説明

トイレ装置

【課題】ノズルのラックとノズル駆動手段のピニオンギアかみ合わせがずれる事により発生する異音を抑制することを目的とする。
【解決手段】ラック4を有するノズル3と、ピニオンギア8を有するノズル駆動手段10と、ノズル3とノズル駆動手段10を装着するノズルマウント1を備え、ノズルマウント1に設けたトンネル状のノズル摺動部2にノズル3を摺動自在に挿入し、ノズル摺動部2の下部に設けた開口部7を介してノズル3のラック4とピニオンギア8がかみ合いノズル3を駆動可能とし、ノズル摺動部2上部のピニオンギア8と対向する位置に押さえ部5を備えることにより、成型加工の影響等により反ったノズル3が駆動する際や、ノズル3の収納時にモータ9により無理な力がノズル3にかかった場合も、ピニオンギア8とノズル3のラック4のかみ合わせが悪くならず、異音の発生を防止する事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体局部の洗浄などに使用されるトイレ装置のノズルユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のトイレ装置においては、人体局部を洗浄する人体局部洗浄装置はノズル支持台と、ノズル支持台の傾斜面に沿って摺動自在に支持された筒状のノズル本体と、ノズル本体に洗浄水を供給する給水ホースと、ノズル本体を摺動させるモータとラックとピニオンギアからなるノズル駆動手段を備え、ノズル本体はノズル支持台の下保持体と上押さえ体で摺動を案内する構成となっており、前記下保持体と上押さえ体はノズル本体の摺動面を少なくするため、上押さえ体の一部を切除して孔を設けている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−293430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前記従来の構成では、ノズル本体が上押さえ体の孔より上方に飛び出すことにより、ピニオンギアとノズル本体のラックの噛み合わせがずれる事により乗り上げてしまい、異音が発生する課題を有していた。噛み合わせが悪くなる原因について、ノズル本体は樹脂材料を成型したものを一般的に使用しており、樹脂の成型条件により上方に反ってしまう傾向にある。反ったノズル本体の下部に一体に成型したラックは本来の位置より上方に位置する事により、ラックとピニオンギアとの噛み合わせが浅くなってしまうため、ピニオンギアの歯車がノズル本体のラック部分を乗り上げてしまいピニオンギアとラックのずれにより異音が発生する課題があった。また、ノズル本体の収納時にモータにより無理な力がノズル本体にかかった場合、異音が発生する課題があった。
【0004】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、成型上おこるノズル本体の反りによる問題を解決し、また、ノズル本体の収納時にモータにより無理な力がノズル本体にかかった場合においても、ノズル本体のラック部分と駆動するピニオンギアのかみ合わせの不具合による異音の発生を防ぐトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明のトイレ装置は、下面にラックを有するノズルと、ノズルを出し入れするピニオンギアを有するノズル駆動手段と、ノズルとノズル駆動手段を装着するノズルマウントを備え、ノズルマウントに設けたトンネル状のノズル摺動部にノズルを摺動自在に挿入し、ノズル摺動部の下部に設けた開口部を介してノズルのラックとピニオンギアがかみ合いノズルを駆動可能とし、ノズル摺動部上部のピニオンギアと対向する位置に押さえ部を備えたものである。
【0006】
これによって成型加工の影響により反ったノズルが駆動する際や、ノズルの収納時にモータにより無理な力がノズルにかかった場合も、ピニオンギアとノズルのラックのかみ合わせが悪くならず、異音の発生を防止する事が出来る。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトイレ装置は、ノズルに反りが生じた場合やノズルの収納時にモータにより無理な力がノズルにかかった場合において、ノズルを駆動するピニオンギアとノズル下面のラックのかみ合わせがずれる事なく、乗り上げによる異音の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、便器上に載置して人が座る便座と、人体局部を洗浄するための洗浄手段を備えたトイレ装置において、洗浄水を噴出し下面にラックを有するノズルと、ノズルを出し入れするピニオンギアを有するノズル駆動手段と、ノズルとノズル駆動手段を装着するノズルマウントを備え、ノズルマウントに設けたトンネル状のノズル摺動部にノズルを摺動自在に挿入し、ノズル摺動部の下部に設けた開口部を介してラックとピニオンギアがかみ合いノズルを駆動可能とし、ノズル摺動部上部のピニオンギアと対向する位置に押さえ部を備えたことにより、ノズルが成型加工の影響により反りが発生した場合でも、ピニオンギアとノズルのラックのかみ合わせがずれる事がなく、異音の発生を防ぐことができる。また、ノズルの収納時にノズル駆動手段により無理な力がノズルにかかった場合においても、ピニオンギアとノズルのラックのかみ合わせがずれる事なく、異音の発生を防ぐことができる。
【0009】
第2の発明は、特に第1の発明において、押さえ部下面とノズル上面との隙間は、摺動方向の中央部の隙間が両側部の隙間より大きく形成したことにより、ノズルに付着した水滴を便器に流れやすくすることができる。
【0010】
第3の発明は、特に第1または第2の発明のノズル上面を凹状に形成したことにより、押さえ部とノズル上面との接触面を減らすことができる。そうすることにより、接触面による抵抗を減らし、ノズル駆動手段に対する負荷を減らすことができる。
【0011】
第4の発明は、特に第1の発明のノズルの上面が曲面形状を持つノズルにおいて、押さえ部はノズルの上面の曲面形状に沿った形状を持つことにより、ノズルが成型上反りが発生した場合もピニオンギアとノズルのラック部分のかみ合わせがずれる事なく、異音の発生を防ぐことができる。また、ノズルの収納時にノズル駆動手段により無理な力がノズルにかかった場合においても、ピニオンギアとノズルのラック部分のかみ合わせがずれる事なく、異音の発生を防ぐことができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものでははない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施例におけるトイレ装置のノズルユニットの断面図を示し、図2はノズルユニットの上部を中心とした要部斜視図を示し、図3はノズルユニットの押さえ部の要部断面図を示すものである。
【0014】
図に示すように本実施の形態におけるノズルユニットは、略直角三角形のノズル支持台であるノズルマウント1の傾斜面に設けたトンネル状のノズル摺動部2にビデ用と肛門用のそれぞれ筒状のノズル3を挿入し、ノズル3はノズルマウント1の傾斜面に沿って便器内に出没するようになっている。ノズル3の下面には歯形状のラック4が一体に形成してある。
【0015】
ノズル摺動部2の上部にはノズル3が上方に外れることを防止する押さえ部5が形成してあり、押さえ部5の中央部には上方に凹形状の溝6が形成してあり、ノズル3の上面と押さえ部5との隙間は中央部では大きく開いた状態となっている。
【0016】
また、ノズル摺動部2の下部には開口部7を備えてあり、開口部7の下方にはピニオンギア8とモータ9を備えたノズル駆動手段10が設置してあり、ピニオンギア8とノズル3のラック4は開口部7を介して互いにかみ合った状態となっている。
【0017】
また、ノズル摺動部2の先端部にはノズル2に汚れが付着する事を防ぐノズルシャッター9を備えている。
【0018】
以上のように構成されたトイレ装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0019】
トイレ装置本体内の制御部(図示せず)よりノズル駆動の制御信号が送信されると、ノズル駆動手段10のモータ9に通電が開始し、ピニオンギア8が回転することによりピニオンギア8とかみ合ったラック4が駆動されることにより、ノズル3は摺動を開始する。
【0020】
このとき、ノズル3が成型加工時の影響により多少反りをともなった形状であっても、押さえ部5により、ノズル3を上方から保持する構成となっているため、ノズル3が上方に移動することを抑制するため、ラック4とピニオンギア8は常に良好なかみ合い状態を維持することができる。
【0021】
また、押さえ部5の中央部に設けた溝6は、洗浄時にノズル3に水滴が付着し、洗浄後ノズル3をノズル摺動部2に収納した場合、その水滴が溝6を伝ってノズル3の先方に流れ、便器内に流出するため、水抜きがしやすくでき、ノズル表面の汚れを軽減することができる。
【0022】
以上のように本実施の形態においては、ノズル摺動部に押さえ部を設け、その中央部に溝を設けることことにより、ノズル本体が成型加工時の影響で反りが生じた場合や、モータによるピニオンギアよりノズルのラックに余分な力が加わった等の、ノズルのラックとピニオンギアのかみ合わせにずれが生じる要因の現象が起こった場合、押さえ部によりノズルにかかる力を抑える事ができ、かみ合わせの不具合が生じず異音の発生を防ぐ事ができる。
【0023】
なお、本実施の形態においてはノズル3の上面はフラットな形状としたが、図4に示すように上面が凹状をなすノズル11ととすることにより、ノズル摺動部2の押さえ部5との接触面積を減らすことができため、ノズル本体11と押さえ部5の抵抗を少なくすることができ、モータにかかる負荷を減らす事ができる、よりスムーズにノズルの駆動が可能となる。また、ノズルに付着した水滴をノズルの先方に速やかに流れやすくすることができる。
【0024】
(実施の形態2)
図5は、第2の実施の形態におけるノズルユニットの押さえ部の要部断面図を示すものである。
【0025】
本実施の形態が第1の実施の形態と異なっているところは、図5に示すようにノズル12の上面が曲面をなしているてんであり、これにともない、押さえ部13の形状がノズル12の上面の形状に沿った形状となっており、上記構成とすることにより、実施の形態1と同様ノズルのラックとピニオンギアのかみ合わせがずれる事なく、異音の発生を防ぐ事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1におけるノズルユニットの断面図
【図2】本発明の実施の形態1におけるノズルユニットの要部斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における押さえ部の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態1における別の形状の押さえ部の要部を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における押さえ部の要部断面図
【符号の説明】
【0027】
1 ノズルマウント
2 ノズル摺動部
3、11、12 ノズル
4 ラック
5、13 押さえ部
7 開口部
8 ピニオンギア
10 ノズル駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器上に載置して人が座る便座と、人体局部を洗浄するための洗浄手段を備えたトイレ装置において、洗浄水を噴出し下面にラックを有するノズルと、ノズルを出し入れするピニオンギアを有するノズル駆動手段と、ノズルとノズル駆動手段を装着するノズルマウントを備え、ノズルマウントに設けたトンネル状のノズル摺動部にノズルを摺動自在に挿入し、ノズル摺動部の下部に設けた開口部を介してラックとピニオンギアがかみ合いノズルを駆動可能とし、ノズル摺動部上部のピニオンギアと対向する位置に押さえ部を備えたノズルユニット。
【請求項2】
押さえ部下面とノズル上面との隙間は、摺動方向の中央部の隙間が両側部の隙間より大きく形成した請求項1に記載のノズルユニット。
【請求項3】
ノズル上面を凹状に形成した請求項1または2に記載のノズルユニット。
【請求項4】
ノズルの上面が曲面形状を持つノズルにおいて、押さえ部はノズルの上面の曲面形状に沿った形状を持つ請求項1に記載のノズルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−23676(P2007−23676A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209734(P2005−209734)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】