説明

トリガー式液体噴出器

【課題】ノズルの位置決めに伴う部品の損傷を抑えることができ、しかもノズルの位置確認を容易に行えるトリガー式液体噴出器を提供すること。
【解決手段】本発明のトリガー式液体噴出器は、ノズル21及びトリガーレバー22を具備する液体噴出器本体2と、液体噴出器本体2を覆うシュラウド3とを備え、トリガーレバー22の引き操作によってノズル21の噴出孔211から液体を噴出させる。ノズル21は、液体噴出器本体2に対して回転可能で、且つノズル21に取り付けられた操作レバー24を回動させたときのノズル21の回転位置によって液体の流路を開閉するように設けられており、シュラウド3に、操作レバー24を衝合させて前記流路の開く位置にノズル21を位置決めさせる衝合部31が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容した容器に装着されて使用される、トリガー式液体噴出器(以下、単に液体噴出器ともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
ノズル及びトリガーレバーを備えた液体噴出器本体と、該液体噴出器本体を覆うシュラウドとを具備し、前記トリガーレバーの引き操作によって前記ノズルの噴出孔から液体を噴出させる液体噴出器が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、ノズルと嵌合されているスピンエレメントとの間において、互いに係合する係合突部を設け、ノズルとともに回転する操作板を操作し、これらの係合突部どうしを係合させることによって、ノズルを液体の噴出位置に位置決めしている。
【0004】
しかし、前記液体噴出器では、操作板を回動させ、ノズルの内面に形成された係合突部とスピンエレメントの係合突部とを係合させることによって、ノズルを液体の噴出位置に位置決めしている。このため、操作板の回転トルクによって、係合突部が削れたり壊れたりするおそれがあった。特に、ノズルには、スピンエレメント等の他の部品との嵌合によって、嵌合圧がかかっており、内容液とも接するので、環境応力破壊が起こりやすいことに加え、操作板による回転トルクが係合突部にかかることとなるため、環境応力破壊を誘発するおそれがある。また、ノズル内部で係合突部どうしを係合させているので、係合状態を外部から確認しづらいという課題も有していた。
【0005】
【特許文献1】特開2006−297219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ノズルの位置決めに伴う部品の損傷を抑えることができ、しかもノズルの位置確認を容易に行えるトリガー式液体噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ノズル及びトリガーレバーを具備する液体噴出器本体と、該液体噴出器本体を覆うシュラウドとを備え、前記トリガーレバーの引き操作によって前記ノズルの噴出孔から液体を噴出させるトリガー式液体噴出器であって、前記ノズルは、前記液体噴出器本体に対して回転可能で、且つ該ノズルに取り付けられた操作レバーを回動させたときの該ノズルの回転位置によって液体の流路を開閉するように設けられており、前記シュラウドに、前記操作レバーを衝合させて前記流路の開く位置に前記ノズルを位置決めさせる衝合部が設けられているトリガー式液体噴出器を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノズルの位置決めに伴う部品の損傷を抑えることができ、しかもノズルの位置確認を容易に行えるトリガー式液体噴出器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1及び図2は、本発明の液体噴出器の一実施形態を示した模式図である。
本実施形態の液体噴出器1は、ノズル21及びトリガーレバー22を具備する液体噴出器本体2と、液体噴出器本体2を覆うシュラウド3とを備えている。
【0011】
液体噴出器本体2は、内部が互いに連通する横管部201及び縦管部202を有する本体フレーム20に、以下に説明するように、トリガーレバー22の引き操作によってノズル21の噴出孔211から液体を噴出するための流路を形成するための各部品が取り付けられて構成されている。
【0012】
本体フレーム20の横管部201の液体の噴出方向となる前方には、スピンエレメント23が取り付けられており、このスピンエレメント23の前方にノズル21がその噴出孔211を通る軸Aを中心軸として液体噴出器本体2に対して回転可能に取り付けられている。ノズル21の噴出孔211に対して噴出方向と逆側に延出して開口する筒状部212内には、スピンエレメント23の筒状部231が嵌合されている。ノズル21の筒状部212の内周面及びスピンエレメント23の筒状部231の外周面には、それぞれ溝213、232が設けられており、ノズル21を噴出孔211の軸A周りに回転させ、これらの溝213、232が重なり合ったときに液体の流路が形成されるようになしてある。
【0013】
ノズル21には、噴出孔211を通る軸A周りにノズル21を回転させる操作レバー24が取り付けられている。本実施形態では、ノズル21の噴出方向と逆側に延出する外側の筒状部214に操作レバー24の筒状部241が嵌合されることによって、ノズル21に操作レバー24が取り付けられている。本実施形態では、このような構成によって、ノズル21は、操作レバー24を軸A周りに回動させたときのノズル21の回転位置によって液体の流路を開閉するように設けられている。
【0014】
トリガーレバー22は、本体フレーム20の側面部の回動中心Oを中心として揺動できるように、スピンエレメント23及び/又は本体フレーム20に取り付けられている。
【0015】
操作レバー24の先端部のつまみ片部242には、トリガーレバー22の引き操作を禁止する突部243が設けられている。操作レバー24をトリガーレバー22に近接位置、好ましくは接触する位置まで回転させたときに操作レバー24を引くと、トリガーレバー22の引き方向側が突部243に当接し、トリガーレバー22の揺動を禁止する。また、本実施形態では、操作レバー24のロッド部244が、トリガーレバー22の引き方向の逆側からその揺動を止めるように設けられている。つまり、操作レバー24は、トリガーレバー22の引き操作(揺動)をその揺動方向の両側から禁止するストッパーを兼ねており、トリガーレバー22の不用意な引き操作(揺動)による内容液の誤噴出を防いでいる。
【0016】
本体フレーム20における、縦管部202の下方部には通液用管体25が取り付けられている。通液用管体25の下方部にはフランジ部251が設けられており、このフランジ部251に液体噴出器1を図示しない容器に装着するためのキャップ252が支持されている。また、通液用管体25にはその下端部から吸引パイプ253が挿着されている。さらに、通液用管体25の内部には上下に二つの逆止弁254、255が配置されている。
【0017】
本体フレーム20の縦管部202のトリガーレバー22の側であって横管部201の下方に位置する部分にはシリンダー26が略水平に取り付けられている。シリンダー26内には、トリガーレバー22の引き操作によって当該シリンダー26内を摺動するピストン261がスプリング262を介して配されている。シリンダー26内と通液用管体25内とは、シリンダー26の壁面部及び通液用管体25を貫く連通路27で連通されている。シリンダー26の側面部には、外部から容器内部に空気を導入するための吸気孔28が設けられている。この吸気孔28は、前記容器内に通じる吸気路(図示せず)に連通されている。
【0018】
シュラウド3には、操作レバー24を衝合させて前記液体の流路の開く位置にノズル21を位置決めさせる衝合部31が設けられている。本実施形態の液体噴出器1では、シュラウド3における液体の噴出方向側の一方の側面部で、左側面部32に設けられた切り欠き部33の端面が衝合部とされている。
【0019】
シュラウド3の内面には係合突部34〜36が設けられており、これらの係合突部と、フレーム20に設けられた係合凸部203、204及びスピンエレメント23に設けられた係合突部231とが係合しあうことによって、シュラウド3は、液体噴出器本体2の外側を覆うように取り付けられている。
【0020】
本実施形態の液体噴出器1では、ノズル21の位置決めは、操作レバー24のロッド部244とシュラウド3の衝合部31との衝合のみにより行われる。このため、従来のようなノズル21とスピンエレメント23との間に係合突部は設けられていない。
【0021】
液体噴出器1で液体を噴出する場合は、先ず、液体が収容された容器(図示せず)の口部にキャップ252を螺着させて該容器に液体噴出器1を装着させる。次いで、図2(a)の仮想線の位置まで操作レバー24を回動させることによって、ノズル21を軸A周りに回転させ、トリガーレバー22の引き操作の禁止が解除される。そして、ロッド部244をシュラウド3の衝合部31に衝合させて、ノズル21の溝213とスピンエレメント23の溝232とを連通させ、液体の流路が開いた状態とする。次いで、スプリング262の弾性力に抗してトリガーレバー22を引き操作を行ってピストン261をシリンダー26内で摺動して押し込み、縦管部202内が加圧されることで逆止弁254が開かれて横管部201を経由して圧送された液体が、スピンエレメント23とノズル21との間の溝232、213を通じてノズル21の噴出孔211から噴出される。尚、トリガーレバー22の引き操作が解除されると、ピストン261がスプリング262の弾性力によって元の位置に戻り、縦管部202の負圧化により逆止弁255が開かれて吸引パイプ253から内容液が吸引され、吸気孔28を通じて外部から前記容器内に空気が導入される。
【0022】
本実施形態の液体噴出器1は、ノズル21の位置決めは、操作レバー24のロッド部244とシュラウド3の衝合部31との衝合のみにより行うので、従来のような、操作レバー24の回動操作によるノズルの位置決めに伴う部品の損傷、特に、環境応力破壊による部品の損傷を防ぐことができる。また、ノズル1の位置は、操作レバー24がシュラウドの衝合部31に衝合しているか否かの視認、並びに手指に及ぶ衝合感によって容易に確認することができる。
【0023】
本発明の液体噴出器は、噴出させる液体に特に制限はないが、次亜塩素酸ナトリウム、特に、次亜塩素酸ナトリウム及び界面活性剤を含む液体の噴出に好ましく使用される。尚、過酸化水素水、特に過酸化水素水と界面活性剤を含む液体の噴出にも使用される。
【0024】
本発明は、前記実施形態に制限されない。
本発明の液体噴出器は、前記実施形態の液体噴出器1のように、ノズル21の位置決めは、操作レバー24のロッド部244とシュラウド3の衝動部31との衝合のみにより行うようにすることが好ましいが、このような衝合によって、操作レバーの回転トルクの軽減が図れるので、従来のようなノズルとスピンエレメントに係合突部を設けてノズルの位置決めを行う構成と併用することもできる。
【0025】
また、本発明の液体噴出器は、前記実施形態のように、操作レバー24がトリガーレバー22の引き操作を禁止するストッパーを兼ねるようにすることが好ましいが、ストッパーとして機能させなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のトリガー式液体噴出器の一実施形態を示す図であり、(a)は一部を切り欠いて示した側断面図、(b)は部分拡大図である。
【図2】同実施形態のトリガー式液体噴出器の外観を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(b)の平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 トリガー式液体噴出器
2 液体噴出器本体
21 ノズル
22 トリガーレバー
24 操作レバー
3 シュラウド
31 衝合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル及びトリガーレバーを具備する液体噴出器本体と、該液体噴出器本体を覆うシュラウドとを備え、前記トリガーレバーの引き操作によって前記ノズルの噴出孔から液体を噴出させるトリガー式液体噴出器であって、
前記ノズルは、前記液体噴出器本体に対して回転可能で、且つ該ノズルに取り付けられた操作レバーを回動させたときの該ノズルの回転位置によって液体の流路を開閉するように設けられており、
前記シュラウドに、前記操作レバーを衝合させて前記流路の開く位置に前記ノズルを位置決めさせる衝合部が設けられているトリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記操作レバーが、前記トリガーレバーの引き方向の側で当接して引き操作を禁止するストッパーを兼ねている請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記ノズルの噴出方向と逆側に延びる筒状部にスピンエレメントの筒状部が嵌合され、前記筒状部どうしに、前記ノズルが前記流路の開く位置に位置決めされたときに連通する溝が設けられ、
前記ノズルの位置決めが前記操作レバーと前記衝合部との衝合のみにより行われる請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
次亜塩素酸ナトリウムを含む液体の噴出に使用される請求項1〜3の何れかに記載のトリガー式液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−194642(P2008−194642A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34069(P2007−34069)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】