説明

データ検査システム

【課題】記録媒体をハードディスク等のランダムアクセス可能なものとし、映像とデータを同時に記録する記録方式と、その記録データから高速に特定箇所を検出する解析装置の榛能、表示方式により、保全管理作業の効率化を図る。
【解決手段】TV カメラが撮像した映像と所定の目的箇所の症状を検知するためのセンサと、目的箇所の位置を検出するセンサと、それらセンサの出力信号、及び TV カメラの出力映像信号をデジタル化し、ハードディスク等のランダムアクセス可能な記録媒体に一元化して記録する記録手段と、その記録データから高速に特定箇所を検出し、解析を行うための操作機能と表示機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像及びセンサによる構造物等の検査に関わり、特に、線路、道路、橋梁、トンネルなど構造物の保全のためのデータ検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデータ検査システムとしては、特許文献1のような巡回検査装置及び巡回検査がある。従来技術を、図8によって説明する。図8は、従来の検査システムにおける車両に搭載部のシステム系統図と画面表示例である。図8(a) は画面表示例、図8(b) はシステム系統図である。42 はレール、41 はレール 42 上にある車両、31 は車両 41 に搭載された TV カメラ(テレビカメラ)、32 は車両 41 に搭載された映像・動揺量重畳装置、33 は車両 41 に搭載されたモニタ、30 はモニタ 33 に表示された画面、34 は車両 41 に搭載された加速度センサ、35 は車両 41 に搭載された距離検出装置、36 は車両 41 に搭載された車上子、37 はレール 42 に沿って所定の距離毎に配置される地上子、38 は速度発電機、39 は車両 41 に搭載された VTR( Video Tape Recorder )、40 は VTR 39 に装着された VTR テープである。
【0003】
図8(b) に示すように、レール 42 上を走行する車両 41 に設置された TV カメラ 31 が、車両 41 の前部の窓から走行方向を撮影し、映像信号に変換して映像・動揺量重畳装置 32 に出力する。また、加速度センサ 34 は、車両 41 の加速度から動揺データを取得し、取得した動揺データを映像・動揺量重畳装置 32 に出力する。また、距離検出装置 35 は、基準駅からの位置を示す地上子 37 上を通過する都度信号出力する車上子 36 から信号を入力され、かつ、速度発電機 38 の出力信号を入力されることによって、基準駅からの距離程(キロ程)と速度を算出し、算出された距離データ及び速度データを映像・動揺量重畳装置 32 に出力する。
【0004】
映像・動揺量重畳装置 32 は、TV カメラ 31 が撮像した車両前方の映像に、加速度センサ 34 が取得した車両 41 の動揺データと、距離程検出装置 35 が検出した距離(距離程)データ及び速度データを重畳させ、一元化した映像として VTR 39 とモニタ 33 に出力する。VTR 39 は、入力されたデータを VTR テープ 40 に記録し、モニタ 33 は入力されたデータをモニタ 33 の表示フォーマットに変換して表示する。
このシステムにより記録された映像 30 は、その位置情報とその地点の動揺値及び速度等のデータが映像信号に一元化され重畳されているため、その映像を再生することにより揺れが大きい箇所などの異常箇所の特定、周辺状況の確認等を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】特開平08−005521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の従来技術では、VTR テープに映像及びデータを記録していた。このため、異常箇所の特定等の作業では、動揺超過箇所のデータ収集を行うために、VTR テ一プをもう一度再生する必要があった。また、特定箇所の映像を表示するためには、VTR テ一プの再生、早送り、巻戻し、コマ送り等の操作をする必要があり、作業には時間を要した。
本発明は、記録媒体をハードディスク等のランダムアクセス可能なものとし、映像とデータを同時に記録する記録方式と、その記録データから高速に特定箇所を検出する解析装置の榛能、表示方式により、保全管理作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の検査システムは、TV カメラが撮像した映像と所定の目的箇所の症状を検知するためのセンサと、目的箇所の位置を検出するセンサと、それらセンサの出力信号、及び TV カメラの出力映像信号をデジタル化し、ハードディスク等のランダムアクセス可能な記録媒体に一元化して記録する記録手段と、その記録データから高速に特定箇所を検出し、解析を行うための操作機能と表示機能を有する。
【0008】
即ち、本発明のデータ検査システムは、視野内を撮像して映像データを出力するテレビカメラと、移動体の移動中に目的箇所の所定の症状を検知する症状検知センサと、上記センサによって上記所定の症状が検知された目的箇所の位置を検出する位置センサと、上記症状検知センサ及び上記位置センサが出力するセンサ信号とをセンサデータとしてデジタル化し、上記センサデータを上記映像データと同期してリムーバルな記録媒体に記録する記録部とを具備した上記移動体に搭載可能な可搬式の検査装置と、上記リムーバルな記録媒体を装着し上記解析装置と通信するためのアダプタと、上記アダプタを介して装着された上記リムーバルな記録媒体に記録された上記映像データ及び上記センサデータとから目的箇所を検索するデータ解析部と上記映像データと上記センサデータの波形とを関連付けて表示する表示部とを具備した解析装置と、を備えたものである。
また好ましくは、本発明のデータ検査システムの解析装置において、上記解析部は、更に、操作者が上記解析装置を操作するための入力部を備え、GUI(Graphical User Interface)によって操作されることによって、上記表示部に表示することによって、上記リムーバルな記録媒体に記録されたデータから特定箇所を検出し解析を行うものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録媒体をハードディスク等のランダムアクセス可能なものとし、映像データと他のデータを同時に記録すること、及び、その記録されたデータから高速に特定箇所を検出する解析機能を備え、迅速に表示することにより、保全管理作業の効率化を図ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、従来例を説明した図を含めた各図において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、説明の重複を避け、できるだけ説明を省略する。
【実施例1】
【0011】
本発明の一実施例を、図1〜図5によって説明する。図1〜図5は、本発明を鉄道における動揺の検査システムに適用したものである。
まず、図1は、本発明の一実施例の検査システムを説明するための図で、検査対象となる線路上を移動可能な車両と、車両に搭載される検査機器を説明するための模式的なブロック図である。1 は車両、2 は車両 1 に取付けられた TV カメラ、3 は車両 1 に搭載されたデータ記録装置、4 は距離入力ユニット、42はレールである。
また、図2は、図1のデータ記録装置 3 の一実施例の構成を示すブロック図である。5 はデータ処理部、6 は操作部、7 はカラーモニタ、8 は加速度センサ、9 はマイク、10 は電源部、11 はバッテリ、12 はハードディスクアダプタ、13 はハードディスクである。
【0012】
図1に示した検査機器は、可搬式の検査装置であり、可搬式ケース内に収納されたデータ記録装置 3 と、撮影手段である TV カメラ 2 と、撮影位置のデータを入力するための距離入カユニット 4 で横成される。これらの構成物は、任意の車両に持ち込み測定を行うことができる。
【0013】
図1と図2において、TV カメラ 2 は、レール 42 とその周辺を撮影できる位置に設置し、図示しない窓から前方の撮影を行う。TV カメラ 2 が撮影した映像は、電気信号に変換され、映像データとしてデ―タ記録装置 3 のデータ処理部 5 に入力される。また、加速度センサ 5 は、車両 1 の加速度から動揺データを取得し、取得した動揺データをデータ処理部 5 に出力する。また、距離入カユニット 4 は、従来例の図8で説明したものと全く同様な方法で基準駅からの距離程と速度を算出し、算出された距離(距離程)データ(位置データ)及び速度データをデータ処理部 5 に出力する。
更に、マイク 9 は、取得した音声を音声信号としてデータ処理部 5 に出力する。
【0014】
データ処理部 5 は、日時データを発生し、入力された映像データに、入力された、動揺データ、位置データ、及び速度データを一元化したデータとして記録媒体であるハードディスク 13 に記録する。
ハードディスク 13 は、記録装置や解析装置、どちらでも使用可能なように、着脱可能なリムーバブルハードディスクを使用している。
【0015】
本発明の一側面の検査システムは、可搬式であり、従来の巡回検査専用の車両と異なり、任意の車両での測定を可能としている。このため、位置情報である距離程(キロ程)データは、距離程入力ユニット 4 により乗車している操作者が入力する。
初期設定されたキロ程から、操作者がレール 42 上のキロポストを見ながら設定値(例えば、100[ m ])毎に、距離程入力ユニット 4 の図示しない加減算のスイッチを押し入力する方法としている。
なお、専用車両等で正確なキロ程や速度の信号が得られる車両では、その正確なキロ程データ及び速度データを自動的に入力することも可能である。
また、位置情報として、GPS( Global Positioning System )の信号を利用することも可能である。
また加速度センサ 8 が検出する動揺値としては、車両 1 の左右及び、上下方向の加速度信号をリアルタイムに入力し、映像信号と同期して記録している。
【0016】
上記により記録したデータは、本発明の検査システムの解析機能を備える解析装置により、動揺超過箇所等の特定箇所を検索し、その位置の特定を行う。
本発明に使用する解析装置の一実施例の構成を図3によって説明する。図3は、本発明の検査システムに使用する解析装置の一実施例の構成を示すブロック図である。15 はパソコンをベースとした解析装置、14 は解析装置 15 とアクセス可能なハードディスクアダプタである。
【0017】
図3において、解析装置 15 は、記録したデータを解析するための解析ソフトにより動作する。
記録媒体であるハードディスク 13 は、上述の図1〜図2の検査機器において記録されたデータを記録しているものであり、車両 1 でデータを取得していた操作者または他の操作者により解析装置 15 本体と接続されているハードディスクアダプタ 14 に挿入されており、解析装置 15 本体と通信可能な状態である。
【0018】
解析装置 15 は、主に次の機能を有する。
1)記録画像の再生、及びデータ表示機能。
2)動揺超過箇所の収集機能。
3〕動揺超過箇所、距離、又は時刻、等からの画像検索機能。
4)距離データ修正機能。
5)データ出力機能。
【0019】
本システムの目的として、動揺値がある一定の基準値を超えた場合、その発生箇所を特定し、保線のためのデータとして出力することを目的としている。
図3において、ハードディスク 13 内に記録されたデータは、ハードディスクアダプタ 14 を介して、解析装置 15 からの操作により検索される。
検索された後、操作者の操作に応じて、解析装置 15 は、必要な動揺値データを取出し、取り出された動揺値データから全振幅の動揺値を演算し、全振幅超過箇所のデータのみを検索し、そのデータを収集することにより超過箇所の一覧表を作成する。
作成された一覧表は、例えば、解析装置 15 等のモニタ画面に表示される。
【0020】
図4は、本発明の解析装置 15 のモニタ画面に表示されたデータ収集操作画面の一例を示す図である。16 はデータ収集操作画面、16-1 はファイル選択操作用図形、16-2 はデータ記録ファイル名入力操作用図形、16-3 は作成するファイルの表題等の情報を入力するテキスト情報入力操作用図形、16-4 は開始操作用図形、16-5 は収集されたデータを表示するデータ表示欄、16-6 は現在データ収集の進捗状況が表示される進捗状況表示欄、16-7 は収集タブ、16-8 は編集タブ、16-9 は表検索タブ、16-10 は時・キロ程検索タブ、16-11 は時・キロ程修正タブ、16-12 は再生タブ、16-13 は設定タブ、16-14 はファイルコピータブである。
各機能は画面上部のタブ 16-7 〜 16-14 を選択することにより移行可能である。
【0021】
図3の解析装置 15 を操作することによって、収集タブ 16-7 の機能を選択すると、図4のデータ収集操作画面 16 が表示される。なお、上述の収集タブ 16-7 の選択等、データ収集の作業の操作は、例えば、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等の、解析装置 15 の図示しない入力機器による、GUI( Graphical User Interface )操作等で、次の手順で行う。
【0022】
図4において、ファイル選択操作用図形 16-1 の右「▽」を入力機器を用いて押すと、ハードディスク 13 内に記録されているファイルがモニタ画面上にポップアップ表示される。操作者は、ポップアップ表示されたファイルリストの中から、データ収集を行うファイルを選択する。
次に、操作者は、データ記録ファイル名入力操作用図形 16-2 を入力機器を用いて押して、図形 16-2 中のファイル名入力欄に収集したデータ記録するファイル名を入力する。
そして更に、テキスト情報入力操作用図形 16-3 内の入力欄に、入力機器を用いて作成するファイルの表題等の情報を入力する。この欄に入力するコメント等のテキストデータは、ファイル内にヘッダーとして記録されるとともにデータプリント時に表題として印字される。
その後、操作者が、開始操作用図形 16-4 内を入力機器を用いて押すと、解析装置 15 は、データ表示欄 16-5 に表示された収集条件に従い、データ収集を開始する。収集中は、進捗状況表示欄 16-6 に現在データ収集の進捗状況が表示される。
収集されたデータは、設定された収集ファイルに記録される。
【0023】
収集条件は、設定機能によりデータ収集を行う諸条件の設定が予め可能である。基本的には、全振幅動上下及び左右の値の基準値以上の揺れが発生した場所のデータを収集することが目的であり、この値以上のデータを収集する。但し、設定機能により距離の範囲、時刻の範囲等の設定も可能である。
また、このとき収集するデータは計測データのみであり、大容量の画像データは検索しないため高速に収集することが可能となる。
図4において、キロ程修正の機能選択を行うことにより、図5に示すようなキロ程修正操作画面が表示される。
【0024】
次に収集したデータから発生場所を特定する作業の手順を図5によって説明する。図5は、本発明のモニタ画面に表示されたデータ収集操作画面の一例を示す図である。なお、本明細書では、この作業を「キロ程修正」と称する。17 はキロ程修正操作画面、17-1 は再生画像表示欄、17-2a と 17-2b は動揺量表示バー図形、17-3 はデータ表示・操作画面、17-4 は読み込みファイル選択用図形、17-5 は読み込みファイルのデータ表示欄、17-6 は検索操作用図形、17-7 はデータ表示欄 17-5 内に表示された距離値、17-8 はヘッダー情報入力欄、17-9 はファイル保存操作用図形、17-10 は入力ファイル名が表示される収集ファイル欄である。
【0025】
図5におけるキロ程修正操作画面 17 の表示内容を、次の通り説明する。
再生画像表示欄 17-1 には、再生画像が表示される。また、再生された画像上で、例えばポインティングデバイスの1種であるマウスを右クリックすることによって、表示されている画像を静止画として、保存若しくはコピ一する操作に移行することが可能である。
動揺量表示バー図形 17-2a と 17-2b には、再生中の動揺量データがバーグラフで表示される。なお、動揺量表示バー図形 17-2a は、車両の上下方向の動揺量を表示し、動揺量表示バー図形 17-2b は、車両の左右方向の動揺量を表示する。
【0026】
また、データ表示・操作画面 17-3 には、次の項目が表示される。
即ち、(1)再生するファイル番号「 FILE No. 」、(2)ハードディスクに記録しているファイル数「 FILES 」、(3)再生するファイルの記録時間「 LENGTH 」、(4)再生している画像の記録した時間「 TIME 」、(5)再生している画像の距離「 KILO 」、(6)再生するファイルを選択するための図形「 FILE SELECT :左矢印・右矢印」、(7)列車速度メータ図形「 SPEED 」、(8)表示する画像の解像度を選択するラジオボタン「解像度」、(9)音声の音量を調整図形「音声ボリューム」、(10)音声ミュートボタン図形「音声 ON/OFF 」、(11)再生画像表示欄 17-1 の画面の大きさを変更するためのラジオボタン「 BIG DISPLAY 」、(12)ハードディスク操作ボタン図形、(13)その他ボタン図形。
【0027】
例えば、図5のデータ表示・操作画面 17-3 において、音声ミュートボタン図形「音声 ON/OFF 」は、マウス等で図形を押す度に、音声の出力とミュートを繰り返す。また、画面の大きさを変更するためのラジオボタン「 BIG DISPLAY:FRM/FLD 」は、「 FLD 」のラジオボタンがオンの時は拡大表示の画面を開かれて、拡大画像にて、例えば図5の表示画面領域全体に画像を再生し、「 FRM 」のラジオボタンがオンの時は、図5の再生画像表示欄 17-1 の通常の大きさで画像を再生する。
更に、図5のハードディスク操作ボタン図形は、通常のビデオ録画操作のための操作ボタンに表示されるマークとほぼ同様で機能も同じである。操作ボタンの種類として、例えば、再生ボタン(通常の再生)、一時停止ボタン(画像を一時停止)、停止ボタン(画像の再生又は録画の停止)、コマ戻しボタン(一時停止時に1コマずつ戻す)、早戻しボタン(再生時にはや戻し)、早送りボタン(再生時に早送り)、コマ送りボタン(一時停止時に1コマずつ送る)、等がある。また更に、再生画像表示欄 17-1 の下部には、バー図形が表示され、再生画像の長さをバー全体の長さに対応させ、再生時の場所を示す図形が再生中に移動する。この場所を示す図形をマウス等でドラッグしてバー内を移動させることにより任意の再生位置に、再生画像表示欄 17-1 に表示される画像を変更(移動)させることができる。
【0028】
図5によるキロ程修正作業は、以下の手順で実行する。操作者は、解析装置 15 において、次の通り GUI 操作を行う。
読み込みファイル選択用図形 17-4「 LOAD 」を押すと、データ収集したフイル名の一覧がポップアップ表示されるので、操作者は、キロ程修正を行う読込ファイルを選択する。この操作によって、画面下部の読み込みファイルのデータ表示欄 17-5 にデータ収集した読み込みファイルのデータ一覧が表示される。
操作者は、例えば、キロ程修正する動揺発生箇所の行にカーソルを合わせ、検索操作用図形 17-6「 SEARCH 」を押す。この操作によって、選択された動揺発生箇所が自動的に検索され、線路画像が再生画像画面に静止画表示される。
【0029】
本実施例において、距離情報は、操作者の手入力(例えば、100[ m ]毎)であるので正確ではない。従って、正確な距離は、画像を再確認し、その情報から再入力する必要がある。そのためコマ戻し、コマ送り等の操作による画像確認と、動揺発生状況を再生画像表示欄 17-1 の左および下の動揺量表示バー図形 17-2a と 17-2b の表示状況等の情報を基により正確な距離値を入力する。正確な距離値の入力は、読み込みファイルのデータ表示欄 17-5 に一覧表で表示されたファイルデータの対象行の距離値 17-7 を選択し、操作車が正確な距離値を入力する。
このように、発生箇所のキロ程修正を順次行う。
なお、正確な距離信号が車両側から入力可能な場合は、この作業は不要である。
【0030】
なお、読み込みファイルのデータ表示欄 17-5 の右側のコメント欄に、原因、構造物、等のコメントを書込むことができ、書込まれたコメントは、帳票にも印刷される。
また、読み込みファイルのデータ表示欄 17-5 の一覧表上で行を選択しマウスの右ボタンで、その行の削除、行の追加等が可能である。
ヘッダー情報入力欄 17-8 には、ヘッダー情報として、測定した線路の情報(例えば、線名、測定区間、上り下り、等)を入力する。
最後に、ファイル保存操作用図形 17-9 「 SAVE 」をクリックし(押し)、修正したファイルを保存する。
【0031】
なお、特定されたデータベース用のデータ等に変換して保存することも可能である。
その他機能として、収集したデータファイルから再度収集条件を指定してデータを再収集する編集機能、距離や時刻等からの画像検索機能、画像の再生機能、帳票の印字機能、画像ファイルの複写機能、及び諸条件の設定機能、等を有する。
【0032】
上記実施例で説明した鉄道における動揺の検査システムの目的は、線路状態等による車両に大きい揺れが発生する箇所を特定し、保線作業のデータとして活用するためのものであり、基本的には大きな動揺発生箇所とその正確な距離程のみが判れば良い。しかし、検査する線路の全線に渡り、その映像(音声を含んでも良い)と検査データとを一元化して記録し、解析時には映像とデータを同一画面上に配置することにより視認性と操作性の向上を図っている。
また、全線における線路状態及び周辺状況等の確認、並びに、それらの状況及び確認結果を検査毎にデータベース化しておくことにより変化情報の確認も可能となる。
【実施例2】
【0033】
本発明の別の実施例を図6と図7によって説明する。図6は、実施例1の図5図5に示すようなキロ程修正操作画面の別の実施例で、動揺値の波形表示を加えたものである。また、図7は、図6の動揺値の波形表示画面部分の詳細を示す図である。18 はキロ程修正操作画面、18-1 は再生画像表示欄、18-2a と 18-2b は動揺量表示バー図形、19 は左右方向の動揺量波形表示、19-2 は画像再生用のコマ、19-3 はコマ 19-2 の位置の動揺量波形上の位置を示すカーソル線、19-1 はコマ 19-2 の移動範囲、20 は上下方向の動揺量波形表示、20-2 は画像再生用のコマ、20-3 はコマ 20-2 の位置の動揺量波形上の位置を示すカーソル線、20-1 はコマ 20-2 の移動範囲である。
【0034】
図6と図7の実施例は、実施例1の表示機能に加え、画像と動揺値のバー表示と共に、キロ程が分かるようにして、動揺値の連続波形を同時に表示することにより実際の発生位置を容易に確認できる表示としたものである。
図6において、基準を超えた動揺値が発生した場合には、その動揺値は発生後の場所の画像と連動して表示される。しかし、発生原因となる箇所はそれ以前の箇所でありバー表示のみでは発生箇所の断定がすぐにわかり難い。そのため、動揺値の波形表示 19 及び 20 とそのキロ程を連続して表示することにより発生箇所の特定を容易とする。
図7は、図6の波形表示部分の詳細図である。左右動の動揺波形表示 19 を画面左に配置し、上下動の動揺波形表示 20 を画面下に配置している。なお、波形表示の配置は、画像下に並べて表示しても良い。
再生中の画像は波形表示の中心位置の画像であり、画像が再生されると波形表示はスクロールしながら移動する。
【0035】
画像再生用のコマ 19-2 と 20-2 をマウスによって、範囲 19-1 若しくは 20-1 上で移動させることにより、実際の発生原因となる箇所にすぐに映像を移動させることができる。
また、波形下にはキロ程表示がされており、そのキロ程を即座に確認することが可能である。コマ 19-2 と 20-2 の位置に対応する波形とキロ程が分かるように、コマ 19-2 の位置に連動したカーソル線 19-3 が表示される。同様に、コマ 20-2 の位置に連動したカーソル線 20-3 が表示される。
以上の表示及び操作により測定が必要な場所の特定が効率的に行えるようになる。
なお、上記実施例では、波形下にキロ程表示をしているが、キロ程ではなく時刻表示でも良く、或いは両者(キロ程と時刻)を表示しても良い。
【0036】
なお、上記実施例において、ハードディスクとハードディスクアダプタを用いたが、本発明は、これに限ることはなく、例えば、半導体メモリと半導体メモリアダプタを使用する等、ランダムアクセス可能な記録媒体なら何でも良く、またそれらを組み合わせても良い。
【0037】
上記実施例によれば、鉄道における動揺の検査システムにおいて、記録媒体をハードディスク等のランダムアクセス可能なものとし、映像とデータを同時に記録する記録方式と、その記録データから高速に特定箇所を検出する映像データ解析装置及び解析装置の表示形式により、保全管理作業の効率化を図ることができる。
【0038】
上記実施例は、鉄道における動揺の検査システムで説明したが、線路、道路、橋梁、トンネルなど構造物の保全のための検査システムであれば、すべて適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例の検査システムを説明するための図。
【図2】本発明の一実施例の検査システムのデータ記録装置の一実施例の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の検査システムに使用する解析装置の一実施例の構成を示すブロック図。
【図4】本発明のモニタ画面に表示されたデータ収集操作画面の一例を示す図。
【図5】本発明のモニタ画面に表示されたデータ収集操作画面の一例を示す図。
【図6】本発明のモニタ画面に表示されたデータ収集操作画面の一例を示す図。
【図7】本発明のモニタ画面に表示されたデータ収集操作画面の一例を示す図。
【図8】従来の検査システムにおける車両に搭載部のシステム系統図と画面表示例。
【符号の説明】
【0040】
1:車両、 2:TVカメラ、 3:データ記録装置、 4:距離入力ユニット、 5:データ処理部、 6:操作部、 7:カラーモニタ、 8:加速度センサ、 9:マイク、 10:電源部、 11:バッテリ、 12:ハードディスクアダプタ、 13:ハードディスク、14:ハードディスクアダプタ、 15:解析装置、 16:データ収集操作画面、 16-1:ファイル選択操作用図形、 16-2:データ記録ファイル名入力操作用図形、 16-3:テキスト情報入力操作用図形、 16-4:開始操作用図形、 16-5:データ表示欄、 16-6:進捗状況表示欄、 16-7:収集タブ、 16-8:編集タブ、 16-9:表検索タブ、 16-10:時・キロ検索タブ、 16-11:キロ程修正タブ、 16-12:再生タブ、 16-13:設定タブ、 16-14:ファイルコピータブ、 17:キロ程修正操作画面、 17-1:再生画像表示欄、 17-2a、17-2b:動揺量表示バー図形、 17-3:データ表示・操作画面、 17-4:読み込みファイル選択用図形、 17-5:読み込みファイルのデータ表示欄、 17-6:検索操作用図形、 17-7:距離値、 17-8:ヘッダー情報入力欄、 17-9:ファイル保存操作用図形、 18:キロ程修正操作画面、 18-1:再生画像表示欄、 18-2a、18-2b:動揺量表示バー図形、 19:左右方向の動揺量波形表示、 19-1:コマ19-2の移動範囲、 19-2:画像再生用のコマ、 19-3:カーソル線、 20:上下方向の動揺量波形表示、 20-1:コマ 20-2 の移動範囲、 20-2:画像再生用のコマ、 20-3:カーソル線、 30:画面、 17-10:収集ファイル欄、 31:TVカメラ、 32映像・動揺量重畳装置、 33:モニタ、 34:加速度センサ、 35:距離検出装置、 36:車上子、 37:地上子、 38:速度発電機、 39:VTR、 40:VTRテープ、 41:車両、 42:レール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野内を撮像して映像データを出力するテレビカメラと、移動体の移動中に目的箇所の所定の症状を検知する症状検知センサと、上記センサによって上記所定の症状が検知された目的箇所の位置を検出する位置センサと、上記症状検知センサ及び上記位置センサが出力するセンサ信号とをセンサデータとしてデジタル化し、上記センサデータを上記映像データと同期してリムーバルな記録媒体に記録する記録部とを具備した上記移動体に搭載可能な可搬式の検査装置と、
上記リムーバルな記録媒体を装着し上記解析装置と通信するためのアダプタと、上記アダプタを介して装着された上記リムーバルな記録媒体に記録された上記映像データ及び上記センサデータとから目的箇所を検索するデータ解析部と、上記映像データと上記センサデータの波形とを関連付けて表示する表示部とを具備した解析装置と、
を備えたことを特徴とするデータ検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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