説明

トナー粒子の製造方法

【課題】粗大粒子が少なく、粒度分布がシャープなトナー粒子の製造方法を提供し、良好な現像性を示す重合トナーを提供すること。
【解決手段】難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体を調製する調製工程;重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程;該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合してトナー粒子を生成する重合工程を有するトナー粒子の製造方法であって、
造粒時の該難水溶性無機微粒子は、ゼータ電位値の平均値をζtとしたとき、−5.0mV≦ζt≦20.0mVであり、体積平均粒径をMVとしたとき、10nm≦MV≦30nmであり、
該造粒工程はタンク1と高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の間を循環流通させることによって行ない、両タンクの液量は
40×10-4≧V2/V1≧2×10-4
の関係を満たすことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法等に用いられる、静電荷像を現像するための重合トナーに用いられるトナー粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法に用いられるトナー粒子の製造方法としては、粉砕法や重合法が知られている。重合法としては、溶解懸濁法や乳化凝集法、懸濁重合法等の製法が提案されている。
【0003】
近年、電子写真法では一層の高画質化が要求されており、球形で表面が均一な懸濁重合法によるトナー粒子は、流動性、転写性が良好で、離形剤がトナー粒子中に内包されているため、良好な現像特性を示し、感光体へのフィルミングの発生が少ないという特徴を有している。
【0004】
懸濁重合法によるトナー粒子の製造方法では、重合性単量体、着色剤、離型剤、重合開始剤等を均一に溶解又は分散し、重合性単量体組成物とした後、難水溶性無機微粒子からなる分散剤を含有する水性媒体中で重合性単量体組成物の粒子の形成を行なう。所望の粒径を有する重合性単量体組成物の粒子に形成した後、重合反応を行い、重合トナー粒子の懸濁液を得る。通常の懸濁重合法による重合トナーの製造では、重合性単量体組成物の粒子を水性媒体中で形成する造粒工程を、高剪断撹拌機を備えた造粒容器中で、回分式操作により行うことが多い。しかし、この方法では剪断力を付与しつつ、液全体の循環を良好に保つ必要があるため、重合性単量体組成物を含む水系媒体全てに等しい剪断力を及ぼすことが難しく、結果としてこれを重合して得られるトナー粒子の粒度分布が広くなってしまう。
【0005】
前記問題を解決するため、重合性単量体組成物を一般的な撹拌機を備えた造粒容器中で水系媒体中に分散させた後、この分散液の一部を抜き出し、造粒容器の外部に設けた高剪断撹拌機を備えた外部タンクを通過させた後に造粒容器中に戻すことが行われている(特許文献1参照)。前記発明で開示されている、循環式操作は、スケールアップ時の消費動力を軽減できる等の効果があるものの、使用する高剪断撹拌機の剪断力が、不十分であり、得られるトナー粒子の粒度分布は、満足できるものではなかった。そこで、特殊な高剪断撹拌機を使用し、前記造粒容器の内容積V1と前記高剪断撹拌機を備えた外部タンクの内容積V2の比V2/V1を規定し、循環式により粒度改善を行なう試みも行なわれている(特許文献2参照)。しかし、前記発明では、V2/V1の比が大きすぎるため、重合性単量体組成物がV2タンク内部において高剪断処理を付与されずにショートパスし、粗大粒子が発生してしまう場合があった。特に、スケールアップに伴い、ショートパスの傾向が顕著になるため、粗大粒子の発生による画像品質低下や収率低下が、問題であった。
【0006】
一方で、トナー粒子の粒度改善のため、難水溶性無機微粒子からなる分散剤の物性を改良する試みも行なわれている(特許文献3参照)。前記発明では、分散剤を水性媒体中で調整する分散剤調製工程において、リン酸イオン含有水溶液にカルシウムイオン含有水溶液を添加する速度が規定されている。すなわち、該リン酸イオン含有水溶液中のリン酸イオンのモル数に対して、カルシウムイオンのモル数の比が0.005乃至0.5sec-1となる速度に規定することで、分散剤の粒径を制御し、シャープな粒度分布を得るのに効果的であることが開示されている。しかし、前記発明は、スケールが大きくなるにつれて、分散剤調整時における時間当たりの水系媒体の循環量が減少し、瞬時に分散剤の核生成が行ないにくくなるため、分散剤の結晶成長に差が生じていき、得られるトナー粒子の粒度分布が、ブロードになってしまう。また、前記発明においては難水溶性無機微粒子の組成や結晶構造までをも均一化することは困難であった。そのため、正帯電性の小さい難水溶性無機微粒子が多く存在する場合には、難水溶性無機微粒子がトナー粒子表面に十分に付着することができず、トナー粒子の分散安定性が不十分となる場合があった。その結果、造粒工程や重合工程において液滴同士の合一が進行しやすく、トナー粒子の粗大化が起こるという問題があった。
【0007】
以上より、前記発明では、液滴同士の合一を抑制し、高現像性を満たすトナーを得やすい所望の粒度分布のトナー粒子を得ることは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−356523
【特許文献2】特開2006−058503
【特許文献3】特登録03796335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記問題点を解決した、粗大粒子が少なく、粒度分布がシャープなトナー粒子の製造方法を提供し、良好な現像性を示す重合トナーを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、以下の方法を見出した。
【0011】
即ち、本発明は、難水溶性無機微粒子を少なくとも含有する水系媒体を調製する調製工程、
重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、
該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合してトナー粒子を生成する重合工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法であって、
造粒時の該難水溶性無機微粒子は、ゼータ電位値の平均値をζt、体積平均粒径をMVとしたとき、
−5.0mV≦ζt≦20.0mV
10nm≦MV≦30nm
であり、
該造粒工程はタンク1と高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の間を循環流通させることによって行ない、タンク1内の液量をV1(m3)、タンク2内の液量をV2(m3)としたとき、
40×10-4≧V2/V1≧2×10-4
の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粗大粒子が少なく、粒度分布がシャープなトナー粒子の製造方法を提供し、良好な現像性を示す重合トナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に好ましく用いられる撹拌装置を循環経路の中に組み込んだシステム図。
【図2】本発明に好ましく用いられるタンク2及び高剪断撹拌機の拡大図。
【図3】本発明に好ましく用いられるタンク2及び高剪断撹拌機の拡大分解図。
【図4】本発明で用いられるタンク2及び高剪断撹拌機の拡大図。
【図5】本発明で用いられるタンク2及び高剪断撹拌機の拡大分解図。
【図6】従来のタンク2及び高剪断撹拌機の拡大図。
【図7】従来のタンク2及び高剪断撹拌機の拡大図。
【図8】従来のタンク2及び高剪断撹拌機の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の製造方法について、図1から図3を参照しながら、詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の製造方法に用いるシステムの一例である。図2及び図3は、本発明で使用できる高剪断撹拌機の一例である。溶解タンクとタンク内の液量がV1であるタンク1(符号2)、さらにタンク1と重合タンク(符号7)は、それぞれ排出ラインにより接続されている。また、タンク1には循環ライン(符号4)が接続され、循環ライン中には、ポンプ(符号5)、高剪断撹拌機(符号3)を備えたタンク内液量がV2であるタンク2(符号6)、及び必要に応じて圧力計、温度計、流量計等の付帯機器(図示せず)が設置されている。
【0016】
従来の製造方法では、難水溶性無機微粒子を少なくとも含有する水系媒体を調製する調製工程は、回分式操作により、タンク1に設置された撹拌手段を用い、水系媒体中で難水溶性無機微粒子から成る分散剤を調製していた。分散剤調製後、溶解タンクより重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を受入れ、重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程を行なっていた。
【0017】
分散剤調製工程の一例として、難水溶性無機微粒子がリン酸三カルシウムの場合、タンク1にリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を投入し、撹拌手段により、水系媒体を撹拌しながら難水溶性無機微粒子から成る分散剤の調製を行なう。難水溶性無機微粒子は、撹拌手段により生じる剪断力が大きく、更には、タンク1内部の水系媒体を均一に循環するほど、微細で均一な組成の難水溶性無機微粒子が形成される。通常、使用されるタンク1の容量が、小さいほど、タンク1内部は、剪断力と循環量が大きくなるため、微細で均一な組成の難水溶性無機微粒子を調製することができる。一方でスケールアップに伴いタンク1の容量が大きくなるほど、タンク1内の体積当たりの剪断力は、弱くなり、タンク1内における水系媒体の循環ムラが生じる傾向となるため、微細で均一な組成な難水溶性無機微粒子を得ることが難しくなる。
【0018】
前記の様に、微細で均一の組成な難水溶性無機微粒子を得ることができないため、スケールアップに伴い、次工程である造粒工程において得られる重合性単量体組成物の粒子の粒度分布もブロードになったり、粗大粒子が発生してしまっていた。
【0019】
そこで、本発明者らは、前記調製工程はタンク内液量がV1(m3)であるタンク1とタンク内液量がV2(m3)である高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の間を循環流通させ、かつ、両タンクの液量が、以下の範囲であることが重要であることを見出した。すなわち、両タンク内の液量は、40×10-4≧V2/V1≧2×10-4であることが好ましい。
【0020】
ここで、タンク1の液量とは、図1中のタンク1(符号2)内の液量を意味する。また、タンク2の液量とは、図2及び図3中のタンク2(符号6)内の液量を意味する。
【0021】
前記調製工程を、従来のタンク1のみで行なう回分式操作に加え、タンク1とタンク2を循環流通させる循環式を組み合わせることにより、スケールアップ時に不足する剪断力と循環ムラを解消することが可能となる。不足する剪断力は、循環ライン中に設置されたタンク2内の高剪断撹拌機により、水系媒体へ付与し、タンク1内部の循環不足は、循環ラインに設置されたポンプにより、水系媒体を循環流通させることにより解消することが可能となる。
【0022】
液量がV1であるタンク1と液量がV2である高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の両タンクの液量の比:V2/V1が40×10-4以下の範囲であることが好ましい。V2/V1が40×10-4を超える場合、V2の内容量が大きくなるため、高剪断処理される滞留時間が増えて微細化されるが、V2タンク内部で十分に高剪断処理を受けずに、ショートパスする難水溶性無機微粒子が発生してしまう。そのため、難水溶性無機微粒子は、粒径は微細なものの、粒径分布が広くなってしまうため好ましくない。
【0023】
また、液量がV1であるタンク1と液量がV2である高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の液量の比:V2/V1が2×10-4以上の範囲であることが好ましい。V2/V1が2×10-4未満である場合、V2の内容量が小さくなりすぎるために、V2タンク内での滞留時間が不十分となり、難水溶性無機微粒子が十分に高剪断処理を受けずにタンク1外へ排出されてしまう。そのため、難水溶性無機微粒子が十分に微細なものを得ることが出来ないため好ましくない。
【0024】
循環ラインの配管内を流れる水系媒体の流速は2.8乃至6.0m/sの範囲であることが好ましい。水系媒体は、循環ラインの配管中をポンプにより強制的に循環させられる。言い換えれば、ポンプから運動エネルギーが水系媒体に投下されることを意味する。本発明では、運動エネルギーにより生じる流速が、難水溶性無機微粒子の物性に影響を与えることを見出した。すなわち、流速が増加するに従い、水系媒体と配管との間に生じる剪断力が増加し、難水溶性無機微粒子が微細化され、更には、配管内部の乱流状態も増加するため、シャープな粒度や均一な組成の難水溶性無機微粒子を得ることができる。
【0025】
流速が2.8m/s未満の場合、配管内部での流速による配管と水系媒体間に生じる剪断力と乱流効果が小さいため、微細で均一な組成の難水溶性無機微粒子を得ることができず好ましくない。線速が6.0m/sより大きい場合、配管内部の剪断力や乱流状態は増加するものの、剪断力による循環ライン中の水系媒体の温度上昇により、タンク1と循環ライン中での温度差が大きくなるため、均一な組成の難水溶性無機微粒子を得ることができず好ましくない。
【0026】
重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒して重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程も、従来の製造法では、回分式操作により、タンク1に設置された撹拌手段を用い、重合性単量体組成物の粒子を形成していた。そのため、重合性単量体組成物の粒子は、撹拌手段により生じる剪断力が大きく、更には、タンク1内部の水系媒体を均一に循環するほど、微細でシャープな粒度分布の重合性単量体組成物の粒子が形成される。通常、使用されるタンク1の容量が、小さいほど、タンク1内部は、剪断力と循環量が大くなるため、微細でシャープな粒度分布の重合性単量体組成物の粒子を形成することができる。一方でスケールアップに伴いタンク1の容量が大きくなるほど、タンク1内の剪断力は、弱くなり、循環ムラが生じる傾向となるため、微細でシャープな粒度分布の重合性単量体組成物粒子を得ることが難しくなる。
【0027】
そこで、本発明者らは、前記造粒工程は液量がV1(m3)であるタンク1と液量がV2(m3)である高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の間を循環流通させ、かつ、両タンクの液量が、以下の範囲であることが重要であることを見出した。すなわち、両タンクの液量は、40×10-4≧V2/V1≧2×10-4であることが好ましい。ここで、タンク1の液量とは、図1中のタンク1(符号2)内の液量を意味する。また、タンク2の液量とは、図2及び図3中のタンク2(符号6)内の液量を意味する。
【0028】
前記造粒工程を、従来のタンク1のみで行なう回分式操作に加え、タンク1とタンク2を循環流通させる循環式を組み合わせることにより、スケールアップ時に不足する剪断力と循環ムラを解消することが可能となる。不足する剪断力は、循環ライン中に設置されたタンク2内の高剪断撹拌機により、水系媒体へ付与し、タンク1内部の循環不足は、循環ラインに設置されたポンプにより、水系媒体を循環流通させることにより解消することが可能となる。
【0029】
液量がV1であるタンク1と液量がV2である高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の両タンクの液量は、V2/V1が40×10-4以下の範囲であることが好ましい。V2/V1が40×10-4を超える場合、V2の液量が大きくなりすぎるために、V2タンク内部で十分に高剪断処理を受けずに、ショートパスする重合性単量体組成物の粒子が発生してしまう。そのため、重合性単量体組成物の粒子が、十分に微細でシャープな粒度分布のものを得ることが出来ないため好ましくない。
【0030】
また、液量がV1であるタンク1と液量がV2である高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の液量の比:V2/V1が、2×10-4以上の範囲であることが好ましい。V2/V1が2×10-4未満の場合、V2の容積が小さくなりすぎるために、V2タンク内での滞留時間が不十分となり、重合性単量体組成物の粒子が、十分に高剪断処理を受けずに、タンク1外へ排出されてしまう。そのため、重合性単量体組成物の粒子が、十分に微細でシャープな粒度分布のものを得ることが出来ないため好ましくない。
【0031】
循環ラインの配管内を流れる水系媒体の流速は2.8乃至6.0m/sの範囲であることが好ましい。水系媒体は、循環ラインの配管中をポンプにより強制的に循環させられる。言い換えれば、ポンプから運動エネルギーが水系媒体に投下されることを意味する。本発明では、運動エネルギーにより生じる流速が、重合性単量体組成物の粒子の物性に影響を与えることを見出した。すなわち、流速が大きくなるに従い、水系媒体は、配管との間に生じる剪断力が増加するため、重合性単量体組成物の粒子が微細化され、また、流速が大きくなるに従い、配管内部の乱流状態も増加するため、重合性単量体組成物中の着色剤等が微分散されるため、着色剤が高分散された粒子を得ることができる。
【0032】
流速が2.8m/s未満の場合、配管内部での流速による配管と水系媒体間に生じる剪断力と乱流効果が小さいため、十分に重合性単量体組成物の粒子が微粒化できず好ましくない。線速が6.0m/sより大きい場合、配管内部の剪断力や乱流状態は増加するものの、剪断力による循環ライン中の水系媒体の温度上昇により、タンク1と循環ライン中での温度差が大きくなるため、トナー粒子の分子量分布が広くなり、画像品質が、低下するため好ましくない。
【0033】
本発明に用いられる難水溶性無機微粒子は、中心径がおおよそ数十nm程度で、水系媒体中において正帯電性から負帯電性の領域にわたり帯電性の分布を有している。このうち、正帯電性を有する難水溶性無機微粒子は、水系媒体中で均一に分散した液滴として存在している重合性単量体組成物粒子の表面に静電的相互作用によって吸着し、液滴の合一を物理的・静電的に抑制しているものと考えられる。
【0034】
しかしながら、重合性単量体組成物粒子表面の負帯電性が小さい系においては、難水溶性無機微粒子が重合性単量体組成物粒子表面に十分な付着力を持って吸着することができない場合があった。その具体例としては、トナー粒子の製造時に極性樹脂を添加しない場合や、極性樹脂を添加してもその酸価が小さい場合、また帯電制御剤の添加量が少量である場合などである。そのような場合は、液滴の安定性が低下し、造粒工程中の粒度分布がブロード化したり、重合工程中に液滴同士の合一が進行しやすくなるため、粗大粒子や、真球状でない粒子の割合が多いトナー粒子が生成してしまうという課題があった。
【0035】
前記の原因の一つとして、難水溶性無機微粒子のゼータ電位と難水溶性無機微粒子の体積平均粒径Mvが比較的小さいことが挙げられる。更には、難水溶性無機微粒子のゼータ電位分布の平均値に対する標準偏差、及び前記体積平均粒径に対する標準偏差が比較的大きいことが挙げられる。
【0036】
ゼータ電位とは、溶液中の微小粒子の周囲に形成されるイオン固定層とイオン拡散層とよばれる電気二重層中の、液体流動が起こり始める「滑り面」の電位として定義される。
【0037】
微小粒子の表面特性により、このゼータ電位の絶対値は正(正帯電性)や負(負帯電性)の値を示す。また、この絶対値が大きいほど前記溶液中における微小粒子表面の電荷が大きいことを示す。
【0038】
水系媒体中において、難水溶性無機微粒子の表面は一般的に正帯電性を帯びているが、この正帯電性の大きさが、負帯電性を有する重合性単量体組成物表面への吸着力と相関のあることが知られている。よって、難水溶性無機微粒子のゼータ電位値やゼータ電位の平均値に対する標準偏差を規定することにより、重合性単量体組成物の造粒安定性を好適に制御することができる。
【0039】
一方、水系媒体中の難水溶性無機微粒子の体積平均粒径:MVは、粗大粒子数が少ないほど小さい値を示し、粗大粒子数が増加するにつれ、大きな値となる。また、難水溶性無機微粒子の体積平均粒径:MVが小さいほど難水溶性無機微粒子の比表面積が増加するため、重合性単量体組成物の粒子は微細化される。しかし、難水溶性無機微粒子が微細化されるほど難水溶性無機微粒子体積当たりの正電荷量は増加するため、重合性単量体組成物の粒子表面に電気的に吸着できる個数は、減少していく。そのため、難水溶性無機微粒子が微細化されすぎると、重合性単量体組成物の粒子表面に吸着している難水溶性無機微粒子数が少なくなりすぎてしまい、重合性単量体組成物自体の表面が露出してしまう。その結果、造粒工程や重合工程で重合性単量体組成物の露出個所同士が合一してしまい粗大粒子が発生してしまう場合がある。
【0040】
本発明においては、難水溶性無機微粒子のゼータ電位値と体積平均粒径、及びゼータ電位の平均値に対する標準偏差と前記体積平均粒径に対する標準偏差を適正な範囲内に調整することで、重合性単量体組成物粒子を安定化することが可能となる。
【0041】
また、本発明において、造粒時における好ましい難水溶性無機微粒子のゼータ電位値の平均値:ζtは、−5.0mV以上20.0mV以下である。
【0042】
前記ζtが−5.0mV以上20.0mV以下である場合には、適度な正帯電性を有する難水溶性無機微粒子の割合が増加し、水系媒体中で均一に分散した液滴として存在している重合性単量体組成物粒子の表面に適度な付着力で吸着できると考えられる。その結果、重合性単量体組成物粒子の液滴の安定性が向上し、微細でシャープな粒度分布の重合性単量体組成物粒子を得ることができる。
【0043】
前記ζtが−5.0mV未満の場合には、難水溶性無機微粒子と、重合性単量体組成物粒子の表面との間に働く静電的相互作用が小さくなりすぎるため、難水溶性無機微粒子の付着性が不十分となる。その結果、重合性単量体組成物粒子の表面が露出した個所が増加し,重合性単量体組成物粒子の露出個所同士が吸着し、粗大粒子が生成するため好ましくない。前記ζtが20.0mVを超える場合には、難水溶性無機微粒子と重合性単量体組成物粒子の液滴表面との付着力が大きくなりすぎるために、生成した微小粒径の液滴の安定性が高まる。その結果、トナー粒子の4μm以下粒子率(個数%)が大きく、微小粒子の多いブロードな粒度分布となる。
【0044】
ζtを前記範囲に調節するためには、例えば難水溶性無機微粒子製造時の各原料の添加量や添加速度を調節することで達成可能である。
【0045】
また、本発明において、造粒時における好ましい難水溶性無機微粒子のゼータ電位の平均値に対する標準偏差σtは、5.0mV以上25.0mV以下である。
【0046】
前記σtが5.0mV以上25.0mV以下である場合には、難水溶性無機微粒子の有する正帯電性のばらつきが適度な大きさとなり、難水溶性無機微粒子が均一な付着力で重合性単量体組成物粒子の表面に吸着できると考えられる。
【0047】
前記σtが5.0mV未満の場合には、難水溶性無機微粒子と重合性単量体組成物粒子の液滴表面との付着力が大きくなりすぎるために、生成した微小粒径の液滴の安定性が高まる。その結果、トナー粒子の4μm以下粒子率(個数%)が大きく、微小粒子の多いブロードな粒度分布となる。前記σtが25.0mVを超える場合には、難水溶性無機微粒子の有する正帯電性のばらつきが大きくなりすぎるため、重合性単量体組成物粒子の表面への吸着力が低下する。その結果、液滴の安定性が低下し、重合性単量体組成物粒子同士の合一により粗大粒子が生成する場合があり好ましくない。
【0048】
σtを前記範囲に調節するためには、例えば難水溶性無機微粒子製造時の各原料の添加量や、添加速度を調節することで達成可能である。また、難水溶性無機微粒子製造時の温度や製造条件を調節したりすることでも達成可能である。
【0049】
本発明に用いられる難水溶性無機微粒子は、体積平均粒径をMVとしたとき、
10nm≦MV≦30nm
であることが好ましい。前記MVが10nm以上30nm以下である場合には、難水溶性無機微粒子の体積当たりの帯電量が適度な大きさとなり、難水溶性無機微粒子が重合性単量体組成物粒子の表面に均一に吸着できると考えられる。
【0050】
前記MVが10nm未満の場合には、難水溶性無機微粒子の単位体積当たりの電荷量が大きいために、重合性単量体組成物粒子表面の露出面積が大きくなる。その結果、液滴の安定性が低下し、重合性単量体組成物粒子同士の合一により粗大粒子が生成する場合があり好ましくない。前記MVが30nmを超える場合には、難水溶性無機微粒子の総表面積が減少するため、重合性単量体組成物の粒子径が、粗大化してしまう場合があり好ましくない。
【0051】
MVを前記範囲に調節するためには、例えば、難水溶性無機微粒子製造時の温度や製造条件を調節したりすることで達成可能である。
【0052】
また、造粒時の前記難水溶性無機微粒子は、前記体積平均粒径に対する標準偏差をSDとしたとき、
5nm≦SD≦20nm
であることが好ましい。前記SDが5nm以上20nm以下である場合には、難水溶性無機微粒子の粒度分布がシャープなため、重合性単量体組成物粒子の粒度分布もシャープなものとなるため好ましい。
【0053】
前記SVが5nm未満の場合では、重合性単量体組成物粒子の粒度分布のシャープ化傾向が、飽和状態を示すため、これ以上小さくする必要がない。前記SVが20nmを超える場合には、難水溶性無機微粒子の粒度分布がブロード化するのに伴い、重合性単量体組成物粒子の粒度分布もブロード化するため好ましくない。
【0054】
SVを前記範囲に調節するためには、例えば、難水溶性無機微粒子製造時の温度や製造条件を調節したりすることで達成可能である。
【0055】
以上、本発明では、従来よりも高剪断力を付与し、均一な循環を達成できる製造方法により、重合性単量体組成物の粒子形成に最適な帯電量と粒径に調整した難水溶性無機微粒子を得、従来よりもシャープで粗大粒子の少ない重合性単量体組成物粒子を得ることができる。
【0056】
本発明において、タンク1は撹拌手段を設置したものであれば形状は問わないが、上端および下端に鏡部を有する通常の円筒形の容器が、滞留部がなく、気相部の液溜り、排出時の液残りを防げることから適している。
【0057】
タンク1内の水系媒体中の難水溶性無機微粒子は、時間が経つにつれて再凝集し見かけの粒径が増大する。そこで、再凝集を防止するためには、撹拌手段により、水系媒体に剪断力を付与しつづけることが好ましい。そのため、タンク1の撹拌手段としては、難水溶性無機微粒子の再凝集を抑制できる剪断力を付与しながら、タンク1内部の水系媒体を均一に循環できるものが好ましい。
【0058】
撹拌手段の一例としては、パドル翼、傾斜パドル翼、三枚後退翼、アンカー翼、フルゾーン(神鋼パンテック社製)、マックスブレンド(住友重機社製)、スーパーミックス(佐竹化学機械工業社製)、Hi−Fミキサー(綜研化学社製)等の撹拌翼を有するものを用いることができる。本発明おいて、より好ましい撹拌手段は、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられたスクリーンとによって形成される撹拌室を備えているものであり、高剪断力を付与し、分散剤の再凝集を抑制できる撹拌機である。前記撹拌機としては、ウルトラタラックス(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エムテクニック社製)等が用いられる。
【0059】
本発明において、タンク2に設置された高剪断撹拌機としては、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられ、ロータと逆方向に高速回転するスクリーンとによって形成される撹拌室を備えているものが好ましく用いられる。具体的には、Wモーション(エムテクニック社製)等の撹拌機が挙げられる。前記撹拌機は、高速回転する撹拌ロータと逆方向に高速回転するスクリーンとにより、相対的な回転数を上げることができ、従来の撹拌機よりも、高剪断力を付与できるため、微細で均一な難水溶性無機微粒子を形成することが可能であるため、特に好ましく用いられる。前記した、相対的な回転数とは、ロータとスクリーンの和を意味する。
【0060】
タンク2に設置された高剪断撹拌機の液導入口における圧力P1と液排出口における圧力P2の圧力差:P2−P1は、0.10MPa以上に保たれていることが好ましい。圧力差:P2−P1が0.10MPaより小さいと高剪断撹拌機内でキャビテーションが発生しやすくなる。キャビテーションが発生すると高剪断撹拌機の剪断力が水系媒体に伝わりにくくなり、微細で均一な難水溶性無機微粒子が得られなくなる。
【0061】
造粒工程の後、重合性単量体組成物の粒子を含む水系媒体を重合槽へ移送し重合工程を行なう。重合工程では、重合性単量体組成物の粒子を含む水系媒体を所定の温度に保ちながら撹拌を行ない、トナー粒子を得る。重合温度は40℃以上、一般的には50乃至90℃で行なわれる。重合温度は終始一定でも良いが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温しても良い。
【0062】
上述の製造装置に用いられる装置を構成する各部材の材料としては、ステンレス、鋼、ガラス、FRP(繊維強化プラスチック)、セラミック等の通常使用されるものを用いることができる。また、これらの表面は、電解研磨、フッ素樹脂コーティング、グラスライニング等の処理が施されていても良い。
【0063】
未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合工程終了後に一部水系媒体を蒸留工程により留去しても良い。蒸留工程は常圧もしくは減圧下で行なうことができる。
【0064】
トナー粒子表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、重合性単量体組成物の粒子を含む水系媒体を酸またはアルカリで処理することもできる。その後、一般的な固液分離法により、トナー粒子は液相と分離されるが、酸またはアルカリ及びそれに溶解した分散剤を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー粒子を洗浄する。この工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は、必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
【0065】
以下に本発明で好適に用いられる材料について説明する。
【0066】
〔難水溶性無機微粒子〕
本発明に用いられる難水溶性無機微粒子としては、リン酸カルシウム塩類、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸化ケイ素、酸化アルミニウムが挙げられる。それらの中でも特にリン酸カルシウム塩類を用いることが好ましい。リン酸カルシウム塩類の具体例としては、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、カルシウム欠損型アパタイト、炭酸アパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、二リン酸カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム及びそれら複数の混合物が好適に用いられる。また、これらのリン酸カルシウム塩類の正帯電性や酸への可溶度などを考慮すると、本発明に用いられるリン酸カルシウム塩類にはヒドロキシアパタイトを含有することがさらに好ましい。ヒドロキシアパタイトを含有することによって難水溶性無機微粒子の正帯電性がさらに良好となり、難水溶性無機微粒子と重合性単量体組成物との吸着性をより高めることが可能となる。そのため、液滴の合一をより抑制することが可能となる。よって、より一層粒度分布のシャープなトナー粒子を得ることが可能となり、現像性、定着性に優れたトナーが得られる。さらに、これらの難水溶性無機微粒子は市販のものをそのまま用いてもよいが、難水溶性無機微粒子の粒径制御を考慮すると分散媒中にて難水溶性無機微粒子を生成させることがよい。例えば、ヒドロキシアパタイトの場合、高撹拌下においてリン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム溶液とを混合することにより得ることがよい。
【0067】
また、これら分散剤の微細化のため0.001乃至0.1質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用でき、例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0068】
〔着色剤〕
本発明で用いられる着色剤としては、公知のものを使用することが出来る。
【0069】
シアン系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー7、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー。
【0070】
マゼンタ系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、以下のものが挙げられる。縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド254。
【0071】
イエロー系着色剤としての有機顔料又は有機染料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー111、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー175、C.I.ピグメントイエロー176、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントイエロー191、C.I.ピグメントイエロー194。
【0072】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト。上記イエロー系着色剤/マゼンタ系着色剤/シアン系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
【0073】
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明のトナーに用いられる着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー中の分散性の点から選択される。
【0074】
該着色剤は、好ましくは重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
【0075】
本発明においては重合法を用いてトナーを得る場合には、着色剤の持つ重合阻害性や水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは、重合阻害のない物質による疎水化処理を着色剤に施しておいたほうが良い。特に、染料系着色剤やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
【0076】
また、染料系着色剤の重合阻害性を抑制する方法としては、あらかじめこれら染料の存在下に重合性単量体を重合せしめる方法が挙げられ、得られた着色重合体を重合性単量体組成物に添加する。
【0077】
また、カーボンブラックについては、上記染料と同様の処理の他、カーボンブラックの表面官能基と反応する物質(例えば、ポリオルガノシロキサン等)で処理を行っても良い。
【0078】
〔重合性単量体〕
本発明のトナーに用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
【0079】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0080】
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組合せて使用する。上述の単量体の中でも、スチレン又はスチレン誘導体を単独もしくは混合して、又はそれらとほかの単量体と混合して使用することが、トナーの現像特性及び耐久性などの点から好ましい。
【0081】
〔低分子量樹脂〕
本発明では、帯電制御や水系媒体中の造粒安定化を主目的として、スルホン酸基を側鎖に持つ高分子が用いられることが好ましい。その中で特にスルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を含有する重合体又は共重合体を用いることが好ましい。
【0082】
上記重合体を製造するためのスルホン酸基を有する単量体として、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸が例示できる。
【0083】
本発明に用いられるスルホン酸基等を含有する重合体は、上記単量体の単重合体であっても構わないが、上記単量体と他の単量体との共重合体であっても構わない。上記単量体と共重合体をなす単量体としては、ビニル系重合性単量体があり、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。
【0084】
単官能性重合性単量体としては以下の、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系重合性単量体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン等が例示出来る。
【0085】
多官能性重合性単量体としては以下の、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が例示できる。
【0086】
〔極性樹脂〕
懸濁重合のように水系分散媒を用いる重合法の場合には、該重合性単量体組成物に極性樹脂を添加することにより、離型剤の内包化の促進を図ることができる。水系媒体中の重合性単量体組成物中に極性樹脂が存在した場合、親水性の違いから極性樹脂が水系媒体と重合性単量体組成物の界面付近に移行しやすいため、トナー表面に極性樹脂が偏在することになる。その結果トナーはコア−シェル構造を有し、多量の離型剤を含有する場合でも、離型剤の内包性が良好になる。
【0087】
該極性樹脂としては、トナー表面に偏在しシェルを形成した際に、極性樹脂自身の流動性が期待できることから、特にポリエステル系樹脂が好ましい。
【0088】
本トナーに用いることができる極性樹脂としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、しょうのう酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸の如き酸性分単量体と;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、等のアルキレングリコール類及びポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールの如き多価アルコール単量体とを縮合重合したものを挙げることができる。
【0089】
〔重合開始剤〕
トナーを重合法で製造する際に用いる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系、又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドの如き過酸化物系重合開始剤。これらの重合開始剤は、重合性単量体に対して0.5乃至20質量%の添加が好ましく、単独でも又は併用してもよい。
【0090】
〔離型剤〕
本発明に係るトナーに使用可能なワックス成分としては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの如き石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスの如き天然ワックス及びその誘導体などで、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ−ン樹脂。
【0091】
〔荷電制御剤〕
本発明のトナーは荷電制御剤を含有してもよい。
【0092】
荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、例えばトナーを負荷電性に制御するものとしては、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0093】
また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。
【0094】
トナーを正荷電性に制御するものとしては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或は2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
【0095】
これらの荷電制御剤は、樹脂成分100質量部に対して、0.01乃至20質量部(より好ましくは0.5乃至10質量部)使用するのが良い。
【0096】
〔架橋剤〕
架橋性モノマーとしては、2官能の架橋剤として以下のものが挙げられる。ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
【0097】
また、多官能の架橋性モノマーとしては以下のものが挙げられる。ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ・ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリールクロレンデート等。架橋剤の好ましい添加量としては、重合性単量体の0.001乃至15質量%である。
【0098】
〔外添剤〕
本発明により製造されるトナーを使用するにあたっては、各種特性付与を目的として外添剤を使用することができる。外添剤は、トナーに添加した時の耐久性の点から、トナーの重量平均径の1/10以下の粒径であることが好ましい。この添加剤の粒径とは、電子顕微鏡による観察から求めたその平均粒径を意味する。外添剤としては、たとえば、金属酸化物(酸化アルミニウム,酸化チタン,チタン酸ストロンチウム,酸化セリウム,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化錫,酸化亜鉛など)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウムなど)・カーボンブラック・シリカなどが用いられる。
【0099】
これら外添剤は、トナー100質量部に対し、0.01乃至10質量部が用いられ、好ましくは、0.05乃至5質量部が用いられる。外添剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良いが、それぞれ、疎水化処理を行ったものがより好ましい。
【0100】
本発明のトナーは、一成分及び二成分系現像剤として、いずれの現像方式にも使用できる。たとえば、一成分系現像剤として、磁性体をトナー中に含有せしめた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、磁性トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。また、磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード及びファーブラシを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着させることで搬送せしめる方法がある。
【0101】
一方、一般的に利用されている二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。本発明に使用されるキャリアとしては特に限定されるものではないが、主として、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる単独及び複合フェライト状態で構成される。飽和磁化、電気抵抗を広範囲にコントロールできる点からキャリア形状も重要であり、たとえば球状、扁平、不定形などを選択し、更にキャリア表面状態の微細構造、たとえば表面凸凹性をもコントロールすることが好ましい。通常、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめ、キャリアコア粒子を生成した後、樹脂をコーティングする方法が用いられている。本発明では、キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得てもよい。さらには、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せしめ真球状分散キャリアを得る重合キャリアを得る方法なども利用することが可能である。
【0102】
上記キャリアの表面を樹脂等で被覆する系は、特に好ましい。その方法としては、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に粉体で混合する方法等、従来公知の方法がいずれも適用できる。
【0103】
キャリア表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料及びそのレーキ、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などを単独或は複数で用いるのが適当であるが、必ずしもこれに制約されない。
【0104】
上記化合物の処理量は、一般には総量でキャリア100質量部に対し0.1乃至30質量部、好ましくは0.5乃至20質量部である。
【0105】
これらキャリアの平均粒径は10乃至100μm、好ましくは20乃至50μmを有することが好ましい。
【0106】
該キャリアの特に好ましい態様としては、Cu−Zn−Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の組み合せ、例えばポリフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂;ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メチルメタアクリレート樹脂、フッ素系共重合体とスチレン系共重合体;などを90:10乃至20:80、好ましくは70:30乃至30:70の比率の混合物としたもので、0.01乃至5質量%、好ましくは0.1乃至1質量%コーティングし、250メッシュパス、400メッシュオンのキャリア粒子が70質量%以上ある上記平均粒径を有するコートフェライトキャリアであるものが挙げられる。該フッ素系共重合体としてはフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(10:90乃至90:10)が例示され、スチレン系共重合体としてはスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル(20:80乃至80:20)、スチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル(20乃至60:5乃至30:10乃至50)が例示される。
【0107】
上記コートフェライトキャリアは粒径分布がシャープであり、本発明のトナーに対し好ましい摩擦帯電性が得られ、さらに電子写真特性を向上させる効果がある。
【0108】
本発明におけるトナーと混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2質量%乃至15質量%、好ましくは4質量%乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低く実用不可となり、15質量%を超えるとカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐用寿命を短める。
【0109】
さらに、該キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の79.58kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さ(σ1000)は30000乃至300000A/m(30乃至300emu/cm3)であることが必要である。さらに高画質化を達成するために、好ましくは100000乃至250000A/m(100乃至250emu/cm3)であることがよい。300000A/m(300emu/cm3)より大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。30000A/m(30emu/cm3)未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0110】
実施例においても用いられる特性値の測定法は以下の通りである。
【0111】
<難水溶性無機微粒子のゼータ電位の測定>
本発明における難水溶性無機微粒子のゼータ電位値(ζt)及びゼータ電位の平均値に対する標準偏差(σt)の測定は、Zetasizer Nano ZS(MALVERN社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「Dispersion Technology software 4.20」(MALVERN社製)を用いて算出した。具体的な測定方法は下記の通りである。
(1)難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体の製造が完了した後、ただちに重合性単量体組成物の造粒を行う温度(通常は50℃乃至70℃)まで昇温した。その後、ただちに調製容器内から水系媒体を一部抜き取り、容積10mlのシリンジに移した。次に、シリンジ先端を、イオン交換水で2回とも洗いしたゼータ電位測定用キャピラリーセル(DTS1060−Clear disposable zeta cell)の片方のサンプルポートに挿入し、気泡が発生しないよう水系媒体をゆっくりと注いだ。液がキャピラリ部分に隙間なく注入されたことを確認した後、二つのサンプルポートに栓をした。
(2)セルを測定装置のセルホルダーに差し込み、検出部の蓋を閉じた。下記の測定条件で測定を行った。
F(ka)selection Model:Smoluchowski
Dispersant:Water
Temperature:造粒時温度(通常は50℃乃至70℃)
Result Calculation:General Purpose
(3)測定終了後、表示される測定結果のレポート画面において、「Zeta Potential」の値をゼータ電位の平均値とし、「Zeta Deviation」の値をゼータ電位の平均値に対する標準偏差とした。
【0112】
<難水溶性無機微粒子の体積平均粒径(MV)の測定方法>
本発明においては、マイクロトラックUPA−150(日機装株式会社)を用いて動的光散乱法により、水系媒体中の難水溶性無機微粒子を重量分布を算出する。測定に用いる水系媒体と測定セル温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行なった。粒径測定は、60℃で行った。
(1)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行なう。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認する。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行なう。Set Zeroの条件は、時間:60sで行なう。
(3)以下の条件を入力する。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択する。屈折率:1.333、
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択。分布表示:体積を選択。
(4)測定セルに難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、体積平均粒径(MV)および個数平均粒径(MN)を算出する。
【0113】
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−III型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。本発明においてはコールターカウンターTA−III型(コールター社製)を用い、個数分布及び重量分布を算出する。トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
【0114】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0115】
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
【0116】
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
【0117】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0118】
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
【実施例】
【0119】
以下、具体的な製造方法、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は全て質量部である。
【0120】
(水系媒体1の製造)
図1、2及び3に示す態様の装置を使用し、調製工程及び造粒工程の操作を行った。
【0121】
水22.2部に対して塩化カルシウムを3.2部添加して、1000kgの塩化カルシウム水溶液を調製した。
【0122】
一方、タンク1中に、水200部、リン酸ナトリウム5.0部、10%塩酸2.0部の割合で添加して10,000リットルとした液を、タンク1撹拌機であるクレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて回転数1,000回転/分で撹拌しながら、60℃に加温した。
【0123】
次いで、この液の一部をタンク1底部より抜き出し、循環ラインよりロータリーポンプを用いて連続的に、高剪断力撹拌機:Wモーション(エム・テクニック社製)を設置した内容量20リットルのタンク2の導入口に1.5m3/minの流量で送液した。水系媒体は、タンク2内部において、高剪断処理された後、排出口より再び循環ラインを通り、タンク1へ戻る。この時のタンク1とタンク2の液量の比:V2/V1は、20×10-4であり、循環ライン中の水系媒体の流速は、5.0m/sであった。ここで、タンク1の内容量とは、図1中のタンク1:符号2の液量を意味する。また、タンク2の内容量とは、図2及び図3中のタンク2:符号6の液量を意味する。また、Wモーションのロータ周速は、33m/s、スクリーンの周速は、27m/sであり、Wモーションの相対周速(ロータとスクリーンの周速の和)は、60m/sであった。
【0124】
次に、上記操作を継続した状態で、タンク1内を窒素置換すると共に、タンク1に前記塩化カルシウム水溶液を投入した。この後、30分間撹拌を継続し、難水溶性無機微粒子を含む水系媒体1を得た。
【0125】
得られた水系媒体1の60℃におけるゼータ電位を測定したところ、ζt=12.1mV、σt=11.5mVであった。また、得られた水系媒体1の60℃における体積平均粒径を測定したところ、MV=20.3nm、SD=12.3nmであった。
【0126】
難水溶性無機微粒子を含む水系媒体1の物性及び製造条件を表1に示す。
【0127】
(水系媒体2の製造)
水系媒体1の製造例において、リン酸ナトリウムの添加量を5.8部に変更した以外は同様の方法により水系媒体6を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体2の物性及び製造条件を表1に示す。
【0128】
(水系媒体3の製造)
水系媒体1の製造例において、塩化カルシウムの添加量を4.0部に変更した以外は同様の方法により水系媒体7を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体3の物性及び製造条件を表1に示す。
【0129】
(水系媒体4の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2を内容量が40リットルタンクに変更し、タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1を、40×10-4の条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体4を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体4の物性及び製造条件を表1に示す。
【0130】
(水系媒体5の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2を内容量が7リットルタンクに変更し、タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1を、7×10-4の条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体5を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体5の物性及び製造条件を表1に示す。
【0131】
(水系媒体6の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2を内容量が7リットルタンクに変更し、更にタンク2内部の高剪断撹拌機をキャビトロン:ロータ周速40m/s(ユーロテック社製)に変更した。タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1は、7×10-4の条件となり、上記の変更以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体6を作製した。ここで、タンク1の内容量とは、図1中のタンク1:符号2の液量を意味する。また、タンク2の内容量とは、図4及び図5中のタンク2:符号6の液量を意味する。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体6の物性及び製造条件を表1に示す。
【0132】
(水系媒体7の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2を内容量が2リットルタンクに変更し、更にタンク2内部の高剪断撹拌機をキャビトロン:ロータ周速40m/s(ユーロテック社製)に変更した。タンク2とタンク1の内容量の比:V2/V1は、2×10-4の条件となり、上記の変更以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体7を作製した。ここで、タンク1の内容量とは、図1中のタンク1:符号2の液量を意味する。また、タンク2の内容量とは、図4及び図5中のタンク2:符号6の液量を意味する。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体7の物性及び製造条件を表1に示す。
【0133】
(水系媒体8の製造)
水系媒体1の製造例において、ロータリーポンプからタンク2に0.85m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を2.8m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体8を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体8の物性及び製造条件を表1に示す。
【0134】
(水系媒体9の製造)
水系媒体1の製造例において、ロータリーポンプからタンク2に1.80m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を6.0m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体9を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体9の物性及び製造条件を表1に示す。
【0135】
(水系媒体10の製造)
水系媒体1の製造例において、ロータリーポンプからタンク2に0.60m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を2.0m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体10を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体10の物性及び製造条件を表1に示す。
【0136】
(水系媒体11の製造)
水系媒体1の製造例において、ロータリーポンプからタンク2に2.10m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を7.0m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体11を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体11の物性及び製造条件を表1に示す。
【0137】
(水系媒体12の製造)
水系媒体1の製造例において、Wモーションのロータ周速を40m/s、スクリーンを30m/s、相対周速を70m/sの条件に変更した以外は、同様の装置構成・条件にて水系媒体12を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体12の物性及び製造条件を表1に示す。
【0138】
(水系媒体13の製造)
水系媒体1の製造例において、Wモーションのロータ周速を28m/s、スクリーンを22m/s、相対周速を50m/sの条件に変更した以外は、同様の装置構成・条件にて水系媒体13を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体13の物性及び製造条件を表1に示す。
【0139】
(水系媒体14の製造)
水系媒体1の製造例において、Wモーションのロータ周速を23m/s、スクリーンを17m/s、相対周速を40m/sの条件に変更した以外は、同様の装置構成・条件にて水系媒体14を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体14の物性及び製造条件を表1に示す。
【0140】
(水系媒体15の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更した以外は、同様の装置構成・条件にて水系媒体15を作製した。タンク2の液量とは、図6中のタンク2:符号6の液量を意味する。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体16の物性及び製造条件を表1に示す。
【0141】
(水系媒体16の製造)
水系媒体1の製造例において、循環ラインを使用せずに、従来のタンク1のみによる回分式操作にて水系媒体を作製する以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体16を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体16の物性及び製造条件を表1に示す。
【0142】
(水系媒体17の製造)
水系媒体1の製造例において、リン酸ナトリウムの添加量を6.6部に変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した以外は同様の方法により水系媒体17を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体17の物性及び製造条件を表1に示す。
【0143】
(水系媒体18の製造)
水系媒体1の製造例において、塩化カルシウムの添加量を4.5部に変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した以外は同様の方法により水系媒体18を作製した。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体18の物性及び製造条件を表1に示す。
【0144】
(水系媒体19の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2を内容量が45リットルタンクに変更し、タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1を45×10-4の条件に変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体19を作製した。ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味し、タンク2の内容量とは図6中のタンク2:符号6の液量を意味する。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体19の物性及び製造条件を表1に示す。
【0145】
(水系媒体20の製造)
水系媒体1の製造例において、タンク2を内容量が1リットルタンクに変更し、更にタンク2内部の高剪断撹拌機をエバラマイルダー:ロータ周速30m/s(荏原製作所製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した。タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1は、1×10-4の条件となり、上記の変更以外は同様の装置構成・条件にて水系媒体20を作製した。ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味し、タンク2の内容量とは図7及び図8中のタンク2:符号6の液量を意味する。難水溶性無機微粒子を含む水系媒体20の物性及び製造条件を表1に示す。
【0146】
<実施例1>
溶解タンク内に下記の材料をFZ翼式撹拌装置にて40回/分で均一に溶解混合して樹脂含有単量体を調製した。
スチレン:45部
n−ブチルアクリレート:25部
極性樹脂1:スチレン−メタクリル酸メチル−メタクリル酸共重合体(共重合比=95.5:2.0:2.5、Mw=12000、Tg=89℃、酸価=12.0mgKOH/g、Mw/Mn=2.1):15.0部
また、下記処方をアペックスミルで分散し、微粒状着色剤含有単量体を得た。
・スチレン:30部
・C.I.ピグメントレッド122:5.0部
・C.I.ピグメントレッド150:3.0部
・帯電制御剤ボントロンE−88(オリエント化学社製):0.3部
【0147】
次に、前記微粒状着色剤含有単量体と前記樹脂含有単量体を混合して溶解液を得た後、該溶解液を60℃に加温した。そこにワックス(フィッシャートロプシュワックス:融点78.0℃)を10部と重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0148】
その後、タンク1中の前記水系媒体1に前記重合性単量体組成物を投入し、タンク1撹拌機である、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)を用いて、回転数1,000回/分で造粒を開始した。
【0149】
次いで、この液の一部をタンク1底部より抜き出し、循環ラインよりロータリーポンプを用いて連続的に、高剪断力撹拌機:Wモーション(エム・テクニック社製)を設置した内容量20リットルのタンク2の導入口に1.5m3/minの流量で送液した。水系媒体は、タンク2内部において、高剪断処理された後、排出口より再び循環ラインを通り、タンク1へ戻る。この時のタンク1とタンク2の液量の比:V2/V1は200×10-5であり、循環ライン中の水系媒体の流速は5.0m/sであった。ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味する。また、タンク2の内容量とは図2及び図3中のタンク2:符号6の液量を意味する。また、Wモーションのロータ周速は33m/s、スクリーンの周速は27m/sであり、Wモーションの相対周速(ロータとスクリーンの周速の和)は60m/sであった。この後、30分間撹拌を継続し、トナー粒子分散液を得た。
【0150】
その後、重合タンクに移して、FZ翼式撹拌装置により、30回/分で撹拌しつつ、70℃で5時間反応させた後、80℃まで昇温し、更に5時間反応を行い、トナー粒子を製造した。重合反応終了後、加熱減圧下で残存モノマーを除去し、次いで、冷却後に希塩酸を添加して難水溶性無機微粒子を溶解させた。さらに水洗浄を数回繰り返した後、乾燥機を用いて40℃にて72時間乾燥し、トナー粒子1を得た。トナー粒子1の物性を表1に示す。
【0151】
得られたトナー粒子1を分級し、分級後のトナー粒子100部に対して、BET法による比表面積が200m2/gである疎水性シリカ2.0部とBET法による比表面積が100m2/gである酸化チタン0.1部をヘンシェルミキサーにて外添を行ない、現像剤1を得た。この得られた現像剤1を、前述した画像濃度の評価方法に従い、評価を行った。結果を表2に示す。
【0152】
<実施例2>
実施例1中の水系媒体1を水系媒体2に変更した以外は、全て実施例1と同様の操作を行ない現像剤2を得た。画像評価結果を表2に示す。
【0153】
<実施例3>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体3に変更した以外は同様の方法により現像剤3を得た。画像評価結果を表2に示す。
【0154】
<実施例4>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体4に変更し、更にタンク2を内容量が40リットルタンクに変更し、タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1を、40×10-4の条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤4を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0155】
<実施例5>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体5に変更し、更にタンク2を内容量が7リットルタンクに変更し、タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1を、40×10-4の条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤5を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0156】
<実施例6>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体6に変更し、更にタンク2を内容量が7リットルタンクに変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をキャビトロン:ロータ周速40m/s(ユーロテック社製)に変更した。タンク2とタンク1の内容量の比:V2/V1は7×10-4の条件となり、ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味し、タンク2の内容量とは図4及び図5中のタンク2:符号6の液量を意味する。上記の変更以外は同様の装置構成・条件にて現像剤6を作製した。
【0157】
<実施例7>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体7に変更し、更にタンク2を内容量が2リットルタンクに変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をキャビトロン:ロータ周速40m/s(ユーロテック社製)に変更した。タンク2とタンク1の液量の比:V2/V1は2×10-4の条件となり、ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味し、タンク2の内容量とは図4及び図5中のタンク2:符号6の液量を意味する。上記の変更以外は同様の装置構成・条件にて現像剤7を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0158】
<実施例8>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体8に変更し、更にロータリーポンプからタンク2に0.85m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速が2.8m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤8を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0159】
<実施例9>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体9に変更し、更にロータリーポンプからタンク2に1.80m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を6.0m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤9を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0160】
<実施例10>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体10に変更し、更にロータリーポンプからタンク2に0.60m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を2.0m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤10を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0161】
<実施例11>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体11に変更し、更にロータリーポンプからタンク2に2.10m3/minの流量で送液を行い、循環ライン中の水系媒体の流速を7.0m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤11を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0162】
<実施例12>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体12に変更し、更にWモーションのロータ周速を40m/s、スクリーンを30m/s、相対周速を70m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤12を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0163】
<実施例13>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体13に変更し、更にWモーションのロータ周速を28m/s、スクリーンを22m/s、相対周速を50m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤13を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0164】
<実施例14>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体14に変更し、更にWモーションのロータ周速を23m/s、スクリーンを17m/s、相対周速を40m/sの条件に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤14を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0165】
<実施例15>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体15に変更し、更にタンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤15を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0166】
<実施例16>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体16に変更した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤16を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0167】
<比較例1>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体17に変更し、更にタンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤17を作製した。タンク2の内容量とは、図6中のタンク2:符号6の液量を意味する。画像評価結果を表2に示す。
【0168】
<比較例2>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体18に変更し、更にタンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した以外は同様の装置構成・条件にて現像剤18を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0169】
<比較例3>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体19に変更し、更にタンク2を内容量が45リットルタンクに変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をT.K.ホモミクサー:ロータ周速30m/s(特殊機化工業社製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した。ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味し、タンク2の内容量とは図6中のタンク2:符号6の液量を意味する。前記の変更以外は同様の装置構成・条件にて現像剤19を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0170】
<比較例4>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体20に変更し、更にタンク2を内容量が1リットルタンクに変更し、タンク2内部の高剪断撹拌機をエバラマイルダー:ロータ周速30m/s(荏原製作所製)に変更し、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した。ここで、タンク1の内容量とは図1中のタンク1:符号2の液量を意味し、タンク2の内容量とは図7及び図8中のタンク2:符号6の液量を意味する。前記の変更以外は同様の装置構成・条件にて現像剤20を作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0171】
<比較例5>
実施例1において、水系媒体1を水系媒体16に変更し、更に循環ラインを使用せずに、タンク1内部の撹拌翼をクレアミックスからマックスブレンド(住友重機社製)に変更し、回転数30回転/分で撹拌した。従来のタンク1のみによる回分式操作にて、現像剤21を作製した。上記以外は同様の装置構成・条件にて作製した。画像評価結果を表2に示す。
【0172】
【表1】

【0173】
【表2】

【0174】
<造粒性評価>
トナー粒子の粒度分布のシャープ差を表す指標としては、重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(D1)で除した値、すなわちD4/D1を使用する。すなわちD4/D1が1.0に近いほど粒度分布がシャープなことを意味する。
A:1.00以上1.15未満であると非常に良好な造粒性を示す。
B:1.15以上1.20未満では良好な造粒性を示す。
C:1.20以上1.30未満では若干画像に影響があるものの実用上問題がない造粒性を示す。
D:1.30以上では画像に与える影響がかなり激しく製品上好ましくない造粒性を示す。
【0175】
<粗大粒子評価>
トナー粒子の粗大粒子を表す指標としては、重量分布における、10μm以上の粒子の占める割合を使用する。すなわち、10μm以上の粒子数の割合が多いほど、粒子が合一もしくは、粗大化したことを表す。
A:0%以上1.0%未満であると非常に良好な造粒性を示す。
B:1.0%以上3.0%未満では良好な造粒性を示す。
C:3.0%以上5.0%未満では若干画像に影響があるものの実用上問題がない造粒性を示す。
D:5.0%以上では画像に与える影響がかなり激しく、収率の低下も問題となるレベルであり、製品上好ましくない造粒性を示す。
【0176】
<現像スジ>
フルカラーレーザービームプリンター(LBP−2510、キヤノン製)の改造機(プロセススピード:190mm/sec、定着温度190℃)を使用する。このプリンターで低温低湿環境下(15℃、10%RH)の環境下においてトナー350gをプロセスカ−トリッジにセットし、プリントアウトして評価を行った。画像評価は1%の印字率の画像を500枚、15,000枚、30,000枚の印字した後に行った。500枚、15,000枚、30,000枚のプリントアウト試験終了後、転写紙(75g/m2、A4サイズ紙)にハーフトーン(トナーの載り量:0.6mg/cm2)の画像をプリントアウトし、現像スジの数で評価した。
【0177】
評価基準:
A:未発生
B:1個所以上3個所以下
C:4個所以上6個所以下
D:7個所以上あるいは幅0.5mm以上のスジ
【0178】
<総合評価>
A:製法上及び製品上非常に好ましいレベル。
B:製法上及び製品上好ましいレベル。
C:製法上及び製品上問題がないレベル。
D:製法上及び製品上問題があるレベル。
【符号の説明】
【0179】
1 溶解タンク、2 タンク1、3 タンク1撹拌機、4 循環ライン、5 ポンプ、6 タンク2、7 重合タンク、10 ロータ、11 スクリーン、12 導入口、13 排出口、20 ロータ、21 ステータ、22 導入口、23 排出口、30 ロータ、31 ステータ、32 導入口、33 排出口、40 ロータ、41 導入口、42 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難水溶性無機微粒子を少なくとも含有する水系媒体を調製する調製工程、
重合性単量体及び着色剤を少なくとも含有する重合性単量体組成物を該水系媒体中で造粒して該重合性単量体組成物の粒子を形成する造粒工程、
該重合性単量体組成物の粒子に含まれる該重合性単量体を重合してトナー粒子を生成する重合工程を少なくとも有するトナー粒子の製造方法であって、
造粒時の該難水溶性無機微粒子は、ゼータ電位値の平均値をζt、体積平均粒径をMVとしたとき、
−5.0mV≦ζt≦20.0mV
10nm≦MV≦30nm
であり、
該造粒工程はタンク1と高剪断力を有する撹拌手段が設置されたタンク2の間を循環流通させることによって行ない、タンク1内の液量をV1(m3)、タンク2内の液量をV2(m3)としたとき、
40×10-4≧V2/V1≧2×10-4
の関係を満たすことを特徴とするトナー粒子の製造方法。
【請求項2】
造粒時の前記難水溶性無機微粒子は、前記ゼータ電位の平均値に対する標準偏差をσtとしたとき、
5.0mV≦σt≦25.0mV
であることを特徴とする請求項1に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項3】
造粒時の前記難水溶性無機微粒子は、前記体積平均粒径に対する標準偏差をSDとしたとき、
5nm≦SD≦20nm
であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー粒子の製造方法。
【請求項4】
前記高剪断力を有する撹拌手段は、高速回転する撹拌ロータと該撹拌ロータを囲うように設けられ、ロータと逆方向に高速回転するスクリーンとによって形成される撹拌室を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー粒子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−159751(P2012−159751A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20311(P2011−20311)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】