説明

トリブロモメチルスルホニルピリジンの製造方法

【課題】感光性樹脂の構成成分として有用であるトリブロモメチルスルホニルピリジンの製造中間体であるメチルチオピリジンの新規な製造方法の提供。
【解決手段】ハロゲン化ピリジンとメタンチオールのアルカリ金属塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させるメチルチオピリジンの製造方法。該メタンチオールのアルカリ金属塩としては、ナトリウムメタンチオレートであることが好ましい。該製造方法は、相間移動触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。該相間移動触媒としては、第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルチオピリジンを中間体としてトリブロモメチルスルホニルピリジンを製造する新規な製造方法に関する。また、ハロゲン化ピリジンを原料とするメチルチオピリジンの新規な製造方法に関する。
【0002】
トリブロモメチルスルホニルピリジンは、感光性樹脂組成物の構成成分として用いると、可視光線、紫外光線、レーザー光線等の活性線の照射により、ハロゲンラジカルを発生させ、ハロゲン化水素を生成し、感光性樹脂と基材との密着性を向上させるなどの機能が期待される有用な化合物である。
【背景技術】
【0003】
トリブロモメチルスルホニルピリジンを製造する方法としては、例えば、下記式のようにピリジンチオールを原料とし、ハロゲン化メチル等をメチル化剤として用いて、チオメチル化することによりメチルチオピリジンとし、さらに酸化してメチルスルホニルピリジンとした後、臭素化してトリブロモメチルスルホニルピリジンを得る方法が挙げられる。
【0004】
【化1】

【0005】
ここで原料であるピリジンチオールは、一般にハライド化合物とチオウレアとをアルコール中で反応させて得られるが、反応収率が低いという問題がある。また、メチルチオ化合物を酸化してメチルスルホンを合成する方法としては、酸触媒の存在下で過酸化水素等の各種酸化剤を用いる方法や、酢酸溶媒中、酸触媒の存在下で各種酸化物を用いる方法等が知られているが、ピリジン誘導体を前記酸触媒の存在下で酸化した場合、ピリジン環の窒素原子まで酸化され、N−オキサイドが副生する。このN−オキサイドは爆発等の危険性があり、工業的にスルホンを製造する上で大きな問題となる。
【0006】
また、メチルスルホニルピリジンを臭素化し、トリブロモメチルスルホニルピリジンを得る方法としては、J.Org.Chem.(51巻、3369頁、1986年)に記載の方法が知られている。この方法においては、臭素化剤として次亜臭素酸ナトリウムを用い、ジオキサン−水の混合溶媒中でメチルスルホニルピリジンを均一に溶解し、強アルカリ性の下、室温にて24時間を要して反応を行い、トリブロモメチルスルホニルピリジンを得ている。しかしながら、この方法においては、アルカリおよび次亜臭素酸ナトリウムの使用量が、原料のメチルスルホニルピリジンに対し、それぞれ、21.5倍モルおよび6倍モルと非常に多く、特に次亜臭素酸ナトリウムは理論量(3倍モル)の2倍量を使用しなければならない。さらに、反応時間も24時間という長時間を要し、しかも、得られたトリブロモメチルスルホニルピリジンは純度が悪く、使用に際しては再結晶を要するなど、工業的に優れた方法とはいい難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの目的は、短時間で容易に、しかも高収率、高純度で工業的に有利にトリブロモメチルスルホニルピリジンを製造する方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の一つの目的は、トリブロモメチルスルホニルピリジンの製造の中間体であるメチルチオピリジンの新規な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記の目的を達成するために鋭意研究を行った結果、メチルチオピリジンと次亜臭素酸塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させることにより、酸化と臭素化が同時に行われ、一段の反応でトリブロモメチルスルホニルピリジンが得られることを見出した。
【0010】
さらに、本発明者らは、ハロゲン化ピリジンとメタンチオールのアルカリ金属塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させることにより、メチルチオピリジンが容易に得られることを見出した。
【0011】
そして、上記反応により生成するメチルチオピリジンに、引き続いて、次亜臭素酸塩を、塩基と水の存在下、不均一系で反応させることにより、ハロゲン化ピリジンを原料としてトリブロモメチルスルホニルピリジンを製造する一連の反応をワンポットで行うことができることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりのメチルチオピリジンの製造方法を提供するものである。
【0013】
1. ハロゲン化ピリジンとメタンチオールのアルカリ金属塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させることを特徴とするメチルチオピリジンの製造方法。
【0014】
2. メタンチオールのアルカリ金属塩が、ナトリウムメタンチオレートである上記項1に記載のメチルチオピリジンの製造方法。
【0015】
3. 相間移動触媒の存在下で反応を行うことを特徴とする上記項1または2に記載のメチルチオピリジンの製造方法。
【0016】
4. 相間移動触媒が、第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩である上記項3に記載のメチルチオピリジンの製造方法。
【0017】
[メチルチオピリジンの製造]
本発明のメチルチオピリジンの製造方法の特徴は、ハロゲン化ピリジンとメタンチオールのアルカリ金属塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させる点にある。
【0018】
本発明に用いられるハロゲン化ピリジンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、2−ハロゲン化ピリジン、3−ハロゲン化ピリジン、4−ハロゲン化ピリジン等が挙げられる。それらの具体例としては、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、4−クロロピリジン、2−ブロモピリジン、3−ブロモピリジン、4−ブロモピリジン等が挙げられる。これらの中でも、2−クロロピリジンが好ましく用いられる。
【0019】
本発明に用いられるメタンチオールのアルカリ金属塩としては、特に限定されるものではないが、メタンチオールのカリウム塩(カリウムメタンチオレート)、メタンチオールのナトリウム塩(ナトリウムメタンチオレート)等が挙げられ、中でも経済的見地からナトリウムメタンチオレートが好ましく用いられる。その使用量は、ハロゲン化ピリジン1モルに対し、通常1〜3モル、好ましくは1〜2モルの範囲である。メタンチオールのアルカリ金属塩の使用量が1モル未満の場合には、未反応のハロゲン化ピリジンが多くなり、一方、3モルを超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0020】
本発明で使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。中でも、経済的見地から、水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。その使用量は、ハロゲン化ピリジン1モルに対し、通常0.05〜2モル、好ましくは0.1〜1モルの範囲である。塩基の使用量が0.05モル未満の場合には、未反応のハロゲン化ピリジンが多くなり、一方、2モルを超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0021】
本発明のメチルチオピリジンの製造方法においては、ハロゲン化ピリジンとメタンチオールのアルカリ金属塩との反応は、反応原料であるハロゲン化ピリジンが水不溶性であるために2相系で行われる。この反応系に相間移動触媒を添加すると、反応が円滑に進行することが多く、好適である。ここで使用する相間移動触媒としては、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の第4級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等の第4級ホスホニウム塩等が好適に用いられる。その使用量は、ハロゲン化ピリジンに対し、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲である。相間移動触媒の使用量が0.1重量%未満では、触媒効果が十分にあらわれず、一方、50重量%を超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0022】
反応に用いる水の量は特に限定されるものではないが、ハロゲン化ピリジン1モルに対して150〜1000gが適量である。
【0023】
反応温度は、通常50〜110℃、好ましくは80〜105℃の範囲である。反応温度が50℃未満では、反応速度が遅く、反応に長時間を要する。一方、110℃を超えると、反応速度は速くなるが、副反応生成物も増加する。
【0024】
反応時間は、通常2〜10時間の範囲である。
【0025】
この反応は、液−液の不均一2相系で行われるため、反応終了後に、通常の分液操作のみで容易にメチルチオピリジンを分離することができる。分液により得られたメチルチオピリジンは、そのままトリブロモメチルスルホニルピリジンの製造に使用することができる。
【0026】
[トリブロモメチルスルホニルピリジンの製造]
本発明のトリブロモメチルスルホニルピリジンの製造方法の特徴は、メチルチオピリジンと次亜臭素酸塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させる点にある。本発明において、次亜臭素酸塩は酸化剤と臭素化剤の両方の役目を果たすため、チオ基の酸化とメチル基の臭素化が同時に一段の反応で行われ、目的とするトリブロモメチルスルホニルピリジンを工業的により有利に得ることができる。
【0027】
本発明に用いられるメチルチオピリジンとしては、例えば、2−(メチルチオ)ピリジン、3−(メチルチオ)ピリジン、4−(メチルチオ)ピリジン等が挙げられる。また、本発明において用いられるメチルチオピリジンとしては、いかなる方法によって得られたものでもよいが、前述した本発明の方法によると、より有利に得ることができる。
【0028】
本発明において用いられる次亜臭素酸塩としては、特に限定されるものではないが、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウムなどの次亜臭素酸のアルカリ金属塩が挙げられる。中でも次亜臭素酸ナトリウムが好適に用いられる。
【0029】
本発明に用いられる次亜臭素酸塩の濃度は、特に限定されるものではないが、工業的には10〜30重量%のものが有利に使用できる。次亜臭素酸塩は、通常、有機溶媒−水系で用いると、有機溶媒と反応して消費されてしまうため、大過剰に添加する必要がある。しかしながら、本発明においては、反応に有機溶媒を使用しないため、次亜臭素酸塩の使用量は、メチルチオピリジンに対する理論量の1.01〜1.5倍量、すなわちメチルチオピリジン1モルに対して5.05〜7.5モルの範囲でよい。
【0030】
本発明に用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。中でも、経済的見地から水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。その使用量は、メチルチオピリジン1モルに対し、通常0.2〜4モル、好ましくは0.5〜2モルの範囲である。塩基の使用量が0.2モル未満の場合には、未反応のメチルチオピリジンが多くなり。一方、4モルを超えて用いても、それに見合う効果が得られず経済的に不利である。
【0031】
この反応は、液体のメチルチオピリジンと水との液−液不均一2相系で行われるが、反応が進行するに従い、生成したトリブロモメチルスルホニルピリジンが固体として析出するため、最終的には固−液系で反応は終了する。反応終了後に、トリブロモメチルスルホニルピリジンの析出結晶を濾過するのみで、高純度の製品を高収率で得ることができる。
【0032】
反応に用いる水の量は特に限定されるものではないが、前述したように反応生成物であるトリブロモメチルスルホニルピリジンが水に難溶であり、反応の途中より析出してくるため、スラリー濃度および容積効率を考慮して決定する必要がある。水の量は、メチルチオピリジン1モルに対して500〜4000gが適量である。
【0033】
反応温度は、通常−5〜50℃、好ましくは−5〜30℃、さらに好ましくは0〜10℃の範囲である。反応温度が−5℃未満では、反応速度が遅く、反応に長時間を要する。一方、反応温度が50℃を超えると、反応速度は速くなるが、副反応生成物も増加する。
【0034】
反応時間は、通常2〜10時間の範囲である。
【0035】
本発明の方法では、反応の終了後、反応液を濾過し、結晶を水洗することにより、使用上問題のない程度の純度の高いトリブロモメチルスルホニルピリジンを得ることができるが、さらに高純度品を必要とする時は、モノクロロベンゼン等で再結晶することにより、純度を高めることも可能である。
【0036】
なお、前述の[メチルチオピリジンの製造]における方法で製造したメチルチオピリジンを原料として用いてトリブロモメチルスルホニルピリジンを製造する場合には、メチルチオピリジンの製造反応の終了後に、2相系の反応液を分液して得たメチルチオピリジンを用いてもよいし、分液せずに2相系の反応液をそのまま用いてもよい。
【0037】
メチルチオピリジンの製造反応の終了時の2相系の反応液に、引き続いて、次亜臭素酸塩を、塩基と水の存在下、不均一系で反応させることにより、ハロゲン化ピリジンを原料としてトリブロモメチルスルホニルピリジンを製造する一連の反応をワンポットで行うことができる。
【0038】
本発明で得られるトリブロモメチルスルホニルピリジンとしては、例えば、2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジン、3−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジン、4−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジン等が挙げられる。
【0039】
本発明の方法によれば、ハロゲン化ピリジンから、簡単かつ経済的な手段により、しかも高収率、高純度で工業的に有利にトリブロモメチルスルホニルピリジンを製造することができる。
【0040】
また、本発明では有機溶媒を使用しないため、有機溶媒を回収する時間および費用が削減でき、工業的に有利に実施できる。
【0041】
さらに、本発明の方法では、N−オキサイドがほとんど生成しないため、工業的にも安全に実施できる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制約を受けるものではない。
【0043】
実施例1
2−クロロピリジン22.7g(0.20モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.3gおよび水2.3gからなる混合液に、ナトリウムメタンチオレート11.5g(0.24モル)、95%水酸化ナトリウム6.3g(0.15モル)および水38.3gからなる水溶液を温度80〜90℃の間で2時間かけて滴下し、その後、90〜100℃で5時間攪拌した。得られた2相系の反応液を分液し、上層の2−(メチルチオ)ピリジン23.8gを得た。2−クロロピリジンに対する収率は95.0%であった。
【0044】
参考例1
30%水酸化ナトリウム水溶液に臭素を滴下して調製した27%の次亜臭素酸ナトリウム水溶液522.7g(1.2モル)および95%水酸化ナトリウム5.1g(0.12モル)からなる水溶液を0℃に冷却した。これに、実施例1で得られた2−(メチルチオ)ピリジン23.8gを、0〜5℃に保ちながら2時間かけて滴下し、その後、5〜10℃で5時間攪拌した。結晶として析出した反応生成物を濾過、水洗、乾燥して68.8gの2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンを得た(純度99%)。2−(メチルチオ)ピリジンに対する収率は91.9%であった。得られた2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンの融点は160〜161℃であった。
【0045】
実施例2
2−クロロピリジン22.7g(0.20モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド6.8gおよび水2.3gからなる混合液に、ナトリウムメタンチオレート11.5g(0.24モル)、95%水酸化ナトリウム12.6g(0.3モル)および水38.3gからなる水溶液を温度80〜90℃の間で2時間かけて滴下し、その後、90〜100℃で5時間攪拌した。得られた2相系の反応液を分液し、上層の2−(メチルチオ)ピリジン23.0gを得た。2−クロロピリジンに対する収率は91.9%であった。
【0046】
参考例2
30%水酸化ナトリウム水溶液に臭素を滴下して調製した27%の次亜臭素酸ナトリウム水溶液522.7g(1.2モル)および95%水酸化ナトリウム11.4g(0.27モル)からなる水溶液を0℃に冷却した。これに、実施例2で得られた2−(メチルチオ)ピリジン23.0gを、0〜5℃に保ちながら2時間かけて滴下し、その後、5〜10℃で5時間攪拌した。結晶として析出した反応生成物を濾過、水洗、乾燥して68.1gの2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンを得た(純度99%)。2−(メチルチオ)ピリジンに対する収率は94.1%であった。得られた2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンの融点は160〜161℃であった。
【0047】
実施例3
2−クロロピリジン22.7g(0.20モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.3gおよび水2.3gからなる混合液に、ナトリウムメタンチオレート11.5g(0.24モル)、95%水酸化ナトリウム6.3g(0.15モル)および水38.3gからなる水溶液を温度80〜90℃の間で2時間かけて滴下し、その後、90〜100℃で5時間攪拌し、2−(メチルチオ)ピリジンを含む2相系の反応液を得た。
【0048】
別に、30%水酸化ナトリウム水溶液に臭素を滴下して調製した27%の次亜臭素酸ナトリウム水溶液554.4g(1.3モル)および95%水酸化ナトリウム5.2g(0.13モル)からなる水溶液を調製して0℃に冷却した。この水溶液を、上記で得られた2相系の反応液に、0〜5℃に保ちながら5時間かけて滴下し、その後、5〜10℃で3時間攪拌した。結晶として析出した反応生成物を濾過、水洗、乾燥して67.5gの2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンを得た(純度99%)。2−クロロピリジンに対する収率は85.7%であった。得られた2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンの融点は160〜161℃であった。
【0049】
実施例4
2−クロロピリジン22.7g(0.20モル)、テトラブチルホスホニウムブロマイド2.3g、ナトリウムメタンチオレート11.5g(0.24モル)、95%水酸化ナトリウム2.1g(0.05モル)および水35gからなる2相系の混合液を、80〜90℃で8時間攪拌した。得られた2相系の反応液を分液し、上層の2−(メチルチオ)ピリジン23.8gを得た。2−クロロピリジンに対する収率は95.0%であった。
【0050】
参考例3
30%水酸化ナトリウム水溶液に臭素を滴下して調製した27%の次亜臭素酸ナトリウム水溶液522.7g(1.2モル)および95%水酸化ナトリウム8.4g(0.2モル)からなる水溶液を0℃に冷却した。これに、実施例4で得られた2−(メチルチオ)ピリジン23.8gを、0〜5℃に保ちながら3時間かけて滴下し、その後、0〜5℃で7時間攪拌した。結晶として析出した反応生成物を濾過、水洗、乾燥して71.1gの2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンを得た(純度99%)。2−(メチルチオ)ピリジンに対する収率は95.0%であった。得られた2−(トリブロモメチルスルホニル)ピリジンの融点は160〜161℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化ピリジンとメタンチオールのアルカリ金属塩とを、塩基と水の存在下、不均一系で反応させることを特徴とするメチルチオピリジンの製造方法。
【請求項2】
メタンチオールのアルカリ金属塩が、ナトリウムメタンチオレートである請求項1に記載のメチルチオピリジンの製造方法。
【請求項3】
相間移動触媒の存在下で反応を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のメチルチオピリジンの製造方法。
【請求項4】
相間移動触媒が、第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウム塩である請求項3に記載のメチルチオピリジンの製造方法。

【公開番号】特開2011−42662(P2011−42662A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228467(P2010−228467)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【分割の表示】特願2000−618242(P2000−618242)の分割
【原出願日】平成12年5月10日(2000.5.10)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】