56dtex、平均単糸繊度:0.6dtex)とした。このデンタルフロスの伸縮率は、29.3%、伸縮復元率は、33.2%であった。また得られたデンタルフロスの繊維横断面図の顕微鏡写真を図3に、繊維の長手方向から撮像した顕微鏡写真を図4に示す。
得られたデンタルフロスは、外観は従来のものより少し太めで柔らかそうな丸い形で糸がきれいに整ってみえた。このデンタルフロスを使用すると、歯間へ挿入しやすく、歯や歯茎へのあたりはたいへんソフトであった。また、デンタルフロスが歯と歯の間で広くあたり、清拭感も優れ、しっかりと拭き取れた。
【0046】
(実施例2)
Z方向に120T/Mの撚りをかけて合撚する以外は実施例1と同様にデンタルフロスを得た。得られたデンタルフロスは、外観は実施例1のものより細いが、柔らかそうな丸い形で糸がきれいに整ってみえた。このデンタルフロスを使用すると、歯間へ挿入しやすく、歯や歯茎へのあたりはたいへんソフトであった。また、デンタルフロスが歯と歯の間で広くあたり、清拭感も優れ、しっかりと拭き取れた。
【0047】
(実施例3)
合撚の際の撚り数を35T/M、80T/M、120T/M、160T/Mと変更する以外は、実施例1と同様にデンタルフロスを得た。いずれのものも清拭感に優れ、清拭効果、使用感とも優れていた。清拭効果については、80T/M、120T/Mのものが特に優れていた。見た目の太さは、撚り数が大きくなるほど細かった。いずれのものも、みためは整っていた。160T/Mのものは、他のものと比べて、若干硬く、他のものよりは歯間に挿入しづらかった。いずれのものも、フロッシングした際のあたりはソフトで、清拭感、清拭効果、使用感に優れていた。特に、35T/M、80T/M、120T/Mのものは歯や歯茎へのあたりがソフトであった。デンタルフロスへの歯の挿入のし易さ、フロッシングの際のソフトさ、清拭感、清拭効果などにつき、80T/M、120T/Mが特に優れていた。
【0048】
(実施例4)
仮撚加工糸の合撚本数を5本、8本、13本、16本とし、合撚糸の繊度を、420dtex/140f、672dtex/224f、1092dtex/364f、1344dtex/448fとする以外は、実施例1と同じようにデンタルフロスを得た。
いずれのものも、デンタルフロスとして使用した際、清拭感、清拭効果、使用感に優れていた。5本のものは、他のものに比べて、フロッシングの際、もの足りない感じがした。16本のものは、挿入し易さの点で、他のものに劣っていた。したがって、8本、13本のものが、清拭感、使用感が特に優れたものであった。
【0049】
(実施例5)
図2(b)の横断面形状の110dtex/50fの分割型複合繊維マルチフィラメント(放射形のA成分:ポリアミド、単糸繊度2dtex、8個の補完形のB成分(扇形):ポリエステル単糸繊度0.2dtex)を準備する以外は、実施例1と同様に、デンタルフロス(A成分:2dtex、B成分:0.2dtex、平均単糸繊度:0.4dtex)を得た。
得られたデンタルフロスは、外観は従来のものより少し太めで柔らかそうな形で糸がきれいに整ってみえた。このデンタルフロスを使用すると、歯間へ挿入しやすく、歯や歯茎へのあたりはたいへんソフトであった。また、デンタルフロスが歯と歯の間で広くあたり
、清拭感も優れ、しっかりと拭き取れた。
【0050】
(実施例6)
仮撚加工糸を引き揃えた後、合撚することに代えて、インタレースノズルにて、空気圧0.29MPaで1.5cm間隔で交絡処理を施して合糸する以外は、実施例1と同様の方法でデンタルフロス(伸縮率:35.0%、伸縮復元率:33.2%)を得た。
得られたデンタルフロスは、外観が太めのところと細めのところがあるものであった。このデンタルフロスを使用すると、実施例1〜5のものに比べて劣るものの、後述する比較例1〜4のものより、歯間へ挿入しやすく、歯や歯茎へのあたりはソフトであった。また、実施例1〜6に劣るものの、比較例1〜4のものと比較して、デンタルフロスが歯と歯の間で広くあたり、清拭感、清拭効果も良好だった。
【0051】
(比較例1)
丸断面の78dtex/24fのナイロンフィラメントを準備した。このフィラメントに3600T/M、セット温度175℃でS方向に撚りをかけ、仮撚加工糸を得た。
ついで得られた仮撚加工糸を10本引き揃え、30mm間隔で熱融着して合糸し、デンタルフロスとして使用したところ、歯間への挿入時に熱融着部分が固く歯と歯の隙間に引っ掛かり、実施例1〜6で得られたデンタルフロスと比べて、挿入が非常に行い難いものであった。また、フロッシングの際、歯間の狭いところまで糸が届かず、清拭度に劣るものとなった。また、実施例1〜6のものと比べて、歯や歯茎へのあたりが硬く感じられ、使用感に劣ったものとなった。
【0052】
(比較例2)
丸断面の78dtex/24fのナイロンフィラメントを準備した。このフィラメントに3600T/M、セット温度175℃でS方向に撚りをかけ、仮撚加工糸を得た。ついで得られた仮撚加工糸を10本引き揃え、50T/M、撚り方向Zで合撚し、780dtex/240fの合撚糸を得て、デンタルフロスとした。
得られたデンタルフロスを使用したところ、歯間へ挿入しづらく、歯や歯茎へのあたりは硬かった。また、フロス使用時、痛みを伴った。清拭感は満足が得られず、清拭効果も実施例1〜6のものと比べて、劣っていた。
【0053】
(比較例3)
市販のPTFE製テープのデンタルフロスを準備し、デンタルフロスとして使用したところ、平らな面があり、歯によくあたる感じがしたが、歯にあたる感じが実施例1〜6のものと比べて、ものたりない感じがした。また清拭感が得られず、十分な清拭効果が得られなかった。
【0054】
(比較例4)
市販のナイロンフィラメントからなるデンタルフロスを準備した(単糸繊度:3dtex、フィラメント数272本、丸断面)。このものをデンタルフロスとして使用したところ、歯間の細かいところに届きにくく、歯や歯茎へのあたりが硬く感じられた。また、挿入してもフィット感が少なく、清拭感も清拭効果も劣ったものであった。
【0055】
(実施例7)
167dtex/50f、繊維横断面形状が、図2(h)に示す複合繊維マルチフィラメント(Cはアルカリ易溶ポリエステル、Dはポリエチレンテレフタレート、C:D(面積比)は、1:3)を3600T/M、セット温度205℃でS方向に仮撚加工を施し、得られた仮撚加工糸を7本引き揃えて、Z方向に50回T/mの撚りを施して合撚し、70℃、20分の撚り止めセットを施し、1169dtex/350fの合撚糸を得た。得られた合撚糸を綛取りし、25%のアルカリ減量を行い、アルカリ易溶ポリエステルを除
去して、デンタルフロス用糸(平均単糸繊度:0.28dtex)を得て、デンタルフロスとした。
得られたデンタルフロスは、比較例1〜4に比べて、清掃効果も使用感も優れていたが、実施例1〜5のものに比べて、ソフト感、清拭感、清拭効果が劣っていた。
【0056】
(実施例8)
実施例1で得られた仮撚加工糸6本を合糸し、かぎ針2号を用い、鎖編にて編成し、デンタルフロスとした。
得られたデンタルフロスを使用すると、比較例1〜4のものと比べて、清拭感、清拭効果とも良好であった。また、比較例1、2、4に比べて歯間へ挿入しやすかった。歯や歯茎へのあたりは、実施例1〜5のもののほうがソフトであった。
【0057】
(実施例9)
実施例1で得られた仮撚加工糸を6本と、84dtex/36fのレギュラーポリエステル4本を引き揃えて、実施例1と同様の条件で合撚して、合撚糸(トータル繊度:840dtex、極細繊維マルチフィラメントは合撚糸の60重量%を含む)を得て、デンタルフロスとした。
比較例1〜4のデンタルフロスと比較して、清拭感、清拭効果が良好であった。比較例1、2、4と比べて歯間へ挿入はしやすく、歯や歯茎へあたりは柔らかかったが、実施例1〜5のデンタルフロスのほうが、歯茎へのあたりは柔らかく、清拭感、清拭効果、使用感に優れていた。
【0058】
(実施例10)
84dtex/28f、繊維横断面形状が図2(f)に示すような形状で分割数が11個である複合繊維マルチフィラメント(ポリマーは、ポリエチレンテレフタレートとナイロン6を11個サイドバイサイドに交互に複合しているもの)を準備した以外は実施例1と同様に合撚糸を得た。合撚糸は、840dtex/280f、単糸繊度は、0.2〜0.3dtex、平均単糸繊度は0.25dtexであった。この合撚糸を実施例1と同様にデンタルフロスとした。
得られたデンタルフロスは、外観は丸くて形で糸がきれいに整ってみえた。実施例1のものの方が、外観が太く、バルキー性に富んでいた。このデンタルフロスを使用すると、比較例1〜4と比べると、歯間へ挿入しやすく、歯や歯茎へのあたりはソフトであり、清拭感も良好であり、拭き取りも良好であったが、実施例1のものの方が、挿入しやすさ、歯や歯茎へのソフトさ、清拭感、拭き取り効果に優れたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の複合繊維マルチフィラメントを割繊せしめた割繊糸の繊維横断面形状を説明する図である。
【図2】本発明の割繊前の複合繊維マルチフィラメントの繊維横断面形状の例である。
【図3】本発明のデンタルフロス用糸の繊維横断面図の電子顕微鏡写真の一例を示す。
【図4】本発明のデンタルフロス用糸が、長手方向にスパイラル形状となり、放射形セグメントと補完形セグメントのエッジの部分がランダムに繊維表面に発現している様子を示す電子顕微鏡写真の一例である。
【符号の説明】
【0060】
A 放射形セグメント
B 補完形セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊度が2dtex以下で繊維横断面形状がエッジを有する異型である極細繊維マルチフィラメントからなるデンタルフロス用糸。
【請求項2】
デンタルフロス用糸が、複数本の加工糸を引き揃えて合撚せしめた合撚糸である請求項1記載のデンタルフロス用糸。
【請求項3】
前記加工糸が仮撚加工糸である請求項3記載のデンタルフロス用糸。
【請求項4】
前記極細繊維マルチフィラメントが、公定水分率の異なる少なくとも二種以上の繊維形成性ポリマーからなる複合繊維マルチフィラメントを応力で割繊せしめた割繊糸である請求項1〜3いずれか一項に記載のデンタルフロス用糸。
【請求項5】
前記極細繊維マルチフィラメントは、繊維横断面形状が放射形セグメントと当該放射形セグメントを補完する補完形セグメントからなる請求項1〜4いずれか一項記載のデンタルフロス用糸。
【請求項6】
前記放射形セグメントおよび補完形セグメントは、いずれか一方がポリアミド、他方がポリエステルである請求項5記載のデンタルフロス用糸。
【請求項7】
前記合撚糸は、割繊糸を複数本引き揃え、撚り数20〜200T/mで合撚せしめたものである請求項2〜6いずれか一項記載のデンタルフロス用糸。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか一項に記載のデンタルフロス用糸を用いて糸束、編物または織物とせしめたデンタルフロス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−215703(P2007−215703A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−38637(P2006−38637)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(305037123)KBセーレン株式会社 (97)