説明

トナー搬送装置の潤滑剤塗布方法

【課題】トナー搬送装置におけるトナー搬送コイルとトナー搬送パイプとの接触部の潤滑性を高めることで、トナー搬送時の異常音を防止する。
【解決手段】感光体からクリーニング装置で回収したトナーを、トナー搬送コイル4をトナー搬送パイプ内に片持ち支持した構造のトナー搬送装置により、上記クリーニング装置外に搬送するに際し、あらかじめトナー搬送コイル4の螺旋状コイル13外周端の全体にわたって、刷毛によりグリースを塗布しておき、螺旋状コイル13外周端とトナー搬送パイプ内面との接触部にグリースを介在させた状態でトナー搬送コイルを回転させてトナーの搬送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複写機、プリンタ、ファクシミリ装置またはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置において、画像形成に使用した後、感光体クリーニング装置で回収されたトナーをこのクリーニング装置外、たとえば回収トナーボトルに搬送するトナー搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において画像形成に使用後、感光体クリーニング装置で回収されたトナーをトナー回収ボトルに搬送するトナー搬送装置として、たとえば図2に示すものが知られている。このトナー搬送装置において、クリーニング装置1で回収されたトナーは、トナー排出口2を経て第1のトナー搬送パイプ3に送られ、ついで第2のトナー搬送パイプ5内に落下する。この回収トナーはさらに、この第2のトナー搬送パイプ5内を搬送され、符号Aで示す位置の設けられたトナー回収ボトル(図示せず)に排出される。
【0003】
上記第2のトナー搬送パイプ5内には、トナー搬送コイル4(スクリューコンベヤ)が配備されている。このトナー搬送コイル4が駆動モータ11により、駆動伝達ギヤ10を介して回転駆動されることで、回収トナーがトナー搬送パイプ5内を搬送される。図2において、符号12は画像形成装置の側板である。
【0004】
上記トナー搬送コイル4は回転軸と、これに設けられたスクリュー羽根とを備え、この回転軸が上記駆動モータ11で回転駆動される構造となっている。ところがこの回転軸は、駆動伝達ギヤ10側の端部が駆動軸(図略)に支持されているものの、その反対側の端部(トナー搬送方向前方側)は支持されず自由状態となっている。このように、このトナー搬送コイル4の上記自由端側は、トナー搬送パイプ5の内面に摺擦しながら回転駆動される構造となっているため、トナー搬送時に耳障りな異常音が発生することがあった。特に、トナー搬送装置が新品で、トナー搬送パイプ5内にトナーが供給されていない場合には、異常音が発生しやすいという問題があった。なお、トナーには潤滑成分が含まれているため、トナー搬送パイプ5内にトナーが充満している状態では、異常音の発生が少なくなる。
【0005】
そこで従来、この異常音の低下対策として、パイプとコイルの低摩擦化を図ったり(例えば下記特許文献1参照)、トナー搬送パイプ5の材質として柔らかいゴム材、エラストマー樹脂あるいは、自己潤滑性のあるプラスチック材料たとえばポリプロピレン樹脂を用いることが試みられていた。しかしながら、トナー搬送パイプ5の材質変更のみでは、充分な消音効果を得ることは難しかった。
【0006】
【特許文献1】特開平09−218627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、トナー搬送コイルとトナー搬送パイプとの接触部の潤滑性を高めることにより、トナー搬送時の異常音の発生を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、電子写真方式による画像形成装置の感光体クリーニング装置で回収されたトナーを、回転軸に螺旋状コイルを設けてなるトナー搬送コイルをトナー搬送パイプ内に片持ち支持した構造のトナー搬送装置により、前記クリーニング装置外に搬送する方法であって、あらかじめ螺旋状コイルの外周端に潤滑剤を塗布しておき、この螺旋状コイル外周端とトナー搬送パイプ内面との接触部に潤滑剤を介在させた状態でトナー搬送コイルを回転させてトナーの搬送を行うことを特徴とするトナー搬送方法である。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本発明では、あらかじめ螺旋状コイルの外周端に潤滑剤を塗布しておき、この螺旋状コイル外周端とトナー搬送パイプ内面との接触部に潤滑剤を介在させた状態でトナー搬送コイルを回転させてトナー搬送を行うようにしたので、上記接触部の潤滑性が向上し、トナー搬送時の異常音を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明のトナー搬送方法に適用するトナー搬送コイルの概略正面図である。このトナー搬送装置の基本的構造は、図2に示す従来のものと同様である。トナー搬送コイル4は、回転軸14に螺旋状コイル13(スクリュー羽根)を設けて構成されている。回転軸14の一端は、駆動伝達ギヤ10と一体の駆動軸15に接続されている。トナー搬送時には、駆動モータによりトナー搬送コイル4が、図1の左側から見て反時計方向に回転駆動されることで、回収トナーが矢印Bの向きに搬送される。図1において符号Cはトナー搬送面、符号Dは反対側の面(裏面)である。
【0011】
本発明に係るトナー搬送方法では、準備作業として、螺旋状コイル13の外周端(コイルの頂部、すなわちスクリュー羽根の頂部)に半固体潤滑剤、たとえば高粘度潤滑剤であるグリースを塗布しておく。トナー搬送時には、螺旋状コイル13の外周端がトナー搬送パイプ5の内面に摺擦するが、上記のように螺旋状コイル外周端とトナー搬送パイプ内面との接触部に潤滑剤を介在させた状態でトナー搬送を行うことにより、トナー搬送時に異常音が発生しないようになる。
【0012】
上記グリースの塗布作業は、たとえば以下のように行う。トナー搬送コイル4をトナー搬送パイプ5(図2)から取り出すか、またはトナー搬送コイル4を画像形成装置に取り付けたまま、トナー搬送パイプ5を取り外す(図1の状態)。刷毛を用いて、図1の左側(トナー搬送方向上流側)から右側(トナー搬送方向下流側)に向けて、すなわち図1の矢印Bの向きに連続的に、螺旋状コイル13の外周端全体にわたって、一筆書きの要領でグリース20を塗布する。また、トナー搬送コイル4を画像形成装置に取り付けたまま、トナー搬送パイプ5を取り外した場合には、トナー搬送コイル4を空運転し、グリースを担持させた刷毛を螺旋状コイル13の外周端に接触させた状態で、トナー搬送コイル3の回転による螺旋状コイル13外周端の移動にならって刷毛を移動させることで、コイル13外周端の全体にわたってグリースを塗布することができる。
【0013】
これらのグリース塗布作業では、余分なグリースが螺旋状コイル13のトナー搬送面Cに塗布されないようにする。それには、刷毛を螺旋状コイル13外周端にのみ接触させるか、またはコイル13外周端と、上記反対側の面Dの外周端に跨がった状態で接触させて塗布するのが好ましい。
【0014】
余分なグリースがトナー搬送面Cに塗布されると(ごく微量であれば特に問題ないが)、これが搬送中のトナーと混合する結果、トナーを円滑に搬送することができなくなる場合がある。これに対し、余分なグリースが上記反対側の面Dの外周端近傍に多少塗布された状態になっていても、通常のトナー搬送条件下では、搬送中のトナーがこのグリースと混合することはないので、トナー搬送状態に不具合が生じる心配はない。また、刷毛によりグリース20を上記のように連続して一様に塗布することで、螺旋状コイル13外周端とトナー搬送パイプ内面との接触面が、グリース20により常に一様に潤滑されることになり、異常音の発生が確実に防止される。さらに、グリース20は流動性が低いため、これが流動して搬送中のトナーと混ざったり、トナー搬送装置外に流出したりすることがないので長期間、有効な潤滑作用が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のトナー搬送方法に係るトナー搬送コイルの概略正面図である。
【図2】従来のトナー搬送装置の構造を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1 クリーニング装置
2 トナー排出口
3 第1のトナー搬送パイプ
4 トナー搬送コイル(スクリューコンベヤ)
5 第2のトナー搬送パイプ
10 駆動伝達ギヤ
11 駆動モータ
13 螺旋状コイル
14 回転軸
15 駆動軸
20 グリース
C トナー搬送面
D トナー搬送面と反対側の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式による画像形成装置の感光体クリーニング装置で回収されたトナーを、回転軸に螺旋状コイルを設けてなるトナー搬送コイルをトナー搬送パイプ内に片持ち支持した構造のトナー搬送装置により、前記クリーニング装置外に搬送する方法であって、
あらかじめ螺旋状コイルの外周端に潤滑剤を塗布しておき、
この螺旋状コイル外周端とトナー搬送パイプ内面との接触部に潤滑剤を介在させた状態でトナー搬送コイルを回転させてトナーの搬送を行うことを特徴とするトナー搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−193376(P2007−193376A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120539(P2007−120539)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【分割の表示】特願2002−150042(P2002−150042)の分割
【原出願日】平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】