説明

トロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品とその製造方法

【目的】トロイダル型無段変速機を構成する、トラニオンを支持する為の部品の低廉化を図る。
【構成】金属板22に円孔24、28と立壁25、30とを、押し出し加工により形成する。又、レーザー加工によって、前記金属板22の中央部に透孔23を形成するトリミングと、四隅を丸くする除肉とを行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係るトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品とその製造方法は、例えば自動車用変速機として、或は乗用芝刈機、除雪機、電気自動車、フォークリフト等の軽車両用の変速機として、更には自動車エンジン用の補機を、エンジン回転数の変動に拘らず適当な回転数で回転させる為の変速機として利用する、トロイダル型無段変速機の部品の低廉化を図る。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車等、比較的エンジンの出力が小さい(例えば100馬力以下の)自動車の変速機や、乗用芝刈機、除雪機、電気自動車、フォークリフト等、低速で走行する軽車両の変速機として、更には、エンジン回転数の変動に拘らず、コンプレッサやジェネレータ等の補機を最適速度で回転させる為の変速機として、図1111〜12に略示する様な、トロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。
【0003】このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内面、或はこのケーシング内に設けられた支持ブラケットには、上記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5を中心として揺動するトラニオン6、6が設けられている。
【0004】各トラニオン6、6は、十分な剛性を有する金属材により形成されたもので、両端部外側面に前記枢軸5を設けている。又、各トラニオン6の中心部には変位軸8の基端部を支持し、上記枢軸5を中心として各トラニオン6を揺動させる事により、各変位軸8の傾斜角度の調節を自在としている。
【0005】各トラニオン6、6に支持された変位軸8、8の周囲には、それぞれパワーローラ9、9が回転自在に支持されている。そして、各パワーローラ9、9を、前記入力側、出力側両ディスク2、4の間に挟持している。
【0006】入力側、出力側両ディスク2、4の互いに対向する内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧形の凹面をなしている。そして、球面状の凸面に形成された各パワーローラ9、9の周面9a、9aは、前記内側面2a、4aに当接させている。
【0007】前記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の加圧装置10を設け、この加圧装置10によって、前記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け弾性的に押圧している。例えば特開平2−261950号公報に詳示されている様に、この加圧装置10は、図11〜12に示す様に、入力軸1と共に回転するカム板11と、リテーナ12により保持された複数個(例えば4個)のローラ13、13とから構成されている。
【0008】前記カム板11の片側面(図11〜12の右側面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面14を形成し、又、前記入力側ディスク2の外側面(図11〜12の左側面)にも、同様のカム面15を形成している。そして、前記複数個のローラ13、13を、前記入力軸1の中心に対して放射方向の軸を中心に、回転自在としている。
【0009】上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の作用は、次の通りである。
【0010】入力軸1の回転に伴なってカム板11が回転すると、カム面14によって複数個のローラ13、13が、入力側ディスク2外側面のカム面15に押圧される。この結果、前記入力側ディスク2が、前記複数のパワーローラ9、9に押圧されると同時に、前記1対のカム面14、15と複数個のローラ13、13との噛合に基づいて、前記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパワーローラ9、9を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0011】入力軸1と出力軸3との回転速度を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、枢軸5、5を中心として各トラニオン6、6を、図11に示す様に揺動させ、各パワーローラ9、9の周面9a、9aが、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と、出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸8、8を傾斜させる。
【0012】反対に、増速を行なう場合には、前記トラニオン6、6を図12に示す様に揺動させ、各パワーローラ9、9の周面9a、9aが、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と、出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、各変位軸8、8を傾斜させる。
【0013】各変位軸8、8の傾斜角度を、図11と図1212との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得る事が出来る。
【0014】図13〜14は、実際に自動車等の変速機として使用されるトロイダル型無段変速機に於いて、前記トラニオン6、6を揺動自在に支持する、支持装置7部分の構造を示している。この図13〜14に示した構造の場合、前記図11〜12に示した様な基本構造を有するトロイダル型無段変速機を2組、互いに並列に設けているが、これは、1組のトロイダル型無段変速機に加わる負荷が過大になる事を防止しつつ、全体として多くの動力を伝達出来る様にする為である。
【0015】この図13〜14に示したトラニオン6、6の支持装置7は、図15に示す様な形状を有するロアーリンク16を1個と、図16に示す様な形状を有するアッパーリンク17を2個と、この2個のアッパーリンク17、17同士を互いに連結する為の、図17に示す様な形状を有するアッパーリンクポスト18を1個、互いに組み合わせる事で構成されている。
【0016】これら各部品16、17、18の内、前記ロアーリンク16の四隅部分と、前記アッパーリンク17の両端部分とには、それぞれ円孔19、20を形成している。そして、各円孔19、20の内側に前記トラニオン6の両端部に設けた枢軸21、21を、それぞれ転がり軸受26、26を介して、揺動自在に支持している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の様に構成される支持装置7を構成するロアーリンク16とアッパーリンク17とアッパーリンクポスト18とを従来は、金属材を熱間鍛造する事により造っていた。即ち、金属材を熱間鍛造する事で素材を形成した後、この素材に切削加工、熱処理、研削加工を施す事により、必要とする形状、寸法精度、並びに強度を得ると共に、余肉部を削り落す事で、軽量化を図っていた。
【0018】この様にして前記各部品16、17、18を造る場合、熱間鍛造に必要な加熱設備、鍛造設備等、比較的高価でしかもランニングコストが嵩む設備が必要となるだけでなく、製造の工数が多い為、前記各部品16、17、18の製作費が嵩む事が避けられなかった。
【0019】本発明のトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品とその製造方法は、上述の様な事情に鑑みて発明されたものである。
【0020】
【課題を解決する為の手段】本発明のトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品とその製造方法は、入力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に配置され、且つこの入力側ディスクに対する回転自在に支持された出力側ディスクと、入力側、出力側両ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンに支持された変位軸に回転自在に支持され、入力側、出力側両ディスクの間に挟持されたパワーローラとから構成され、入力側、出力側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周面と前記内側面とを当接させたトロイダル型無段変速機に組み込まれ、前記トラニオンを揺動自在に支持するトラニオンの支持部品とその製造方法である。
【0021】この内、請求項1に記載されたトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品に関する発明は、所定の大きさと厚さとを有する金属板に所望の孔を形成すると共に、この孔の周縁部に立壁を、押し出し加工により形成して成るものである。
【0022】又、請求項2に記載されたトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品の製造方法に関する発明は、所定の大きさと厚さとを有する金属板に所望の大きさを有する通孔を形成すると共に、押し出し加工によりこの通孔の周縁部を折り立てる事により、この通孔の周縁部に立壁を形成するものである。
【0023】
【作用】上述の様に構成される本発明のトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品とその製造方法の場合、支持部品の軽量化と製作費低減とを図れる。
【0024】
【実施例】図1〜3は本発明のトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品を示している。この内の図1は、ロアーリンク16を、図2はアッパーリンク17を、図3はアッパーリンクポスト18を、それぞれ示している。これら各部材16、17、18は何れも、所定の大きさと厚さとを有する金属板に所望の通孔を押し出し加工で形成する事により、この通孔の周縁部に立壁を形成している。
【0025】先ず、図1に示したロアーリンク16の場合、鋼板等、十分な剛性を有する金属板22の中央部に矩形の透孔23を形成する事で、この金属板22を矩形枠状に形成すると共に、この金属板22の四隅部分に、それぞれ円孔24、24を形成している。そして各円孔24、24の周縁部に短円筒状の立壁25、25を形成している。そして、前記各円孔24、24の内周面と各立壁25、25の内周面とを連続させる事で、単一の円筒面を形成し、この円筒面の内側に、前記転がり軸受26、26を構成する外輪27、27(図14参照)を嵌合固定自在としている。
【0026】図示の実施例の場合、前記金属板22に、前記外輪27、27固定用の円孔24、24の他、この金属板22をトロイダル型無段変速機のハウジングに固定する為の螺子等を挿通する為の円孔28、29を形成している。又、この内の円孔28、28の周縁部には、前記円孔24、24の周縁部と同様の立壁30、30を形成している。
【0027】次に、図2に示したアッパーリンク17の場合、やはり鋼板等、十分な剛性を有する金属板31の両端部に、それぞれ円孔32、32を形成すると共に、各円孔32、32の周縁部に短円筒状の立壁33、33を形成している。そして、前記各円孔32、32の内周面と各立壁33、33の内周面とを連続させる事で、単一の円筒面を形成し、この円筒面の内側に、前記転がり軸受26、26を構成する外輪27、27(図14参照)を嵌合固定自在としている。
【0028】又、前記金属板31の中央部には略矩形の通孔34を形成し、この通孔34の周縁部に、立壁35を形成している。又、この通孔34の周囲には、複数の円孔36、36を形成している。
【0029】更に、図3に示したアッパーリンクポスト18の場合、やはり鋼板等、十分な剛性を有する金属板37の中央部に矩形の透孔38を形成する事で、この金属板37を矩形枠状に形成すると共に、この金属板37の両側縁部分を直角に折り曲げる事で折り曲げ縁39、39を形成し、この金属板37の曲げ剛性を向上させている。
【0030】又、前記金属板37の長さ方向両端部分には、それぞれ矩形の通孔40、40(後述する図8(D)参照)を形成している。そして各通孔40、40の周縁部に短矩形筒状の立壁41、41を形成している。そして、前記各通孔40、40の内周面と各立壁41、41の内周面とを連続させる事で、単一の矩形筒面を形成し、この矩形筒面の内側に、金属塊を削り加工して成る係止ブロック51、51を嵌合し、更に溶接する事により固定している。各係止ブロック51、51は、前記図2に示したアッパーリンク17中央部の通孔34並びにこの通孔34の周縁部に形成した立壁35に、挿入自在な大きさを有する。
【0031】上述の様なロアーリンク16とアッパーリンク17とアッパーリンクポスト18とは、それぞれ次の様にして造られる。
【0032】先ず、ロアーリンク16を造る場合、図4(A)並びに図5(A)に示す様に、十分な剛性を有する正方形の金属板22を用意し、図4(B)並びに図5(B)に示す様に、この金属板22の所定部分に下孔42、43を穿設する。この穿設作業は、打ち抜きプレス加工により行なう。これら下孔42、43の内、前記金属板22の四隅部分に穿設した下孔42、42は、前記ロアーリンク16四隅の円孔24、24(図1並びに図4R>4(E)参照)となるもの、両側中央部の下孔43、43は、前記ロアーリンク16両側中央部の円孔28、28となるものである。
【0033】尚、各下孔42、43は、次述する面押し加工に続いて行なわれる押し出し加工によって、より内径の大きな円孔24、28とされる為、各下孔42、43の内径は、完成後の円孔24、28並びに各円孔24、28の周縁部に形成された立壁25、30(図1並びに図4(D)(E)参照)の内径よりも十分に小さくしておく。例えば、完成後のロアーリンク16の四隅部分に形成された円孔24、24並びに立壁25、25の内径をDとし、この円孔24、24を形成する為の下孔42、42の内径をdとした場合、完成後の内径Dを下孔42、42の内径dの1.4〜2倍程度(D≒(1.4〜2)d)とする事が好ましい。下孔43、43と円孔28、28との関係も同様である。
【0034】上述の様にして、金属板22に下孔42、43を穿設したならば、次いで図4(C)並びに図5(C)に示す様に、各下孔42、43の内面を押圧する、所謂面押し加工を施す事で、各下孔42、43の内面一部に摺鉢状の潰し面44、44を形成する。この潰し面44、44は、続いて行なわれる押し出し加工の際、この押し出し加工によって形成される立壁25、30の端縁に割れが発生するのを防止する為である。従って、上記潰し面44、44は、押し出し加工の際、雌型であるダイ側にセットされる部分の内面に形成する。但し、この面押し加工は、使用する金属板22の伸展性が十分に高い(伸び易い)場合には、省略する事も出来る。
【0035】下孔42、43を形成され、更に各下孔42、43の内面に潰し面44、44を形成した金属板22は、次いで、押し出し加工機にセットして、各下孔42、43の周縁部に、所謂バーリング加工と呼ばれる押し出し加工を施し、図4(D)並びに図5(D)に示す様に、前記各下孔42、43を拡径して円孔24、28とすると共に、各円孔24、28の周縁部に、それぞれ立壁25、30を形成する。
【0036】この様にして、前記金属板22に所定の大きさの円孔24、28と立壁25、30とを形成したならば、次いで、図1並びに図4(E)に示す様に、前記金属板22の中央部に矩形の透孔23を形成すると共に、この金属板22の四隅部分を四分の一円弧形に形成する、所謂トリミング並びに除肉を行なう。このトリミング及び除肉作業は、レーザカッタ等、前記金属板を歪ませない方法により行なう事が好ましい。これは、トリミング及び除肉作業に伴なって、既に加工済の円孔24、28並びに立壁25、30が歪むのを防止する為である。又、前記円孔28の周囲に小さな円孔29、29を、ボール盤等によって加工し、ロアーリンク16として完成する。
【0037】尚、上述の図4〜5に示した実施例の場合、周縁部に立壁25、30を有する円孔24、28を形成する為に、金属板22に下孔42、43を形成した後、この下孔42、43の周縁部に、バーリング加工によって立壁25、30を形成しているが、この様な周縁部に立壁25、30を有する円孔24、28を形成する為の押し出し加工としては、上述の様なバーリング加工の他、図6に示す様な加工法を採用する事も出来る。
【0038】即ち、図6(A)に示す様な、所定厚さを有する金属板22の一部に押し出しプレス加工を施す事により、この金属板22の片面(図6の上面)に円形の凸部45を、他面(同図下面)に円形の凹部46を、それぞれ形成した後、同図(C)に示す様に、上記凸部45の中央部を打ち抜く事で、前記凸部45の周縁部を立壁25(30)として残すと共に、前記凹部46の内側を円孔24(28)とするものである。
【0039】次に、アッパーリンク17を造る場合、図7R>7(A)に示す様に、十分な剛性を有する長矩形の金属板31を用意し、図7(B)に示す様に、この金属板31の所定部分に下孔47、48を、打ち抜きプレス加工により穿設する。これら下孔47、48の内、前記金属板31の両端部分に穿設した下孔47、47は、前記アッパーリンク17両端の円孔32、32(図2並びに図7R>7(E)(F)参照)となるもの、中央部の下孔48は、前記アッパーリンク17中央部の通孔34となるものである。
【0040】尚、各下孔47、48は、次述する面押し加工に続いて行なわれる押し出し加工によって、より内径の大きな円孔32並びに通孔34とされる為、各下孔47、48の内径は、前述したロアーリンク16を造る場合と同様に、完成後の円孔32、通孔34並びに各孔32、34の周縁部に形成された立壁33、35の内径よりも十分に小さくしておく。
【0041】上述の様にして、金属板31に下孔47、48を穿設したならば、次いで図7(C)に示す様に、各下孔47、48の内面を押圧する、所謂面押し加工を施す事で、各下孔47、48の内面一部に摺鉢状の潰し面49、49を形成し、続いて行なわれる押し出し加工の際、この押し出し加工によって形成される立壁33、35(図2並びに図7(D)参照)の端縁に割れが発生するのを防止する。
【0042】下孔47、48を形成され、更に各下孔47、48の内面に潰し面49、49を形成した金属板31は、次いで、押し出し加工機にセットして、各下孔47、48の周縁部に、所謂バーリング加工と呼ばれる押し出し加工を施し、図7(D)に示す様に、前記各下孔47、48を拡径して円孔32並びに通孔34とすると共に、各孔32、34の周縁部に、それぞれ立壁33、35を形成する。
【0043】この様にして、前記金属板31に所定の大きさの円孔32並びに通孔34と立壁33、35とを形成したならば、次いで、図7(E)に示す様に、前記金属板31周囲部分を切除する除肉作業を、レーザカッタ等、前記金属板を歪ませない方法により行なう。
【0044】更に、図7(F)に示す様に、前記通孔34の周囲に小さな円孔36、36を、ボール盤等によって加工し、アッパーリンク17として完成する。
【0045】更に、アッパーリンクポスト18を造る場合、図8(A)に示す様に、十分な剛性を有する長矩形の金属板37を用意し、図8(B)に示す様に、この金属板37の両側縁部を直角に折り曲げる事で、折り曲げ縁39、39を形成し、この金属板37の曲げ剛性を向上させる。
【0046】次いで、図8(C)に示す様に、前記金属板37の両端部分に矩形の下孔50、50を、打ち抜きプレス加工により穿設し、次いで図8(D)に示す様に、各下孔50、50の周縁部に、所謂バーリング加工と呼ばれる押し出し加工を施し、前記下孔50、50を拡径して通孔40、40とすると共に、各通孔40、40の周縁部に、それぞれ立壁41、41を形成する。
【0047】一方、アッパーリンクポスト18を構成する係止ブロック51は、前記金属板37と別に用意され、図9(A)に示す様な直方体の金属塊52の外周面に、同図(B)に示す様に凹溝53を形成すると共に、前記通孔40、40並びに立壁41、41の内側に、隙間なく嵌合自在な大きさに形成する。
【0048】図8(A)〜(D)に示す様な工程で加工された金属板37と、図9(A)(B)に示す様に造られた係止ブロック51とは、図10(A)に示す様に組み合わされる。即ち、前記係止ブロック51、51の一端部を前記金属板37の通孔40、40並びに立壁41、41に内嵌すると共に、前記係止ブロック51、51外周面の凹溝53、53を、前記立壁41、41の端縁から露出させる。そして、これら金属板37と係止ブロック51、51とを溶接する事で、両部材37、51同士を互いに固定する。
【0049】次いで、図10(B)に示す様に、前記金属板37中央部分に透孔38を形成するトリミング作業を、レーザカッタ等、前記金属板37を歪ませない方法により行なう。
【0050】更に、図10(C)に示す様に、前記金属板37の一部に削り加工を施して、アッパーリンクポスト18として完成する。
【0051】
【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品とその製造方法は、以上に述べた通り構成され作用する為、比較的安価でしかもランニングコストが低廉な設備で造れるだけでなく、製造の工数が少ない為、前記各部品の製作費の低廉化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるロアーリンクの斜視図。
【図2】同じくアッパーリンクの斜視図。
【図3】同じくアッパーリンクポストの斜視図。
【図4】ロアーリンクの製造方法を工程順に示す斜視図。
【図5】円孔並びに立壁を形成する方法の第1例を、工程順に示す部分拡大断面図。
【図6】同じく第2例を、工程順に示す部分拡大断面図。
【図7】アッパーリンクの製造方法を工程順に示す斜視図。
【図8】アッパーリンクポストを構成する金属板の加工方法を工程順に示す斜視図。
【図9】同じく係止ブロックの加工方法を工程順に示す斜視図。
【図10】金属板と係止ブロックとを組み合わせてアッパーリンクポストとする方法を工程順に示す斜視図。
【図11】本発明の対象となるトロイダル型無段変速機の基本的構成を、最大減速時の状態で示す側面図。
【図12】同じく最大増速時の状態で示す側面図。
【図13】実際のトロイダル型無段変速機の1例を示す部分断面図。
【図14】図13のA−A断面図。
【図15】従来のロアーリンクの斜視図。
【図16】従来のアッパーリンクの斜視図。
【図17】従来のアッパーリンクポストの斜視図。
【符号の説明】
1 入力軸
2 入力側ディスク
2a 内側面
3 出力軸
4 出力側ディスク
4a 内側面
5 枢軸
6 トラニオン
7 支持装置
8 変位軸
9 パワーローラ
9a 周面
10 加圧装置
11 カム板
12 リテーナ
13 ローラ
14 カム面
15 カム面
16 ロアーリンク
17 アッパーリンク
18 アッパーリンクポスト
19 円孔
20 円孔
21 枢軸
22 金属板
23 透孔
24 円孔
25 立壁
26 転がり軸受
27 外輪
28 円孔
29 円孔
30 立壁
31 金属板
32 円孔
33 立壁
34 通孔
35 立壁
36 円孔
37 金属板
38 透孔
39 折り曲げ縁
40 通孔
41 立壁
42 下孔
43 下孔
44 潰し面
45 凸部
46 凹部
47 下孔
48 下孔
49 潰し面
50 下孔
51 係止ブロック
52 金属塊
53 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に配置され、且つこの入力側ディスクに対する回転自在に支持された出力側ディスクと、入力側、出力側両ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンに支持された変位軸に回転自在に支持され、入力側、出力側両ディスクの間に挟持されたパワーローラとから構成され、入力側、出力側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周面と前記内側面とを当接させたトロイダル型無段変速機に組み込まれ、前記トラニオンを揺動自在に支持するトラニオンの支持部品であって、所定の大きさと厚さとを有する金属板に所望の孔を形成すると共に、この孔の周縁部に立壁を、押し出し加工により形成して成るトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品。
【請求項2】 入力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側ディスクと同心に配置され、且つこの入力側ディスクに対する回転自在に支持された出力側ディスクと、入力側、出力側両ディスクの中心軸に対し捻れの位置にある枢軸を中心として揺動するトラニオンに支持された変位軸に回転自在に支持され、入力側、出力側両ディスクの間に挟持されたパワーローラとから構成され、入力側、出力側両ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周面と前記内側面とを当接させたトロイダル型無段変速機に組み込まれ、前記トラニオンを揺動自在に支持するトラニオンの支持部品の製造方法であって、所定の大きさと厚さとを有する金属板に所望の大きさを有する通孔を形成すると共に、押し出し加工によりこの通孔の周縁部を折り立てる事により、この通孔の周縁部に立壁を形成するトロイダル型無段変速機用トラニオンの支持部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図8】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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