説明

トイレ装置

【課題】上昇させたケーシングと、便器と、の間に噴射された液体洗剤などの液体を堰き止めることができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ボウルを有する便器と、前記ボウルよりも後方における前記便器の上面に設置され機能部品を内蔵するケーシングと、前記便器から前記ケーシングを昇降させる昇降装置と、前記ケーシングの下方における前記便器の上面に設けられ、前記ケーシングが上昇した際に前記便器の上面の液体が後方に浸入することを抑制する立壁部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、トイレ装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に腰かけた使用者の「おしり」などを水で洗浄可能としたトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ装置のなかには、例えば、便座に座った使用者の「おしり」などを洗浄する局部洗浄機能や、便座に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥機能などを有する局部洗浄装置が設けられたものがある。このような局部洗浄装置が有する各種機能の機能部品は、一般的に、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」と称する)の後方上部に設置されたケーシングに内蔵されている。このとき、局部洗浄装置のケーシングと、便器の上面と、の間の隙間に汚水が浸入し、その隙間から異臭が発生する場合がある。
【0003】
そこで、異臭が発生することを防止するために、便座ボックス(局部洗浄装置)を上昇させる浮上ユニットを備えた便器上面設備がある(特許文献1)。特許文献1に記載された装置によれば、便器の清掃時に便座ボックスを浮上させることにより、便座ボックスの下面と、便器の上面と、の間の隙間を清掃することができる。そして、掃除の際には、使用者は、この隙間の部分をより綺麗にあるいはより清潔にしようとして、液体洗剤を噴射する場合がある。しかしながら、便座ボックス(局部洗浄装置)と便器との間に液体洗剤を噴射すると、その液体洗剤は、ケーシングの後方まで到達し、便器の後方から床に落ちるおそれがある。
【0004】
また、便器のリム部の上面で温水洗浄装置の手前位置に水切り突条部を幅方向に亘って設けた便器の汚水浸入防止構造がある(特許文献2)。特許文献2に記載された構造によれば、浸入する汚水を水切り突条部や止水材により止水することができる。しかしながら、特許文献2に記載された構造によれば、水切り突条部や止水材に汚水が付着し、その汚水が付着した部材から異臭が発生するおそれがある。また、特許文献2に記載された構造では、温水洗浄装置(局部洗浄装置)を便器の上面から容易に上昇させることはできない。そのため、水切り突条部や止水材を容易に清掃することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4207714号公報
【特許文献2】特開2002−322720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、上昇させたケーシングと、便器と、の間に噴射された液体洗剤などの液体を堰き止めることができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、ボウルを有する便器と、前記ボウルよりも後方における前記便器の上面に設置され機能部品を内蔵するケーシングと、前記便器から前記ケーシングを昇降させる昇降装置と、前記ケーシングの下方における前記便器の上面に設けられ、前記ケーシングが上昇した際に前記便器の上面の液体が後方に浸入することを抑制する立壁部と、を備えたことを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、例えば使用者などが、上昇したケーシングと、便器の上面と、の間の隙間に液体洗剤などの液体を噴射した場合でも、立壁部は、その液体を堰き止めることができる。これにより、液体洗剤などの液体が立壁部よりも後方に浸入することを抑制することができ、その液体が便器の後方からトイレ室の床面に落ちることを抑制することができる。
【0008】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記便器は、前記ボウルよりも後方において電気機器を収納可能な収納空間をさらに有し、前記立壁部は、前記収納空間よりも前方に設けられたことを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、例えば使用者などが、上昇したケーシングと、便器の上面と、の間の隙間に液体洗剤などの液体を噴射した場合でも、立壁部は、その液体を堰き止めることができる。これにより、立壁部は、液体洗剤などの液体がケーシングに内蔵された電気機器にかかることを抑制することができるため、その電気機器が故障したり損傷したりすることを抑制することができる。
【0009】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ケーシングは、前記立壁部を収納可能な凹部を下面に有することを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、立壁部は、ケーシングが下降した際に、そのケーシングにより押し潰されることはない。これにより、立壁部の耐久性をより向上させることができる。
【0010】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記ケーシングは、前記ケーシングが下降した状態において前記便器と前記ケーシングとの間への液体の浸入を防止するパッキンを有し、前記パッキンは、前記ケーシングが下降した状態において前記立壁部よりも前方に設けられたことを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、パッキンは、ケーシングが下降しているときに、便器とケーシングとの間への汚水浸入を防止でき、異臭の発生を抑制することができる。
【0011】
また、第5の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記立壁部は、前記便器の上面と、前記ケーシングの下面と、の間において伸縮可能であり、前記ケーシングが上昇すると延伸し、前記ケーシングが下降すると収縮することを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、ケーシングを上昇させると、立壁部は、その上昇に連動して延伸し高くなるため、液体の後方への浸入をより効果的に抑制することができる。
【0012】
また、第6の発明は、第5の発明において、前記立壁部は、一端が前記ケーシングに接続され、他端が前記便器に接続されたことを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、立壁部は、ケーシングおよび便器に接続され、ケーシングと便器とに亘って延伸できるため、液体洗剤などの液体が便器のボウルからケーシングの下面に向かって噴射されても、その液体の後方への浸入を抑制することができる。
【0013】
また、第7の発明は、第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記立壁部は、前記便器の上面に貼り付けられた平面部と、前記平面部から上方に延在し前記液体が後方に進入することを抑制する壁面部と、を有し、前記ケーシングが上昇した状態において、前記平面部は前記便器の上面に対して略平行に延在し清掃が容易な領域の一部を形成することを特徴とするトイレ装置である。
このトイレ装置によれば、例えば使用者などは、平面部や壁面部に手や清掃用具を当接させることにより、清掃可能範囲あるいは清掃すべき範囲を確認しやすい。そのため、ケーシングと、便器と、の間の隙間の部分の清掃性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、上昇させたケーシングと、便器と、の間に噴射された液体洗剤などの液体を堰き止めることができるトイレ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す斜視模式図である。
【図2】本実施形態のケーシングを下側から眺めた斜視模式図である。
【図3】ケーシングの前方部が上昇した状態を側方から眺めた断面模式図である。
【図4】便器の後方部における内部構造を表す斜視模式図である。
【図5】本実施形態の固定板を設置した状態を表す斜視模式図である。
【図6】本実施形態の固定板とガイドプレートとの取り付け位置を拡大して眺めた拡大模式図である。
【図7】本実施形態の表面シートの設置方法を説明するための斜視模式図である。
【図8】本実施形態の変形例にかかる立壁部を有する便器を表す斜視模式図である。
【図9】本実施形態の変形例にかかる立壁部を拡大して眺めた斜視模式図である。
【図10】本実施形態の他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
【図11】本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
【図12】本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
【図13】本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
【図14】本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
【図15】本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を有するトイレ装置を表す模式図である。
【図16】本変形例の立壁部を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかるトイレ装置を表す斜視模式図である。
なお、図1(a)は、本実施形態にかかるトイレ装置においてハンドルを引き出した状態を表す斜視模式図であり、図1(b)は、本実施形態にかかるトイレ装置においてハンドルを回動させた状態を表す斜視模式図である。
【0017】
本実施形態にかかるトイレ装置は、前部にボウル810を有する便器800と、便器800の上部に設置された局部洗浄装置100と、を備える。局部洗浄装置100は、ボウル810の後方上部に設置されたケーシング200と、そのケーシング200に対して開閉自在に軸支された便座300および便蓋400と、を有する。また、ケーシング200の内部には、便座300に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。
【0018】
なお、ケーシング200の内部には、例えば、便器800のボウル810内の空気を吸い込み、フィルタや触媒などを介して臭気成分を低減させる脱臭機能部や、便座300に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる温風乾燥機能部や、トイレ室内に温風を吹き出してトイレ室を暖房する室内暖房機能部などが内蔵されていてもよい。
【0019】
また、便器800の後方側部には、パネル830が設けられている。これによれば、パネル830は、便器800の側面や適宜設けられた配管などを覆い隠すことができるため、意匠性を確保することができる。
【0020】
ケーシング200の下部には、図1(a)および図1(b)に表したように、ハンドル540が設けられている。使用者は、例えば手などを利用することにより、図1(a)に表した矢印A1のように、ハンドル540を右側方に引き出すことができる。そしてさらに、使用者は、図1(b)に表した矢印A2のように、その引き出したハンドル540を回動させることができる。そうすると、ケーシング200の前方部は、図1(b)に表した矢印A3のように、ケーシング200の後方部を中心として回動し、便器800の上面820から上昇して離間できる。
【0021】
そうすると、図1(b)に表したように、ハンドル540を矢印A2の方向に回動させる前、すなわちケーシング200の前方部が上昇する前よりも大きな隙間が、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間において生ずる。これによれば、使用者は、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間から清掃用具や手などを入れることにより、その隙間の部分や、ケーシング200の下面に設けられたパッキン221などを容易に清掃することができる。なお、パッキン221は、ケーシング200が下降しているときに、ケーシング200と便器800との間への汚水浸入を防止することができる。
【0022】
また、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間に汚れやゴミが溜まったり、パッキン221に汚れが付着したままの状態となることを抑制することができる。そのため、便器800の上面820との間の隙間や、パッキン221から異臭が発生することを抑制することができる。
【0023】
次に、ケーシング200を上昇させる機構および動作について、図面を参照しつつさらに詳細に説明する。
図2は、本実施形態のケーシングを下側から眺めた斜視模式図である。
また、図3は、ケーシングの前方部が上昇した状態を側方から眺めた断面模式図である。
なお、図2(a)は、ハンドル540を回動させる前の状態を表しており、図2(b)は、ハンドル540を回動させた後の状態を表している。
また、図3は、図1(b)に表したD−D断面図である。
【0024】
図2(a)および図2(b)に表したように、ケーシング200は、ケースカバー210と、ケースプレート220と、を有する。局部洗浄機能などの機能部品は、ケースプレート220に適宜載置され、その上方をケースカバー210により覆われている。ケースプレート220の下面には、図2(a)および図2(b)に表したように、便器800のボウル810の形状に略沿うように直線部分や湾曲部分などを有するパッキン221が付設されている。つまり、パッキン221は、ケースプレート220の下面におけるボウル810側の前端部に付設されている。
【0025】
パッキン221は、例えばゴムなどの弾性を有する材料により形成されている。そのため、ケーシング200が便器800の上面820に設置された際には、パッキン221は、圧縮変形し便器800の上面820に密着する。そのため、パッキン221は、ケーシング200と便器800との間への汚水浸入を防止できる。
【0026】
また、ケースプレート220の下面には、ケーシング200の前方部を便器800の上面820から上昇させ離間させる昇降装置500が付設されている。昇降装置500は、図2(a)および図2(b)に表したように、回動軸530と、回動軸530の一端に固定されたハンドル540と、回動軸530の中間部に固定された支柱550と、を有する。回動軸530は、ハンドル540の回動と連動して回動することができる。また、支柱550は、回動軸530に固定されているため回動軸530の回動と連動して回動することができる。つまり、使用者は、ハンドル540を回動させると、回動軸530を介して支柱550を回動させることができる。なお、回動軸530と支柱550とは、一体的に形成されていてもよい。
【0027】
ケーシング200は、後方部において、固定具240により便器800に取り付けられ、固定具240により取り付けられた部分を中心として便器800に対して回動することができる。
【0028】
そして、ケーシング200の前方部が下降した状態(図2(a)参照)から、図2(b)および図1(b)に表した矢印A2のように、使用者がハンドル540を回動させると、支柱550は、回動軸530を介して伝達されたハンドル540からの回動力を受け、図2(b)に表したように回動する。すなわち、使用者がハンドル540を回動させると、支柱550は、ケースプレート220の下面からみて倒立した状態となる。
【0029】
そうすると、支柱550は、図3に表したように、便器800の内部に設置されたガイドプレート840に支持される。その結果として、支柱550は、昇降装置500が付設されたケーシング200の前方部を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。支柱550が回動する際には、回動軸530に固定されていない側の支柱550の端部は、ガイドプレート840の表面と当接しつつその表面上をスライドする。このとき、支柱550およびガイドプレート840は、例えば樹脂などのような摺動性のより良い材料から形成されており、また支柱550の端部は、略円形の断面形状を有するため、その支柱550は、ガイドプレート840の表面上を滑らかにスライドすることができる。なお、ガイドプレート840は、便器800とは別部材として設けられていてもよく、便器800と一体的に形成されていてもよい。
【0030】
これによれば、使用者は、より小さな力で楽にハンドル540を回動させ、ケーシング200の前方部を便器800の上面820から上昇させ離間させることができる。また、これにより、ケースプレート220の下面に付設されたパッキン221を便器800の上面820から離間させることができる。そのため、図1に関して前述したように、使用者は、ケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間から清掃用具や手などを入れることにより、その隙間の部分やパッキン221などを容易に清掃することができる。
【0031】
また、ケーシング200の下方における便器800の上面820には、図3に表したように、上方に立ち上げられた立壁部600が設けられている。すなわち、立壁部600は、図3に表したように、便器800の上面820から上方に向かって延在している。そのため、使用者が、上昇したケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間に液体洗剤などの液体を噴射した場合でも、立壁部600は、その液体を堰き止めることができる。また、立壁部600は、パッキン221よりも後方に設けられている。
【0032】
これにより、液体洗剤などの液体が立壁部600よりも後方に浸入することを抑制することができ、その液体が便器800の後方からトイレ室の床面に落ちることを抑制することができる。また、立壁部600は、液体洗剤などの液体がケーシング200に内蔵された電気機器(機能部品)にかかることを抑制することができるため、その電気機器が故障したり損傷したりすることを抑制することができる。
【0033】
またさらに、使用者は、ケーシング200と便器800との間の隙間の部分を清掃する際に、手や清掃用具が立壁部600に当接することにより清掃可能範囲あるいは清掃すべき範囲を確認できる。すなわち、使用者は、清掃可能範囲あるいは清掃すべき範囲の奥行きを確認できる。そのため、使用者は、手や清掃用具を立壁部600に当接させつつ移動させることにより、ケーシング200下面と、便器800の上面820と、の間の隙間の部分をより簡単にあるいはより楽に清掃することができる。
【0034】
ケースプレート220は、図3に表したように、その下面に凹部223を有する。そして、ケーシング200が下降したときには、立壁部600は、ケースプレート220に設けられた凹部223に収納される。そのため、立壁部600は、ケーシング200が下降した際に、ケースプレート220の下面に押し潰されることはない。これにより、立壁部600の耐久性をより向上させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、ケーシング200の前方部が、その後方部を中心として回動し、便器800の上面820から上昇して離間する場合を例に挙げて説明したが、ケーシング200が便器800の上面820から上昇する動作はこれだけに限定されるわけではない。例えば、ケーシング200の下面と、便器800の上面820と、が略平行な状態を保ちつつ、ケーシング200は、便器800の上面820から上昇してもよい。つまり、昇降装置500は、便器800からみてケーシング200を昇降させることができればよい。この場合でも、使用者は、ケーシング200下面と、便器800の上面820と、の間の隙間の部分を清掃することができ、立壁部600は、液体洗剤などの液体が立壁部600よりも後方に浸入することを抑制することができる。
【0036】
次に、立壁部600の構造等について、図面を参照しつつさらに詳細に説明する。
図4は、便器の後方部における内部構造を表す斜視模式図である。
また、図5は、本実施形態の固定板を設置した状態を表す斜視模式図である。
また、図6は、本実施形態の固定板とガイドプレートとの取り付け位置を拡大して眺めた拡大模式図である。
また、図7は、本実施形態の表面シートの設置方法を説明するための斜視模式図である。
【0037】
便器800の後方部、すなわちボウル810よりも後側には、図4に表したように、ポンプから適宜供給される水を貯留して加熱する熱交換器260や、水道管から導水された水を熱交換器260や洗浄ノズル(図示せず)に導く各種配管などが設けられている。なお、図示しない洗浄ノズルは、その先端部に設けられた吐水口から水を噴射して、便座に座った使用者の「おしり」などを洗浄することができる。
【0038】
また、熱交換器260の内部には、貯水の水位を検知するフロートスイッチ(図示せず)が設けられ、洗浄ノズルの近傍には、その洗浄ノズルをケーシング200から進退させるモータ(図示せず)が設けられている。つまり、便器800の後方部には、熱交換器260や各種配管の他にも、フロートスイッチやモータなどの電気機器が設けられている。このように、便器800は、図5に表したように、後方部すなわちボウル810よりも後側に、電気機器や熱交換器260や各種配管などを収納可能な収納空間850を有する。
【0039】
その収納空間850よりも前方であって便器800の上面820には、図4に表したように、立壁部600が設けられている。立壁部600は、ケーシング200が上昇した際に便器800の上面820を流れる液体が後方に浸入することを抑制する浸入抑制部材610と、便器800と浸入抑制部材610との境界部に液体が浸入することを抑制する表面シート620と、を有する。
【0040】
浸入抑制部材610は、図5に表したように、便器800の上面820に付設あるいは載置される平面部611と、平面部611の後端部から上方に向かって屈曲し延在する壁面部613と、を有する。浸入抑制部材610は、便器800の上面820に載置された際には、図6に表した領域B、Cのように、収納空間850に配置されたガイドプレート840と係合することにより位置決めされ支持される。より具体的には、浸入抑制部材610は後方部に係合孔615を有し、ガイドプレート840は前方部に係合凸部843を有する。そして、係合孔615と係合凸部843とが互いに係合することにより、浸入抑制部材610は、ガイドプレート840に位置決めされ支持される。
【0041】
なお、浸入抑制部材610の位置決め方法および支持方法は、これだけに限定されるわけではない。例えば、浸入抑制部材610は係合凸部を有し、ガイドプレート840は係合孔を有し、その係合凸部と係合孔とが係合することにより、浸入抑制部材610は、ガイドプレート840に位置決めされ支持されてもよい。
【0042】
また、例えば、浸入抑制部材610は、便器800の上面820において適宜位置決めされ支持される限り、ガイドプレート840に位置決めされ支持されなくともよい。これによれば、浸入抑制部材610を例えば押し出し成形により形成できる、あるいは板金により形成できるといった効果が得られる。これにより、浸入抑制部材610の製造コストを低減することができる。
【0043】
そして、浸入抑制部材610が便器800の上面820に載置された後に、図7に表したように、平面部611の上方を覆うように表面シート620が取り付けられる。ここで、浸入抑制部材610は、例えば薬品などに耐久性を有する樹脂などにより形成され、表面シート620は、例えば接着性を有するフィルムなどにより形成されている。そのため、表面シート620は、平面部611と、便器800の上面820と、に渡って貼り付けられることにより、浸入抑制部材610を便器800の上面820に付設できる。この際、表面シート620は、平面部611を覆うように取り付けられ、壁面部613を覆うようには取り付けられない。すなわち、壁面部613は、図4に表したように、表面シート620よりも後方に配置され、上方に向かって延在している。
【0044】
これにより、壁面部613は、液体洗剤などの液体が壁面部613よりも後方に浸入することを抑制することができ、その液体が便器800の後方からトイレ室の床面に落ちることを抑制することができる。また、壁面部613は、液体洗剤などの液体が収納空間850に収納された電気機器などにかかることを抑制することができるため、その電気機器が故障したり損傷したりすることを抑制することができる。
【0045】
また、平面部611および表面シート620は、便器800の上面820の一定領域に存在し、壁面部613は、上方に向かって延在している。そのため、使用者は、ケーシング200と便器800との間の隙間の部分を清掃する際に、手や清掃用具を平面部611や表面シート620や壁面部613などに当接させることができる。そのため、使用者は、清掃すべき範囲やその奥行きを確認できる。これにより、使用者は、手や清掃用具を平面部611や表面シート620や壁面部613などに当接させつつ移動させることにより、ケーシング200下面と、便器800の上面820と、の間の隙間の部分をより簡単にあるいはより楽に清掃することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、作業者などが、浸入抑制部材610を便器800の上面820に載置した後に、表面シート620を貼り付ける場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されるわけではない。例えば、作業者は、表面シート620を浸入抑制部材610に貼り付けた後に、その一体化した表面シート620および浸入抑制部材610を便器800の上面820に付設してもよい。これによっても、前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0047】
次に、本実施形態の立壁部の変形例について、図面を参照しつつ説明する。
図8は、本実施形態の変形例にかかる立壁部を有する便器を表す斜視模式図である。
図9は、本実施形態の変形例にかかる立壁部を拡大して眺めた斜視模式図である。
【0048】
図4〜図7に関して前述した立壁部600は、便器800とは別部材の浸入抑制部材610および表面シート620を有しているが、本変形例の立壁部860は、便器800と一体的に形成されている。つまり、本変形例の立壁部860は、図8および図9に表したように、便器800の上面820の後端部に接続され、その後端部から上方に延在している。
【0049】
これによれば、立壁部860は、便器800と同様に、例えば陶器として形成することができる。そのため、立壁部860が後方への液体の浸入を抑制することにより、立壁部860やその近傍に液体や汚れが付着したときでも、立壁部860が陶器として形成されている場合には、使用者は、その液体や汚れをより簡単に落とすことができる。これは、陶器は、例えば、光沢のある釉薬(ゆうやく)などと呼ばれる上薬(うわぐすり)が施され焼かれているためである。
【0050】
また、立壁部860が便器800と一体的に陶器として形成された場合には、図9に表したように、立壁部860と、便器800の上面820と、の境界部にラウンド部861を形成することができる。そのため、使用者は、立壁部860およびその近傍をより清掃しやすい。また、本変形例では、浸入抑制部材610や表面シート620などの別部材は不要となる。
【0051】
図10は、本実施形態の他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
また、図11は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
なお、図10(a)および図11は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇した状態を表しており、図10(b)は、ケーシング200が便器800の上面820に下降した状態を表している。また、図10(a)、図10(b)、および図11は、図1(b)に表したD−D断面図に相当する。
【0052】
本変形例の立壁部630は、図10に表したように、蛇腹状に形成されている。この立壁部630は、例えばゴムなどの弾性を有する材料により形成されている。また、立壁部630の上端部は、ケースプレート220の下面に設けられた凹部223の表面に接続されており、一方で、立壁部630の下端部は、便器800の上面820に接続されている。
【0053】
そのため、立壁部630は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇すると、図10(a)に表したように延伸し、ケーシング200が便器800の上面820に下降すると、図10(b)に表したように折り畳まれる。つまり、立壁部630は、略上下方向に伸縮可能である。そして、立壁部630は、ケーシング200が下降して折り畳まれた際には、図10(b)に表したように、ケースプレート220の凹部に収納される。そのため、立壁部630は、ケーシング200が下降した際に、ケースプレート220の下面に押し潰されることはない。これにより、立壁部630の耐久性をより向上させることができる。
【0054】
また、ケーシング200が上昇し、立壁部630が延伸した状態では、立壁部630は、上端部および下端部においてケースプレート220および便器800にそれぞれ接続されているため、液体洗剤などの液体が立壁部630よりも後方に浸入することをより確実に抑制することができる。つまり、本変形例の立壁部630は、液体が便器800の後方からトイレ室の床面に落ちることをより確実に抑制することができる。また、その他の効果についても、図4〜図9に関して前述した効果と同様あるいはそれ以上の効果を得ることができる。
【0055】
なお、立壁部の蛇腹形状は、これだけに限定されるわけではなく、図11に表した立壁部640のように、折返し数がより少ない蛇腹状であってもよい。図11に表した立壁部640のように折返し数がより少ない場合には、その立壁部640は、ケーシング200が上昇して延伸したときには、図10に表した立壁部630よりも直線状に近づく。これによれば、使用者は、清掃すべき範囲やその奥行きをより確認しやすく、また立壁部640やその近傍をより清掃しやすい。
【0056】
図12は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
なお、図12は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇した状態を表しており、図1(b)に表したD−D断面図に相当する。
【0057】
本変形例の立壁部650は、図12に表したように、複数の板状部材が連結した形状を有する。それぞれの板状部材は、例えば樹脂や金属などにより形成されている。また、立壁部650の上端部は、ケースプレート220の下面に設けられた凹部223の表面に接続されており、一方で、立壁部650の下端部は、便器800の上面820に接続されている。そして、本変形例の立壁部650は、図10および図11に表した立壁部630、640と同様に、略上下方向に伸縮可能である。
【0058】
そのため、立壁部650は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇すると延伸し、ケーシング200が便器800の上面820に下降すると重なるように畳まれる。すなわち、ケーシング200が下降すると、複数の板状部材は、互いに重なった状態となり、立壁部650は、全体として収縮した状態となる。そして、立壁部650は、ケーシング200が下降して収縮した際には、ケースプレート220の凹部に収納される。これについては、図10および図11に表した立壁部630、640と同様である。
【0059】
そして、ケーシング200が上昇し、立壁部650が延伸した状態では、立壁部650は、上端部および下端部においてケースプレート220および便器800にそれぞれ接続されているため、液体洗剤などの液体が立壁部650よりも後方に浸入することをより確実に抑制することができる。また、立壁部650は、延伸した状態では、図10および図11に表した立壁部630、640よりも直線状に近いため、使用者は、清掃すべき範囲やその奥行きをより確認しやすく、また立壁部650やその近傍をより清掃しやすい。また、その他の効果についても、図4〜図9に関して前述した効果と同様あるいはそれ以上の効果を得ることができる。
【0060】
図13は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
なお、図13は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇した状態を表しており、図1(b)に表したD−D断面図に相当する。
【0061】
本変形例の立壁部660は、壁面シート661と、壁面シート661を巻き取り可能な回動軸663と、を有する。回動軸663は、ケースプレート220の凹部223内に適宜取り付けられ、図示しないばねなどの弾性体により壁面シート661を巻き取る方向に付勢されている。また、壁面シート661の下端部は、便器800の上面820に接続されている。
【0062】
そのため、ケーシング200が便器800の上面820に下降するとともに、回動軸663は、壁面シート661を逐次巻き取り収縮させる。そして、壁面シート661は、ケーシング200が下降して収縮した際には、ケースプレート220の凹部に収納される。これについては、図10〜図12に表した立壁部630、640、650と同様である。
【0063】
一方、ケーシング200が便器800の上面820から上昇するとともに、壁面シート661は、回動軸663から引き出され延伸する。つまり、本変形例の立壁部660は、図10〜図12に表した立壁部630、640、650と同様に、略上下方向に伸縮可能である。
【0064】
そして、壁面シート661は、ケーシング200が上昇して延伸した際には、上端部において回動軸663に取り付けられ、下端部において便器800に接続されているため、液体洗剤などの液体が壁面シート661よりも後方に浸入することをより確実に抑制することができる。また、立壁部660の壁面シート661は、延伸した状態では、図10〜図12に表した立壁部630、640、650よりも直線状に近いため、使用者は、清掃すべき範囲やその奥行きをより確認しやすく、また壁面シート661やその近傍をより清掃しやすい。また、その他の効果についても、図4〜図9に関して前述した効果と同様あるいはそれ以上の効果を得ることができる。
【0065】
図14は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を表す断面模式図である。
なお、図14は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇した状態を表しており、図1(b)に表したD−D断面図に相当する。
【0066】
本変形例の立壁部670は、ケースプレート220の凹部223の表面に接続された蛇腹状の蛇腹部材671と、便器800の上面820に固定されたリブプレート673と、を有する。つまり、本変形例の蛇腹部材671は、図10および図11に表した立壁部630、640のようには上端部および下端部において接続されているわけではなく、上端部においてのみケースプレート220に接続されている。
【0067】
蛇腹部材671は、例えばゴムなどの弾性を有する材料により形成されている。そして、蛇腹部材671は、ケーシング200が便器800の上面820から上昇すると、自身の弾性力および自重により延伸する。
一方、リブプレート673は、図4〜図7に関して前述した浸入抑制部材610と同様に、便器800の上面820に付設あるいは載置される平面部673aと、平面部673aの後端部から上方に延在するリブ673bと、を有する。そして、蛇腹部材671は、ケーシング200が便器800の上面820に下降すると、リブプレート673に当接することにより折り畳まれる。つまり、蛇腹部材671は、略上下方向に伸縮可能である。
【0068】
また、蛇腹部材671は、ケーシング200が下降して折り畳まれた際には、ケースプレート220の凹部223に収納される。これについては、図10および図11に表した立壁部630、640と同様である。またさらに、リブプレート673のリブ673bは、ケーシング200が下降したときには、蛇腹部材671と同様に凹部223に収納される。
【0069】
そして、蛇腹部材671は、ケーシング200が上昇すると自身の弾性力および自重により延伸するため、液体洗剤などの液体が蛇腹部材671よりも後方に浸入することを抑制することができる。また、便器800の上面820には、上方に延在するリブ673bを有するリブプレート673が設けられているため、そのリブ673bは、蛇腹部材671と同様に、液体がリブ673bよりも後方に浸入することを抑制することができる。
【0070】
また、蛇腹部材671は、上端部においてのみケースプレート220に接続されているため、例えば伸縮を繰り返されることによりいわゆる「へたり」が生じた場合でも、自重により延伸することができる。またさらに、蛇腹部材671の接続箇所は、ケースプレート220における1つの箇所であるため、本変形例の立壁部670の施工性を向上させることができる。また、その他の効果についても、図4〜図9に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0071】
図15は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる立壁部を有するトイレ装置を表す模式図である。
また、図16は、本変形例の立壁部を表す模式図である。
なお、図15(a)は、本変形例の立壁部を有するトイレ装置を表す斜視模式図であり、図15(b)は、本変形例の立壁部を有するトイレ装置のハンドル近傍を表す平面模式図である。
また、図16(a)は、本変形例の立壁部を表す斜視模式図であり、図16(b)は、本変形例の立壁部の動作を説明するための平面模式図である。
【0072】
本変形例の立壁部680は、図15(a)に表したように、便器800のボウル810よりも後方において、ケーシング200の左右方向に亘って設置されている。そして、本変形例の立壁部680は、図16(a)に表したように、カーテンレバー681と、カーテンレバー681を回動自在に軸支する回動軸683と、カーテンレバー681の一端部に接続されたカーテン685と、を有する。
【0073】
カーテン685は、図10に表した立壁部630と同様に、例えばゴムなどの弾性を有する材料により形成され、蛇腹形状を有する。また、図16(b)に表したように、カーテン685の一端部は、前述したようにカーテンレバー681の一端部に接続され、カーテン685の他端部は、便器800の上面820に接続されている。
【0074】
昇降装置500(図2および図3参照)のハンドル540に接続された回動軸530には、図15(b)および図16(b)に表したように、ハンドルレバー531が固定されている。このハンドルレバー531は、回動軸530に固定されているため、回動軸530の回動と連動して回動することができる。つまり、使用者は、ハンドル540を回動させると、回動軸530を介してハンドルレバー531を回動させることができる。なお、回動軸530とハンドルレバー531とは、一体的に形成されていてもよい。
【0075】
そして、使用者がハンドル540を回動させる前には、すなわちハンドル540が図1(a)に表した状態にあるときには、ハンドルレバー531は、図16(b)に表した二点鎖線のように、略水平方向を向いている。このとき、カーテン685が接続されていない側のカーテンレバー681の他端部は、図16(b)に表した二点鎖線のように、ハンドルレバー531に当接している。また、このとき、カーテン685は、折り畳まれて収縮している。
【0076】
この状態から、使用者が、ハンドル540を図1(b)に表した矢印A2の方向に回動させると、ハンドルレバー531は、図16(b)に表した矢印A4にように、ハンドル540の回動に連動し回動軸530を中心として回動する。そうすると、カーテン685が接続されていない側のカーテンレバー681の他端部は、ハンドルレバー531により押し下げられる。つまり、カーテンレバー681は、ハンドルレバー531と当接しつつ、図16(b)に表した矢印A5のように、ハンドルレバー531の回動に連動し回動軸683を中心として回動する。その結果、ハンドルレバー531およびカーテンレバー681は、図16(b)に表した実線の状態となる。
【0077】
そうすると、カーテン685が接続されている側のカーテンレバー681の一端部は、便器800の上面820から上昇する方向に押し上げられる。これにより、カーテン685は、カーテンレバー681の一端部に接続されているため、カーテンレバー681の回動に連動して延伸する。なお、カーテンレバー681は、図示しないばねなどの弾性体により、矢印A5とは反対方向に付勢されている。そのため、使用者がハンドル540をA2(図1(b)参照)とは反対方向に回動させると、カーテンレバー681は、弾性体の付勢力を受け矢印A5とは反対方向に回動する。つまり、本変形例のカーテン685は、伸縮可能である。
【0078】
本変形例によれば、カーテン685は、ハンドルレバー531の回動に連動して回動するカーテンレバー681に接続されているため、使用者が操作するハンドル540の回動に連動して、より確実に延伸することができる。つまり、カーテン685は、例えば伸縮を繰り返されることによりいわゆる「へたり」が生じた場合でも、使用者が操作するハンドル540の回動に連動して、より確実に延伸することができる。
【0079】
そして、使用者がハンドル540を回動させケーシング200を上昇させた状態、すなわちカーテン685が延伸した状態では、カーテン685は、上端部および下端部においてカーテンレバー681および便器800にそれぞれ接続されているため、液体洗剤などの液体がカーテン685よりも後方に浸入することをより確実に抑制することができる。また、その他の効果についても、図4〜図9に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態によれば、ケーシング200の下方における便器800の上面820には、上方に立ち上げられた立壁部600が設けられている。すなわち、立壁部600は、便器800の上面820から上方に向かって延在している。そのため、使用者が、上昇したケーシング200と、便器800の上面820と、の間の隙間に液体洗剤などの液体を噴射した場合でも、立壁部600は、その液体を堰き止めることができる。これにより、液体洗剤などの液体が立壁部600よりも後方に浸入することを抑制することができ、その液体が便器800の後方からトイレ室の床面に落ちることを抑制することができる。また、立壁部600は、液体洗剤などの液体がケーシング200に内蔵された電気機器にかかることを抑制することができるため、その電気機器が故障したり損傷したりすることを抑制することができる。これらは、前述した変形例の立壁部についても、同様の効果を得ることができる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、立壁部600や昇降装置500などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや浸入抑制部材610および表面シート620の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0082】
100 局部洗浄装置、 200 ケーシング、 210 ケースカバー、 220 ケースプレート、 221 パッキン、 223 凹部、 240 固定具、 260 熱交換器、 300 便座、 400 便蓋、 500 昇降装置、 530 回動軸、 531 ハンドルレバー、 540 ハンドル、 550 支柱、 600 立壁部、 610 浸入抑制部材、 611 平面部、 613 壁面部、 615 係合孔、 620 表面シート、 630 立壁部、 640 立壁部、 650 立壁部、 660 立壁部、 661 壁面シート、 663 回動軸、 670 立壁部、 671 蛇腹部材、 673 リブプレート、 673a 平面部、 673b リブ、 680 立壁部、 681 カーテンレバー、 683 回動軸、 685 カーテン、 800 便器、 810 ボウル、 820 上面、 830 パネル、 840 ガイドプレート、 843 係合凸部、 850 収納空間、 860 立壁部、 861 ラウンド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウルを有する便器と、
前記ボウルよりも後方における前記便器の上面に設置され機能部品を内蔵するケーシングと、
前記便器から前記ケーシングを昇降させる昇降装置と、
前記ケーシングの下方における前記便器の上面に設けられ、前記ケーシングが上昇した際に前記便器の上面の液体が後方に浸入することを抑制する立壁部と、
を備えたことを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記便器は、前記ボウルよりも後方において電気機器を収納可能な収納空間をさらに有し、
前記立壁部は、前記収納空間よりも前方に設けられたことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記立壁部を収納可能な凹部を下面に有することを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記ケーシングは、前記ケーシングが下降した状態において前記便器と前記ケーシングとの間への液体の浸入を防止するパッキンを有し、
前記パッキンは、前記ケーシングが下降した状態において前記立壁部よりも前方に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記立壁部は、前記便器の上面と、前記ケーシングの下面と、の間において伸縮可能であり、前記ケーシングが上昇すると延伸し、前記ケーシングが下降すると収縮することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記立壁部は、一端が前記ケーシングに接続され、他端が前記便器に接続されたことを特徴とする請求項5記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記立壁部は、前記便器の上面に貼り付けられた平面部と、前記平面部から上方に延在し前記液体が後方に進入することを抑制する壁面部と、を有し、
前記ケーシングが上昇した状態において、前記平面部は前記便器の上面に対して略平行に延在し清掃が容易な領域の一部を形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−270546(P2010−270546A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125184(P2009−125184)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】