説明

トイレルームの手摺取付け構造

【課題】 便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、押しボタンを有するトイレ内機器の操作パネルが取り付けられ、操作パネルに隣接して手摺が取り付けられたトイレルームの手摺取付け構造であって、便器に着座した視覚障害者の手を操作パネルの押しボタンへ案内する機能を有するトイレルームの手摺取付け構造を提供する。
【解決手段】 便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、押しボタンを有するトイレ内機器の操作パネルが取り付けられ、前記操作パネルに隣接して手摺が取り付けられ、手摺の支柱の中心高さ位置が、前記操作パネルの高さ方向延在領域内に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレルームの手摺取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、紙巻器が取り付けられ、紙巻器に隣接して手摺が取り付けられたトイレルームの手摺取付け構造が特許文献1等に開示されている。
【特許文献1】特開平10−328079
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、紙巻器と、押しボタンを有する便器洗浄操作パネルや温水洗浄便座操作パネル等のトイレ内機器の操作パネルとが取り付けられ、これらに隣接して手摺が取り付けられたトイレルームの手摺取付け構造も公知である。
便器に着座した視覚障害者が、便器側方のトイレ側壁に取り付けられた操作パネルの押しボタンを押圧操作する際に、側壁方向へ伸ばした手を操作パネルの押しボタンへ導く案内部材があれば、便利である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、押しボタンを有するトイレ内機器の操作パネルが取り付けられ、操作パネルに隣接して手摺が取り付けられたトイレルームの手摺取付け構造であって、便器に着座した視覚障害者の手を操作パネルの押しボタンへ案内する機能を有するトイレルームの手摺取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明においては、便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、押しボタンを有するトイレ内機器の操作パネルが取り付けられ、前記操作パネルに隣接して手摺が取り付けられ、手摺の支柱の中心高さ位置が、前記操作パネルの高さ方向延在領域内に設定されていることを特徴とするトイレルームの手摺取付け構造を提供する。
視覚障害者が便器に着座する際に、手摺を利用する。従って、便器に着座した視覚障害者は手摺の位置を記憶しており、手を伸ばして容易に手摺に触ることができる。手摺に触れた視覚障害者の手は、手摺に案内されつつ、手摺に沿って移動して容易に手摺の支柱に触ることができ、更に支柱から水平に移動して、高さ方向延在領域が支柱の中心高さ位置を含むトイレ内機器の操作パネルに容易に触れることができ、更に操作パネル内を移動して押しボタンに容易に触れることができる。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、手摺の支柱の中心高さ位置は、操作パネルが有する押しボタンの高さ方向延在領域内に設定されている。
手摺の支柱の中心高さ位置を、操作パネルが有する押しボタンの高さ方向延在領域内に設定しておけば、便器に着座した視覚障害者は、手を伸ばして手摺に触れ、手摺に案内されつつ手摺に沿って手を移動させて手摺の支柱に触れ、更に支柱から水平に手を移動させて、高さ方向延在領域が支柱の中心高さ位置を含むトイレ内機器操作用押しボタンに直接容易に触れることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、押しボタンを有するトイレ内機器の操作パネルが取り付けられ、操作パネルに隣接して手摺が取り付けられたトイレルームの手摺取付け構造であって、便器に着座した視覚障害者の手を操作パネルの押しボタンへ案内する機能を有するトイレルームの手摺取付け構造が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1に示すように、平面視L型の腰壁高さのライニング1がトイレルームの側壁2に取り付けられてトイレルーム内へ張り出し、側壁2の一部を形成している。
ライニング1の短辺部分1aに便器3が取り付けられている。便器3と給水管、排水管等の配管との取り合いは、ライニング1の短辺部分1aの内部で行なわれている。便器洗浄用のフラッシュバルブもライニング1の短辺部分1aの内部に収容されている。
【0009】
便器3側方のトイレ側壁2の一部を形成するライニング1の長辺部分1bの上端近傍に、且つ便器3に着座した利用者の左手が届く位置に、利用者から見て前方から後方へ向けて順番に、トイレ内機器であるフラッシュバルブを操作するための押しボタン4aを有する便器洗浄操作パネル4、トイレ内機器である温水洗浄便座を操作するための押しボタン5aを有する温水洗浄便座操作パネル5が取り付けられ、更にトイレルーム外に配設された警報装置を操作するための押しボタン6aを有する非常用操作パネル6が取り付けられている。押しボタン4a、5a、6aの直径は同一値に設定されており、押しボタン4a、5a、6aの中心は同一高さ位置に整列配置されている。操作パネル4、5、6の高さ方向延在領域は同一に設定されている。押しボタン4a、5a、6aに接続する配線はライニング1の長辺部分1b内に収容されている。
便器3側方のトイレ側壁2の一部を形成するライニング1の長辺部分1bに、且つ操作パネル4、5、6の下方に、肘掛付紙巻器7が取り付けられている。
【0010】
便器3側方のトイレ側壁2の一部を形成するライニング1の長辺部分1bに、且つ操作パネル4、5、6に隣接して、縦手摺8が取り付けられている。縦手摺8の上支柱8aの中心高さ位置は、押しボタン4a、5a、6aの高さ方向延在領域内に設定されている。縦手摺8の下支柱8bは肘掛付紙巻器7の肘掛部と略同一高さに位置決めされている。上支柱8aと下支柱8bとはライニング1の長辺部分1bに固定されており、縦手摺8の握り部分8cは、上支柱8aを超え、片持梁を形成しつつライニング1の長辺部分1bの上端を超えて上方へ延びている。
【0011】
上記構成のトイレルームを視覚障害者が利用する場合、利用者は便器3に着座する際に手摺8を利用する。従って、便器3に着座した視覚障害者は手摺8の位置を記憶しており、手を伸ばして容易に手摺8に触ることができる。手摺8に触れた視覚障害者の手は、手摺8に案内されつつ、手摺8に沿って移動して容易に上支柱8aに触ることができ、更に上支柱8aから水平に移動して、高さ方向延在領域が上支柱8aの中心高さ位置を含む押しボタン4a、5a、6aに、直接容易に触れることができる。
上記説明から分かるように、本実施例に係る手摺取付け構造は、便器3に着座した視覚障害者の手を押しボタン4a、5a、6aに案内する機能を有している。
【実施例2】
【0012】
押しボタン4a、5a、6aの直径は完全同一であることを要さず、それぞれ若干異なっていても良い。押しボタン4a、5a、6aの中心の高さ位置は完全同一であることを要さず、それぞれ若干異なっていても良い。上記の場合には、押しボタン4a、5a、6aの各高さ方向延在領域が集合して形成する高さ方向領域群内の最高点と最低点との間の領域を押しボタンの上下方向延在領域と見做して、縦手摺8の上支柱8aの中心高さ位置を当該領域内に設定すれば良い。
押しボタン4a、5a、6aの形状を三角形、四角形等の円形以外の形状にしても良い。
【0013】
縦手摺8の上支柱8aの中心高さ位置を、操作パネル4、5、6の高さ方向延在領域内に設定しても良い。
便器3に着座した視覚障害者は、手を伸ばして手摺8に触れ、手摺8に案内されつつ手摺8に沿って手を移動させて手摺8の上支柱8aに触れ、更に上支柱8aから水平に手を移動させて、高さ方向延在領域が上支柱8aの中心高さ位置を含む操作パネル4、5、6に触れ、操作パネル4、5、6内で手を動かして、押しボタン4a、5a、6aに容易に触れることができる。
操作パネル4、5、6の上下方向延在領域は完全同一であることを要さず、それぞれ若干異なっていても良い。この場合には、操作パネル4、5、6の各高さ方向延在領域が集合して形成する高さ方向領域群内の最高点と最低点との間の領域を操作パネルの上下方向延在領域と見做して、縦手摺8の上支柱8aの中心高さ位置を当該領域内に設定すれば良い。
【0014】
実施例1では、操作パネル4、5、6、肘掛付紙巻器7、縦手摺8を便器3側方のトイレ側壁2の一部を形成するライニング1の長辺部分1bに取り付けたが、ライニング1の長辺部分1bがトイレ側壁2に取り付けられていない場合には、操作パネル4、5、6、肘掛付紙巻器7、縦手摺8をトイレ側壁2に直接取り付けても良い。
【0015】
実施例1においては縦手摺8を配設したが、縦手摺8に代えて水平手摺や傾斜手摺を配設し、水平手摺や傾斜手摺の支柱の中心高さ位置を、押しボタン4a、5a、6aの高さ方向延在領域内に、或いは操作パネル4、5、6の高さ方向延在領域内に設定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、トイレルームの手摺取付け構造に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例に係るトイレルームの手摺取付け構造の斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 水平視L型のライニング
1a 短辺部分
1b 長辺部分
2 トイレルームの側壁
3 便器
4a、5a、6a 押しボタン
4 便器洗浄操作パネル
5 温水洗浄便座操作パネル
6 非常用操作パネル
7 肘掛付紙巻器
8 縦手摺
8a 上支柱
8b 下支柱
8c 握り部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器側方のトイレ側壁に且つ便器に着座した人の手が届く位置に、押しボタンを有するトイレ内機器の操作パネルが取り付けられ、前記操作パネルに隣接して手摺が取り付けられ、手摺の支柱の中心高さ位置が、前記操作パネルの高さ方向延在領域内に設定されていることを特徴とするトイレルームの手摺取付け構造。
【請求項2】
手摺の支柱の中心高さ位置は、操作パネルが有する押しボタンの高さ方向延在領域内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のトイレルームの手摺取付け構造。

【図1】
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【公開番号】特開2006−255143(P2006−255143A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76432(P2005−76432)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】