説明

ドライアイ用眼鏡フレーム及びこれを備えたドライアイ用眼鏡

【課題】デザイン上優れ且つ保湿効果の高いドライアイ用眼鏡フレーム及びこれを備えたドライアイ用眼鏡を提供すること。
【解決手段】ドライアイ用眼鏡10は、眼鏡フレーム20及び左右一対のレンズ30,30を備える。眼鏡フレーム20は、レンズ30,30を左右に装着可能に構成されたフロント部40と、装着者の耳にかけられる左右一対のテンプル部50,50と、を備える。眼鏡フレーム20は、少なくともリム60の下部1の内部が空洞で、そのリム60の下部1の上面に複数の蒸散穴6が開いており、リム60の側部にある注入口3から保湿用の液体を空洞に注入し、その液体の水分を蒸散穴6から蒸散させることによって眼の周囲を加湿するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ドライアイ症者が感じる眼の乾燥感を軽減させるために使用する眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドライアイ用眼鏡には、保湿具を眼鏡フレームに取り付ける形態のものや(特許文献1、2)、レンズを支持するフレームのリムの周囲に遮蔽体を取り付ける形態のもの(特許文献3、4)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000―5217号公報
【特許文献2】特開2000−5216号公報
【特許文献3】特実平3−20316号公報
【特許文献4】実用新案登録第3152412号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしそれらの使用の際には、眼鏡フレームの形状によっては保湿具の取り付け方が難しい場合があったり、保湿具を装着することによりデザイン性が大きく損なわれたりすることが多かった。
また、保湿具をテンプルの内側に接着させる形態のドライアイ用眼鏡では、水分が隙間から上方へ放散してしまうため、眼の周囲で得られる保湿の効果が低かった。
【0005】
そこで、本願発明は、デザイン上優れ且つ保湿効果の高いドライアイ用眼鏡フレーム及びこれを備えたドライアイ用眼鏡の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明のドライアイ用メガネフレームは、少なくともリムの下部の内部が空洞で、そのリムの下部の上面に複数の蒸散穴が開いており、リムの側部にある注入口から保湿用の液体を前記空洞に注入し、その液体の水分を前記蒸散穴から蒸散させることによって眼の周囲を加湿するものである。
【発明の効果】
【0007】
眼鏡フレームの内部に保湿機能が組み込まれることにより、眼鏡のデザイン性をできるだけ損なうことなく、ドライアイの乾燥感を軽減することができる。また、水分は下から上へ蒸発することから、テンプルに保湿具を備える形態のものよりも、効果的に眼周辺部を保湿することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本願発明の実施の形態に係るドライアイ用眼鏡の斜視図である。
【図2】図1におけるリムの下部を拡大および別の角度より表した断面図である。
【図3】図1におけるリムの内部構造の一例を拡大して表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面に基づいた本願発明の実施の形態に係るドライアイ用眼鏡を説明する。なお、眼鏡の構成は左右対称であるため、以下では、左側の部品を中心に説明し、右側の部品については説明を適宜省略する。
【0010】
図1に示すように、ドライアイ用眼鏡10は、眼鏡フレーム20及び左右一対のレンズ30,30を備える。眼鏡フレーム20は、レンズ30,30を左右に装着可能に構成されたフロント部40と、装着者の耳にかけられる左右一対のテンプル部50,50と、を備える。フロント部40は、レンズ30,30の全周又はその少なくとも下半部をそれぞれ固定するリム60,60と、リム60,60の内側部位同士を連結するブリッジ70と、を備える。
【0011】
図2及び図3に示すように、リム60の下部1は内部が空洞になっており、その空洞は、保湿のための液体を注入する注入口3から空気排出口4まで繋がっている。すなわち、下部1の内部には、注入口3から空気排出口4に至る液体通路5(空洞)が形成されている。注入口3及び空気排出口4は、それぞれ、リム60の下部1の両サイドにつながる両側部に形成されている。より詳細には、注入口3は、リム60におけるテンプル部50側の側部の外側面にあり、空気排出口4は、リム60におけるブリッジ70側の側部の正面にある。したがって、液体通路5は、リム60の略半円弧状の下半部に亘って形成されており、一端が注入口3に連通し且つ他端が空気排出口4に連通している。
【0012】
なお、この空洞(液体通路5)はリム60の全体に亘っていてもよいが、上述のようにリム60の下部1にのみ形成することが製造上好ましい。また、注入口3は、リム60におけるテンプル部50側の側部の正面に形成してもよいが、上述のように側面に形成した方がデザイン性を向上し易い。同様に、空気排出口4についても、リム60におけるブリッジ70側の側部の内側面に形成してもよい。また、場合に応じて、空気排出口4を注入口として、注入口3を空気排出口として使用してもよい。さらに、注入口3及び空気排出口4は、そこからの蒸気の拡散および液漏れを防ぐため、ゴムパッキンのようなもので栓ができることが望ましい。
レンズ上部のフレームがない、いわゆる「逆ナイロームフレーム」あるいは「アンダーリム」タイプの眼鏡フレームにおいては、リムの内部全体に、注入口から空気排出口まで繋がる空洞(液体通路5)を設計する。
【0013】
液体通路5については、プラスチック、金属及び自然素材等からなるリム60に直接形成されたものでもよいし、あるいは、内部に入れる液体の性質に応じて、リム60内に形成された空洞にビニールパイプのようなものを通すことによって形成されたものであってもよい。
【0014】
リム60の下部1の上面2(内面)には、液体通路5に連通して水分を蒸散させるための複数の小さい蒸散穴6が穿設されている。蒸散穴6は、リム60の下部1に形成されたレンズ装着溝(図示省略)よりも、眼鏡装着者側(すなわちリム60の背面側)に形成されている。これにより、レンズ装着溝を介してフロント部40にレンズ30を装着した場合に、レンズ30よりも眼鏡装着者側にて蒸散穴6からの水分の蒸散がなされるため、効果的に眼周囲を保湿することが可能となる。また、蒸散穴6は、より一層効果的に眼周囲を保湿するため、また液漏れを防ぐため、眼鏡装着時の顔面に対してやや内側向きの適切な角度で開けることが望ましい。
【0015】
さらに、蒸散穴6は、液体通路5に入れる液体の性質に応じて、穴の大きさを適宜設計すればよく、特に目詰まりを防ぎ、液体の表面張力等により蒸散が阻害されない程度の穴の大きさとなるように設計することが望ましい。また、蒸散穴6には、気体(蒸気)のみを透過させるために、気体透過性の膜(例えば薄い高分子膜)が貼り付けられることが好ましい。このような気体透過性の膜を設けることで、蒸散穴6から液体通路5内の液体が漏れないようにすることができる。
【0016】
ここで、リム60の内部に注入する保湿のための液体は、蒸散穴6が詰まるのを防ぐため、粘度の低いものが望ましい。また、程良い揮発性があり、かつ眼に優しいものが望ましい。さらに、眼鏡フレーム20を洗浄するときの利便性を考慮し、オイル等を含まないものが望ましい。例えばオイルを含まない化粧水のようなものが想定される。ただし、最も簡易的な保湿用の液体として、水を用いることができる。
【0017】
次に、保湿のための液体を液体通路5に注入する方法について説明する。この方法は、リム60内部の液体通路5の直径やカーブ、眼鏡フレーム20のデザイン等に応じていくつか考えられる。
【0018】
第1に考えられるのは、空気排出口4を開いた状態で、注入口3からスポイトまたは注射器のような注入器を用いて、リム60の下方向に向け液体を圧送する方法である。この場合、注入口3と空気排出口4の位置が逆であってもよい。
【0019】
第2に考えられるのは、リム60の下部1のカーブがきつい等の理由で、下部1に液体を圧送するのが困難な場合である。この場合には、リム60全体の内部が空洞(液体通路5)となっていることが前提ではあるが、空気排出口4を閉じたまま、スポイトあるいは注射器のような注入器を用いて、リム60の上方向に液体を圧送する。この場合においても、注入器と空気排出口の位置が逆であってもよい。
【0020】
第3に考えられるのは、リム60内部の液体通路5の直径等により、注入口3から圧力を加えて液体を送り入れることが困難な場合である。この場合には、注入口3あるいは空気排出口4のどちらか一方に液体を触れさせた状態で、もう一方からスポイトあるいは注射器のような器具を用いて空洞内の空気を抜き、液体を吸い上げる。
【0021】
前述のいずれかの方法あるいは他に考えられる適切な方法によって、リム60内部の空洞である液体通路5に保湿のための液体を十分に行き渡らせ、リム60の下部1の内側上面の蒸散穴6より水分を蒸散させる。
【0022】
以上説明したドライアイ用眼鏡10及び眼鏡フレーム20によれば、眼鏡フレーム20の内部に保湿機能が組み込まれているため、眼鏡10のデザイン性をできるだけ損なうことなく、ドライアイの乾燥感を軽減することができる。また、水分は下から上へ蒸発することから、テンプル部50に保湿具を備える形態のものよりも、効果的に眼周辺部を保湿することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 リムの下部
2 リムの上面
3 注入口
4 空気排出口
5 液体通路
6 蒸散穴
10 ドライアイ用眼鏡
20 眼鏡フレーム
30 レンズ
40 フロント部
50 テンプル部
60 リム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともリムの下部の内部が空洞で、そのリムの下部の上面に複数の蒸散穴が開いており、リムの側部にある注入口から保湿用の液体を前記空洞に注入し、その液体の水分を前記蒸散穴から蒸散させることによって眼の周囲を加湿することを特徴とする、ドライアイ用眼鏡フレーム。
【請求項2】
請求項1に記載のドライアイ用眼鏡フレームを備えたドライアイ用眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−73615(P2012−73615A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2011−221415(P2011−221415)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(711010518)
【Fターム(参考)】