説明

トナーのためのアルキルシランで表面処理されたシリカ

【課題】トナー単位面積質量(TMA)が低い状態で顔料保持量を高くすることができ、低湿度条件および高湿度条件の両方で帯電性を大きく高め、例えば、高湿度状態で二次転写効率および画質(IQ)を有するトナーを提供する。
【解決手段】標準的な添加剤パッケージを用いるトナーの性能を満たすか、またはそれを超える性能をもつ、例えば、オクチルトリエトキシシラン(OTS)で表面処理されたシリカを含有する添加剤パッケージを含むトナー組成物のごときアルキルシランで表面処理された(AS)シリカを含有するトナー組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
アルキルシラン(AS)で表面処理されたシリカ添加剤を含有し、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面処理された添加剤を含有するトナーと比較して、優れた帯電性、二次転写効率、画質を示すトナー、このようなトナーを含む現像剤、このようなトナーと現像剤とを含む機器、このようなトナーと現像剤とを含む画像形成機器の構成要素、この現像剤を含む画像形成機器、画像などを記載している。
【背景技術】
【0002】
顔料の保持量を増やすための努力の中で、黒色顔料の含有量が多いトナーは、帯電性が低く、誘電損失が高く、これらのことから、転写効率が低く、画質が悪い。黒色顔料は、トナー粒子を通る導電性経路を形成してしまうため、導電性である場合がある。
【0003】
したがって、誘電損失を減らし、それによって帯電性を高め、低コストのトナーおよび色素過剰のトナーを実現することが依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、トナー単位面積質量(TMA)が低い状態で顔料保持量を高くすることができ、低湿度条件および高湿度条件の両方で帯電性を大きく高め、例えば、高湿度状態で二次転写効率および画質(IQ)を高め、標準的な添加剤パッケージを用いるトナーの性能を満たすか、またはそれを超える性能をもつ、アルキルシランで表面処理された(AS)シリカを含有するトナー組成物を記載する。
【0005】
いくつかの実施形態では、オクチルトリエトキシシラン(OTS)で表面処理されたシリカを含有する添加剤パッケージを含むトナー組成物が開示される。
【0006】
いくつかの実施形態では、ASで表面処理されたシリカを含むトナー粒子と基材とを接触させることと、基材にトナー粒子を融合させ、画像を作成することとを含み、100%単色塗りつぶし領域(SCSA)層の画像は、厚みが約1μm〜約5μmであり、この画像の厚みは、前記トナー粒子1粒の直径の約70%未満である、画像形成プロセスが開示される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
摩擦は、良好なIQ(例えば、斑点および粒状性によって測定されるような)の重要な推進因子のひとつであると考えられる。ASシリカは、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)シリカを含有するトナーと比較して、トナーに高い電荷を与える。ASシリカは、帯電性を高め(例えば、約15から約70μC/g、約20から約60μC/g、約40から約50μC/g)、それによって二次転写効率も高まり(例えば、約50%から約95%、約60%から約85%、約70%から約80%)、Aゾーン(例えば、約10℃および相対湿度(RH)約15%の低湿度条件であるCゾーンと比較して、例えば、約28℃およびRH約85%の高湿度条件)でのIQも高くなる。いくつかの実施形態では、階調再現曲線(TRC)に影響を与えずに、トナー濃度(TC)も低くなる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるような置き換えによって、視覚ノイズの高い発生頻度(visual noise high frequency)(VNHF)および斑点でのノイズ発生頻度(noise in mottle frequency)(NMF)が小さくなり、したがって、粒状性および斑点が向上する。
【0008】
量および条件をあらわすあらゆる数字は、すべての場合に、用語「約」で修飾されていると理解すべきである。「約」は、記載されている値の20%を超えない変動を示すという意味である。
【0009】
本明細書で使用する場合、「色素過剰の」は、トナーを、低いトナー単位面積質量(TMA)で、基材に印刷し、融合させたとき、約1.3より大きいか、約1.4より大きいか、約1.5より大きい十分な画像反射光学密度を与えるように顔料保持量が大きく、この顔料保持量が、単色層で測定されるTMA(単位mg/cm)を、トナー粒子の体積径(単位μm)で割った比率が、約0.8mg/cm/μm未満、約0.075未満、約0.7未満になり、必要な画像密度を満たすように選択されることを意味する。いくつかの実施形態では、体積径あたりのTMAは、約0.02mg/cm/μm〜約0.1mg/cm/μm、約0.05mg/cm/μm〜約0.075mg/cm/μm、約0.065mg/cm/μm〜約0.07mg/cm/μmである。粒子の体積径は、約7.5μm未満、約5μm未満、約3.5μm未満であってもよい。
【0010】
本明細書で使用する場合、「基材」は、何かの下側に存在する固体相または固体層、または、特に、その上であるプロセスが進行する固体相または固体層を意味し、例えば、限定されないが、紙、ゴム、複合材料、プラスチック、セラミック、繊維、金属、アロイ、ガラスまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0011】
目的のトナー粒子は、樹脂、例えば、ポリエステル樹脂を含む。組成物は、2形態以上または2種類以上のポリマー(例えば、2個以上の異なるポリマー、例えば、異なるモノマーで構成される2個以上の異なるポリエステルポリマー)を含んでいてもよい。
【0012】
トナー粒子は、他の任意要素の試薬(例えば、界面活性剤、ワックス、シェルなど)を含んでいてもよい。トナー組成物は、場合により、トナー粒子のキャリアとして役立ち得るような不活性粒子を含んでいてもよく、キャリアは本明細書に教示される樹脂を含んでいてもよい。
【0013】
目的の現像剤は、例えば、色素過剰のトナー、黒色顔料を含有するトナー、誘電性および帯電性に悪い影響を与える顔料を含有するトナー、またはこれらの任意の組み合わせのような用途に用いられる。
【0014】
2種以上のポリマーを使用する実施形態では、ポリマーは、任意の適切な比率(例えば、重量比)であってもよく、例えば、2種類の異なるポリマーが、約1%(第1のポリマー)/99%(第2のポリマー)〜約99%(第1のポリマー)/1%(第2のポリマー)である。
【0015】
ポリマーは、固形分基準でトナー粒子の約65〜約95重量%の量で存在してもよい。
【0016】
混合物(例えば、アモルファスポリエステル樹脂および結晶性ポリエステル樹脂)を使用する場合、結晶性ポリエステル樹脂とアモルファスポリエステル樹脂との比率は、約1:99〜約30:70の範囲であってもよい。
【0017】
ポリエステル樹脂は、例えば、カルボン酸基を含む試薬と、アルコールを含む別の試薬(アルコール試薬は2個以上のヒドロキシル基を含む)とが関与するエステル化反応によって合成的に得られてもよい。いくつかの実施形態では、酸は、2個以上のカルボン酸基を含む。3個以上の官能基を含む試薬は、ポリマーの分岐および架橋を可能にするか、促進するか、または、可能にして促進する。
【0018】
ポリ酸またはポリエステル試薬は、例えば、樹脂の約40〜約60モル%の量で存在していてもよい。
【0019】
ポリオールの量は、変わってもよく、例えば、樹脂の約40〜約60モル%の量で存在していてもよい。
【0020】
アモルファス(または結晶性)ポリエステル樹脂を作成する際に、重縮合触媒を使用してもよい。このような触媒を、例えば、出発物質のポリ酸またはポリエステル試薬を基準として約0.01モル%〜約5モル%の量で使用してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、樹脂は、架橋可能な樹脂であってもよい。架橋可能な樹脂は、C=C結合またはペンダント基または側基(例えば、カルボン酸基)のような1個以上の架橋可能な基を含む樹脂である。樹脂は、例えば、開始剤を用いた遊離ラジカル重合によって架橋していてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、不飽和アモルファスポリエステル樹脂をラテックス樹脂として使用してもよい。
【0023】
結晶性ポリエステル樹脂を作成する場合、適切なポリオールとしては、炭素数が約2〜約36の脂肪族ポリオールが挙げられる。ポリオールは、例えば、約40〜約60モル%の量で選択されてもよい。
【0024】
ポリ酸は、例えば、いくつかの実施形態では、約40〜約60モル%の量で選択されてもよい。
【0025】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約1〜約85重量%の量で存在していてもよい。結晶性樹脂は、さまざまな融点、例えば、約30℃〜約120℃を有していてもよい。結晶性樹脂は、数平均分子量(M)が、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定する場合、例えば、約1,000〜約50,000であってもよく、重量平均分子量(M)は、例えば、約2,000〜約100,000であってもよい。結晶性樹脂の分子量分布(M/M)は、例えば、約1〜約6であってもよい。
【0026】
トナーを作成するときに利用可能な他の適切な樹脂またはポリマーの例としては、ポリスチレン、ポリアクリレート、および当該技術分野で既知のものなどが挙げられる。
【0027】
縮合触媒を、例えば、反応混合物中の出発物質であるポリ酸、ポリオールまたはポリエステル試薬の量を基準として、約0.01モル%〜約5モル%の量で使用してもよい。
【0028】
一般に、当該技術分野で知られているように、ポリ酸/ポリエステルおよびポリオール試薬を場合により触媒とともに一緒に混合し、高温(例えば、約180℃以上)でインキュベートし(嫌気的に行ってもよい)、平衡状態になるまでエステル化させることができ、これにより、一般に水またはアルコール(例えば、メタノール)が得られ、エステル化反応でエステル結合が生成する。この反応は、重合を促進するために、減圧下で行ってもよい。
【0029】
分岐剤を用いてもよい。分岐剤を、樹脂の約0.01〜約10モル%の量で使用してもよい。
【0030】
樹脂は、例えば、開始剤を用いた遊離ラジカル重合によって架橋していてもよい。使用する開始剤の量は、架橋度に比例し、したがって、ポリエステル材料のゲル含有量に比例する。使用する開始剤の量は、例えば、ポリエステル樹脂の約0.01〜約10重量%の範囲であってもよい。架橋の際に、開始剤が実質的に全て消費されることが望ましい。架橋は、高温で行われてもよく、その場合、反応は、例えば、約20秒〜約2分で迅速に起こってもよい。
【0031】
適切な着色剤としては、カーボンブラックを含むもの、例えば、REGAL 330(登録商標)およびNipex 35;マグネタイト、例えば、Mobayマグネタイト、MO8029(商標)およびMO8060(商標);Columbianマグネタイト、MAPICO(登録商標)BLACK;表面処理されたマグネタイト;Pfizerマグネタイト、CB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標);Bayerマグネタイト、BAYFERROX 8600(商標)および8610(商標);Northern Pigmentマグネタイト、NP604(商標)およびNP−608(商標);Magnoxマグネタイト、TMB−100(商標)またはTMB104(商標)などが挙げられる。
【0032】
カラー顔料(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、オレンジ、グリーン、ブラウン、ブルー、またはこれらの混合物)を使用してもよい。さらなる1種類以上の顔料を水系顔料分散物として用いてもよい。
【0033】
着色剤、例えば、ファーネスカーボンブラック、シアン、マゼンタおよび/またはイエローの着色剤を、トナーに望ましい色を付与するのに十分な量で組み込んでもよい。一般に、顔料または染料を、固形分基準でトナー粒子の約2重量%〜約50重量%、約5重量%〜約40重量%、約8重量%〜約30重量%、約10重量%〜約20重量%の量で使用してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、着色剤、例えば、ファーネスカーボンブラック(例えば、限定されないが、Nipex 35)を、サーマルカーボンブラックを用いて置き換えてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、2種類以上の着色剤がトナー粒子に存在していてもよい。例えば、2種類の着色剤が、トナー粒子に存在していてもよく、例えば、第1の着色剤が青色顔料であり、固形分基準でトナー粒子の約2重量%〜約10重量%の範囲で存在していてもよく、第2の着色剤が黄色顔料であり、固形分基準でトナー粒子の約5重量%〜約20重量%の範囲で存在していてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、トナー組成物は、界面活性剤を含む分散物の状態であってもよい。ポリマーおよびトナーの他の成分を組み合わせる乳化凝集方法は、エマルションを作成するために、1種類以上の界面活性剤を用いてもよい。
【0037】
1種類、2種類、またはそれ以上の界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、イオン系界面活性剤および非イオン系界面活性剤、またはこれらの組み合わせから選択されてもよい。アニオン系界面活性剤およびカチオン系界面活性剤は、用語「イオン系界面活性剤」に包含される。
【0038】
いくつかの実施形態では、界面活性剤または2種類以上の界面活性剤の合計量は、トナーを形成する組成物の0.01重量%〜5重量%の量で利用されてもよい。
【0039】
本開示のトナーは、場合によりワックスを含んでいてもよく、ワックスは、1種類のワックスであってもよく、2種類以上の異なるワックスの混合物であってもよい(以下、「ワックス」として取り扱う)。
【0040】
トナー粒子を作成するために、ワックスを、樹脂を形成する組成物と合わせてもよい。ワックスが含まれる場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量%〜約25重量%の量で存在していてもよい。
【0041】
選択可能なワックスとしては、例えば、重量平均分子量が約500〜約20,000のワックスが挙げられる。
【0042】
凝集因子は、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)および金属ハロゲン化物のような無機カチオン性凝固剤であってもよい。
【0043】
凝集因子は、例えば、トナーの合計固形分を基準として、約0.001〜約10重量%の量でエマルション中に存在していてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、凝集が終わった後、金属錯化イオン(例えば、アルミニウム)を凝集プロセスから捕捉または抽出するために、封鎖剤またはキレート剤を導入してもよい。したがって、封鎖剤、キレート剤または錯化剤は、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のような有機錯化成分を含んでいてもよい。
【0045】
当該技術分野でよく知られているような任意の適切な手順によって、トナー粒子表面に、外部添加剤を加えてもよい。例えば、使用可能な適切な表面添加剤は、SiO、金属酸化物(例えば、酸化セリウム、TiO、酸化アルミニウム)、潤滑剤(例えば、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)またはステアリン酸カルシウム)または長鎖アルコール(例えば、UNILIN 700))のうち1つ以上である。SiOおよびTiOは、DTMS(ドデシルトリメトキシシラン)またはHMDSを含む化合物で表面処理されていてもよい。例えば、トナー粒子は、その外側表面に、もっと大きなシリカ粒子(例えば、粒径が約100〜約150nmまたは約80〜200nmのコロイド状シリカまたはゾル−ゲルシリカ粒子)を含んでいてもよい。ゾル−ゲルシリカは、テトラエトキシシランの制御された加水分解および縮合によって合成することができる。ゾル−ゲルプロセスは、典型的には、沈殿した二酸化ケイ素生成物の構造を制御するために、ホモポリマー溶質を加えたアルコール溶媒中で行われる。このようなシリカ粒子は、トナーの電荷安定性を達成し、もっと小さな金属酸化物表面添加剤(例えば、シリカおよびチタニア)がトナー粒子に埋め込まれるのを減らす。
【0046】
このような処理された金属酸化物添加剤の例は、HMDSおよびアミノプロピルトリエトキシシランの混合物でコーティングされたシリカ;PDMS(ポリジメチルシロキサン)でコーティングされたシリカ;オクタメチルシクロテトラシロキサンでコーティングされたシリカ;ジメチルジクロロシランでコーティングされたシリカ;アミノ官能基化されたオルガノポリシロキサンでコーティングされたシリカ(Wacker Chemieから入手可能)、ヒュームドシリカを含むDTMSシリカ(Cabot Corporationから得た)、例えば、DTMSでコーティングされた二酸化ケイ素コアL90などがある。
【0047】
アルキルシランでの表面処理を含むシリカは、トナー(例えば、色素過剰のトナー、黒色顔料を含むトナー、またはこの両者をあわせもつトナーなど)に有益な特性を与える。アルキルは、脂肪族炭化水素を含んでいてもよく、分岐鎖であってもよく、置換されていてもよく、1箇所以上の結合で不飽和であってもよく、長さが炭素原子1〜約30個分、約3〜約20個分、約5〜約15個分であり、例えば、ヘキシル、オクチル、デシルである。
【0048】
シリカ表面を処理するために用いられる分子は、アルキル基をシリカ表面に固定するさまざまな反応性官能基のいずれかを含んでいてもよい。例えば、アニオン性をもつ官能基(例えば、ハロゲン、アルコキシ基、アミノ基など)を使用してもよい。例えば、ハロゲンは、当該技術分野で知られているように、例えば、Cl、Brなどであってもよい。アミノ基は、一級アミン、二級アミンなどであってもよい。アルコキシは、本明細書に記載されるようなアルキルを含み、いくつかの実施形態では、その鎖長は、炭素原子1〜約8個分、約2〜約6個分、約3〜約5個分である。
【0049】
一例は、CabotのCAB−O−SIL(商標)DivisionのTG−C190であり、オクチルトリエトキシシラン(OTS)で処理された表面をもつシリカである。いくつかの実施形態では、ASで処理されたシリカ(例えば、OTSで処理されたシリカ)を含むトナーは、例えば、アルキル基のそばに表面基(例えば、分岐鎖炭化水素、アリール基、環構造など)を含むシリカ、例えば、HMDSで処理されたシリカを含む添加剤パッケージを含むトナー組成物と比較して、Aゾーンで優れた二次転写効率およびIQを示す。このようなシリカは、直径で測定される平均一次粒子径が、例えば、約5〜約600nm、約10nm〜約500nm、約20nm〜約400nm、約30nm〜約300nmの範囲であってもよい。一般に、ヒュームドシリカは、粒径が小さく、例えば、約5〜約100nm、約20〜約80nm、約30〜約50nmである。シリカは、トナーの約0.1重量%〜約4重量%、約0.5重量%〜約3重量%、約1重量%〜約2重量%、約1.25重量%〜約1.75重量%含まれていてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、添加剤を、例えば、AEROSIL(登録商標)RY50L(1.29%)、ヒュームドシリカAEROSIL(登録商標)RX50(0.86%)、シリカTGC190(1.66%)、イソブチルトリメトキシシラン(STT100H)(0.88%)、酸化セリウム(E10)(0.275%)、ステアリン酸亜鉛(0.18%)、PMMA微粒子(MP116CF)(0.50%)を含む添加剤パッケージとして加えてもよく、TCG190はX24(1.73%)の代わりである。
【0051】
キャリア粒子としては、トナー粒子と反対の極性の電荷を摩擦電気によって得ることができる粒子が挙げられる。いくつかの実施形態では、キャリア粒子は、平均粒径が、例えば、約20〜約85μm、例えば、約30〜約60μm、約35〜約50μmであってもよい。
【0052】
トナー粒子は、当業者の技術常識の範囲内にある任意の方法によって調製されてもよく、例えば、任意の乳化/凝集方法をポリエステル樹脂とともに用いてもよい。しかし、トナー粒子を調製する任意の適切な方法、例えば、懸濁およびカプセル化のプロセスのような化学プロセス、従来の顆粒化方法(例えば、ジェット粉砕)、材料の厚板をペレット化すること、他の機械的プロセス、ナノ粒子またはマイクロ粒子を製造する任意のプロセスなどを用いてもよい。
【0053】
乳化/凝集プロセスに関連する実施形態では、樹脂を溶媒に溶解してもよく、乳化媒体(例えば、水、例えば、場合により安定化剤を含み、場合により界面活性剤を含む、脱イオン水)に混合してもよい。適切な安定化剤の例としては、水溶性アルカリ金属水酸化物が挙げられる。安定化剤を用いる場合、安定化剤は、樹脂の約0.1重量%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0054】
乳化の後、樹脂、顔料、任意要素のワックス、エマルション中の任意の他の望ましい添加剤の混合物を、場合により界面活性剤とともに凝集させ、次いで、場合により、凝集物混合物を融着させることによってトナー組成物を調製してもよい。得られた混合物のpHを、酸(例えば、酢酸、硝酸など)で調節してもよい。いくつかの実施形態では、混合物のpHを、約2〜約4.5に調節してもよい。
【0055】
上の混合物を調製した後、初期の重合反応から得た小さな(多くはナノメートルの大きさの)粒子から、もっと大きな(多くはマイクロメートルの大きさの)粒子または凝集物を作成することが望ましいことが多い。凝集因子を混合物に加えてもよい。適切な凝集因子としては、例えば、二価カチオン、多価カチオンまたはこれらを含む化合物の水溶液が挙げられる。
【0056】
凝集因子は、上に示すように、例えば、ポリハロゲン化アルミニウム、例えば、ポリアルミニウムクロリド(PAC)、ポリアルミニウムスルホシリケート(PASS)、または水溶性金属塩であってもよい。
【0057】
例えば、いくつかの実施形態では、反応混合物の約0.1パーツパーハンドレッド(pph)〜約1pphの量で、凝集因子を混合物の成分に加え、トナーを作成してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、凝集の後で融着の前に、凝集した粒子に樹脂コーティングを塗布し、粒子の上にシェルを作成してもよい。本明細書に記載の任意の樹脂または当該技術分野で知られている任意の樹脂をシェルとして使用してもよい。
【0059】
シェルは、トナー成分の約1重量%〜約80重量%の量で存在していてもよい。
【0060】
望ましい粒径になるまで凝集させ、任意要素のシェルを塗布した後、例えば、不規則な形状および大きさを修正するために、望ましい最終形状(例えば、丸い形)になるまで粒子を融着させてもよく、融着は、例えば、混合物を約45℃〜約100℃の温度(この温度は、トナー粒子を作成するために使用される樹脂のT以上の温度であってもよい)まで加熱し、および/または、例えば、約1,000rpmから約100rpmまで撹拌を減少させることによって行われてもよい。融着は、約0.01〜約9時間で行われてもよい。
【0061】
凝集および/または融着の後、混合物を室温(例えば、約20℃〜約25℃)まで冷却してもよい。冷却した後、トナー粒子を、場合により、水で洗浄し、その後乾燥させてもよい。
【0062】
場合により、融着剤を使用してもよい。適切な融着剤の例としては、限定されないが、安息香酸アルキルエステル、エステルアルコール、グリコール/エーテル系の溶媒、長鎖脂肪族アルコール、芳香族アルコール、これらの混合物などが挙げられる。
【0063】
シェルポリマーは、トナー粒子または凝集物の約10重量%〜約40重量%の量で存在していてもよい。
【0064】
トナー粒子または凝集物が望ましい最終粒径に達したら、混合物のpHを、塩基を用いて約6〜約10、いくつかの実施形態では、約6.2〜約7の値になるように調節してもよい。pHの調節を利用し、トナー粒子の成長を凍結させ(止め)てもよい。トナー粒子の成長を止めるために用いられる塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、これらの組み合わせなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、pHを望ましい値に調節しやすくするためにEDTAを加えてもよい。
【0065】
トナーは、任意の既知の電荷添加剤を、トナーの約0.1〜約10重量%、約0.25〜約8重量%、いくつかの実施形態では、約0.5〜約7重量%の量で含んでいてもよい。このような電荷添加剤の例としては、アルキルピリジニウムハロゲン化物、硫酸水素塩、負電荷を高める添加剤、例えば、アルミニウム錯体などが挙げられる。
【0066】
このような高める分子は、約0.1〜約10%の量で存在していてもよい。
【0067】
本開示のトナー組成物に、例えば、洗浄または乾燥の後、表面添加剤を加えてもよい。このような表面添加剤の例としては、例えば、金属塩、脂肪酸金属塩、コロイド状シリカ、金属酸化物、例えば、TiO(例えば、優れたRH安定性、摩擦制御、優れた現像安定性および転写安定性のため)、酸化アルミニウム、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、SiO、これらの混合物などのうち、1つ以上が挙げられる。
【0068】
表面添加剤を、トナーの約0.1〜約10重量%の量で使用してもよい。
【0069】
他の表面添加剤としては、潤滑剤、例えば、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウム)または長鎖アルコール、例えば、Baker Petroliteから入手可能なUNILIN 700およびDegussaから入手可能なAEROSIL R972(登録商標)が挙げられる。添加剤は、トナーの約0.05〜約5重量%、約0.075〜約3.5重量%、いくつかの実施形態では、約0.1〜約2重量%の量で存在していてもよく、添加剤を凝集中に加えてもよく、または、作成したトナー生成物にブレンドしてもよい。
【0070】
トナーの光沢は、粒子に保持されている金属イオン(例えば、Al3+)の量によって影響を受けることがある。保持されている金属イオンの量を、さらに、キレート剤(例えば、EDTA)を加えることによって調節してもよい。いくつかの実施形態では、本開示のトナー粒子に保持されている触媒(例えば、Al3+)の量は、約0.1pph〜約1pphであってもよい。本開示のトナーの光沢レベルは、Gardner Gloss Units(ggu)によって測定される場合、光沢が約20ggu〜約100gguであってもよい。
【0071】
したがって、粒子は、その表面に1種類以上のシリカ、1種類以上の金属酸化物(例えば、酸化チタンおよび酸化セリウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸亜鉛)などを含んでいてもよい。ある実施形態では、粒子表面は、2種類のシリカ、2種類の金属酸化物(例えば、酸化チタンと酸化セリウム)、1種類の滑沢剤(例えば、ステアリン酸亜鉛)を含んでいてもよい。これらの表面成分はすべて、トナー粒子の重量の約5重量%含まれていてもよい。また、トナー組成物は、流動補助添加剤を含む外部添加剤粒子とブレンドされてもよく、添加剤は、トナー粒子表面に存在していてもよい。これらの添加剤の例としては、酸化チタン、酸化スズ、これらの混合物などのような金属酸化物;コロイド状シリカ、例えば、AEROSIL(登録商標)、金属塩および脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、およびこれらの混合物)が挙げられる。各外部添加剤は、いくつかの実施形態では、トナーの約0.1〜約5重量%、約0.1〜約2.5重量%、約0.1〜約1重量%の量で存在していてもよい。
【0072】
トナーの望ましい特徴は、フューザーロールから紙画像を十分に剥離することである。油を含むフューザーロールの場合、トナーは、ワックスを含んでいないことがある。しかし、フューザー上に油が存在しないフューザー(通常はハードロール)の場合、トナーは、通常は、剥離性および除去性を与えるために、ワックスのような潤滑剤を含有している。したがって、接触融合用途のためのトナーの特徴は、融合の自由度、つまり、最低固定温度(MFT)と熱オフセット温度との温度差が、約50℃〜約100℃でなければならないことである。
【0073】
トナー粒子を評価するために、標準的なキャリア(例えば、35μmのXerox 700 DCPキャリア)を用い、特定のTC(トナー濃度、例えば、8%)のトナーを馴らした後、Turbulaミキサーで2分間または60分間混合した後、電荷を評価することによって、元の電荷を測定してもよい。帯電性能を2種類の環境チャンバ内で試験してもよく、一方は、低湿度ゾーン(Cゾーンとしても知られる)であり、他方は、高湿度ゾーン(Aゾーンとしても知られる)である。電荷量は、チャージスペクトログラフプロセス(CSG)の画像分析によって測定される値である。CゾーンおよびAゾーンにおけるトナーの電荷と直径との比率(q/d)は、典型的には、移動(単位mm)、またはもっと標準的な単位フェムトクーロン/μmであり、既知の標準的なチャージスペクトログラフで測定することができる。さらに、摩擦によって吹き飛ばされるQ/m値(単位μC/g)も、Barbetta Boxを用いたブローオフ法によって測定されてもよい。所定量のトナーをキャリアにブレンドする。ブレンドは、4オンスのガラス瓶にペイントシェーカーを用いて行うことができ、または、Turbulaで実施してもよい。トナーおよびキャリア成分のブレンドによって相互作用が起こり、トナー粒子は負に帯電し、キャリア粒子は正に帯電する。得られた混合物のサンプルをtriboCageに入れ、重さを測る。装置の空気および減圧源によって、トナーがキャリアからはずれ、一方、キャリアは、スクリーニングされているtriboCageに保持される。キャリアの上に残った電荷を電位計によって単位クーロンで検出する(摩擦に関連する)。残った電荷および吹き飛ばされたトナーの重量を用い、摩擦を計算してもよい。吹き飛ばされたトナーの重量および保持されているキャリアの重量を用い、トナーの濃度を計算してもよい。
【0074】
また、本開示のトナーは、元のトナーの電荷質量比(Q/m)が約−5μC/g〜約−90μC/gであってもよく、表面添加剤をブレンドした後の最終的なトナーの電荷は、約−15μC/g〜約−80μC/gであってもよい。
【0075】
このようにして作成したトナー粒子を現像剤組成物に配合してもよい。例えば、トナー粒子をキャリア粒子と混合し、2成分現像剤組成物を得てもよい。現像剤中のトナーの濃度は、現像剤の合計重量の約1重量%〜約25重量%であってもよく、現像剤組成物の残りの部分はキャリアである。しかし、望ましい特徴を有する現像剤組成物を得るために、異なる割合のトナーおよびキャリアを用いてもよい。
【0076】
トナー粒子と混合するキャリア粒子の例としては、トナー粒子と反対の極性を有する電荷を摩擦電気から得ることが可能な粒子が挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、キャリア粒子は、表面にコーティングを有するコアを備えていてもよく、コーティングは、帯電列に近接していないポリマーまたはポリマー混合物から作られてもよく、例えば、本明細書に教示されるもの、または当該技術分野で既知のものであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、画像形成プロセスは、ASで処理されたシリカ(例えば、OTSで処理されたシリカ)を含むトナー粒子と基材とを接触させることと、このトナー粒子を基材に融合させ、画像を作成することとを含み、ここで、100%単色塗りつぶし領域(SCSA)層の画像は、厚みが約0.1μm〜約5μm、約1μm〜約4μm、約2μm〜約3μmであり、この画像の厚みは、前記トナー粒子1粒の直径の約80%未満、約70%未満、約60%未満である。融合後と融合前のSCSA層の厚みの比率は、約0.85未満、約0.75未満、約0.65未満、約0.55未満である。100%のSCSA反射光学密度は、約1.4〜約2.5、約1.5〜約2.3、約1.8〜約2.1である。いくつかの実施形態では、mg/cmで測定されるTMAを、約7μm未満、約6μm未満、約5μm未満、約4μm未満であるトナー粒子の体積径(単位μm)で割ると、約0.03〜約0.1、約0.05〜約0.075、約0.055〜約0.07である。
【0079】
また、部および割合は、他の意味であると示されていない限り、重量基準である。本明細書で使用する場合、「室温」(RT)は、約20℃〜約30℃の温度を指す。
【実施例】
【0080】
(実施例1.20ガロンの超低融点色素過剰黒色粒子の調製)
2種類のアモルファスエマルション(7kgのポリエステルA(M=86,000、T開始=56℃、固形分35%)と、7kgのポリエステルB(M=19,400、T開始=60℃、固形分35%))、2kgの結晶性ポリエステルC(M23,300、M=10,500、Tm=71℃、固形分35%)、2%の界面活性剤(DOWFAX(登録商標)2A1、Dow Chemical Company)、3kgのポリエチレンワックスエマルション(T=90℃、固形分30%、The International Group,Inc.(IGI))、6kgの黒色顔料(Nipex 35、Evonik Industries,Essen,DE、固形分約17重量%の分散物)、917gの固形分約17重量%の顔料PB 15:3分散物を反応器内で混合し、次いで、0.3M硝酸を用い、pHを4.2に調節した。次いで、このスラリーを、合計60分間、再循環ループを用い、CAVITRONホモジナイザを用いて均質化し、最初の8分間の間に、2.96gの硫酸アルミニウムを36.5gの脱イオン(DI)水に混合してなる凝固剤をラインから加えた。反応器のrpmを100rpmから上げていき、全ての凝固剤を加えたら、混合を300rpmに設定した。次いで、このスラリーをバッチ温度42℃で凝集させた。凝集中、コアと同じアモルファス樹脂からなり、硝酸によってpHを3.3に調節したシェルをバッチに加えた。このバッチをさらに加熱し、目的粒径を得た。目的の粒径に達したら、NaOHおよびEDTAを用いてpHを7.8に調節し、凝集工程を凍結させた。反応器の温度(T)を85℃に達するように上げつつ、プロセスを続けた。所望の温度で、約3.3kgの0.3M硝酸およびTAYCA界面活性剤溶液を用い、pHを7.0に調節し、この時点で粒子の融着が開始した。約2時間後、粒子は、0.965より大きな真円度になり、熱交換器を用いて冷却し、反応を停止させた。
【0081】
最終的なトナー粒径、GSD、GSDは、それぞれ5.25/1.20/1.24であり、微粒子(1.3〜4μm)、粗粒子(>16μm)、真円度は、それぞれ、21.91%、0.06%、0.965であった。トナーをRTで、流れるDI水で7回洗浄し、ALJET THERMAJET乾燥器4型を用いて乾燥させた。
【0082】
(実施例2.添加剤のブレンド)
本開示の試験対象であるコントロールトナーを、実施例1の樹脂と、1.28% RY50L(ポリジメチルシロキサンで表面処理されたシリカ、Evonik)、0.86% RX50(HMDSで表面処理されたシリカ、Evonik)、0.88% STT100H(ブチルトリメトキシシランで表面処理されたチタン、チタン工業株式会社)、1.73% HMDSで表面処理されたコロイド状シリカまたはゾル−ゲルシリカ(X24−9163A、日新工業株式会社)、0.28% E10(二酸化セリウム、三井金属鉱業株式会社)、0.18% ZnPF(ステアリン酸亜鉛、NOF0と、0.5% MP11CF(ポリメチルメタクリレート粒子、Soken))を含む添加剤パッケージを用いて調製した。同様に、HMDSシリカを1.66%のASゾル−ゲルシリカ(例えば、OTSで処理されたTG−C190)と置き換え、実験用のトナーを調製した。
【0083】
操作手順は以下のとおりであった。65gの元の粒子と、上の式に基づいて適切な量の添加剤を、Fujiブレンダー中、13,500rpmで30秒かけてブレンドした。次いで、このブレンドを45μmふるい(USA標準Testing Sieve、Gibson製のA.S.T.M.E−11)に、振動(Entela製のMEINZERII型、シリアル番号0678−03、供給110、周波数60)を加えつつ通し、大きな塊を濾過した。
【0084】
(実施例3.ベンチ試験)
標準的な手順(例えば、本明細書に全体が参考として組み込まれる米国特許第7,574,128号を参照)を用い、ベンチ試験による帯電を実施した。現像剤サンプルを、0.5gのトナーサンプルと、10gの35μmのポリマーコーティングされたフェライトキャリアとを用いて調製した。現像剤サンプルを2ッ組で調製した。対の一方の現像剤をAゾーン(28℃/RH85%)で一晩馴らし、他方をCゾーン環境チャンバ(10℃/RH15%)で一晩馴らした。次の日に、現像剤サンプルを密閉し、TURBULAミキサーを用いて2分間撹拌し、次いで、1時間撹拌した。2分と1時間混合した後、チャージスペクトログラフを用い、100V/cmの電場内でトナーの摩擦電荷を測定した。トナーの電荷(q/d)を、トナー電荷分布の中点として、視覚的に測定した。電荷を、ゼロラインからの移動(単位ミリメートル)で報告した。1時間混合した後、すでに帯電している現像剤にトナーサンプル0.5gをさらに加え、さらに15秒間混合し、q/dの移動を再び測定し、次いで、さらに45秒間混合し(合計混合時間1分)、再びq/dの移動を測定した。
【0085】
OTSを含有するトナーは、HMDSで処理されたシリカと比べ、AゾーンでもCゾーンでもq/dおよびq/mが向上していた。OTSトナーは、2分経過時および60分経過時のq/dによって評価されるエージング特性が良好であった。OTSトナーの性能を合わせると、コントロールのHMDSトナーに匹敵するものであった。
【0086】
(実施例4.Aゾーンでの機械評価)
上に教示したように、現像剤を再び調製したが、トナー濃度12%で、現像剤は合計で450gであった。トナー(54g)およびキャリア(396g)を秤量し、1Lの透明ガラス瓶に入れた。この瓶を、蓋をせずにAゾーン環境に一晩置き、トナーおよびキャリアの両方を慣れさせた。次の朝に、瓶を密閉し、TURBULAに置き、10分間混合して現像剤を製造した。次いで現像剤筺体に現像剤を満たし、次いで、筺体をDigital Color Press機(DCP700)に取り付けた。すべての不揮発性メモリ(NVM)を初期化した状態で、プリンタを機械で制御した状態で設定した。しかし、適切なNVMを0に設定することによって、ディスペンサは使用しなかった。IQ分析のためのカラーモードで非コート紙に画質印刷物(粒状性を評価するためのハーフトーン、塗りつぶし領域、線などと、斑点を評価するための大きなハーフトーンと塗りつぶし領域部分のパターン)を印刷した。ISO 13660は、画像の不均一性に関する2種類の測定値を定義している。この基準は、小さなスケール(>42μmおよび<1270μm)の不均一性を粒状性として定義し、大きなスケール(>1270μm)の不均一性を斑点として定義している。それぞれの測定基準は、密度の変動がない理想的な印刷表面の密度変動の大きさの指標である。本願発明者らの分析において、粒状性は、自社で作成した画質分析設備(IQAF)での測定から得た視覚ノイズの高い発生頻度(VNHF)の値として決定することができる。斑点は、斑点でのノイズ発生頻度(NMF)として決定することができ、これもIQAF分析から得られる。VNHF値およびNMF値が大きいことは、粒状性および斑点が悪いと解釈される。階調再現曲線(TRC)は、画像の暗さを測定するものであり、この曲線も、粒状性を分析している間に、IQAFによって作成した。トナーの単位面積質量(TMA)を、二次転写効率のためにベルトおよび紙の両方で得た。TCおよび摩擦も測定した。初期のTC(12%)点を終了した後、7.5%の面積を覆っていた印刷物を分析し、TCを10%、8%、6%に下げて実施した。各TCにおいて、IQ印刷、TMA、TC、摩擦を繰り返した。
【0087】
Aゾーンにおいて、6%〜13%の間の試験されたすべてのTCレベルにおいて、以下の表に示されるように、OTSシリカによって、摩擦電荷が約50%増加し、向上していた。
【0088】
Aゾーンの二次転写効率は、ベルト上のTMAに対する紙上のTMAの比率であるが、HMDSで処理されたゾル−ゲルシリカと比べ、OTSゾル−ゲルシリカでは、TC5.5%、7.5%、9.5%で約15%良かった。また、二次転写効率は、TCが減るにつれて増加した。
【表1】

【0089】
被覆面積0%から100%塗りつぶした領域まで、2種類のトナーのTRCは似ていた。言いかえると、HMDSシリカをOTSシリカと置き換えても、色に悪い影響を及ぼさなかった。
【0090】
粒状性を評価すると同時に、明度または光学密度(OD)をIQAFによって測定した。実験例のトナーとコントロールトナーは、ODについて匹敵する値であった。
【0091】
2種類のトナーのAゾーンでのIQ性能を、IQ測定基準、粒状性、斑点の観点で、摩擦の関数として比較した。転写に関連する欠陥について最も負担が多い場合である100%塗りつぶした領域で、粒状性および斑点を選択した。粒状性および斑点の両方について、HMDSシリカをOTSシリカに置き換えると、VNHFおよびNMFが平均で32%および20%低下し、したがって、粒状性および斑点が向上している。
【0092】
したがって、Aゾーンでの機械試験は、OTSシリカが、HMDSゾル−ゲルシリカと比較して、TRC(すなわち、色)に悪い影響を及ぼすことなく、摩擦を高め、二次転写効率を高め、IQ(粒状性および斑点)を高めることが示された。
【0093】
(実施例5.Cゾーンでの機械評価(IQ分析を含む))
OTS添加剤を含む実験例のトナーの高い帯電が、Cゾーンの性能に何か影響を及ぼすかどうかを決定するために、上の実験例のトナーを、Cゾーンでの性能について標準的なDC700黒色トナーと比較した。Cゾーンでの分析は、上にAゾーンについて記載したように、Cゾーンの条件で一晩馴らすことを含んでいた。その後、4gのトナーを加え、TCを9.045%まで上げた。ここでも再び、ディスペンサを用いないで、機械で制御する状態に機械を設定した。被覆面積が7.5%の印刷物を用い、TCを9%から7%および5%に下げて実施した。各TCで、IQ印刷、TMA、TC、摩擦を得た。
【0094】
OTSシリカを含有するトナーは、標準的なDC700黒色トナーよりも、TCが5%および10%で摩擦が向上し、約10μC/gの向上であった。
【0095】
実験例のトナーおよびDC700黒色トナーの全体的な転写効率は、約87%と匹敵する値であった。入力した被覆値に対し、粒状性および斑点を評価するために、TC%およびエージング試験中の異なる段階で採取した12点の平均を分析した。2種類のトナーが、似た粒状性および斑点のプロフィールを示すことがわかった。
【0096】
したがって、OTSゾル−ゲルシリカトナーは、Cゾーンでの性能に悪い影響を与えなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー組成物であって、アルキルシラン(AS)で表面処理されたシリカを含む第1の添加剤パッケージを含み、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で処理されたシリカを含む第2の添加剤パッケージを含むトナーと比較する場合、この第1の添加剤パッケージおよび第2の添加剤パッケージは、ASで表面処理されたシリカが、HMDSで処理されたシリカに置き換わっているという点だけが異なっており、この第1の添加剤パッケージを含むトナーは、第2の添加剤パッケージを含むトナーと比べ、Aゾーンでの電荷が多いか、またはAゾーンでの二次転写効率が大きいか、またはこの両者を満たす、トナー組成物。
【請求項2】
黒色顔料をさらに含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項3】
前記シリカが、約80〜約200nmの一種類の一次粒子を含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項4】
前記アルキルシランが、オクタデシルトリエトキシシランである、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項5】
前記シリカがゾル−ゲルシリカを含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項6】
前記第1の添加剤パッケージが、表面処理されたヒュームドシリカおよび表面処理されたチタニアをさらに含む、請求項1に記載のトナー組成物。
【請求項7】
前記表面処理されたヒュームドシリカは、約30〜約50nmであり、前記表面処理されたチタニアは、約10〜約50nmである、請求項6に記載のトナー組成物。
【請求項8】
画像形成プロセスであって、
アルキルシラン(AS)で表面処理されたシリカを含む色素過剰のトナー粒子と、基材とを接触させることと、
前記基材に前記トナー粒子を融合させ、画像を作成することとを含み、
100%単色塗りつぶし領域(SCSA)層の画像は、厚みが約0.1μm〜約5μmであり、この画像の厚みは、前記色素過剰のトナー粒子1粒の直径の約70%未満である、プロセス。
【請求項9】
前記100%SCSA層の反射光学密度は約1.4〜約2.5である、請求項8に記載の画像形成プロセス。
【請求項10】
前記基材の上の前記トナーの単位面積質量(TMA)を前記トナー粒子の体積径で割ったものが約0.05mg/cm/μm〜約0.075mg/cm/μmである、請求項8に記載の画像形成プロセス。

【公開番号】特開2013−101336(P2013−101336A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230849(P2012−230849)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】