説明

データセンタナビゲーションシステム

【課題】データセンタ内でのユーザの誘導や作業支援により、作業効率向上、作業漏れ防止や、人手や工数の削減、運用レベル向上、コスト削減などを実現できる技術を提供する。
【解決手段】本データセンタナビゲーションシステムは、ユーザ(U)に持たせるナビ機能50を有する携帯端末5と、データセンタ1内における携帯端末5の位置と対象のサーバ2の位置とを把握する手段(6等)と、作業及び作業実施状態を管理する手段(11等)と、携帯端末5の画面に、データセンタ1内でのユーザ(U)の現在位置から目的場所までの経路などを表示して誘導する手段(51等)、ユーザによる作業の内容をガイドする手段(52等)、及び位置情報などをもとに作業に係わる所定の状態を検知してアラームを出力する手段(53等)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンタ等のシステムの保守などの作業に係わる情報処理システム等の技術に関する。特に、データセンタ内で顧客・ユーザ(お客様、保守員など)を目的の場所(例えば対象サーバ機器)へ誘導したり、作業支援を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ・ネットワーク技術の発展に伴い、運用技術もますます複雑化してきている。そのため、データセンタでは、サーバ機器などの監視対象における障害発生に対する対策の必要や、リプレース/バージョンアップ等の構成変更の必要などが多発している。このような障害対策や構成変更などの保守作業を行う際には、その都度、現場(データセンタ)で保守員(運用SE等)が関係者などに連絡をとりながら行っている。これにより現場の人の作業負荷が増加し、それに伴いコストも増加するという状況がある。
【0003】
このような状況を解決するための先行技術例として、例えば、特開平8−77260号公報(特許文献1)(「障害対策支援システム」)にみられるような手法がある。特許文献1では、顧客からの障害申告を受けた際、システム管理者が障害発生情報を手作業でシステムに入力し、当該障害対応の処理結果の出力をもとに、運用SEが障害対策を行う。作業手順の不良や作業漏れを防ぐために、障害に合った保守作業を行うことで、運用SEの作業負荷が削減できる。
【0004】
上記のような技術により、技術者(保守員など)の技術的能力や障害対策能力の差やバラツキに対して軽減を図り、また作業漏れ等を無くし、作業効率を向上させることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−77260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のような障害対策支援などを行う従来技術では、例えば保守作業の列挙は可能であるが、データセンタで保守作業を行う際、例えば障害(障害対策の必要)が発生する度に、システム管理者が障害発生情報を入力しなければならない。また、現場以外(非常駐)の保守員(運用SE等)による作業支援が必要なケースや、チェックリスト等の電子データの多くを印刷して現場へ持ち込む事が必要なケースなどもある。
【0007】
上記の場合、データセンタの管理者(システム運用担当者)等の人が現場にいなければ障害対策の実施ができない/効率的に進まないといった問題や、保守対応に多くの工数が必要になるといった問題がある。
【0008】
例えば、保守員(運用SE等)が現場のデータセンタに赴いて障害対策などの保守作業を実施する場合がある。その際、データセンタ側では、在勤の管理者などが、上記保守員などの入退館などに立ち会い、センタ内の目的のサーバルームやラックまでの同伴・誘導や、センタ内の諸設備の利用に関する説明や案内などを行う必要がある。即ち、従来技術では、データセンタの保守などの作業のために人手を多く必要とし、作業効率に改善の余地があるという問題がある。
【0009】
以上を鑑み、本発明の主な目的として、データセンタにおける顧客・ユーザ(保守員を含む)によるサーバ機器などを対象とした保守などの作業や、お客様対応業務などで、一連の作業処理を支援する技術に係わり、データセンタ内で顧客・ユーザを目的の場所(例えば障害が発生したサーバ機器に対応するラックやルーム等)まで明確に誘導することや、作業支援を提供すること等により、作業効率向上や、作業漏れ・作業ミスの防止や、人手や工数の削減や、データセンタの運用レベルの向上や、コスト削減などを実現できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明のうち代表的な形態は、情報処理システム(データセンタナビゲーションシステム)等であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0011】
本発明では、無人データセンタ等の環境も想定し、データセンタ(対応するシステム、施設などを含む)における顧客・ユーザ(保守員を含む)による多数のサーバ機器などを対象とした保守やお客様対応業務などで一連の作業処理を誘導・支援するシステム(総合ツール等)を提供する。本発明は、作業処理を誘導・支援する従来技術部分に対して改良を加え工夫した構成である。
【0012】
(1)本発明では、データセンタ内で顧客・ユーザを目的の場所(例えば障害が発生したサーバ機器に対応するラックやルーム等)まで明確に誘導すること、及びセンタ内の諸設備の利用に関する説明や案内を行うこと等の行為をシステム化し、携帯端末などを用いて、顧客・ユーザに対しわかりやすくナビゲーションするサービス処理機能を有する。顧客・ユーザは、データセンタ内で、当該携帯端末で提供するサービスを利用し、一連の作業処理を行う。本システムは、顧客・ユーザの携帯端末、及び作業の対象のサーバ機器などの位置情報を把握する。これにより、顧客・ユーザを明確に誘導・案内し、作業効率向上などを実現する。
【0013】
(2)本発明では、上記データセンタ内での顧客・ユーザによるサーバ機器などの保守などの作業の際に、当該作業の支援処理を、携帯端末などを用いて顧客・ユーザに対しわかりやすくナビゲーション(ガイド)するサービス処理機能として提供する。例えば顧客・ユーザが対象サーバ機器などの位置に到着すると、携帯端末に、当該作業に係わる作業手順書やチェックリスト等のデータ情報を自動的に送信して画面で表示させることにより、当該作業内容をわかりやすくナビゲーション(ガイド)する。作業手順書の表示により、例えば対象サーバ機器ごとの障害状態などに合った最適な保守対応(障害対策案など)の作業の実施を可能とする。また、チェックリストの表示及び確認に基づき、作業手順の漏れなどを判断・検知してアラーム・通知することにより、作業漏れや作業ミスを防止する。
【0014】
本形態は、例えば、データセンタにおけるユーザによる機器を対象とした保守を含む作業に関する一連の作業処理を支援しナビゲーションする情報処理を行う、データセンタナビゲーションシステムであって、前記ユーザに持たせる、無線通信機能及びナビゲーション機能を有する携帯端末と、前記データセンタ内における前記ユーザが持つ携帯端末の位置と前記対象の機器の位置とを含む位置情報を把握する位置管理手段と、前記作業の内容及び前記ユーザによる作業の開始・終了を含む状態を情報管理する作業管理手段と、前記ユーザが持つ携帯端末の画面に、前記データセンタ内でのユーザの現在位置から作業に係わる目的の場所までの経路、及び諸設備の案内を含む情報を表示して誘導する処理を行う誘導手段と、前記ユーザが持つ携帯端末の画面に、前記ユーザによる作業の内容をガイドする情報を表示して作業支援する処理を行う作業支援手段と、前記位置情報をもとに、前記作業に係わる所定の状態を検知し、当該状態に応じて前記ユーザが持つ携帯端末にアラームを出力するアラーム手段と、を有すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のうち代表的な形態によれば、データセンタにおける顧客・ユーザによるサーバ機器などを対象とした保守などの作業やお客様対応業務などで一連の作業処理を支援する技術に係わり、データセンタ内で顧客・ユーザを目的の場所まで明確に誘導することや、作業支援を提供すること等により、作業効率向上や、作業漏れ・作業ミスの防止や、人手や工数の削減や、データセンタの運用レベルの向上や、コスト削減などを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態のシステム(データセンタナビゲーションシステム)の全体の構成を示す図である。
【図2】本実施の形態における、ラック情報の構成例を示す図である。
【図3】本実施の形態における、顧客情報の構成例を示す図である。
【図4】本実施の形態における、作業管理情報の構成例を示す図である。
【図5】本実施の形態における、作業チェック情報の構成例を示す図である。
【図6】本実施の形態における、処理例を示すフロー図である。
【図7】本実施の形態における、利用例のイメージを示す図である。
【図8】本実施の形態における、処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態(データセンタナビゲーションシステム等)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
[特徴等]
本システム(図1等)の特徴的な構成要素としては、携帯端末5のナビ機能50、位置情報管理サブシステム6、作業実行管理サブシステム11等がある。本システムでは、携帯端末5等を活用し、データセンタ1での作業(運用・保守等)の支援に係わるナビゲーション(ガイド)用の総合ツールを構成して顧客・ユーザ(Uで表す)等に対して提供する。携帯端末5は、画面で情報を表示し操作可能とする携帯型情報処理装置を活用する(このような携帯端末としては例えばアップル社のiPadなどが挙げられる)。
【0019】
(1) 位置情報管理サブシステム6及び誘導部51等の処理では、データセンタ1内で顧客・ユーザUを目的の場所(対象のサーバ2、ラック21等)まで明確に誘導し、またデータセンタ1内の諸設備の利用に関する説明や案内を行う。
【0020】
(1A) 本システムに対し、サーバ障害検出などの従来技術(例えば既存の監視・障害検出システム等による)や、顧客・ユーザUまたはオペレータ等による入力操作などに基づいて、データセンタ1内での作業に係わる目的のサーバ2等の対象/場所が指定されると、当該顧客・ユーザUの携帯端末5のナビ機能50による画面に、データセンタ1内の地図、及び受付(現在位置)から目的の場所(サーバ2、ラック21等)までの経路、及び関連する諸設備の情報などを表示させる。本システムは、当該データセンタ1内の専用の測位システム(位置情報管理サブシステム6)と連動することにより、携帯端末5で顧客・ユーザUに対し、現在位置から目的場所までの行き方を案内する。
【0021】
(2) 作業実行管理サブシステム11及び作業支援部52等の処理では、データセンタ1内での顧客・ユーザUによるサーバ2などの保守作業の際に、顧客・ユーザUが対象サーバ2などの位置に到着すると、携帯端末5に、当該作業に係わる作業手順書61やチェックリスト62等のデータ情報を自動的に送信して画面で表示させることにより、当該作業内容をわかりやすくナビゲーション(ガイド)する。
【0022】
(2A) 本システムでは、特に、データセンタ1内のシステムにおける構成要素である多数の対象機器(サーバ2を含む)に関する保守などの作業に係わり、当該対象機器の位置情報をもとに、当該作業時に必要な/有用な作業手順書61やチェックリスト62等のデータ情報を、本システムの構成要素(作業実行管理サブシステム11)が自動的に顧客・ユーザUの携帯端末5へ送信して画面に表示させ利用可能とする。顧客・ユーザUは、作業時に作業手順書61の参照に従って作業が実施でき、また、チェックリスト62に従ってチェック項目の確認・入力ができ、本システム(作業実行管理サブシステム11)は、顧客・ユーザUによる作業の開始・終了を含む状況を把握する。
【0023】
(3A) 本システムでは、対象機器(サーバ2等)及び携帯端末5とのデータ通信により連携(位置情報管理サブシステム6などを利用)することにより、対象機器及び携帯端末5(顧客・ユーザU)の位置情報や状態情報などをリアルタイム情報として把握する。これに基づいて、例えば作業の開始や終了の時点及び位置、及びその時の状態などを把握する。そして、本システムは、例えば計画されているにも関らず所定の作業が未実施(未完了)である対象機器の存在や、計画外の日時や場所における作業(立ち入り)など(所定の条件)を判断・検知する処理機能を有する。当該検知した場合、アラーム・通知機能17、及びアラーム部53を用いて、当該顧客・ユーザUの携帯端末5の画面へ、対応する内容のアラーム情報を表示する。また更に、必要に応じて関係者や関係部署など、所定の宛先(例えば既存の監視システムやオペレータ等)へ、対応する内容の情報を通知する。
【0024】
[システム全体]
図1は、本実施の形態のシステムの全体の構成例を示している。図1で、本システム(データセンタナビゲーションシステム)の全体は、データセンタ1と、無線基地局4と、顧客・ユーザUに持たせる携帯端末5と、位置情報管理サブシステム6と、作業実行管理システム11とを有し、図示するように相互に通信接続され連携する構成である。顧客・ユーザUは、データセンタ1を訪れるお客様や保守員などが含まれ、以下では主に保守員が保守作業を行う場合で説明する。
【0025】
データセンタ1は、特に無人データセンタ(センタ内に在勤の運用SE等を常駐しない形)を想定している。データセンタ1は、対象サーバ2、位置情報管理エージェント3、等を有する。ラック21(サーバラック)は、例えば複数のサーバ機器を搭載している。また例えば図示しないサーバルームには複数のラック21を設置している。またデータセンタ1内のエリアやフロアは複数のサーバルーム等を含んでいる。
【0026】
サーバ2は、監視や保守作業などの対象となる複数の各々のサーバ機器などである。なおサーバに限らずその他の各種の情報処理装置なども同様に適用可能である。サーバ2には位置情報管理エージェント3が接続される。位置情報管理エージェント3は、サーバ2の位置情報や状態情報を、無線基地局4を介して携帯端末5に送信し、さらに位置情報管理サブシステム6の位置情報収集マネージャ7へ送信する。
【0027】
無線基地局4は、構成要素間の無線データ通信を可能とする手段である。その他図示しないが構成要素間のネットワーク等の通信手段を有してもよい。
【0028】
携帯端末5は、ナビ機能(ナビゲーション機能)50を有する。ナビ機能50は、誘導部51、作業支援部52、アラーム部53、等を有する。携帯端末5は、その他、図示しないが無線通信機能、GPS機能(位置情報を処理する機能など)、GUI機能(タッチパネル等で情報を表示・操作する機能など)、といった公知技術による要素を備える。
【0029】
誘導部51は、データセンタ1内において顧客・ユーザUを目的の場所(対象サーバ2等)へ誘導・案内するサービス処理機能であり、サブシステム(6,11)等と連携しながら、携帯端末5の画面に、地図、経路、関連情報などを表示し、顧客・ユーザUにより参照・操作可能とする処理を行う。
【0030】
作業支援部52は、当該顧客・ユーザUによる実施すべき作業について作業支援するサービス処理機能であり、サブシステム(6,11)等と連携しながら、当該作業の作業手順書61などをダウンロード・取得して、携帯端末5の画面に表示し、顧客・ユーザUにより参照・操作可能とする処理を行う。
【0031】
アラーム部53は、当該顧客・ユーザUに対してアラーム出力する処理機能であり、サブシステム(6,11)等と連携しながら、前述の望ましくない所定の状態などを検知した場合に、対応する内容のアラーム情報を携帯端末5の画面に表示し、顧客・ユーザUにより参照・操作可能とする処理を行う。
【0032】
位置情報管理サブシステム6、作業実行管理サブシステム11等のサブシステムは、PC,サーバ,ネットワーク,データベース(DB)等の情報処理技術を用いて構成可能である。なおデータセンタ1内にサブシステム(6,11)が構成されてもよい。また各部は、他の既存のシステム(例えば監視・障害検出システム等)と接続され連携してもよい。
【0033】
位置情報管理サブシステム6は、位置情報収集マネージャ7、ラック検索機能8、ラック情報9、顧客情報10、等を有する。位置情報管理サブシステム6は、少なくともデータセンタ1内における対象のサーバ2及び携帯端末5の位置を把握し管理する。位置情報管理サブシステム6は、例えば、GPS等の測位システム(公知技術)を用いて、当該データセンタ1内の専用の測位システムとして構成されてもよい。また図1の構成例では、位置情報管理サブシステム6に、検知機能31、顧客管理機能32を含む場合を示している。
【0034】
位置情報収集マネージャ7は、位置情報管理エージェント3から携帯端末5等を通じて対象のサーバ2の位置情報を収集する。
【0035】
ラック検索機能8は、位置情報収集マネージャ7により得たサーバ2の位置情報をもとに、ラック情報9から、ラックID、ホスト名(サーバ名)などの情報を検索して取得する。また、ラック検索機能8は、上記取得したラック・サーバ情報を入力として、顧客情報DB10から、該当する顧客・ユーザU及び携帯端末5の顧客ID、利用者数などの情報を検索して取得する。
【0036】
ラック情報9は、例えば図2のようなラック情報をDBなどに格納する形である。ラック情報9は、作業の対象や候補となる、ラックID,ホスト名(サーバ名)等のラック・サーバ情報と、その設置場所(位置)などの情報を含む。
【0037】
顧客情報10は、図3のような顧客情報をDBなどに格納する形である。顧客情報10は、顧客ID(お客様ID,保守員ID等)とラック・サーバとの関係付けの情報などを含む。
【0038】
作業実行管理サブシステム11は、作業管理機能12、作業チェック機能13、作業管理情報14、作業チェック情報15、集計レポート16、通知機能17、等を有する。なお作業管理機能12や作業チェック機能13などを一体化してもよい。また各情報(DB)は外部に格納・管理してもよい。
【0039】
作業管理機能12は、障害発生や計画に応じた作業の作業管理情報14を作成し、管理する。また、作業管理機能12は、必要に応じて、作業管理情報14に関連付けて、作業手順書61やチェックリスト62のデータを作成し、管理する。作業チェック機能13は、チェックリスト62を用いた作業チェック状態・結果に応じた作業チェック情報14を作成し、管理する。作業手順書61は、作業内容として作業手順の一覧などが記載される。チェックリスト62は、複数のチェック項目のリストなどを含み、顧客・ユーザUにより情報入力可能な形式である。
【0040】
作業管理情報14は、図4のように、顧客IDに関連付けられる作業IDと、作業手順書及びチェックリストの情報、作業対象のラック・サーバ等の情報、作業の状態を示す情報、作業の日時に関する情報、等の各種データ情報をDBなどに格納する形である。
【0041】
作業管理機能12では、位置情報管理サブシステム6で取得された顧客IDなどの情報をもとに、作業管理情報14から、当該顧客IDに関連付けられる作業の作業IDと、当該作業IDに関連付けられる、作業手順書61、チェックリスト62、対象ラック・サーバ(例えば該当サーバ(ホスト名)の一覧など)などのデータ情報を作成または取得する。そして、上記作業手順書61などのデータ情報を携帯端末5へ自動的に送信して画面に表示させる。
【0042】
また作業管理機能12は、携帯端末5及び位置情報管理サブシステム6を通じて、顧客・ユーザUによる対象のサーバ2に対する保守等の作業の実施の状態を把握し、作業管理情報14に、当該作業状態(ステータス)を記載する。
【0043】
作業チェック機能13は、顧客・ユーザUによる保守等の作業の実施中あるいは作業完了後、携帯端末5の画面でチェックリスト62を参照させ、確認・記入させることにより、当該顧客・ユーザUの作業に係わるチェックを可能とする。作業チェック機能13は、携帯端末5及び位置情報管理サブシステム6を通じて、上記チェックリスト62(記入済みデータ)によるチェック状態・結果を取得し、当該情報をもとに作業チェック情報13を記載する。また、作業完了後、作業チェック機能13は、上記作業管理情報14、作業チェック情報15などの内容をもとに、集計レポート16を作成し、記憶・出力する。
【0044】
また、本システムにおいて、位置情報管理サブシステム6内部あるいは作業実行管理サブシステム11内部などに、検知機能31、及び顧客管理機能32などを含む。
【0045】
検知機能31は、位置情報管理サブシステム6による位置情報・状態情報などをもとに、作業管理情報14等に照らして、所定の状態(例えばアラーム・通知が必要な状態)を検知する処理を行う。所定の状態の例として、作業の開始/終了や、作業の未実施/実施済の状態、作業の漏れ、計画外/計画時間外のサーバの作業やその場所への立ち入り等の状態を判断・検知する。
【0046】
顧客管理機能32は、顧客IDなどの顧客・ユーザUの情報を顧客情報10に格納し管理する処理を行う。なお、検知機能31や顧客管理機能32は、作業実行管理サブシステム11内に備えてもよい。
【0047】
アラーム・通知機能17は、作業実行管理サブシステム11による作業状態の把握や、検知機能31などによる所定の状態の検知に基づき、携帯端末5のアラーム部53との連携を通じて、アラーム出力や通知などの処理を行う。アラーム・通知機能17は、例えばアラーム出力が必要であると判断した場合・時には、携帯端末5のアラーム部53に連携して画面にアラーム情報を表示させる処理を行う。またアラーム・通知機能17は、上記アラームを出力した場合など、関係者や関係部署、既存システム等への連携が必要であると判断した場合には、対応する所定の宛先へ電子メール等により情報を通知して連携する。
【0048】
なお顧客情報10および作業管理情報14などの情報は、データセンタ1へサーバを設置した際(運用などの開始時)に初期登録する形態や、その都度発生する作業ごとに随時登録する形態など、いずれも可能である。
【0049】
[ラック情報]
図2は、図1のラック情報9に存在する情報の項目例を示している。本表では、ラックID、ホスト名、ハードウェア型番、OSバージョン、設置場所などを有する。ラックIDは、サーバ機器(サーバ2)が搭載されたラック21を一意に識別する情報である。ホスト名などは、当該サーバ機器(サーバ2)の識別情報や属性情報などである。設置場所は、当該データセンタ1における当該サーバ機器(サーバ2)のラック21が設置された場所(位置)を示す情報である(例えばフロア、エリア、ルーム等を示す)。
【0050】
[顧客情報]
図3は、図1の顧客情報10に存在する情報の項目例を示している。本表では、顧客ID、ラックID、顧客名、会社名、利用者数などを有する。顧客IDは、顧客・ユーザUの識別情報である。顧客名、会社名などは、当該顧客・ユーザUの属性情報である。
【0051】
[作業管理情報]
図4は、図1の作業管理情報14に存在する保守作業・状況に係わる情報の項目例を示している。本表では、顧客ID、作業ID、作業手順書名、作業ステータス、ホスト名、重要度、チェックリストID、対策期間などを有する。なお作業手順書やチェックリストのデータ(61,62)は別に格納されている。
【0052】
作業ID(保守作業ID)は、当該作業(保守作業)の識別情報である。作業手順書名は、作業手順書61のデータを指し示す識別情報である。作業ステータスは、当該作業の状態を示し、例えば“未実施”/“実施済”などの値がある。ホスト名は、作業対象のサーバ2などのホスト名及びその一覧などの情報である。重要度は、当該作業の重要度(ないし優先度)を表す(例えば高/中/低)。チェックリストIDは、当該作業のチェックリスト62のデータを指し示す識別情報である。対策期間は、当該作業(障害対策など)を実施する期間・日時に関する情報である。
【0053】
[作業チェック情報]
図5は、図1の作業チェック情報15に存在する情報の項目例を示している。本表では、顧客ID,ラックID,作業ID,登録時刻、チェックリストIDなどを有する。登録時刻は、例えば当該顧客・ユーザUによる作業終了及びチェックリスト62(記入済み)のアップロードによる登録の日時、あるいは集計レポート16の登録の日時などを示す。
【0054】
作業チェック機能13及び作業チェック情報15では、作業手順書61及びチェックリスト62通りに作業が実施され完了しているか等をチェック・確認する。そのために、チェックリスト62(記入済みデータ)の中身を確認する。作業チェック機能13は、制御例としては、チェックリスト62(その中のチェック項目)通りにすべて作業完了している場合は集計レポート16に登録し、もしチェックリスト62中その通りに作業完了していない箇所がある場合などには、集計レポート16に登録せずに、携帯端末5のアラーム部53に連携してアラーム出力(例えば画面にダイアログ(アラーム情報)を表示)する。これにより顧客・ユーザU(保守員)に、作業を再チェックさせ、必要な手順などを実施させる。
【0055】
[処理]
図6は、本実施の形態のシステムにおける一連の動作・処理フローを示している。S1等は処理ステップを示す。
【0056】
(S1) 携帯端末5のナビ機能50において、誘導部51により、携帯端末5の画面に、データセンタ1内の地図、現在位置から目的場所(対象ラック・サーバ等)までの経路などを表示し、顧客・ユーザUの移動をナビゲーションする(図7(b)に対応)。
【0057】
(S2,S3) S1で、位置情報管理サブシステム6の位置情報収集マネージャ7は、携帯端末5側から、サーバ2の位置情報などを受信・取得し、この位置情報を読み込んで処理する。S3では、ラック検索機能8により、S2で読み込まれた位置情報などによりラック情報9を検索し、該当するラックのラックID等を得る処理を行う。該当するラックとは、当該顧客・ユーザUが実施する作業の対象のサーバ2を搭載したラック21である。S3で、該当ラックが有る場合(Y)は、S6へ進み、該当ラックが無い場合(N)は、S4へ進む。
【0058】
(S4,S5) S4は、ラック情報の再検索を行い、結果、該当ラックが見つかった場合はS6へ進み、見つからなかった場合はS5へ進む。S5では、対処として、受付に連絡する処理や、所定の宛先へ通知する処理などを行う。
【0059】
(S6,S7) S6では、ラック検索機能8により、顧客情報10から、該当ラック(対象サーバ)に関連付けられる顧客・ユーザUのID情報(図3の顧客ID)である、お客様ID(xとする)ないし保守員ID(yとする)を検索する。なお、ここでは、顧客・ユーザUとして、お客様と保守員とを分けて管理しているが、お客様と保守員とが同じ概念である場合はそのID(顧客ID)を取得すればよい。
【0060】
S7では、S6の結果(ID)をもとに、当該顧客・ユーザUの名前などの情報を特定する(例えば顧客名、会社名など)。上記で取得した情報を、位置情報管理サブシステム6から作業実行管理サブシステム11に連携する。作業実行管理サブシステム11は、位置情報管理サブシステム6による情報を用いて処理を行う。
【0061】
(S8〜S12) 上記S6で検索・該当したID(x,y)の分、以下のS8〜S12のループで、各IDごとに、作業実行管理サブシステム11の処理を繰り返す。
【0062】
S9では、作業管理機能12は、S6,S7で顧客ID等が特定された顧客・ユーザUに関連付けられる専用の作業手順書61、チェックリスト62、対象ラック・サーバ情報、などのデータ情報を取得する。この処理は、作業管理情報14(図4)などを参照して、「顧客ID」に関係付けられる「作業ID」により、「作業手順書名」、「チェックリストID」、「ラックID」、「ホスト名」などの情報を得ることで可能である。また位置情報管理サブシステム6のラック情報9、顧客情報10などを参照して同様の情報を取得してもよい。
【0063】
S10では、S9の結果を、上記特定のIDの顧客・ユーザUの携帯端末5にまず情報通知する。例えば、当該顧客・ユーザUの実施する作業に関する作業手順書61等が利用・参照可能である旨の情報を携帯端末5の画面に表示させる。
【0064】
S11では、S10の通知に基づき、当該顧客・ユーザUは、携帯端末5の画面で、作業手順書61を参照すべく例えばボタンを押す等して、作業手順書61等をダウンロードし、その内容を携帯端末5の画面に表示させることができる。対応して、作業実行管理サブシステム11は、当該顧客・ユーザUの携帯端末5(作業支援部52)へ、対象ラック・サーバ情報、作業手順書61、チェックリスト62、等のデータ情報を送信(ダウンロード)する。なおS10の手順を省略してS11を行う形としてもよい。
【0065】
(S13,S14) S13で、当該顧客・ユーザUは、携帯端末5の画面に表示される作業手順書61の情報などに従って、対象のサーバ2に対し保守等の作業を実施することができる。作業の開始や終了(作業の場所、状態、日時など)は、位置情報管理サブシステム6がサーバ2及び携帯端末5側から位置情報や状態情報を取得することにより把握される。そして例えば作業管理機能12は、作業管理情報14(図4)に「作業ステータス」の値(未実施/実施済)を格納する。
【0066】
S14で、当該顧客・ユーザUは、上記の作業の完了後(または作業中)、携帯端末5の画面に表示されるチェックリスト62の内容(作業内容に応じる)を見てチェック項目(例えば所定の手順を実施したかどうかのチェック項目)に記入し、例えばボタンを押す等により、当該記入済みのチェックリスト62のデータを作業実行管理サブシステム11へアップロード(送信)することができる。作業チェック機能13は、上記チェックリスト62のデータを携帯端末5側から取得し、対応する作業チェック内容などを示す情報を、作業チェック情報15(図5)に保存する。
【0067】
(S15〜S17) S15では、作業実行管理サブシステム11は、当該顧客・ユーザUの所定の作業が全て完了しているかどうかを判断する。例えばS14でのチェックリスト62のデータの取得及びその内容確認により作業完了/未完了が判断できる。
【0068】
S15で未完了の場合(N)、S16では、アラーム・通知機能17を用いて、当該顧客・ユーザUの携帯端末5へ、対応する内容のアラーム情報を送信して画面に表示させることにより、警告・注意喚起したり、再作業や再チェックを指示する。これにより、S13に戻り、当該顧客・ユーザUは、再作業や再チェックを同様に行う。また併せて、アラーム・通知機能17を用いて、所定の宛先(例えば既存システムのオペレータ等)へ対応する内容の情報の通知処理を行って連携してもよい。
【0069】
S15で全て完了の場合(Y)、S17では、作業チェック機能13を用いて、作業チェック情報15をもとに、当該作業の結果を集計し記載した集計レポート16を生成し、保存する。また、この集計レポート16を、例えばアラーム・通知機能17を用いて、所定の宛先(例えば既存システムのオペレータ等)へ配布や通知(作業完了通知)の処理を行って連携してもよい。
【0070】
[利用例]
図7は、本システムの利用例として、データセンタ1における受付から目的場所(該当ラック・サーバ)までの誘導、及び保守作業支援処理までのイメージを示す。(a)は受付時、(b)は誘導時、(c)は作業支援時である。
【0071】
(a)で、データセンタ1(無人データセンタ等)における入館時の受付において、顧客・ユーザU(例えば保守員)は、受付係の人から、携帯端末5とラックキーを受け取る。ラックキーは、該当のラック21を開けサーバ2の操作を可能にするキーである。なお退出時には受付で携帯端末5とラックキーを返却することになる。
【0072】
(b)で、データセンタ1内において、顧客・ユーザUは、携帯端末5のナビ機能50(誘導部51)を利用して画面の情報を参照しながら、現在位置から目的場所までの移動などを誘導・案内してもらう。画面では、データセンタ1内の地図上、現在位置から目的場所(サーバ2/ラック21等)までの経路を表示し、また他の諸設備(例えば食堂、トイレ、休憩室など)についても、位置や経路や関連情報などを探索して表示可能とする。例えば画面で目的地となる設備をユーザUが指定・入力すると、現在位置から目的地までの経路を表示して案内する。
【0073】
また、ナビ機能50では、作業実行管理サブシステム11等との連携に基づき、作業の実施に関するデータセンタ1内の利用可能時間や予約状態、作業実施完了すべき期限(対策期間)など、関係する情報についても併せて画面に表示してナビゲーション可能とする。
【0074】
顧客・ユーザUは、上記のようなナビ情報に従って、目的の場所である、サーバルーム内の該当のラック21の保守作業の対象のサーバ2などの位置まで到着する。その際、位置情報管理サブシステム6により、対象のサーバ2の位置や携帯端末5(顧客・ユーザU)の位置が把握される。また例えば顧客・ユーザUが目的場所(対象のラック21等)とは違う位置にいることを検知した場合は、携帯端末5等へアラーム表示してもよい。
【0075】
(c)で、顧客・ユーザUが該当のサーバルームの該当のラック21の位置に到着すると、顧客・ユーザUはラックキーでラック21を開け、対象のサーバ2を操作し、保守等の作業を実施(開始)する。その際、携帯端末5の作業支援部52の処理に従い、及び当該ラック21/サーバ2の位置情報をもとに、作業実行管理サブシステム11から、対象サーバ2及び顧客・ユーザUの作業に関連けられる作業手順書61及びチェックリスト62等のデータ情報が自動的に携帯端末5にダウンロード(送信)され画面に表示可能となる。この作業手順書61等により作業の操作がナビゲーション(ガイド)される。顧客・ユーザUは、画面を見ながらどのサーバ2や部位などをどのような手順でどのように操作すればよいか等がわかりやすく、作業を効率的に実施することができる。例えば顧客・ユーザUは、画面のガイドに従い、保守作業の対象となるサーバ2に対するサーバログインやサーバリブートなどの所定の手順を行う。
【0076】
また携帯端末5の画面に当該作業に関するチェックリスト62を表示可能とする。顧客・ユーザUは、画面でその内容である所定のチェック項目などを参照・確認し記入する。顧客・ユーザUによる作業手順書61に従った所定のすべての作業の完了後、及びチェックリスト62の記入後、当該記入済みのチェックリスト62のデータを携帯端末5から作業実行管理サブシステム11へアップロードすることができる。これにより、本システムは、作業終了状態及びチェックリスト62内容(作業チェック結果)を把握できる。
【0077】
また例えば、本システムは、上記チェックリスト62の結果から、実施すべき作業手順の漏れや、記入すべきチェック項目の漏れ、等を判断・検知する。そして、この漏れ等を検知した場合、アラーム・通知機能17、及び携帯端末5のアラーム部53の処理を用いて、携帯端末5の画面に、対応する内容のアラーム情報を表示させたり、所定の宛先へ通知を行う。これにより顧客・ユーザU等に対して警告・注意喚起などができ、作業忘れ、作業ミス等を防止することができる。
【0078】
また、上記作業の開始や終了の時は、位置情報管理エージェント3及び携帯端末5を通じてデータ通信して、位置情報管理サブシステム6等により、位置、日時、状態などを把握する。これにより、本システム(及び通知が行われる場合の既存システムやオペレータ等)は、顧客・ユーザUによるサーバ2に対する作業の状況などを把握する。
【0079】
特に、本システムは、位置(場所)情報を判断することにより、顧客・ユーザUの携帯端末5が、例えば計画の作業の対象となるサーバ2/ラック21/ルーム等の位置にいるかどうかを判断・検知する。そして例えば計画外の位置にいる場合には、アラームやガイドを携帯端末5の画面に表示させたり、所定の宛先(既存システム等)へ通知を行う。
【0080】
また特に、本システムは、日時情報を判断することにより、現在日時が、例えば対象のサーバ2の保守作業に関する計画(利用可能、予約など)の日時内であるかどうかや、保守作業(障害対策など)の実施の期限の前か後かなどを判断・検知する(例えば図4の「対策期間」などを参照して判断可能である)。そして例えば計画日時外である場合や、期限切れが迫っている場合などには、対応する内容のアラーム情報を携帯端末5の画面へ表示させたり、所定の宛先(既存システム等)へ通知を行う。
【0081】
また特に、本システムは、対象のサーバ2の位置だけでなく状態を、位置情報管理エージェント3、及び携帯端末5を介してデータ通信によって受信・取得し、この状態情報に基づいて、望ましくない所定の状態を判断・検知する。そして、当該検知に基づき、当該顧客・ユーザUの携帯端末5や既存システム等へ、対応する内容のアラームや通知を実行してもよい。この場合、例えば位置情報管理サブシステム6(位置情報管理エージェント3、位置情報収集マネージャ7)は、対象のサーバ2の状態を監視・取得する機能を持つ形態となる。位置情報管理エージェント3により、当該サーバ2の障害状態や、当該サーバ2内の温度異常の発生有無などの状態(正常/異常などの状態)を取得して送信し、位置情報管理サブシステム6で把握し、位置などと併せて参照可能とする。例えば対象のサーバ2が温度異状の状態であることを検知した場合、アラーム・通知機能17及びアラーム部53を用いて、携帯端末5の画面に、当該サーバ状態や、アラーム情報、関係者への連絡先などを表示させたり、所定の宛先へ通知を行う。これにより顧客・ユーザUは、当該サーバ状態を認識し、対策などを検討することができる。
【0082】
また、携帯端末5では、ナビゲーション(ガイド)の表示、対象サーバ2の状態やアラーム等の表示だけでなく、インターネット閲覧等の機能(公知技術)を利用して、例えばサーバ2の状態で不具合などがある場合に、その調査のためにインターネット情報を利用(連携)可能とする。またそのインターネット情報としては、既存システムや関係者による調査結果情報を提供するように連携してもよい。顧客・ユーザUは、携帯端末5の画面で、対象サーバ2の不具合の調査結果などの情報を見て対策検討などができる。
【0083】
[処理例]
図8では、補足として、本システム(5,6,11等)における、特に作業手順書61・チェックリスト62の表示、及びアラーム表示等に係わる処理例を示している。a1等は、動作や処理ステップを示す。また作業DB80は、作業管理情報14等に係わる構成例であり、工程表81を含み、工程表81に対して関連付けられる、作業手順書61、チェックリスト62、対象ラック情報63、対象顧客情報64、対象日時情報65等が格納されている。対象ラック情報63は、作業の対象となるラック21やサーバ2を示す情報である(例えばラックID)。対象顧客情報64は、作業を行う顧客・ユーザUを示す情報である(例えば顧客ID)。対象日時情報65は、作業の計画の日時を示す情報である。その他、工程表に基づき作業を規定する各種情報が管理される。
【0084】
(a1) 図7(b),(c)のように、顧客・ユーザUが目的場所のラック21・サーバ2等に到着した時などに、当該携帯端末5及びサーバ2の位置情報が本システムへ送信・取得される。
【0085】
(a2) 本システム(位置情報管理サブシステム6)は、a1の位置情報により、作業DB80を参照し、対象ラック21・サーバ2等を検索する(前記S3に相当)。
【0086】
(a3) そして、本システムは、対象の作業に関する、日時、ラック・サーバ(位置)、顧客・ユーザU等を判断・確認する。ここで例えば位置・日時などが計画外である場合(NG)は、前述のようにアラーム・通知機能17を用いてアラーム表示などを行い、また、当該携帯端末5へは作業手順書61などの送信・表示を行わないように制御する。
【0087】
(a4)本システムは、a3で問題無い場合(OK)、作業DB80から、当該作業(作業ID)、顧客・ユーザU(顧客ID)等に対応付けられる、作業手順書61、チェックリスト62等のデータを読み出し、携帯端末5へ送信して、画面に表示させる(前記S11に相当)。
【0088】
(b1) また一方、顧客・ユーザUは、作業を実施し、状況に応じて、携帯端末5の画面に情報を入力する。例えば、顧客・ユーザUは、所定の作業を終了すると(工程消し込み)、チェックリスト62に記入し、画面でアップロードを実行する。これにより、携帯端末5から本システム(作業実行管理サブシステム11)へ、データ通信により、チェックリスト62のデータが送信され取得される。また併せて対象サーバ2からも状態などの情報が取得される。
【0089】
(b2) 本システムは、b1のデータ情報をもとに、所定の作業が完了(実施済)か未完了(未実施)か等を判断・確認する。例えば未完了の対象サーバ2や、未実施の手順などがある場合は検知される。
【0090】
(b3,b4) そして、b2で所定の作業をすべて正常に完了したと判断した場合は、本システムから携帯端末5へ、そのことを示す作業結果情報を送信して画面に表示させる。また未完了と判断した場合は、アラーム・通知機能17、アラーム部53を用いて、携帯端末5の画面に、そのことを示すアラーム情報を送信して表示させる(前記S16に相当)。
【0091】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態によれば、無人データセンタ等の環境において、位置情報などをもとに、携帯端末5の画面で、顧客・ユーザUの現在位置から例えば障害発生した対象のラック21・サーバ2等の場所までの経路が表示され、的確に誘導・案内ができる。また、例えば障害発生した対象のサーバ2毎の障害対策案に合った最適な作業手順書61などの提供により、効率的な作業を支援可能となる。また、チェックリスト62の提示や、作業漏れ等を検知した場合のアラーム出力などにより、作業漏れ・ミス等を無くす/減らすことが可能となる。
【0092】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、データセンタ等の運用・管理システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…データセンタ、2…対象サーバ、3…位置情報管理エージェント、4…無線基地局、5…携帯端末、6…位置情報管理サブシステム、7…位置情報収集マネージャ、8…ラック検索機能、9…ラック情報DB、10…顧客情報DB、11…作業実行管理サブシステム、12…作業管理機能、13…作業チェック機能、14…作業管理情報、15…作業チェック情報、16…集計レポート、17…通知機能、21…ラック、31…検知機能、32…顧客管理機能、50…ナビ機能、51…誘導部、52…作業支援部、53…アラーム部、61…作業手順書、62…チェックリスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンタにおけるユーザによる機器を対象とした保守を含む作業に関する一連の作業処理を支援しナビゲーションする情報処理を行う、データセンタナビゲーションシステムであって、
前記ユーザに持たせる、無線通信機能及びナビゲーション機能を有する携帯端末と、
前記データセンタ内における前記ユーザが持つ携帯端末の位置と前記対象の機器の位置とを含む位置情報を把握する位置管理手段と、
前記作業の内容及び前記ユーザによる作業の開始・終了を含む状態を情報管理する作業管理手段と、
前記ユーザが持つ携帯端末の画面に、前記データセンタ内でのユーザの現在位置から作業に係わる目的の場所までの経路、及び諸設備の案内を含む情報を表示して誘導する処理を行う誘導手段と、
前記ユーザが持つ携帯端末の画面に、前記ユーザによる作業の内容をガイドする情報を表示して作業支援する処理を行う作業支援手段と、
前記位置情報をもとに、前記作業に係わる所定の状態を検知し、当該状態に応じて前記ユーザが持つ携帯端末にアラームを出力する処理を行うアラーム手段と、を有すること、を特徴とするデータセンタナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1記載のデータセンタナビゲーションシステムにおいて、
前記作業管理手段は、前記作業に係わる作業手順書及びチェックリストを作成し管理し、
前記作業支援手段は、前記ユーザによる前記対象の機器に対する作業の開始の際、前記位置情報をもとに、前記ユーザが持つ携帯端末の画面に、前記作業に係わる作業手順書及びチェックリストのデータを送信して表示し、
前記作業管理手段は、前記ユーザによる前記作業手順書及びチェックリストに従った作業の実施の状態、結果、及びチェックリスト入力データを取得して把握し、これにより作業漏れを判断し、
前記アラーム手段は、前記作業漏れの場合、前記ユーザが持つ携帯端末にアラームを出力すること、を特徴とするデータセンタナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1記載のデータセンタナビゲーションシステムにおいて、
前記作業管理手段は、前記位置情報、及び日時情報をもとに、前記ユーザによる作業の実施の状態が、前記作業の計画から外れた位置及び日時の状態でないかどうかを判断し、
前記アラーム手段は、前記計画から外れた位置または日時の状態である場合、前記携帯端末の画面にアラームを出力すること、を特徴とするデータセンタナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1記載のデータセンタナビゲーションシステムにおいて、
前記対象の機器における障害状態、及び正常/異常を含む状態を状態情報として取得し把握する手段を有し、
前記アラーム手段は、前記状態情報をもとに、前記障害状態または異常の状態である場合、前記携帯端末の画面に、前記対象の機器の状態、及びアラームを出力すること、を特徴とするデータセンタナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−256276(P2012−256276A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129957(P2011−129957)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)