説明

データベースアクセスシステムその方法およびプログラム

【課題】データベースアクセスの変更時に修正するプログラムの箇所を容易に特定できるようにすること。
【解決手段】業務プログラム4を作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品1が、データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成するデータベースアクセス手続き定義ファイル2を参照して実際のデータベース3へのデータベースアクセス動作を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ上で動作するソフトウェアに元となるソースプログラムにて利用している関数の利用における整合性の確認を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、業務プログラムを構成する要素のうち、業務の実行ルールである業務ロジックを記述する部分と、データベースという情報を保持する装置(プログラム)にアクセスするプログラムコードを混在して記述していたため、どちらかの仕様変更に伴う修正を加える場合に、両方の要素が混在したプログラムソースファイルから修正が必要な部分を探し出し、修正作業を行う必要があった。そのため、修正箇所を特定するための作業時間が余計に必要となり、不要な部分まで修正してしまうという作業の誤りも発生していた。
【0003】
従来のデータベースアクセス方式を示す模式図としては、例えば、図4に示すようなものがある。
【0004】
ここで、SQL文の各句の関連に矛盾がないかチェックする関連チェック手段と、矛盾を検出した場合には、矛盾と補正内容の対応を記憶した補正規則テーブルを検索して、該矛盾に対応した補正内容を取得してSQL文を自動補正するSQL文補正手段とを備え、生成手段では、矛盾の解消されたSQL文を発行するプログラム ソースを自動生成することで、データベース操作に定義されている条件等の矛盾を検出し、自動補正する技術が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−184241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
【0006】
業務プログラムを作成する際にデータベースをアクセスするためのSQLなどの手続き言語を他のプログラムロジックと混在させて記述していたため、データベースの構造を変更した場合や、利用データベースソフトを変更した場合に発生するSQLなどのデータベースアクセス手続きの修正箇所が業務プログラムの広範囲に分散していた。
【0007】
そのためプログラムの修正の作業効率が低下し、修正漏れなどの誤りが発生することが多かった。
【0008】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、データベースアクセスの変更時に修正するプログラムの箇所を容易に特定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、業務プログラムを作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品と、データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成する定義ファイルと、データベースアクセス用のプログラム部品が定義ファイルを参照して実際のデータベースアクセス動作を決定することを特徴とするデータベースアクセスシステムである。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のデータベースアクセスシステムにおいて、データベースアクセスのための定義は一部をパラメータ化し、プログラム実行時にパラメータを変更することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、業務プログラムを作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品が、データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成する定義ファイルを参照して実際のデータベースアクセス動作を決定することを特徴とするデータベースアクセス方法である。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のデータベースアクセス方法において、データベースアクセスのための定義は一部をパラメータ化し、プログラム実行時にパラメータを変更することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、業務プログラムを作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品を備え、コンピュータに、データベースアクセス用のプログラム部品が前記データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成する定義ファイルを参照して実際のデータベースアクセス動作を決定する処理を実行させることを特徴とするプログラムである。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のプログラムにおいて、データベースアクセスのための定義は一部をパラメータ化し、プログラム実行時にパラメータを変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、データベースアクセスの変更時に修正するプログラムの箇所を容易に特定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本実施の形態におけるデータベースアクセスシステムは、データベース3をアクセスするためのデータベースアクセス部品1と、そのデータベースアクセス部品1が参照する実際のデータベースアクセス記述が定義されたデータベースアクセス手続き定義ファイル2から成り立っている。また、この発明を利用するための業務プログラム4とこの発明により利用されるデータベース3が存在する。なお、データベース3は、データベース装置やプログラムにより実現されてよい。
【0017】
次に、図2を参照して、本実施の形態における処理動作を詳細に説明する。
【0018】
まず、業務プログラム4は、データベースアクセスの方法を記述したデータベースアクセス手続き定義ファイル2を指定してデータベースアクセス部品1の利用を宣言する。
【0019】
次に、業務プログラム4は業務プログラムロジックにおいて必要なデータベースアクセスを実行するためにデータベースアクセス手続き定義ファイル2にて定義した処理の一つを指定してデータベースアクセス部品1に処理を依頼する。
【0020】
また、この際必要に応じてデータベースアクセス手続き定義ファイル2中のパラメータ化された部分の実際の値も指定することができる。
【0021】
データベースアクセス部品1は、データベースアクセス手続き定義ファイル2から、業務プログラム4に指定された処理に対応した実際のデータベースアクセス記述を選択し、それを利用してデータベースアクセスを行う。
【0022】
このように、従来、業務プログラムの各サブルーチンなどに分散していた直接データベースにアクセスするプログラムコードを専用のプログラム部品に集中させ、業務プログラムからデータベースをアクセスする場合は、そのプログラム部品を利用してのみ行い、直接のデータベースアクセスを行わないようにする。また、データベースの種類ごとに異なる可能性のあるSQLなどのデータベースアクセス記述言語をテキストベースの定義ファイルとして記述し、データアクセス部品から読み込んで利用することにより実際のデータベースアクセス手続きをプログラムから完全に分離できる。これによりプログラムの修正の作業効率を向上させ、修正漏れなどの誤りを減らすことができる。
【0023】
本実施の形態によれば、データベースアクセスの変更時に修正するプログラムの箇所を容易に特定できる。その理由は、データベースに依存するデータベースアクセスプログラムコードをデータベースアクセス部品に集中するためである。
【0024】
また、データベースの種類の変更時に業務プログラムロジックの修正を不要にできる。その理由は、データベースのアクセス方法の定義を業務プログラムから分離した定義ファイルに記述するためである。
【0025】
また、似たようなデータベースアクセス方法の記述をひとまとめにできる。その理由は、データベースのアクセス方法の定義の記述の一部がパラメータ化でき、業務プログラムの実行時にパラメータ指定が可能だからである。
【0026】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図3を参照すると、本実施の形態は、上記の第1の実施の形態とは基本的な構成は同一であるが、同一の業務プログラム4を用いて種類の異なるデータベース3a、3bの利用を切り替える点が相違する。なお、構成要素に関する重複する説明は省略する。
【0028】
異なる種類のデータベース3aとデータベース3bを利用するために、それぞれのデータベースに応じたデータベースアクセス方法が記述されたそれぞれのデータベースアクセス手続き定義ファイル2aとデータベースアクセス手続き定義ファイル2bを用意する。
【0029】
これを利用する業務プログラム4は状況に応じて、このデータベースアクセス部品の利用宣言時に実際に利用するデータベースを切り替えるために各データベースに応じたデータベースアクセス手続き定義ファイルを指定する。
【0030】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、上記のシステムの機能を実現するためのソフトウェアを各部に読込ませて実行することにより各部の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのソフトウェアは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0031】
上述する各実施の形態は、各機能が1つのコンピュータシステムとして実現されているシステム構成について説明したが、機能毎に複数の装置などが追加された構成にも適用可能であることはもちろんである。
【0032】
さらに、本発明は、データベースを利用する業務プログラムの設計や作成といった用途に適用できる。また、一般的なデータベースに限らず情報を保持する装置を利用するプログラム全般の設計や作成にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるデータベースアクセスシステムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における構成要素の関連を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における構成要素の関連を示す図である。
【図4】従来のデータベースアクセス方式を示す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 データベースアクセス部品
2 データベースアクセス手続き定義ファイル
3 データベース
4 業務プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務プログラムを作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品と、
前記データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成する定義ファイルと、
前記データベースアクセス用のプログラム部品が前記定義ファイルを参照して実際のデータベースアクセス動作を決定することを特徴とするデータベースアクセスシステム。
【請求項2】
前記データベースアクセスのための定義は一部をパラメータ化し、プログラム実行時にパラメータを変更することを特徴とする請求項1記載のデータベースアクセスシステム。
【請求項3】
業務プログラムを作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品が、前記データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成する定義ファイルを参照して実際のデータベースアクセス動作を決定することを特徴とするデータベースアクセス方法。
【請求項4】
前記データベースアクセスのための定義は一部をパラメータ化し、プログラム実行時にパラメータを変更することを特徴とする請求項3記載のデータベースアクセス方法。
【請求項5】
業務プログラムを作成する際に実際のデータベースアクセスのための手続きを記述したデータベースアクセス専用のプログラム部品を備え、
コンピュータに、前記データベースアクセス用のプログラム部品が前記データベースアクセスのための手続きを記述したテキストファイルとして作成する定義ファイルを参照して実際のデータベースアクセス動作を決定する処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記データベースアクセスのための定義は一部をパラメータ化し、プログラム実行時にパラメータを変更することを特徴とする請求項5記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−164693(P2007−164693A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363373(P2005−363373)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】