説明

トイレ用リモコン装置

【課題】機器を確実に操作する。
【解決手段】機器の動作を指示するリモコン操作機2と、リモコン操作機2からの指示を受けて作動する便器側機器3とを備え、リモコン操作機2は、使用者Mの指Maが接触可能なリモコン側電極4と、リモコン側電極4を介して操作データを送出するデータ送信部5とを備え、便器側機器3は、着座使用者Mに面する機器側電極11と、機器側電極11を介して受信するデータ受信部12と、データ受信部12で受信した操作データに応じて機器を作動させる制御部13とを備え、操作データをリモコン側電極4を介し使用者Mの体の一部を伝送路に用いて機器側電極11へ伝送するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレに設けられるリモコン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ用リモコン装置は、便器側の機器(例えば、人体局部洗浄機、暖房便座等)の動作を指示するリモコン操作機と、リモコン操作機からの指示を受けて作動する便器側機器とを備え、リモコン操作機から便器側機器へ赤外線による無線で操作データを送信するようにしたものがある。リモコン操作機から発せられる赤外線は、壁や天井、床などで反射して便器側機器の受信部で受信するようになっている。
【特許文献1】特開平11−117368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、赤外線の無線を用いたトイレ用リモコン装置は、赤外線を反射するトイレ室内の壁や天井、床など大きさや材質等がまちまちであるため、赤外線が便器側機器の受信部へ到達せずに、機器を確実に操作動作できないことがあり得る。更に、リモコン操作機は、送信用の電池を備えているため、電池交換を定期的に行う手間を必要とする。
そこで、本発明は、従来技術のこの欠点に鑑み創案したものであって、機器を確実に操作でき、また電池交換を必要としないトイレ用リモコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
機器を確実に操作するために請求項1記載の本発明が採用した手段は、トイレ壁面又はトイレ室内に設置したキャビネット等の取付部に取付けられ、便器側機器の動作を指示するリモコン操作機と、リモコン操作機からの指示を受けて作動する便器側機器とを備えたトイレ用リモコン装置において、前記リモコン操作機は、使用者の指が接触可能なリモコン側電極と、アースと電気的に結合する回路グランドと、リモコン側電極を介して操作データを送出するデータ送信部とを備え、前記便器側機器は、便座に設けられて且つ着座使用者と接触可能な機器側電極と、機器側電極を介して受信するデータ受信部と、データ受信部で受信した操作データに応じて機器を作動させる制御部とを備え、前記操作データを前記リモコン側電極を介し使用者の体の一部を伝送路に用いて前記機器側電極へ伝送するようにしたことを特徴とするトイレ用リモコン装置である。なお、複数の動作の中から任意の動作を選択できるようにするために、前記リモコン操作機が、複数個のリモコン側電極を備えると共に、各リモコン側電極毎に前記データ送信部を設け、リモコン側電極の選択で異なる操作データを送出できるようにすることもある。
【0005】
リモコン操作機の電池交換をなくするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記便器側機器が前記機器側電極を介して電源用電気を送出する電源供給部を備え、前記リモコン操作機が、前記機器側電極を介して電源用電気を受給して、前記データ送信部を起動させる発振部を備え、前記機器側電極を介し使用者の体の一部を伝送路に用いて前記リモコン側電極へ電源用電気を伝送するようにした請求項1記載のトイレ用リモコン装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の本発明に係るトイレ用リモコン装置は、機器側電極に接触した着座使用者の指がリモコン側電極に接触すると、使用者の体の一部が伝送路となって操作データを機器側電極へ確実に伝送し、操作データに応じて制御部が機器の動作を確実に制御することができる。
【0007】
請求項2記載の本発明に係るトイレ用リモコン装置は、機器側電極に接触した着座使用者が指をリモコン側電極に接触させると、使用者の体の一部が伝送路となって電源用電気を電源回路へ伝送するため、リモコン操作機が電池不要となり電池交換の必要性も無くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係るトイレ用リモコン装置(以下、「本発明リモコン装置」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1及び図2は本発明リモコン装置の第1の実施の形態を示すものであって、図1は使用状態の装置全体を示す側面図、図2はリモコン操作機及び便器側機器ブロック図である。
【0010】
本例の本発明リモコン装置1は、機器の動作を指示するリモコン操作機2と、リモコン操作機2からの指示を受けて作動する便器側機器3とを備えている。リモコン操作機2は、トイレ壁面W又はトイレ室内に設置したキャビネット等の取付部に取り付けられ、便器側機器3は便器Bに配設される。
【0011】
前記リモコン操作機2は、使用者Mの指Maが接触可能な導電性のリモコン側電極4と、リモコン側電極4を介して操作データを送出するデータ送信部5とを備えている。データ送信部5は、送信する操作データ7に基づいて搬送波となる交流信号をアナログ変調又はデジタル変調する変調部8と、変調部8により変調された変調信号に対応する電圧をリモコン側電極4に印加する電圧印加部9と、アースEと電気的に結合する回路グランド10と、電池等からなる電源供給部6とを備えている。電圧印加部9は、出力インピーダンスを調整するインピーダンス調整部(図示略)を備えることもある。リモコン操作機2は、操作する機器の個数に応じてリモコン側電極4及びデータ送信部5の一組又は複数組(本例)を備えている。本例の如く複数組を備えるときには、各リモコン側電極4毎にデータ送信部5を設け、リモコン側電極4の選択で異なる操作データを送出して複数の動作(例えば、人体局部洗浄機の始動/停止や温風式乾燥機の始動/停止等)の中から任意の動作を選択できるようにしてある。
【0012】
前記便器側機器3は、着座使用者Mに面する導電性の機器側電極11と、機器側電極11を介して受信するデータ受信部12と、データ受信部12で受信した操作データに応じて対応する機器15,16を作動させる制御部13とを備えている。機器側電極11は、便座Dの着座面Daに露出するように設けられる。データ受信部12は、アースEと電気的に結合する回路グランド14と、機器側電極11を介して受信した変調信号を復調する復調部とを備え、復調して取り出した操作データを制御部13へ送信するようにしてある。
【0013】
前記リモコン操作機2の回路グランド10及び前記便器側機器3の回路グランド14が結合するアースEは、大地アースの他に、トイレ室外に配設したアース配線とすることも可能である。リモコン操作機2の回路グランド10は、リモコン操作機2を取付けた取付部であるトイレ壁等を介してアースEと静電場結合させ、トイレ壁等を貫通する配線を省略することも可能である。
【0014】
これらリモコン操作機2及び便器側機器3は、リモコン側電極4及び機器側電極11に接触する使用者Mの体の一部を伝送路に用い、回路グランド10,14が結合するアースEを介して閉回路を形成するようにしてある。本発明リモコン装置1は、便座Dに着座して機器側電極11に臀部が接触した着座使用者Mの指Maが選択したリモコン側電極4に接触すると、使用者Mの体の一部が伝送路となって操作データをリモコン側電極4から機器側電極11へ確実に伝送し、操作データに応じて制御部13が機器ドライバ15又は16の動作を制御する。
【0015】
前記リモコン側電極4及び機器側電極11は、使用者Mと直接接触可能に表面が露出するように設ける以外に、表面を絶縁性材料からなる被覆層で覆い、被覆層を介して間接的に接触させてもよい。この場合、リモコン側電極4及び機器側電極11と使用者は、静電結合により電気的に結合し、操作データを伝送することができる。
【0016】
本発明リモコン装置1は、リモコン操作機2の搬送波の周波数として例えば300〜1600KHzの範囲で選択され、変復調方式として例えばデジタル変調であるASK(振幅シフトキーイング)変調等が選択される。
【0017】
(第2の実施の形態)
図3は本発明リモコン装置の第2の実施の形態を示すものであり、リモコン操作機及び便器側機器ブロック図である。
【0018】
本例の本発明リモコン装置21は、前記第1の実施の形態に係る本発明リモコン装置1の構成の他に、リモコン操作機2の電池交換をなくするために、便器側機器3からリモコン操作機2へ電気を供給できる構成を付加してある。本例の本発明リモコン装置21は、便器側機器3が、機器側電極11を介して電源用電気を送出する電源供給部22を備えると共に、リモコン操作機2が、リモコン側電極4を介して電源用電気を受給して、データ送信部5へ給電する発振部23を備え、機器側電極11を介し使用者の体の一部を伝送路に用いてリモコン側電極4へ電源用電気を伝送するようにしてある。電源供給部22は、交流信号を生成する交流生成部と、交流信号に対応する電圧を機器側電極11に印加する電圧印加部とを備え、回路グランド14を介してアースEと電気的に結合されている。便器側機器3は、電源供給部22で生成する交流信号の周波数として例えば300〜1600KHzの範囲であって、前記リモコン操作機2の搬送波の周波数と異なる周波数を選択することで、操作データ搬送用の搬送波と混信させないようにするとよい。
【0019】
本例の本発明リモコン装置21は、機器側電極11に接触した着座使用者Mが操作のために指Maを選択したリモコン側電極4に接触させると、使用者Mの体の一部が伝送路となって電源用電気を発振部23へ伝送するため、リモコン操作機2が電池不要となり電池交換の必要性も無くなる。その結果、電池不要となったリモコン操作機2は、厚み寸法を薄く構成することが可能となり、壁W等に対する取付けが簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明リモコン装置の第1の実施の形態を示すものであり、使用状態の装置全体を示す側面図である。
【図2】第1の実施の形態のリモコン操作機及び便器側機器ブロック図である。
【図3】本発明リモコン装置の第2の実施の形態のリモコン操作機及び便器側機器ブロック図である。
【符号の説明】
【0021】
2…リモコン操作機、3…便器側機器、4…リモコン側電極、5…データ送信部、11…機器側電極,12…データ受信部、13…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ壁面又はトイレ室内に設置したキャビネット等の取付部に取付けられ、便器側機器の動作を指示するリモコン操作機と、リモコン操作機からの指示を受けて作動する便器側機器とを備えたトイレ用リモコン装置において、前記リモコン操作機は、使用者の指が接触可能なリモコン側電極と、アースと電気的に結合する回路グランドと、リモコン側電極を介して操作データを送出するデータ送信部とを備え、前記便器側機器は、便座に設けられて且つ着座使用者と接触可能な機器側電極と、機器側電極を介して受信するデータ受信部と、データ受信部で受信した操作データに応じて機器を作動させる制御部とを備え、前記操作データを前記リモコン側電極を介し使用者の体の一部を伝送路に用いて前記機器側電極へ伝送するようにしたことを特徴とするトイレ用リモコン装置。
【請求項2】
前記便器側機器が前記機器側電極を介して電源用電気を送出する電源供給部を備え、前記リモコン操作機が、前記機器側電極を介して電源用電気を受給して、前記データ送信部を起動させる発振部を備え、前記機器側電極を介し使用者の体の一部を伝送路に用いて前記リモコン側電極へ電源用電気を伝送するようにした請求項1記載のトイレ用リモコン装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−322142(P2006−322142A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143509(P2005−143509)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】