説明

トップチェーン用リンク

【課題】 トップチェーンを薄く構成することができるトップチェーン用リンクの提供。
【解決手段】 被搬送物が載置されるトッププレート15と、このトッププレート15から後方へ延出する連結片17と、この連結片17の後端部に設けられる下方への突出部19とを有する。連結片17は、水平に配される前片23と、この前片23の後端部から後方へ行くに従って下方へ傾斜する中間片25と、この中間片25の後端部から後方へ水平に延出する後片27とを有する。連結片17の後片27に、下方へ突出して突出部19が設けられており、その下端部には、径方向外側へ突出してツバ部33が形成されている。前後に隣接するリンク13,13同士は、前方のリンク13の連結片17の後片27の上面に、後方のリンク13の連結片17の前片23が単に重ね合わされて、軸杆41により互いに回転可能に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種搬送装置に使用されるトップチェーンに関するものであり、特にトップチェーンを構成するリンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トップチェーンは、被搬送物が載置されるトッププレートを有するリンクが軸杆により多数連結されて構成されており、従来、店舗や工場などで、商品や荷物等を搬送するのに使用されている。このトップチェーンのうち、トッププレートが三日月形状とされたものは、クレセントチェーンとして知られており、いわゆる回転寿司店や工場などで使用されている。そして、クレセントチェーンにより、各種物品を搬送することで、省力化が図れ、人件費や製造コストを抑えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図9は、従来のクレセントチェーンの一部を示す斜視図であり、図10は図9のクレセントチェーンが搬送装置に使用される一例を示す断面図である。これらの図に示すように、従来のクレセントチェーンは、トッププレートを有するリンクが略コ字形状とされていた。具体的には、図9に示すように、従来のリンク71は、上下一対の板片73,75が柱部77により連結されたコ字形状とされ、隣接するリンク71,71同士は、前方のリンク71の後端部が後方のリンク71の前端部に挟み込まれて軸杆79により連結されていた。
このように、従来のクレセントチェーンのリンク71は、板片73,75が上下に設けられていたため、上下寸法が大きくなっていた。これに伴い、リンク71に構成されるクレセントチェーン80が配置される搬送装置81の溝83も深くなり、搬送装置81も大きくなっていた。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、トップチェーンを薄く構成することができるトップチェーン用リンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、軸杆により順次連結されてトップチェーンを構成するリンクであって、被搬送物が載置されるトッププレートと、このトッププレートから後方へ延出する接続部とを備え、隣接するリンク同士は、各リンクの前記トッププレートが前後に配置されるように、前方のリンクの前記接続部の上方においてのみ、後方のリンクの一部が重ね合わされると共に、その重ね合わせ部において軸杆により回転可能に連結され、前記軸杆と同軸に前記接続部に設けられる下方への突出部、または、前記軸杆の内、前記接続部より下方への突出部に、スプロケットの歯が噛み合わされることを特徴とするトップチェーン用リンクである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記軸杆の下端部には、その周側面に形成された円環状溝にOリングが装着されており、前記接続部に設けられる前記突出部に前記軸杆がはめ込まれて、前記Oリングが前記突出部に着脱可能に係止されることを特徴とする請求項1に記載のトップチェーン用リンクである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、前記突出部には、前記軸杆が通される貫通穴が形成されており、この貫通穴の下端部は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状とされ、この円錐台状部に前記Oリングが係止されることを特徴とする請求項2に記載のトップチェーン用リンクである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、前記軸杆には、その軸方向中途部の周側面に形成された円環状溝にOリングが装着されており、このOリングが前方のリンクの前記接続部に係止され、前記軸杆は、前記接続部より下方へ突出して設けられ、スプロケットの歯が噛み合わされることを特徴とする請求項1に記載のトップチェーン用リンクである。
【0009】
請求項5に記載の発明は、前記接続部には、前記軸杆がはめ込まれる貫通穴が形成されており、この貫通穴の下端部は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状とされ、この円錐台状部に前記Oリングが着脱可能に係止されることを特徴とする請求項4に記載のトップチェーン用リンクである。
【0010】
請求項6に記載の発明は、前記リンクは、トッププレートと連結片とを備え、前記連結片は、板状の前片と、この前片と連接して前片より後方下部に設けられる後片とを有し、前記連結片は、その前片がトッププレートの下面に重ね合わされて一体化されており、トッププレートから後方へ延出する部分が、前記接続部とされることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のトップチェーン用リンクである。
【0011】
請求項7に記載の発明は、前記軸杆は、インサート成形により前記トッププレートの下方へ突出してリンクに設けられることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のトップチェーン用リンクである。
【0012】
さらに、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7までのいずれかに記載のリンクにより構成されるトップチェーンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトップチェーン用リンクによれば、トップチェーンの厚みを小さくすることができる。これにより、トップチェーンを構成するリンクの材料費を削減し、リンクを低コストで生産可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のトップチェーン用リンクについて、図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明のリンクの実施例1により構成されたクレセントチェーンの使用状態を示す図である。具体的には、そのクレセントチェーンが設けられた循環搬送装置の一例を示す平面図である。また、図2は、図1のII−II断面図であり、一部を省略して示している。
さらに、図3および図4は、図1のクレセントチェーンの組付時の状況を示す図であり、図3は断面図、図4は斜視図である。図5は、図1のリンクを示す平面図である。
なお、以下の説明においては、図3の紙面における右側を前方、左側を後方とする。
【0016】
本実施例1のトップチェーンは、被搬送物が載置されるトッププレートが略三日月形状とされたクレセントチェーン11とされ、いわゆる回転寿司店で使用される循環搬送装置に適用される。
図1および図2に示すように、循環搬送装置1は、基台2の上面に環状の溝3が形成されており、この環状の溝3がクレセントチェーン11の走行路とされる。
環状のクレセントチェーン11は、基台2の溝3に設けられ、モータ(不図示)に接続されたスプロケット7が噛み合わされて、モータの回転に伴って循環回走する。
【0017】
なお、図示例では、クレセントチェーン11をスムーズに移動させるために、クレセントチェーン11の折返し部やコーナー部に、回転可能な円板状のガイド部材が設けられている。
【0018】
本実施例1のクレセントチェーン11は、リンク13,13同士が軸杆41により順次連結されて環状に構成される。
リンク13は、被搬送物が載置されるトッププレート15と、このトッププレート15から後方へ延出する連結片17と、この連結片17の後端部に設けられる下方への突出部19とを有する。
【0019】
トッププレート15は、略三日月形の板片とされる。具体的には、トッププレート15は、前端部が略半円形状に前方へ突出しており、後端部が略半円形状に前方へ凹んだ形状とされる。
【0020】
連結片17は、前後方向に細長い矩形板状とされる。
本実施例では、連結片17は、水平に配される前片23と、この前片23の後端部から後方へ行くに従って下方へ傾斜する中間片25と、この中間片25の後端部から後方へ水平に延出する後片27とを有する。この連結片17の前片23の下面と、後片27の上面とは同じ高さとされる。
なお、図示例では、連結片17の幅xは、トッププレート15の幅の約三分の一程度とされる。
【0021】
本実施例1では、連結片17の前片23にトッププレート15が載せ置かれた形状に、連結片17とトッププレート15が、プラスチックなどの樹脂材料により一体形成されている。この際、連結片17は、トッププレート15の幅方向中央部に配されている。
また、本実施例1では、連結片17の前片23に、前片23の後方を残してトッププレート15が設けられる。つまり、連結片17の前片23は、トッププレート15より後方へ後方部23aが露出するように、連結片17の前片23にトッププレート15が設けられる。この際、トッププレート15は、連結片17の前端部より前方へ突出して設けられる。
連結片17の内、トッププレート15から後方へ延出する部分が接続部28とされる。具体的には、図5に示す平面視において、トッププレート15から後方へ延出する前片23の後方部23a、中間片25および後片27が接続部28とされる。
【0022】
リンク13の前端部には、上下方向に沿って貫通穴31が形成されている。
具体的には、トッププレート15と連結片17の前片23が重なった箇所に、上下方向に沿って貫通穴31が形成されている。また、この貫通穴31は、その上端部が大径穴31aとされることで段付き穴とされている。
【0023】
連結片17の後端部には、下方へ突出して突出部19が設けられている。
本実施例1では、連結片17の後片27に、下方へ突出して突出部19が設けられている。突出部19は、円柱形状とされ、その下端部には、径方向外側へ突出してツバ部33が形成されている。
【0024】
リンク13の後端部には、上下方向に沿って貫通穴35が形成されている。
本実施例1では、突出部19の中心を通るように、リンク13の後端部に上下方向に沿って貫通穴35が形成されている。なお、このリンク13の後端部の貫通穴35は、リンク13の前端部の貫通穴31と同径または若干小径とされる。
また、この貫通穴35の下端部37は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状に形成されている。
【0025】
次に、本実施例のリンク13,13同士の連結の仕方について説明する。
【0026】
図3に示すように、前後に隣接するリンク13(13A),13(13B)同士は、後方のリンク13Bの連結片17の前片23が、前方のリンク13Aの連結片17の後片27に載せ置かれる。この際、後方のリンク13Bの前側の貫通穴31と、前方のリンク13Aの後側の貫通穴35とが上下方向に連通するよう配置される。
また、後方のリンク13Bのトッププレート15の前端部は、前方のリンク13Aの連結片17の前片23の後方部23aに載置され、後方のリンク13Bのトッププレート15は、前方のリンク13Aのトッププレート15に前後に近接して配置される。
【0027】
このように、各リンク13A,13Bが配置された状態では、前後のリンク13A,13Bのトッププレート15,15の上面は、面一に配される。
【0028】
そして、前後のリンク13A,13Bが重ね合わされて連通した貫通穴31,35に軸杆41がはめ込まれる。
本実施例では、軸杆41は円柱形状とされ、その上端部は径方向外側へ拡径してツバ部41aが形成されている。このツバ部41aはリンク13の貫通穴31の大径穴31aに対応した外径とされている。また、軸杆41の下端部には、その周側面に周方向に沿って環状の溝41bが形成されている。
【0029】
そして、軸杆41の環状溝41bには、Oリング43がはめ込まれる。Oリング43としては、たとえば、天然ゴムや、EP、IIR、ニトロゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムなどの弾力性を有する合成ゴムで形成されたものが好適に用いられる。
【0030】
軸杆41の環状溝41bにOリング43がはめ込まれた際、Oリング43の外周面は軸杆41の外周面より径方向外側へ若干突出し、そのOリング43の外径は、リンク13の各貫通穴31,35より若干大径とされる。
【0031】
軸杆41が、隣接するリンク13A,13Bの連通した貫通穴31,35に上方からはめ込まれると、Oリング43は、各貫通穴31、35を通過する際に弾性変形をして一旦縮径し、前方のリンク13Aの貫通穴35の円錐台状の下端部37において径方向外側へ突出して復元する。
そして、Oリング43は、前方のリンク13Aの貫通穴35の円錐台状の下端部37に当接して配置される。この際、軸杆41のツバ部41aは、後方のリンク13Bの大径穴31a内に配置される。
【0032】
このように軸杆41がはめ込まれて設けられることで、前後のリンク13A,13Bは、軸杆41のツバ部41aと、Oリング43により上下方向の移動が規制されて連結され、軸杆41回りに互いに回転可能とされる。なお、ツバ部41aの厚さは、貫通穴31の大径穴31aの深さと同じまたは若干薄く、軸杆41がリンク13,13にはめ込まれた状態では、ツバ部41aは、トッププレート15の上面と面一または若干下方に配置される。
【0033】
また、リンク13,13同士が軸杆41により連結された状態では、軸杆41の下端部は、突出部19の下端部と面一または突出部19の下端部より若干上方へ配される。
このように、リンク13,13同士を順次連結して、環状のクレセントチェーン11が構成される。
【0034】
クレセントチェーン11は、基台2の上面に設けられた断面略T字形の環状溝3に配置される。この際、リンク13のトッププレート15の幅方向両端部が環状溝3の底部3a,3aに載置される。
そして、基台2に設けられたスプロケット7の歯が、隣接するリンク13,13の突出部19,19間に入り込み、各リンク13の突出部19に当接して送り出すことで、クレセントチェーン11が循環回走する。
【0035】
本実施例では、各リンク13の突出部19の下端部にツバ部33が設けられていることで、ツバ部33がスプロケット7の歯に当接して、リンク13の浮き上がりが防止される。
【0036】
なお、リンク13,13同士の連結を解除する際には、リンク13に対して軸杆41を強制的に上方へ押し上げて、リンク13,13から軸杆41を取り外せばよい。
【0037】
本実施例のリンク13は、突出部19より下方へ突出する部分が少なく、リンク13の厚みを小さくすることができる。また、前後に隣接するリンク13,13同士は、前方のリンク13の連結片17の後片27の上面に、後方のリンク13の連結片17の前片23が単に重ね合わされるだけであり、リンク13により構成されるクレセントチェーン11の厚さ(上下寸法)を小さくすることができる。つまり、リンク13,13同士が連結される際に、前方のリンク13の突出部19の下方に、後方のリンク13が重ね合わされることがなく、従来のクレセントチェーンより厚さ(上下寸法)を小さくすることができる。これにより、クレセントチェーン11が配置される循環搬送装置1の溝3も浅く形成することができ、ひいては循環搬送装置1の上下寸法を小さくすることが可能となる。
また、本実施例のリンク13は、従来のリンクと比較して、軽量であり、持ち運びが容易となる。
【0038】
ところで、本実施例1では、軸杆41とリンク13を別体としたが、インサート成形によりリンクと軸杆とを一体化させておいても構わない。
図6および図7は、軸杆がインサート成形されたリンクにより構成されるクレセントチェーンの組付時の状況を示す図であり、図6は断面図、図7は斜視図である。
【0039】
インサート成形によりリンク13と軸杆41を一体化する場合、図6や図7に示すように、軸杆41の上端部が、リンク13の前端部に埋め込まれるようにすると共に、軸杆41の下端部を、前片23から下方へ突出して設ければよい。図示例では、軸杆41は、その上端部がトッププレート15と前片23とが重なった位置に埋め込まれて固定されている。
【0040】
このように、リンク13に軸杆41をインサート成形して一体化することで、一方のリンク13の軸杆41を他方のリンク13の貫通穴35にはめ込んでいくだけで、順次リンク13,13同士を連結することが可能である。
【0041】
なお、本実施例1では、軸杆41にOリング43を設けて軸杆41をリンク13に係止させたが、軸杆41を突出部19より下方へ突出させて、軸杆41に割ピン等を通すことで、リンク13に軸杆41を係止させてもよい。
【実施例2】
【0042】
次に本発明のリンクの実施例2について説明する。
図8は、本発明のリンクの実施例2により構成されるクレセントチェーンの組付時の状況を示す断面図である。
本実施例2のリンク13およびそれにより構成されるクレセントチェーン11は、基本的には、上記実施例1と同様の構成であるので、以下においては異なる点を中心に説明し、同等の部材や箇所には同じ符号を付して説明する。
【0043】
上記実施例1では、連結片17の後端部に突出部19が設けられたが、本実施例2では、突出部19が設けられていない。つまり、本実施例2のリンク13は、トッププレート15と連結片17とにより構成されている。
本実施例2では、連結片17の後片27に、上下方向に沿って貫通穴51が形成されており、その貫通穴51の下端部53は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状に形成されている。
【0044】
また、本実施例2では、軸杆41がリンク13にインサート成形により固定されている。
具体的には、軸杆41は、その上端部がリンク13の前端部に埋め込まれるようにインサート成形によりリンク13に一体化されて設けられ、リンク13の前片23から下方へ突出して設けられている。図示例では、軸杆41は、その上端部がトッププレート15と前片23とが重なった位置に埋め込まれて固定されている。
また、本実施例2では、軸杆41の軸方向中途部の周側面に、周方向に沿って環状の溝41bが形成されており、この環状溝41bに上記実施例と同様にOリング43がはめ込まれて装着されている。
さらに、本実施例2では、軸杆41の下端部に、その周側面に周方向に沿って環状の溝41cが形成されている。
【0045】
前後に隣接するリンク13A,13B同士は、後方のリンク13Bの軸杆41が、前方のリンク13Aの貫通穴51に上方からはめ込まれて連結される。
後方のリンク13Bの軸杆41が、前方のリンク13Aの貫通穴51にはめ込まれた状態では、Oリング43が、前方のリンク13Aの貫通穴51の円錐台状の下端部53に当接して配置される。
これにより、各リンク13A,13Bは、上下方向の移動が規制されて連結され、軸杆41回りに回転可能とされる。
【0046】
このようにリンク13A,13B同士が連結された状態では、後方のリンク13Bの連結片17の前片23が、前方のリンク13Aの連結片17の後片27に載置されている。
また、後方のリンク13Bのトッププレート15の前端部は、前方のリンク13Aの連結片17の前片23の後方部23aに載置され、前方のリンク13Aのトッププレート15と、後方のリンク13Bのトッププレート15が前後に近接して配置される。
そして、前後のリンク13A,13Bのトッププレート15,15の上面は、面一に配される。
【0047】
さらに、リンク13,13同士が軸杆41により連結された状態では、軸杆41の下端部は、前方のリンク13Aの連結片17の後片27から下方へ突出している。そして、軸杆41の下端部の溝41cに、Cリングなどの係止具57がはめ込まれて設けられる。
このように、リンク13,13同士を順次連結して、環状のクレセントチェーン11が構成される。
【0048】
本実施例2では、上記実施例1と同様に、基台2の環状溝3に、クレセントチェーン11が配置される。この際、リンク13のトッププレート15の幅方向両端部が溝3の底部3a,3aに載置される。
そして、基台2の走行路に設けられたスプロケットの歯が、隣接するリンク13,13の軸杆41,41の間に入り込み、軸杆41の下端部に当接して送り出すことで、クレセントチェーン11が循環回走する。つまり、連結された前後のリンク13,13の内、前方のリンク13Aの後片27から下方への軸杆41の突出部に、回転するスプロケットの歯が当接することで、クレセントチェーン11が回走する。
本実施例2では、Cリングなどの係止具57にスプロケットの歯が当接することで、リンク13の浮き上がりが防止される。
【0049】
本実施例2では、リンク13は、連結片17より下方へ突出する部分が少なく、リンク13,13同士が連結される際には、前方のリンク13の連結片17の後片27の下方に、後方のリンク13が重ね合わされることがなく、従来のクレセントチェーンより厚みを薄くすることができる。これにより、リンクにより構成されたクレセントチェーンが配置される循環搬送装置の溝を浅く形成することができ、ひいては循環搬送装置の上下寸法を小さくすることが可能となる。
【0050】
なお、上記実施例1と同様に、軸杆41とリンク13とを別体として、リンク13,13同士を重ね合わせた状態で、軸杆41をはめ込むようにしてもよい。
【0051】
なお、本発明のトップチェーン用リンクは、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
たとえば、上記各実施例では、本発明のリンクにより構成されるクレセントチェーンを、いわゆる回転寿司店において寿司を載置した皿を搬送する循環搬送装置に利用する場合を説明したが、厨房などで空皿を搬送する装置などにも利用可能である。また、工場の生産設備などで使用される搬送装置などにも利用可能であり、その利用箇所や方法は限定されない。
【0052】
また、上記各実施例では、連結片17とトッププレート15とを一体形成したが、別体として形成した連結片17とトッププレート15とを接着などにより一体化してもよい。
さらに、上記各実施例では、リンク13は、プラスチックなどの樹脂材料により形成されたが、アルミニウム合金などの金属材料で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のリンクの実施例1により構成されたクレセントチェーンが設けられた循環搬送装置の一例を示す平面図である。
【図2】図1のII−II断面図であり、一部を省略して示している。
【図3】図1のクレセントチェーンの組付時の状況を示す断面図である。
【図4】図1のクレセントチェーンの組付時の状況を示す斜視図である。
【図5】図1の循環搬送装置に用いられるクレセントチェーンのリンクを示す平面図である。
【図6】図3の変形例を示し、軸杆がインサート成形されたリンクにより構成されるクレセントチェーンの組付時の状況を示す断面図である。
【図7】図3の変形例を示し、軸杆がインサート成形されたリンクにより構成されるクレセントチェーンの組付時の状況を示す斜視図である。
【図8】本発明のリンクの実施例2により構成されるクレセントチェーンの組付時の状況を示す断面図である。
【図9】従来のクレセントチェーンの一部を示す斜視図である。
【図10】図9のクレセントチェーンが搬送装置に使用される一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11 クレセントチェーン
13 リンク
15 トッププレート
17 連結片
19 突出部
41 軸杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸杆により順次連結されてトップチェーンを構成するリンクであって、
被搬送物が載置されるトッププレートと、
このトッププレートから後方へ延出する接続部とを備え、
隣接するリンク同士は、各リンクの前記トッププレートが前後に配置されるように、前方のリンクの前記接続部の上方においてのみ、後方のリンクの一部が重ね合わされると共に、その重ね合わせ部において軸杆により回転可能に連結され、
前記軸杆と同軸に前記接続部に設けられる下方への突出部、または、前記軸杆の内、前記接続部より下方への突出部に、スプロケットの歯が噛み合わされる
ことを特徴とするトップチェーン用リンク。
【請求項2】
前記軸杆の下端部には、その周側面に形成された円環状溝にOリングが装着されており、
前記接続部に設けられる前記突出部に前記軸杆がはめ込まれて、前記Oリングが前記突出部に着脱可能に係止される
ことを特徴とする請求項1に記載のトップチェーン用リンク。
【請求項3】
前記突出部には、前記軸杆が通される貫通穴が形成されており、この貫通穴の下端部は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状とされ、この円錐台状部に前記Oリングが係止される
ことを特徴とする請求項2に記載のトップチェーン用リンク。
【請求項4】
前記軸杆には、その軸方向中途部の周側面に形成された円環状溝にOリングが装着されており、
このOリングが前方のリンクの前記接続部に係止され、
前記軸杆は、前記接続部より下方へ突出して設けられ、スプロケットの歯が噛み合わされる
ことを特徴とする請求項1に記載のトップチェーン用リンク。
【請求項5】
前記接続部には、前記軸杆がはめ込まれる貫通穴が形成されており、この貫通穴の下端部は、下方へ行くに従って拡径する円錐台状とされ、この円錐台状部に前記Oリングが着脱可能に係止される
ことを特徴とする請求項4に記載のトップチェーン用リンク。
【請求項6】
前記リンクは、トッププレートと連結片とを備え、
前記連結片は、板状の前片と、この前片と連接して前片より後方下部に設けられる後片とを有し、
前記連結片は、その前片がトッププレートの下面に重ね合わされて一体化されており、
トッププレートから後方へ延出する部分が、前記接続部とされる
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のトップチェーン用リンク。
【請求項7】
前記軸杆は、インサート成形により前記トッププレートの下方へ突出してリンクに設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のトップチェーン用リンク。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のリンクにより構成されるトップチェーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate