説明

ドライアイス製造装置及びドライアイス製造方法

【課題】本発明は、液化二酸化炭素を大気圧まで膨張させてスノー状ドライアイスを製造する装置及び製造する方法に係り、特に、液化二酸化炭素を供給する流路の途中に、構成の簡単な過冷却熱交換器を設けるようにしたものである。
【解決手段】本発明は、液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルに供給する流路の途中に、液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、過冷却熱交換器に噴出ノズルにより液化二酸化炭素を噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたから、ドライアイスの原料と同じ液化二酸化炭素を過冷却の冷却源として、液化二酸化炭素の過冷却を簡単な構成で行なうドライアイス製造装置及びドライアイス製造方法とすることができるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化二酸化炭素を大気圧まで膨張させてスノー状ドライアイスを製造する装置及び製造する方法に係り、特に、液化二酸化炭素を供給する流路の途中に、構成の簡単な過冷却熱交換器を設けたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スノー状ドライアイスを製造する装置又は製造する方法であって、スノー状ドライアイスの歩留まりを向上させたり、安定よく良好に生成させるために、ノズルに供給する液化二酸化炭素を過冷却することが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
そして、従来の液化二酸化炭素を過冷却するための冷却源は、いずれも冷凍機を用いるものであり、一例として特許文献1に記載されたものを図3に示す。
【0003】
図3において、51は、ドライアイス製造装置であって、導管が、液化二酸化炭素の貯蔵タンク52から安全弁53、開閉弁54、ドライアイスの製造効率を高める効率向上装置60、安全弁55、圧力計56、開閉弁57a,57b,57cを順に介して、ドライアイス製造装置本体58a,58b,58cへと通じている。
効率向上装置60は冷凍機61と導管62,63で連絡されており、一次冷媒は導管62を介して冷凍機61から効率向上装置60へ流れ、導管63を介して効率向上装置60から冷凍機61へ戻る。
【0004】
効率向上装置60は、第一の熱交換器71と、第二の熱交換器72と、二次冷媒の貯蔵された二次冷媒用タンク73とを含んでおり、二次冷媒は不凍液(ブライン)を含んでいる。
導管75は一方が開閉弁54を介して貯蔵タンク52に、他方が安全弁55を介してドライアイス製造装置本体58a,58b,58c等に連絡している。
【0005】
ポンプ76は、二次冷媒用タンク73から導管78を介して第一の熱交換器71を通り二次冷媒用タンク73に戻る二次冷媒に運動エネルギーを与え、ポンプ77は、二次冷媒用タンク73から導管79を介して第二の熱交換器72を通り二次冷媒用タンク73に戻る二次冷媒に運動エネルギーを与える。
二次冷媒用タンク73内部の二次冷媒液面の変動を吸収するために、乾燥窒素ガスが導管80を介して二次冷媒用タンク73に送り込まれ、膨張タンク81が二次冷媒用タンク73内の乾燥窒素ガスの量の変動を吸収する。
【0006】
二次冷媒用タンク73に貯蔵された二次冷媒は、導管78を介して第一の熱交換器71に達し、第一の熱交換器71で、冷凍機61から導管62を通り一次冷媒を介して輸送された冷熱を受け取り、さらに導管78により二次冷媒用タンク73へと戻る。
次いで、二次冷媒は導管79を介して第二の熱交換器72に達し、第二の熱交換器72で、貯蔵タンク52から導管75を介して供給された液化二酸化炭素へと冷熱を渡し、さらに導管79により二次冷媒用タンク73に戻り、二次冷媒のこのような循環により、冷凍機61から液化二酸化炭素へと冷熱が輸送される。
【特許文献1】特開2006−193377号 公報
【特許文献2】特開2003−206122号 公報
【特許文献3】特開2007−160244号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1等に記載された従来のドライアイス製造装置は、ドライアイスの製造効率(歩留まり)を高めるために液化二酸化炭素の過冷却装置を備えているが、冷却源が冷凍機であり、過冷却のための設備が大掛かりとなるという問題があった。
さらに、特許文献1に記載された従来のドライアイス製造装置51は、ブライン貯蔵タンク73、2基のブライン循環ポンプ76,77、2基の熱交換器71,72なども必要となるという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、スノー状ドライアイスの原料と同じ液化二酸化炭素を過冷却の冷却源として、液化二酸化炭素の過冷却を簡単な構成で行なうことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は、液化二酸化炭素を貯留する貯留容器と、液化二酸化炭素を噴出してドライアイスを生成するドライアイス生成ノズルと、貯留容器からの液化二酸化炭素を生成ノズルに供給する供給管とを備えたドライアイス製造装置において、
供給管の途中に、供給管からの液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、過冷却熱交換器に噴出ノズルにより液化二酸化炭素を噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたドライアイス製造装置である。
【0010】
請求項2に係る本発明は、液化二酸化炭素を貯留する貯留容器と、液化二酸化炭素を噴出してドライアイスを生成するドライアイス生成ノズルと、貯留容器からの液化二酸化炭素を生成ノズルに供給する供給管とを備えたドライアイス製造装置において、
供給管の途中に、供給管からの液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、ブラインを収納した熱交換槽を設けて、熱交換槽内のブライン中に過冷却熱交換器を浸漬すると共に、ブライン中に設けた噴出ノズルから液化二酸化炭素を噴出させてブラインを冷却媒体として、冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたドライアイス製造装置である。
【0011】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に係る本発明の構成に加え、噴出ノズルに液化二酸化炭素を供給する供給路に電磁開閉弁を設け、過冷却熱交換器による液化二酸化炭素の過冷却度を電磁開閉弁の開閉により制御するようにしたドライアイス製造装置である。
【0012】
請求項4に係る本発明は、液化二酸化炭素を貯留する貯留容器からの液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルにより噴出してドライアイスを製造するドライアイス製造方法において、
ドライアイス生成ノズルに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器に、液化二酸化炭素を噴出ノズルにより噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたドライアイス製造方法である。
【0013】
請求項5に係る本発明は、液化二酸化炭素を貯留する貯留容器からの液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルにより噴出してドライアイスを製造するドライアイス製造方法において、
液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルに供給する通路の途中に、液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成してブラインを収納した熱交換槽内のブライン中に浸漬すると共に、ブライン中に設けた噴出ノズルから液化二酸化炭素を噴出させてブラインを冷却媒体として、冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたドライアイス製造方法である。
【0014】
請求項6に係る本発明は、請求項4又は請求項5に係る本発明の構成に加え、過冷却熱交換器による液化二酸化炭素の過冷却度を、噴出ノズルに液化二酸化炭素を供給する供給路に設けた電磁開閉弁の開閉により制御するようにしたドライアイス製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明は、ドライアイス生成ノズルに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、過冷却熱交換器に噴出ノズルにより液化二酸化炭素を噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたから、ドライアイスの原料と同じ液化二酸化炭素を過冷却の冷却源として、液化二酸化炭素の過冷却を簡単な構成で行なうドライアイス製造装置とすることができるのである。
【0016】
請求項2に係る本発明は、ドライアイス生成ノズルに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、ブラインを収納した熱交換槽を設けて、熱交換槽内のブライン中に過冷却熱交換器を浸漬すると共に、ブライン中に設けた噴出ノズルから液化二酸化炭素を噴出させてブラインを冷却媒体として、冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたから、ドライアイスの原料と同じ液化二酸化炭素を過冷却の冷却源として、液化二酸化炭素の過冷却を簡単な構成で行なうことができると共に、ブライン中に冷却源の液化二酸化炭素を噴出させるのでブラインの攪拌が良好となり過冷却熱交換器との熱交換が良好なドライアイス製造装置とすることができるのである。
【0017】
請求項3に係る本発明は、請求項1又は請求項2に係る本発明の効果に加え、過冷却熱交換器による液化二酸化炭素の過冷却度を電磁開閉弁の開閉により制御するようにしたから、過冷却度を制御可能なドライアイス製造装置とすることができるのである。
【0018】
請求項4に係る本発明は、ドライアイス生成ノズルに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器に、液化二酸化炭素を噴出ノズルにより噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたから、ドライアイスの原料と同じ液化二酸化炭素を過冷却の冷却源として、液化二酸化炭素の過冷却を簡単な構成で行なうドライアイス製造方法とすることができるのである。
【0019】
請求項5に係る本発明は、液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成してブラインを収納した熱交換槽内のブライン中に浸漬すると共に、ブライン中に設けた噴出ノズルから液化二酸化炭素を噴出させてブラインを冷却媒体として、冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたから、ドライアイスの原料と同じ液化二酸化炭素を過冷却の冷却源として、液化二酸化炭素の過冷却を簡単な構成で行なうことができると共に、ブライン中に冷却源の液化二酸化炭素を噴出させるのでブラインの攪拌が良好となり過冷却熱交換器との熱交換が良好なドライアイス製造方法とすることができるのである。
【0020】
請求項6に係る本発明は、請求項4又は請求項5に係る本発明の効果に加え、過冷却熱交換器による液化二酸化炭素の過冷却度を、噴出ノズルに液化二酸化炭素を供給する通路に設けた電磁開閉弁の開閉により制御するようにしたから、過冷却度を制御可能なドライアイス製造方法とすることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付した図面により詳細に説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態に係るドライアイス製造装置の概略図であり、洗浄用途に適用した実施の形態である。
【0022】
第一の実施の形態に係るドライアイス製造装置1は、液化二酸化炭素を貯留する貯留容器2a,2bと、液化二酸化炭素を噴出してドライアイスを生成するドライアイス生成ノズル3aを内蔵すると共に生成したドライアイスを圧縮空気により被洗浄物に噴出する洗浄ノズル3と、貯留容器2a,2bからの液化二酸化炭素を洗浄ノズル3のドライアイス生成ノズル3aに供給する供給管4とを備えている。
供給管4の途中に、供給管4からの液化二酸化炭素を冷却して過冷却状態にする冷却管5aを備えた過冷却熱交換器5を形成して、断熱した熱交換チャンバー6内に収納している。
【0023】
また、熱交換チャンバー6内には、供給管4の途中から分岐した分岐供給路4aからの液化二酸化炭素を噴出する噴出ノズル7を設けて、過冷却熱交換器5に噴出ノズル7により液化二酸化炭素を噴出させてその蒸発潜熱により冷却管5aを流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしている。
過冷却熱交換器5における液化二酸化炭素の過冷却度の制御は、分岐供給路4aに電磁開閉弁8を設け、過冷却熱交換器5の入口と出口の液化二酸化炭素の温度を温度センサー9i,9oで検出し、温度制御装置10により入口温度と出口温度との温度差が所定範囲となるように電磁開閉弁8を開閉するようにしている。
【0024】
また、過冷却熱交換器5の出口側であって、分岐供給路4aの分岐点の上流側における供給管4には質量流量計11を設け、質量流量計11による計測流量を貯留容器切換装置12に入力し、貯留容器2a,2bの切換を行なうようにしている。
質量流量計11を過冷却熱交換器5の出口側であって、分岐供給路4aの分岐点の上流側における供給管4に設けているから、質量流量計11を流通する液化二酸化炭素は液相のみであり、気液2相での測定精度不良を改善すると共に、ドライアイス生成ノズル3a及び噴出ノズル7に供給する液化二酸化炭素の流量を併せて計測するようにしている。
【0025】
なお、6aは熱交換チャンバー6内で行なう熱交換により発生した炭酸ガスの大気への排出口であり、13a,13bは切換電磁弁、14は停止用電磁弁、15は空気圧縮機、15aは空気圧縮機5で圧縮した圧縮空気を洗浄ノズル3に供給する空気管、16は安全弁、17は圧力計である。
次に、図1に示すドライアイス製造装置1を用いてドライアイスを製造する方法について説明する。
【0026】
液化二酸化炭素を貯留する貯留容器2a,2bからの液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズル3aを内蔵した洗浄ノズル3により噴出してドライアイスを製造すると共に、被洗浄物に対して製造したドライアイスを圧縮空気により安定して噴出するのである。
そして、ドライアイスを製造する際に、洗浄ノズル3に内蔵したドライアイス生成ノズル3aに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管5aを備えた過冷却熱交換器5に、液化二酸化炭素を噴出ノズル7により噴出させて冷却管5a内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにして、ドライアイス生成ノズル3aに供給する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたドライアイス製造方法である。
【0027】
過冷却熱交換器5における過冷却度の制御は、過冷却熱交換器5の入口と出口に設けた温度センサー9i,9oで検出して温度制御装置10により入口温度と出口温度との温度差が所定範囲となるように電磁開閉弁8を開閉するのである。
また、貯留容器2a,2bの切換は、質量流量計11の流量計側値が貯留容器切換装置12により予め定めた貯留容器2a,2bの液化二酸化炭素の貯留量に達すると、一方から他方に切換電磁弁13a,13bにより行なうのである。
【0028】
以上の第一の実施の形態では、過冷却熱交換器5における過冷却度の制御を、過冷却熱交換器5の入口温度と出口温度を検出することにより行なったが、使用する液化二酸化炭素の飽和液温度は使用する貯留容器2a,2bにより予め分っているので、過冷却熱交換器5の出口温度の検出だけで行なってもよい。
また、ドライアイス生成ノズル3aの噴出量から、噴出ノズル7からの過冷却用に噴出する液化二酸化炭素の必要噴出量を決めて、必要噴出量となるように供給管4、分岐供給路4a、噴出ノズル7などの流通抵抗を定めることにより、過冷却熱交換器5の入口温度及び出口温度のいずれも検出しないようにしてもよい。
【0029】
次に、本発明の第二の実施の形態に係るドライアイス製造装置を図2に基いて説明する。
図2は、ドライアイス製造装置の概略図であり、本発明の第一の実施の形態と同様に、洗浄用途に適用した実施の形態である。
【0030】
第二の実施の形態は、第一の実施の形態における過冷却熱交換器をブライン浸漬タイプとしたものである。
以下、第一の実施の形態と同様な構成については、同一の符号を付して説明する。
【0031】
第二の実施の形態に係るドライアイス製造装置21は、液化二酸化炭素を貯留する貯留容器2a,2bと、液化二酸化炭素を噴出してドライアイスを生成するドライアイス生成ノズル3aを内蔵すると共に生成したドライアイスを圧縮空気により被洗浄物に噴出する洗浄ノズル3と、貯留容器2a,2bからの液化二酸化炭素を洗浄ノズル3のドライアイス生成ノズル3aに供給する供給管4とを備えている。
供給管4の途中に、供給管4からの液化二酸化炭素を冷却して過冷却状態にする冷却管5aを備えた過冷却熱交換器5を形成して、断熱したブライン槽22内に収納したブライン22a中に浸漬している。
【0032】
また、ブライン槽22内のブライン22a中には、過冷却熱交換器5の入口側における供給管4の途中から分岐した分岐供給路4aからの液化二酸化炭素を噴出する噴出ノズル7を設けて、噴出ノズル7から液化二酸化炭素を噴出させてブライン22aを冷却するようにしている。
そして、液化二酸化炭素の蒸発潜熱により冷却されたブライン22aを冷却媒体として、過冷却熱交換器5の冷却管5aを流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにしている。
【0033】
過冷却熱交換器5における液化二酸化炭素の過冷却度の制御は、分岐供給路4aにおけるブライン槽22の槽外上方に電磁開閉弁8を設け、過冷却熱交換器5の入口に設けた温度センサー23及びブライン22a中に設けた温度センサー24でそれぞれの温度を検出し、温度制御装置10によりブライン22a温度が過冷却熱交換器5の入口温度に対して所定の温度範囲に収まるように電磁開閉弁8を開閉するようにしている。
また、過冷却熱交換器5の出口側における供給管4には質量流量計11を設け、質量流量計11による計測流量を貯留容器切換装置12に入力するようにしている。
【0034】
質量流量計11を過冷却熱交換器5の出口側における供給管4に設けているから、質量流量計11を流通する液化二酸化炭素は液相のみであり、気液2相での測定精度不良を改善するようにしている。
温度制御装置10は、電磁開閉弁8の開時間を計測すると共に、単位時間当たりの液化二酸化炭素の使用量を予め把握しておき、計測した電磁開閉弁8の開時間により噴出ノズル7からの液化二酸化炭素の消費量を算出している。
【0035】
そして、貯留容器切換装置12において、質量流量計11による流量計測値と、電磁開閉弁8の開時間から算出した噴出ノズル7での算定噴出量値とを合計することで、液化二酸化炭素の合計消費量を算出し、算出した消費量が予め定めた貯留容器2a或いは2bの液化二酸化炭素の貯留量に達した際に切換電磁弁13a,13bに対して切換信号を発信することにより、使用する貯留容器2a,2bの切換を行なっている。
なお、14は停止用電磁弁、15は空気圧縮機、15aは空気圧縮機5で圧縮した圧縮空気を洗浄ノズル3に供給する空気管、16は安全弁、17は圧力計、22bはブライン槽22内で行なう熱交換により発生した炭酸ガスの大気への排出口、22cはブライン液面、22dは気相である。
【0036】
次に、図2に示すドライアイス製造装置21を用いてドライアイスを製造する方法について説明する。
液化二酸化炭素を貯留する貯留容器2a,2bからの液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズル3aを内蔵した洗浄ノズル3により噴出してドライアイスを製造すると共に、圧縮空気により被洗浄物に製造したドライアイスを噴出するのである。
【0037】
そして、ドライアイスを製造する際に、洗浄ノズル3に内蔵したドライアイス生成ノズル3aに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管5aを備えた過冷却熱交換器5を、ブライン槽22内のブライン22a中に浸漬しており、ブライン22a中に液化二酸化炭素を噴出ノズル7により噴出させてブライン22aを冷却し、冷却されたブライン22aを冷却媒体として、冷却管5a内を流通する液化二酸化炭素を過冷却するようにし、ドライアイス生成ノズル3aに供給する液化二酸化炭素を過冷却するようにしたドライアイス製造方法である。
過冷却熱交換器5における過冷却度の制御は、過冷却熱交換器5の入口に設けた温度センサー23及びブライン22a中に設けた温度センサー24で検出して温度制御装置10により入口温度とブライン22aの温度との差が所定範囲となるように電磁開閉弁8を開閉するのである。
【0038】
また、貯留容器2a,2bの切換は、質量流量計11の流量計側値と、電磁開閉弁8の開時間から算出した噴出ノズル7からの算定噴出量値とを合計して液化二酸化炭素の消費量を求め、この液化二酸化炭素の消費量が貯留容器切換装置12により予め定めた貯留容器2a或いは2bの液化二酸化炭素の貯留量に達した際に、切換電磁弁13a,13bの開閉を切換えることにより行なうのである。
以上の第二の実施の形態では、過冷却熱交換器5における過冷却度の制御を、過冷却熱交換器5の入口温度とブライン22aの温度とを検出することにより行なったが、第一の実施の形態と同様に過冷却熱交換器5における液化二酸化炭素の入口温度と出口温度とを検出してその温度差が所定範囲となるように制御してもよい。
【0039】
しかしながら、過冷却熱交換器5を流通する液化二酸化炭素はブライン22aにより過冷却されるのであり、ブライン22aの温度を検出する方が過冷却熱交換器5の出口温度を検出するよりも応答性がよく、過冷却度の制御性が良好である。
また、使用する液化二酸化炭素の飽和液温度は使用する貯留容器2a,2bにより予め分っているので、ブライン22aの温度の検出だけで過冷却度の制御を行なってもよい。
【0040】
また、ドライアイス生成ノズル3aの噴出量から、噴出ノズル7からの過冷却用に噴出する液化二酸化炭素の必要噴出量を決めて、必要噴出量となるように供給管4、分岐供給路4a、噴出ノズル7などの流通抵抗を定めることにより、過冷却熱交換器5の入口温度及びブライン22aの温度のいずれも検出しないようにしてもよい。
さらに、第二の実施の形態では、供給管4における過冷却熱交換器5の入口側から分岐供給路4aを分岐させているが、第一の実施の形態と同様に、分岐位置を過冷却熱交換器5の出口側から分岐させてもよい。
【0041】
このように分岐位置を過冷却熱交換器5の出口側とするのは、ドライアイス製造装置21の稼働が連続しており、休止が短時間でブライン槽22に収納しているブライン22aの温度が周囲温度近くまで上昇しないときに、好ましい。
ドライアイス製造装置21の休止時間が長くてブライン22aの温度が周囲温度近くまで上昇している場合には、ドライアイス製造装置21を稼働する準備として、噴出ノズル7からの液化二酸化炭素の噴出によりブライン22aを所定温度まで冷却する必要があるが、過冷却熱交換器5の出口側では噴出ノズル7に供給する液化二酸化炭素がブライン22aと熱交換してその一部が炭酸ガスとなり、噴出ノズル7からの噴出量が大幅に減少し、ブライン22aを所定温度まで冷却するのに長時間を要するという問題が生ずるからである。
【0042】
第二の実施の形態で使用するブライン22aとしては塩化カルシウム水溶液、フッ化炭化水素、アルコール系溶剤等が適宜選定され、使用範囲に適合する状態にしてブライン槽22に収納すると共に、ドライアイス製造装置21の所定稼働時間毎に適宜調整するのである。
以上の第一及び第二の実施の形態では、過冷却熱交換器5を過冷却する液化二酸化炭素を、ドライアイスを製造するための液化二酸化炭素の供給管4から分岐して噴出ノズル7に供給するようにしたが、別の液化二酸化炭素を貯留する貯留容器から、噴出ノズル7への専用の供給路としてもよい。
【0043】
噴出ノズル7への専用の供給路とする場合は、ドライアイス生成ノズル3aから噴出する液化二酸化炭素と、噴出ノズル7から噴出する液化二酸化炭素とを貯留する貯留容器の仕様、例えば圧力(温度)、貯留量などをそれぞれに好適なものとすることができる。
また、第一及び第二の実施の形態では、過冷却熱交換器5での過冷却度を電磁開閉弁8の開閉により行なったが、電磁開閉弁8に換えて開度を連続的に制御できる電動弁としてもよい。
【0044】
電動弁とする場合、電動弁の開度が小さい制御において、液化二酸化炭素の圧力低下による噴出ノズル7におけるドライアイスの生成によるノズル詰まりが生じないよう注意することが必要である。
さらに、第一及び第二の実施の形態では、貯留容器の仕様について説明を省略したが、LGC(可搬式液化二酸化炭素容器)、CE(コールドエバポレーター)、シリンダー(液化二酸化炭素容器)のいずれを使用してもよい。
【0045】
また、第一及び第二の実施の形態では、ドライアイス製造装置及びドライアイス製造方法を洗浄用途に適用したが、最終商品としてペレット状又は粒状のドライアイスの製造用途に適用できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係るドライアイス製造装置の概略図。
【図2】本発明の第二の実施の形態に係るドライアイス製造装置の概略図。
【図3】従来のドライアイス製造装置の概略図。
【符号の説明】
【0047】
1 ドライアイス製造装置
2a,2b 貯留容器
3a ドライアイス生成ノズル
4 供給管
4a 分岐供給路
5 過冷却熱交換器
5a 冷却管
7 噴出ノズル
8 電磁開閉弁
21 ドライアイス製造装置
22 ブライン槽
22a ブライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化二酸化炭素を貯留する貯留容器と、液化二酸化炭素を噴出してドライアイスを生成するドライアイス生成ノズルと、貯留容器からの液化二酸化炭素を生成ノズルに供給する供給管とを備えたドライアイス製造装置において、
供給管の途中に、供給管からの液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、過冷却熱交換器に噴出ノズルにより液化二酸化炭素を噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却することを特徴とするドライアイス製造装置。
【請求項2】
液化二酸化炭素を貯留する貯留容器と、液化二酸化炭素を噴出してドライアイスを生成するドライアイス生成ノズルと、貯留容器からの液化二酸化炭素を生成ノズルに供給する供給管とを備えたドライアイス製造装置において、
供給管の途中に、供給管からの液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成し、ブラインを収納した熱交換槽を設けて、熱交換槽内のブライン中に過冷却熱交換器を浸漬すると共に、ブライン中に設けた噴出ノズルから液化二酸化炭素を噴出させてブラインを冷却媒体として、冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却することを特徴とするドライアイス製造装置。
【請求項3】
噴出ノズルに液化二酸化炭素を供給する供給路に電磁開閉弁を設け、過冷却熱交換器による液化二酸化炭素の過冷却度を電磁開閉弁の開閉により制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のドライアイス製造装置。
【請求項4】
液化二酸化炭素を貯留する貯留容器からの液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルにより噴出してドライアイスを製造するドライアイス製造方法において、
ドライアイス生成ノズルに供給する液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器に、液化二酸化炭素を噴出ノズルにより噴出させて冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却することを特徴とするドライアイス製造方法。
【請求項5】
液化二酸化炭素を貯留する貯留容器からの液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルにより噴出してドライアイスを製造するドライアイス製造方法において、
液化二酸化炭素をドライアイス生成ノズルに供給する通路の途中に、液化二酸化炭素を冷却し過冷却状態にする冷却管を備えた過冷却熱交換器を形成してブラインを収納した熱交換槽内のブライン中に浸漬すると共に、ブライン中に設けた噴出ノズルから液化二酸化炭素を噴出させてブラインを冷却媒体として、冷却管内を流通する液化二酸化炭素を過冷却することを特徴とするドライアイス製造方法。
【請求項6】
過冷却熱交換器による液化二酸化炭素の過冷却度を、噴出ノズルに液化二酸化炭素を供給する供給路に設けた電磁開閉弁の開閉により制御することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のドライアイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−105837(P2010−105837A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277740(P2008−277740)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【出願人】(506219889)有限会社クールテクノス (10)
【Fターム(参考)】