説明

データ処理方法および装置

【課題】スーパーやコンビニエンスストア等の店舗でアレルギー成分等を含む特定商品を誤って購入することを避けるデータ処理方法および装置を提供する。
【解決手段】店舗の顧客に予め購入を避けるべき個人特有情報をICカードに入力して会員登録する。登録会員である顧客が店舗に出かけて、欲しい商品を選択してレジカウンタへ運ぶと、ICカードリーダー11で個人特有情報を、バーコードリーダー12で商品情報を、更に選択された商品の詳細商品情報を商品情報データベース13から読み込み、POS装置14で商品および個人特有情報を比較して商品情報表示機15に表示すると共に必要に応じて音声情報再生部17から音声によるアナウンスを行い、購入確認入力機16で購入するか否かの最終判断を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理方法および装置に関し、特に小売店舗等において商品購入(又は販売)時のPOS(Point of Sale)ターミナルを使用し、消費者に対して一層細かい情報の提供を可能にするデータ処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット(スーパー)やコンビニエンスストア(コンビニ)等の小売店舗においては、食料品を初めとする日用品等の多数の商品を揃え、顧客(消費者)が選択してレジへ運んだ商品を、POSターミナルを使用して精算処理するのが一般的である。これにより、店舗側では、商品の販売情報が直ちに得られるので、在庫管理および商品の仕入れ情報として活用することが可能である。一方、消費者又は購入者は、迅速に精算処理が可能である。
【0003】
最近、消費者の健康志向が高まり、消費者の商品に対する関心は、単に商品の価格、数量、生産地および賞味期限等に限定されず、商品の生産過程で使用した農薬、保存剤、着色剤その他の成分に関心が高まっている。特に、アレルギー成分としては、例えば卵アレルギー、大豆アレルギー、蕎麦アレルギー、かにアレルギー等の種々の成分が知られている。例えば、卵アレルギーや蕎麦アレルギーの消費者が、卵や蕎麦自体の購入を避けて自己防衛することは困難ではないが、各種の商品に隠し味等として卵や蕎麦を含む商品を確認して購入を避けることは容易でない。視力障害者や高齢者が、各種商品の成分を確認するのは特に困難である。
【0004】
即ち、アレルギー体質や糖尿病等の健康障害を持つ人口が増加している。このような健康障害を持つ消費者は、自己管理をすることが要求される。即ち、商品の選択に際して自己のアレルギー誘発物質や糖分等の含有の有無又は含有量(含有率)に高い関心を払っている。しかし、消費者が購入を希望する商品について、斯かる情報を取得することは困難であり且つ商品の選択に長い時間を要することとなる。更に、小売店舗で扱う全ての商品について、店舗側又は生産者側で斯かる情報を商品に表示することは容易でない。
【0005】
斯かる技術分野に関連する従来技術は、幾つかの技術文献に開示されている。アレルギー患者が商品を購入する際に、その商品に対し自己がアレルギー反応を引き起こすか否かを事前に知ることを可能にするアレルゲン含有商品情報検索システムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、交通事故や非常災害等の個人の健康急変時に、その個人の薬品に対するアレルギーの有無を知り、救急隊員が適切な処置を行うようにする個人健康情報照会システムが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−58550号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開平10−334165号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のPOSターミナルでは、消費者が購入する商品の商品に関する固有情報つまり、品名、数量、単価など製品に関する情報は、表示板で消費者へ提示していたが、消費者個人の特性、例えばアレルギー体質と、商品の特性、例えばアレルギー成分を照合して結果情報を通知するものは存在しなかった。
【0008】
本発明は、従来技術の上述した課題に鑑みなされたものであり、斯かる課題を解消又は軽減するデータ処理方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため本発明のデータ処理方法および装置は次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)スーパーやコンビニエンスストア等の店舗で取り扱う各種商品を、前記店舗に来店した顧客が選択してレジカウンタで会計処理して購入する際のデータ処理方法において、
顧客の会員カードに各顧客に固有のアレルギー成分等を含む個人特有情報を予め入力することと、顧客が選択した商品の会計処理時に前記会員カードを店員に提示し前記個人特有情報および前記商品情報を読み取ることと、前記商品の詳細情報を取得して前記個人特有情報と比較して、顧客に購入の意思を確認後に会計処理するデータ処理方法。
【0011】
(2)前記商品の詳細情報および前記個人特有情報の比較結果を、視覚的に表示して顧客が購入するか否かの判断を促す上記(1)のデータ処理方法。
【0012】
(3)前記商品の詳細情報および前記個人特有情報の比較結果を、音声により顧客に通知する上記(1)又は(2)のデータ処理装置。
【0013】
(4)前記商品の詳細情報は、前記商品のバーコード読み取り結果に基づき商品情報データベースから読み取る上記(1)、(2)又は(3)のデータ処理装置。
【0014】
(5)スーパーやコンビニエンスストア等の店舗で取り扱う各種商品のうち顧客が選択した1以上の商品をレジカウンタで会計処理して購入するデータ処理装置において、
各顧客に固有の個人特有情報を予め入力した会員カードから前記個人特有情報を読み取るカードリーダーと、顧客が選択した商品のバーコードを読み取るバーコードリーダーと、前記各種商品の詳細情報が格納された商品情報データベースと、該商品情報データベースから読み出した詳細情報と前記個人特有情報を比較し、該比較結果に基づき顧客に当該商品の購入意思を確認して会計処理するPOS装置とを備えるデータ処理装置。
【0015】
(6)前記商品の購入意思確認は、前記比較結果を表示する商品情報表示機および購入確認入力機により行う上記(5)のデータ処理装置。
【0016】
(7)前記比較結果を音声により顧客に通知する音声再生部を備える上記(5)又は(6)のデータ処理装置。
【0017】
(8)前記商品の購入意思確認は、タッチパネル式の商品情報表示機により、顧客がタッチして購入の可否を判断する上記(5)のデータ処理装置。
【0018】
(9)前記個人特有情報は、前記顧客が購入を回避するアレルギー成分情報等である上記(5)、(6)、(7)又は(8)のデータ処理装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明のデータ処理方法および装置によると、次の如き実用上の顕著な効果が得られる。先ず、各消費者のニーズに合わせた商品の購入が可能になる。その理由は、アレルギー成分を含んだ商品の消費を避けるために、消費者(顧客)が購入しようとしている商品の詳細な情報(アレルギー情報)を判読しながら商品選択をすることなく、レジカウンタでの会計時にアレルギー情報を自動的に表示して、購入の意思を確認することが可能であるからである。
【0020】
また、店舗側の機器導入を低価格で行うことが可能である。その理由は、POSターミナルと連動してチェックするためである。店舗に来店する各顧客にチェック機能を備えた機器(又は端末)を利用させる場合には、多数の機器が必要であるが、レジカウンタのPOSターミナルの場合には、少ない台数で済む。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明によるデータ処理方法および装置の好適実施例の構成および動作を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
先ず、図1は、本発明によるデータ処理装置の第1実施例の全体構成を示す機能ブロック図である。このデータ処理装置10は、ICカードリーダー11、バーコードリーダー12、商品情報データベース13、POS装置(又はPOSターミナル)14、商品情報表示機15、購入確認入力機16および音声情報再生部17により構成される。
【0023】
このデータ処理装置10を簡単に説明すると、以下の(1)〜(7)のとおりである。
(1)スーパー、百貨店等の店舗にて、会員登録を行う際に、例えばアンケートにより予めアレルギー製品、例えば卵アレルギー、大豆アレルギー等の個人特有な情報をヒアリングした上で会員登録を行い、その情報を会員カードに入れてICカードを発行する。
(2)その店舗の登録会員(消費者)は、その店舗で商品を購入する際に、会員カードを店員に提示する。
(3)店員は会員カードをPOSターミナルのカード認識機で読み取る。
(4)店員は、登録会員(消費者)の購入対象の商品に添付されたバーコードの読み取りを行う。
(5)登録会員(消費者)が視認可能な場所に商品情報表示機が設けられ、この表示機に購入対象の商品の品名、価格、数量の情報が表示される。また、会員カードに保持されている個人特有情報と、商品成分を比較して、該当しているか否か判断した結果も表示機に表示される。
(6)該当製品が検知された場合には、商品情報表示機に表示する以外に、音声情報再生部のスピーカー等による音での注意音により通知することも可能である。
(7)該当製品が検知されると、店員は登録会員(消費者)へ購買の意思の確認を促す。そこで、消費者は購入確認入力機器で、購入の是非を入力する。消費者が入力機器で入力を行えない場合には、その意思を店員が聞いて購入の決定入力を行うことも可能である。
【0024】
次に、図1に示すデータ処理装置10の機能ブロック図に基づいて具体的に説明する。このデータ処理装置10を構成する各機能ブロックの主要機能を説明する。
【0025】
ICカードリーダー11は、会員カード(図示せず)の読み込みを行い、POS装置14へ送信する。バーコードリーダー12は、商品のバーコードを読み込み、POS装置14へ送信する。商品情報データベース13は、商品コードおよびその詳細情報である商品名、商品単価、商品成分、原産国および原産地等を保持する記憶装置であり、POS装置14からの商品コードによる検索により、該当の商品の詳細情報をPOS装置14に返す。
【0026】
POS装置14は、購入商品の登録、現金の受払いおよびカード決済等の機能を有し、更に他の機器とのインターフェース機能を有する。POS装置14は、商品バーコードから取得した商品コードで、商品情報データベース13から商品の詳細情報を取得して、商品情報表示機15にその情報を出力(表示)する。また、この際に、会員カードから取得した個人の特定情報と商品の詳細情報を比較して合致する特定情報があった場合には、その旨を商品情報表示機15に出力する。商品情報表示機15は、POS装置14から送られた商品詳細情報および特定情報の合致の有無を表示する。
【0027】
購入確認入力機16は、特定情報の合致があった場合に、消費者が該当商品を購入をするか否かを選択入力させる機能を有する。商品情報表示機15を、例えばタッチパネル式入力機にすることにより、購入確認入力機を兼ねることも可能である。音声情報再生部17は、特定情報の合致があった場合に、その旨をアナウンス(音声により通知)する。
【0028】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1に示すデータ処理装置10の動作を説明する。商品会計時に、図2に示す手順で、会計処理を行う。
【0029】
先ず、ICカードリーダー11で上述した会員カード(ICカード)を読み取る(ステップS1)。そして読み取った会員カードの特定情報をPOS装置14に記憶する(ステップS2)。次に、バーコードリーダー12で商品バーコードを読み取り(ステップS3)、商品のコードを抽出する(ステップS4)。商品情報データベース13から商品の詳細情報を取得する(ステップS5)。次に、ICカードの特定情報と商品情報が合致するか否かチェックをする(ステップS6)。商品情報とICカードの特定情報とが一致した場合には、その旨を商品情報表示機15に表示する(ステップS7)。商品情報とICカードの特定情報とが不一致の場合には、商品情報のみを商品情報表示機15に表示する(ステップS8)。
【0030】
次に、消費者は、商品情報表示機15の表示に基づき当該商品を購入するか否か入力する(ステップS9)。当該商品を購入しないと入力した時は、会計処理に該当製品を計上しない(ステップS10)。一方、当該商品を購入する場合には、会計処理に該当商品を含めて計上する(ステップS11)。
【実施例2】
【0031】
次に、本発明の第2実施例を説明する。図3は、本発明によるデータ処理装置の第2実施例の全体構成を示すブロック図である。このデータ処理装置30は、ICカードリーダー31、バーコードリーダー32、商品情報データベース33、POS装置34、消費者用商品情報表示機35、店員用商品情報表示機36および音声情報再生部37により構成されている。
【0032】
図3を図1と対比すると明らかな如く、第1実施例のデータ処理装置10においては、商品情報表示機15と購入確認入力機16を別機器としていたが、第2実施例のデータ処理装置30では、表示機をタッチパネルディスプレイにすることにより、商品情報表示機および購入確認入力機器を一体化して構成される。また、この場合には、消費者が入力し易いように、消費者用の向きに設置された消費者用商品情報表示機35および店員(販売者)用商品情報表示機36を2台で構成することも可能である。
【0033】
以上、本発明によるデータ処理方法および装置の好適実施例の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。例えば、商品情報は、一般にバーコードにより読み取られているが、最近マイクロチップの技術開発によりバーコードに代えて商品にマイクロチップを採用する動きがある。その場合には、バーコードリーダーに代えてマイクロチップリーダーを使用すればよく、斯かる場合にも本発明に包含されると理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるデータ処理装置の第1実施例の全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示すデータ処理装置の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明によるデータ処理装置の第2実施例の全体構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
10、30 データ処理装置
11、31 ICカードリーダー
12、32 バーコードローダー
13、33 商品情報データベース
14、34 POS装置
15、35、36 商品情報表示機
16 購入確認入力機
17、37 音声情報再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーやコンビニエンスストア等の店舗で取り扱う各種商品を、前記店舗に来店した顧客が選択してレジカウンタで会計処理して購入する際のデータ処理方法において、
顧客の会員カードに各顧客に固有のアレルギー成分等を含む個人特有情報を予め入力することと、顧客が選択した商品の会計処理時に前記会員カードを店員に提示し前記個人特有情報および前記商品情報を読み取ることと、前記商品の詳細情報を取得して前記個人特有情報と比較して、顧客に購入の意思を確認後に会計処理することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項2】
前記商品の詳細情報および前記個人特有情報の比較結果を、視覚的に表示して顧客が購入するか否かの判断を促すことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記商品の詳細情報および前記個人特有情報の比較結果を、音声により顧客に通知することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記商品の詳細情報は、前記商品のバーコード読み取り結果に基づき商品情報データベースから読み取ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
スーパーやコンビニエンスストア等の店舗で取り扱う各種商品のうち顧客が選択した1以上の商品をレジカウンタで会計処理して購入するデータ処理装置において、
各顧客に固有の個人特有情報を予め入力した会員カードから前記個人特有情報を読み取るカードリーダーと、顧客が選択した商品のバーコードを読み取るバーコードリーダーと、前記各種商品の詳細情報が格納された商品情報データベースと、該商品情報データベースから読み出した詳細情報と前記個人特有情報を比較し、該比較結果に基づき顧客に当該商品の購入意思を確認して会計処理するPOS装置とを備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
前記商品の購入意思確認は、前記比較結果を表示する商品情報表示機および購入確認入力機により行うことを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記比較結果を音声により顧客に通知する音声再生部を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記商品の購入意思確認は、タッチパネル式の商品情報表示機により、顧客がタッチして購入の可否を判断することを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記個人特有情報は、前記顧客が購入を回避するアレルギー成分情報等であることを特徴とする請求項5、6、7又は8に記載のデータ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate