説明

トラック荷台の床用ラッシングレール

【課題】 ラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度を確保しつつも、ベルト係合孔を介して内部にゴミや塵等が入り込んだ場合、それを簡単に取り除くことができ、衛生的に優れたトラック荷台の床用ラッシングレールを提供する。
【解決手段】 土台枠1の上面で、荷台板4に当接又は近接して載置固定されるトラック荷台の床用ラッシングレールにおいて、ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合するベルト係合孔12が所定間隔を有して複数形成された頂部11、該頂部11の一方の側縁から垂下される内側部14、及び、頂部11の他方の側縁から垂下される外側部15を有する長尺なレール本体10と、互いに適宜間隔を有してレール本体10内に部分的に挿入され、レール本体10の内側部14が荷台板4に当接又は近接した状態で、レール本体10の外側部15の下端と土台枠1の上面との間に所定の隙間Lが形成されるよう、レール本体10を支持する複数の取付具20,…とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷崩れ防止ベルト(ラッシングベルト)を固定するためのラッシングレールであって、平ボディタイプ、バンタイプ、ウイングタイプといったトラックの荷台に適用される床用ラッシングレールに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックは、シャーシ上に複数の横根太を車長方向に所定間隔を有して設置し、これら横根太に跨るようにして車幅方向の左右位置にそれぞれ土台枠を設置し、これら左右一対の土台枠上にトラック荷台を載置する構造が一般的であり、平ボディータイプであれば、図4に示す如く、土台枠1の外側部にヒンジ2を介してアオリ3が取り付けられると共に、左右一対の土台枠1,1に跨るようにして荷台板4を設置する構造である。
【0003】
ここで、アオリ3と荷台板4との間に形成される空間を利用した床用ラッシングレールとして、特許文献1に開示されたものが公知である。この床用ラッシングレールは、図4に示す如く、ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合する複数のベルト係合孔7,…を有する上壁6、及び上壁6の幅方向の両端側から下方に伸ばされた内側壁8及び外側壁9を備える長尺状のレール本体5で構成され、内側壁8が荷台板4に当接するように配置された状態で、内側壁8及び外側壁9の下端が土台枠1に溶接等で固定されるものである。
【特許文献1】特許第3828759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の床用ラッシングレールは、頂部に複数のベルト係合孔7,…が形成される一方、両側部は土台枠1の上面に当接して袋状態となっているため、ベルト係合孔7から内部に入り込んだゴミや塵等は簡単に取り除くことができない。加えて、衛生管理が厳しく要求される昨今、トラック業界においてもこの種の問題は看過することができなくなってきているのが現状である。
【0005】
ゴミや塵等の排出性の問題に関しては、断面が逆L字形の床用ラッシングレール(イメージとしては、図4に示されるラッシングレールのうち、外側壁9が除去された形状のもの)を採用することにより解決することは可能である。しかしながら、そのような構造では、剛性が落ちるため、ベルト係合孔7に係止されたラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度が得らず、荷崩れ防止効果が十分でなかったり、最悪の場合、変形したりして使い物にならなくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度を確保しつつも、内部にゴミや塵等が入り込んだ場合、それを簡単に取り除くことができ、衛生的に優れたトラック荷台の床用ラッシングレールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るトラック荷台の床用ラッシングレールは、上記課題を解決すべくなされたもので、土台枠1の上面で、荷台板4に当接又は近接して載置固定されるトラック荷台の床用ラッシングレールにおいて、ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合するベルト係合孔12が所定間隔を有して複数形成された頂部11、該頂部11の一方の側縁から垂下される内側部14、及び、頂部11の他方の側縁から垂下される外側部15を有する長尺なレール本体10と、互いに適宜間隔を有してレール本体10内に部分的に挿入され、レール本体10の内側部14が荷台板4に当接又は近接した状態で、レール本体10の外側部15の下端と土台枠1の上面との間に所定の隙間Lが形成されるよう、レール本体10を支持する複数の取付具20,…とを備えることを特徴とする。
【0008】
あるいは、本発明に係るトラック荷台の床用ラッシングレールは、土台枠1の上面で、荷台板4に当接又は近接して載置固定されるトラック荷台の床用ラッシングレールにおいて、ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合するベルト係合孔12が所定間隔を有して複数形成された頂部11、該頂部11の一方の側縁から垂下される内側部14、及び、頂部11の他方の側縁から垂下されるが、該内側部14よりも長さが短い外側部15を有する長尺なレール本体10と、互いに適宜間隔を有してレール本体10内に部分的に挿入され、レール本体10の内側部14が荷台板4に当接又は近接し且つ内側部14の下端が土台枠1の上面に当接した状態で、レール本体10の外側部15の下端と土台枠1の上面との間に所定の隙間Lが形成されるよう、レール本体10を支持する複数の取付具20,…とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、これらの発明において、レール本体10の頂部11のうち、ベルト係合孔12と干渉しない位置であって、長手方向で互いに適宜間隔を有するそれぞれの位置に、貫通孔13が形成される一方、取付具20に、レール本体10の貫通孔13に対応して貫通孔21が形成されると共に、ナット31を貫通孔21と同心且つ回転不能に収容する収容凹部22が形成され、両貫通孔13,21に挿通されたネジ30が収容凹部22のナット31と螺合することにより、レール本体10が取付具20に締結される構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上、本発明は、側部の下端と土台枠の上面との間に車長方向に亘って長尺な隙間が形成されるため、ベルト係合孔を介して内部にゴミや塵等が入り込んだとしても、それを簡単に取り除くことができ、しかも、レール本体を複数の取付具で支持するようにしたため、ラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るトラック荷台の床用ラッシングレールの一実施形態について図面を参酌しつつ説明する。尚、本実施形態に係る床用ラッシングレール(以下、単に「ラッシングレール」という)が取り付けられるトラック荷台は、上記した平ボディータイプは勿論のこと、その他全てのタイプに適用可能となっているが、これらトラック荷台の構造等は周知であるため、ここでは特に説明はしない。
【0012】
本実施形態に係るラッシングレールは、図1に示すレール本体10と、図2に示す取付具20とで構成される。レール本体10は、ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合する複数のベルト係合孔12,…、締結手段としてのネジやビスが挿通する複数の貫通孔13,…を備え、取付具20は、この複数の貫通孔13,…に対応して用いられる。
【0013】
詳しくは、レール本体10は、図1に示す如く、トラック荷台の車長方向における長さ(前後長さ)とほぼ同じ長さを有する長尺状のもので構成されており、前記ベルト係合孔12,…、前記貫通孔13,…が形成される頂部11、この頂部11の一方の側縁から垂下される内側部14と、頂部11の他方の側縁から垂下される外側部15を備える。
【0014】
頂部11は、水平面に沿って平面状に形成され、ベルト係合孔12と貫通孔13とが交互に形成配置される。ベルト係合孔12は、長方形状を有するが、この構造は一般的に知られているので詳細な説明は割愛する。貫通孔13は、プレス加工により外周部が皿もみ状に窪み、貫通孔13に通される皿ネジの頭が頂部10とほぼ面一となって引っ掛かりを無くすようにされている。尚、貫通孔13は、例えば150mmピッチで形成され、例えば2400mm長さのレール本体10に対し、16個の孔が形成される。
【0015】
内側部14は、頂部11から垂直に垂下され、レール本体10が土台枠の上面に載置された状態で、頂部11がトラック荷台の荷台板とほぼ面一となるよう、荷台板の厚みと同じ高さ寸法(長さ寸法)を有する。一方、外側部15も、頂部11から垂直に垂下されるが、その高さ寸法(長さ寸法)は、内側部14よりも短く、従って、外側部15の下端は、内側部14の下端よりも高い位置での段差となる。言い換えれば、レール本体10が土台枠の上面に載置された状態で、内側部14の下端は、土台枠の上面に当接する一方、外側部15の下端は、土台枠の上面から浮き上がり、この下端と土台枠の上面との間に前後方向に亘って長尺な隙間Lが形成されることとなる。
【0016】
従って、ベルト係合孔12からレール本体10の内部に入り込んだゴミや塵等は隙間Lから簡単に取り除くことができるようになる。尚、隙間Lは、狭すぎると、ゴミや塵等の排出作業が煩雑となり、広すぎると、人の指が入って安全上好ましくないので、そうならない中間の適宜値に設定される。例えば、隙間Lの寸法は、3〜8mmである。
【0017】
取付具20は、図2に示す如く、ブロック体からなり、締結部材としてのネジやビスが挿通する貫通孔21が形成されると共に、下部からは、同じく締結部材としてのナットを挿入可能な収容凹部22が形成される。締結部材の一方として皿ネジが用いられる本実施形態においては、貫通孔21は、レール本体10の貫通孔13と同様、ネジ径よりも若干大きな径を有する丸孔であり、収容凹部22は、締結部材の他方として六角ナットが用いられる本実施形態においては、六角孔である。
【0018】
また、取付具20は、本体部23と、この本体部23の両側方のうちの一方の下部から側方に所定長さで突出する突出部24とからなる。本体部23は、直方形状を有し、突出部24も、直方形状を有する。レール本体10との対比において、本体部23の高さ寸法H1は、レール本体10の貫通孔13の下端と内側部14の下端との高低差と同じかそれよりも若干小さい値となっており、突出部24の高さ寸法H2は、レール本体10の隙間Lと同じかそれよりも若干小さい値となっており、本体部23の幅寸法W1は、レール本体10の内側部14及び外側部15間の内側間隔と同じかそれよりも若干小さい値となっており、突出部24の幅寸法W2は、レール本体10の外側部15の厚みと同じかそれよりも若干大きい値となっている。
【0019】
本実施形態に係るラッシングレールは、以上の構成からなり、次に、その施工方法について図3を参酌しつつ説明する。図3(イ)は、取付具20と土台枠1とが互いに溶接可能な同種の材質からなる場合(例えば、両者が鉄あるいはステンレスの場合や、一方がステンレスで他方が鉄の場合等)の施工方法であり、同(ロ)は、取付具20と土台枠1とが互いに溶接不可能な異種の材質からなる場合や両者が溶接が煩雑な例えばアルミニウム系の材質からなる場合の施工方法である。
【0020】
まず、前者について説明する。最初に、レール本体10の貫通孔13の数と一致する複数の取付具20,…を、それぞれその収容凹部22内にナット31を収容した状態で、貫通孔13のピッチに対応した間隔で土台枠1の前後方向に配置し、次に、取付具20の一部(具体的には、レール本体10と干渉することのない、例えば、図2(イ)に示す取付具20の四辺のうち、右側の縦の辺と上下の横の辺の三辺)と土台枠1とが当接する箇所を溶接する(尚、符号28は、右側の辺における溶接、即ち、突出部24と土台枠1とが当接する箇所における溶接である)。
【0021】
次に、レール本体10を、土台枠1の上面に固定された取付具20,…の上に被せ、取付具20がレール本体10内に収容された状態にする。その状態では、内側部14は、荷台板4の側端面に当接して、荷台板4の角を保護し、一方、外側部15は、その下端が取付具20が該当する部分で突出部24の上方に当接する。
【0022】
かかる状態で、皿ネジ30をレール本体10の貫通孔13に通し、次に取付具20の貫通孔21に通した上で、収容凹部22内のナット31に螺入させる。また、皿ネジ30を強く締め付け、レール本体10を取付具20に締結する。尚、皿ネジ30は、その先端が締め付けに伴って取付具20の収容凹部22を介して取付具20の下面から突出しない程度の長さのものが用いられる。
【0023】
このように、本実施形態に係るラッシングレールによれば、レール本体10が土台枠1に直接固定されるわけではないが、取付具20と土台枠1との溶接箇所28(実際は、取付具20がレール本体10の貫通孔13の数16個に応じて16個使用されるため、溶接箇所28は16箇所である)により、ベルト係合孔12に係止されたラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度が得られつつ、レール本体10のほぼ(取付具20が所在している領域を除くという意味)全長に亘って外向きに隙間Lが形成されるため、ベルト係合孔12からレール本体10の内部に入り込んだゴミや塵等は隙間Lから簡単に取り除くことができる。
【0024】
次に、後者について説明する。最初に、レール本体10の貫通孔13のピッチに対応した間隔で土台枠1に複数の貫通孔29,…をあけ、また、貫通孔13の数と一致する複数の取付具20を、今度は、その収容凹部22内にナット31を収容させずに、貫通孔13のピッチに対応した間隔で土台枠1の前後方向に配置する(即ち、土台枠1に形成された貫通孔29と取付具20の貫通孔21とが同心となるようにして複数の取付具20を、土台枠1の前後方向に配置する)。
【0025】
次に、レール本体10を、土台枠1の上面に配置された取付具20,…の上に被せ、取付具20がレール本体10内に収容された状態にする。その状態では、内側部14は、荷台板4の側端面に当接して、荷台板4の角を保護し、一方、外側部15は、その下端が取付具20が該当する部分で突出部24の上方に当接する。
【0026】
かかる状態で、先ほどよりは長めの皿ネジ30’をレール本体10の貫通孔13に通し、次に取付具20の貫通孔21に通した上で、土台枠1の裏面(下面)に配置されるナット31に螺入させる。また、それから皿ネジ30’を強く締め付け、レール本体10を取付具20と共に土台枠1に締結する。
【0027】
このように、本実施形態に係るラッシングレールによれば、レール本体10及び取付具20と土台枠1との締結箇所30’(実際は、取付具20がレール本体10の貫通孔13の数16個に応じて16個使用されるため、締結箇所30’は16箇所である)により、ラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度が得られつつ、レール本体10のほぼ(取付具20が所在している領域を除くという意味)全長に亘って外向きに隙間Lが形成されるため、ベルト係合孔12からレール本体10の内部に入り込んだゴミや塵等は隙間Lから簡単に取り除くことができる。
【0028】
ここで、土台枠1は、アルミニウム系のものが用いられることもあるが、鉄やステンレス製が大半である。従って、鉄やステンレス製の取付具20を用い、該取付具20を土台枠1に溶接して固定する方法が大半となる。そうであれば、上記したアルミニウム系の場合のように、レール本体10を取付具20と共に土台枠1に締結すべく、該土台枠1に貫通孔29をあける作業が不要である。また、この貫通孔29をあける際、土台枠1の下に横根太が存在していれば、それを避けなければならず、横根太の位置を確認しながらの作業は非常に煩雑であるが、これも不要となる。従って、施工に関わるコストを低く抑えることができる。
【0029】
しかも、溶接されるのは、レール本体10ではなく、取付具20であり、レール本体10は、締結部材により取付具20に固定されるだけなので、レール本体10は、取付具20の材質に関係なく、種々のものを選択することができる。例えば、取付具20が鉄やステンレスであるのに対し、レール本体10は、アルミニウム系の材質を選択することができる。特許文献1では、鉄やステンレス製の土台枠1に対してアルミニウム系のレール本体を取り付けようとすれば、レール本体を土台枠1に締結すべく、該土台枠1に貫通孔をあける作業が必要であり、また、貫通孔29をあける際、土台枠1の下に横根太が存在していないかどうか、横根太の位置を確認しながらの作業が必要であったが、本実施形態においては、このような問題を気にすることなく、アルミニウム系のレール本体10を選択して、軽量化を図ることができる。
【0030】
また、特許文献1では、レール本体そのものを土台枠1に溶接で固定する場合、施工後に、フォークリフトの爪が当たって、レール本体が変形してしまうとか、破損してしまうとか、レール本体が痛んで交換しなければならない状況が発生しても、どう対処もしようがなかったが、本実施形態においては、レール本体10は土台枠1に溶接で固定されるわけではなく、ネジ30を緩めるだけで、新しいものに簡単に交換することができる。このような利点は、トラック荷台内を再塗装する等のメンテナンスに当たり、レール本体10を外して行うことが可能となるため、非常に意義のあるものである。
【0031】
さらに、特許文献1では、トラックを新造する場合、レール本体を土台枠1に溶接して固定してから、トラック荷台内を塗装する必要があるため、レール本体内にまで塗装することは不可能である。そうなると、非常に大きな問題が発生する。というのも、レール本体を土台枠1に溶接する際、その溶接熱が土台枠1のレール本体内部分にまで伝播して内側にも熱影響部が発生する。熱影響部は非常に錆びやすくなっており、外側の熱影響部は塗装を施すことができるから問題はないが、上述の如く、内側の熱影響部は塗装を施すことができず、錆びの発生を抑制することができないのである。これに対し、本実施形態においては、レール本体10を取り付ける前に塗装を施すことができるので、取付具20と土台枠1との間の溶接箇所28に対して確実に且つ全面的に塗装を施すことができ、錆びの発生を好適に抑制することができる。
【0032】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態においては、レール本体10は、トラック荷台の車長方向における長さ(前後長さ)とほぼ同じ長さに形成されているが、これに限定されず、トラック荷台の車長方向における長さ(前後長さ)よりも短い長さのレール本体を複数本用意し、これらレール本体を直列に並べて使用するようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、内側部14及び外側部15は、それぞれ垂直に垂下するようになっているが、これに限定されず、例えば、内側部14及び外側部15の少なくとも一方が下端ほど間隔が広くなるように外向きに傾斜して垂下していてもよいし、少なくとも一方が下端ほど間隔が狭まるように内向きに傾斜して垂下してもよい。
【0035】
また、上記実施形態においては、レール本体10の貫通孔13毎に取付具20を使用したが、これに限定されず、全ての貫通孔13を用いず、間を飛ばして使用し、取付具20の使用個数を減らすようにしてもよい。但し、ラッシングベルトから受ける引っ張り荷重に対して十分な強度を得るためには、全ての貫通孔13に対して取付具13を使用するのが好ましい。
【0036】
また、上記実施形態においては、取付具20と土台枠1とが互いに溶接不可能な異種の材質からなる場合や両者が溶接が煩雑な例えばアルミニウム系の材質からなる場合にのみ、土台枠1に貫通孔29をあけて、レール本体10を取付具20と共に土台枠1に締結固定するようにしているが、これに限定されず、この施工方法は、取付具20と土台枠1とが互いに溶接可能な同種の材質からなる場合の適用を除外するものではない。
【0037】
また、上記実施形態においては、レール本体10の内側部14が荷台板4(の側端面)に当接するようにして配置されるものであったが、内側部14は必ずしも荷台板4に当接する必要はなく、荷台板4の角を保護する趣旨であれば、近接する形態であってもよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、レール本体10の内側部14の下端が土台枠1の上面に当接して、締結に伴う反力を内側部14の下端が受けるようになっているが、これに限定されず、レール本体10の頂部11に形成された貫通孔13のうち、レール本体10内で突出する貫通孔13の下端と、取付具20の上面とが当接する形態、あるいは、レール本体10の貫通孔13の下端がレール本体10内で突出していないのであれば、頂部11の裏面と取付具20の上面とが当接する形態であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、レール本体10の外側部15の下端が取付具20の突出部24に上方から当接して、締結に伴う反力を外側部15の下端及び突出部24の上方が受けるようになっているが、これに限定されず、レール本体10の頂部11に形成された貫通孔13のうち、レール本体10内で突出する貫通孔13の下端と、取付具20の上面とが当接する形態、あるいは、レール本体10の貫通孔13の下端がレール本体10内で突出していないのであれば、頂部11の裏面と取付具20の上面とが当接する形態であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、レール本体10の内側部14と外側部15との長さを変えるようにしているが、これは必須ではない。要は、レール本体10が複数の取付具20,…に支持された状態で、外側部15の下端と土台枠1の上面との間に隙間Lが形成されるようになっていれば、本発明の意図する範囲である。
【0041】
また、上記実施形態においては、プレス加工により外周部が皿もみ状に窪んで、下端がレール本体10内に入り込む形状の貫通孔13であるが、図5に示す如く、その下端をさらに内部に入り込ませるように深く形成すると共に、該下端を受け入れるべく、取付具20の貫通孔21の開口部を拡開するようにすることもできる。このようにすれば、土台枠1の上面に配置された取付具20,…の上にレール本体10を被せた際、複数の取付具20,…は、レール本体10(の貫通孔13,…の下端)によって移動不能に保持された状態となり、レール本体10と各取付具20との一体化が実現される。そのため、施工をより円滑且つ迅速に行うことができ、特に、取付具20,…が土台枠1の上面に溶接で固定しない場合には有用である。尚、取付具20の貫通孔21の上方における拡開部21aは、図5のようなテーパ状でもよいし、座面状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係るラッシングレールのうちのレール本体であって、(イ)は、平面図、(ロ)は、(イ)のA−A線断面図、(ハ)は、(イ)のB−B線断面図、を示す。
【図2】同ラッシングレールのうちの取付具であって、(イ)は、平面図、(ロ)は、(イ)のC−C線断面図、を示す。
【図3】(イ)は、同ラッシングレールを取付具を溶接して取り付ける場合の説明図、(ロ)は、同ラッシングレールを締結により取り付ける場合の説明図、を示す。
【図4】従来のラッシングレールが土台枠に取り付けられた状態の説明図を示す。
【図5】(イ)は、他実施形態に係る同ラッシングレールを取付具を溶接して取り付ける場合の説明図、(ロ)は、同ラッシングレールを締結により取り付ける場合の説明図、を示す。
【符号の説明】
【0043】
1…土台枠、4…荷台板、10…レール本体、11…頂部、12…ベルト係合孔、13…貫通孔、14…内側部、15…外側部、20…取付具、21…貫通孔、21a…拡開部、22…収容凹部、23…本体部、24…突出部、28…溶接部、29…貫通孔、30,30’…皿ネジ、31…ナット、L…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台枠(1)の上面で、荷台板(4)に当接又は近接して載置固定されるトラック荷台の床用ラッシングレールにおいて、
ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合するベルト係合孔(12)が所定間隔を有して複数形成された頂部(11)、該頂部(11)の一方の側縁から垂下される内側部(14)、及び、頂部(11)の他方の側縁から垂下される外側部(15)を有する長尺なレール本体(10)と、
互いに適宜間隔を有してレール本体(10)内に部分的に挿入され、レール本体(10)の内側部(14)が荷台板(4)に当接又は近接した状態で、レール本体(10)の外側部(15)の下端と土台枠(1)の上面との間に所定の隙間(L)が形成されるよう、レール本体(10)を支持する複数の取付具(20,…)とを備えることを特徴とするトラック荷台の床用ラッシングレール。
【請求項2】
土台枠(1)の上面で、荷台板(4)に当接又は近接して載置固定されるトラック荷台の床用ラッシングレールにおいて、
ラッシングベルトの先端が係脱自在に係合するベルト係合孔(12)が所定間隔を有して複数形成された頂部(11)、該頂部(11)の一方の側縁から垂下される内側部(14)、及び、頂部(11)の他方の側縁から垂下されるが、該内側部(14)よりも長さが短い外側部(15)を有する長尺なレール本体(10)と、
互いに適宜間隔を有してレール本体(10)内に部分的に挿入され、レール本体(10)の内側部(14)が荷台板(4)に当接又は近接し且つ内側部(14)の下端が土台枠(1)の上面に当接した状態で、レール本体(10)の外側部(15)の下端と土台枠(1)の上面との間に所定の隙間(L)が形成されるよう、レール本体(10)を支持する複数の取付具(20,…)とを備えることを特徴とするトラック荷台の床用ラッシングレール。
【請求項3】
レール本体(10)の頂部(11)のうち、ベルト係合孔(12)と干渉しない位置であって、長手方向で互いに適宜間隔を有するそれぞれの位置に、貫通孔(13)が形成される一方、
取付具(20)に、レール本体(10)の貫通孔(13)に対応して貫通孔(21)が形成されると共に、ナット(31)を貫通孔(21)と同心且つ回転不能に収容する収容凹部(22)が形成され、
両貫通孔(13,21)に挿通されたネジ(30)が収容凹部(22)のナット(31)と螺合することにより、レール本体(10)が取付具(20)に締結される請求項1又は2に記載のトラック荷台の床用ラッシングレール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−201208(P2008−201208A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37875(P2007−37875)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(598051082)日本ボデーパーツ工業株式会社 (9)