説明

トリガー式噴出器

【課題】容器体Aの口頸部3にトリガー式ディスペンサーBを装着したトリガー式噴出器であって、長時間のトリガー操作を行っても手が疲れたり,痛くなったりすることを極力防止でき、また、従来の組み立てライン,充填ラインの使用が可能なトリガー式噴出器を提案する。
【解決手段】ディスペンサーBのトリガー15を、トリガー本体18及び該本体にスライド可能に嵌着した伸長カバー19とで構成した。伸長カバーは、トリガー本体外面に嵌合した状態から、トリガー本体下端より下方へ所定幅の非嵌合部分を延設した状態へのスライド下降が可能に嵌合させており、また、伸長カバーの前記下降位置での係合手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガー式噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式噴出器として、容器体にトリガー付きのディスペンサーを装着し、トリガー操作により容器体内の液を霧状或いは泡状或いは水柱状に噴出する如く構成したものが種々知られている。これらの一般的な形態として、前記ディスペンサーは口頸部に螺着した装着キャップにより容器体に固定し、また装着キャップ上に延設した本体部の前部下部よりトリガーを引き込み可能に垂設し、トリガーの引き込みにより内蔵ポンプ機構の作用で容器体内の液を吸い上げ、本体部前部に嵌着したノズルの噴出口より液を噴出する如く構成している。(特許文献1)
【0003】
従来のこの種の噴出器は例えば容器体の胴部上部を小径に形成し、その部分を握って全体を持ち、人差指一本或いは人差指と中指の二本の指でトリガー操作を行う。また、トリガーの長さは、トリガー操作時に掛ける一本或いは二本の指の幅等を考慮して一般に60mm前後が採用されている。
【特許文献1】特開平11−276945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な従来の噴出器に於いて、一度に多量に使用する種類の収納物を収納したものの場合、吐出回数が多くなって手が疲れたり、長時間のハンドリングで手が痛くなったりする欠点があった。本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、長時間トリガー操作を行っても、手の疲れ,痛み等が生じるのを極力防止でき、また、製造の際に従来の組み立てライン,充填ラインの使用が可能なトリガー式噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として、胴部2の上に口頸部3を起立した容器体Aと、前記口頸部3に装着したトリガー式のディスペンサーBとを備え、前記ディスペンサーは前記容器体前方に揺動可能に垂設したトリガー本体18及び該本体にスライド可能に嵌着した伸長カバー19とからなるトリガー15を備え、前記伸長カバーは、前記トリガー本体外面に嵌合した状態から、前記トリガー本体下端より下方へ所定幅の非嵌合部分を延設した状態へのスライド下降が可能に嵌合させてなり、前記伸長カバーの前記下降位置での係合手段Sを備えてなることを特徴とする。
【0006】
第2の手段として、前記第1の手段に於いて、前記係合手段Sが、前記トリガー本体18及び前記伸長カバー19のいずれか一方に設けた一対の挟持板34と、他方に設けるとともに、前記伸長カバーの前記下降位置で前記挟持板間に密嵌する嵌合板29とで構成した。
【0007】
第3の手段として、前記第1の手段に於いて、前記トリガー本体18は、上端部の枢着基部20より一対の縦長な板状部23を垂設し、上記伸長カバー19は、前記両板状部23の各外側面にそれぞれ上下摺動可能に側壁31を嵌合させるとともに、前記両側壁を連結する前壁30裏面上部より前記各板状部23の内側面にそれぞれ上下摺動可能に係合させた一対の挟持板34を突設し、前記係合手段Sが、前記トリガー本体の前記各板状部間後方に立設支持した嵌合板29と、前記伸長カバー19の下降時に前記嵌合板29をその間に密嵌させる前記各挟持板34とで構成してなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明トリガー式噴出器は、トリガーを既存のトリガーと比較して長く構成することにより、その引き込み操作は小さな力で行えて、長時間の使用の場合にも指が疲れたり、痛くなったりすることを防止でき、また、伸長カバー19は、当初トリガー本体18外面に嵌合させておくことができるため、組み立てに当たり既存の組み立てラインを使用でき、また、充填に当たり既存の充填ラインを使用でき、各ライン使用後伸長カバー19を下方へスライドさせれば良いため、新たなラインを設ける必要もない。また、伸長カバー19の下降位置での係合手段Sを備えているため、伸ばしたトリガー15の安定した状態を維持することができるものである。
【0009】
また、第2の手段のものは、伸長カバー19をスライドさせて伸ばしたトリガー15の連結部位のガタツキをより確実に防止でき、下降した伸長カバー19がより安定した状態で固定される利点がある。
【0010】
更に、第3の手段のものは、トリガー本体18の各板状部23を両側壁31と各挟持板34とで挟持して摺動させる如く構成しているため、スライド操作時にトリガー本体18から伸長カバー19が外れる等の不都合をより確実に防止でき、また、第2の手段のものと同様連結部位のガタツキをより確実に防止する等の利点を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明トリガー式噴出器の一例を示し、該トリガー式噴出器1は、容器体Aと、ディスペンサーBとで構成している。
【0013】
容器体Aは、胴部2の上に口頸部3を起立するとともに、胴部2の上部を把持可能な把持部2aとして構成している。
【0014】
ディスペンサーBは容器体Aに装着し、容器体内の液を噴出するものであり、容器体Aに対してその口頸部3外周に嵌着させた装着キャップ11により固定している。該装着キャップ11の上には、ポンプ機構を司るシリンダ13等を内蔵した本体部14を備え、本体部14の前部よりトリガー15を垂設している。また、本体部14の先端部にはノズル16を嵌着してその前面に噴出口17を開口している。このディスペンサーBは、内蔵する公知のポンプ機構を選択し、また、ノズルの内部構造を選択することにより、容器体内の液を液柱状,泡状或いは霧状等の形態に噴出することができる。
【0015】
トリガー15は、上端を前記本体部14に枢着して揺動可能に設けたもので、該トリガー15の操作により内蔵ポンプ機構の作用で容器体A内の液を吸い上げ、噴出する如く構成している。本発明では、トリガー15を、トリガー本体18と、伸長カバー19とで構成している。

【0016】
トリガー本体18は、前記容器体A前方に揺動可能に垂設したもので、上端部の枢着基部20を前記本体部14に揺動可能に枢着している。図示例に於いて枢着基部20は、図6に示す如く、前壁20a の両側より後方へ側壁20b をそれぞれ延設し、各側壁20b 外面に枢着軸21を突設している。また、前壁20a 裏面には棒状突起22を突設し、シリンダ1内のプランジャ(図示せず)の押し込みを行う。また、枢着基部20からは下方へ一対の板状部23を平行に垂設している。この板状部23は、全体的に前方へ突出する如く湾曲しており、また、各板状部23の先端縁外側にそれぞれ係止用の第1係止突条24を、先端縁内側にそれぞれ係止用の第2係止突条25を突設している。
【0017】
また、各第2係止突条25の上部所定位置には仮止め用の段部26を形成し、また、第2係止突条25の下部所定位置には係止段部27をそれぞれ形成している。更に、係止段部27の上方所定位置には乗り越え可能な係止突条28を設けている。更にトリガー本体18の各板状部23間後方には、後述係合手段の一端を担う嵌合板29を設けている。この嵌合板29は、各板状部23間に掛け渡した連結基部29a の上面より各板状部23間後方位置に立設している。トリガー本体18の長さは一般的なこの種トリガー式ディスペンサーと同様の長さを採用することが好ましく、図示例では57mmの長さを採用している。
【0018】
伸長カバー19は、トリガー本体18に嵌着してトリガーの長さを伸ばすためのもので、全体を前記トリガー本体18外面に嵌合した状態から、前記トリガー本体下端より下方へ所定幅の非嵌合部分を延設した状態へのスライド下降が可能に嵌合させている。また、前記下降位置での係合手段Sを備えている。
【0019】
図示例では、伸長カバー19は、縦長な前壁30,両側壁31,31及び底壁32を備えた後端開口の筒状をなし、トリガー本体18の湾曲に併せて前方へ突出する湾曲状に全体を形成している。また、両側壁31内面には前記トリガー本体18の各第1係止突条24に係合させる第1係合突条33をそれぞれ突設しており、また、前壁30裏面上部には各板状部23の内側面にそれぞれ上下摺動可能に係合させた一対の挟持板34を突設している。各挟持板34は前記第2係止突条25に係合させた第2係合突条35を各々突設しており、それぞれ所定幅離間して突設している。各挟持板34の離間幅は、前記嵌合板29を密嵌できる幅に構成している。上記伸長カバー19をトリガー本体18に装着する場合には、例えばトリガー本体18前方より強制的に嵌合させる。この伸長カバー19の長さは種々選択できるが、トリガー本体18の長さを伸ばすのに寄与する非嵌合部分の長さL1 が20mm〜30mm程度が好ましく採用できる。

【0020】
伸長カバー19が上部位置にある場合には、各挟持板34の下面が前記仮止め用の段部26に係止されて振動などの弱い外力では下方にずれないように構成しており、強制的に強く引くことにより容易に下方へスライドする如く構成している。また、下方へスライドさせた際には、各挟持板34が係止突条28を乗り越えてその下方の係止段部27に当接し、それ以上の下降が不能となるとともに、係止突条28により上方への移行を防止する。また、嵌合板29が各挟持板34間に密嵌することで上方への抜け出しの防止及び連結部位のガタツキの防止を図れる如く構成している。尚、伸長カバー19を上昇させた状態でトリガー15を扱うことにより、既設の組み立てラインを使用しての組み付けを行うことができ、更に、既設の充填ラインを使用しての充填を行うことができ、これらの組み立て,充填の後に伸長カバー19を下方へスライドさせて使用することができる。
【0021】
上記の如く構成したトリガー式噴出器1を使用する場合には、図2の状態から伸長カバー19をスライド下降させて所定位置まで下降し、次いで容器体口頸部3直下の把持部2a部分を握ってトリガー式噴出器1を持つ。次いで例えば人差指と中指とでトリガー15下部を引き込めば噴出口17より収納液が噴出する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明トリガー式噴出器の側面図である。(実施例1)
【図2】本発明に於けるトリガーを示す縦断面図である。(実施例1)
【図3】図2のX−X線部分の横断面図である。(実施例1)
【図4】図2のトリガーを伸ばした状態の縦断面図である。(実施例1)
【図5】図4のY−Y線部分の横断面図である。(実施例1)
【図6】本発明に於けるトリガーを伸ばした状態の斜視図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0023】
2…胴部,2a…把持部,3…口頸部,15…トリガー,18…トリガー本体,
19…伸長カバー,20…枢着基部,23…板状部,29…嵌合板,30…伸長カバー前壁,
31…伸長カバー側壁,34…挟持板,A…容器体,B…ディスペンサー,S…係合手段,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部2の上に口頸部3を起立した容器体Aと、前記口頸部3に装着したトリガー式のディスペンサーBとを備え、前記ディスペンサーは前記容器体前方に揺動可能に垂設したトリガー本体18及び該本体にスライド可能に嵌着した伸長カバー19とからなるトリガー15を備え、前記伸長カバーは、前記トリガー本体外面に嵌合した状態から、前記トリガー本体下端より下方へ所定幅の非嵌合部分を延設した状態へのスライド下降が可能に嵌合させてなり、前記伸長カバーの前記下降位置での係合手段Sを備えてなることを特徴とするトリガー式噴出器。
【請求項2】
前記係合手段Sが、前記トリガー本体18及び前記伸長カバー19のいずれか一方に設けた一対の挟持板34と、他方に設けるとともに、前記伸長カバーの前記下降位置で前記挟持板間に密嵌する嵌合板29とで構成してなる請求項1記載のトリガー式噴出器。
【請求項3】
前記トリガー本体18は、上端部の枢着基部20より一対の縦長な板状部23を垂設し、上記伸長カバー19は、前記両板状部23の各外側面にそれぞれ上下摺動可能に側壁31を嵌合させるとともに、前記両側壁を連結する前壁30裏面上部より前記各板状部23の内側面にそれぞれ上下摺動可能に係合させた一対の挟持板34を突設し、前記係合手段Sが、前記トリガー本体の前記各板状部間後方に立設支持した嵌合板29と、前記伸長カバー19の下降時に前記嵌合板29をその間に密嵌させる前記各挟持板34とで構成してなる請求項1記載のトリガー式噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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