説明

ドットラインプリンタの印刷制御装置

【課題】 インパクト式ドットラインプリンタにおいて、ハンマの繰返し打撃動作の安定化を図り、以って横罫線データのようにハンマの繰返し打撃が生じる印刷においても、速度低下が生じないようにする。
【解決手段】
印刷データのドットライン当りのDUTY値を検出する制御部と、高DUTYドットラインを印刷する際、シャトルの1走査内において、シャトルの走査開始時を通常のシャトル速度Vsよりも若干早く設定し、走査終了時はVsよりも若干遅なるようにシャトル速度を徐々に減速する微減速制御を行なうマイコンシステムと、高DUTY時においてハンマの打撃力を確保する為、40Vおよび48Vの2電圧出力を持つ電源とを用意し、高DUTYのときは48V、それ以外のときは40Vとなるようにハンマ駆動電圧の切替えを行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマを駆動して印字するドットラインプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
印字行に沿って複数個並べて設けられたドット印字ハンマを保持するハンマバンクを、印字行に沿って往復移動させて印刷する従来のインパクト式ドットラインプリンタにおいては、図4に示すように、前記ハンマバンクを往復移動させるシャトルモータをハンマバンクの速度変動を限りなく0に近くなるように制御するようにしている。
【0003】
そして、1個のハンマが連続して数ドットの打撃を行なう高DUTY(高負荷)の印刷データを印字する際は、複数回に分けて印字を行なうことにより、ハンマの打撃力を確保している。
【0004】
従来のインパクト式ドットラインプリンタにおいては、特許文献1にあるようなハンマバンクの左端から右端への往路移動時または右端から左端への復路移動時(以下この移動をスキャンという)の速度変動が、図4のように、限りなく0になるような制御を理想としており、実際の製品においては速度変動を±2%程度に抑えていた。
【0005】
一方、標準的な設計駆動条件であれば、ハンマの繰返し周期は約330μsであるが、2〜3回の瞬間的な繰返し駆動であれば、ハンマの応答周波数は高く(周期:約320μs)ても十分な打撃力が確保できるのに対して、繰返し打撃回数が増える毎に、ハンマの応答周波数が落ちる(周期:約340μs)という傾向があった。
【0006】
また、従来、高DUTYの印刷データを印字する際、特許文献2に示すような打ち分けを行うことでハンマの打撃力を確保しているが、この方法は印刷速度が低下してしまう。逆に打ち分けを行なわない場合は十分なハンマの打撃力が得られないので、印刷品質が低下してしまうという問題があった。
【0007】
また、48Vの電源から8.5Vの電源に切り替える構成もある(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平2−209278号公報
【0009】
【特許文献2】特開2000−118043号公報
【特許文献3】特開平8−300695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ハンマの繰返し打撃動作の安定化を図り、以って横罫線データのようにハンマの繰返し打撃が生じる印刷においても、速度低下が生じないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、印字行に沿って複数個並べて設けられたドットハンマを保持するハンマバンクと、所定速度で回転するシャトルモータに駆動され、前記ハンマバンクを印字行に沿って往復運動させるカムを有し、前記ハンマバンクの反転時に用紙を所定量送り、ハンマバンクの往復移動の家庭で印字するドットラインプリンタにおいて、横罫線のような1個のハンマが連続して数ドットの打撃を行なう高DUTYドットライン時に、シャトルモータによるハンマバンクの移動速度を、印刷走査開始時から順次直線的に速度を低下させていくシャトル制御部と、ハンマの駆動電圧を通常より高くする制御部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、前記シャトル制御部は、印刷走査の中心におけるハンマバンクの移動速度を標準速度Vsとした時、印刷走査開始時はVs+4%の速度で印字を開始し、順次直線的に速度を低下させて、印刷走査終了時にはVs−4%の速度にすることを特徴とする。
【0013】
さらに、通常のハンマ駆動電圧V1を40V、高DUTYドットライン印刷時の駆動電圧V2を48Vとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
シャトルの微減速制御と2電圧によるハンマ駆動を組み合わせることにより、従来打ち分けによりDUTYを制限していたところを、シャトル動作速度制御を変動させることで、印刷速度を低下させること無く印刷することが可能となり、また、ハンマ駆動条件とシャトル動作速度制御を組み合わせることで、ハンマ打撃力の安定化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施例図面を参照して本発明を説明する。
【0016】
図1において、上位装置2から送られた印刷データに対し、マイコン3内の印刷DUTY検出システム4でドットライン当りの印刷DUTYを解析する。
【0017】
通常ドットライン当りのDUTYが例えば35%以下の場合、シャトル速度制御部5は図4に示すような定速制御を行う。ハンマ駆動回路6は後に説明する通り、電源部8から出力される電圧の内、40Vで駆動するように設定されている。
【0018】
また、ドットライン当りの印刷DUTYが35%以上のときは、その1走査の間はシャトル速度制御部5は、図2に示す微減速制御を行なう。且つハンマ駆動回路6は後に説明する通り、電源部8から出力される2電圧をハンマの駆動電圧を48Vに切替える。
【0019】
電源部8は、+5Vレギュレータと+40V/48Vレギュレータを持ち、トランスのセンタタップを利用することにより2種類の電圧が設けられており、+48Vは各ドットラインにおいて高DUTYのデータを印刷する際のハンマ駆動に使用され、40Vは通常DUTYのハンマ駆動時およびその他のモータ等の駆動に使用される。
【0020】
図2は、ドットライン当りのDUTYが高い時がある場合の、シャトルモータ1の速度波形とハンマ2の駆動電圧波形である。
【0021】
通常DUTYのときは従来の方式と同じく、一定のシャトル速度Vsで駆動され、ハンマの駆動電圧は40Vとなる。ドットライン当りのDUTYが高いとき、シャトルモータ1の1走査において走査の初めはVs+4%の速度で動き始め、1走査の終わりに近くなるに連れ徐々に減速し、走査の終わりでVs−4%となるようにシャトルの駆動電流を制御する。このとき、ハンマの駆動電圧は後に説明する通り、その1走査内においては+48Vでハンマを駆動する。
【0022】
図3に、2電圧ハンマ駆動回路の一例を示す。
【0023】
該回路は、電源部8より40Vと48Vの2種類の電圧が供給されている。これらを通常DUTYの時はトランジスタ10をON、トランジスタ11をOFFとすることで、ハンマ駆動電圧を40Vと設定できる。また、高DUTYのときはトランジスタ10をOFF、トランジスタ11をONとすることで、ハンマ駆動電圧は48Vとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明印刷制御装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明におけるシャトル速度及びハンマ駆動電圧の波形図である。
【図3】本発明におけるハンマ駆動回路図である。
【図4】従来方式のシャトル速度及びハンマ駆動電圧の波形図である。
【符号の説明】
【0025】
1はシャトルモータ、2は上位装置(ホスト)、3はマイコン、4はマイコン内の印刷DUTY解析システム、5はシャトルモータ速度制御部、6はハンマ駆動回路、7はハンマコイル、8は電源部、9は+40V/48Vレギュレータ、10,11はトランジスタである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字行に沿って複数個並べて設けられたドットハンマを保持するハンマバンクと、所定速度で回転するシャトルモータに駆動され、前記ハンマバンクを印字行に沿って往復運動させるカムを有し、前記ハンマバンクの反転時に用紙を所定量送り、ハンマバンクの往復移動の家庭で印字するドットラインプリンタにおいて、
横罫線のような1個のハンマが連続して数ドットの打撃を行なう高DUTYドットライン時に、シャトルモータによるハンマバンクの移動速度を、印刷走査開始時から順次直線的に速度を低下させていくシャトル制御部と、ハンマの駆動電圧を通常より高くする制御部とを有することを特徴とするドットラインプリンタの印刷制御装置。
【請求項2】
前記シャトル制御部は、印刷走査の中心におけるハンマバンクの移動速度を標準速度Vsとした時、印刷走査開始時はVs+4%の速度で印字を開始し、順次直線的に速度を低下させて、印刷走査終了時にはVs−4%の速度にすることを特徴とする請求項1記載のドットラインプリンタの印刷制御装置。
【請求項3】
通常のハンマ駆動電圧V1を40V、高DUTYドットライン印刷時の駆動電圧V2を48Vとすることを特徴とする請求項1記載のドットラインプリンタの印刷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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