説明

デンプン生合成酵素の熱安定性変異体

【課題】熱安定性を向上させた酵素をコードする新規な変異ポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを発現し、高温ストレス条件下で生育させると収量の増加をもたらす植物を提供する。
【解決手段】トウモロコシの胚乳のADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)と可溶性のデンプン合成酵素(SSS)の酵素活性をコードする変異ポリヌクレオチド。この変異ポリヌクレオチドが含まれるように育種されたか、または、この変異ポリヌクレオチドで形質転換された植物および植物組織で、このポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを発現する植物および植物組織。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、米国科学財団助成金番号9316887による政府の支援により遂行された。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、1996年11月18日に提出された米国仮出願第60/031,045号の優先権を主張するものである。
【0003】
発明の背景
植物の生活は定着性であるため、植物の生長と発生に積極的な効果と消極的な効果を与える環境因子に絶えず曝されることになる。近代農業が直面している主要な障害の1つは、有害な環境条件である。作物の有意な減収をもたらす重要な要因の一つは高温ストレスである。温度ストレスによって、トウモロコシ、コムギ、およびオオムギなど、多くの穀物において、穀粒の収量が大幅に減少する。高温ストレスによる減収は、世界的に重要な穀類において、7%から35%に及ぶ。
【0004】
多くの研究によって、高温ストレスによる生理学的な結果である可能性の高いものが同定されている。ハンターら(Hunter, R. B., Tollenaar, M., および Breuer, C. M. [1977] Can. J. Plant Sci. 57:1127〜1133(非特許文献:1))による、生育箱という条件を用いた初期の研究で、高温によってトウモロコシの登熟期間が短縮することが示された。温度上昇によって登熟期間が不利な方向に変化するという同様の結果が、トレナーとブルウルセマ(Tollenaar, M.,および Bruulsema, T. W. [1988] Can. J. Plant Sci. 68:935〜940(非特許文献:2))によって確認された。バドゥ-アプラクら(Badu-Apraku, B., Hunter, R. B., および Tollenaar, M. [1983] Can. J. Plant Sci. 63:357〜363(非特許文献:3))は、昼/夜間の温度を25/15℃とする温度体制に較べると、35/15℃とする温度体制で生育させたトウモロコシ植物体の収量が著しく減少することを測定した。温度上昇によって減収することは、気象学的研究だけでなく、歴史的な研究によっても裏付けられている(Thompson, L. M. [1986] Agron. J. 78:649〜653(非特許文献:4);Thompson, L. M. [1986] Science 188:535〜541(非特許文献:5);Chang, J. [1981] Agricul. Metero. 24:253〜262(非特許文献:6);ならびに Conroy, J. P., Seneweera, S., Basra, A. S., Rogers, G., および Nissen-Wooller, B. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:741〜758(非特許文献:7))。
【0005】
発生中の種子の生理学的過程が高温ストレスによって有害な影響を受けることは、インビトロにおける穀粒培養系を使用した研究から明らかである(Jones, R.J. Gengenbach, B. G.およびCardwell, V.B.[1981]Crop Science 21:761〜766(非特許文献:8);Jones, R. J., Ouattar, S.およびCrookston, R.K.[1984]Crop Science 24:133〜137(非特許文献:9);ならびにCheikh, NおよびJones, R. J.[995]Physiol. Plant. 95:59〜66(非特許文献:10))。35℃という最適温度より高い温度で培養したトウモロコシの穀粒は重量が劇的に低下していた。
【0006】
コムギで研究したところ、可溶性デンプン合成酵素(SSS)の活性喪失が、高温ストレスに対するコムギ胚乳の反応の顕著な特徴であることが確認された(Hawker, J. S. および Jenner, C. F. [1993] Aust. J. Plant Physiol. 20:197〜209(非特許文献:11);Denyer, K., Hylton, C. M., および Smith, A. M. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:783〜789(非特許文献:12);Jenner, C. F. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:791〜806(非特許文献:13))。コムギ胚乳のSSSを用いたさらに研究は、この酵素が熱不安定であることを示している(Rijven, A. H. G. C. [1986] Plant Physiol. 81:448〜453(非特許文献:14);Keeling, P. L., Bacon, P. J., Holt, D. C. [1993] Planta 191:342〜348(非特許文献:15);Jenner, C. F., Denyer, K., および Guerin, J. [1995] Aust. J. Plant Physiol. 22:703〜709(非特許文献:16))。
【0007】
トウモロコシにおける、高温ストレス条件下でのSSSとADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)の役割はあまり明確ではない。(AGP)は、ATPとα-グルコース-1-リン酸が、ADP-グルコースとピロリン酸に転化するのを触媒する。ADP-グルコースは、植物によるデンプン生合成、およびバクテリアによるグリコーゲン生合成において、グリコシル基供与体として用いられる。デンプン生合成の調節における、ADPグルコースピロホスホリラーゼのキー酵素としての重要性が、トウモロコシ(Zea mays)の胚乳のデンプン欠損変異株の研究で注目された(Tsai, C. Y., および Nelson, Jr., O. E. [1966] Science 151:341〜343(非特許文献:17);Dickinson, D. B., J. Preiss [1969] Plant Physiol. 44:1058〜1062(非特許文献:18))。
【0008】
オー-リーとセッター(Ou-Lee, T., および Setter, T. L. [1985] Plant Physiol. 79:852〜855(非特許文献:19))は、トウモロコシの穂の頂端または先端の領域に対する温度の影響を調べた。温度を上昇させると、強力なデンプン蓄積が行われているときは、穀粒の基部に較べて、穀粒の頂端でのAGP活性が低かった。これに対して、普通の温度で発生した穀粒においては、この期間のAGP活性は、穀粒の頂端と基部で同じであった。しかし、この期間のデンプン合成酵素活性は、穀粒の頂端と基部で異なった影響を受けることはなかった。さらに、熱処理された穀粒頂端部は、デンプン合成酵素活性の制御を外れた上昇を示した。これは、AGP活性では見られなかった。シングルタリーら(Singletary, G. W., Banisadr, R., および Keeling, P. L. [1993] Plant Physiol. 102:6(補遺)(非特許文献:20);Singletary, G. W., Banisadra, R., Keeling, P. L. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:829〜841(非特許文献:21))は、インビトロの培養系を用いて、登熟期間中のさまざまな温度の効果を定量した。温度を22℃〜36℃から上昇させると、種子重量は徐々に確実に減少した。減収におけるAGPの役割も、デュークとデーラートの研究によって裏付けられた(Duke, E. R., および Doehlert, D. C. [1996] Environ. Exp. Botany, 36:199〜208(非特許文献:22))。
【0009】
キーリングらの研究(1994、前記(非特許文献:21))では、Q10解析を用いて、トウモロコシとコムギのSSS活性を定量して、SSSが、炭素からデンプンへの変化を調節する重要なポイントであることを明らかにした。
【0010】
AGPとSSSを用いたインビトロの生化学実験は、両酵素とも熱に不安定であることを明らかに示している。トウモロコシ胚乳のAGPは、57℃で5分間加熱すると、その活性の96%が失われる(Hannah, L. C., Tuschall, D. M., および Mans, R. J. [1980] Genetics 95:961〜970(非特許文献:23))。これは、ジャガイモのAGPが、70℃でも完全に安定しているのと対照的である(Sowokinos, J. R., および Preiss, J. [1982] Plant Physiol. 69:1459〜1466(非特許文献:24); Okita,T. W., Nakata, P. A., およびerson, J. M., Sowokinos, J. R., Morell, J., および Preiss, J. [1990] Plant Physiol. 93:785〜90(非特許文献:25))。熱不活性化実験によって、SSSも、温度が高くなると不安定になることが示され、動力学的実験によって、温度を25〜45℃から上昇させると、アミロペクチンに対するKm値が指数関数的に増加することが測定された(Jenner et al., 1995, 前記(非特許文献:16))。
【0011】
生化学的な証拠と遺伝学的な証拠によって、AGPは、高等植物においてはデンプンの生合成において、また、大腸菌(E. coli)においてはグリコーゲンの生合成においてキー酵素であることが確認されている(Preiss, J. および Romeo, T. [1994] Progeress in Nuc. Acid Res. and Mol. Biol. 47:299〜329(非特許文献:26); Preiss, J. および Sivak, M. [1996] 「シンクとソースにおけるデンプン合成」(Starch synthesis in sinks and sources)、植物および作物における光同化産物の分布:ソース-シンクの相互関係(Photoassimilate distribution in plants and crops: source-sink relationships)より、Zamski, E.編、マーシャル・デッカー社(Marcil Dekker Inc. )pp. 139〜168(非特許文献:27))。AGPは、活性化されたグルコシル基供与体であるADPグルコースを反応産物とする、デンプン生合成経路の開始段階と考えられている段階を触媒する。デンプン合成酵素は、これを、ポリサッカライドポリマーを伸長するために利用する(オランダ、ドルトレヒト(Dortrecht, The Netherlands)のクルバーアカデミックパブリシャーズ社(Kluwer Academic Publishers)刊、B. A. LarkinとI. K. Vasil(編)第4巻、植物の細胞分子生物学における進歩(Advance in Cellular and Molecular Biology of Plants)より、Hannah, L. Curtis [1996] 「トウモロコシの胚乳におけるデンプン合成(Starch synthesis in the maize endsperm)」(印刷中)(非特許文献:28)において概説されている)。
【0012】
ジャガイモAGPを用いた初期の研究は、大腸菌で発現させると、本来の塊茎の酵素と非常によく似たアロステリック特性と動力学特性をもつ酵素が得られることを明らかにした(Iglesias, A., Barry, G. F., Meyer, C., Bloksberg, L., Nakata, P., Greene, T., Laughlin, M. J., Okita, T. W., Kishore, G. M., および Preiss, J. [1993] J. Biol. Chem. 268:1081〜86(非特許文献:29);Ballicore, M. A., Laughlin, M. J., Fu, Y., Okita, T.W., Barry, G. F., および Preiss, J. [1995] Plant Physiol. 109:245〜251(非特許文献:30))。Greeneら(Greene, T., Chantler, S. E., Kahn, M. L., Barry, G. F., Preiss, J., Okita, T.W. [1996] Proc. Natl. Acad. Sci. 93:1509〜1513(非特許文献:31);Greene, T., Woodbury, R. L., および Okita, T.W. [1996] Plant Physiol. (印刷中)(非特許文献:32))は、ジャガイモAGPを用いた構造-機能研究におけるバクテリア発現系の有用性を明らかにした。アロステリックと基質の結合部位をマッピングするのに重要な変異が多数同定された(Shewry, P. R., Napier, J. A., およびDavis, P.編、Okita, T. W., Greene, T., Laughlin, M. J., Salamone, P., Woodbury, R., Choi, S., Ito, H., Kavakli, H., および Stephens, K. [1996]「植物生合成酵素の改変による植物デンプンの作出(Engineering Plant Starches by the Generation of Modified Plant Biosynthetic Enzyme)」、ロンドン(London)のポートランドプレス社(Portland Press Ltd.)刊、産業目的に使用するための人工作物(Engineering Crops for Industrial End Uses)(印刷中)(非特許文献:33)より)。
【0013】
AGP酵素は、バクテリアと植物の両方で単離されている。バクテリアのAGPはホモ四量体からなるが、光合成組織と非光合成組織に由来する植物AGPは、2つの異なったサブユニットからなるヘテロ四量体である。この植物酵素は、大小2つの異なった遺伝子にコードされている。この特徴は、かなりの数の植物で見られる。ホウレンソウの葉のAGPサブユニットは、SDS-PAGEによって判定したところ、分子量54 kDaと51 kDaであった。どちらのサブユニットも、ホウレンソウの葉から採ったAGPを精製したものに対して作製した抗体と免疫反応性がある(Copeland, L., J. Preiss (1981) Plant Physiol. 68:996〜1001(非特許文献:34);Morell, M., M. Bloon, V. Knowles, J. Preiss [1988] J. Bio. Chem. 263:633(非特許文献:35))。ホウレンソウの葉の小サブユニットと大サブユニットに対して調製した抗血清を用いて免疫学的な解析を行なったところ、ジャガイモの塊茎のAGPも2つの遺伝子によってコードされていた(Okitaら、1990、前記(非特許文献:25))。ジャガイモ塊茎のこの2つのサブユニット(50 kDaと51 kDa)のcDNAクローンは、単離されて配列決定されている(Muller-Rober, B. T., J. Kossmann, L. C. Hannah, L. Willmitzer, U. Sounewald [1990] Mol. Gen. Genet. 224:136〜146(非特許文献:36);Nakata, P. A., T. W. Greene, J. M. Anderson, B. J. Smith-White, T. W. Okita, J. Preiss [1991] Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093(非特許文献:37))。ジャガイモ塊茎AGPの大サブユニットは熱安定的である(Nakata、[1991] 、前記(非特許文献:37))。
【0014】
ハナとネルソン(Hannah, L. C., O. E. Nelson (1975) Plant Physiol. 55:297〜302(非特許文献:38);Hannah, L. C., Nelson, Jr., O. E. [1976] Biochem. Genet. 14:547〜560(非特許文献:39))は、Shrunken-2 (sh2)(Bhave, M. R., S. Lawrence, C. Barton, L. C. Hannah [1990] Plant Cell 2:581〜588(非特許文献:40))とBrittle-2 (Bt2) (Bae, J. M., M. Giroux, L. C. Hannah [1990] Maydica 35:317〜322(非特許文献:41))はともに、トウモロコシ胚乳のADP-グルコースピロホスホリラーゼの構造遺伝子であると考えた。sh2とBt2は、それぞれ、この酵素の大サブユニットと小サブユニットをコードしている。cDNAの配列決定によって、sh2とBt2のタンパク質の推定分子量は、それぞれ、57,179 Da(Shaw, L. R., L. C. Hannah [1992] Plant Physiol. 98:1214〜1216(非特許文献:42))と52,224 Daである。胚乳は、トウモロコシが登熟するときに、最もデンプンが蓄積される部位である。トウモロコシ胚乳のsh2とBt2変異体では、デンプンのレベルが、AGP活性の欠損レベルに相当するところまで低下した。どちらの遺伝子の変異体も、AGP活性を約95%低下させることが分かっている(TsaiとNelson, 1966, 前記(非特許文献:17);DichinsonとPreiss, 1969, 前記(非特許文献:18))。さらに、変異酵素が動力学的特性を変化させたのに対して、機能的な野生型Sh2とBt2の対立遺伝子の数ともに、酵素活性が増加することが観察されている。AGPは、植物のデンプンの合成における律速段階である。スタークら(Stark)が、大腸菌AGPの変異型をジャガイモ塊茎の中に組み込んだところ、デンプン含量を35%増加させることができた(Stark et al. [1992] Science 258:287(非特許文献:43))。
【0015】
AGP酵素のサブユニットをコードする遺伝子のクローニングとキャラクタリゼーションが、さまざまな植物で報告されている。これらには、トウモロコシ由来のSh2 cDNA(Bhaveら、1990、前記(非特許文献:40))、Sh2ゲノムDNA(ShawとHannah、1992、前記(非特許文献:42))、ならびにbt2 cDNA(Baeら、1990、前記(非特許文献:41))、イネ由来の小サブユニットのcDNA(Anderson, J. M., J. Hnilo, R. Larson, T. W. Okita, M. Morell, J. Preiss [1989] J. Biol. Chem. 264:12238〜12242(非特許文献:44))、ならびにゲノムDNA(Anderson, J. M., R. Larson, D. Landencia, W. T. Kim, D. Morrow, T. W. Okita, J. Preiss [1991] Gene 97:199〜205(非特許文献:45))、ならびにホウレンソウの葉(Morellら、1988、前記(非特許文献:35))およびジャガイモ(Muller-Roberら、1990、前記(非特許文献:36);Nakata, P. A., Greene, T. W., Anderson, J. W., Smith-White, B. J., T. W. Okita, およびJ. Preiss [1989] Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093(非特許文献:46))由来の小サブユニットおよび大サブユニットのcDNAなどがある。さらに、コムギの胚乳と葉の組織から(Olive, M. R., R. J. Ellis, W. W. Schuch [1989] Plant Physiol. Mol. Biol. 12:525〜538(非特許文献:47))、またシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の葉から(Lin, T., Caspar, T., Sommerville, C. R.,およびPreiss J. [1988] Plant Physiol. 88:1175〜1181(非特許文献:48) )、cDNAクローンが単離されている。
【0016】
今までに調べられた組織および生物のすべてにおいて、AGPはアロステリック酵素として機能している。大腸菌において、初めて、AGPのアロステリック特性が重要であることが示された。グリコーゲンを過剰産生する大腸菌変異株を単離したところ、この変異は、glyCと名づけられたAGPの構造遺伝子にマップされた。glyC-16として知られている変異大腸菌は、アクチベーターであるフルクトース1,6ビスホスフェートに対してより感受性が強く、インヒビターであるcAMPには、より感受性が低いことが示された(Preiss J. [1984] Ann. Rev. Microbiol. 419〜458(非特許文献:49) )。植物のAGPもアロステリックであるが、それらは、バクテリアのAGPとは異なるエフェクター分子に反応する。植物において3-ホスホグリセリン酸(3-PGA)がアクチベーターとして機能し、一方で、リン酸(PO4)がインヒビターとして作用する(DickinsonとPreiss、1969、前記(非特許文献:18))。
【0017】
既知のアクチベーター結合部位に偶然近接した位置にあるDs転移因子を、Acによって切り出して作出されるインビボの突然変異誘発システムを用いて、ジローら(Giroux, M. J., Shaw, J., Barry, G., Cobb, G. B., Greene, T., Okita, T. W.,およびHannah, L. C. [1996] Proc. Natl. Acad. Sci. 93:5824〜5829(非特許文献:50))は、トウモロコシ胚乳AGPの機能的に重要な領域における部位特異的な変異株を作出することができた。変異株の一つであるRev6は、チロシン-セリン挿入を含み、種子重量を11〜18%増加させた。
【非特許文献1】Hunter, R. B., Tollenaar, M., および Breuer, C. M. [1977] Can. J. Plant Sci. 57:1127〜1133
【非特許文献2】Tollenaar, M.,および Bruulsema, T. W. [1988] Can. J. Plant Sci. 68:935〜940
【非特許文献3】Badu-Apraku, B., Hunter, R. B., および Tollenaar, M. [1983] Can. J. Plant Sci. 63:357〜363
【非特許文献4】Thompson, L. M. [1986] Agron. J. 78:649〜653
【非特許文献5】Thompson, L. M. [1986] Science 188:535〜541
【非特許文献6】Chang, J. [1981] Agricul. Metero. 24:253〜262
【非特許文献7】Conroy, J. P., Seneweera, S., Basra, A. S., Rogers, G., および Nissen-Wooller, B. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:741〜758
【非特許文献8】Jones, R.J. Gengenbach, B. G.およびCardwell, V.B.[1981]Crop Science 21:761〜766
【非特許文献9】Jones, R. J., Ouattar, S.およびCrookston, R.K.[1984]Crop Science 24:133〜137
【非特許文献10】Cheikh, NおよびJones, R. J.[995]Physiol. Plant. 95:59〜66
【非特許文献11】Hawker, J. S. および Jenner, C. F. [1993] Aust. J. Plant Physiol. 20:197〜209
【非特許文献12】Denyer, K., Hylton, C. M., および Smith, A. M. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:783〜789
【非特許文献13】Jenner, C. F. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:791〜806
【非特許文献14】Rijven, A. H. G. C. [1986] Plant Physiol. 81:448〜453
【非特許文献15】Keeling, P. L., Bacon, P. J., Holt, D. C. [1993] Planta 191:342〜348
【非特許文献16】Jenner, C. F., Denyer, K., および Guerin, J. [1995] Aust. J. Plant Physiol. 22:703〜709
【非特許文献17】Tsai, C. Y., および Nelson, Jr., O. E. [1966] Science 151:341〜343
【非特許文献18】Dickinson, D. B., J. Preiss [1969] Plant Physiol. 44:1058〜1062
【非特許文献19】Ou-Lee, T., および Setter, T. L. [1985] Plant Physiol. 79:852〜855
【非特許文献20】Singletary, G. W., Banisadr, R., および Keeling, P. L. [1993] Plant Physiol. 102:6
【非特許文献21】Singletary, G. W., Banisadra, R., Keeling, P. L. [1994] Aust. J. Plant Physiol. 21:829〜841
【非特許文献22】Duke, E. R., および Doehlert, D. C. [1996] Environ. Exp. Botany, 36:199〜208
【非特許文献23】Hannah, L. C., Tuschall, D. M., および Mans, R. J. [1980] Genetics 95:961〜970
【非特許文献24】Sowokinos, J. R., および Preiss, J. [1982] Plant Physiol. 69:1459〜1466
【非特許文献25】Okita,T. W., Nakata, P. A., およびerson, J. M., Sowokinos, J. R., Morell, J., および Preiss, J. [1990] Plant Physiol. 93:785〜90
【非特許文献26】Preiss, J. および Romeo, T. [1994] Progeress in Nuc. Acid Res. and Mol. Biol. 47:299〜329
【非特許文献27】Preiss, J. および Sivak, M. [1996] 「シンクとソースにおけるデンプン合成」(Starch synthesis in sinks and sources)、植物および作物における光同化産物の分布:ソース-シンクの相互関係(Photoassimilate distribution in plants and crops: source-sink relationships)より、Zamski, E.編、マーシャル・デッカー社(Marcil Dekker Inc. )pp. 139〜168
【非特許文献28】オランダ、ドルトレヒト(Dortrecht, The Netherlands)のクルバーアカデミックパブリシャーズ社(Kluwer Academic Publishers)刊、B. A. LarkinとI. K. Vasil(編)第4巻、植物の細胞分子生物学における進歩(Advance in Cellular and Molecular Biology of Plants)より、Hannah, L. Curtis [1996] 「トウモロコシの胚乳におけるデンプン合成(Starch synthesis in the maize endsperm)」
【非特許文献29】Iglesias, A., Barry, G. F., Meyer, C., Bloksberg, L., Nakata, P., Greene, T., Laughlin, M. J., Okita, T. W., Kishore, G. M., および Preiss, J. [1993] J. Biol. Chem. 268:1081〜86
【非特許文献30】Ballicore, M. A., Laughlin, M. J., Fu, Y., Okita, T.W., Barry, G. F., および Preiss, J. [1995] Plant Physiol. 109:245〜251
【非特許文献31】Greene, T., Chantler, S. E., Kahn, M. L., Barry, G. F., Preiss, J., Okita, T.W. [1996] Proc. Natl. Acad. Sci. 93:1509〜1513
【非特許文献32】Greene, T., Woodbury, R. L., および Okita, T.W. [1996] Plant Physiol.
【非特許文献33】Shewry, P. R., Napier, J. A., およびDavis, P.編、Okita, T. W., Greene, T., Laughlin, M. J., Salamone, P., Woodbury, R., Choi, S., Ito, H., Kavakli, H., および Stephens, K. [1996]「植物生合成酵素の改変による植物デンプンの作出(Engineering Plant Starches by the Generation of Modified Plant Biosynthetic Enzyme)」、ロンドン(London)のポートランドプレス社(Portland Press Ltd.)刊、産業目的に使用するための人工作物(Engineering Crops for Industrial End Uses)
【非特許文献34】Copeland, L., J. Preiss (1981) Plant Physiol. 68:996〜1001
【非特許文献35】Morell, M., M. Bloon, V. Knowles, J. Preiss [1988] J. Bio. Chem. 263:633
【非特許文献36】Muller-Rober, B. T., J. Kossmann, L. C. Hannah, L. Willmitzer, U. Sounewald [1990] Mol. Gen. Genet. 224:136〜146
【非特許文献37】Nakata, P. A., T. W. Greene, J. M. Anderson, B. J. Smith-White, T. W. Okita, J. Preiss [1991] Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093
【非特許文献38】Hannah, L. C., O. E. Nelson (1975) Plant Physiol. 55:297〜302
【非特許文献39】Hannah, L. C., Nelson, Jr., O. E. [1976] Biochem. Genet. 14:547〜560
【非特許文献40】Bhave, M. R., S. Lawrence, C. Barton, L. C. Hannah [1990] Plant Cell 2:581〜588
【非特許文献41】Bae, J. M., M. Giroux, L. C. Hannah [1990] Maydica 35:317〜322
【非特許文献42】Shaw, L. R., L. C. Hannah [1992] Plant Physiol. 98:1214〜1216
【非特許文献43】Stark et al. [1992] Science 258:287
【非特許文献44】Anderson, J. M., J. Hnilo, R. Larson, T. W. Okita, M. Morell, J. Preiss [1989] J. Biol. Chem. 264:12238〜12242
【非特許文献45】Anderson, J. M., R. Larson, D. Landencia, W. T. Kim, D. Morrow, T. W. Okita, J. Preiss [1991] Gene 97:199〜205
【非特許文献46】Nakata, P. A., Greene, T. W., Anderson, J. W., Smith-White, B. J., T. W. Okita, およびJ. Preiss [1989] Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093
【非特許文献47】Olive, M. R., R. J. Ellis, W. W. Schuch [1989] Plant Physiol. Mol. Biol. 12:525〜538
【非特許文献48】Lin, T., Caspar, T., Sommerville, C. R.,およびPreiss J. [1988] Plant Physiol. 88:1175〜1181
【非特許文献49】Preiss J. [1984] Ann. Rev. Microbiol. 419〜458
【非特許文献50】Giroux, M. J., Shaw, J., Barry, G., Cobb, G. B., Greene, T., Okita, T. W.,およびHannah, L. C. [1996] Proc. Natl. Acad. Sci. 93:5824〜5829
【発明の開示】
【0018】
発明の簡単な概要
本発明は、穀物を産出する植物などの植物における作物収量を向上させるのに有用な材料と方法に関する。一つの態様において、本発明は、熱安定的なAGP酵素、および、これらの酵素をコードする塩基配列を提供する。好ましい態様において、この熱安定的な酵素を用いて、熱に対してより強い耐性をもつ植物を提供し、それによって、これらの植物からの収量を向上させることができる。特に好ましい態様において、改良される植物は穀類である。本発明が適用される穀類には、例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ、およびオオムギなどが含まれる。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、野生型の遺伝子型をもつ植物に較べて、高温ストレス条件下で栽培された植物に収量の増加をもたらす、新規の変異ポリヌクレオチド、およびそれによってコードされるポリペプチドに関する。特異的な態様において、本発明のポリヌクレオチド分子は、トウモロコシ胚乳のADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)と可溶性デンプン合成酵素(SSS)の酵素活性をコードする。この変異酵素は、野生型酵素活性に較べると、登熟期間中の高温ストレス条件に対する種子の安定性の増加をもたらす。
【0020】
一つの態様において、本発明の変異ポリヌクレオチドは、ポリペプチド配列中で、ヒスチジンからチロシンへのアミノ酸置換をもつAGPの大サブユニットをコードしている。このタンパク質で認容されているアミノ酸番号に従えば、この置換はアミノ酸番号333で生じている(ShawとHannah、1992、前記)。この置換の位置は、当業者によって容易に同定することができる。本発明で例示されている第二の変異は、AGPタンパク質の460番目の位置にあるスレオニンからイソロイシンへの置換である。好熱安定性の増加をもたらす、この他の変異体を以下の表1に示す。
【0021】
【表1】

【0022】
トウモロコシ胚乳AGPのサブユニットのcDNAクローン(SH2およびBT2)、および、内生的なバクテリアAGP(glgC)を欠損した大腸菌株(AC70R1-504)によって、トウモロコシ胚乳のAGPを研究するためのバクテリア発現系を確立するのが容易になった。一方のサブユニットだけを発現させても、glgC変異を相補することができないため、グリコーゲンは産生されない(Iglesias, A., Barry, G. F., Meyer, C., Bloksberg, L., Nakata, P., Greene, T., Laughlin, M. J., Okita, T. W., Kishore, G. M., および Preiss, J. [1993] J. Biol. Chem. 268:1081〜86)。しかし、親和性のあるベクター上の大小両サブユニットを発現させると、ヨウ素に曝したコロニーが濃い赤茶色に染色されることから証明されるように、glgC変異を完全に相補して、グリコーゲン産生を回復する。このように、相補性は、コロニーを単にヨウ素に曝すだけで容易に確認することができる。
【0023】
一つの態様において、ジャガイモまたはトウモロコシの胚乳AGPを発現する大腸菌のglgC-細胞を用いた。ジャガイモのAGP遺伝子をもつ細胞は、37℃または42℃で培養されると、大量のグリコーゲンを合成することができる。しかし、トウモロコシ胚乳のAGPを発現する細胞は、37℃でのみグリコーゲンを合成する。この結果は、野生型トウモロコシの胚乳AGPの熱感受性を示している。ジャガイモAGPとトウモロコシAGPの間にこのような違いがあるため、トウモロコシ胚乳AGPの熱安定性変異体をもつ変異細胞をスクリーニングするための効率的なシステムができる。
【0024】
本発明の一つの局面は、熱安定的なAGPを効率的に同定することに関する。したがって、トウモロコシAGPのSH2サブユニットをコードするポリペプチドを含むプラスミドを、下記に説明するところにしたがって化学的に変異誘発して、BT2サブユニットを発現する変異大腸菌細胞に組み込み、42℃で増殖させた。この他、当技術分野において既知の変異原を用いることもできる。熱安定性(HS)変異株と名づけられた、ヨウ素に染色する遺伝的変異株を11個単離した。これらの変異株の粗抽出物を調製して、その結果得られたAGPの熱安定性を調べた。60℃で5分間インキュベートした後に、変異株は、8〜59%の活性を保持している(図1)。これを、この温度で、野生型AGPに通常見られるのが1〜4%であることと比較する。
【0025】
この結果、本発明によって、突然変異により熱安定型酵素を作出できることは明らかである。思いがけず、これらの変異株の多くで、熱処理する前のトウモロコシ胚乳のAGPの全活性が約10倍上昇した。この驚くべき結果によって、これらの変異株を農業で使用することが特に有利になる。本明細書で説明されているような突然変異誘発技術を、本発明にしたがって用いて、熱安定的なデンプン生合成酵素をコードする別の遺伝子を同定することができる。
【0026】
最も熱安定的な2つのHS変異体であるHS 33とHS 40など、熱安定性変異体をコードするいくつかの遺伝子の完全な配列を決定した。熱処理後、59%の活性を保持するHS 33は、ポリペプチドのアミノ酸配列の333番目のヒスチジン残基をチロシンに変化させる1塩基対の突然変異をもっている(図2)。コムギとオオムギのAGPの大サブユニットの一次配列のアラインメントによると、これらの相当する残基にもヒスチジンが存在することが分かる(図3)(Ainsworth, C., Hosein, F., Tavis, M., Weir, F., Burrell, M., Devos, K. M., Gale, M. D. [1995] Planta 197:1〜10)。熱処理後41%の活性を保持するHS 40を配列解析したところ、333番目でヒスチジンからチロシンへの変化を含んでいた。スレオニンからイソロイシンへの置換を生じる、この他の点突然変異を同定した。このスレオニン残基は、AGPの大サブユニットで高度に保存されているが、小ブユニットで、これに相当する残基はシステインまたはセリンである(Ainsworthら、1995、前記)。スレオニンからイソロイシンへの置換は、大サブユニットのカルボキシル末端に近接した位置に存在し、アクチベーター3-PGAの既知の結合部位に近接した位置に存在している(図3)。
【0027】
本発明は、また、AGPの小サブユニットに変異をもつ、この酵素の熱安定性変異体に関する。AGPの小サブユニット変異体をコードするポリヌクレオチドも、本発明の範囲に含まれる。本発明の方法を用いて、AGPに熱安定性を付与する、この酵素の小サブユニットにおける変異を調製し、同定することができる。
【0028】
変異ポリヌクレオチドをもつように育種されたか、変異ポリヌクレオチドで形質転換された植物および植物組織で、このポリヌクレオチドにコードされているポリペプチドを発現しているものも、本発明で意図されている。変異ポリヌクレオチドを発現する植物および植物組織は、生育過程で高温ストレスをかけられたときに、重量と収量の、熱誘導による損失が低くなった組織を産生する。
【0029】
本発明は、また、本発明の範囲内に含まれると考えられるポリヌクレオチドとポリペプチドを産生、および同定するための方法に関する。一つの態様において、遺伝子突然変異を用い、およびその後、バクテリアの発現システムを用いた選抜を用いて、植物における熱誘導によるデンプン合成の減少を軽減することができる酵素をコードするポリヌクレオチド分子を単離することができる。
【0030】
本発明は、さらに、そのゲノムの中に組み込まれたAGP変異遺伝子をもつ植物および植物組織に関する。本明細書で開示されている別の対立遺伝子も、植物ゲノムの中に組み込むことができる。好ましい態様において、この植物は、禾穀植物である。さらに好ましくは、この植物はトウモロコシ(Zea mays)である。AGP変異遺伝子をもつ植物を、そのゲノムの中に変異遺伝子を含む種子から生育させることができる。さらに、植物を遺伝子で形質転換させるための技術は、当技術分野において既知である。
【0031】
遺伝子コードの縮退によって、さまざまなポリヌクレオチド配列が、本明細書において開示されている各変異AGPポリペプチドをコードすることができる。さらに、本発明のポリペプチドと同一の、または本質的に同一のポリペプチドをコードする別のポリヌクレオチド配列を作出することは、当業者の技術の十分な範囲内にある。これらの変異ポリヌクレオチド、または別のポリヌクレオチドの配列は、本発明の範囲内に含まれる。本明細書で用いられるとき、「本質的に同一な」配列とは、本明細書で説明されているAGP変異ポリペプチドによってコードされるポリペプチドの機能的活性を実質的に変えることのないアミノ酸置換、欠失、付加、または挿入をコードする配列を意味する。
【0032】
本明細書で開示されている変異体において特異的に例示されているアミノ酸置換以外のアミノ酸置換も本発明の範囲に含まれる。アミノ酸は、以下のクラスに分類することができる:非極性、非荷電極性、塩基性、および酸性。一つのクラスのアミノ酸をもつ変異AGPポリペプチドが、同じクラスの別のアミノ酸に置き換えられている保存的置換も、変異AGPポリペプチドが、野生型ポリペプチドに比較して高い熱安定性を保持するかぎり、本発明の範囲内に含まれる。下の表2は、各クラスに属するアミノ酸の例を挙げたものである。
【0033】
【表2】

例えば、HS 33、HS 39、HS 40、およびHS 47変異体のトウモロコシ胚乳AGPの333番目のチロシンを、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、およびグルタミンなどのアミノ酸で置換することは、本発明の範囲に含まれる。
【0034】
本発明は、また、完全長変異ポリペプチドの断片が、全長ポリペプチドと実質的に同一の機能的活性を保持しているかぎり、それらの断片をコードするポリヌクレオチドに関する。これらのポリヌクレオチドによってコードされる変異AGPポリペプチドの断片も、本発明の範囲内に含まれる。
【0035】
本発明は、標準的な高厳密度条件下で野生型Sh2のDNA配列とハイブリッド形成できるように、野生型Sh2のDNA配列と充分に相同な配列をもつポリヌクレオチド分子も意図している。そのようなハイブリッド形成条件は、当技術分野において通常のものである(例えば、Maniatis, T., E. F. Fritsch, J. Sambrook [1989] 分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning. A Laboratory Manual)、第2版、コールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor , New York))。
【0036】
本発明のポリヌクレオチドを用いて、植物において熱安定的な変異AGP酵素を発現させるために、植物を形質転換させることができる。さらに、本発明のポリヌクレオチドを用いて、組換え変異AGP酵素を発現させることができる。また、これらをプローブに用いて、関連する酵素を検出することができる。また、これらのポリヌクレオチドは、DNA分子量決定の基準として用いることもできる。
【0037】
本発明のポリヌクレオチド分子は、植物の熱安定性を向上させることに加えて、種子重量を増加させるようなAGP酵素をコードするポリヌクレオチドも含む。熱安定性変異であるHSと、種子重量を増加させるような変異、例えば、Rev 6とを組み合わせることが、本発明で特に意図されている。例えば、米国特許第5,589,618号と同第5,650,557号を参照のこと。
【0038】
AGPのサブユニットにおいて熱安定性を付与する変異を、本発明にしたがって、Rev 6変異のような、トウモロコシのリン酸非感受性変異株と組み合わせると、大サブユニットにコードされているRev 6の安定性を向上させることができる。
【0039】
SSSの酵素活性は、AGPで見られるように、熱で低下すると思われる。したがって、SSSの突然変異型を高温条件下(42℃)で発現させて、熱安定性変異株を単離することができる。これらの熱安定的なSSSの突然変異型は、本発明のさらに別の局面である。
【0040】
本明細書において引用された刊行物と特許はすべて、参照として本明細書に組み入れられる。
【0041】
以下は、本発明を実施するための手順を例示する実施例である。これらの実施例は、制約的なものと解釈してはならない。別記されないかぎり、割合はすべて重量により、溶媒の混合比率はすべて容量による。
実施例1−トウモロコシ胚乳AGPの熱安定性変異体を得るための突然変異誘発法の使用
大サブユニットを発現するプラスミドの無作為突然変異を誘発するために、まず、化学的変異原である塩酸ヒドロキシルアミンを用いた。ヒドロキシルアミンは、シトシンのC-4の位置にあるアミノ基の窒素を選択的にヒドロキシル化して、GCからATへのトランジションをもたらす(Suzuki, D. T., Griffith, A. J. F., Miller, J. H.およびLewontin, R. C. [1989] 遺伝解析への手引き(Introduction to genetic analysis)より、ニューヨーク州フリーマン社(Freeman, NY)第4版、pp. 475〜499)。突然変異頻度の高い化学的変異原を選択した。化学的変異原には限界があることが分かっているので、あまり多様な遺伝的変異体が単離されなかったときには、PCRによる無作為突然変異誘発法を行なってもよい。PCRによる突然変異誘発法は、トランジションとトランスバージョンが同じような頻度で起こるなど、より広範な変異が生じさせるため、化学的方法に変わる優れた方法を提供する。カドウェルとジョイス(Dadwell, R. C., およびJoyce, G. F. [1992] PCR Methods and Applications 2:28〜33)によって概説されたこの方法は、PCRによる方法にとって模範的な方法となりうる。
【0042】
無作為の突然変異誘発においては完全な発現プラスミドが用いられるため、コーディング領域の外側で突然変異が起こる可能性がある。このような突然変異は、トウモロコシ胚乳のAGPの熱安定性に影響を及ぼさないと考えられるが、酵素レベルでのキャラクタリゼーションをさらに行なう前には、各変異体を変異誘発していない発現プラスミドにサブクローニングすることができる。NcoI/SacI消化によって全長のコーディング領域が解離するように、大小両サブユニットを発現するプラスミドを構築することができる。これは、変異を起していないNcoI/SacI消化された発現プラスミドに、容易にクローニングし返すことができる。
【0043】
実施例2−熱安定性AGP変異体の分子キャラクタリゼーションと解析
まず、トウモロコシ胚乳の大サブユニットの熱安定性変異株11個を得た。2個の全長を配列決定した。配列決定は、デュポン社(Dupont)とABI社の使用説明を用いて行なった。
配列データは、野生型の先祖対立遺伝子と機械的に比較することができる。この解析によって、熱安定性を条件づける変化の多様性の範囲が明らかになる。
配列決定したHS変異株はいずれも、大サブユニットにヒスチジンからチロシンへの同じ変異を含んでいる。PCRによって得られたHS変異株は、チロシンをヒスチジンへ戻すプライマーを用いて、部位特異的な突然変異誘発法を用いることによって、ヒスチジンからチロシンへの変化を速やかにスクリーニングすることができる。
【0044】
実施例3−遺伝的変異体の発現、精製、および動力学的解析
トウモロコシ胚乳の野生型AGPを大腸菌で発現させるための条件は、完全に特徴が分かっている。最適な増殖条件と誘導条件は、以前、大腸菌で発現させたジャガイモのAGPについて発表された条件と幾分異なっている(Iglesiasら、1993、前記;Ballicoraら、1995、前記)。0.3 mM IPTGと25μg/mlのナリジキシン酸存在下で、室温で12〜14時間誘導すると、高い発現レベルと活性レベルが一貫して得られる。抽出用緩衝液に30%硫酸アンモニウムと10 mM KH2PO4-/K2HPO4-を加えると、粗抽出物中のトウモロコシAGPが安定化する。
【0045】
硫酸アンモニウムで濃縮されたAGPを、ファルマシア(Pharmacia)HR 10/10カラムの中に詰めたテンタクル(Tentacle)C3アミノプロピル媒体(EMセパレーションズ(EM Separations))を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィー(Hydrophic Interaction Chromatography)でさらに精製する。タンパク質は、1 Mの硫酸アンモニウムを含む緩衝液の中でカラムに結合する。0.75 M、0.5 M、0.25 M、および0.Mの硫酸アンモニウムを含む緩衝液での連続段階勾配洗浄によって、カラムからAGPを溶出する。トウモロコシ胚乳の野生型AGPは、典型的には、0.25 Mの洗浄で溶出される。C3によって精製されたAGPを、さらに、ファルマシア(Pharmacia)HR 10/10カラムの中に詰めたマクロ-プレップDEAE(バイオラド社(BioRad))陰イオン交換媒体を用いた陰イオン交換カラムクロマトグラフィーによって精製する。AGPは、100〜500 mMのKClの直線的な濃度勾配で溶出され、典型的には、ほぼ300 Mの塩濃度で溶出する。すべてのクロマトグラフィーステップで、ファルマシア(Pharmacia)FPLCシステムを用いる。各精製ステップに関する条件は、充分に特徴づけられている。加ピロリン酸化分解アッセイによって、精製中のAGP活性をモニターし、SDS-PAGE、クーマシー染色、および、トウモロコシ胚乳AGPの大小サブユニットに特異的なポリクローナル抗体を用いたウエスタン解析によって、精製ステップをモニターする。
【0046】
実施例4−サブユニット相互作用の促進
トウモロコシ胚乳AGPのHS変異体の全く予想外の多面的効果は、熱処理する前よりも活性が2倍上昇することである。この結果について考えられる説明は、突然変異による変化によって、大腸菌の細胞の中にあるSH2とBT2のモノマーとポリマーの比率を変化させてしまったというものである。野生型では、おそらく、全タンパク質の10%しか活性のあるヘテロ四量体型になっていないが、変異株では、この比率がずっと高くなっているのであろう。もしポリマーがモノマーよりも熱耐性が強ければ、変異株の表現型は、これまで観察されてきたようになるであろう。動力学的解析を用いて、基質、および/またはアロステリックエフェクターに対する親和性における変化を測定する。
【0047】
これらの変異体で、モノマー/ポリマーの比率が変化するかもしれないという考えを調べるために、野生型と選択した変異株におけるモノマーとポリマーの量を、熱処理する前と後の両方でモニターすることができる。両サブユニットに対する抗体(Giroux, M. J.,およびHannah, L. C. [1994] Mol. Gen. Genetics 243:400〜408)が利用できれば、この方法を実施することができる。このことは、蔗糖密度勾配超遠心によっても、ゲルクロマトグラフィーによっても調べることができ、どちらの方法が最も効率がよく、信頼できるかを容易に判定できよう。
【0048】
高等植物のAGPは、本来のヘテロ四量体構造を形成するためにオリゴマー化する、よく似てはいるが異なった2つのサブユニットからなっているため、この相互作用を促進するような突然変異は、この酵素をさらに安定させることができる。酵母のツー・ハイブリッドシステム(クローンテック・ラボラトリーズ社(CLONTECH Laboratories)、カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto))を用いて、サブユニットの相互作用を評価することができる。コーディング領域を増幅するための特異的なプライマーを構築することができる。クローニングによって、各サブユニットが、GAL4 DNA結合ドメイン(pGBT9)、またはGAL4活性化ドメイン(pGAD424)に翻訳融合しやすくなるように、これらのプライマーの5'末端と3'末端には、ユニークな制限酵素部位が付加されている。ベクターにクローニングされたタンパク質が相互作用すると、DNA結合ドメインと活性化ドメインが、機能的な転写活性化因子を形成する。次に、これが、GAL4プロモーターの後ろにクローニングされているレポーター遺伝子lac Zの発現を活性化する。
【0049】
まず、野生型サブユニットによって条件の特徴を求めることができる。野生型大小サブユニットのコーディング領域を、pGBT9、およびpGAD424の酵母発現ベクターの中にクローニングすることができる。考えられるすべての組み合わせを作出して、試験することができる。Sh2とBt2を含むpGBT9およびpGAD424ベクターを、同一の酵母菌株に形質転換することができ、トリプトファン(pGBT9)とロイシン(pGAD424)を欠乏した培地上で増殖させて選抜を行なうことができる。lac Z発現の関数として、サブユニット相互作用を2つの方法で検出することができる。陽性のコロニーは、B-ガラクトシダーゼフィルターアッセイ法によって目で見て同定する。このアッセイ法によって、コロニーを、フィルターに結合し、溶解して、X-gal溶液でインキュベートする。青色のコロニーを示すコロニーを解析することができる。サブユニットの相互作用は、B-ガラクトシダーゼに特異的な酵素アッセイ法によって、さらに解析することができる。これによって、この相互作用を定量することが可能になる。アッセイすれば、サブユニットの相互作用を促進する変異は、より高レベルのB-ガラクトシダーゼ活性を示すはずである。
【0050】
実施例5−安定性の一層の促進
単離された大サブユニットの変異体の熱安定特性は多様であり、このことは、複数の突然変異が起こっていることを示唆している。変異株HS 33とHS 40の配列を解析によって、変異体の配列は同一ではないことが、どちらの変異体にもヒスチジンからチロシンへの変化が含まれていることが明らかになる。SH2タンパク質の中に異なったHS変異が同定されているとすれば、これらの変化を積み重ねて、効率的に一つのタンパク質を作り上げることができる。さらに、小サブユニット内のHS変異を、HS SH2変異体とともに同時発現させて、トウモロコシ胚乳酵素の安定性をさらに促進することができる。
【0051】
一つのサブユニット内の複数のHS変異体を容易に組み合わせることができる。例えば、Sh2のコーディング領域を3つの異なる断片に分割する、別々のユニークな制限酵素部位を用いることができる。適当ならば、対応する断片で、別の変異を含む断片をサブクローニングすることによって、変異を組み合わせたものを作出することができる。もし、2つの変異が近接したところにあるときには、部位特異的な突然変異誘発を用いて、そのような組み合わせを作り出すことができる。部位特異的な突然変異を起す方法の一つは、PCR、変異原プライマー、およびDpnI制限酵素の使用を含むものである。プライマーは、5'末端に変異を含むように構築することができ、これを用いて、プルーフリーディングポリメラーゼのVentを用いてPCR増幅する。次に、増幅されたDNAをDpnIで消化する。大腸菌から単離された親DNAはメチル化されているため、DpnIに対して感受性である。消化されたDNAを、ゲル電気泳動によってサイズ分画し、ライゲーションして、発現ベクターの中にクローニングする。配列解析によって変異を確認し、野生型の小サブユニットをもつAC70R1-504菌株に形質転換する。そして、組み合わせ変異体を解析することができる。
【0052】
実施例6−熱安定性変異体とRev6の組み合わせ
本発明によれば、熱安定性変異体を、例えば、Rev6変異のような、種子重量の増加を伴う変異と組み合わせることができる。目標は、安定性の促進を保ちつつ、Rev6の特徴である所期のリン酸非感受性を維持することである。Rev6/HS二重突然変異は、本明細書で説明されているようにして構築し、確認することができる。二重変異体を、野生型の小サブユニットをもつAC70R1-504菌株に形質転換する。熱安定性が増加したことは、低グルコース培地上におけるグリコーゲン陽性染色によって容易に同定することができる。Rev6は、この培地で増殖されると染色しない。まず、リン酸非感受性を維持しているものについて、変異体の組み合わせすべてを酵素的にスクリーニングすることができ、リン酸非感受性を維持している組み合わせのみを、さらに解析する。
【0053】
実施例7−SSS I変異体のクローニング
バクテリアの内生的なグリコーゲンシンターゼを欠損するglgA-大腸菌株は、大腸菌のストックセンターから入手することができる。AGPの発現に現に用いられているバクテリア発現用ベクターを、SSSを発現させるために用いることができる。
【0054】
例えば、Sh2とBt2で用いられたような(Girouxら、1996、前記)、クローニング法の一つは以下のとおりである:プライマーの一つは、ユニークな制限酵素部位と、転写産物の5'末端を含み、もう一つのプライマーは、ユニークな制限酵素部位と、調べている遺伝子の翻訳終止コドンの3'側の配列とを含んでいる。これらをさらに続けてクローニングすると、プラスミドの中に翻訳融合を生じる。これらの遺伝子に特異的なプライマーを、まず、登熟中の胚乳から得たポリA+RNAを用いたRT-PCR反応に使用する。
【0055】
トウモロコシ胚乳SSS Iの発現は、glgA-菌株におけるグリコーゲンシンターゼ活性の欠失を相補する。相補性は、glgC-菌株においてAGPの発現について行われたように、ヨウ素染色によって、容易に目で見ることができるはずである。粗抽出物をさまざまな温度と時間でインキュベートして、SSS Iの熱安定性を判定することができる。トウモロコシ胚乳のSSS Iを発現するglgA-菌株を、さまざまな温度で増殖させて、バクテリアのAGP発現システムにおけるように、温度感受性か否かを判定することができる。制限する温度が確認されたら、SSS Iクローンを用いて、無作為の突然変異誘発を行なうことができる。SSS Iの変異型をglgA-菌株に形質転換して、制限温度で増殖させて、制限温度でヨウ素に染色するグリコーゲンを産生できるかによって、熱安定性変異株を同定することができる。
【0056】
本明細書で説明されている実施例と具体的態様は、例示のためだけのものであり、その観点から、さまざまな修正と変更が当業者に対して示唆されており、それらは、本出願の意図と範囲に含まれ、また請求の範囲に含まれると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】トウモロコシ胚乳AGP大サブユニットの変異体。60℃で5分間熱処理した後に残存しているAGP活性の割合が示されている。
【図2】トウモロコシ、コムギ、オオムギ、およびジャガイモの大サブユニットにおけるHS 33変異周辺領域の一次配列。保存領域を四角で囲んだ。
【図3】トウモロコシ、コムギ、オオムギ、およびジャガイモの大サブユニットにおけるHS 33変異周辺領域の一次配列。保存領域を四角で囲んだ。太字のアスパラギン酸残基が、ジャガイモLSのアロステリック変異株のD413Aに対応している(Greene, T., Woodbury, R. L., およびOkita, T.W. [1996] Plant Physiol. (印刷中))。ホウレンソウの葉のAGP配列は、3-PGAの類似体の研究で同定されたアクチベーターのサイト2ペプチドである(Ball, K.とPreiss, J. [1994] J. Biol. Chem. 269:24706〜24711)。標識したリシン残基を太字で表してある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型AGPポリペプチドに比較して高い熱安定性を示す変異AGPポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたはその断片もしくは変異体。
【請求項2】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、植物のAGPポリペプチドである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドの大サブユニットにおけるアミノ酸変異を含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、小サブユニットにおけるアミノ酸変異を含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の333位のヒスチジン残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
333位の残基に位置するヒスチジンに代わるアミノ酸がチロシンである、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の177位のアラニン残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
177位の残基に位置するアラニンに代わるアミノ酸がプロリンである、請求項7記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の400位のアスパラギン酸残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
400位の残基に位置するアスパラギン酸に代わるアミノ酸がヒスチジンである、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の454位のバリン残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
454位の残基に位置するバリンに代わるアミノ酸がイソロイシンである、請求項11記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の104位のアルギニン残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
104位の残基に位置するアルギニンに代わるアミノ酸がスレオニンである、請求項13記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の460位のスレオニン残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
460位の残基に位置するスレオニンに代わるアミノ酸がイソロイシンである、請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリペプチドのアミノ酸配列の216位のアルギニン残基を、該ポリペプチドに熱安定性を付与するアミノ酸で置換するアミノ酸変異を含む、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
216位の残基に位置するアルギニンに代わるアミノ酸がプロリンである、請求項17記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
植物の熱耐性を高めるための方法において、請求項1記載のポリヌクレオチドを該植物のゲノム中に組込む段階、および該ポリヌクレオチド分子にコードされるタンパク質を発現させる段階を含む方法。
【請求項20】
植物がトウモロコシ(Zea mays)である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
請求項1記載のポリヌクレオチド分子を発現する植物。
【請求項22】
トウモロコシ(Zea mays)である、請求項21記載の植物。
【請求項23】
請求項1記載のポリヌクレオチド分子を組織のゲノム中に含む植物組織。
【請求項24】
植物の種子がトウモロコシ(Zea mays)によって産生される、請求項23記載の植物組織。
【請求項25】
種子である、請求項23記載の植物組織。
【請求項26】
請求項1のポリヌクレオチドによってコードされる変異AGPポリペプチド。
【請求項27】
請求項1記載のポリヌクレオチドであって、それによってコードされる変異ポリペプチドが、該ポリヌクレオチドを発現する植物に種子重量の増加をもたらすアミノ酸変異をさらに含むポリヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−237217(P2008−237217A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78407(P2008−78407)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【分割の表示】特願平10−523846の分割
【原出願日】平成9年11月18日(1997.11.18)
【出願人】(591184345)ユニバーシティ・オブ・フロリダ (4)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF FLORIDA
【Fターム(参考)】