データ再生管理システム
【目的】著作権の保護管理が容易なデータ再生管理システムを提供することを目的とする。
【構成】管理コードは、ディスクを制作販売したソフトメーカーのメーカーコード3、記録されている映像ソフトの種類毎に異なるパスワード4、ディスクに対する再生制限の適用を指示する制限適用指示データ5、現在までに登録された再生機器IDの数を示すID登録数6、再生機器IDを登録しておく機器IDデータ登録エリア7から構成される。ID登録数については個人ユーザーに支障がないような数であらかじめ上限を規定しておく。
【構成】管理コードは、ディスクを制作販売したソフトメーカーのメーカーコード3、記録されている映像ソフトの種類毎に異なるパスワード4、ディスクに対する再生制限の適用を指示する制限適用指示データ5、現在までに登録された再生機器IDの数を示すID登録数6、再生機器IDを登録しておく機器IDデータ登録エリア7から構成される。ID登録数については個人ユーザーに支障がないような数であらかじめ上限を規定しておく。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、画像や音声等の情報をディスク等の情報記録媒体を用いて記録再生する装置に係り、特定の条件範囲において再生動作の制限管理を行うデータ再生管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、記録媒体の種類に拘らず映像や音楽等での著作権は法律的には保護されているものの、現実的には不当なコピーやレンタルが行われることもあり、これを完全に管理するのは困難であった。従来、これらの不当な行為を防止するため、メディアに応じていろいろな対策がなされている。例えば、VTRでは磁気テープに記録される映像信号自体にコピーガード信号を加えておき、ダビングを行うと記録側のVTRがこれを検出し正常な記録ができない、あるいは記録動作が停止するといった方法で一切コピーができないようにしている。
【0003】また、DAT(Digital Audio Tape recorder )では、SCMS(Serial Copy Management System )と称するコピー制限方法を採用し、個人で楽しむ範囲と考えられる1回目のコピーは認める代わりに、ねずみ算式に増えるシリアルコピーを制限している。
【0004】これはCDやDAT等のオリジナルのミュージックソースからは、コピープロテクトの有無に拘らず、個人として使用する場合に限り1世代までのパラレルコピーは無制限に許可されているが、コピーで得られたDATソースについては、再生側のDATから出力されるカテゴリーコードやコピー禁止コードによってコピーを制限するものである。現段階では、VTRやDAT等の記録装置側でコピーを制限するのが主な対策となっている。
【0005】また、VTRのソフトテープやCDソフトのレンタルも大きな問題となっている。確かにレンタルがVTR装置の普及促進を押し進めたことも事実ではあるが、レンタルの横行が著作権の権利者側に不利益をもたらし、これが結果的にソフトテープやソフトディスク自体の価格を引き上げ、最終的には個人ユーザーの負担増につながりソフト購入の弊害となっていた。
【0006】一方、VTRに代わる次世代ビデオレコーダとして、DVD(Digital VideoDisc recorder )が考えられている。これは、映像・音声信号をディジタル化して光ディスクに記録再生するシステムであり、コンパクトで高速アクセス可能なディスク盤を記録媒体とすることにより、従来のVTRでは得られないメリットがある。DVDソフトも製作販売される予定だが、ここでもコピー・レンタル問題はソフトの販売価格、さらに装置自体の普及に大きく絡んでくる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】DVDの装置自体を開発製造するハード・メーカー側から見た場合、装置の普及に結びつくレンタルは歓迎される方向にある。しかし、ソフトディスクを制作販売するソフト・メーカー側にしてみれば、レンタルの横行が著作権の侵害、ひいては利益の損失に結びつく可能性が高く許可したくない。
【0008】レンタルを考慮するればソフトディスク自体の価格を高くすることになり、個人ユーザーにおける購入促進は期待できなくなってしまう。レンタルを一切禁止すると、装置自体の普及が滞ることになり、ソフトディスク自体の販売量増大は見込めない。これではDVDのディスク自体の製造コストが幾ら低くなっても、ソフトディスクの価格は下げられず、ハード・メーカー側、ソフト・メーカー側、およびユーザーが各々での不利益を受けることになり大きな問題が残る。
【0009】この発明は上記した問題を考慮してなされたもので、レンタルを許可してもソフト・メーカー側で不利益を受けることなく、著作権の保護管理が容易なデータ再生管理システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明では、再生動作の制限を行う管理コードデータと、前記管理コードデータを有し、画像や音声等のデータを記録する情報記録媒体と、前記情報記録媒体を再生する再生装置と、前記情報記録媒体の再生時に前記管理コードデータに応じて再生動作の制限を行う手段とを具備している。
【0011】
【作用】このように構成されたものにおいては、情報記録媒体が再生装置に装着されると、情報記録媒体に記録された管理コードに応じて再生動作の制限を行うことにより著作権の保護管理を容易に行うことが可能となる。
【0012】
【実施例】以下、この発明をDVDに応用した実施例を参照し、図面とともに詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例を示し、DVDの管理コード領域のデータ・フォーマット例を示す。
【0013】管理コードはTOC情報等と合わせてディスク1上のリード・イン・エリア2に設けられる。管理コードは、ディスクを制作販売したソフトメーカーのメーカーコード3、記録されている映像ソフトの種類毎に異なるパスワード4、ディスクに対する再生制限の適用を指示する制限適用指示データ5、現在までに登録された再生機器IDの数を示すID登録数6、再生機器IDを登録しておく機器IDデータ登録エリア7から構成される。ID登録数については個人ユーザーに支障がないような数であらかじめ上限を規定しておく。
【0014】図2はこの実施例の再生機器側における管理コード処理のフローチャートを示す。ディスク1を再生機器で再生する場合、最初にリード・イン・エリア2の中にあるTOC情報等とともに管理コードを読み出す(a)。次に制限適用指示データ5を確認し、再生制限があるかどうかを判断する(b)。再生制限がない場合には再生を許可する。
【0015】再生制限がある場合は、機器ID登録エリア7に、現在再生している機器のIDが登録されているかを参照する(c)。IDがあれば再生が許可され、なければID登録数データ6を調べる(d)。
【0016】ここでID登録数があらかじめ設定された上限規定数を満たしている場合は再生動作は許可されず、再生動作は停止する。上限規定数にまだ空きがある場合は、ID登録数データ6の登録数のカウントをし、再生機種のIDを機器IDデータ登録エリア7に追加登録するため、管理コードの書き込み処理を行う(e)。この後、再生を許可する。
【0017】図3は管理コードデータの変化および動作制限を示すものである。A、B、C、Dの4種類の再生機器を用いて、登録制限数3のディスクを再生する。1度も再生されていない初期状態では、ID登録数は0であり、ID登録エリアは3つとも何も登録されていない空の状態である。ID=A001であるA機器で再生すると、ID登録数は1となり、ID登録エリアの最初のブロックにA001が記録される。ID=B001であるB機器で再生すると、ID登録数は2となり、ID登録エリアの2番目のブロックにB001が記録される。ID=C001であるC機器で再生すると、ID登録数は3となり、ID登録エリアの3番目のブロックにC001が記録される。ここで、すでに登録されたA、B、C機器では、何度でも再生が可能である。
【0018】次に、ID=D001であるD機器で再生すると、登録制限から新たに登録はできず、またID登録エリアに登録されているIDとも違うので再生は許可されない。
【0019】この実施例では、機器IDは再生機器1台1台が異なっているのが理想ではあるが、ハード・メーカー、機種、製造ロット単位でも十分なコピー防止効果を得ることができる。また、登録制限数を幾つに設定するかは、ソフトディスクの販売価格やレンタル料金等を考慮し、個人ユーザーに支障のない範囲で決定すればよい。
【0020】また、個人ユーザー用のソフトディスクとレンタル用のソフトディスクを分けて販売する方法も考えられる。この場合、個人ユーザー用は制限適用指示データ5が適用にし、レンタル用は非適用にして販売価格自体に著作権料を加える。または、個人ユーザー用とレンタル用とで異なるID登録制限数コードを設けておき、登録数チェックルーチン(d)でID登録数の上限を制限する。ここでレンタル業者が個人ユーザー用のソフトを購入して営利目的に使用しようとしても、貸出数に制限ができるため利益を出すことができない。図4はこの発明の他の実施例を示す構成図である。
【0021】この実施例ではレンタル業者側にディスクのID登録制限を解除する機能を有するディスク・リフレッシュ装置8を供給する。ディスク・リフレッシュ装置8はモデム9を通じて電話回線10に接続される。
【0022】ソフト販売側には各社レンタル管理のためのホスト・コンピュータ11〜13が電話回線10に接続してあり、レンタル業者側のディスク・リフレッシュ装置8との間でデータの交信が行われる。
【0023】ディスク・リフレッシュ装置8の基本構成は通常のディスク再生装置と同様であるが、装着されたディスク1に書き込まれているID登録の確認とホストコンピュータ11〜13とのデータ交信の結果からID登録を初期設定値にクリアできる機能を有している。図5R>5はこの実施例の処理を示すフローチャートである。
【0024】レンタル業者側においてID登録数が規定数に達しているディスクが装着されるか、ID登録数に関係なくリフレッシュが要求された場合は、ディスク内の管理コードのメーカーコード3を参照し、装着されたディスクの販売会社のホスト・コンピュータ11、12あるいは13との回線接続を行う(g)。
【0025】初めにディスク・リフレッシュ装置8のレンタル加入番号と、ディスクの管理コードの中のメーカーコード3とID登録数6を該当するソフトメーカーのホスト・コンピュータ11、12あるいは13に送信する(h)。メーカーコード3の中には販売会社やディスク分類番号等が含まれている。
【0026】これによりソフト販売会社側ではディスク・リフレッシュ処理を行おうとしているレンタル業者の確認ができ、送信されてきたID登録数をもとに著作権使用料の計算が可能になる。
【0027】次にホスト・コンピュータ11、12あるいは13からディスク・リフレッシュ装置8にパスワードが送信される。ディスク・リフレッシュ装置8はディスク1の管理コードから読み取ったパスワード4と受信したパスワードとを照合する(i)。両方のパスワードが一致した場合のみ装着したディスクのID登録数を初期値にクリアできる(j)。
【0028】ソフト販売側におけるパスワードは、ディスク・リフレッシュ装置から外部にもれないような構成となっており、パスワードの機密性は保持される。また、これらのパスワードは暗号化などにより2重、3重のプロテクトが掛けられている。
【0029】この実施例ではソフト販売側が、レンタル業者からレンタルに使用したディスクのID登録数の報告を受ける代わりにディスク・リフレッシュ動作を許可する方式である。これにより、厳密な著作権使用料の管理が容易に実現できる。
【0030】図6はこの発明のその他の実施例を示す構成図である。図4に示す実施例では電話回線を利用しホスト・コンピュータ11〜13に接続して著作権の管理を行う方法であったが、この実施例ではホスト・コンピュータ11〜13で処理すべき機能をディスク・リフレッシュ装置8に組み込む。ディスク・リフレッシュ装置8に組み込まれたリフレッシュ許可回路14によりディスクの管理を行う。
【0031】この実施例ではメモリーカード15を用いてID登録数の確認およびソフト販売側のパスワードの発行を行う。レンタル業者側においてID登録数が規定数に達しているディスクが装着されるか、ID登録数に関係なくリフレッシュが要求された場合は、ディスク内の管理コードのメーカーコード3を参照し、装着されたディスクの販売会社のメモリーカードをディスク・リフレッシュ装置に挿入する。
【0032】メモリカードにはソフト販売会社側のパスワードが記録されており、装着されたディスクの管理コードのパスワードを読み込み、ソフト販売会社側のパスワードと一致した場合のみ、装着したディスクのID登録数をクリアにできる。またディスク・リフレッシュ前にディスクのID登録数をメモリカードに記録する。これらのメモリカードの内容は容易に解読できないように構成されている。
【0033】この実施例においては、メモリカードを利用し、ID登録数の記録およびパスワードの適用を行うことにより、容易に著作権使用料を管理することが可能である。図7はこの発明のもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【0034】この実施例は、図1に示す実施例の再生制限に有効期限を付けた方法である。管理コードに有効期限データ16を追加し、有効期限が切れていればID登録数の制限に関わりなく再生が許可される方式である。一般にレンタルの発生ピークは新作発表から1年以下であり、また個人がID登録数の制限を超えるほど再生機器を買い替えることはないと考えられる。
【0035】図8はこの実施例の処理を示すフローチャートである。有効期限の照合は再生機器内部のタイマーにより行われる。ID登録数があらかじめ設定された上限規定数を満たしている場合、再生機器内部のタイマーによりあらかじめ設定されたディスクごとの有効期限をチェックし期限切れならば再生を許可する。有効期限内ならば再生動作を中止する(p)。
【0036】この実施例においては、ディスクにID登録制限の有効期限データを付加することにより、新作発売から一定期間はレンタルを規制し、一定期間後はID登録の制限をなくすことにより、ソフト販売会社側がレンタル開始の期間を容易に操作することができる。
【0037】図9はこの発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。この実施例では個人ユーザーが再生機器を買い替えた場合に、従来使用していた再生機器のIDを、新たに購入した再生機器に継承させる方法である。
【0038】再生機器のIDコードの発生部に不揮発性メモリ等を使用し、専用のID変更用ディスクを用いてIDを変更する。また、再生機器の内部に設けられたスイッチの設定によりIDを変更してもよい。これらのIDの変更は再生機器の製造メーカーや販売店などが行うようにし、一般の個人ユーザーには簡単には変更できないようにする。
【0039】ID変更用ディスクの管理コードは、ID変換ディスク識別コード17、メーカーコード3、パスワード4、制限適用指示データ5、ID登録数6、IDデータ登録エリア7から構成される。
【0040】図10はこの実施例の処理を示すフローチャートである。再生装置にディスクが挿入されると、ID変更用ディスクか普通のディスクかを識別する(q)。普通のディスクならば図2に示すフローチャートの処理を行い、再生動作を行う。
【0041】ID変更用ディスクrならば、ID登録数6をチェックする(r)。ここでID登録数6が0の場合、現在ディスクが挿入されている再生機器のIDをID変更用ディスクのIDデータ登録エリア7に記録する。これにより、ID変更用ディスクのID登録数は1となる(t)。
【0042】次に新たに購入した再生機器にこのID変更用ディスクを挿入する。ここでID登録数は1なのでID変更用ディスクに記録されたIDをコピーし、再生機器内にセットされていた従来のIDを変更する(v)。同時にID変更用ディスクのID登録数6を0にもどす。
【0043】この実施例では、ID変更用ディスクを従来使用していた再生機器に装着してその再生機器のIDをコピーし、次にIDを変更しようとする再生機器にこのID変更用ディスクを装着することにより、容易にID変更をおこなうことができる。
【0044】図11はこの発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。この実施例は、通常の映像音声ソースの他に特典用として映像音声ソースが記録されている特典付きディスクに関するものである。特典付きディスクの管理コードは、図11に示すようにメーカーコード3、パスワード4、特典コード18、許可ID数コード、制限適用指示データ5、ID登録数6、機器IDデータ登録エリア7から構成される。
【0045】また図12に示すようにTOCデータには、通常の主データの他に特典データ用のTOC20を追加して記録する。特典再生が許可される場合のみ特典データ用のTOC20を読み出し特典データを再生する。
【0046】図13はこの実施例の処理を示すフローチャートである。特典付きディスクを装着すると、特典コード18により特典の有無を識別する(x)。特典が付加されていなければ、通常の再生動作に入る。
【0047】特典が付加されていれば、許可ID数コード19とID登録数6を比較し、ID登録数6が許可ID数の範囲ないならば管理コードにIDを書き込み、特典データの再生が許可される(z)。
【0048】この実施例では、許可ID数コード19を追加し、特典データの再生を制限することでレンタルディスクとの差別化を図ることができる。これにより、個人ユーザーにおける購入意欲の増進が期待できる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、記録媒体に管理コードデータを記録し、この管理コードデータに基づいて再生動作を管理することにより、記録媒体の著作権を厳密に管理することが可能となる。また、レンタル業者に対しても厳密な管理ができるので、ソフト制作側に不利益をもたらすことなく再生機器の普及促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のDVDの管理コードのフォーマット例を示す説明図である。
【図2】図1の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図3】図1の実施例における管理コードデータの変化および動作制限を示す説明図である。
【図4】この発明の他の実施例を示す構成図である。
【図5】図4の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図6】この発明のその他の実施例を示す構成図である。
【図7】この発明のもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【図8】図7の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図9】この発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【図10】図9の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図11】この発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【図12】図11の実施例におけるTOCデータの説明図である。
【図13】図11の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1…ディスク、2…リード・イン・エリア、3…メーカーコード、4…パスワード、5…制限適用指示データ、6…ID登録数、7…機器IDデータ登録エリア。
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、画像や音声等の情報をディスク等の情報記録媒体を用いて記録再生する装置に係り、特定の条件範囲において再生動作の制限管理を行うデータ再生管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、記録媒体の種類に拘らず映像や音楽等での著作権は法律的には保護されているものの、現実的には不当なコピーやレンタルが行われることもあり、これを完全に管理するのは困難であった。従来、これらの不当な行為を防止するため、メディアに応じていろいろな対策がなされている。例えば、VTRでは磁気テープに記録される映像信号自体にコピーガード信号を加えておき、ダビングを行うと記録側のVTRがこれを検出し正常な記録ができない、あるいは記録動作が停止するといった方法で一切コピーができないようにしている。
【0003】また、DAT(Digital Audio Tape recorder )では、SCMS(Serial Copy Management System )と称するコピー制限方法を採用し、個人で楽しむ範囲と考えられる1回目のコピーは認める代わりに、ねずみ算式に増えるシリアルコピーを制限している。
【0004】これはCDやDAT等のオリジナルのミュージックソースからは、コピープロテクトの有無に拘らず、個人として使用する場合に限り1世代までのパラレルコピーは無制限に許可されているが、コピーで得られたDATソースについては、再生側のDATから出力されるカテゴリーコードやコピー禁止コードによってコピーを制限するものである。現段階では、VTRやDAT等の記録装置側でコピーを制限するのが主な対策となっている。
【0005】また、VTRのソフトテープやCDソフトのレンタルも大きな問題となっている。確かにレンタルがVTR装置の普及促進を押し進めたことも事実ではあるが、レンタルの横行が著作権の権利者側に不利益をもたらし、これが結果的にソフトテープやソフトディスク自体の価格を引き上げ、最終的には個人ユーザーの負担増につながりソフト購入の弊害となっていた。
【0006】一方、VTRに代わる次世代ビデオレコーダとして、DVD(Digital VideoDisc recorder )が考えられている。これは、映像・音声信号をディジタル化して光ディスクに記録再生するシステムであり、コンパクトで高速アクセス可能なディスク盤を記録媒体とすることにより、従来のVTRでは得られないメリットがある。DVDソフトも製作販売される予定だが、ここでもコピー・レンタル問題はソフトの販売価格、さらに装置自体の普及に大きく絡んでくる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】DVDの装置自体を開発製造するハード・メーカー側から見た場合、装置の普及に結びつくレンタルは歓迎される方向にある。しかし、ソフトディスクを制作販売するソフト・メーカー側にしてみれば、レンタルの横行が著作権の侵害、ひいては利益の損失に結びつく可能性が高く許可したくない。
【0008】レンタルを考慮するればソフトディスク自体の価格を高くすることになり、個人ユーザーにおける購入促進は期待できなくなってしまう。レンタルを一切禁止すると、装置自体の普及が滞ることになり、ソフトディスク自体の販売量増大は見込めない。これではDVDのディスク自体の製造コストが幾ら低くなっても、ソフトディスクの価格は下げられず、ハード・メーカー側、ソフト・メーカー側、およびユーザーが各々での不利益を受けることになり大きな問題が残る。
【0009】この発明は上記した問題を考慮してなされたもので、レンタルを許可してもソフト・メーカー側で不利益を受けることなく、著作権の保護管理が容易なデータ再生管理システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明では、再生動作の制限を行う管理コードデータと、前記管理コードデータを有し、画像や音声等のデータを記録する情報記録媒体と、前記情報記録媒体を再生する再生装置と、前記情報記録媒体の再生時に前記管理コードデータに応じて再生動作の制限を行う手段とを具備している。
【0011】
【作用】このように構成されたものにおいては、情報記録媒体が再生装置に装着されると、情報記録媒体に記録された管理コードに応じて再生動作の制限を行うことにより著作権の保護管理を容易に行うことが可能となる。
【0012】
【実施例】以下、この発明をDVDに応用した実施例を参照し、図面とともに詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例を示し、DVDの管理コード領域のデータ・フォーマット例を示す。
【0013】管理コードはTOC情報等と合わせてディスク1上のリード・イン・エリア2に設けられる。管理コードは、ディスクを制作販売したソフトメーカーのメーカーコード3、記録されている映像ソフトの種類毎に異なるパスワード4、ディスクに対する再生制限の適用を指示する制限適用指示データ5、現在までに登録された再生機器IDの数を示すID登録数6、再生機器IDを登録しておく機器IDデータ登録エリア7から構成される。ID登録数については個人ユーザーに支障がないような数であらかじめ上限を規定しておく。
【0014】図2はこの実施例の再生機器側における管理コード処理のフローチャートを示す。ディスク1を再生機器で再生する場合、最初にリード・イン・エリア2の中にあるTOC情報等とともに管理コードを読み出す(a)。次に制限適用指示データ5を確認し、再生制限があるかどうかを判断する(b)。再生制限がない場合には再生を許可する。
【0015】再生制限がある場合は、機器ID登録エリア7に、現在再生している機器のIDが登録されているかを参照する(c)。IDがあれば再生が許可され、なければID登録数データ6を調べる(d)。
【0016】ここでID登録数があらかじめ設定された上限規定数を満たしている場合は再生動作は許可されず、再生動作は停止する。上限規定数にまだ空きがある場合は、ID登録数データ6の登録数のカウントをし、再生機種のIDを機器IDデータ登録エリア7に追加登録するため、管理コードの書き込み処理を行う(e)。この後、再生を許可する。
【0017】図3は管理コードデータの変化および動作制限を示すものである。A、B、C、Dの4種類の再生機器を用いて、登録制限数3のディスクを再生する。1度も再生されていない初期状態では、ID登録数は0であり、ID登録エリアは3つとも何も登録されていない空の状態である。ID=A001であるA機器で再生すると、ID登録数は1となり、ID登録エリアの最初のブロックにA001が記録される。ID=B001であるB機器で再生すると、ID登録数は2となり、ID登録エリアの2番目のブロックにB001が記録される。ID=C001であるC機器で再生すると、ID登録数は3となり、ID登録エリアの3番目のブロックにC001が記録される。ここで、すでに登録されたA、B、C機器では、何度でも再生が可能である。
【0018】次に、ID=D001であるD機器で再生すると、登録制限から新たに登録はできず、またID登録エリアに登録されているIDとも違うので再生は許可されない。
【0019】この実施例では、機器IDは再生機器1台1台が異なっているのが理想ではあるが、ハード・メーカー、機種、製造ロット単位でも十分なコピー防止効果を得ることができる。また、登録制限数を幾つに設定するかは、ソフトディスクの販売価格やレンタル料金等を考慮し、個人ユーザーに支障のない範囲で決定すればよい。
【0020】また、個人ユーザー用のソフトディスクとレンタル用のソフトディスクを分けて販売する方法も考えられる。この場合、個人ユーザー用は制限適用指示データ5が適用にし、レンタル用は非適用にして販売価格自体に著作権料を加える。または、個人ユーザー用とレンタル用とで異なるID登録制限数コードを設けておき、登録数チェックルーチン(d)でID登録数の上限を制限する。ここでレンタル業者が個人ユーザー用のソフトを購入して営利目的に使用しようとしても、貸出数に制限ができるため利益を出すことができない。図4はこの発明の他の実施例を示す構成図である。
【0021】この実施例ではレンタル業者側にディスクのID登録制限を解除する機能を有するディスク・リフレッシュ装置8を供給する。ディスク・リフレッシュ装置8はモデム9を通じて電話回線10に接続される。
【0022】ソフト販売側には各社レンタル管理のためのホスト・コンピュータ11〜13が電話回線10に接続してあり、レンタル業者側のディスク・リフレッシュ装置8との間でデータの交信が行われる。
【0023】ディスク・リフレッシュ装置8の基本構成は通常のディスク再生装置と同様であるが、装着されたディスク1に書き込まれているID登録の確認とホストコンピュータ11〜13とのデータ交信の結果からID登録を初期設定値にクリアできる機能を有している。図5R>5はこの実施例の処理を示すフローチャートである。
【0024】レンタル業者側においてID登録数が規定数に達しているディスクが装着されるか、ID登録数に関係なくリフレッシュが要求された場合は、ディスク内の管理コードのメーカーコード3を参照し、装着されたディスクの販売会社のホスト・コンピュータ11、12あるいは13との回線接続を行う(g)。
【0025】初めにディスク・リフレッシュ装置8のレンタル加入番号と、ディスクの管理コードの中のメーカーコード3とID登録数6を該当するソフトメーカーのホスト・コンピュータ11、12あるいは13に送信する(h)。メーカーコード3の中には販売会社やディスク分類番号等が含まれている。
【0026】これによりソフト販売会社側ではディスク・リフレッシュ処理を行おうとしているレンタル業者の確認ができ、送信されてきたID登録数をもとに著作権使用料の計算が可能になる。
【0027】次にホスト・コンピュータ11、12あるいは13からディスク・リフレッシュ装置8にパスワードが送信される。ディスク・リフレッシュ装置8はディスク1の管理コードから読み取ったパスワード4と受信したパスワードとを照合する(i)。両方のパスワードが一致した場合のみ装着したディスクのID登録数を初期値にクリアできる(j)。
【0028】ソフト販売側におけるパスワードは、ディスク・リフレッシュ装置から外部にもれないような構成となっており、パスワードの機密性は保持される。また、これらのパスワードは暗号化などにより2重、3重のプロテクトが掛けられている。
【0029】この実施例ではソフト販売側が、レンタル業者からレンタルに使用したディスクのID登録数の報告を受ける代わりにディスク・リフレッシュ動作を許可する方式である。これにより、厳密な著作権使用料の管理が容易に実現できる。
【0030】図6はこの発明のその他の実施例を示す構成図である。図4に示す実施例では電話回線を利用しホスト・コンピュータ11〜13に接続して著作権の管理を行う方法であったが、この実施例ではホスト・コンピュータ11〜13で処理すべき機能をディスク・リフレッシュ装置8に組み込む。ディスク・リフレッシュ装置8に組み込まれたリフレッシュ許可回路14によりディスクの管理を行う。
【0031】この実施例ではメモリーカード15を用いてID登録数の確認およびソフト販売側のパスワードの発行を行う。レンタル業者側においてID登録数が規定数に達しているディスクが装着されるか、ID登録数に関係なくリフレッシュが要求された場合は、ディスク内の管理コードのメーカーコード3を参照し、装着されたディスクの販売会社のメモリーカードをディスク・リフレッシュ装置に挿入する。
【0032】メモリカードにはソフト販売会社側のパスワードが記録されており、装着されたディスクの管理コードのパスワードを読み込み、ソフト販売会社側のパスワードと一致した場合のみ、装着したディスクのID登録数をクリアにできる。またディスク・リフレッシュ前にディスクのID登録数をメモリカードに記録する。これらのメモリカードの内容は容易に解読できないように構成されている。
【0033】この実施例においては、メモリカードを利用し、ID登録数の記録およびパスワードの適用を行うことにより、容易に著作権使用料を管理することが可能である。図7はこの発明のもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【0034】この実施例は、図1に示す実施例の再生制限に有効期限を付けた方法である。管理コードに有効期限データ16を追加し、有効期限が切れていればID登録数の制限に関わりなく再生が許可される方式である。一般にレンタルの発生ピークは新作発表から1年以下であり、また個人がID登録数の制限を超えるほど再生機器を買い替えることはないと考えられる。
【0035】図8はこの実施例の処理を示すフローチャートである。有効期限の照合は再生機器内部のタイマーにより行われる。ID登録数があらかじめ設定された上限規定数を満たしている場合、再生機器内部のタイマーによりあらかじめ設定されたディスクごとの有効期限をチェックし期限切れならば再生を許可する。有効期限内ならば再生動作を中止する(p)。
【0036】この実施例においては、ディスクにID登録制限の有効期限データを付加することにより、新作発売から一定期間はレンタルを規制し、一定期間後はID登録の制限をなくすことにより、ソフト販売会社側がレンタル開始の期間を容易に操作することができる。
【0037】図9はこの発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。この実施例では個人ユーザーが再生機器を買い替えた場合に、従来使用していた再生機器のIDを、新たに購入した再生機器に継承させる方法である。
【0038】再生機器のIDコードの発生部に不揮発性メモリ等を使用し、専用のID変更用ディスクを用いてIDを変更する。また、再生機器の内部に設けられたスイッチの設定によりIDを変更してもよい。これらのIDの変更は再生機器の製造メーカーや販売店などが行うようにし、一般の個人ユーザーには簡単には変更できないようにする。
【0039】ID変更用ディスクの管理コードは、ID変換ディスク識別コード17、メーカーコード3、パスワード4、制限適用指示データ5、ID登録数6、IDデータ登録エリア7から構成される。
【0040】図10はこの実施例の処理を示すフローチャートである。再生装置にディスクが挿入されると、ID変更用ディスクか普通のディスクかを識別する(q)。普通のディスクならば図2に示すフローチャートの処理を行い、再生動作を行う。
【0041】ID変更用ディスクrならば、ID登録数6をチェックする(r)。ここでID登録数6が0の場合、現在ディスクが挿入されている再生機器のIDをID変更用ディスクのIDデータ登録エリア7に記録する。これにより、ID変更用ディスクのID登録数は1となる(t)。
【0042】次に新たに購入した再生機器にこのID変更用ディスクを挿入する。ここでID登録数は1なのでID変更用ディスクに記録されたIDをコピーし、再生機器内にセットされていた従来のIDを変更する(v)。同時にID変更用ディスクのID登録数6を0にもどす。
【0043】この実施例では、ID変更用ディスクを従来使用していた再生機器に装着してその再生機器のIDをコピーし、次にIDを変更しようとする再生機器にこのID変更用ディスクを装着することにより、容易にID変更をおこなうことができる。
【0044】図11はこの発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。この実施例は、通常の映像音声ソースの他に特典用として映像音声ソースが記録されている特典付きディスクに関するものである。特典付きディスクの管理コードは、図11に示すようにメーカーコード3、パスワード4、特典コード18、許可ID数コード、制限適用指示データ5、ID登録数6、機器IDデータ登録エリア7から構成される。
【0045】また図12に示すようにTOCデータには、通常の主データの他に特典データ用のTOC20を追加して記録する。特典再生が許可される場合のみ特典データ用のTOC20を読み出し特典データを再生する。
【0046】図13はこの実施例の処理を示すフローチャートである。特典付きディスクを装着すると、特典コード18により特典の有無を識別する(x)。特典が付加されていなければ、通常の再生動作に入る。
【0047】特典が付加されていれば、許可ID数コード19とID登録数6を比較し、ID登録数6が許可ID数の範囲ないならば管理コードにIDを書き込み、特典データの再生が許可される(z)。
【0048】この実施例では、許可ID数コード19を追加し、特典データの再生を制限することでレンタルディスクとの差別化を図ることができる。これにより、個人ユーザーにおける購入意欲の増進が期待できる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、記録媒体に管理コードデータを記録し、この管理コードデータに基づいて再生動作を管理することにより、記録媒体の著作権を厳密に管理することが可能となる。また、レンタル業者に対しても厳密な管理ができるので、ソフト制作側に不利益をもたらすことなく再生機器の普及促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例のDVDの管理コードのフォーマット例を示す説明図である。
【図2】図1の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図3】図1の実施例における管理コードデータの変化および動作制限を示す説明図である。
【図4】この発明の他の実施例を示す構成図である。
【図5】図4の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図6】この発明のその他の実施例を示す構成図である。
【図7】この発明のもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【図8】図7の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図9】この発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【図10】図9の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【図11】この発明のさらにもう一つのその他の実施例を示す構成図である。
【図12】図11の実施例におけるTOCデータの説明図である。
【図13】図11の実施例における処理動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1…ディスク、2…リード・イン・エリア、3…メーカーコード、4…パスワード、5…制限適用指示データ、6…ID登録数、7…機器IDデータ登録エリア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 再生動作の制限を行う管理コードデータと、前記管理コードデータを有し、画像や音声等のデータを記録する情報記録媒体と、前記情報記録媒体を再生する再生装置と、前記情報記録媒体の再生時に前記管理コードデータに基づいて再生動作の制限を行う手段とを具備したことを特徴とするデータ再生管理システム。
【請求項1】 再生動作の制限を行う管理コードデータと、前記管理コードデータを有し、画像や音声等のデータを記録する情報記録媒体と、前記情報記録媒体を再生する再生装置と、前記情報記録媒体の再生時に前記管理コードデータに基づいて再生動作の制限を行う手段とを具備したことを特徴とするデータ再生管理システム。
【図1】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図10】
【図13】
【図9】
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【図13】
【公開番号】特開平6−208760
【公開日】平成6年(1994)7月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−3076
【出願日】平成5年(1993)1月12日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成6年(1994)7月26日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)1月12日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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