説明

トランスジェニック哺乳動物の乳汁中に外因性タンパク質を産生するためのプロセスおよびそれからタンパク質を精製するためのプロセス

本発明は、目的のタンパク質を産生する方法に関し、その方法は、その乳汁中に上記タンパク質を産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する工程、その非ヒトトランスジェニック哺乳動物から上記乳汁を得る工程、およびその乳汁から上記目的のタンパク質を精製する工程を包含する。トランスジェニックウシ動物が生み出され、その動物は、乳腺においてヒト成長ホルモンを産生し得る。この方法は、hGH遺伝子をコードする遺伝的構築物およびβカゼインプロモーターを発現ベクターに首尾よくクローニングすることを含む。また、ウシ胎仔の体細胞(一般的には、線維芽細胞)へのトランスフェクション手順および除核されたウシ卵母細胞への核移植を含み、それゆえ、トランスジェニック胚を生み出す。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
ヒトの健康管理に関与するタンパク質因子およびホルモンは、一般的に、この数十年間、抽出によってか、または組換え技術によって製薬産業により生成された。所望の遺伝子を含む遺伝的構築物の発現は、細菌、酵母または哺乳類細胞株で首尾よく発現された。しかし、複雑なタンパク質(例えば、適切なグリコシル化パターンを必要とするタンパク質)を得るために哺乳類細胞培養物を使用することは、高コストの手順を伴う。
【0002】
組換えDNA技術は、商業的に重要な生物学的物質の産生のために、この十年間にわたってますます使用されている。この目的のために、種々の医学的に重要なヒトタンパク質をコードするDNA配列がクローニングされている。これらとしては、インスリン、プラスミノゲン活性化因子、α−抗トリプシンならびに凝固因子VIIIおよび凝固因子IXが挙げられる。現在、新興の組換えDNA技術を用いても、これらのタンパク質は、通常は血液および組織から精製される、感染因子(例えば、AIDSおよび肝炎を引き起こす因子)を伝達する危険性を有し得る高価で時間のかかるプロセスである。
【0003】
所望の医学的に重要なタンパク質を産生するための、細菌におけるDNA配列の発現は魅力的な提案であるように見えるが、実際には、細菌は多くの場合、宿主として不十分であると判明する。なぜなら、細菌細胞において、外来のタンパク質は不安定であり、正確にプロセスされないからである。
【0004】
この問題を認識して、哺乳類組織培養物におけるクローン化遺伝子の発現が試みられ、いくつかの事例では、実現性のあるストラテジーが証明された。しかし、動物細胞のバッチ発酵は高価であり、技術的な要求の厳しいプロセスである。
【0005】
従って、正確に改変された真核生物のポリペプチドのような生物学的物質の産生のための、高収量で低コストのプロセスに対する必要性が存在する。ヒトに対して感染性である因子が存在しないことが、そのようなプロセスの利点である。
【0006】
所望の遺伝子に対して、乳汁中に大量のヒトタンパク質を得る目的で、ウシのようなトランスジェニック動物を得る可能性は、産業にとって非常に関心のあることである。いくつかのグループが文献で、ヒト血清アルブミン、α抗トリプシンを産生することにおける成功、およびトランスジェニックウシもしくはヤギにおける他のいくつかの例を報告している。
【0007】
以前に多くの実験がマウスまたはラットで行われ、βカゼインプロモーターまたはラクトアルブミンプロモーター(これらは、授乳中の雌性における乳腺転写因子に対してのみ応答する)が使用されるので、トランスジーン発現は常に乳腺に限定されることが好まれた。
【0008】
乳汁において排他的な異種タンパク質の発現は、宿主動物の健康への望ましくない影響を避けること、および容易な精製方法を提供することが意図されている。
【0009】
現在、人々は、細胞のトランスフェクションまたは選択の収量を改善するようないくつかのシステムを提示すること、ならびにクローン動物の生存状態および免疫状態を改善するような相同の胎児体細胞の供給源を選択することに専念している。
【0010】
他方では、農業的な目的および生物医学的な目的で、主にえり抜きの家畜の繁殖およびトランスジェニック動物の遺伝子操作を可能にするために、体細胞核移植に非常に大きな関心が存在する。簡単に述べると、核移植(NT)は、受容卵母細胞の除核、その後の受容細胞質体に接して付着する卵黄周囲腔へのドナー細胞の移植、およびそれらの融合を含む。発生は、化学的活性化または物理的活性化によって人工的に誘導される。体細胞核移植によるクローン子孫の産生は、ヒツジで(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)、ヤギで(非特許文献4)、そしてウシで(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)首尾よく達成されている。
【0011】
NT(除核、融合、活性化およびドナー−レシピエント細胞周期同調性の方法を含む)の結果に影響を与えるいくつかの要因が存在する。受容卵母細胞の除核の高効率は、クロマチンを可視化するためにDNA特異的生体色素を用いて達成されている(非特許文献8、非特許文献9)。ドナー細胞と受容卵母細胞の融合は、パルスフィールドにおける細胞配置の精度、ドナー細胞と受容卵母細胞の接触、およびドナー細胞のサイズに依存する(非特許文献10)。NTで再構築された胚の活性化は洗練されており、胚盤胞への発生率は、インビトロで授精された卵母細胞と同等である(非特許文献11)。
【0012】
NT胚の成功した発生は、受容細胞質体として成熟卵母細胞を用いて(非特許文献12)、接合体を用いて(非特許文献13)、および卵割段階の胚を用いて(非特許文献14)達成されている。しかし、これは、ドナー核の供給源に依存する。受容細胞質体とドナー細胞との間の細胞周期の適合性は、NT胚の発生に影響を与える重要な要因の1つである。適切な同調化が、再構築された胚の倍数性を保つために必要である。
【0013】
有糸分裂細胞周期は、以下の連続的な期を有する:前複製間期(G)、DNA合成期(S)、前分裂間期(G)および分裂期(M)。一回の細胞周期の間、すべてのゲノムDNAが分裂前に一度複製する。除核された成熟卵母細胞(第2中期)に移植された間期ドナー核は、数度の形態学的な変化を経験する。融合後、しかしドナー核エンベロープ崩壊(NEBD)前に、染色体は凝集する(PCC)。これらの変化は、成熟/有糸分裂/減数分裂促進因子(MPF)およびマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の活性によって誘導される(非特許文献15)。MPFおよびMAPK活性は、すべての減数分裂細胞および有糸分裂細胞において見出され、そしてMPFおよびMAPK活性は、中期で最も高く、哺乳類卵母細胞ではこれらの高レベルはまた、第2中期の停止を誘導する。受精またはカルシウムイオノフォアでの活性化によるMPFおよびMAPKの減少は、減数分裂の完了、第二極体放出、精核脱凝集および前核形成のシグナルである。
【0014】
ドナークロマチンにおけるNEBDおよびPCCの直接的な効果は、移植時におけるドナー核の細胞周期に依存する。二倍体のG/G核は凝集して単一の染色分体を形成するが、四倍体のG核は凝集して二重の染色分体を形成する。しかし、移植時におけるS期の核は、特徴的な「バラバラになった(pulverized)」外見を示す;PCCが広範なDNA損傷を生じる。従って、活性化時またはその前にG核またはG核を第2中期の卵母細胞に移植することによって、正確な倍数性がもたらされ得る。第2の方法は、S期に予め活性化された卵母細胞に核を移植することであり、この場合、G期、G期またはS期のドナー細胞を使用することが可能である。MPFおよびMAPKは低いので、クロマチンは脱凝集し、PCCおよびNEBDを伴わずにDNA複製が起こる。
【0015】
第3の同調化スキームは、マウスで報告されており、生存子孫の発生が、Gドナー細胞または中期ドナー細胞と除核された第2中期卵母細胞とを使用する胚再構築によってもたらされた(非特許文献16、非特許文献17)。NTで再構築された胚からの極体の排出が単一の二倍体胚および二倍体極体を生じることが報告された(非特許文献17)。しかし、ウシ、ヒツジまたはブタにおいて除核されたMII卵母細胞へのNT後の極体形成に関する報告は存在せず、これは、無傷の紡錘体の形成および極体の排出を制御する仕組みにおける種間の相違を示唆する。
【0016】
ドナー細胞およびレシピエントの細胞周期段階は、ドナー細胞核をリプログラム(reprogram)するためにもまた重要であることが示唆されている。ドナー核移植と接合体転写との間の時間の増加は、核のリプログラミング(reprogramming)を改善し得る。この理由により、数人の著者は、卵母細胞を融合の数時間後に活性化させた(非特許文献5、非特許文献18、非特許文献19)。他の報告は、連続的な核移植を適用した(非特許文献8)。
【0017】
ドナー核のリプログラミング時間を増加させるための未開の手順は、第2中期前の核移植による手順である。卵核胞崩壊(GVBD)の後、すべての核事象が卵母細胞の細胞質ゾルのMPFおよびMAPKの実質的な増加によって調節され、これは核エンベロープの再構築および受精もしくは活性化までS期に入ることを妨げる。従って、成熟卵母細胞は、中期ドナー細胞またはGドナー細胞についての一般的なレシピエントであり得る。活性化が細胞分裂前にS期を誘導する場合には、GまたはGでさえもドナー細胞として使用され得る。
【0018】
またはMにおける割球がドナー細胞として使用される場合、核のリプログラミングが可能である(非特許文献16、非特許文献17、非特許文献20)。1つの説明は、染色体凝集の結果として、いくつかの要素がクロマチンから置き換わるということである。実際に、核移植について、NEBDおよびPCCは核のリプログラミングの形態学的なサインであると考えられている。従って、受精時に精子クロマチンが極度に凝集し、その容積が体細胞の核の容積よりも非常に小さくなり、卵母細胞が精子核タンパク質を除去する能力を有する。卵母細胞染色体もまた、精子−卵母細胞の融合中に凝集する。凝集したクロマチンコンフォメーションがいくらかの生物学的な関連性を有し得る可能性がある。従って、中期核移植によるこの局面を模倣することによって、中期に除核されたレシピエントがNTの結果を改善し得る。しかし、少数の研究者は、家畜においてドナー細胞として割球を用いてこのアプローチを使用した(非特許文献20)。
【非特許文献1】Campbell,K.H.ら、Nature 380、1996年、p.64−66
【非特許文献2】Wells,D.N.ら、Biol Reprod 57、1997年、p.385−393
【非特許文献3】Wilmut,I.ら、Nature 385、1997年、p.810−813
【非特許文献4】Baguisi,A.ら、Nat Biotechnol 17、1999年、p.456−461
【非特許文献5】Cibelli,J.B.ら、Science 280、1998年、p.1256−1258
【非特許文献6】Kato,Y.ら、Science 282、1998年、p.2095−2098
【非特許文献7】Wells,D.N.ら、Reprod Fertil Dev 10、1998年、p.369−378
【非特許文献8】Stice,S.L.およびKeefer,C.L.、Biol Reprod 48、1993年、p.715−719
【非特許文献9】Westhusin,M.E.ら、J Reprod Fertil 95、1992年、p.475−480
【非特許文献10】Collas,P.ら、Anal Biochem 208、1993年、p.1−9
【非特許文献11】Liu,L.ら、Mol Reprod Dev 49、1998年、p.298−307
【非特許文献12】Willadsen,S.M.、Nature 320、1986年、p.63−65
【非特許文献13】McGrath,J.およびSolter,D.、Dev Biol N Y 4、1985年、p.37−55
【非特許文献14】Tsunoda,Y.ら、J Reprod Fertil 96、1992年、p.275−281
【非特許文献15】Collas,P.およびRobl,J.M.、Biol Reprod 45、1991年、p.455−465
【非特許文献16】Cheong,H.T.ら、Biol Reprod 48、1993年、p.958−963
【非特許文献17】Kwon,O.Y.およびKono,T.、ProcNatl Acad Sci U S A 93、1996年、p.13010−13013
【非特許文献18】Wakayama,T.ら、Nature 394、1998年、p.369−374
【非特許文献19】Wells,D.N.ら、Biol Reprod 60、1999年、p.996−1005
【非特許文献20】Liu,L.ら、Mol Reprod Dev 47、1997年、p.255−264
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の1つの目的は、既存の体細胞核移植を特徴付けし、成体ドナー細胞から遺伝的に同一の幼獣を産生するための信頼性のある経済的な技術に洗練することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の要旨)
本発明は、非ヒトトランスジェニック哺乳動物に関し、この非ヒトトランスジェニック哺乳動物は、その乳汁における予想外に高レベルの組換え成長ホルモンの産生によって特徴付けられる。組換え成長ホルモンはヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。非ヒトトランスジェニック哺乳動物はウシ種の動物であり得るが、これに限定されない。
【0021】
本発明はさらに、哺乳動物の乳腺細胞において目的のタンパク質の発現を提供するプラスミドに関し、その哺乳動物において発現は、βカゼインプロモーターによって調節される。目的のタンパク質はヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。
【0022】
本発明はまた、その乳汁中に組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する様々な方法に関する。組換え成長ホルモンはヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。非ヒトトランスジェニック哺乳動物はウシ種の動物であり得るが、これに限定されない。
【0023】
本発明はまた、目的のタンパク質を産生する方法に関し、その方法は、その乳汁中に上記タンパク質を産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する工程、その非ヒトトランスジェニック哺乳動物から上記乳汁を得る工程、およびその乳汁から上記目的のタンパク質を精製する工程を包含する。目的のタンパク質はヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。非ヒトトランスジェニック哺乳動物はウシ種の動物であり得るが、これに限定されない。
【0024】
本発明はまた、トランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを産生し、精製する方法に関する。組換え成長ホルモンはヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。トランスジェニック動物はウシ種の動物であり得るが、これに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(発明の詳細な説明)
本発明は、非ヒトトランスジェニック哺乳動物に関し、この非ヒトトランスジェニック哺乳動物は、その乳汁における予想外に高レベルの組換え成長ホルモンの産生によって特徴付けられる。この哺乳動物は、ウシ種の動物であり得るが、これに限定されない。トランスジェニック哺乳動物の他の種は、ブタ種、ヒツジ種、ヤギ種、または齧歯動物種であり得るが、これらに限定されない。
【0026】
組換え成長ホルモンはヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。ソマトトロピンとしても公知であるこの分子は、191個のアミノ酸からなるタンパク質であり、約22kDの分子量を有する。ヒト成長ホルモンは線形成長に必須であり、その適用は十分に確立されている。
【0027】
本発明はまた、トランスジェニック哺乳動物に関し、このトランスジェニック哺乳動物は、その乳汁中に産生される組換え成長ホルモンがそのホルモンを含む乳汁をより多く産生するために、その動物の乳腺を自己刺激するという事実によって特徴付けられる。
【0028】
本発明はまた、βカゼインプロモーターに作動可能に連結された目的のタンパク質をコードする遺伝子と、βラクタマーゼ遺伝子とを含むプラスミドに関する。この目的のタンパク質はヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。このプラスミドはpRβhGHであり得る。
【0029】
さらなる実施形態において、プラスミドは、ジェネティシン耐性細胞の選択のために、ネオマイシン耐性遺伝子をさらに含む。そのようなプラスミドの例は、pRNeoである。
【0030】
さらなる実施形態において、プラスミドは、GFPのような緑色蛍光タンパク質(これは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下にある)をコードする遺伝子を含む。そのようなプラスミドの例は、pRNeoGreenである。
【0031】
本発明はさらに、上に記載されたプラスミドのようなプラスミドに関し、そのプラスミドは、制限消化によって直鎖状にされる。特に、制限酵素ApaLIの使用が採用され、βラクタマーゼ遺伝子が切除される。
【0032】
上で言及したプラスミドの、ブダペスト条約に基づく寄託手順が進行中である。寄託機関の名称および所在地は、以下である:DSMZ−ドイチェ ザムルング フォン ミクロオルガニスメン ウント ツェルクトゥレン ゲーエムベーハー、マッシャーオーダー ヴェーク 1b,38124 ブラウンシュヴァイク,ドイツ。対応する受託番号は、後日提供される。
【0033】
本発明はさらに、改変されたより短いβカゼインプロモーター領域がhGHコード領域の上流に挿入されたNeo耐性遺伝子を含むプラスミド(例えば、pVEβcashGH)のもとに構築されたプラスミドに関する。直鎖状フラグメントは、βラクタマーゼ遺伝子を切除することによってプラスミドpVEβcashGHから得られ得る。
【0034】
本発明はさらに、リポソーム利用のためにカチオン性脂質の組み合わせを用いる、遺伝的構築物のトランスフェクションのための方法に関する。
【0035】
適切な培地におけるネオマイシン耐性細胞の選択方法もまた、緑色蛍光トランスジェニック細胞を選択する方法と同様に記載される。これらの細胞は、細胞損傷を避けるように注意深く採取される。
【0036】
本発明はまた、Gまたは細胞周期の異なる時期に停止された細胞の、除核されたウシ卵母細胞への核移植方法に関する。
【0037】
本発明は、ホルモン刺激したウシの子宮へのトランスジェニック胚移植方法に関する。
【0038】
本発明に従って、動物の健康パラメーターを決定する方法が開示される。分析はそのようなパラメーターを決定するために、動物の血清および乳汁の両方で行われる。
【0039】
本発明はさらに、非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する方法に関し、その方法は、成長ホルモンをコードする遺伝子を得る工程、その遺伝子をプラスミドにクローニングし、それによって乳腺細胞においてその遺伝子の発現を誘導するプロモーターにその遺伝子が作動可能に連結され、発現プラスミドを得る工程、その発現プラスミドが体細胞のゲノムに組み込まれるように体細胞をその発現プラスミドでトランスフェクトする工程、トランスジェニック体細胞を得る工程、成熟卵母細胞を除核し、除核された卵母細胞を得る工程、1つのトランスジェニック体細胞とその除核された卵母細胞とを融合し、単細胞胚を得る工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0040】
本発明はさらに、非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する方法に関し、その方法は、その乳汁において組換え成長ホルモンを産生するためのトランスジェニックである雌性哺乳動物から体細胞(必要に応じて、線維芽細胞)を抽出する工程、成熟卵母細胞を除核し、除核された卵母細胞を得る工程、1つのトランスジェニック体細胞とその除核された卵母細胞とを融合し、単細胞胚を得る工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0041】
本発明はさらに、非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する方法に関し、その方法は、その乳汁において組換え成長ホルモンを産生するためのトランスジェニックである雌性の非ヒト哺乳動物を過排卵させる工程、その哺乳動物を雄性の非ヒトかつ非トランスジェニックの哺乳動物由来の精液と人工授精させて胚を産生させる工程、その胚を収集する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0042】
本発明はさらに、非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する方法に関し、その方法は、その乳汁において組換え成長ホルモンを産生するためのトランスジェニックである雌性の非ヒト哺乳動物を過排卵させる工程、その哺乳動物を上記組換え成長ホルモンを産生するためのトランスジェニックである雄性の非ヒト哺乳動物から得られた精液と人工授精させて胚を産生させる工程、その胚を収集する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0043】
本発明はさらに、非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する方法に関し、その方法は、雌性の非ヒトかつ非トランスジェニックの哺乳動物を過排卵させる工程、その哺乳動物を組換え成長ホルモンを産生するためのトランスジェニックである雄性の非ヒト哺乳動物から得られた精液と人工授精させて胚を得る工程、その胚を収集する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0044】
上記組換え成長ホルモンはヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。
上記非ヒトトランスジェニック哺乳動物はウシ種の動物であり得るが、これに限定されない。
【0045】
本発明はさらに、タンパク質を産生する方法に関し、その方法は、その乳汁中に予想外に高収量で目的のタンパク質を産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する工程、その非ヒトトランスジェニック哺乳動物からその乳汁を得る工程、およびその乳汁からその目的のタンパク質を精製する工程を包含する。
【0046】
本発明はまた、一定のプロセスによって作製された非ヒトトランスジェニック哺乳動物において目的のタンパク質を産生するための方法に関し、その方法は、上記目的のタンパク質をコードする遺伝子を得る工程、その遺伝子をプラスミドにクローニングし、それによって乳腺細胞においてその遺伝子の発現を誘導するプロモーターにその遺伝子が作動可能に連結され、発現プラスミドを得る工程、体細胞のゲノムにそのプラスミドが組み込まれるように体細胞(必要に応じて、線維芽細胞)をそのプラスミドでトランスフェクトし、トランスジェニック体細胞を得る工程、成熟卵母細胞を除核し、除核された卵母細胞を得る工程、1つのトランスジェニック体細胞とその除核された卵母細胞とを融合する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびその哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0047】
本発明はさらにまた、一定のプロセスによって作製された非ヒトトランスジェニック哺乳動物において目的のタンパク質を産生するための方法に関し、その方法は、その乳汁において上記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである雌性哺乳動物から体細胞(必要に応じて、線維芽細胞)を抽出する工程、成熟卵母細胞を除核し、除核された卵母細胞を得る工程、1つのトランスジェニック体細胞とその除核された卵母細胞とを融合し、単細胞胚を得る工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0048】
本発明はまた、一定のプロセスによって作製された非ヒトトランスジェニック哺乳動物において目的のタンパク質を産生するための方法に関し、その方法は、その乳汁において上記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである雌性の非ヒト哺乳動物を過排卵させる工程、その哺乳動物を雄性の非ヒトかつ非トランスジェニックの哺乳動物から得られる精液と人工授精させて胚を産生させる工程、その胚を収集する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0049】
本発明はまた、一定のプロセスによって作製された非ヒトトランスジェニック哺乳動物において目的のタンパク質を産生するための方法に関し、その方法は、その乳汁において上記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである雌性の非ヒト哺乳動物を過排卵させる工程、その哺乳動物を上記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである雄性の非ヒト哺乳動物から得られた精液と人工授精させて胚を産生させる工程、その胚を収集する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程を包含する。
【0050】
本発明はまた、一定のプロセスによって作製された非ヒトトランスジェニック哺乳動物において目的のタンパク質を産生するための方法に関し、その方法は、雌性の非ヒトかつ非トランスジェニック哺乳動物を過排卵させる工程、その哺乳動物を上記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである雄性の非ヒト哺乳動物から得られた精液と人工授精させて胚を産生させる工程、その胚を収集する工程、その胚を受容性の哺乳動物の子宮移植する工程、およびそのトランスジェニック哺乳動物の出生を通じてモニタリングする工程を包含する。
【0051】
その乳汁において目的のタンパク質の予想外に高レベルの産生によって特徴付けられるトランスジェニック哺乳動物はウシ種の動物であり得るが、これらに限定されない。トランスジェニック哺乳動物の他の種は、ブタ種、ヒツジ種、ヤギ種または齧歯動物種であり得るが、これらに限定されない。目的のタンパク質はヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。
【0052】
本発明はさらに、その乳汁中に組換えヒト成長ホルモンを産生するウシ種の非ヒトトランスジェニック哺乳動物に関し、そのゲノムは統合されたプラスミドを含み、上記プラスミドはヒト成長ホルモン遺伝子と、その哺乳動物の乳腺細胞において上記遺伝子の発現を誘導するβカゼインプロモーターとを含む。
【0053】
本発明はさらに、予想外の高レベルでhGHを産生するが、そのような高レベルのhGH産生で期待される身体的発育を示さないトランスジェニック哺乳動物に関する。トランスジェニックウシはヒト成長ホルモンの存在によって影響を受けるので、その動物が非トランスジェニックの成長速度を超えて成長すること、ならびに真性糖尿病、高血圧、心血管疾患および身体器官(肝臓、脾臓、腎臓および心臓が挙げられる)の肥大の増大した危険性などの状態に苦しむと見込まれる。そのような高レベルのhGHは、その動物を理論的には生育不能にするはずである。しかし、これは事実ではない。その血液中に憂慮すべきほど高レベルの外来ホルモンを含むが、全く健康で組換えタンパク質の顕著な生産性を生じる哺乳動物(例えば、ウシ)は、予想外かつ革新的な貢献をする。
【0054】
本発明の組換えヒト成長ホルモンは、予想外に高レベルで産生される。産生されるヒト成長ホルモンのレベルは、乳汁1Lあたり約1.0gを超える。hGHのレベルは、乳汁1Lあたり約2.0gを超え得る。産生されるhGHのレベルはまた、乳汁1Lあたり約3.0gを超え得る。別の実施形態において、産生されるhGHのレベルは、乳汁1Lあたり約4.0gを超え得る。さらに別の実施形態において、産生されるhGHのレベルは、乳汁1Lあたり約5.0gを超え得る。さらなる実施形態において、産生されるhGHのレベルは、乳汁1Lあたり約6.0gを超え得る。なおさらなる実施形態において、産生されるhGHのレベルは、乳汁1Lあたり約1.0g〜乳汁1Lあたり約7.0gである。さらなる実施形態において、産生されるhGHのレベルは、乳汁1Lあたり約2.0g〜乳汁1Lあたり約6.0gである。さらに別の実施形態において、産生されるhGHのレベルは、乳汁1Lあたり約2.0g〜乳汁1Lあたり約5.0gである。
【0055】
さらに、本発明は、トランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法、ならびに上記ホルモンのアッセイに関する。精製方法は、クロマトグラフィー工程および濃縮工程を含み得る。様々な型のクロマトグラフィーが使用され得、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、分子排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。イオン交換クロマトグラフィーはアニオン交換クロマトグラフィーであり得る。アフィニティークロマトグラフィーはイムノアフィニティークロマトグラフィーであり得る。さらに、複数のクロマトグラフィー工程が行われ得る。
【0056】
本発明はさらに、組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法に関し、その方法は、非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁を清澄し、清澄された乳汁を得る工程、およびその清澄された乳汁をクロマトグラフィーに供し、精製された組換え成長ホルモンを得る工程を包含する。
【0057】
本発明はさらに、組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法に関し、その方法は、非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁を清澄し、清澄された乳汁を得る工程、その清澄された乳汁を流動層(expanded−bed)によるアニオン交換クロマトグラフィーに供し、アニオン交換クロマトグラフされた物質を得る工程、そのアニオン交換クロマトグラフされた物質を逆相クロマトグラフィーに供し、逆相クロマトグラフされた物質を得る工程、その逆相クロマトグラフされた物質をアニオン交換クロマトグラフィーに供し、アニオン交換クロマトグラフされた物質を得る工程、そのアニオン交換クロマトグラフされた物質を分子排除クロマトグラフィーに供し、分子排除クロマトグラフされた物質を得る工程、その分子排除クロマトグラフされた物質を濃縮し、濃縮された物質を得る工程、およびその濃縮された物質を分子排除クロマトグラフィーに供し、純粋な組換え成長ホルモンを得る工程を包含する。
【0058】
本発明はまた、組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法に関し、その方法は、トランスジェニック哺乳動物から得られた乳汁を清澄し、清澄された乳汁を得る工程、その清澄された乳汁をイムノアフィニティークロマトグラフィーに供し、イムノアフィニティークロマトグラフされた物質を得る工程、そのイムノアフィニティークロマトグラフされた物質を逆相クロマトグラフィーに供し、逆相クロマトグラフされた物質を得る工程、その逆相クロマトグラフされた物質をアニオン交換クロマトグラフィーに供し、アニオン交換クロマトグラフされた物質を得る工程、そのアニオン交換クロマトグラフされた物質を分子排除クロマトグラフィーに供し、分子排除クロマトグラフされた物質を得る工程、その分子排除クロマトグラフされた物質を濃縮に供し、濃縮された物質を得る工程、およびその濃縮された物質を分子排除クロマトグラフィーに供し、純粋な組換え成長ホルモンを得る工程を包含する。
【0059】
上で記載される精製方法の組換え成長ホルモンはヒト成長ホルモンであり得るが、これに限定されない。トランスジェニック哺乳動物はウシ種の哺乳動物であり得るが、これに限定されない。
【0060】
以下の実施例は本発明の方法および組成物の例示であるが、限定するものではない。当業者に明らかである、通常は化学物質の酵素的生成およびタンパク質精製手順において直面する種々の条件およびパラメーターの他の適切な改変および適合は、本発明の精神および範囲のうちにある。
【実施例】
【0061】
(実施例1)
(発現プラスミドの構築)
本発明者らは、ヒト成長ホルモン遺伝子のコード配列に融合された、ウシβカゼイン遺伝子プロモーターの大部分(5’非コードβカゼイン遺伝子領域の短いフラグメントを含む)を有する構築物を生成した。様々な構築物で使用したβカゼイン領域を、3.8kbpから約1.3kbpまで減少させた。hGH遺伝子は、内因性のポリAシグナルが含まれるか否かに依存して約2kbp〜2.2kbpを含む。
【0062】
発現カセットを、pUC型またはpBS型の通常のクローニングベクターのポリリンカー中に提供した。
【0063】
このプロモーターは、その制御下で、βカゼインおよびこの場合は異種hGHのように、遺伝子の組織特異的かつ発生的に調節された発現を保証する。
【0064】
最も代表的なプラスミドはpRβhGHであり、これは、ヒト成長ホルモン遺伝子のコード配列に融合された、全長ウシβカゼインプロモーターを有する。
【0065】
開示される他の構築物は、主に、示されるように、トランスフェクト細胞選択またはウシ細胞ゲノムへのDNA統合効率を改善するために、もとのものに由来する。
【0066】
第1の期間に、ジェネティシン耐性遺伝子を含むプラスミドとの同時トランスフェクションを、選択を補助するために行ったが、次に、hGH発現カセットを含む同一のベクターにおけるネオマイシン耐性のためにNPT遺伝子を有する他の構築物を使用した。そのようなプラスミドの例はpRNeoである。
【0067】
緑色蛍光タンパク質の構成的発現のための別のプラスミドを得、これは、CMVプロモーター、植物起源(アルファルファ)のエンハンサー、およびクラゲA.victoria由来の緑色蛍光タンパク質遺伝子を含む。そのようなプラスミドの例はpRNeoGreenである。
【0068】
さらに、別のプラスミドを生成した。これは、改変されたより短いβカゼインプロモーター領域をhGHコード領域の上流に挿入した、Neo耐性遺伝子を含むプラスミドを基に構築した。このプラスミドはpVEβcashGHである。
【0069】
他の構築物を生成し、それらの構築物では、βラクタマーゼ領域をApaLI制限によって切除し、アガロースゲル電気泳動、およびゲル抽出の後に全発現カセットを含む直鎖状フラグメントを精製した。
【0070】
構築物を制限酵素およびDNA配列決定によって分析し、hGH発現を行うそれらの能力を蛍光抗体認識によって乳腺細胞株で事前に試験した。
【0071】
プラスミドpVEβcashGHの調製は、遺伝的構築物に関する部分の実施例として詳細に記載される。
【0072】
(pVEβcashGHの調製)
この構築物の目的は、宿主生物におけるそのポリAシグナルに並んですぐ下流に融合されたhGH遺伝子の特異的に調節された転写を誘導するβカゼインプロモーター領域の最小限の伸長を提供することである。
【0073】
元のベクターとしてのpVEXの使用は、このプラスミドにすでに存在するtkプロモーターによって調節されるネオマイシン耐性遺伝子の使用を可能にする。554bpからなる初期SV40プロモーターを、StuIおよびNdeIでの制限によって切除し、最後の部位をKlenowで補充し、得られるベクターを自己連結させた。
【0074】
プライマーとして以下のオリゴ:
PB1 5’TCTACTCGAGGATCATCTATCTGTCCCAAAG(配列番号1)および
PB2 5’CTAGGATCCAATGATCTGATTTTGTGG(配列番号2)
を使用することにより、3.8kbpの元の遺伝子プロモーター領域からの1.3kbpのフラグメントのPCR増幅後、βカゼインの短いプロモーターを得た。このフラグメントは、1230bpの標準プロモーターと、49bpのβカゼイン遺伝子の第1の非コードエキソンとを含む。
【0075】
hGH遺伝子フラグメントを、プライマーとして以下のオリゴ:
PB4 5’CTAGGATCCATGGCTACAGGTAAGCGCC(配列番号3)および
GHTE 5’ATGCTGTGTCTGGACGTCCT(配列番号4)
を使用して、元のウシゲノムhGHクローンでのPCR技術によって得た。βカゼインプロモーターフラグメントを、Klenow酵素で平滑末端化し、pVEXのBamHI充填部位(filled−in site)に挿入した。組換えクローンを選択した後、本発明者らは、pVEXで下流に位置する固有のHindIII部位をhGHコード領域に挿入するために使用するのに適切な特定の方向を選択する。
【0076】
この目的のために、hGHフラグメントもまた平滑末端化し、プラスミドHindIII部位を同様に満たした。βカゼインプロモーターと、このプロモーターの制御下でのみhGHを発現するように適切に融合されたhGHとを含むクローンを選択した。
【0077】
このプラスミドのサイズは約8.5kbpである。
【0078】
(体細胞のトランスフェクション)
次いで、プラスミドpRβhGH(ジェネティシン耐性遺伝子を含む別のプラスミドを伴う)、pRNeo、pRNeoGreenまたはpVEβcashGHを、リン酸カルシウム法またはリポソーム法を用いて体細胞の初期培養物をトランスフェクションするために使用した。概して、ウシ胎仔線維芽細胞を使用してトランスフェクトした。
【0079】
トランスフェクトされた細胞を、培養物にジェネティシンを添加して選択した。2週間〜8週間の期間の後、ジェネティシンに耐性であった細胞は、ドナー細胞としてトランスジェニッククローンを得るのに適切であった。トランスフェクトされ、選択された細胞が発現カセットを含むことをPCRによって分析して、トランスジェニック胚を産生するための適切な核移植を保証した。
【0080】
(実施例2)
(卵母細胞の除核および除核された成熟卵母細胞における中期核移植)
(ウシ卵母細胞の収集およびインビトロ成熟)
ウシ卵母細胞を食肉処理場の卵巣から吸引し、TCM−199 + 5%FCS中、39℃で24時間成熟させた。その成熟培地を使用前にCOで少なくとも2時間平衡化した。成熟卵母細胞を、1mg/mlのウシ精巣ヒアルロニダーゼを含む温TL−HEPES中で2分間ボルテックスすることによって裸にした。
【0081】
(卵丘細胞による核移植)
(除核)
卵母細胞を、Narishige液圧マイクロマニピュレータ(hydraulic micromanipulator)およびNikon Diaphot顕微鏡を用いて機会的に除核した。除核を、20μmの斜めにとがったピペットを用いて行った。卵母細胞を予め、5μg/mlのビスベンズイミジン(Hoechst 33342、Sigma Chemical Co.,St.Louis.MO,USA)色素で20分間染色した。中期を、紫外線下での染色された染色体の可視化によって除核した。ピペットに吸引した後、中期染色体を評価した。トランスジェニック体細胞を卵黄周囲腔に移植し、除核された卵母細胞としっかりと向かい合わせた。
【0082】
(融合)
トランスジェニック体細胞および除核された卵母細胞を、融合される膜が電極と平行になるように、手動で融合チャンバーに並べた。これを、ガラス製の胚取扱い用ピペットを用いて行った。
【0083】
(電気的手段による融合)
融合を、1回の180ボルト/cmの電気パルス(BTX Electro Cell Manipulator 200、BTX Inc.,San Diego,Ca,USA)を15μ秒間用いて行い、BTX Optimizer−Graphic Pulse Analyzerでモニタリングした。2つの0.5mmステンレススチールワイヤ電極からなる、胚をパルスするためのチャンバーを、ガラス顕微鏡スライドに0.5mm離して取り付けた。推定接合体を、融合、溶解およびフラグメント化についてモニタリングした。
【0084】
(発生能力の評価)
接合体を受精48時間後に卵割について評価し、7日〜9日後に桑実胚または胚盤胞への発生について評価した。
【0085】
(実施例3)
(細胞培養および胚培養)
様々なドナー細胞、培養系および卵母細胞レシピエント処理を、手順を単純化することおよびウシクローニングプログラムにおける胚の生存率を増加させることを目的とした実験で試験した。成体の線維芽細胞をドナー細胞として使用する場合、再構築された胚について3つの培養系を使用した:TCM−199 + 5%FCS、Menezo + 5%FCS(いずれも同時培養物としてVERO細胞を含む)、および同時培養物は含まないがO濃度が低いSOF。ドナー細胞が遺伝的に改変された胎仔線維芽細胞および非遺伝的に改変された胎仔線維芽細胞である場合、SOF培地もまた、再構築された胚を培養するために使用した。最後に、遺伝的に改変された胎仔線維芽細胞をドナー細胞として使用する場合、受容性の卵母細胞を予めロスコビチン(R)で試験して、減数分裂を中断させ、レシピエントの有用性を最適化した。卵母細胞を食肉処理場の卵巣から吸引し、TCM−199 + 5%FCS中、39℃で24時間成熟させた。R処理群について、卵母細胞を、成熟前にTCM 199 + 5%FCS中の25μMのRで、39℃で24時間インキュベートした。成熟卵母細胞を、1mg/mlのウシ精巣ヒアルロニダーゼを含むTL HEPES中で3分間ボルテックスすることによって裸にした。中期を評価し、卵母細胞をUV光下でのHoechst 33342(5μg/ml)による可視化(6秒未満)によって除核した。Augus雄ウシに由来する成体の線維芽細胞および45日齢のJersey胎仔雌性に由来する胎仔線維芽細胞をドナー細胞として使用した。ネオマイシン耐性遺伝子を含む構築物を用いるトランスフェクションをリポソームを用いて行った。ジェネティシンで10日間〜15日間選択した後、G/G期のドナー細胞を、電気パルスによって除核された卵母細胞に融合した。3時間後、5μMイオノマイシンを含むTL−HEPES中で4分間、そして2mM 6−DMAPで3時間インキュベーションすることにより、活性化を誘導した。次いで、その卵母細胞をTL−HEPESで洗浄し、TCM−199 + 5%FCS + 10g/lアルブミンまたはMenezo + 2%FCS(いずれもVERO細胞を含む)のいずれかで、あるいはSOF培地および5%CO + 5%O + 90%N雰囲気において同時培養した。概して、2つの線維芽細胞を、1頭のレシピエントウシあたり非外科的に移植し、30〜35日目に妊娠を超音波検査によって決定した。卵割(48時間)、線維芽細胞への発生(7日目〜9日目)を記録し、カイ二乗により分析した。卵割率および線維芽細胞への発生は、胚をSOFで培養した場合により高かった。しかし、様々な培養条件またはドナー細胞の供給源に起因する妊娠率では、差異は観察されなかった。24時間の減数分裂成熟の中断は、レシピエント卵母細胞の発生能力を損なわなかった。従って、ロスコビチンによる処理は、NT手順に対する卵母細胞のアベイラビリティを増大させるために使用され得る。以下の表1を参照のこと。
【0086】
【表1】

異なる上付き文字を含む縦の欄内のパーセンテージは異なる(p<0.05)
移植されたウシは、妊娠を正常に自然分娩まで経過させることが可能である。最終的に、外科的アプローチ(Caesarea)が分娩に使用され得る。新生仔に最初の48時間の間、Igリッチの初乳を与え、次いで、人工の食物を、のちに天然の食物(そのすべては動物起源の化合物を含まない)を使用した。
【0087】
(実施例4)
(トランスジェニック子ウシおよび産生された組換えタンパク質に対して行った試験)
本実施例において、本発明者らは、実施例1〜3に記載される手順の結果として得られた特定のトランスジェニック子ウシ、およびそのウシによって産生された組換えタンパク質に対して行った試験の完全な記載を示す。それにもかかわらず、同一のアッセイのセットが、トランスジェニック子ウシを得るための他の方法(例えば、以下の実施例5および6に記載される方法)の結果として出生する動物に対して行われることが明らかであるはずである。
【0088】
子ウシの白血球から精製されたDNAに対して行ったPCR反応によって、ネガティブコントロールとして非トランスジェニックジャージー子ウシ由来のDNAを用いて、ウシβカゼインプロモーターおよびhGHコード遺伝子がトランスジェニック子ウシ細胞ゲノム中に含まれることが証明された。これらは一緒に、その動物のホモログβカゼイン遺伝子とは異なる固有のDNAフラグメントとして見出され得る。
【0089】
Pharmacia自動シーケンサーを用いることによって、挿入された遺伝子配列がhGHコード遺伝子に100%対応することが確認された。その遺伝子は、イントロン、分泌シグナルおよびターミネーターを含む。本発明者らの子ウシにおいて同一のhGH遺伝子発現を制御するウシβカゼインプロモーターも配列決定した。これらすべてのエレメントは、クローンが生成された細胞を形質転換するために使用された遺伝的構築物に由来する、予期された理論配列を正確に一致する。
【0090】
一旦、実験の遺伝的段階の正確性が分かると、本発明者らは、産生された組換えタンパク質が予期されたものであり、天然のhGHとその物理的特徴および化学的特徴のすべてが一致することを証明することに移行した。
【0091】
この目的のために、動物がその乳汁産生期にある場合、βカゼインプロモーターが乳腺においてのみ組換えタンパク質の発現を可能にするので、本発明者らは子ウシから乳汁を得なければならなかった。
【0092】
次いで、トランスジェニック子ウシを、そのウシが10ヶ月齢を満了するまでに乳汁を産生させるためにホルモン処置によって誘導した。そのころまでには、子ウシの体重は240kgであった(約530lbs)。
【0093】
上記処置の第1期は、48時間毎に(すなわち、処置を1日目に開始すると仮定して、1日目、3日目、5日目、7日目および9日目に)、それぞれ0.1mg/kgおよび0.25mg/kgの用量で、5回の連続適用からなる、皮下経路による、エストロゲン(安息香酸エストラジオール、Histeren(登録商標)、Instituto Rosenbusch)およびプロゲスタゲン(酢酸メドロキシプロゲステロン、Pronal(登録商標)、Aton)の、併用投与を包含した。
【0094】
第2期は、デキサメタゾン(Decadron、Sidus)およびオキシトシン(Orasthin(登録商標)、Hoechst Marion Roussel)の、皮下経路による投与からなり;18日目〜20日目からなる期間にわたり注入されるデキサメタゾンに関して20mgの総量(各々の日に上記全質量の3分の1)、および21日目〜23日目にオキシトシンの50IUの3回適用を包含した。
【0095】
上記の情報は、表2に要約される:
【0096】
【表2】

各々の日に全質量(20mg)の約3分の1を投与した
予期されるように、処置が終了した翌日にウシは初乳の産生を開始し、次いで、徐々に産生される流体の質が乳汁に変化した。収集した流体を適切に保存し、徹底的に分析した。
【0097】
いくつかの試験(その結果は、図1〜4に示される)を、初乳および乳汁に対して行った(簡単にするために、区別がなされるべき場合を除いて、初乳および乳汁の両方を以下「乳汁」と称する)。第一に、収集した乳汁の容量を測定した。初期乳汁生産性(最初の5回の授乳日)は、約1,650mL/日であった。最初の生産月の間、1日あたり2回の手動搾乳を行い、片方は午前に、もう片方は午後に行った(最終容量に対する各乳房の寄与が示され得る);一方で、2ヶ月目以降、乳汁の産生が増加し始めるにつれて、1日あたり3回の搾乳を行った(午前、正午、および午後)。1日の容量は、最初の搾乳の3ヵ月後に10,000mL近くに到達するまで、ほぼ連続的な様式で増加した。このトピックに関する詳細な情報(図1A)は、1日の乳汁容量 対 日付の曲線で可視化され得る(図1B)。
【0098】
乳汁容量の測定と平行して、微生物学的アッセイをその乳汁に対して行い、その結果(図2A)を、1mlあたりのCFU(コロニー形成単位) 対 日付 に対応するプロットで示し、そして(図2B〜2C)に示す。
【0099】
(hGHの)生物学的活性もまた、NB2細胞培養においてインビトロでの生物学的アッセイによって評価した(図3A〜3B)。若い雌牛の乳汁において産生された組換えhGHの生物学的活性が、ヒト天然hGHに対する正常値において、その方法のエラーランク内にあることが証明された。さらに、得られた乳汁をWesternブロットによって研究し、そのWesternブロットで無傷なhGHに対応する主要なバンドを検出した。これらの生産システムにおいて予期されるように、切断された改変体および凝集体に対応するさらなる微量なバンドもまた見出した。
【0100】
生物学的活性および1日の容量に関する情報に関して、等式1を用いてhGHの1日の産生量を計算することが可能であった;ここで、mhGHは、ミリグラム単位での1日に産生されたhGHの質量であり;BAは、国際単位での生物学的活性であり;SAは、hGHの比活性度(3IU/mg)であり;そしてVは、収集した乳汁の1日の容量である。このデータは、図4Aに示される。hGHの1日の質量のプロットは、図4Bに示される。hGHの1日の質量と乳汁の1日の容量との間の可視的な相関を確立するために、乳汁の1日の容量もまた図4Bにプロットした。
【0101】
【数1】

この情報から観察され得るように、乳汁中のhGHの1日の質量および乳汁の1日の容量は、ウシの発達につれて増加する傾向にあり(乳汁中のhGHの1日の質量がより高い割合であるが)、このことは、組換えホルモンの生産性(乳汁1リットルあたりのhGHのグラム数)における上昇傾向となる。この生産性が、生産物が初乳である場合、1リットルあたり約2gのhGH(最初の搾乳)から、第2の授乳月以降から乳汁1リットルあたり平均5gのhGHの量になったことが認められ得る。従って、予想外に高収量のヒト成長ホルモンを、流体の質が初乳から乳汁へと変化するにつれてほぼ連続的な様式で、生産性が増大するにつれて得た。
【0102】
現在、1日あたり産生されるhGHの質量は実際顕著であるが、そのウシがまだ完全に成長していない場合、1日あたり産生される組換えタンパク質の質量における上昇傾向が将来、最大に達するまで継続すべきであることが注意されるべきである。
【0103】
乳汁に対して行った試験に平行して、異なるセットのアッセイをウシの血清に対して行い、その結果を5A〜5Cに示す。第一に、ウシの血清におけるhGHの濃度の測定を行った。その結果(図5A)を、乳汁中のhGHの1日の質量と一緒にグラフにプロットし、両方の大きさの比較を可能にする(図5B)。
【0104】
(ヒトにおける)血清中のGHに対する参照範囲は、0.06ng/ml〜5ng/mlである。ウシについて仮定上の類似の範囲を想定すると、始めを除いて、トランスジェニックウシの血清中のhGH 対 日付の全体の曲線は、上記範囲の上部限界を十分に上回ることが認められ得る。この事実にもかかわらず、hGHおよび対応するウシホルモン(bGH)が、そのアミノ酸配列および三次元構造に関して非常に類似しており、hGHはたとえ完全に機能性でもウシでは全く活性でないことを考慮に入れなければならない。
【0105】
従って、その血清中の高レベルのhGHに起因するウシの健康に対する潜在的な危険性を評価するために、IGF−1(インスリン様成長因子1、ソマトメジンCとしてもまた公知である)の血清濃度の測定を平行して行った(図5A)。成長ホルモンは、主に、肝臓で作製されるIGF−1を介してその機能を果たす。IGF−1はインビボ細胞分割および成長ホルモンの代謝効果の多くを媒介するので、IGF−1評価は疑われる成長ホルモン障害の間接的な評価のために価値のある診断ツールである。従って、IGF−1は、生物が利用可能な成長ホルモンの信頼できる指標を表す。この分析の結果を、hGHに対応する結果と一緒に、図5Cに示し、両方の大きさの同時可視化を可能にする。
【0106】
さらに、IGF−1およびhGHを、コントロール群を得て、トランスジェニックウシに対応するデータとの比較を確立するために、非トランスジェニックウシの一群の血清で測定した。非トランスジェニック群およびトランスジェニックウシについての両方のタンパク質の測定の平均を、以下の表3に示す。
【0107】
【表3】

非トランスジェニック群におけるhGHの平均血清濃度が仮定的な参照範囲内にあるが、トランスジェニックウシについての平均は上記範囲の上限を十分に上回ることは注目すべきことである。さらに、トランスジェニック動物の血清中のIGF−1の平均レベルが非トランスジェニックウシに対応するレベルよりもはっきりと高く、これが根本的な相違をなすことは疑う余地がない。
【0108】
従って、トランスジェニックウシの血清中の高濃度のhGH(これはヒトにおいては、 重篤な結果を伴う障害(例えば、真性糖尿病、高血圧、心血管疾患および身体器官(肝臓、脾臓、腎臓および心臓が挙げられる)の肥大の増大した危険性)を引き起こすことが公知である)はその動物を理論的には生育不能にするが、このことは、その健康および福利に対する障壁を明らかに示すものではない。その血液中に憂慮すべきほど高レベルの外来ホルモンを有するが、完全に健康であり組換えタンパク質の顕著な生産性を示すウシは、予想外かつ革新的な寄与をなす。
【0109】
本発明の別の革新的な局面は、ウシの血流に入る組換えhGHが乳腺を刺激してより多くの乳汁を産生することである。この効果は間接的に、すなわち、IGF−1の作用を介して達成される。この分子は、乳腺を流れる血流を増加させ、乳脂肪、タンパク質、およびラクトースの合成に重要な前駆体を提供する。従って、IGF−1は、乳房において栄養素を血液を通して細胞へ導くように作用し、その栄養素は乳汁の産生を補助する。従って、トランスジェニックウシの乳汁で産生された組換えhGHが、その乳汁における対応するhGHのより多くの分泌を伴って、その乳腺の刺激を通じてその動物によって産生される乳汁の容量の持続的増加を促進するので、自己刺激する動物が獲得される。
【0110】
(実施例5)
(サブクローニングによってトランスジェニック子ウシを得ること)
トランスジェニック子ウシの耳由来の5つの組織サンプルを、1.5mm直径の針(その針の先端はこの目的のために予め斜めにしていた)を使用して取得した。そのサンプルを、抗生物質および抗真菌剤を含むPBSベースの培地中、冷凍下で研究室に送った。
【0111】
その後、その組織サンプルを、10%ウシ胎仔血清および抗生物質を含むMEM培地中、39℃および5%CO雰囲気で72時間インキュベートした。最終的に、組織サンプルを取り出し、プレートの周辺における線維芽細胞をコンフルエンスまで増殖させた。一旦これを達成すると、その線維芽細胞を、G期における同調化を達成するために培養培地を変えることなく少なくとも5日間インキュベートし、このG期における同調化を顕微鏡による可視化によって評価した。
【0112】
トリプシン処理後、個々の線維芽細胞を、実施例2に従って除核されたウシ卵母細胞と融合し、それによって得られた胚を、SOF培地および5%CO + 5%O + 90%N雰囲気で、胚盤胞の段階まで培養した。その後、1頭のレシピエントウシあたりおおむね2つの線維芽細胞を非外科的に移植し、妊娠を超音波検査によって30日〜35日目に決定した。
【0113】
移植されたウシを、自然分娩まで正常に妊娠を経過させる。最終的には、外科的アプローチ(Caesarea)を分娩のために使用し得る。新生仔に、最初の48時間の間Igリッチの初乳を与え、次いで、人工食物を、のちに天然の食物(そのすべては動物起源の化合物を含まない)を与える。
【0114】
図6Aおよび6Bは、トランスジェニックウシのサブクローニングによって得られたトランスジェニック動物のうちの2頭に対して平行して行ったhGHおよびIGF−1の血清濃度の測定を示し、これらの分析の結果を、それぞれ図6Cおよび6Dに示し、各動物について両方の大きさの同時可視化を可能にする。現在、子ウシは若いので、hGHおよびIGF−1の両方についての値は依然としてそれぞれの参照範囲内にあるが、これら2頭のクローンが得られたトランスジェニックウシと同一の様式で成長すると期待される。
【0115】
(実施例6)
(過排卵させたトランスジェニックウシの人工授精によってトランスジェニック子ウシを得ること)
トランスジェニックウシを得るための代替的なアプローチが本実施例に開示される。この方法は、ホルモン処置によってトランスジェニック雌ウシを過排卵させる工程;その雌ウシを人工授精させる工程;そのようにして産生された胚を再収集する工程;代理雌ウシへのその胚の移植工程;およびその動物の出生までの妊娠の発生工程を包含する。この手順の説明は以下に示される。
【0116】
(過排卵)
1日目(すなわち、手順を開始した日)の午前に、150μgのプロスタグランジン(D(+)−クロルプロステロール、Arsaprost(登録商標)、Arsa)を、筋肉内経路によってトランスジェニック雌ウシに投与した。その動物を、約15%のタンパク質(1日目の前に、その動物に、同一のタンパク質含量を有する2kgの飼料を与えていた)を含む1日4kgの食餌に供した。8日目の午前に、プロゲステロンのCIDR(体内薬物放出制御(controlled internal drug release))デバイスを膣内に置いた。さらに、50mgのプロゲステロンおよびエストラジオールを筋肉内経路によって投与した。動物に与えた飼料の量を、同一のタンパク質含量で6kg/日に増やした。次いで、FSHおよびLH(PLUSET(登録商標)、Calier)の2回の筋肉内注射を12日目、13日目および14日目に(1回は午前に、もう1回は午後に)行った。次の日(15日目)、PLUSET(登録商標)の2回の注射(1回は午前に、もう1回は午後に)および各々150μgのプロスタグランジンの2回の注射(同一の投与レジメン)を筋肉内経路により行って処置を続けた。16日目の午前に、CIDRを取り外した。過排卵段階の全体にわたって投与したPLUSET(登録商標)の総量は350IUであった。
【0117】
(授精)
この段階は、ドナーのジャージー雄ウシ由来の精液(これは、予め入手し、精子の生存度を維持するために凍結させていた)の3回の連続投与(1回目および2回目は、それぞれ17日目の午前および午後、そして最後は18日目の午前)を包含する。
【0118】
(胚の収集およびその胚の代理雌ウシへの移植)
26日目の午前に、雌ウシの子宮の両方の角を1lのDAMPBS(Nutricell(登録商標))でフラッシングすることによって、胚の収集を行った。その直後に、1頭のレシピエント雌ウシあたり2つの胚を非外科的に移植し、超音波検査によって妊娠を30日〜35日目に決定した。
【0119】
移植された雌ウシを、自然分娩まで正常に妊娠を経過させる。最終的には、外科的アプローチ(Caesarea)が、分娩のために使用され得る。新生仔に、最初の48時間の間にIgリッチの初乳を与え、次いで、人工の食物、天然の食物(そのすべては動物起源の化合物を含まない)を与える。
【0120】
生物学的な子孫の発生は、メンデルの法則に従うので、上で記載した手順の結果として生まれる動物の半数はトランスジェニックであるはずであり、そしてそのうち半数が雄性であり、他方の半数が雌性であるはずである。従って、トランスジェニックの雄性(創始動物(founder animal))を得る確率が高く、その精液は、トランスジェニック群を拡大するために、過排卵されたトランスジェニック/非トランスジェニック雌ウシの授精のために使用されるジャージートランスジェニック精液のマスターバンク(Master Bank)を確立するのに有用であり得る。
【0121】
(実施例7)
(乳汁からの組換えhGHの精製)
一旦おおよその分子量、ウエスタンブロットの結果および子ウシの乳汁で産生された組換えhGHの生物学的活性が妥当であることを確認すると、徹底的な精製プロセスを行った。なぜなら、生物薬学的生成物を製造する場合、上記生成物中に起こり得る混入物の存在を回避するために、目的のタンパク質を精製して均一にすべきであることが不可欠であるからである。このプロセスは、以下の工程を包含する:遠心分離によって乳汁の皮膜を得、得られた上清を希釈して、最終的にカゼインのミセル中に保持される組換えhGHのより良好な可溶性を達成する(清澄)工程;およびこの溶液を流動層によるアニオン交換クロマトグラフィーカラムを通過させる工程(この工程に対する代替はイムノアフィニティーカラムの使用である、以下の実施例8を参照のこと);得られる溶液を逆相HPLC(C4)工程に供する(subdue)工程;その後、組換えhGHが多い画分をアニオン交換クロマトグラフィーに供する工程。
【0122】
精製した物質を脱塩し、濃縮し、そして分子排除クロマトグラフィーに供する。これを、純粋な組換えhGHを得るために分子量で分ける。
【0123】
乳汁由来のヒト成長ホルモン(hGH)の精製のための手順は、順に以下の工程を包含する:(a)清澄、(b)流動層によるアニオン交換クロマトグラフィー、(c)逆相クロマトグラフィー、(d)アニオン交換クロマトグラフィー、(e)分子排除クロマトグラフィー(脱塩)、(f)濃縮および(g)分子排除クロマトグラフィー。
【0124】
(清澄)
新鮮な乳汁を、0.5%溶液を得るために、十分量のTween 80と混合した。Tween 80の添加後、2M Tris−HClを添加して7.3±0.1のpHを得た。その後、生成物を30分間ホモジナイズし、次いで、脂肪層を分離させるために14000gで遠心分離した。その後、得られた溶液を、1500μS/cm以下の伝導率まで0.5% Tween 80で希釈した。pHを、2M Tris−HClで7.3±0.1に調整し、次いで、生成物を0.8μm孔径の膜で濾過し、都合よく保管した。
【0125】
(流動層によるアニオン交換クロマトグラフィー)
上記工程から得られる物質を、以下のパラメーターに従って、アニオン交換マトリックスを用いてクロマトグラフする:
1.機器:
A.カラム:
1)直径:5cm
2)層の高さ:30cm(コンパクト層)
3)マトリックス:
a.Streamline Q XL(Amersham)
b.容量:600ml
2.溶液および緩衝液:
A.0.5N NaOH
B.20%エタノール
C.緩衝液A:20mM Tris.HCl、pH7.3
D.緩衝液B:500mM Tris.HCl、pH7.3
E.緩衝液C:20mM Tris.HCl、150mM NaCl、pH7.3
F.緩衝液D:20mM Tris.HCl、500mM NaCl、pH7.3
3.クロマトグラフされる物質
A.清澄した乳汁
B.サンプル条件:
1)容量:25±5l
2)伝導率:≦1500μS/cm
3)pH:7.3±0.1 。
【0126】
カラムを平衡化するために、その1.5カラム容量(「vc」)(900mL)の純水を、115±5cm/時間の流量で通過させた(下向きの流れ)。その後、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量で、230±30cm/時間の流量で連続的に通過させた(上向きの流れ):3.0vc(1,800ml)の0.5N NaOH;3.0vc(1,800ml)の純水;1.0vc(600ml)の緩衝液B;そして最後に、3.0vc(1,800ml)の緩衝液A。
【0127】
一旦カラムを平衡化したら、クロマトグラフされる物質を充填した。この充填を、12±3℃、230±30cm/時間の流量で行った。その後、溶出を115±15cm/時間の流量で、同じ温度で行った。第一に、十分量の緩衝液Aをカラムに通過させ(上向きの流れ)、第二に、以下に詳述する溶液および緩衝液を以下の順で通過させた(下向きの流れ):1.5vc(900ml)の緩衝液A;2.0vc(1,200ml)の緩衝液C;そして最後に、2.0vc(1,200ml)の緩衝液D。
【0128】
一旦その工程が終了したら、カラムを洗浄するために、以下の溶液または緩衝液を、以下に詳述する量で連続的にカラムを通過させた:1.5vc(900ml)の純水;1.5vc(900ml)の0.5N NaOH;2.0vc(1,200ml)の純水;1.0vc(600ml)の緩衝液B;1.5vc(900ml)の純水;そして最後に、1.5vc(900ml)の20%エタノール。
【0129】
選択したhGHを含む画分を、全タンパク質について(Bradford法により)、そして目的のタンパク質について(RIAにより)アッセイし、2〜8℃で保管した。
【0130】
(逆相クロマトグラフィー)
上記工程から得られる物質を、以下のパラメーターに従ってクロマトグラフする:
1.機器:
A.カラム:
1)直径:4cm
2)層の高さ:48cm
3)マトリックス
a.BakerBond Wide−Pore Butyl(C4)15μm prep LC Packing(Baker)
b.容量:600ml
2.溶液および緩衝液
A.可動相1(MP1):30mM NaHCO(pH7.2):純水:アセトニトリル(35:55:10)
B.可動相2(MP2):30mM NaHCO(pH7.2):純水:アセトニトリル(20:10:70)
C.50%メタノール
3.クロマトグラフされる物質
A.上記工程から得られる、選択した画分のプール
B.サンプル条件:
1)容量:30±15l
2)pH:7.3±0.3 。
【0131】
カラムを平衡化するために、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量で、478cm/時間以下の流量で連続的に通過させた:0.3vc(180ml)の50%メタノール;その後、50%メタノール−MP2の勾配を、上記溶液の100:0の割合から始めて、1.0vc(600ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで適用した;一旦勾配が終了したら、1.0vc(600ml)のMP2をそのカラムに通過させた;その後、MP2−MP1の勾配を、上記溶液の100:0の割合から始めて、1.0vc(600ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで適用した;そして最後に、2.0vc(1,200ml)のMP1をそのカラムに通過させた。
【0132】
一旦カラムを平衡化させたら、クロマトグラフされる物質を0.45μm孔径の膜で濾過し、直後に充填した。この充填を、20±5℃、238cm/時間以下の流量で行った。その後、溶出を、478±78cm/時間の流量で、同じ温度で行い、以下に詳述する溶液および緩衝液を以下の順で通過させた:1.0vc(600ml)のMP1;MP1−MP2の勾配、上記溶液の65:35から始めて、18.0vc(9,000ml)の総容量において上記溶液の45:55の割合が達成されるまで;45:55の割合で1.0vc(600ml)のMP1−MP2;そして最後に、2.0vc(1,200ml)のMP2。
【0133】
一旦この工程が終了したら、そのカラムを洗浄するために、MP2−50%メタノールの勾配を、上記溶液の100:0の割合から始めて、1.0vc(600ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで適用した;そして最後に、2.0vc(1,200ml)の50%メタノールをそのカラムに通過させた。
【0134】
このクロマトグラフィーから得られる画分を、SDS−PAGEにより20%均質であること、および酸化型hGHについてアッセイし、その結果に依存して、選択を行った。その後、選択したhGHを含む画分を、全タンパク質について(BradFord法によって)アッセイし、2〜8℃で保管した。
【0135】
(アニオン交換クロマトグラフィー)
上記工程から得られる物質を、アニオン交換マトリックスを用いて、以下のとおりにクロマトグラフする:
1.機器:
A.カラム:
1)直径:5cm
2)層の高さ:25cm
3)マトリックス
a.Source 30Q(Pharmacia)
b.容量:500ml
2.溶液および緩衝液
A.20%エタノール
B.溶液K:0.5N NaOH、3M NaCl
C.溶液L:50mM Tris、pH7.50
D.溶液M:0.1N HCl、3M NaCl
E.可動相3(MP3):溶液L:アセトニトリル(70:30)
F.可動相4(MP4):50mM Tris、0.1M NaCl(pH7.50):アセトニトリル(70:30)
3.クロマトグラフされる物質
A.上記工程から得られる、選択した画分
B.サンプル条件:
1)容量:4.5±1l
2)pH:7.2±0.2 。
【0136】
カラムを平衡化かつ衛生化するために、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量で、183±20cm/時間以下の流量で連続的に通過させた:1.0vc(500ml)の純水;1.0vc(500ml)の溶液K;1.0vc(500ml)の溶液L;そして最後に、1.0vc(500ml)のMP3。
【0137】
一旦カラムを平衡化したら、クロマトグラフされる物質を充填した。この充填を、20±5℃、183cm/時間以下の流量で行った。その後、溶出を、183±20cm/時間の流量で、同じ温度で行い、以下に詳述する溶液および緩衝液を以下の順で通過させた:1.0vc(500ml)のMP3、MP3−MP4の勾配、上記溶液の15:85の割合から始めて、5.0vc(2500ml)の総容量において上記溶液の25:75の割合が達成されるまで;そして最後に、2.0vc(1000ml)のMP4をカラムに通過させた。
【0138】
一旦その工程が終了したら、カラムを洗浄するために、以下の溶液または緩衝液を、以下に詳述する量でカラムに連続的に通過させた:MP4−純水の勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;0.5vc(250ml)の純水;純水−溶液Kの勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;1.0vc(500ml)の溶液K;溶液K−純水の勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;0.5vc(250ml)の純水;純水−溶液Mの勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;1.0vc(500ml)の溶液M;溶液M−純水の勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;1.0vc(500ml)の純水;純水−溶液Lの勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;0.5vc(250ml)の溶液L;溶液L−純水の勾配、上記溶液の100:0の割合から始めて、0.5vc(250ml)の総容量において上記溶液の0:100の割合が達成されるまで;そして最後に、1.5vc(750ml)の純水。
【0139】
選択したhGHを含む画分を、全タンパク質について(Bradford法により)アッセイし、2〜8℃で保管した。
【0140】
(分子排除クロマトグラフィー)
上記工程から得られる物質を分子排除マトリックスを用いて、以下のとおりにクロマトグラフする:
1.機器:
A.カラム:
1)直径:5cm
2)層の高さ:25cm
3)マトリックス
a.Cellufine GH25(Millipore)
b.容量:500ml
2.溶液および緩衝液:
A.0.5N NaOH
B.20%エタノール
C.緩衝液C:150mM NaHPO、pH7.2
D.緩衝液G:320mM グリシン、10mM NaHPO、0.1% Tween 80、pH6.9
3.クロマトグラフされる物質
A.上記工程から得られる、選択した画分
B.サンプル条件:
1)容量:0.5±0.2l
2)pH:7.5±0.5 。
【0141】
カラムを平衡化かつ衛生化するために、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量で、180cm/時間以下の流量で連続的に通過させた:1.0vc(500ml)の純水;1.0vc(500ml)の0.5N NaOH;0.5vc(250ml)の純水;0.5vc(250ml)の緩衝液C;そして最後に、2.0vc(1000ml)の緩衝液G。
【0142】
一旦カラムを平衡化したら、クロマトグラフされる物質を充填した。この充填を、20±5℃、183±20cm/時間の流量で行った。その後、溶出を同じ流速および同じ温度で行い、1.0vc(500ml)の緩衝液Gを実行に必要な回数だけカラムに通過させた。
【0143】
一旦この工程が終了したら、カラムを洗浄するために、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量でカラムに通過させた:0.5vc(250ml)の純水;1.0vc(500ml)の0.5N NaOH;0.5vc(250ml)の純水;0.5vc(250ml)の緩衝液C;0.5vc(250ml)の純水;そして最後に、1.5vc(750ml)の20%エタノール。
【0144】
選択したhGHを含む画分を、全タンパク質についてアッセイし、2〜8℃で保管した。
【0145】
(濃縮)
上記実施例から得られる画分を、以下に記載する条件に従って濃縮した:
1.機器:
A.蠕動ポンプ:Watson Marlow − カタログ番号302S
B.チュービング:Watson Marlow − カタログ番号902.0080.016
C.濃縮機:Prep Scale Millipore − カタログ番号CDU F006LC
2.溶液および緩衝液:
A.0.28%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
B.0.06%トリトン
C.0.125N NaOH
D.緩衝液G:320mMグリシン、10mM NaHPO、0.1% Tween 80、pH6.9
3.処理される物質
A.上記実施例から得られる、選択した画分
B.サンプル条件:
1)容量:1.0±0.5l
2)伝導率:1200±100μS/cm
3)pH:6.9±0.1 。
【0146】
まず、機器を洗浄、衛生化および平衡化し、以下の順序の溶液および緩衝液をその機器に流した:2lの0.125N NaOH;10lの純水;そして最後に、2lの緩衝液G。次いで、その機器を、通常の方法論に従って、選択した画分における濃縮に使用できるようにした。濃縮手順を、15mg/mlのタンパク質濃度(Bradford法により評価)が達成されるまで行った。
【0147】
選択した画分を0.22μm孔径の膜で濾過し、全タンパク質について(Bradford法により)アッセイし、4℃で保管した。
【0148】
選択した画分の伝導率およびpHは、それぞれ、1,100μS/cm〜1,300μS/cmおよび6.9±0.1であった。
【0149】
(分子排除クロマトグラフィー)
上記工程から得られる物質を、分子排除マトリックスを用いて、以下のとおりにクロマトグラフする:
1.機器:
A.カラム:
1)直径:5cm
2)層の高さ:92cm
3)マトリックス
a,Sephacryl S−200 High Resolution(Amersham Pharmacia)
b.容量:1,800ml
2.溶液および緩衝液:
A.0.5N NaOH
B.20%エタノール
C.緩衝液H:320mMグリシン、2.2mM NaHPO、1.8mM NaHPO、pH7.30
3.クロマトグラフされる物質
A.上記工程から選択され、濃縮された画分
B.サンプル条件:
1)容量:40±20ml
2)伝導率:1,200±100μS/cm
3)pH:7.3±0.1 。
【0150】
カラムを平衡化かつ衛生化するために、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量で、46cm/時間未満の流量で連続的に通過させた:1.0vc(1,800ml)の純水;1.0vc(1,800ml)の0.5N NaOH;そして最後に、2.0vc(3,600ml)の緩衝液H。
【0151】
一旦カラムを平衡化させたら、クロマトグラフされる物質を充填した。この充填を、20±5℃、46±15cm/時間の流量で行った。その後、溶出を、同じ流速および同じ温度で行い、1.0vc(1,800ml)の緩衝液Hを、実行に必要な回数だけ通過させた。
【0152】
一旦その工程が終了したら、カラムを洗浄するために、以下の溶液または緩衝液を、以下に詳述する量で連続的に通過させた:1.0vc(1,800ml)の純水;そして1.5vc(2,700ml)の20%エタノール。
【0153】
純粋なhGHを含む画分を、0.22μm孔径の膜で、滅菌した脱発熱性のプラスチックボトルに無菌的に濾過し、全タンパク質についてアッセイし、−20℃で保管した。
【0154】
(実施例8)
(乳汁からのhGHの精製についての代替的手順)
先に記載した精製方法の代わりに、乳汁中に含まれる組換えhGHを精製するために、代替的スキームが使用され得る。実施例7に記載した手順と本実施例で示される代替的手順との間の主な相違は、前者の第2工程が流動層によるアニオン交換クロマトグラフィーを包含する一方で、後者の対応する工程がイムノアフィニティークロマトグラフィーを伴うことである。両方の手順の清澄工程もまた、わずかに異なる。両方の精製スキームの残りは同一なので、代替的手順の最初の2つの工程のみを以下に記載する。
【0155】
(清澄)
新鮮な乳汁を、0.5%溶液を得るために十分量のTween 80と混合した。Tween 80の添加後、1M Trisを添加して、7.3±0.3のpHを得た。その後、生成物を30分間ホモジナイズし、次いで、脂肪層を分離させるために14000gで遠心分離した。その後、得られる溶液を緩衝液S(50mM Tris.HCl、500mM NaCl、0.5% Tween 80、pH7.3)で20倍に希釈し、次いで、0.45μm孔径の膜で濾過し、都合よく保管した。
【0156】
(イムノアフィニティークロマトグラフィー)
上記工程から得られる物質を、以下のパラメーターに従って、イムノアフィニティー相互作用マトリックス(抗GHモノクローナル抗体(Bio Sidus製)に共有結合したAffigel 10 Ester Agarose、BioRad製)を用いてクロマトグラフした:
1.機器:
A.カラム:
1)直径:30cm
2)層の高さ:15cm
3)マトリックス:
a.抗GHモノクローナル抗体(Bio Sidus)に共有結合したAffigel 10 Ester Agarose(BioRad)
b.容量:10l
2.溶液および緩衝液:
A.緩衝液A:50mM Tris.HCl、500mM NaCl、pH7.2
B.緩衝液B:100mM クエン酸、pH3.0
C.緩衝液C:150mM NaHPO、pH7.2
D.緩衝液D:50mM Tris.HCl、500mM NaCl、500mMグアニジン.HCl、pH7.2
E.緩衝液E:50mM Tris.HCl、500mM NaCl、pH7.2、0.2%アジ化ナトリウム、0.1g/lゲンタミシン
3.クロマトグラフされる物質
A.清澄された乳汁
B.サンプル条件:
1)容量:30〜50l
2)伝導率:45±15mS/cm
3)pH:7.3±0.3 。
【0157】
カラムを平衡化かつ衛生化するために、カラムが最近7日間で使用されていない場合には、以下の溶液または緩衝液を以下に詳述する量で、51cm/時間の流量で連続的に通過させた:1.0カラム容量(「vc」)(10l)の緩衝液A;2.0vc(20l)の緩衝液D;2.0vc(20l)の緩衝液A;1.0vc(10l)の緩衝液B;2.0vc(20l)の緩衝液C;そして最後に、1.0vc(10l)の緩衝液A。
【0158】
一方で、カラムが最近7日間で使用されている場合には、以下の溶液または緩衝液を、以下に詳述する量で51cm/時間未満の流量で連続的に通過させた:1.0vc(10l)の緩衝液C;そして最後に、2.0vc(20l)の緩衝液A。
【0159】
一旦カラムを平衡化させたら、クロマトグラフされる物質を充填した。この充填を、5±3℃、51cm/時間未満の流量で行った。その後、溶出を、42±9cm/時間の流量で、同じ温度で行い、以下に詳述する溶液および緩衝液を以下の順で通過させた:2.0vc(20l)の緩衝液A;そして1.5vc(15l)の緩衝液B。
【0160】
一旦その工程が終了したら、カラムを洗浄するために、以下の溶液または緩衝液を、以下に詳述する量で連続的に通過させた:2.0vc(20l)の緩衝液D;2.0vc(20l)の緩衝液A;そして最後に、2.0vc(20l)の緩衝液E。
【0161】
選択したhGHを含む画分を全タンパク質について(Bradford法により)および目的のタンパク質について(RIAにより)アッセイし、4℃で保管した。
【0162】
(実施例9)
(純粋な組換えhGHの品質管理)
純粋な組換えhGHの2つのバッチを、一連のアッセイに供して、その生成物が天然のhGHと区別できないことを確認した。そのような手順としては、SDS/PAGE、ウエスタンブロット、インビトロ(細胞nb2)およびインビボ(下垂体切除ラット)での生物学的活性、ペプチドマッピング、完全なアミノ酸配列の決定、等電点電気泳動(IEF)、ならびに逆相HPLC分析およびサイズ排除HPLC分析が挙げられるが、これらに限定されない。これらすべてのアッセイで得られた結果は、組換えhGHおよび天然のhGHの両方について全く同じであり、これは、純粋な組換えhGHが天然のhGHと正確に一致し、それゆえ生物薬学的生成物を製造するのに適切であることを証明する。
【0163】
ここで本発明を完全に記載して、本発明にもそのいかなる実施形態の範囲にも影響を与えることなく、条件、処方および他のパラメーターの広範かつ等価な範囲内で同じことが行われ得ることが、当業者によって理解される。本明細書中に引用されるすべての特許および刊行物は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】図1A〜図1Bは、トランスジェニックウシから収集された1日の乳汁容量を示し、このトランスジェニックウシは、除核された卵母細胞と、ヒト成長ホルモン(hGH)をコードする遺伝子および乳腺細胞にその発現を誘導するプロモーターを含むプラスミドで予めトランスフェクトされた線維芽細胞との融合によって得られた。
【図2】図2A〜図2Cは、同じトランスジェニックウシから収集された乳汁中に見出された細菌数を示す。
【図3】図3A〜図3Bは、同じトランスジェニックウシの乳汁中に含まれるhGHの生物学的活性を示す。
【図4】図4Aは、同じトランスジェニックウシの乳汁中に産生されたhGHの1日の質量を示す。この大きさおよびそのトランスジェニックウシから収集された1日の乳汁容量が一緒に図4Bにプロットされる。
【図5】図5Aは、同じトランスジェニックウシの血清中のhGHおよびインスリン様成長因子−1(IGF−1)の濃度、および同じトランスジェニックウシ乳汁中に産生されたhGHの1日の質量を示す。そのトランスジェニックウシの血清中のhGHの濃度およびそのトランスジェニックウシの乳汁中に産生されたhGHの1日の質量が、一緒に図5Bにプロットされる。図5Cには、hGHおよびIGF−1のトランスジェニックウシの血清濃度に関する時間プロフィールが一緒にプロットされる。
【図6】図6Aおよび図6Bは、ウシ(その乳汁におけるhGHの産生のためのトランスジェニックである)のサブクローニングによって得られた2頭のトランスジェニック子ウシにおけるhGHおよびインスリン様成長因子−1(IGF−1)の血清濃度を示す。図6Cおよび図6Dには、これらのトランスジェニック子ウシの各々について、hGHおよびIGF−1の血清濃度に関する時間プロフィールが一緒にプロットされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質を産生する方法であって、以下:
a)その乳汁中に目的のタンパク質を産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物を作製する工程;
b)該非ヒトトランスジェニック哺乳動物から該乳汁を得る工程;および
c)該乳汁から該目的のタンパク質を精製する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、以下:
a)目的のタンパク質をコードする遺伝子を得る工程;
b)該遺伝子をプラスミドにクローニングし、それによって、該遺伝子が、乳腺細胞において該遺伝子の発現を誘導するプロモーターに作動可能に連結され、発現プラスミドを得る工程;
c)該発現プラスミドが体細胞のゲノムに組み込まれるように、該体細胞を該発現プラスミドでトランスフェクトし、トランスジェニック体細胞を得る工程;
d)成熟卵母細胞を除核し、除核された卵母細胞を得る工程;
e)該トランスジェニック体細胞の1つを該除核された卵母細胞と融合し、単細胞胚を得る工程;
f)該胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程;および
g)該トランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程
を包含するプロセスによって作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロモーターがβカゼインプロモーターであり、前記目的のタンパク質がヒト成長ホルモンである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記発現プラスミドがpRβhGHである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記発現プラスミドがネオマイシン耐性遺伝子をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記発現プラスミドがpRNeoである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳動物が、その乳汁中に組換えヒト成長ホルモンを産生するウシであり、そのゲノムは統合されたプラスミドを含み、該プラスミドは、該ヒト成長ホルモンの遺伝子と、該哺乳動物の乳腺細胞において該遺伝子の発現を誘導するβカゼインプロモーターとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記プラスミドがpRβhGHである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ブラスミドがネオマイシン耐性遺伝子をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プラスミドがpRNeoである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記体細胞が線維芽細胞である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記トランスジェニック体細胞が、その乳汁中に前記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである雌性からの単離によって得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記トランスジェニック体細胞が線維芽細胞である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、以下:
a)雌性の非ヒト哺乳動物を過排卵させる工程であって、該雌性は、その乳汁中に前記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである、工程;
b)該哺乳動物を、雄性の非ヒトかつ非トランスジェニックの哺乳動物から得られる精液と人工授精させて、胚を産生させる工程;
c)該胚を収集する工程;
d)該胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程;および
e)該トランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程
を包含するプロセスによって作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、以下:
a)雌性の非ヒト哺乳動物を過排卵させる工程であって、該雌性は、その乳汁中に前記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである、工程;
b)該哺乳動物を、雄性の非ヒト哺乳動物から得られる精液と人工授精させて胚を産生させる工程であって、該雄性の非ヒト哺乳動物は、該目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである、工程;
c)該胚を収集する工程;
d)該胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程;および
e)該トランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程
を包含するプロセスによって作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、以下:
a)雌性の非ヒトかつ非トランスジェニックの哺乳動物を過排卵させる工程;
b)該哺乳動物を、雄性の非ヒト哺乳動物から得られる精液と人工授精させて胚を産生させる工程であって、該雄性の非ヒト哺乳動物は、前記目的のタンパク質を産生するためのトランスジェニックである、工程;
c)該胚を収集する工程;
d)該胚を受容性の哺乳動物の子宮に移植する工程;および
e)該トランスジェニック哺乳動物の出生を通じて妊娠をモニタリングする工程
を包含するプロセスによって作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳動物が、ウシ種、ブタ種、ヒツジ種、ヤギ種または齧歯動物種の哺乳動物である、請求項2、12、14、15または16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物がウシ種の哺乳動物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記目的のタンパク質が哺乳類成長ホルモンである、請求項2、12、14、15または16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記哺乳類成長ホルモンが、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、ヒツジ成長ホルモン、ヤギ成長ホルモンまたは齧歯動物成長ホルモンである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記哺乳類成長ホルモンがヒト成長ホルモンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約1.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約2.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約3.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約4.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約5.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約6.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記哺乳動物による前記哺乳類成長ホルモンの産生が、該哺乳類成長ホルモンを含む乳汁をより多く産生するように該哺乳動物を刺激する、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
前記目的のタンパク質をコードする遺伝子(乳腺細胞において該遺伝子の発現を誘導するプロモーターに連結される)が、前記哺乳動物の体細胞および生殖細胞に見出される、請求項2、12、14、15または16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法であって、以下:
a)非ヒトトランスジェニック哺乳動物の該乳汁を清澄して、清澄された乳汁を得る工程;および
b)該清澄された乳汁をクロマトグラフィーに供して、精製された組換え成長ホルモンを得る工程
を包含する、方法。
【請求項31】
前記クロマトグラフィーが、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、分子排除クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
複数のクロマトグラフィー工程が行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記イオン交換クロマトグラフィーがアニオン交換クロマトグラフィーである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記アフィニティークロマトグラフィーがイムノクロマトグラフィーである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
濃縮工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法であって、以下:
a)非ヒトトランスジェニック哺乳動物の該乳汁を清澄して、清澄された乳汁を得る工程;
b)該清澄された乳汁を流動層によるアニオン交換クロマトグラフィーに供して、アニオン交換クロマトグラフされた物質を得る工程;
c)該アニオン交換クロマトグラフされた物質を逆相クロマトグラフィーに供して、逆相クロマトグラフされた物質を得る工程;
d)該逆相クロマトグラフされた物質をアニオン交換クロマトグラフィーに供して、アニオン交換クロマトグラフされた物質を得る工程;
e)該アニオン交換クロマトグラフされた物質を分子排除クロマトグラフィーに供して、分子排除クロマトグラフされた物質を得る工程;
f)該分子排除クロマトグラフされた物質を濃縮し、濃縮された物質を得る工程;および
g)該濃縮された物質を分子排除クロマトグラフィーに供して、純粋な組換え成長ホルモンを得る工程
を包含する、方法。
【請求項37】
組換え成長ホルモンを産生する非ヒトトランスジェニック哺乳動物の乳汁から組換え成長ホルモンを精製する方法であって、以下:
a)トランスジェニック哺乳動物から得られた乳汁を清澄して、清澄された乳汁を得る工程;
b)該清澄された乳汁をイムノアフィニティークロマトグラフィーに供して、イムノアフィニティークロマトグラフされた物質を得る工程;
c)該イムノアフィニティークロマトグラフされた物質を逆相クロマトグラフィーに供して、逆相クロマトグラフされた物質を得る工程;
d)該逆相クロマトグラフされた物質をアニオン交換クロマトグラフィーに供して、アニオン交換クロマトグラフされた物質を得る工程;
e)該アニオン交換クロマトグラフされた物質を分子排除クロマトグラフィーに供して、分子排除クロマトグラフされた物質を得る工程;
f)該分子排除クロマトグラフされた物質を濃縮に供して、濃縮された物質を得る工程;および
g)該濃縮された物質を分子排除クロマトグラフィーに供して、純粋な組換え成長ホルモンを得る工程
を包含する、方法。
【請求項38】
前記成長ホルモンが哺乳類成長ホルモンである、請求項36または37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記哺乳類成長ホルモンが、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、ヒツジ成長ホルモン、ヤギ成長ホルモンまたは齧歯動物成長ホルモンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記哺乳類成長ホルモンがヒト成長ホルモンである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約1.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約2.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約3.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約4.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約5.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記哺乳動物が、乳汁1Lあたり約6.0g hGHよりも高いレベルでヒト成長ホルモンを産生する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、ウシ種の哺乳動物である、請求項36または37のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記非ヒトトランスジェニック哺乳動物が、ブタ、ヒツジ、ヤギまたは齧歯動物である、請求項36または37のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−507510(P2007−507510A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534022(P2006−534022)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/031819
【国際公開番号】WO2005/033274
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(501177322)スターンベルド バイオテクノロジー ノース アメリカ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】