説明

ドアガード

【課題】 安全性を備えたドアガードを提供する。
【解決手段】 ドアガードは、扉20又は扉枠10のいずれか一方に回動可能に連結されたアーム60と、扉枠10又は扉20のいずれか他方に取り付けられたアーム係止具30とを備えている。アーム60は略U字状に形成され、中央に案内溝80と折曲側に先端部60sを有し、アーム係止具30は頭部40aと軸部40bを持った係止突起40を備えている。アーム60をアーム係止具30側に所定角度回動した状態で開扉した場合、アーム60は頭部40aに係止されつつ相対移動する。アーム係止具30の係止突起40に軸部40aのアーム係止具30側から頭部40aの先端にかけて傾斜面40cを設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開扉を所定角度に制限して無用の人の不法侵入を阻止することができるドアガードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は特許文献1に示されている、外開き扉に適用された従来のドアガードの斜視図であり、ドアガードを利用することにより、扉2の開角度が小さく制限され、安全に来訪者の確認や物品の受渡し等を行うことができる。この種のドアガードは、略水平方向に回動するようにその基端部がベース5を介して扉2の内面に取り付けられるアーム6と、アーム6を係止すべく扉枠1に取り付けられるアーム係止具3とを備え、アーム係止具3は頭部4aが膨出した係止突起4を有している。
【0003】
図12および図13は、図11におけるアーム6と係止突起4の係合部分の拡大図であり、アーム6の先端部6sは断面で表され、図12はアーム6の断面が略楕円状のものであり、図13はアーム6の断面がL字状のものである。係止突起4は軸部4bと頭部4aからなり、軸部4bは案内溝8内を移動できるよう比較的細く、頭部4aはアーム6を係止できるよう案内溝8の溝幅より大きく作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−241948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のドアガードにおいては、ドアガードの操作者がアーム6の外側を持って操作せず案内溝8に指を入れた状態で上記の操作を行っている場合に、たまたま来訪者が扉2を開けると指を詰めるという可能性があった。本発明は、上記の問題を解決する安全性を備えたドアガードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、扉又は扉枠のいずれか一方に回動可能に連結されたアームと、扉枠又は扉のいずれか他方に取り付けられたアーム係止具とを備え、アームは略U字状に形成され、中央に案内溝と折曲側に先端部を有し、アーム係止具は頭部と軸部を持った係止突起を備え、アームをアーム係止具側に所定角度回動した状態で開扉した場合、アームは頭部に係止されつつ相対移動するドアガードにおいて、第一の実施形態では、ドアガードがガード位置にある状態において、アームの先端部側に向いた傾斜面をアーム係止具の係止突起に設けた構成とした。第二の実施形態では、ドアガードがガード位置にある状態において、アームの先端部側に向いた平面をアーム係止具の係止突起に設けるとともに、アームの案内溝側に向いた傾斜面をアームの先端部に設けた構成とした。第三の実施形態では、ドアガードがガード位置にある状態において、アームの先端部側に向いた傾斜面をアーム係止具の係止突起に設けるとともに、アームの案内溝側に向いた傾斜面をアームの先端部に設けた構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記の構成としたので、安全性を備えたドアガードを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第一の実施形態に係るドアガードの上面図であり、ドアガードが通常位置にある状態を示す。
【図2】第一の実施形態に係るドアガードの上面図であり、ドアガードがガード位置にある状態を示す。
【図3】図1におけるY矢視図である。
【図4】第一の実施形態に係るドアガードの上面図であり、ドアガードがガード位置とされ、開扉された状態を示す。
【図5】図4の部分断面拡大図である。
【図6】図4の部分断面拡大図であり、アームの断面がL字状である場合を示す。
【図7】第二の実施形態に係るドアガードの部分断面拡大図である。
【図8】第二の実施形態に係るドアガードの部分断面拡大図であり、アームの断面がL字状である場合を示す。
【図9】第三の実施形態に係るドアガードの部分断面拡大図である。
【図10】第三の実施形態に係るドアガードの断面拡大図であり、アームの断面がL字状である場合を示す。
【図11】従来のドアガードの斜視図である。
【図12】図11の部分断面拡大図である。
【図13】図11の部分断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0010】
(第一の実施形態)
図1乃至図6は第一の実施形態に係るドアガードである。図1はドアガードがガード位置にセットされていない通常位置にある状態を表し、扉20の上下方向矢視図である。図2はドアガードがガード位置にセットされている状態を表し、図3は図1におけるY矢視図である。図4はドアガードがガード位置とされ、開扉された状態を表した図である。
【0011】
アーム60は全体として略U字状に形成されることによりその上下方向略中央には長手方向に沿って案内溝80が延設され、その折曲側が先端側(先端部60s)になり開口側が基端側となるように扉20の内面20aにベース50を介して軸支される。また、扉枠10にネジ等で固定されたアーム係止具30は頭部40aが膨出した係止突起40を有しており、頭部40aが挿入できるように、アーム60の上下両腕部60a,60bはその基端部において部分的に上下に更に離間して、アーム60の基端部に案内溝80と連通し案内溝80よりも幅広の導入口70が形成されている。
【0012】
そして、扉20の内面20aに沿った通常位置からアーム60を扉枠10側に向けて所定角度起立させてガード位置とすると、扉枠10から扉20側に向けて、すなわち、扉20が設置される扉枠10の開口部内方に向けて略水平に突出した状態にあるアーム係止具30の係止突起40がアーム60の導入口70に挿入される。即ち、アーム60の上下両腕部60a,60b間に係止突起40が位置して、アーム60と係止突起40とは上下に重合した状態となる。
【0013】
かかるガード位置にアーム60をセットした後に開扉すると、係止突起40は導入口70から案内溝80へと進入して案内溝80内をアーム60先端側へと相対移動する。係止突起40が案内溝80内に進入すると、その頭部40aがアーム60の上下両腕部60a,60bを係止してその通常位置への復帰を阻止する。そして、扉20が所定角度まで開くと、係止突起40の軸部40bがアーム60の上下両腕部60a,60bを連結する先端部60sに当接し、それにより、その角度以上の開扉が阻止される。
【0014】
図5は、図4における円Xで示す部分の拡大図であり、アーム60の先端部60sは断面で表されている。アーム60の断面は略楕円状とされている。アーム係止具30は一体的に設けられた係止突起40を有し、係止突起40はアーム係止具30から延出する軸部40bと、軸部40bの先端に図5の紙面の表と裏を結ぶ方向(図3の上下方向)に膨出するように形成された頭部40aとを有している。頭部40aはアーム60の導入口70の開口よりも小さく、通常位置にあるアーム60を扉20の内面20a上でアーム係止具30側に所定角度回動させると、頭部40aはアーム60の導入口70を貫通する。また、頭部40aは案内溝80の幅よりも大きく、扉20が開扉されてアーム係止具30の軸部40bが案内溝80内に入った後は、アーム60はアーム係止具30の頭部40aに係止されつつ相対移動し、アーム60の扉20上での倒動作は不能になる。
【0015】
係止突起40は、ドアガードがガード位置にある状態において、軸部40bのアーム係止具30側から頭部40aの先端にかけて連続して同一角度で傾斜する傾斜面40cを備えている。該傾斜面40cはアーム6の先端部60s側に向くとともに、傾斜面40cの頭部40a側は傾斜面40cのアーム係止具30側よりアーム60の基端側に傾いている。尚、アーム係止具30の基台面30Aと傾斜面40cとが成す角度は30〜60度であることが好ましい。
【0016】
尚、アーム60の断面は図6に示すようにL字状であってもよい。
【0017】
次に、第一の実施形態のドアガードの機能について説明する。ドアガードの操作者がそのアーム60を手で持って通常位置からガード位置へドアガードをセットしている時、誤ってアーム60の先端60s近傍の案内溝80に指を入れて操作していると、たまたま同じタイミングで来訪者が扉20を開けようと扉20の外面のノブを開扉方向へ引っ張った場合、上記で述べたように指を詰める可能性があるが、第一の実施形態のドアガードにおいては、係止突起40の傾斜面40cが開扉動作にともなって指に接近することにより、案内溝80に入れた指先が傾斜面40cに案内されて案内溝80の外へ移動させられるので、指を詰めることがなく安全である。これは、傾斜面40c上において指先に外側向きの力が発生するからである。また、傾斜面40cの接近によりアーム60が傾斜面40c上を滑りながら頭部40a側へ回動する作用も加わって、指が案内溝80から外へより強く押し出されることにもよる。
【0018】
(第二の実施形態)
図7及び図8に示すのは第二の実施形態のドアガードである。尚、これ以降に説明する実施形態において第一の実施形態で説明した部材と同一の部材については同一符号を付して説明を省略する場合がある。
【0019】
アーム61は略U字状に形成されることによりその上下方向略中央には長手方向に沿って案内溝80が延設され、その折曲側が先端側(先端部61s)になり開口側が基端側となるように扉20の内面20aにベース50を介して軸支されている。図7に示すように、アーム係止具31は扉枠10に取り付けられており、図7の紙面の表と裏を結ぶ方向(図3の上下方向)に膨出するように頭部41aが膨出するとともに平面41cを備えた係止突起41を有している。頭部41aはアーム60の導入口70の開口よりも小さく、通常位置にあるアーム61を扉20の内面20a上でアーム係止具31側に所定角度回動させると、頭部41aはアーム61の導入口70を貫通する。頭部41aは案内溝80の幅よりも大きく、扉20が開扉されてアーム係止具31の軸部41bが案内溝80内に入った後は、アーム61はアーム係止具31の頭部41aに係止されつつ相対移動し、アーム61の扉20上での倒動作は不能になる。平面41cは、軸部41bのアーム係止具31側から頭部41aの先端にかけて設けられたものであり、係止突起41の軸心と略平行で、ドアガードがガード位置にある状態においてアーム61の先端部61s側に向けて形成されている。
【0020】
アーム61の先端部61sには傾斜面61Aが形成されている。該傾斜面61Aは、ドアガードがガード位置にある状態においてアーム係止具31側から頭部41aに向けてアーム60の先端60sの肉厚が薄くなるよう先端60sの案内溝80側に形成された面である。尚、アームの断面は先端部61sを除いて略楕円状とされている。尚、アーム係止具31の基台面31Aと傾斜面61Aが成す角度は30〜60度であることが好ましい。
【0021】
図8に示すように、アームの断面は先端部61を除いてL字状であってもよい。
【0022】
次に、第二の実施形態のドアガードの機能について説明する。ドアガードの操作者がそのアーム61を手で持って通常位置からガード位置へドアガードをセットしている時、誤ってアーム61の先端61s近傍の案内溝80に指を入れて操作していると、たまたま同じタイミングで来訪者が扉20を開けようと扉20の外面のノブを開扉方向へ引っ張った場合、上記で述べたように指を詰める可能性があるが、第二実施形態のドアガードにおいては、係止突起41の平面41cとアーム61の傾斜面61Aが開扉動作にともなって接近することにより略V字状の壁面が形成され、案内溝80に入れた指先が傾斜面61Aに案内されて案内溝80の外へ移動させられるので、指を詰めることがなく安全である。これは、傾斜面61A上において指先に外側向きの力が発生するからである。
【0023】
(第三の実施形態)
図9及び図10に示すのは第三の実施形態のドアガードである。図9に示すように、アーム係止具30は一体的に設けられた係止突起40を有し、係止突起40はアーム係止具30から延出する軸部40bと、軸部40bの先端に図9の紙面の表と裏を結ぶ方向(図3の上下方向)に膨出するように形成された頭部40aとを有している。また、係止突起40は、ドアガードがガード位置にある状態において、軸部40bのアーム係止具30側から頭部40aの先端にかけて連続して同一角度で傾斜する傾斜面40cを備えている。該傾斜面40cはアーム6の先端部60s側に向くとともに、傾斜面40cの頭部40a側は傾斜面40cのアーム係止具30側よりアーム60の基端側に傾いている。
【0024】
アーム61の先端部61sには傾斜面61Aが形成されている。該傾斜面61Aは、ドアガードがガード位置にある状態においてアーム係止具31側から頭部40aに向けてアーム61の先端61sの肉厚が薄くなるよう先端61sの案内溝80側に形成された面である。尚、アームの断面は先端部61sを除いて略楕円状とされている。尚、アーム係止具30の基台面30Aと傾斜面40cが成す角度は30〜60度であることが好ましく、アーム係止具30の基台面30Aと傾斜面61Aが成す角度は30〜60度であることが好ましい。
【0025】
図10に示すように、アームの断面は先端部61sを除いてL字状であってもよい。
【0026】
次に、第三の実施形態のドアガードの機能について説明する。ドアガードの操作者がそのアーム61を手で持って通常位置からガード位置へドアガードをセットしている時、誤ってアーム61の先端61s近傍の案内溝80に指を入れて操作していると、たまたま同じタイミングで来訪者が扉20を開けようと扉20の外面のノブを開扉方向へ引っ張った場合、上記で述べたように指を詰める可能性があるが、第三の実施形態のドアガードにおいては、係止突起40の傾斜面40cとアーム60の傾斜面61Aが開扉動作にともなって接近することによりV字状の壁面が形成され、その壁面に案内されて案内溝80に入れた指先が案内溝80の外へ移動させられるので、指を詰めることがなく安全である。これは、傾斜面40cおよび傾斜面61A上において指先に外側向きの力が発生するからである。また、傾斜面40cと傾斜面61Aの接近によりアーム61が傾斜面40c上を滑りながら頭部40a側へ回動する作用も加わって、指が案内溝80から外へより強く押し出されることにもよる。
【0027】
本発明によるドアガードは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、上記の説明は外開き扉に本発明に係るドアガードを適用した場合であったが、内開き扉に本発明に係るドアガードを適用することも可能である。この場合はアーム60、61を扉枠10に、アーム係止具30、31を扉20に固定することになる。
【符号の説明】
【0028】
10 扉枠、20 扉、30 アーム係止具、31 アーム係止具、40 係止突起、40a 頭部、40b 軸部、80 案内溝、40c 傾斜面、41 係止突起、41a 頭部、41b 軸部、41c 平面、60 アーム、61 アーム、61A 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉又は扉枠のいずれか一方に回動可能に連結されたアームと、扉枠又は扉のいずれか他方に取り付けられたアーム係止具とを備え、該アームは略U字状に形成され、中央に案内溝と折曲側に先端部を有し、該アーム係止具は頭部と軸部を持った係止突起を備え、該アームを該アーム係止具側に所定角度回動した状態で開扉した場合、該アームは該頭部に係止されつつ相対移動するドアガードにおいて、該アーム係止具の該係止突起に該軸部の該アーム係止具側から該頭部の先端にかけて傾斜面を設けることを特徴とするドアガード。
【請求項2】
該傾斜面はドアガードがガード位置にある状態において該アームの該先端部側に向くとともに、該傾斜面の該頭部側は該傾斜面の該アーム係止具側より該アームの基端側に傾いていることを特徴とする請求項1記載のドアガード。
【請求項3】
該アームの該案内溝側に向いた傾斜面を該アームの該先端部に設けることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のドアガード。
【請求項4】
扉又は扉枠のいずれか一方に回動可能に連結されたアームと、扉枠又は扉のいずれか他方に取り付けられたアーム係止具とを備え、該アームは略U字状に形成され、中央に案内溝と折曲側に先端部を有し、該アーム係止具は頭部と軸部を持った係止突起を備え、該アームを該アーム係止具側に所定角度回動した状態で開扉した場合、該アームは該頭部に係止されつつ相対移動するドアガードにおいて、該アーム係止具の該係止突起に該軸部の該アーム係止具側から該頭部の先端にかけて平面を設けるとともに、該アームの該案内溝側に向いた傾斜面を該アームの該先端部に設けることを特徴とするドアガード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−208437(P2011−208437A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77549(P2010−77549)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)