説明

トラップ封水筒

【課題】 排水トラップの内部に装着されるトラップ排水筒の内周面に付着した汚れを除去するに当たって、この汚れを容易に且つ確実に除去することができるトラップ封水筒を提供する。
【解決手段】 排水トラップ1に設けられて排水トラップ1の内部に封水部を形成するためのトラップ封水筒2である。トラップ封水筒2は、湾曲自在な帯状部材31の端部同士をあわせることで形成された筒体部3と、該筒体部3の上部に設けられて帯状部材31の上部の形状を保持させる上枠4と、筒体部3の下部に設けられて帯状部材31の下部の形状を保持させる下枠5と、からなる。筒体部3と上枠4と下枠5とは分解可能に構成され、分解したときには筒体部3が帯形状に展開可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の排水口等に設置される排水トラップの内部に設けられるトラップ封水筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、浴室の排水口等には、臭気の逆流や虫等の侵入を防止するために、排水トラップを設けてある。この排水トラップは、有底円筒状をした排水トラップ本体内の封水中に、トラップ封水筒の下端部を浸漬するようにしてトラップ封水筒を設け、この排水トラップ封水筒内に封水部を形成することで、臭気の逆流や虫等の侵入を防止するものである。
【0003】
ところで、この排水トラップにおけるトラップ封水筒は、排水して汚れた水を封水として使用し、この排水に常に浸漬し続けられるものであるため、カビやヌメリが発生し易くなっており、定期的に手入れが必要である。しかし、一方で、このトラップ封水筒は、その内径が小さくなっており、しかも、上下に長く形成されているため、トラップ排水筒のカビやヌメリを除去するに当たって、この円筒内に手を入れてヌメリを除去する方法では、細部までカビやヌメリを除去することができなかったり、手入れに時間がかかってしまっていたりしていた。
【0004】
そこで、その問題を解決するものとして、例えば、特許文献1に示すものが知られている。この特許文献1に示す排水トラップは、排水トラップ本体内部のトラップ封水筒を上下に2分割するように構成して、トラップ封水筒の手入れを容易にできるようにしたものである。
【特許文献1】特開2007−46426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような上下に2分割したトラップ封水筒であっても、トラップ封水筒の内径は短く形成されているため、このトラップ封水筒の内周面を清掃しようとした場合には、依然として手が入りにくい。そのため、このトラップ排水筒内に手を入れて清掃した場合には、カビやヌメリが手に付着してしまうことがあり、非常に不快であるばかりか、筒内周面の湾曲した曲面に対しては、力を入れて清掃しづらいため、強固に付着した汚れは除去ができないものであった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排水トラップの内部に装着されるトラップ排水筒の内周面に付着した汚れを除去するに当たって、この汚れを容易に且つ確実に除去することができるトラップ封水筒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明にあっては、排水トラップ1に設けられて排水トラップ1の内部に封水部を形成するためのトラップ封水筒2であって、トラップ封水筒2は、湾曲自在な帯状部材31の端部同士をあわせることで形成された筒体部3と、該筒体部3の上部に設けられて帯状部材31の上部の形状を保持させる上枠4と、筒体部3の下部に設けられて帯状部材31の下部の形状を保持させる下枠5と、からなり、筒体部3と上枠4と下枠5とは分解可能に構成され、分解したときには筒体部3が帯形状に展開可能として成ることを特徴とするものである。
【0008】
このように構成したことで、トラップ封水筒2を清掃するに当たって、筒体部3と上枠4と下枠5とに分解することができ、しかも、この筒体部3は、帯形状に展開して平面において清掃することができるから、筒体部3の強固に付着した汚れに対しても力を入れて清掃することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単にトラップ封水筒を分解して、筒体部を帯形状に展開することができるから、トラップ封水筒の内周面を清掃するに当たって、筒内部に手を挿通するという不快な作業をする必要がなく、カビやヌメリといった汚れが不意に手に付着することもなくなる。その結果、汚れ易いトラップ封水筒を綺麗に保つことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。
【0011】
本発明の一実施例として、浴室ユニットの洗い場床パンに設けられた排水トラップに基づいて、本発明のトラップ封水筒を説明する。
【0012】
本実施形態の浴室ユニットは、浴槽を設置する浴槽用床パンと洗い場床パン8で構成される床パンの周囲に、壁パネル及びドアを有する出入り口枠とを立設し、壁パネル及び出入り口枠で囲まれた部分の上端部に天井パネルを配設して構成してある。この洗い場床パン8には、排水が流れ込む排水トラップ1が設置されている。
【0013】
この排水トラップ1は、図4に示すように、外枠をなす排水トラップ本体9と、排水トラップ本体9の略中央に設けられたトラップ封水筒2と、排水トラップ本体9上部の開口縁に設けられたリング材6と、リング材6の内側に嵌合して配置され、内壁にネジ溝が設けてある筒状のフランジ7と、リング材6とフランジ7との間に介装され、リング材6とフランジ7とを密閉させる役割を有するパッキンAと、で構成されている。
【0014】
このトラップ封水筒2は、図1及び図3に示すように、トラップ封水筒2の主体を成す筒体部3と、筒体部3の上部に設けられた上枠4と、筒体部3の下部に設けられた下枠5とから構成されている。
【0015】
上枠4は、上枠4の上端に設けられた平面視環状の縁部41と、その縁部41から下方に行く程開口の径が徐々に小さくなる絞り部42と、その絞り部42の下方端部から垂下して設けられた筒状の上枠下端部43とで構成されている。この縁部41、絞り部42並びに上枠下端部43は連続して設けられており、本実施形態では、通常の応力では変形しない硬質材としてのABS樹脂により一体的に成形されている。また、上枠下端部43の下端面には、溝状の上枠嵌合部44が下面視リング状を成して形成されている。
【0016】
下枠5は、平面視リング状をなす形状によって形成されており、上枠4と同様に、通常の応力では変形しない硬質材としてのABS樹脂により成形されている。この下枠5の上端面には、下枠嵌合部51が平面視リング状に形成されている。
【0017】
筒体部3は、帯状部材31の長手方向の端部同士を突きあわせて円筒形状を形成することで主体が構成されている。この帯状部材31は、湾曲自在な軟質材によって形成されており、本実施形態においては、可撓性を有するCRゴムによって形成されている。この帯状部材31の上端は、上枠4の下端面に形成された上枠嵌合部44に嵌合することで、筒体部3の上部の形状が保持されると共に、帯状部材31の下端を、下枠5の上端面に設けられた下枠嵌合部51に嵌合することで、筒体部3の下部の形状が保持されるようになっており、このように上枠4及び下枠5により筒体部3の形状が保持されることにより、筒体部3を成す帯状部材31の長手方向の端部同士がぴったり当接し、隙間の無いように形成されている。
【0018】
このようにして形成されたトラップ封水筒2は、筒体部3の上端に上枠4を、筒体部3の下端に下枠5を、嵌め込むことで全体を形成しているから、簡単に筒体部3と上枠4と下枠5とに分解することができる。さらに言えば、筒体部3は湾曲自在な軟質材によって形成されているから、分解したときには、筒体部3を簡単に押し広げることができ、つまり、容易に帯形状に展開が可能となっている(図2参照)。
【0019】
このようなトラップ排水筒2は、トラップ封水筒2を清掃するに当たって、筒体部3と上枠4と下枠5とに分解することができ、しかも、この筒体部3は上述のように、帯形状に展開して平面において清掃することができるから、筒体部3の強固に付着した汚れに対しても力を入れて清掃することができる。
【0020】
本実施形態におけるトラップ封水筒2は、上記のように排水トラップ本体9の中央に挿通して設置される。
【0021】
排水トラップ本体9は、図4に示すように、排水の流入口91を有するフランジ7の下端を挿通する流入口用開口が設けられており、側方に排水の流出口92を有している。洗い場床パン8の排水溝81の底部と接続した流入口91を有するフランジ7が取り付けられるこの流入口用開口が、排水トラップ本体9への入り口となっている。排水トラップ本体9の流出口92は、排水管の端部に接続し、排水トラップ本体9からの排水の出口となっている。また、排水トラップ本体9内には、流入口91の下方に滞留槽部93を設けてあり、滞留槽部93の外壁をなす周壁93aと同じ高さの排水が、滞留槽部93に溜まるようになっている。
【0022】
このような排水トラップ本体9の開口縁にリング材6を設置し、その後、パッキンAを配設した排水溝81の開口縁を、このリング材6と、フランジ7の流入口91の外縁の鍔部とで挟持するようにして、リング材6の内側に嵌合してフランジ7が設置されている。
【0023】
そして、排水トラップ本体9に設置されたフランジ7の上部から、本発明のトラップ封水筒2が挿通して設置される。図4に示すように、トラップ封水筒2の上端にある縁部41はフランジ7に設けられたネジ溝に沿って螺合され、トラップ封水筒2は排水トラップ本体9内部と着脱自在に設けられている。トラップ封水筒2の縁部41と排水トラップ本体9のフランジ7との接点にはその間にパッキンBが設けられ、密閉状態が維持されている。
【0024】
そして、トラップ封水筒2の下端が周壁93aの上端より下方で、且つ、滞留槽部93の底面より上方に位置するようになっている。滞留槽部93内にトラップ封水筒2をこのように配置することにより、滞留槽部93内に滞留する排水を封水部とし、この封水部によって排水トラップ本体9の流入口91と流出口92とを分断することができる。これにより流出口92を通って排水トラップ本体9内に入ってくる排水管からの臭気を、滞留槽部93内に滞留する排水により形成された封水部によって遮断し、臭気が流入口を通って室内に洩れ出さないようにすることができる。
【0025】
以上、本発明の一実施例として、浴室ユニットの洗い場床パン8に設けられた排水トラップ1に基づいて、本発明のトラップ封水筒を説明したが、本発明のトラップ封水筒は、浴室ユニットに限定されず、排水トラップの設けられるものであれば、すべてにおいて適用することができる。
【0026】
なお、本実施形態のトラップ封水筒2の材質は上記のものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態のトラップ封水筒の斜視図であり、(a)は上枠の斜視図であり、(b)は筒体部の斜視図であり、(c)は下枠の斜視図である。
【図2】同上の筒体部を展開した状態の斜視図である。
【図3】同上のトラップ封水筒であり(a)は側面図であり(b)は要部断面図である。
【図4】同上の排水トラップの側断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 排水トラップ
2 トラップ封水筒
3 筒体部
31 帯状部材
4 上枠
41 縁部
42 絞り部
43 上枠下端部
44 上枠嵌合部
5 下枠
51 下枠嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水トラップに設けられて排水トラップの内部に封水部を形成するためのトラップ封水筒であって、トラップ封水筒は、湾曲自在な帯状部材の端部同士をあわせることで形成された筒体部と、該筒体部の上部に設けられて帯状部材の上部の形状を保持させる上枠と、筒体部の下部に設けられて帯状部材の下部の形状を保持させる下枠と、からなり、筒体部と上枠と下枠とは分解可能に構成され、分解したときには筒体部が帯形状に展開可能として成ることを特徴とするトラップ封水筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−106474(P2010−106474A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277388(P2008−277388)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(505154956)パナソニック電工バス&ライフ株式会社 (306)
【Fターム(参考)】