説明

ドライヤーアタッチメント及びドライヤー

【課題】毛髪にハンドドライヤーの温風を当て、ヘアブラシに絡ませる毛髪がヘアブラシから外れることなく、施術で求めるヘアスタイル形成を可能にすることを提供する。
【解決手段】ハンドドライヤーの温風によりヘアスタイルを形成しようとする毛髪を、ヘアブラシに絡ませ保持し、ハンドドライヤーの先端に植毛を施したブラシで、ヘアブラシに絡ませ保持した毛髪を押さえつけ、毛髪がヘアブラシから外れないように出来る。その結果、確実に毛髪の毛流形状を所望の形状にくせ付けする施術をすることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪の毛流形状を形成するためのドライヤーアタッチメント及びドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、理美容院においては、毛髪に温風を当て、乾かす施術が行われる。そして、その毛髪を乾かす施術時に、毛髪の毛流形状をまっすぐにしたり、カールまたはウェーブにしたりするくせ付けを施す。一般的な施術では、片手にハンドドライヤーを持ち、ハンドドライヤーを持った手の反対の手でヘアブラシを持つ。そして、ヘアブラシで毛髪を絡ませ保持し、毛髪にハンドドライヤーの温風を当てながら、毛髪の毛流形状をまっすぐにしたり、カールまたはウェーブに形成したりする。
【0003】
しかしながら、前述の施術時に、ヘアブラシに絡ませ保持した毛髪が、ヘアブラシから外れ、希望の毛流形状通り施術ができないことがある。特に、毛髪の毛先部分の施術の場合、ハンドドライヤーの風の影響と、ヘアブラシと毛髪の絡み抵抗が少ないことにより、ヘアブラシに絡ませた毛髪がヘアブラシから外れてしまい易く、非常に難しい施術といえる。
【0004】
これらの問題を解決するために、毛髪を複数の櫛で挟み込みドライヤーの温風を当てる装置が提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、この装置では構成が複雑になりやすく、また、毛髪をカールまたはウェーブに形成するのには不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009-537182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、簡単な構成でありながら、毛髪の毛流形状を整える施術を容易に行えるドライヤーアタッチメント及びドライヤーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、ドライヤーの吐出口に着脱自在に取り付けるアタッチメントにおいて、矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状のアタッチメント吐出口と、前記アタッチメント吐出口の長手側に設けられた植毛または櫛と、を有することを特徴とするドライヤーアタッチメントに係る。
【0008】
請求項2の発明は請求項1に記載の発明において、前記アタッチメント吐出口の短手側の少なくとも一の側に前記アタッチメント吐出口より突出した覆いを設けたドライヤーアタッチメントに係る。
【0009】
請求項3の発明は請求項1または2に記載の発明において、前記植毛の材質が猪毛であるドライヤーアタッチメントに係る。
【0010】
請求項4の発明は、矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状のドライヤー吐出口と、前記ドライヤー吐出口の長手側に設けられた植毛または櫛と、を有することを特徴とするドライヤーに係る。
【0011】
請求項5の発明は請求項4に記載の発明において、前記ドライヤー吐出口の短手側の少なくとも一の側に前記ドライヤー吐出口より突出した覆いを設けたドライヤーに係る。
【0012】
請求項6の発明は請求項4または5に記載の発明において、前記植毛の材質が猪毛であるドライヤーに係る。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明は、ドライヤーの吐出口に着脱自在に取り付けるアタッチメントにおいて、矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状のアタッチメント吐出口と、前記アタッチメント吐出口の長手側に設けられた植毛または櫛と、を有するため、また、請求項4の発明は、矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状のドライヤー吐出口と、前記ドライヤー吐出口の長手側に設けられた植毛または櫛と、を有するため、簡単な構成でありながら、毛髪の毛流形状を整える施術を容易に行えるドライヤーアタッチメント及びドライヤーを提供できる。また、毛髪にハンドドライヤーの温風を当てる際、ヘアブラシに絡ませる毛髪がヘアブラシから外れることなく、施術で求めるヘアスタイル形成が可能である。
【0014】
請求項2の発明は請求項1に記載の発明において、前記アタッチメント吐出口の短手側の少なくとも一の側に前記アタッチメント吐出口より突出した覆いを設けているドライヤーアタッチメントのため、また、請求項5の発明は請求項4に記載の発明において、前記ドライヤー吐出口の短手側の少なくとも一の側に前記ドライヤー吐出口より突出した覆いを設けているドライヤーのため、毛髪の毛流形状を形成するための施術時において、ドライヤーの温風が植毛または櫛を設けていない短手側から吹き出し、施術者の手が熱くなるのを防止することができる。
【0015】
請求項3の発明は請求項1または2に記載の発明において、前記植毛の材質が猪毛であるドライヤーアタッチメントのため、また、請求項6の発明は請求項4または5に記載の発明において、前記植毛の材質が猪毛であるドライヤーのため、毛髪に優しい施術ができる。また、耐久性に優れた植毛を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ドライヤーを表す図
【図2】ドライヤーアタッチメントを表す図
【図3】ドライヤーアタッチメント(植毛)の斜視図
【図4】ドライヤーアタッチメントの(植毛)平面図
【図5】ドライヤーアタッチメント及び温風の流れを表す図
【図6】本発明の使用形態の例を表す図
【図7】ドライヤーアタッチメント(櫛)の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[構成]
先ず、ドライヤーアタッチメントの構成を以下に説明する。図2〜4,7に示すようにドライヤーアタッチメント10は、アタッチメント吐出口11と覆い12と、植毛13または櫛15、さらにドライヤーとの接続口18を有する。ドライヤーアタッチメント10は接続口18によりドライヤーの吐出口に着脱自在かつ回動可能に取り付けられる。
【0018】
アタッチメント吐出口11は、矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状をなしている。アタッチメント吐出口11の縦横比は特に限定されないが、図6に示すような毛髪の毛流形状を形成するための施術をする際に、ヘアブラシ31とドライヤーアタッチメント10に毛髪32を挟み込む観点から、図3,7に示すような細長い形状が好ましい。実施例では長穴のアタッチメント吐出口11を採用している。ここで長穴とは一般的に2本の同じ長さの直線を平行に揃え、それぞれの相対する直線の端を直線がない方向に膨らむ円弧で接続した形状をいう。しかし、本発明の長穴状とは前述の長穴にとどまらず、例えば前述の円弧が三角形の二つの辺のみを切り出した形状、あるいは前述の円弧が正六角形の隣り合う3辺のみを切り出した形状、または樽型を細長くした形状等の近似する形状も含む。つまり、本発明の長穴状とは長穴に類似した形状全てを含むものとする。
【0019】
ドライヤーアタッチメント10の材質は特に制限されず、鉄、真鍮、ステンレス、アルミニウム等の金属、合成樹脂、木材等が使用できる。実施例では製作のし易さから合成樹脂を使用している。
【0020】
図3,4,7に示すように、アタッチメント吐出口11の長手側には植毛13または櫛15が設けられている。
【0021】
植毛13は植毛台座14によってアタッチメント吐出口11の長手側の近傍に、アタッチメント吐出口11から吹き出される風の向きに略沿った方向に設けられる。植毛13を設ける場所はアタッチメント吐出口11の近傍であれば特に制限はされない。また、植毛13の長さもアタッチメント吐出口より風の吹き出し方向に突出すれば特に制限はされない。実施例では植毛台座14をアタッチメント吐出口の長手側の外側に設け、植毛13の長さをアタッチメント吐出口11から2mm〜25mm突出させている。
【0022】
植毛台座14の固定方法はボルトとナット、リベット、接着等で固定する、または、植毛台座14とドライヤーアタッチメント10とを嵌め合わせる等の手段を使用できる。実施例ではボルトとナットを用いて固定している。なお、植毛13を直にドライヤーアタッチメント10に設けてもよい。植毛13の材質には猪毛、豚毛、合成樹脂等が用いられる。実施例では、猪毛を使用している。
【0023】
櫛15は歯16と櫛基部17を有し、アタッチメント吐出口11の長手側の近傍に、アタッチメント吐出口11から吹き出される風の向きに略沿った方向に設けられる。櫛15を設ける場所はアタッチメント吐出口11の近傍であれば特に制限はされない。また、歯16の長さもアタッチメント吐出口より風の吹き出し方向に突出すれば特に制限はされない。実施例では櫛15をアタッチメント吐出口の長手側の外側に設け、歯16の長さをアタッチメント吐出口11から2mm〜25mm突出させている。
【0024】
櫛15の固定方法は、櫛基部17とドライヤーアタッチメント10とをボルトとナット、リベット、接着等で固定する、または、櫛基部17とドライヤーアタッチメント10とを嵌め合わせる等の手段を使用できる。実施例ではボルトとナットを用いて固定している。なお、櫛15とドライヤーアタッチメント10を一体に成形してもよい。櫛15の材質には、木材、竹材、金属、合成樹脂等が使用できる。実施例では、合成樹脂を使用している。
【0025】
覆い12は、アタッチメント吐出口11の短手側の少なくとも一の側に前記アタッチメント吐出口11より突出して設けられている。覆い12は、アタッチメント吐出口11の短手側を風の吐出方向に延長するような形状をしている。延長する長さは特に制限されないが、施術のし易さとドライヤーの風の制御の観点から、覆い12のアタッチメント吐出口11から最も離れた先端部分が、植毛13の毛先または歯16の先端と略揃う長さが好ましい。また、前記延長する長さはアタッチメント吐出口11の長手方向の端に該当する部分が最も長く、長手方向の中央部に向かって行くに従いなだらかな曲線をもって次第に短くなり、植毛13または歯16が設けられている部分においては覆い12はアタッチメント吐出口11の縁より突出しなくなる態様が好ましい。
【0026】
覆い12は植毛台座14、櫛15と同様に公知の方法でドライヤーアタッチメント10に取り付けても良いし、ドライヤーアタッチメント10と一体に成形しても良い。覆い12の材質には、木材、竹材、金属、合成樹脂等が使用できる。実施例では、合成樹脂を使用している。
【0027】
次にドライヤーの構成を説明する。図1に示すように、ドライヤー20は、本体部21と吐出部22を有する。
【0028】
吐出部22はドライヤー吐出口23と覆い12と、植毛13または櫛15、さらに図示しない円筒状の接続部を有する。本体部21と吐出部22は前記接続部によって接続される。また本体部21と吐出部22は互いに前記接続部の円周方向に人手により自在に回動することができる。
【0029】
吐出部22の各部の構成は上記ドライヤーアタッチメント10と略同等であり、吐出部22をドライヤーアタッチメント10と、アタッチメント吐出口11をドライヤー吐出口23と読み替えることにより説明できるため記載を省略する。
【0030】
[使用方法]
次に、ドライヤーアタッチメント10、ドライヤー20の使用方法を以下に説明する。片手にドライヤーアタッチメント10を接続したドライヤー、またはドライヤー20(以下、使用方法の説明においては「ハンドドライヤー30」と称す。)を持つ。図6に示すように、ハンドドライヤー30の温風を出しながら毛髪32を植毛13、櫛15に絡ませる。そして、もう片方の手に市販のヘアブラシ31を持ち、ハンドドライヤー30とヘアブラシ31に毛髪32を挟み込む。
【0031】
毛髪を挟み込んだ状態で、ハンドドライヤー30及びヘアブラシ31を毛髪32の先端に向かって移動させる。または、必要に応じてヘアブラシを回転させる。このような施術によって、毛髪の毛流形状をまっすぐにする、カールまたはウェーブにする等が簡単に行える。
【0032】
上記施術の際、ハンドドライヤーから吹き出される温風は、毛髪32に遮られてアタッチメント吐出口11またはドライヤー吐出口23の、主に植毛13または櫛15を設けていない短手側に抜ける。そのままでは施術者の手等が熱くなるため、覆い12を設けることにより図5に示すように温風の流れを制御することができる。覆い12はアタッチメント吐出口11またはドライヤー吐出口23の短手側の少なくとも一の側に設けられれば所望の機能を果たすが、施術の態様によって、例えば毛髪32を高温に保つ必要がある場合等には双方の短手側に設けることもできる。
【0033】
さらに、施術の態様によっては薬液等を毛髪に塗布し、毛髪を濡らした状態で行う場合もある。そのような場合、櫛15を備えたハンドドライヤーを使用することで使用後の器具の洗浄が容易に行えるという利点もある。
【0034】
[その他の実施形態]
本考案は、上述した各実施例に限定されるものではなく、考案の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、ドライヤーアタッチメント10の接続口にホース等を接続し、ドライヤー本体を持たずに作業すること等が可能である。また、植毛13の密度、歯16の粗さ、両者の長さ等を適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 ドライヤーアタッチメント
11 アタッチメント吐出口
12 覆い
13 植毛
14 植毛台座
15 櫛
16 歯
17 櫛基部
18 接続口
20 ドライヤー
21 本体部
22 吐出部
23 ドライヤー吐出口
30 ハンドドライヤー
31 ヘアブラシ
32 毛髪
33 温風の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライヤーの吐出口に着脱自在に取り付けるアタッチメントにおいて、
矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状のアタッチメント吐出口と、
前記アタッチメント吐出口の長手側に設けられた植毛または櫛と、
を有することを特徴とするドライヤーアタッチメント。
【請求項2】
前記アタッチメント吐出口の短手側の少なくとも一の側に前記アタッチメント吐出口より突出した覆いを設けた請求項1に記載のドライヤーアタッチメント。
【請求項3】
前記植毛の材質が猪毛である請求項1または2に記載のドライヤーアタッチメント。
【請求項4】
矩形、楕円形若しくは長穴状のいずれかの形状、またはそれらを組合せた形状のドライヤー吐出口と、
前記ドライヤー吐出口の長手側に設けられた植毛または櫛と、
を有することを特徴とするドライヤー。
【請求項5】
前記ドライヤー吐出口の短手側の少なくとも一の側に前記ドライヤー吐出口より突出した覆いを設けた請求項4に記載のドライヤー。
【請求項6】
前記植毛の材質が猪毛である請求項4または5に記載のドライヤー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−179215(P2012−179215A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43733(P2011−43733)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000144326)株式会社三光電機製作所 (5)
【Fターム(参考)】