説明

トロリ線用検電接地装置

【課題】 トロリ線の接地作業における接地線のトロリ線への接続操作を吊りロープの昇降操作によって簡単かつ楽に行える検電接地装置を提供すること。
【解決手段】 検電接地装置1の絶縁操作棒2の上端部にトロリ線Tに引っ掛ける支持フック5及び、吊りロープ6を掛ける支持プーリ7を設ける。絶縁操作棒2の途上にトロリ線Tの電圧の有無を知らせる検電警報器8を設ける。吊りロープ6の一端に吊り下げたフック金具3は接地金具4につながり、支持フック5の下方に配置され、他端で昇降操作できる。フック金具3は、吊りロープ6が連結する固定杆10と可動杆11とを相互に下方が開閉可能に設ける。可動杆11はバネ16によって固定杆10側に引かれる。可動杆11の下端部には、カム部材17を上方へ回転可能に設ける。カム部材17は可動杆11の内側に受け入れたトロリ線Tが押し上げて可動杆11に係合し、固定杆10との間隔が狭められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電車線における工事区間を停電させた後、この区間を接地しておくためにトロリ線に接地用リード線を接続するトロリ線用検電接地装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電車線上の工事においては、車両通行の途絶える時間帯に、所定区間を停電させた後、電線路に電圧がかかっていないことを確認してから、その区間の電線を接地することが行われる。従来、電線の電圧を測定するものとして、絶縁操作棒の先端にフック金具を固定すると共に、下端部にフック金具と電気的に導通させた電圧表示器を設け、架線の電圧を測定する架線検電器が提案されている(特許文献1参照)。
また、工事のためにトロリ線を接地するものとして、レールに電気的に接続される接地用リード線が接続されたフック金具を絶縁操作棒の先端部に着脱可能に設けた接地装置が提案されている(特許文献2参照)。フック金具は、上下方向にねじ孔を貫通させ、側部に接地用リード線を接続した基部に、一端部がねじ孔の上部開口に臨むように可動片を上下に回動可能に枢着し、この可動片の他端部と基部との間で電線に掛け留めるようにしている。フック金具に絶縁操作棒を結合させるための係止部材は、上端部にフック金具のねじ孔に螺合するねじ棒を設け、下部に絶縁操作棒の先端の係止ピンを係合させる割りを設けている。可動片には、斜め下方に延長する誘導片を結合して電線を可動片の内側に案内させている。絶縁操作棒を軸線周りに回転させると、ねじ棒が共回りして、ねじ孔から出没し、可動フック片の端部を上げ下げして、基部との間で電線を把持、解放する。
さらに、フック状の先端金具と、先端金具の下部に設けられたプーリ及びジョイント部と、基端部分に取り付けたけ電動ロープリールと、プーリに掛けられ電動ロープリールで巻き取る接地線吊り上げ用ロープとを備えた長尺の操作棒と、接地線吊り上げ用ロープに接続された接地線が結合するジョイントとを備え、接地線吊り上げ用ロープを電動ロープリールで巻き取ってジョイントをジョイント部に接続する検電器付き接地装置がある(特許文献3)。
【特許文献1】実開昭61−3476号公報
【特許文献2】特開2002−262421号公報
【特許文献3】特開2003−335286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の装置のうち特許文献1に記載のものにおいては、架線の電圧を測定するのみで、架線を接地する機能を持たず、従って、トロリ線に使用する場合には別途接地装置を準備しなければならない。
特許文献2に記載のものにおいては、フック金具を電線に取り付けたり、フック金具に対して絶縁操作棒や係止部材を着脱するために、比較的長大で重量のある絶縁操作棒を掲げ持ったまま回転させたりフック金具の所定部分に位置合わせする煩わしい作業を強いられるし、さらに、トロリ線が入り組んだ箇所では、フック金具の着脱の際に、フック金具を他線に接触させないように作業を慎重に進めなければならない。
特許文献3に記載のものにおいては、操作棒上に検電部のほかジョイント部、リール及び接地確認部などを設けるため、操作棒を掲げ上げて先端金具をトロリ線に掛け止める操作が容易でない。また、ジョイントをジョイント部に接続してトロリ線を接地した状態では、ジョイント及び接地線が吊り上げ用ロープに支持され、吊り上げ用ロープに張力がかかったままになるので、ロープが破断したり、ロープロック部及びロープリールが不用意に解除されると、ジョイント及び接地線が脱落する危険性がある。従って、トロリ線の接地の際の作業性、安全性の向上が望まれている。
そこで、本発明は、トロリ線の電圧の有無を確認する機能に加え、これを接地する機能を持ち、効率的かつ簡単に接地作業を行える良好な作業性と、接地線を確実に支持する安全性を有する検電接地装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、第1の発明においては、絶縁操作棒2に、トロリ線Tに掛け留める導電性の支持フック5と、フック金具3を支持する吊りロープ6と、吊りロープを掛け回す支持プーリ7とを設ける。フック金具3は、吊りロープ6に係止される導電性の固定杆10と、固定杆10の上端部に前後方向に開閉可能に下方に向かって枢着され、トロリ線Tを固定杆10との間に受け入れ、固定杆10側にばね16により引かれてトロリ線Tが離脱しないように保持する導電性の可動杆11と、固定杆10と可動杆11の下端部との間に介入してばね力に抗して固定杆10への可動杆11の引き寄せを阻止する係合位置と、固定杆10と可動杆11の間に受け入れたトロリ線Tに押し上げられて両者間への介入から離脱して固定され、固定杆10への可動杆11の引き寄せを妨げない解除位置との間を移動可能に設けられたカム部材17とで構成し、フック金具3へのトロリT線の進入を許容する一方、フック金具3からトロリ線Tが離脱した後の再進入を阻止する。
第2の発明においては、基端部が可動杆11の下端部又は固定杆10のいずれか一方に枢着され、先端が他方に接触して可動杆11と固定杆10との間隔を広げる係合位置と、可動杆11と固定杆10と間に受け入れたトロリ線Tに押し上げられて他方から離れた解除位置との間で上下方向に回転可能にカム部材17を構成した。
第3の発明においては、固定杆10又は可動杆11のいずれか一方に上下にスライド可能にカム部材22を設け、固定杆10と可動杆11との間に介入する係合位置と、固定杆10と可動杆11との間に受け入れたトロリ線Tに押し上げられて他方から離れた解除位置との間を移動可能に構成した。
第4の発明においては、固定杆10の上下半部を蝶番26を介して結合させ、下半部を吊りロープ6で支持し、上半部を絶縁操作棒2から離れる方向に倒れ込むように下半部からばね27により引くよう屈折可能に構成し、この固定杆10にスライドカム22を上下にスライド可能に設け、係合位置において固定杆10の蝶番26を上下にわたりその折り曲げを阻止し、解除位置において蝶番26を越えることにより固定杆10の屈折を許容するように構成した。
【発明の効果】
【0005】
本発明においては、電車線の工事にあたってトロリ線にかかる電圧の有無を確認してから、トロリ線を接地することができるので、電車線上の工事に先立つ接地作業の安全が確保できる。重量のある支持フック付きの絶縁操作棒を一旦トロリ線に引っ掛けてしまえば、以降絶縁操作棒を持つことなく、吊りロープによる昇降操作のみによってフック金具をトロリ線に取り付けることができ、その際にフック金具をトロリ線に位置合わせする必要がなく、トロリ線へのフック金具の取り付け作業を極めて簡単に楽に行うことができ、さらにフック金具をトロリ線から容易に離脱することなく確実に掛け止めることができ、フック金具や接地リード線が安全に保持される。こうしてトロリ線に取り付けたフック金具はまた吊りロープの昇降操作のみで取り外すことができ、その際一旦フック金具がトロリ線から離脱すると再度フック金具がトロリ線に引っかかることがないので、取り外し操作がスムーズに進み、作業性が良く、また複数のトロリ線が入り組んだ箇所でも他のトロリ線などとの接触が簡単に回避でき、さらにフック金具を先に吊り下ろしておくので、その後の絶縁操作棒の取り外しが妨げられず、作業負担が大幅に軽減でき、接地作業全体の作業効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施の一形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る検電接地装置1は、例えば電車線設備における電線路上の工事を行う際に、予め絶縁操作棒2をトロリ線Tに掛けて電圧の有無を確認してから、リード線12を接続した接地金具4をレールに取り付け、フック金具3をトロリ線Tに取り付けて、接地するものである。
【0007】
図1乃至図3に示すように、絶縁操作棒2は複数の構成材の隣接するもの同士を互いに嵌合させて伸縮可能に一体に結合して構成し、その上端部に金属製の支持フック5が固着されている。支持フック5は、左右に対向する一対のフック板5a,5aを有する。フック板5aにはフック金具3を吊り上げるための吊りロープ6を掛け回して支持可能な回転自在の支持プーリ7がそれぞれ取り付けられている。絶縁操作棒2の途上の接合部には吊りロープ6の一端側を通すロープガイド2aが設けられている。絶縁操作棒2の途上には支持フック5と電気的に導通しその接触位置の電圧の印加をブザー音及びLEDの点灯により警告する検電警報器8が取り付けられている。検電警報器8には検知用接地線9が接続されておりその端部がレールに磁気吸着可能である。吊りロープ6の他端はフック金具3に係止され、一端側から昇降操作するようになっている。
【0008】
フック金具3は吊りロープ6によって支持フック5の下方に配置されるように、支持プーリ7にガイドされる。図3に示すように、フック金具3は、吊りロープ6の他端が係止される固定杆10と、固定杆10の上端部に前後方向に相互間を開閉可能に枢着された可動杆11とを備えている。固定杆10は金属板材で構成され、中間傾斜部10aを介して上端部が絶縁操作棒2から離れる側に屈曲している。固定杆10の下端部には接地金具4に接続される接地用リード線12が接続されると共に、リード線12を下方へガイドするためにこれを拘束するガイド板13が結合している。
【0009】
可動杆11は固定杆10の上端部に枢ピン14により回転自在に支持され、下方に向かって延びている。可動杆11の上部には、フック金具3の上昇に伴いトロリ線Tに下方から接触しながらトロリ線Tの受け入れ位置へ前後方向に導くための上ガイド部11aを有し、下部には上ガイド部11aから下方へ連続し、トロリ線Tの受け入れ位置へ上下方向に導くための下ガイド部11bを有する。下端部には下ガイド部11bに連続し可動杆11の下端から絶縁操作棒2から離れる方向に斜め上方へ鋭角的に向かう進入ガイド部11cを有し、その上部にはトロリ線Tを受け入れるための円弧状保持凹部11dを有する。可動杆11の下部は枢ピン14の下側近傍の蝶番ボルト15及びバネ16によって固定杆10との間隔を狭める方向に引き寄せられている。また、可動杆11の下部側面にはボールプランジャにより構成されたストッパ11eが突出している。
【0010】
可動杆11の下端部には、固定杆10との間隔を保持する回転カム17が上方へ回転可能に枢着されている。この回転カム17はほぼ水平の転倒位置で固定杆10との間隔を最大とし、起立するに従ってその間隔を狭めるようになっている。回転カム17の先端面は固定杆10との接触しながら円滑に起立するために円弧状に形成されている。回転カム17の可動杆11への摺接面には、可動杆11と固定杆10との間にトロリ線Tが進入して保持凹部11dに配置されたときに立ち上がった回転カム17を固定するためにストッパ11eに係合する係合穴17aを有する。回転カム17には、長手方向にセット用の操作レバー18が延出している。
【0011】
図1に示すように、接地金具4は金属板で構成され、レールの下を通してレール下部の両フランジを受け入れるように両端部が立ち上がったレールクランプ4aを有する。レールクランプ4aは一端側に挿通したボルト4bを締め込んでレールのフランジに固定するものである。レールクランプ4aの一端部にはリード線12を接続する接続部4cが連続して延びている。
【0012】
この検電接地装置1を用いた接地作業において作業者は、先ず検電警報器8の検知用接地線9の端部をレールに吸着させて接続してから、絶縁操作棒2の先端の支持フック5をトロリ線Tに掛けてトロリ線Tに電圧が印加されていないことを検電警報器8により確認する。次に、接地金具4をレールに取り付けた後、絶縁操作棒2をトロリ線Tに掛けたまま吊りロープ6によりフック金具3を吊り上げ操作する。このとき、フック金具3が上昇し上ガイド部11a及び下ガイド部11bに沿ってトロリ線Tが相対的に下方に移行する。図4に示すように、可動杆11の下端位置(同図中a)を経過すると、フック金具3はトロリ線T側へ変位する。ここで、吊りロープ6によりフック金具3を下降操作すれば、回転カム17により拡開している可動杆11と固定杆10との間に向かって進入ガイド部11cに沿って進入する。フック金具3をさらに下降させていくと、トロリ線Tが回転カム17及びレバー18を押し上げながらフック金具3の内側に入り込み、これに伴い回転カム17が上方に回転しつつ、可動杆11と固定杆10との間隔が狭まり、トロリ線Tが保持凹所11d内(同図中b)に達すると、蝶番ボルト15及びバネ16によって可動杆11と固定杆10とでトロリ線Tを強固に把持する。従って、何らかの原因でトロリ線Tに電圧が印加されても、フック金具3からリード線12を通じて接地金具4で接地されるので、工事作業中の感電事故等を有効に防止する。トロリ線Tが保持凹所11d内に配置されると、立ち上がっている回転カム17はストッパ11eに係合穴17aが係合してこの位置で固定されるので、可動杆11と固定杆10との間隔が狭まった状態で保持される。
【0013】
一方、検電接地装置1を取り外すときは、先ず吊りロープ6によりフック金具3を吊上げ操作すると、トロリ線Tが可動杆11と固定杆10との間おいて相対的に下降する。このとき、トロリ線Tは可動杆11と固定杆10との間をバネ16の付勢力に抗して押し広げながら退出する。トロリ線Tが相対的に進入ガイド部11cを経過する途上で固定杆10との間隔が最小になり、可動杆11の下端位置(同図中c)を越えると、可動杆11の下端がトロリ線Tの中心より外側(固定杆10側)に配置される。そのまま吊りロープ6によりフック金具3を吊り下ろし操作しても、トロリ線Tに可動杆11が引っ掛かることなく、フック金具3を離脱させるので、そのままフック金具3を地上に下ろし、それから絶縁操作棒2や接地金具4の回収操作を行うことができる。
【0014】
他の実施形態を図5及び図6に示す。同図中、先の実施形態と同一の構成部分については同一の符号を付して説明を省略する。 同図において、フック金具20の可動杆11の下端部両側面には、固定杆10との間隔を保持するためのストッパ片21が固着されている。ストッパ片21の固定杆10に対面する端面は固定杆10とほぼ平行に設けられている。
【0015】
固定杆10の可動杆11側には、スライドカム22が設けられている。スライドカム22は、固定杆10に沿って上下にスライド可能に支持されている。スライドカム22の下部には上下方向の長孔が下端から形成されており、固定杆10から突出しているボルトを貫通させてナットで抜け止めされている。スライドカム22の上部は固定杆10に固定された断面略コ字状のスライドガイド23に両側が規制され、上下移動がガイドされる。スライドカム22の上端両側部には、L字状に屈折した爪部22aを有する。スライドカム22は可動杆11の下端部と固定杆10との間に配置された相対的に上方に向かうトロリ線Tに爪部22aを押し上げられるが、爪部22aがストッパ片21の端面を摺動する間可動杆11の固定杆10との所定の間隔が保持される。スライドカム22の上部には、爪部22aがストッパ片21を越えたほぼ上限位置において固定杆10の上部に突出するボールプランジャにより構成された係合突部24に係合する係合凹部22bが設けられており、スライドカム22がトロリ線Tに押し上げられると固定されるようになっている。
【0016】
この検電接地装置のフック金具20を用いた接地作業においても、先の実施形態におけるものと同様に、絶縁操作棒2をトロリ線Tへ掛け留めた後、吊りロープ6でフック金具20を引き上げ操作する。図7に示すように、トロリ線Tが可動杆11の下端位置(同図中a)に達すると、フック金具20がトロリ線T側に変位し、ここで吊りロープ6によりフック金具20を下降操作すれば、トロリ線Tがスライドカム22の爪部22aを押し上げながら可動杆11と固定杆10との間に進入していく。このとき、爪部22aがストッパ片21に接触していることによって可動杆11と固定杆10との間隔が広げられているので、トロリ線Tを難なく受け入れる。トロリ線Tがフック金具20内に受け入れられて、可動杆11の保持凹所11dの位置(同図中b)に達するまでに、スライドカム22の爪部22aがストッパ片21を越えるので、可動杆11はばね16によりトロリ線Tを強固に把持する。この状態でスライドカム22は係合凹部22bと係合突部24が係合することにより固定される。検電接地装置1を取り外すために、吊りロープ6でフック金具20を引き上げ操作すれば、トロリ線Tが可動杆11と固定杆10との間を押し広げながら退出し、可動杆11の先端がトロリ線Tを越える位置(同図中c)までフック金具20を上昇させると、可動杆11の先端とスライドカム22との間隔が最小になるので、フック金具3を下降操作してもトロリ線Tに引っ掛けることなく、フック金具3を地上に降ろすことができる。
【0017】
さらに他の実施形態を図8及び図9に示す。同図において、フック金具25の固定杆10は、中間部の蝶番26を介して上下に分割され、上下に屈曲可能に結合されている。スライドカム22は下位位置で固定杆10の上下の接合部をわたることにより直立状態を保持するが、上位位置で接合部から離れることにより固定杆10を屈曲させる。さらに、固定杆10の後部(図8中右側)には、固定杆10を転倒側に引き寄せる伸長ばね27が上下にわたって設けられている。リード線12は可撓銅より線12aにより固定杆の上部に電気的に導通している。
【0018】
先の実施形態における装置と同様にして、絶縁操作棒2をトロリ線Tへ掛け留めた後、吊りロープ6でフック金具20を引き上げ操作して、図10に示すように、トロリ線Tが可動杆11の下端位置(同図中a)を越えてから、吊りロープ6によりフック金具20を下降操作すれば、爪部22aがストッパ片21に接触していることによって可動杆11と固定杆10との間隔が広げられているので、トロリ線Tをスムーズに受け入れ、可動杆11の保持凹所11d内の位置(同図中b)に配置でき、フック金具25をトロリ線Tに取り付けることができる。この後、吊りロープ6でフック金具25を引き上げ操作すると、スライドカム22は上位に固定されたままで、固定杆10の上下の結合を解除しているので、可動杆11の先端がトロリ線Tを越える位置までフック金具25が上昇すると、固定杆10の上部が蝶番26において伸長ばね27の引き寄せにより転倒して、トロリ線Tの位置(同図中c)から離れるため、吊りロープ6でフック金具25を吊り下ろし操作すれば難なく吊り下ろすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、電車線の工事のためにトロリ線の停電状態を確認すると共に、工事区間を接地しておくためにトロリ線に取り付ける接地装置について適用するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態の検電接地装置の正面図である。
【図2】検電接地装置の側面図である。
【図3】検電接地装置の上端部の側面図である。
【図4】トロリ線に引っ掛けた状態のフック金具の正面図である。
【図5】第2の実施形態のフック金具の正面図である。
【図6】第2の実施形態のフック金具の側面図である。
【図7】第2の実施形態におけるトロリ線に引っ掛けた状態のフック金具の正面図である。
【図8】第3の実施形態のフック金具の正面図である。
【図9】第3の実施形態のフック金具の側面図である。
【図10】第3の実施形態におけるトロリ線に引っ掛けた状態のフック金具の正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 検電接地装置
2 絶縁操作棒
4 接地金具
3 フック金具
5 支持フック
6 吊りロープ
7 支持プーリ
8 検電警報器
10 固定杆
12 リード線
11 可動杆
11a 上ガイド部
11d 保持凹部
11e ストッパ
12a 可撓銅より線
15 蝶番ボルト
16 バネ
17 カム部材
17a 係合穴
18 操作レバー
20 フック金具
21 ストッパ片
22 スライドカム
22a 爪部
22b 係合凹部
23 スライドガイド
24 係合突部
25 フック金具
26 蝶番
27 伸長ばね
T トロリ線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に接触金具を備え、途上に電圧警報器を備えた絶縁操作棒と、接地用リード線が接続されるフック金具とを備え、接触金具をトロリ線に接触させてトロリ線の電圧印加状態を電圧警報器で知らせる一方、フック金具をトロリ線に掛けて電圧無印加状態のトロリ線を接地するトロリ線用検電接地装置において、
前記絶縁操作棒は、これをトロリ線に掛け留める導電性の支持フックと、前記フック金具を吊支する吊りロープと、この吊りロープを掛け回す支持プーリとを具備し、
前記フック金具は、前記吊りロープに係止される導電性の固定杆と、この固定杆との前後方向の間隔を開閉可能に固定杆の上端部に下方に向かって枢着され、トロリ線を固定杆との間に受け入れ、下端側が固定杆側にばねにより引き寄せられてトロリ線を離脱しないように保持する導電性の可動杆と、
前記固定杆と可動杆の下端部との間に介入して前記ばね力に抗して固定杆と可動杆の間隔を広げる係合位置と、固定杆と可動杆との間に受け入れたトロリ線に押し上げられて両者間への介入から離脱して固定され、固定杆への可動杆の引き寄せを妨げない解除位置との間を移動可能に設けられたカム部材とを具備し、
フック金具へのトロリ線の進入を許容する一方、フック金具からトロリ線が離脱した後の再進入を阻止することを特徴とするトロリ線用検電接地装置。
【請求項2】
前記カム部材は、基端部が前記可動杆又は固定杆のいずれか一方に枢着され、先端が他方に接触する前記係合位置と、他方から離れる前記解除位置との間で上下方向に回転可能に設けられることを特徴とする請求項1に記載のトロリ線用検電接地装置。
【請求項3】
前記カム部材は、前記固定杆又は可動杆のいずれか一方に上下方向にスライド可能に設けられ、前記固定杆と可動杆との間に介入する前記係合位置と、他方から離れた前記解除位置との間を移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のトロリ線用検電接地装置。
【請求項4】
前記固定杆は、上下半部が蝶番を介して互いに屈折可能に結合され、下半部に前記吊りロープが係止され、上半部が絶縁操作棒から離れる方向に倒れ込むようにばねにより下半部側に引かれ、
前記カム部材は、固定杆に沿って上下にスライド可能に設けられ、前記係合位置で前記固定杆の蝶番の上下に渡ることにより屈折を阻止し、前記解除位置において蝶番を越えることにより屈折を許容することを特徴とする請求項3に記載のトロリ線用検電接地装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−274659(P2009−274659A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129683(P2008−129683)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000001890)三和テッキ株式会社 (134)