説明

データベース検索装置

【目的】 オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単な検索を行うことができるデータベース検索装置。
【構成】 この装置A1は,オブジェクト指向型のデータベース1から検索データD1を検索するための検索オブジェクトO1を作成する検索オブジェクト作成部2と,検索オブジェクトO1の内部に少なくとも検索手順データD2を組み込む検索データ組込部3と,検索手順データD2に基づいて該データD2を組み込まれた検索オブジェクトO1′同士を接続することによってオブジェクトモデルM1を構築するオブジェクトモデル構築部4と,オブジェクトモデルM1をデータベース1に記憶させるデータベース記憶部5と,オブジェクトモデルM1を用いてデータベース1を検索するデータベース検索部6などを設けている。上記構成により,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,データベース検索装置に係り,詳しくはコンピュータを用いたデータベース分野において必要項目を検索する検索装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来,データベースの検索は例えばSQL(Structured Query Language)と呼ばれる言語を用いて行われていた。この検索言語では,select“必要項目”,from“データベース名”,where“検索条件”などのように検索言語の構文によって検索が行われる。これによりデータ検索を行う場合には,大ざっぱな検索条件から,詳細な検索条件までを順次絞り込んで検索するが,その場合SQLをそれぞれ検索条件に適合するように書く必要がある。図28はそのような従来のデータベースの検索方法における検索手順の具体例を示すものである。ここでは,予め検索データを記憶させておいたデータベースから,試行錯誤的にデータの検索を行う場合を想定している。図28に示す如く,従来のデータベースの検索方法では先ず最初に一定期間1でデータを検索し(検索条件1),データ項目1のデータが条件1を満たすものを検索した後(検索条件2),データ項目1が今度は検索条件2を満たすものを段階的に考えながら検索する(検索条件3)。このようにして従来のデータベースの検索方法では,例えばSQLで表現された検索条件に従って所望の検索データを検索するが,ここでは検索条件を変えるたびにデータベースから検索を行っていた。また,データベースとしては,一般的なリレーショナルデータベースを用いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来のデータベース検索方法では,検索条件がはっきりと分かっている場合には有効であるが,必要な検索データを様々な検索条件で試行錯誤的にデータ検索を行おうとする場合には,非常に手間がかかっていた。その原因は複雑な検索を行う場合には,SQLが複雑になるためであり,検索が複雑になればなるほど検索条件が分かりにくくなる。また,検索条件が同じでも検索項目が異なる場合には,再度SQLを用いてデータベースから検索する必要がある。手順を追って検索していく場合で検索条件をさかのぼって変更する時には,その条件からそれ以降の検索をもう一度やり直さなければならなくなる。その変更も関係のある検索データを探して行わなければならない。このために,特に複雑な検索をくり返し行う必要がある場合には上記従来の方法は使い易いものであるとはいえなかった。本発明は,上記事情に鑑みて創案されたものであり,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことのできるデータベース検索装置を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために第1の発明は,検索データを予め記憶させたデータベースから,所望の検索データを検索するデータベース検索装置において,上記データベースをオブジェクト指向型のデータベースとすると共に,上記データベースから上記検索データを検索するための検索オブジェクトを作成する検索オブジェクト作成部と,上記検索オブジェクト作成部により作成された検索オブジェクトの内部に少なくとも検索手順データを組み込む検索手順データ組込部と,上記検索手順データ組込部により組み込まれた検索手順データに基づいて上記検索オブジェクト同士を接続することによってオブジェクトモデルを構築するオブジェクトモデル構築部と,上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルを上記データベースに記憶させるデータベース記憶部と,上記データベース記憶部により上記データベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出して,又は上記オブジェクト構築部により構築されたオブジェクトモデルを直接用いて上記データベースを検索するデータベース検索部とを設けてなることを特徴とするデータベース検索装置として構成されている。更には,上記データベース記憶部により,上記データベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出すと共に,上記オブジェクトモデルを構成する検索オブジェクト同士の接続を変えることによって該オブジェクトモデルを再構築するオブジェクトモデル再構築部を具備したデータベース検索装置である。また,第2の発明は,検索データを予め記憶させた第1のデータベースから,所望の検索データを検索するデータベース検索装置において,上記第1のデータベースとは別にオブジェクト指向型の第2のデータベースを設けると共に,上記第1のデータベースから上記検索データを検索するための検索オブジェクトを作成する検索オブジェクト作成部と,上記検索オブジェクト作成部により作成された検索オブジェクトの内部に少なくとも検索手順データを組み込む検索手順データ組込部と,上記検索手順データ組込部により組み込まれた検索手順データに基づいて上記検索オブジェクト同士を接続することによってオブジェクトモデルを構築するオブジェクトモデル構築部と,上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルを上記第2のデータベースに記憶させるデータベース記憶部と,上記データベース記憶部により上記第2のデータベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出して,又は上記オブジェクト構築部により構築されたオブジェクトモデルを直接用いて上記第1のデータベースを検索するデータベース検索部とを設けてなることを特徴とするデータベース検索装置として構成されている。更には,上記データベース記憶部により上記第2のデータベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出すと共に,上記オブジェクトモデルを構成する検索オブジェクト同士の接続を変えることによって該オブジェクトモデルを再構築するオブジェクトモデル再構築部を具備したデータベース検索装置である。
【0005】
【作用】第1の発明によれば,検索データを予め記憶させたオブジェクト指向型のデータベースから上記検索データを検索するための検索オブジェクトが検索オブジェクト作成部により作成される。上記検索オブジェクト作成部により作成された検索オブジェクトの内部に少なくとも検索手順データが検索手順データ組込部により組み込まれる。上記検索データ組込部により組み込まれた検索手順データに基づいて上記検索オブジェクト同士を接続することによってオブジェクトモデルがオブジェクトモデル構築部により構築される。上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルがデータベース記憶部により上記データベースに記憶させられる。上記データベース記憶部により上記データベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出して,又は上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルを直接用いて上記データベースがデータベース検索部により検索される。このようにオブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことができる。又,従来の検索方法では,検索条件を変えるたびにデータベースから検索を行う必要があったのに対し,この第1の発明では,最初の検索を行った結果,即ち,上記オブジェクトモデルを構成する先頭の検索オブジェクトに取り込まれた検索データを含むオブジェクト群から次の検索オブジェクトに対応する検索条件に合ったものだけを検索できるようにして,オブジェクトモデル内で検索対象となるものが順次絞られる。従って,従来例に比べてより高速な検索を行うこともできる。さらに,オブジェクトモデル再構築部を設ければ,これを用いて上記データベース記憶部により上記データベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出すと共に,上記オブジェクトモデルを構成する検索オブジェクト同士の接続を変えることによって,該オブジェクトモデルが再構築される。この場合,作成済のオブジェクトモデルを有効に利用することができる。例えば,比較的簡単なオブジェクトモデルを作成しておき,これを修正あるいは編集することにより,複雑なモデルを容易に作成することができる。
【0006】また,第2の発明によれば,検索データを予め記憶させた第1のデータベースから上記検索データを検索するための検索オブジェクトが検索オブジェクト作成部により作成される。第1のデータベースはオブジェクト指向型のデータベースでなくてもよい。上記検索オブジェクト作成部により作成された検索オブジェクトの内部に少なくとも検索手順データが検索手順データ組込部により組み込まれる。上記検索手順データ組込部により組み込まれた検索手順データに基づいて上記検索オブジェクト同士を接続することによってオブジェクトモデルがオブジェクトモデル構築部により構築される。上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルがデータベース記憶部により上記第1のデータベースとは別に設けられたオブジェクト指向型の第2のデータベースに記憶させられる。上記データベース記憶部により上記第2のデータベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出して,又は上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルを直接用いて上記第1のデータベースがデータベース検索部により検索される。このように第2の発明の場合も上記第1の発明と同様,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことができる。又,第2の発明では,検索データは第1のデータベースに記憶させる一方,作成されたオブジェクトモデルのみをオブジェクト指向型の第2のデータベースに記憶させることにより,見掛け上記第1の発明と略同様な手順にてデータ検索を行うことができる。ただし,この場合は検索オブジェクトの中には,検索された結果しか入っていないため,上位の検索オブジェクト内部の検索データから直接検索することができない。このため,検索対象を絞り込むことはできないが,オブジェクト指向型のデータベース自体の記憶容量の増大を抑えることができるため,装置の低コスト化を図ることができる。さらに,オブジェクトモデル再構築部を設ければ,これを用いて上記データベース記憶部により上記第2のデータベースに記憶させられたオブジェクトを呼び出すと共に,上記オブジェクトモデルを構成する検索オブジェクト同士の接続を変えることによって,該オブジェクトモデルが再構築される。このように,作成済のオブジェクトモデルを有効に利用することができる。その結果,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことが出来るデータベース検索装置を得ることができる。
【0007】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明(第1,第2の発明)を具体化した実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここに,図1は第1の発明の一実施例に係るデータ検索装置A1の概略構成を示すブロック図,図2はデータベース検索装置A1による初回の検索手順を示す説明図,図3はデータベース検索装置A1による初回の検索時における検索内容を示す説明図,図4はデータベース検索装置A1による第2回目以降の検索手順を示す説明図(検索データなしの場合)。図5はデータベース検索装置A1による第2回目以降の検索手順を示す説明図(検索データありの場合)。図6はオブジェクトモデルの構築例を示す説明図,図7はオブジェクトモデルの再構築例を示す説明図,図8は第2の発明の一実施例に係るデータベース検索装置A2の概略構成を示すブロック図,図9はデータベース検索装置A2による検索手順を示す説明図,図10はデータベース検索装置A1,A2における各検索データの流れを示す説明図,図1111乃至図27はデータベース検索時の画面表示例を示す図である。図1に示すごとく,第1の発明の一実施例に係るデータベース検索装置A1は,検索データを予め記憶させたデータベースから,所望の検索データを検索する点で従来例における検索方法による場合と同様である。しかし,この実施例装置A1では,上記データベースをオブジェクト指向型のデータベース1とすると共に,このデータベース1から上記検索データD1を検索するための検索オブジェクトO1を作成する検索オブジェクト作成部2と,検索オブジェクト作成部2により作成された検索オブジェクトO1の内部に少なくとも検索手順データD2を組み込む検索手順データ組込部3と,検索手順データ組込部3により組み込まれた検索手順データD2に基づいて検索オブジェクトO1′(検索オブジェクトO1に検索手順データD2を組み込んだもの)同士を接続することによってオブジェクトモデルM1を構築するオブジェクトモデル構築部4と,オブジェクトモデル構築部4により構築されたオブジェクトモデルM1をデータベース1に記憶させるデータベース記憶部5と,データベース記憶部5によりデータベース1に記憶させられたオブジェクトモデルM1を呼び出して,又は上記オブジェクト構築部4により構築されたオブジェクトモデルM1を直接用いてデータベース1を検索するデータベース検索部6とを設けている点で従来例と異なる。さらに,データベース記憶部5によりデータベース1に記憶させられたオブジェクトモデルM1を呼び出すと共に,この呼び出されたオブジェクトモデルM1を構成する検索オブジェクトO1′同士の接続を変えることによってオブジェクトモデルM1′を再構築するオブジェクトモデル再構築部7を設けてもよく,この点でも従来例と異なる。
【0008】コンピュータ8は,上記構成要素の内,検索オブジェクト作成部2,検索手順データ組込部3,オブジェクトモデル構築部4,データベース記憶部5,データベース検索部6及びオブジェクトモデル再構築部7を有しており,ユーザとはキーボード,ディスプレイ等の入出力部9を介して対話可能である。ここで,オブジェクトとは検索データD1,検索手順データD2等を同一レベルで管理するための単位の一種であり,検索オブジェクトはいわば検索条件毎に,オブジェクトを選んで格納しうる入れ物に相当する。オブジェクト指向型のデータベースはオブジェクト等を登録し必要なときに検索,格納できる装置である(以下同様)。以下,この装置A1の基本原理について図2乃至図7を用いて概略説明する。ここでは,データベース1から検索データD1の検索を試行錯誤的に行う場合を想定する。従来方法では,検索条件を変える度にデータベースから検索を行う必要があった。しかし,先の検索で行った結果から次の条件に合ったものだけを検索できれば検索対象となるものが絞られ,これにより検索をより高速に行うことができる。第1の発明はこの点に着目してなされたものであり,この第1の発明を具現化した検索装置A1では,図2R>2に示すような検索を行う。図2において,各検索データD1について検索オブジェクトO1′(■,■,■)によってオブジェクト単位での初回の検索を行う。先ず,検索オブジェクト■は,検索条件に従って全体のデータベース1から検索を行う。次に検索オブジェクト■は,検索オブジェクト■の内部に登録されている内容から選び出す。これは検索条件■と検索条件■とのAND条件になる。さらに,検索オブジェクト■は検索オブジェクト■の内部に登録されているオブジェクト群から選び出す。従って,検索オブジェクトO1′の組み合わせによって検索データD1の検索手順がオブジェクトモデル(M1)化されていく。これらの検索オブジェクトO1′の内部には,検索を行う対象となるオブジェクトが登録されている。また,検索オブジェクトO1′は内部に登録されているオブジェクトに含まれる検索データD1等を処理する機能を持っているために,検索オブジェクトO1′にメッセージを与えることによって,検索データD1等の表示やさまざまな処理を行うことができる。
【0009】これらの機能により,検索する条件を対話的に作成した後,対応するオブジェクトの検索を通じて検索オブジェクトO1′の内部に登録されているオブジェクトのデータ項目を自由に出力し,必要な情報を得ることができる。その出力例を図3に示す。オブジェクト指向型のデータベース1はオブジェクト間の関係をオブジェクト同士の関係付けという方法で表現できる。これを用いれば,検索オブジェクトO1′の内部に含まれていないオブジェクトに対しても「含まれているオブジェクトAに関係しているオブジェクトBのデータ項目1をとる」などということも可能である。従来技術では,大規模なデータベースから必要な項目だけを選び出して小規模なデータベースを作成し,検索することによって検索の効率化を図ることも考えられる。しかし,この場合,予め必要とするデータを指定して小規模なデータベースを作成する必要があり,検索項目がはっきりと特定できないような対象に対しては,あまり有効とは言えない。また,作成したオブジェクトモデルM1をオブジェクト指向型のデータベース1に登録し,再利用することにより同様な検索手順を用いた検索が簡単に行うことができる。即ち,第2回目以降の検索時に登録したオブジェクトモデルM1を呼び出した場合,最も先頭の検索オブジェクトO1′の検索条件は未定の状態で且つ検索オブジェクトの中身が入っていない状態で呼び出すことができる。この検索オブジェクトO1′の先頭の検索オブジェクトに新しい検索条件を設定することによって,オブジェクトモデルM1を構成する各検索オブジェクトO1′内に登録された手順によって検索を行うことができる。例えば前記図2の検索手順を,オブジェクト指向型のデータベース1に登録し,新規検索として呼び出した場合には,図4に示されるように各検索オブジェクトO1′(■′,■′,■′)の内部にはなにも登録されていない状態で呼び出される。しかし,検索オブジェクト■′以外の検索条件は登録されたままである。したがって,検索オブジェクト■′に新しい検索条件を入力し,検索を行えば,図5に示すようにそれ以下の検索オブジェクト■′,■′は自動的にオブジェクトを検索する。また,これらの検索オブジェクト■′,■′,■′からなるオブジェクトモデルM1の一部を変更したり,編集することによって,より複雑な検索を簡単に行うことができる。図6は検索条件1〜4というように順に検索を行い,オブジェクトモデルM1を作成したものである。このオブジェクトモデルM1の検索条件2を検索条件2′に替えた新しい検索オブジェクトを作成した場合,自動的に検索条件3,4の検索オブジェクトが作成されて検索を行い,図7のようなオブジェクトモデルM1′が作成される。
【0010】引き続いて,第2の発明の一実施例に係るデータベース検索装置A2について述べる。第2の発明では,検索データは例えば従来例と同様のリレーショナルデータベース(どの様なデータベースでもかまわないが一例として,リレーショナルデータベースを用いるものとして説明する)で管理する一方,オブジェクトモデルだけを別個に設けたオブジェクト指向型のデータベースで管理するものであり,上記第1の発明の実施例装置A1の変形例として位置づけられる。図8に示すごとく,この実施例装置A2では,検索データD1を予め記憶させたリレーショナルデータベース10(第1のデータベースに相当)とは別にオブジェクト指向型のデータベース11(第2のデータベースに相当)を設けると共に,データベース10から検索データD1を検索するための検索オブジェクトO2を作成する検索オブジェクト作成部12と,検索オブジェクト作成部12により作成された検索オブジェクトO2の内部に少なくとも検索手順データD2を組み込む検索手順データ組込部13と,検索手順データ組込部13により組み込まれた検索手順データD2に基づいて検索オブジェクトO2′(検索オブジェクトO2に検索手順データD2を組み込んだもの)同士を接続することによってオブジェクトモデルM2を構築するオブジェクトモデル構築部14と,オブジェクトモデル構築部14により構築されたオブジェクトモデルM2をデータベース11に記憶させるデータベース記憶部15と,データベース記憶部15によりデータベース11に記憶させられたオブジェクトモデルM2を呼び出して,又はオブジェクトモデル構築部14により構築されたオブジェクトモデルM2を直接用いてデータベース10を検索するデータベース検索部16とを設けている点で従来例と異なる。さらに,データベース記憶部15によりデータベース11に記憶させられたオブジェクトモデルM2を呼び出すと共に,オブジェクトモデルM2を構成する検索オブジェクトO2′同士の接続を変えることによってオブジェクトモデルM2′を再構築するオブジェクトモデル再構築部17を設けてもよく,この点でも従来例と異なる。コンピュータ18は,上記構成要素の内,検索オブジェクト作成部12,検索手順データ組込部13,オブジェクトモデル構築部14,データベース記憶部15,データベース検索部16及びオブジェクトモデル再構築部17を有しており,ユーザとはキーボード,ディスプレイ等の入出力部19を介して対話可能である。
【0011】以下,この実施例装置A2について図9および図10を用いてその基本原理について概略説明する。ここでは検索データD1(データ1,2,3)はリレーショナルデータベース10に予め記憶されており,オブジェクト指向型のデータベース11で管理されていないため,前述した検索オブジェクトO2,O2′はその内部に検索を実行するための検索言語の各要素を持つ。説明の便宜上,リレーショナルデータベース10から,SQLを用いて検索を行うものとする。この場合,検索オブジェクトO2′(■,■,■)は,図9の如くふるまう。各検索オブジェクトO2′はそれぞれ条件に応じたSQLを生成し,内部に保存する。図中の検索オブジェクト■はその中に持つ検索条件に従ってデータ1を取得する。しかし,検索オブジェクト■,■はそれぞれの構造に従って上位の検索条件をも含めた問い合わせを行う。これにより,検索すべきデータがオブジェクト指向型のデータベース11で管理されているものと見掛け上同様の手順にて検索される。ただし,この場合は,検索オブジェクトO2′の中には,検索された結果(選択項目)しか入っていないために上位の検索オブジェクトの内部のデータから直接検索することができない。このため,検索される対象がオブジェクト指向型のデータベースで管理されていた時(第1の発明)のように条件を絞り込むことによって検索対象を少くしていくことはできない。しかし,この場合はオブジェクト指向型のデータベース11の容量は比較的小さなものですむ。更に,検索された検索オブジェクトO2′は前述のもの(O1′)と同様にオブジェクト指向型データベース11に登録され,再利用ができる。ここで,図10(a)に検索すべきデータがオブジェクト指向型のデータベースで管理されている場合(第1の発明)の各データの流れを,又図10(b)にリレーショナルデータベースで管理されている場合(第2の発明)における各データの流れをそれぞれ示した。このように,いずれの場合も,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化している。これにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことができる。
【0012】次に,ユーザがこの装置A1(A2)を用いてデータ検索を行う場合の動作について図1,図8,図11乃至図27を参照しつつ概略説明する。先ず,ユーザが検索開始ボタンを押せば図11に示すような画面表示となる。ユーザが認証のための情報(ユーザ名,パスワード)を入力すれば,そのユーザが特定され固有の情報を持つようにすることができる。ユーザが特定された後,新規検索ボタンを押すことにより,コンピュータ8(18)中の検索オブジェクト作成部2(12)により最初の検索オブジェクトが作成される(画面上の角のとれた四角枠にて表示されている)(図12参照)。その検索オブジェクトを入出力部9(19)であるインタフェース上でポインテイングすることにより,検索条件を入力する(図13,図14参照)。これらの操作を行い,検索を実行すると新しい検索オブジェクトが生成され,検索手順データ組込部3(13)により,検索手順データD2が検索オブジェクトモデルO1(O2)に自動的に組み込まれる。この時画面上ではこの新しい検索オブジェクトが最初の検索オブジェクトと自動的にリンクされる。これにより,検索の手順が検索オブジェクト間の接続によって表現される(図15参照)。上記図13R>3〜図15の手順を繰り返すことによって,オブジェクトモデル構築部4(14)により図16に示すような検索手順のオブジェクトモデルM1(M2)が作成され,データベース記憶部5(15)により自動的にデータベース1(11)に記憶される。ここで,装置A1ではこれらの検索オブジェクトO1の内部に,それぞれの検索条件に応じた検索データD1が格納されているが,装置A2では検索された結果のみが格納されている。しかし,ユーザの操作上は特にその差は認識されない。これら作成されたオブジェクトモデルM1(M2)は,オブジェクトモデル再構築部7(17)がある場合はこれを用いて図17,図18に示すように,オブジェクトモデルの一部を移動し,他の検索オブジェクトに接続することができる。この変更によって,検索条件A,検索条件Bの両条件に適合したものの中から選ばれていたものが接続先の変更によって,検索条件Aから選ばれたものに変更される(図19参照)。各検索オブジェクトO1′(O2′)は,それ以降の検索オブジェクトの情報(検索手順データD2)を持っているために,1つの検索オブジェクトの移動はそれ以降の検索オブジェクト全体の移動となる。また,オブジェクトモデルM1(M2)のコピーも同様に実行できる(図20〜図22参照)。このようにして,再構築されたオブジェクトモデルM1′(M2′)は再びデータベース記憶部5(15)によりデータベース1(11)に記憶される。この際,例えば図23に示すように特定のユーザ,カテゴリに分類して登録することができる。登録したオブジェクトモデルM1′(M2′)は,登録後,メニューから呼び出し,同様の検索手順にて検索できる。この場合の呼び出しのしかたはカテゴリ毎,ユーザ毎などのメニューにより呼び出すことができる(図24〜図26参照)。また,呼び出されたオブジェクトモデルM1′(M2′)は先頭の検索オブジェクトには検索条件が設定されていない状態で呼び出される。その先頭の検索オブジェクトに検索条件を入力すれば,それ以降のオブジェクトモデルM1′(M2′)に組み込まれた検索手順に従って,データベース検索部6(16)により自動的に検索が進められる。さらに,これらの検索オブジェクトO1′(O2′)では,ヒストグラムや散布図やチャート図などの解析用オブジェクトを接続することができ,データの解析なども自由に行うことができる(図27参照)。これら解析用オブジェクトは接続された検索オブジェクトの内部に貯えられているオブジェクトやデータから必要なデータを選び出す機能を有している。
【0013】以上のように,上記実施例装置A1(A2)によればオブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことができる。又,従来の検索方法では,検索条件を変えるたびにデータベースから検索を行う必要があったのに対し,装置A1では,最初の検索を行った結果,即ち,上記オブジェクトモデルM1を構成する先頭の検索オブジェクトO1′に取り込まれた検索データD1を含むオブジェクト群から次の検索オブジェクトに対応する検索条件に合ったものだけを検索できるようにしてオブジェクトモデルM1内で検索対象となるものが順次絞られる。従って,従来例に比べてより高速な検索を行うこともできる。又,装置A2では,検索データD1はリレーショナルデータベース10に記憶させる一方,作成されたオブジェクトモデルM2のみをオブジェクト指向型の第2のデータベース11に記憶させることにより,見掛け上記装置A1と略同様な手順にてデータ検索を行うことができる。ただし,この場合は検索オブジェクトO2′の中には,検索された結果しか入っていないため,上位の検索オブジェクト内部の検索データから直接検索することができない。このため,検索対象を絞り込むことはできないが,オブジェクト指向型のデータベース11自体の記憶容量の増大を抑えることができるため,装置の低コスト化を図ることができる。更に,装置A1,A2共,作成済のオブジェクトモデルM1,M2を再構築することにより有効に利用することができる。例えば,比較的簡単なオブジェクトモデルを作成しておき,これを修正あるいは編集することにより,複雑なモデルを容易に作成することができる。その結果,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことが出来るデータベース検索装置を得ることができる。尚,上記実施例装置A1(A2)における検索オブジェクト作成部2(12),検索手順データ組込部3(13),オブジェクトモデル構築部4(14),データベース記憶部5(15),データベース検索部6(16)及びオブジェクトモデル再構築部7(17)は個別回路であってもよく,又はコンピュータのソフトウエア上の各工程であってもよい。
【0014】
【発明の効果】本発明(第1,第2の発明)に係るデータベース検索装置は,上記したように構成されているため,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことができる。又,従来の検索方法では,検索条件を変えるたびにデータベースから検索を行う必要があったのに対し,この第1の発明では,最初の検索を行った結果,即ち,検索データを含むオブジェクトモデルを構成する先頭の検索オブジェクトに取り込まれた検索データを含むオブジェクト群から次の検索オブジェクトに対応する検索条件に合ったものだけを検索できるようにしてオブジェクトモデル内で検索対象となるものが順次絞られる。従って,従来例に比べてより高速な検索を行うこともできる。又,第2の発明では,検索データは第1のデータベースに記憶させる一方,作成されたオブジェクトモデルのみをオブジェクト指向型の第2のデータベースに記憶させることにより,見掛け上記第1の発明と略同様な手順にてデータ検索を行うことができる。ただし,この場合は検索オブジェクトの中には,検索された結果しか入っていないため,上位の検索オブジェクト内部の検索データから直接検索することができない。このため,検索対象を絞り込むことはできないが,オブジェクト指向型のデータベース自体の記憶容量の増大を抑えることができるため,装置の低コスト化を図ることができる。更に,第1,第2の発明共,作成済のオブジェクトモデルを再構築することにより有効に利用することができる。例えば,比較的簡単なオブジェクトモデルを作成しておき,これを修正あるいは編集することにより,複雑なモデルを容易に作成することができる。その結果,オブジェクト指向技術を用いて検索手順をオブジェクトモデル化することにより,複雑な検索条件でも簡単に検索を行うことが出来るデータベース検索装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の発明の一実施例に係るデータ検索装置A1の概略構成を示すブロック図。
【図2】 データベース検索装置A1による初回の検索手順を示す説明図。
【図3】 データベース検索装置A1による初回の検索時における検索内容を示す説明図。
【図4】 データベース検索装置A1による第2回目以降の検索手順を示す説明図(検索データなしの場合)。
【図5】 データベース検索装置A1による第2回目以降の検索手順を示す説明図(検索データありの場合)。
【図6】 オブジェクトモデルの構築例を示す説明図。
【図7】 オブジェクトモデルの再構築例を示す説明図。
【図8】 第2の発明の一実施例に係るデータベース検索装置A2の概略構成を示すブロック図。
【図9】 データベース検索装置A2による検索手順を示す説明図。
【図10】 データベース検索装置A1,A2における各検索データの流れを示す説明図。
【図11】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図12】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図13】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図14】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図15】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図16】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図17】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図18】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図19】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図20】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図21】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図22】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図23】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図24】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図25】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図26】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図27】 データベース検索時の画面表示例を示す図。
【図28】 従来のデータベース検索方法の一例のおける概略手順を示す説明図。
【符号の説明】
A1…データベース検索装置
1…オブジェクト指向型のデータベース
2…検索オブジェクト作成部
3…検索手順データ組込部
4…オブジェクトモデル構築部
5…データベース記憶部
6…データベース検索部
7…オブジェクトモデル再構築部
A2…データベース検索装置
10…リレーショナルデータベース(第1のデータベースに相当)
11…オブジェクト指向型のデータベース(第2のデータベースに相当)
12…検索オブジェクト作成部
13…検索手順データ組込部
14…オブジェクトモデル構築部
15…データベース記憶部
16…データベース検索部
17…オブジェクトモデル再構築部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 検索データを予め記憶させたデータベースから,所望の検索データを検索するデータベース検索装置において,上記データベースをオブジェクト指向型のデータベースとすると共に,上記データベースから上記検索データを検索するための検索オブジェクトを作成する検索オブジェクト作成部と,上記検索オブジェクト作成部により作成された検索オブジェクトの内部に少なくとも検索手順データを組み込む検索手順データ組込部と,上記検索手順データ組込部により組み込まれた検索手順データに基づいて上記検索オブジェクト同士を接続することによってオブジェクトモデルを構築するオブジェクトモデル構築部と,上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルを上記データベースに記憶させるデータベース記憶部と,上記データベース記憶部により上記データベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出して,又は上記オブジェクト構築部により構築されたオブジェクトモデルを直接用いて上記データベースを検索するデータベース検索部とを設けてなることを特徴とするデータベース検索装置。
【請求項2】 上記データベース記憶部により,上記データベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出すと共に,上記オブジェクトモデルを構成する検索オブジェクト同士の接続を変えることによって該オブジェクトモデルを再構築するオブジェクトモデル再構築部を具備した請求項1記載のデータベース検索装置。
【請求項3】 検索データを予め記憶させた第1のデータベースから,所望の検索データを検索するデータベース検索装置において,上記第1のデータベースとは別にオブジェクト指向型の第2のデータベースを設けると共に,上記第1のデータベースから上記検索データを検索するための検索オブジェクトを作成する検索オブジェクト作成部と,上記検索オブジェクト作成部により作成された検索オブジェクトの内部に少なくとも検索手順データを組み込む検索手順データ組込部と,上記検索手順データ組込部により組み込まれた検索手順データに基づいて上記検索オブジェクト同士を接続することによってオブジェクトモデルを構築するオブジェクトモデル構築部と,上記オブジェクトモデル構築部により構築されたオブジェクトモデルを上記第2のデータベースに記憶させるデータベース記憶部と,上記データベース記憶部により上記第2のデータベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出して,又は上記オブジェクト構築部により構築されたオブジェクトモデルを直接用いて上記第1のデータベースを検索するデータベース検索部とを設けてなることを特徴とするデータベース検索装置。
【請求項4】 上記データベース記憶部により上記第2のデータベースに記憶させられたオブジェクトモデルを呼び出すと共に,上記オブジェクトモデルを構成する検索オブジェクト同士の接続を変えることによって該オブジェクトモデルを再構築するオブジェクトモデル再構築部を具備した請求項3記載のデータベース検索装置。

【図3】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図28】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図25】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開平7−98672
【公開日】平成7年(1995)4月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−242540
【出願日】平成5年(1993)9月29日
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)