説明

データ再生装置およびデータ再生方法

【課題】 磁気テープを用いたデータ再生装置において、リポジショニング回数低減と再生速度制御処理の容易化との両立を図る。
【解決手段】 データを一時保存するバッファメモリ15を8個のメモリ領域で管理し、また通常モードと減速モードのそれぞれにおいて再生速度レベル1から再生速度レベル3の3段階で再生速度を設定し、通常モード時にグループ格納可能状態にあるメモリ領域数が「1」になると減速モードに切り替え、減速モード時にホストコンピュータ20へ転送可能状態にあるメモリ領域数が「1」になると通常モードに切り替え、減速モード時にグループ格納可能状態にあるメモリ領域数が「0」になると、再生速度レベルを1段階下げるとともに再生を停止し、ホストコンピュータ20へ転送可能状態にあるメモリ領域数が「1」になると通常モードに切り替えて再生を再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気テープに記録されたデータを再生して外部機器へ転送するデータ再生装置、およびデータ再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気テープに記録されたデータを再生するデータ再生装置においては、データ再生時に、再生速度よりもホスト転送速度が遅い場合に、テープ走行を一時停止してデータの再生を中止し、その後、データの読み込みを再開する際に、再生開始場所の手前まで戻すために逆向き走行を行って再生ポイントを探し、再生ポイントを探し出した後、再生を開始するというトラッキングのポジション動作、いわゆるリポジショニング動作が発生することが知られていた。このリポジショニング動作を行うと、再生再開に移るまで時間がかかることから、転送レートが悪化し、また磁気テープの同一箇所を再生ヘッドが通過する回数が増えることと、磁気テープを止めたり走行させたりする等の機械的な動作状態の変化が多くなることから、磁気テープの耐久性を低下させてしまう。このため、できるだけリポジショニング動作を低減させることが望まれている。
【0003】
これに対して、磁気テープの再生速度を可変とすることが考えられているが、リポジショニング動作を発生させないように制御するには、ホストとの間の転送レートを随時計測する必要があった。ホストとの間の転送レートは、他の周辺機器の動作環境などにも影響されるので、リアルタイムでの計測とそれによる再生速度の制御のためには、複雑なアルゴリズムが必要であった。また、テープドライブ装置で再生されたデータを一時格納するバッファメモリのデータ量をモニタして、そのモニタ結果を基に再生速度制御を行うようにしたものもあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−348432号公報(段落番号〔0020〕〜〔0022〕、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、リポジショニング動作の発生回数を抑制するために、簡単な制御で磁気テープを可変速再生できることが望まれていた。また、再生速度の遷移時にはデータの取りこぼしが発生しやすく、発生した場合、もしくは発生確率の高いシステムの場合には、例えば、一度再生し終わった区間まで逆向きに磁気テープを走行させ、助走区間を用意してから遷移後の再生速度に切り替えなければならないので、結果的にこのような動作時にはリポジショニングが発生するという問題もあった。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、リポジショニング回数低減と処理の容易化との両立を図ることが可能な磁気テープ用のデータ再生装置およびデータ再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では上記課題を解決するために、テープドライブ装置を備え、磁気テープに記録されたデータを前記テープドライブ装置で再生して外部機器へ転送するデータ再生装置において、前記テープドライブ装置により前記磁気テープから読み出されたデータを一時的に記憶する記憶手段と、前記記憶手段を複数のメモリ領域で管理するメモリ管理手段と、前記テープドライブ装置から出力される一定量のデータを1グループとし、前記複数のメモリ領域のうち前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域に対して転送する第1の転送手段と、前記外部機器から転送要求がある毎に、前記複数のメモリ領域のうち、前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域に格納されている前記グループを前記外部機器へ転送する第2の転送手段と、前記テープドライブ装置の再生速度を複数段階で切り替え可能であって、前記複数のメモリ領域のうち、前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数と前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数とを判定し、それぞれの個数に応じて再生速度の切り替えを行う再生速度制御手段と、を有することを特徴とするデータ再生装置が提供される。
【0007】
このようなデータ再生装置では、テープドライブ装置の再生速度を複数段階が切り替え可能とされ、記憶手段のメモリ領域のうち、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数とグループを外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が判定され、それぞれの個数に応じて再生速度の切り替えが行われる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のデータ再生装置によれば、テープドライブ装置の再生速度を複数段階で切り替え可能とし、記憶手段のメモリ領域のうち、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数とグループを外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数を判定し、それぞれの個数に応じて再生速度の切り替えを行うので、従来よりも正確な再生速度制御が可能となる。すなわち、テープドライブ装置からデータを読み込む量と外部機器へ転送するデータ量の兼ね合いを考慮することから、より正確な再生速度制御が可能となる。これにより、磁気テープのリポジショニング動作を大幅に低減できる。
【0009】
具体的には、例えば、通常モードと減速モードのそれぞれにおいて最も速い再生速度レベルから最も遅い再生速度レベルの数段階で再生速度の設定を可能とし、通常モード時に、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が第1の閾値以下になると減速モードに切り替え、減速モード時に、グループを外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が第2の閾値以下になると通常モードに切り替える。さらに例えば、減速モード時に、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が第1の閾値より値の小さな第3の閾値以下になると、再生速度レベルを1段階下げるとともに再生を停止し、グループを外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が第2の閾値以上になると、通常モードに切り替えて再生を再開させる。また例えば、通常モード時に、グループを外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が第2の閾値より値の小さい第4の閾値以下になると、再生速度レベルを1段階上げる。通常モードと減速モードの2つのモードに加えて、再生速度レベルを使用することで、少ない処理でリポジショニング動作の大幅な低減が可能となる。すなわち、本発明では、リポジショニング回数低減と処理の容易化を両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の概略構成を示すブロック図である。この図において、本実施の形態のデータ再生装置10は、マイクロコントローラ(以下マイコンと呼び、またマイコンは再生速度制御手段に対応する)11と、テープドライブ装置12と、復調処理部13と、再生制御装置14と、バッファメモリ(記憶手段)15と、通信インタフェース部16とを備えて構成される。通信インタフェース部16は、データ再生装置10と外部のホストコンピュータ20とを接続するものである。
【0011】
マイコン11は、装置各部を統括的に制御するものであり、図示せぬROM(Read Only Memory)等のメモリに格納された制御プログラムに従って動作する。主な動作としては、再生制御装置14と通信を行ってテープドライブ装置12の再生速度(データの読み出し速度)を制御する。すなわち、外部のホストコンピュータ20へ転送するデータの残量が少なくなると、テープドライブ装置12の再生速度を上げる制御を行い、逆に外部のホストコンピュータ20へ転送するデータの残量が多くなると、テープドライブ装置12の再生速度を下げる。実際は、様々な条件の下で再生速度制御が行われるので、その詳細については後に詳しく説明する。
【0012】
ここで、本実施の形態で扱う「グループ」と呼ぶデータの概念について説明する。
図2はグループの構成を示す概念図である。また、図3はC2パリティを有するグループの構成を示す概念図、図4はC2パリティ無しのグループの構成を示す概念図である。図2において、グループは、先ずある長さに区切られたデータブロック(C1データと呼び、例えば256byteのデータ)をC2方向に予め決められた数だけ積み重ね、さらにC3方向にも予め決められた数積み重ねて形成する。この際、C3方向にパリティを加え、フォーマットによっては更にC2パリティを加える。C2パリティを加えたものが図3に示すものであり、C2パリティを加えていないものが図4に示すものである。各C1データには、それぞれの位置情報(C2アドレス、C3アドレス)やグループID及び付加情報を含むヘッダを加え、さらにヘッダとデータに対してC1パリティを加える(図3又は図4参照)。このように構成したデータをグループと呼ぶ。また、ヘッダ、C1パリティを含むC1データをフラグメント(又はブロック)と呼ぶ。
【0013】
図5はフラグメントの構成を示す概念図である。この図に示すように、フラグメントは、データ(C2パリティ又はC3パリティを含む)の前後にヘッダとC1パリティを配置した構成となる。なお、磁気テープの記録方式がヘリカルスキャン方式であれば、1トラックに所望の数のフラグメントが記録される。この磁気テープに記録されたフラグメントが再生信号としてテープドライブ装置12より出力され、復調処理部13にてグループに組み立てられる。
【0014】
図1に戻り、テープドライブ装置12は、ヘリカルスキャン方式を採用したものであり、例えば8mm幅の磁気テープに対して回転ドラムによりアジマス角の異なる複数個(例えば2個)の磁気ヘッドをヘリカルスキャンさせて、各磁気ヘッドからの再生信号を出力する。復調処理部13は、テープドライブ装置12からのフラグメントからグループを組み立てる。グループの組み立ては上述した通りである。再生制御装置14は、読み込み部(第1の転送手段)141と、誤り訂正部(誤り訂正手段)142と、メモリ領域制御部(メモリ管理手段)143と、インタフェース制御部(第2の転送手段)144とを備えて構成される。読み込み部141は、復調処理部13からのグループの読み込みを行い、バッファメモリ15への転送を行う。読み込み部141は、グループのバッファメモリ15への転送状況をマイコン11に伝える。誤り訂正部142は、バッファメモリ15に格納されたグループに対してECC(Error Correcting Code)による誤り訂正を行う。インタフェース制御部144は、ホストコンピュータ20の要求に応じて、バッファメモリ15のメモリ領域に格納された誤り訂正済みのグループをホストコンピュータ20へ転送する。この際、フラグメントのデータが圧縮されている場合は、内蔵するデコーダ145で伸長してからホストコンピュータ20へ転送する。インタフェース制御部144は、グループのホストコンピュータ20への転送状況をマイコン11に伝える。
【0015】
メモリ領域制御部143は、バッファメモリ15を複数のメモリ領域で管理するとともに、読み込み部141、誤り訂正部142及びインタフェース制御部144それぞれとバッファメモリ15との間のデータの仲介を行う。本実施の形態では、バッファメモリ15に、例えば8つのグループを格納できるようにメモリ管理する。バッファメモリ15は、FIFO(First In First Out)と同じように、データ格納順でグループの読み出しが行われる。
【0016】
メモリ領域制御部143は、バッファメモリ15のメモリ領域の使用状態を常時管理し、各種情報を取得する。すなわち、読み込み部141が転送中(又は転送を開始しようとしている)のメモリ領域番号と、フリーのメモリ領域数(又はフリーの最後(最新)のメモリ領域番号)を取得する。また、誤り訂正部142が現在誤り訂正している(又は誤り訂正を始めようとしている)メモリ領域番号と、誤り訂正完了しているメモリ領域数(又は誤り訂正完了している最後(最新)のメモリ領域番号)を取得する。また、インタフェース制御部144が転送中(又は転送をしようとしている)のメモリ領域番号と、転送完了しているメモリ領域数(又は転送を完了している最後(最新)のメモリ領域番号)を取得する。取得した各状況は、適宜読み込み部141およびインタフェース制御部144を通じてマイコン11に伝える。
【0017】
図6は、読み込み速度に比べてホストコンピュータ20への転送速度が速い場合と遅い場合のグループバンク利用状態を示すものである。この図において、“再生信号を格納可能”となっているメモリ領域は、フリーのメモリ領域のことである。また、“再生信号を転送中”となっているメモリ領域は、1グループの再生信号が転送されている最中(又は転送を開始しようとしている)のメモリ領域のことである。また、“ECCデコード中”となっているメモリ領域は、誤り訂正している最中のメモリ領域のことである。また、“ECCデコード完 ホストへ転送可能”となっているメモリ領域は、誤り訂正完了しているメモリ領域のことである。また、“ホストへ転送中”となっているメモリ領域は、ECCデコードを完了した1グループの再生信号がホストコンピュータ20へ転送されている最中(又は転送を開始しようとしている)のメモリ領域のことである。また、“ホストへ転送完”となっているメモリ領域は、ECCデコードを完了した1グループの再生信号をホストコンピュータ20に転送し終えたメモリ領域のことである。なお、この図に示すメモリ領域の状態の詳細については後に詳しく説明する。
【0018】
マイコン11は、読み込み部141およびインタフェース制御部144を通じて、メモリ領域制御部143からの各種情報を受けることで、バッファメモリ15内の利用可能なメモリ領域数を判定して「再生速度レベル」と「再生モード」の切り替えを行い、テープドライブ装置12の再生速度を制御する。再生速度レベルの段階は、データ再生装置10の再生速度を幾つ用意するかによって決まり、例えば3段階用意する場合、再生速度レベルは3段階となる。また、再生モードとして、例えば通常モードと減速モードの2つのモードを用意し、各再生速度レベルにそれぞれのモードを存在させる。例えば、再生速度レベルを3段階とし、1倍速再生、0.45倍速再生、0.2倍速再生とした場合、再生速度レベルと再生モードの関係は図8に示すようになる。この場合、初期状態は、「再生速度レベル1」、「通常モード」である。ホストコンピュータ20への転送レートが安定しているときは、再生速度レベルは、レベル1〜レベル3のいずれかのレベルで安定し、通常モードと減速モードがある周期で繰り返し切り替えられる。再生速度レベルをダウンするときは再生を停止する必要があるため、1度リポジショニングが発生するが、再生速度レベルをアップするときは発生しない。
【0019】
本実施の形態では、「再生速度レベル」と「再生モード」の切り替えのための閾値を次の5つ用意している。
閾値TH1:通常モードから減速モードに切り替えるための閾値
閾値TH2:減速モードから通常モードに切り替えるための閾値
閾値TH3:再生速度レベルを1つ下げるための閾値
閾値TH4:再生速度レベルを1つ上げるための閾値
閾値TH5:再生速度レベルを1つ下げた後に再生を再開するための閾値
閾値TH1及び閾値TH3は、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数に関係するものであり、閾値TH2及び閾値TH4は、1つのグループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数に関係するものである。なお、本実施の形態では、閾値TH1>閾値TH3、閾値TH2>閾値TH4、閾値TH2=閾値TH5としているが、それぞれ異なる値であっても勿論構わない。
【0020】
・通常モード時に、1つのグループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が閾値TH1以下になると、減速モードに切り替わる。この条件判定は、読み込み部141がバッファメモリ15にグループ転送を終了した時点で行われる。
【0021】
・減速モード時に、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態になっているメモリ領域数が閾値TH2以下になると、通常モードに切り替わる。この条件判定は、インタフェース制御部144が、通信インタフェース部16にグループ転送を終了した時点で行われる。
【0022】
・減速モード時に、グループを格納可能な状態になっているメモリ領域数が閾値TH3以下になると、再生速度レベルが1段階下げられるとともに再生が停止し、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態となっているメモリ領域数が閾値TH5以下になると、通常モードに切り替えて再生を始める。この条件判定は、読み込み部141がバッファメモリ15にグループ転送を終了した時点で行われる。
【0023】
・通常モード時に、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態になっているメモリ領域数が閾値TH4以下になると、再生速度レベルが1段階上がる。この条件判定は、インタフェース制御部144が通信インタフェース部16にグループ転送を終了した時点で行われる。
【0024】
例えば、閾値TH1を「1グループ」、閾値TH2を「1グループ」、閾値TH3を「0グループ」、閾値TH4を「0グループ」、閾値TH5を「1グループ」、グループ総数を「8」とした場合の各再生速度レベル及び各再生モードにおける状態遷移を図9に、その動作を示すフローチャートを図10〜図12に、各条件でのバッファメモリ15の状態を上述した図6に示す。レベルダウンする場合のみ再生を停止する必要があるため、1度リポジショニング動作が発生するが、それ以外は、リポジショニング動作が発生しない。レベルダウンする場合は、再生速度レベル1の減速モードから再生速度レベル2の通常モードに移行するとき、及び再生速度レベル2の減速モードから再生速度レベル3の通常モードに移行するときである。なお、図10〜図12のフローチャートについては後程説明する。
【0025】
図1に戻り、誤り訂正部142は、データの取りこぼしが発生した場合に、ECC(C2パリティ又はC3パリティ)で訂正する。再生速度遷移時には、PLL(Phase Locked Loop)が外れ易く、トラッキングサーボが外れ易いという理由でデータの取りこぼしが発生し易い。リニアスキャン方式のデータ再生装置では、テープスピードの変化がそのまま再生信号の周波数の変化として現れるため、急激な再生速度遷移を行うとPLLが外れ易い。また、テープスピードの変化によってテープと磁気ヘッド、ガイドの摩擦力が変化し、トラッキングが一時的に外れることがある。一方、ヘリカルスキャン方式のデータ再生装置では、各トラック内に埋め込まれたデータブロックに、そのデータブロックのデータグループにおける絶対位置を示すIDを埋め込み、読み取り後にIDに基づいてデータを再構築するパケットライト方式を採ることで、ドラム回転数を変化させずにテープスピードのみを変化させることで再生速度を変化させることができる。このため、再生速度変動によってPLLが外れ難くなる。しかしながら、オントラック再生時とノントラック再生時の遷移時にデータを取りこぼすことがある。特に、再生速度が遅いノントラック再生時からオントラック再生に遷移する場合に発生し易い。
【0026】
取りこぼしたデータをECCで保証するには、
(1)データの取りこぼし量がECCの訂正限界内であり且つ余裕がある範囲である
(2)取りこぼしたデータがECCから見てランダムエラーに見えるようなECCの構成にする、ことによって達成できる。
【0027】
(1)において、例えばヘリカルスキャンの場合、
・完全にオントラックとならなかった場合(すなわち、テープ速度の低下などでトラック角度とヘッド走査角度とが一致しない場合に、トラックの全域を1回の走査でなぞれなかった場合)にもトラック上で同アジマスのヘッドがなぞった箇所のフラグメントはリード可能でメモリにストアできる、などの工夫をしてデータの取りこぼしを少なくする。
【0028】
・キャプスタンのスピード遷移時間を速くする(1倍速に戻す際にはトラッキングがかかるまでの速度を上げて取りこぼしを少なくする)。
しかしながら、これらの対策でも取りこぼしが起こることが想定できる。そこで、予め取りこぼすであろう最大のデータ(フラグメント数、トラック数)を見積もり、それをECC(C2やC3)で訂正する。C1、C3パリティからなるグループの場合で、C3データが192、C3パリティが36の場合、C3方向で228フラグメント中、最大36フラグメント訂正できる。
【0029】
一方、(2)において、上記のグループで、C2データを192、C3データを192、C3パリティを36とし、1トラックに206フラグメント記録されるシステムの場合、フラグメントをC2方向から順に記録して行っただけでも、1トラック全て読めない場合においては、連続する206フラグメントが読めないバーストエラーであるが、C3方向から見れば最大2シンボルの誤りとなり、バーストエラーには見えない。この場合、仮に最大33トラック連続で全く読めない状態が続いても訂正できる計算になる。但し、上述した通り、トラッキングが上手く行ってなくとも、1トラック中の何処かで同アジマスが重なれば、部分的に読めるので、33トラック連続で丸々読めない状態ではまずないので、マージンはさらに大きくなる(3倍程度)。さらに、グループの境界でスピードを変化させると、取りこぼしが2グループにまたがるため、取りこぼしの影響が分散される。
【0030】
次に、上記構成のデータ再生装置10の動作について説明する。
まず上述した図6について説明する。図6は再生制御装置14の読み込み部141が転送中のメモリ領域を一番下に置いたときのメモリ領域の利用状態を示すものである。読み込み部141があるグループを完全に転送し終えると、最上部にあるフリーのメモリ領域(すなわち、「再生信号を格納可能」状態となっているメモリ領域)を最下部に移動して、それにグループの転送を行う。判定条件は、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数と、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数としている。グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が所定の閾値より少なくなった場合は、ホストコンピュータ20の転送レートが遅いと判断し、テープドライブ装置12の再生速度を下げる。逆に、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状況にあるメモリ領域数が所定の閾値より少ない場合は、ホストコンピュータ20の転送レートが速いと判断し、テープドライブ装置12の再生速度を上げる。なお、図6では、メモリ領域を動かして表現しているが、実際は図7に示すように動かさないようにしている。
【0031】
ここで、図7について説明する。この図において、8個のメモリ領域に「0」から「7」まで番号(GBN:Group Bank Number)を与え、それぞれを繰り返し使用する。GNB=0のグループバンクから順にグループを転送して行く。そして、誤り訂正したグループをホストコンピュータ20へ転送した後、新たなグループの格納が可能となる。各メモリ領域における状態遷移は時間軸方向に行われる。特に、時間T1〜T3では、再生速度レベル1、通常モードで処理が行われ、時間T4では、グループのホストコンピュータ20へ転送可能なメモリ領域数が「3」で、再生信号を格納可能なメモリ領域数が「1」となるので、再生速度レベル1のままで、通常モードから減速モードに移行する。
【0032】
次に、図10〜図12のフローチャートにおいて、先ず初期状態では、再生速度レベル1、通常モードであり、再生速度1倍速(図8参照)で読み込みを開始する(ステップST10)。再生速度1倍速で読み込みを開始した後、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「0」かどうか判定し(ステップST11)、「0」であれば、再生速度1倍速での読み込みを継続し、「0」でなければ、グループを転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」かどうか判定する(ステップST12)。
【0033】
ステップST12の判定において、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」でなければ、再生速度1倍速での読み込みを継続する。これに対して、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」であれば、再生速度を下げる必要から再生速度レベル1を保ったまま減速モードに移行する(ステップST13)。例えば、図6の(d)に示すように、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「4」で、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」である場合である。このような場合になると、再生速度レベルはそのままで、再生モードを通常モードから減速モードに移行し、再生速度を1倍速から0.45倍速に設定して、その再生速度でフラグメントの読み込みを開始する。すなわち、グループをホストコンピュータ20へ転送するメモリ領域数が多くなって、フリーなメモリ領域数が少なくなったので、再生速度即ちテープドライブ装置12の読み込み速度を遅くする。
【0034】
再生速度レベル1のままで減速モードに移行した後、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」かどうか判定し(ステップST14)、「1」であれば、ステップST10に戻り、現在の減速モードから通常モードに移行する。例えば、図6の(b)に示すように、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」となった場合である。このような場合になると、再生速度レベルはそのままで、再生モードを減速モードから通常モードに移行し、再生速度を0.45倍速から1倍速にして、その再生速度で再生信号の読み込みを開始する。すなわち、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状況にあるメモリ領域数が少なくなったので、再生速度即ちテープドライブ装置12の読み込み速度を速くする。
【0035】
一方、ステップST14の判定において、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」でなければ、グループを格納可能なメモリ領域数が「0」かどうか判定する(ステップST15)。「0」でなければ、ステップST13に戻って再生速度レベル1、減速モードを継続し、「0」であれば、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になるまで、テープドライブ装置12の読み込みを停止する(ステップST16)。例えば、図6の(e)に示すように、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」となった場合である。このような場合になると、グループを格納するメモリ領域が無いので、ホストコンピュータ20へ転送するメモリ領域数が「1」になるまでテープドライブ装置12の読み込みを停止する。
【0036】
テープドライブ装置12の読み込みを停止した場合、再生速度レベルをレベルダウンするので、再生速度レベル2、通常モードに移行する(ステップST17)。このときの再生速度は、レベルダウンする前と同様で0.45倍速である(図8参照)。再生速度レベルをレベルダウンした後、グループをホストコンピュータ20へ転送可能なメモリ領域数が「0」かどうか判定し(ステップST18)、「0」であれば、再生速度レベルをレベルアップする。すなわち、現状の再生速度レベル2、通常モードから再生速度レベル1、通常モードに移行し、再生速度を1倍速に設定する(ステップST10)。例えば、図6の(a)に示すように、グループをホストコンピュータ20へ転送可能なメモリ領域数が「0」となった場合である。このような場合になると、グループをホストコンピュータ20へ転送可能なメモリ領域が無いので、再生速度を1倍速にする。
【0037】
一方、ステップST18の判定において、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態のメモリ領域数が「0」でなければ、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」かどうか判定し(ステップST19)、「1」でなければ、ステップST17に戻り、現状の再生速度0.45倍速で読み込みを行う。これに対して、グループを格納可能な状況にあるメモリ領域の残りが「1」であれば、現状の再生速度レベル2、通常モードから再生速度レベル2、減速モードに移行し、再生速度を0.45倍速から0.2倍速に設定する(ステップST20)。例えば、図6の(d)に示すように、グループを格納可能な状況にあるメモリ領域数が「1」となった場合である。このような場合になると、再生速度レベルはそのままで、再生モードを通常モードから減速モードに移行し、再生速度0.2倍速で読み込みを開始する。すなわち、ホストコンピュータ20へ転送するメモリ領域数が多くなったので、テープドライブ装置12の読み込み速度を遅くする。
【0038】
再生速度レベル2で減速モードに移行した後、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」かどうか判定し(ステップST21)、「1」であれば、再生速度レベル2を保ったまま、減速モードから通常モードへ移行する。例えば、図6の(b)に示すように、ホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」となった場合である。このような場合になると、再生速度レベルはそのままで、再生モードを減速モードから通常モードに移行し、再生速度を0.2倍速から0.45倍速にて、その再生速度で読み込みを開始する。すなわち、ホストコンピュータ20へ転送するメモリ領域数が少なくなったので、テープドライブ装置12の読み込み速度を速くする。
【0039】
一方、ステップST21の判定において、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」でなければ、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」かどうか判定し(ステップST22)、「0」でなければ、現状の再生速度0.2倍速で読み込みを行う。これに対して、「0」であれば、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域の残りが「1」になるまで読み込みを停止する(ステップST23)。例えば、図6の(e)に示すように、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」となった場合である。このような場合は、グループを格納するメモリ領域がないので、ホストコンピュータ20へ転送可能なメモリ領域の残りが「1」になるまで読み込みを停止する。
【0040】
読み込みを停止した場合、再生速度レベルをレベルダウンするので、再生速度レベル3、通常モードに移行する(ステップST24)。このときの再生速度はレベルダウンする前と同様で0.2倍速である(図8参照)。再生速度レベルをレベルダウンした後、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状況にあるメモリ領域数が「0」かどうか判定し(ステップST25)、「0」であれば、再生速度レベルをレベルアップする。すなわち、現状の再生速度レベル3、通常モードから再生速度レベル2、通常モードに移行し、再生速度を0.45倍速に設定する(ステップST17)。例えば、図6の(a)に示すように、グループをホストコンピュータ20へ転送可能なメモリ領域数が「0」となった場合である。このような場合は、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域が無いので、再生速度を0.45倍速にて読み込みを行う。
【0041】
一方、ステップST25の判定において、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「0」でなければ、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」かどうか判定し(ステップST26)、「1」でなければ、ステップST24に戻り、現状の再生速度0.2倍速で読み込みを行う。これに対して、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」であれば、現状の再生速度レベル3、通常モードから再生速度レベル3、減速モードに移行し、再生速度を0.2倍速に設定する(ステップST27)。例えば、図6の(d)に示すように、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」となった場合である。このような場合は、再生速度レベルはそのままで、再生モードを通常モードから減速モードに移行し、再生速度0.2倍速で読み込みを開始する。すなわち、ホストコンピュータ20へグループを転送するメモリ領域数が多くなったので、テープドライブ装置12の読み込み速度を遅くする。なお、本実施の形態では、再生速度レベル3においては、通常モードも減速モードもともに再生速度は0.2倍速なので、実質上変化はない。
【0042】
再生速度レベル3のまま減速モードに移行した後、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」かどうか判定し(ステップST28)、「1」であれば、再生速度レベル3を保ったまま通常モードに移行する。例えば、図6の(b)に示すように、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域が「1」となった場合である。このような場合は、再生速度レベルはそのままで、再生モードを減速モードから通常モードに移行し、再生速度0.2倍速で再生信号の読み込みを開始する。すなわち、ホストコンピュータ20へグループを転送するメモリ領域数が少なくなったので、テープドライブ装置12の読み込み速度を速くする。但し、上述したように本実施の形態では、再生速度レベル3においては、通常モードも減速モードもともに再生速度は0.2倍速なので、実質上変化はない。
【0043】
一方、ステップST28の判定において、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域の残りが「1」でなければ、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」かどうか判定し(ステップST29)、「0」でなければ、現状の再生速度0.2倍速で読み込みを行う。これに対して、「0」であれば、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になるまで読み込みを停止する(ステップST30)。例えば、図6の(e)に示すように、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」となった場合である。このような場合は、グループを格納するメモリ領域が無いので、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になるまで読み込みを停止する。なお、読み込みを停止した場合は、再生速度レベルをレベルダウンするが、再生速度レベル3より小レベルの再生速度レベルを用意していないので、そのままステップST24に移行する。このときの再生速度は、0.2倍速である。
【0044】
以上をまとめると、通常モードと減速モードのそれぞれにおいて最も速い再生速度レベル1から最も遅い再生速度レベル3の3段階で再生速度の設定を可能とし、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」以上の状態で、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「2」以上の間は、現在の再生速度レベル、通常モードで決まる再生速度を維持し、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「0」になった場合、現在の再生速度レベルが最も速い再生速度であれば、現在の再生速度レベルを維持し、現在の再生速度レベルが最も早い再生速度でなければ、1つ上位の再生速度レベルに移行し、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」以上の状態で、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になると、現在の再生速度レベル、減速モードで決まる再生速度に設定し、この再生速度を、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「2」以上で、且つグループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」以上の間維持し、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になると、1つ上位の再生速度レベル、通常モードで決まる再生速度に設定変更し、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「2」以上の状態で、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」になると、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になるまでテープドライブ装置12における再生を停止するとともに、現在の再生速度レベルが最も遅い速度でなければ、1つ下位の再生速度レベル、通常モードで決まる再生速度に設定変更し、現在の再生速度レベルが最も遅い速度であれば、1つ上位の再生速度レベル、通常モードで決まる再生速度に設定変更する。
【0045】
このように、本実施の形態のデータ再生装置10によれば、データを一時保存するバッファメモリ15を8個のメモリ領域で管理し、また通常モードと減速モードのそれぞれにおいて最も速い再生速度レベルから最も遅い再生速度レベルの3段階で再生速度の設定を可能とし、通常モード時に、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になると減速モードに切り替え、減速モード時に、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になると通常モードに切り替え、減速モード時に、グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が「0」になると、再生速度レベルを1段階下げるとともに再生を停止し、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「1」になると、通常モードに切り替えて再生を再開し、通常モード時に、グループをホストコンピュータ20へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が「0」になると、再生速度レベルを1段階上げる。
【0046】
これにより、ホストコンピュータ20への転送速度の微少な変化に対しては、通常モードと減速モードとの間の再生速度制御のみで対応でき、さらに転送速度が高速になった場合には再生速度レベルを高くする。この間、リポジショニング動作は発生しない。また、減速モード時にさらに転送速度が低速になった場合にのみ再生動作を停止させ、すなわちその後の再生開始時にのみリポジショニング動作が発生する。従って、リポジショニング動作の発生回数が抑制され、磁気テープへのダメージを低減できる。これとともに、リポジショニング動作が発生しない間の動作では、速度を上げる方向に対しては、減速モードから再生速度モードへの遷移と、再生速度レベルの段階(ここでは最大3段階)の分だけの速度制御が行われ、速度を下げる方向に対しては、通常モードから減速モードへの1段階のみの速度制御が行われる。従って、再生速度の段階が比較的少なくなることによる、テープドライブ装置12の低コスト化やその制御を容易にする効果と、リポジショニング動作の発生回数の抑制効果とを両立させることが可能となる。
【0047】
さらに、例えばホストコンピュータ20との間の転送速度の計測などを行うことなく、メモリ領域の管理のみで再生速度制御を実行するので、制御処理の手順やハードウェア構成を簡易化できる。また、再生速度遷移中に取りこぼしたデータに対してECC(C2パリティ又はC3パリティ)により補償するので、信頼性の高い再生を行うことが可能となる。また、バッファメモリ15のメモリ領域を使用して誤り補正処理を行うので、専用のメモリを必要としない分、コストアップを抑えることができる。
【0048】
なお、上記の実施の形態では、磁気テープの記録データを再生するデータ再生装置について説明したが、本発明は当然ながら、磁気テープに対するデータの記録機能を持つデータ記録再生装置に対して適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置で用いられるグループの構成を示す概念図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置で用いられるグループで、C2パリティを有する構成を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置で用いられるグループで、C2パリティ無しの構成を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置で用いられるグループを構成するフラグメントの構成を示す概念図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置のグループバンクの利用状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置のグループバンクの実際の使用例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の再生速度例を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の再生速度制御における状態遷移を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の動作を説明するためのフロー図である。
【図11】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の動作を説明するためのフロー図である。
【図12】本発明の一実施の形態に係るデータ再生装置の動作を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0050】
10……データ再生装置、11……マイクロコントローラ、12……テープドライブ装置、13……復調処理部、14……再生制御装置、15……バッファメモリ、16……通信インタフェース部、20……ホストコンピュータ、141……読み込み部、142……誤り訂正部、143……メモリ領域制御部、144……インタフェース制御部、145……デコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープドライブ装置を備え、磁気テープに記録されたデータを前記テープドライブ装置で再生して外部機器へ転送するデータ再生装置において、
前記テープドライブ装置により前記磁気テープから読み出されたデータを一時的に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段を複数のメモリ領域で管理するメモリ管理手段と、
前記テープドライブ装置から出力される一定量のデータを1グループとし、前記複数のメモリ領域のうち前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域に対して転送する第1の転送手段と、
前記外部機器から転送要求がある毎に、前記複数のメモリ領域のうち、前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域に格納されている前記グループを前記外部機器へ転送する第2の転送手段と、
前記テープドライブ装置の再生速度を複数段階で切り替え可能であって、前記複数のメモリ領域のうち、前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数と前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数とを判定し、それぞれの個数に応じて再生速度の切り替えを行う再生速度制御手段と、
を有することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
前記再生速度制御手段は、通常モードと減速モードのそれぞれにおいて最も速い再生速度レベルから最も遅い再生速度レベルまでの複数段階で再生速度の設定が可能であり、
通常モード時に、前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が第1の閾値以下になると減速モードに切り替え、
減速モード時に、前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が第2の閾値以下になると通常モードに切り替える、
ことを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
前記再生速度制御手段は、
減速モード時に、前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数が前記第1の閾値より値の小さな第3の閾値以下になると、再生速度レベルを1段階下げるとともに再生を停止し、前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が前記第2の閾値以上になると、通常モードに切り替えて再生を再開させることを特徴とする請求項2記載のデータ再生装置。
【請求項4】
前記再生速度制御手段は、
通常モード時に、前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数が前記第2の閾値より値の小さい所定の閾値以下になると、再生速度レベルを1段階上げることを特徴とする請求項2記載のデータ再生装置。
【請求項5】
前記記憶手段内の各メモリ領域の前記グループに対して誤り訂正を行う誤り訂正手段を備えることを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項6】
前記第2の転送手段は、前記記憶手段内のメモリ領域の前記グループについて、前記誤り訂正手段による誤り訂正処理が終了したときに、当該メモリ領域の前記グループが前記外部機器へ転送可能な状態にあると判定することを特徴とする請求項5記載のデータ再生装置。
【請求項7】
前記磁気テープに記録されたデータは、記録される最小単位のデータを、そのデータの方向と異なる1つ以上の方向に対して所定量積み重ね、さらに積み重ねた各方向にパリティを加えたデータ群からなり、
前記第1の転送手段は、前記テープドライブ装置からのデータを前記データ群単位で前記記憶手段内のメモリ領域に転送し、
前記誤り訂正手段は、少なくとも、前記積み重ねた方向に対するパリティを用いた前記データ群単位の誤り訂正処理を実行する、
ことを特徴とする請求項5記載のデータ再生装置。
【請求項8】
前記テープドライブ装置は、前記磁気テープに対して回転ドラムによりアジマス角の異なる複数個の磁気ヘッドをヘリカルスキャンさせて各磁気ヘッドからの再生信号を出力するヘリカルスキャン方式の装置であることを特徴とする請求項7記載のデータ再生装置。
【請求項9】
磁気テープに記録されたデータをテープドライブ装置で再生して外部機器へ転送するためのデータ再生方法において、
メモリ管理手段が、前記テープドライブ装置により前記磁気テープから読み出されたデータを一時的に記憶する記憶手段を、複数のメモリ領域で管理するステップと、
第1の転送手段が、前記テープドライブ装置から出力される一定量のデータを1グループとし、前記複数のメモリ領域のうち前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域に対して転送するステップと、
第2の転送手段が、前記外部機器から転送要求がある毎に、前記複数のメモリ領域のうち、前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域に格納されている前記グループを前記外部機器へ転送するステップと、
再生速度制御手段が、前記複数のメモリ領域のうち、前記グループを格納可能な状態にあるメモリ領域数と前記グループを前記外部機器へ転送可能な状態にあるメモリ領域数とを判定し、それぞれの個数に応じて前記テープドライブ装置の再生速度を複数段階で切り替えるステップと、
を含むことを特徴とするデータ再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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