説明

ドラム調整装置

ドラム調整装置(10)は、ドラム皮の張力制御装置の頭部をはめ込むのに適合した駆動頭部(14)、当該駆動頭部を回転させるための原動機(24、図6を参照)、および当該駆動頭部の回転を制御するための制御手段を含む。当該制御手段は3つの押しボタン(16、18、20)を含み、様々な前選択可能な回転角までの駆動頭部(14)の回転をそれぞれ制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドラムは一般的に、円柱形のドラム本体、ドラムヘッドとしても知られる2つのドラム表皮を含み、それぞれのドラムヘッドは、当該本体上にあるそれぞれのドラム皮を保持するために、当該ドラム本体の末端および2つの環状ドラムフープを覆う。各ドラム皮における張力は、その調整を決定する。一組の力学的張力制御装置は、各ドラムフープの表面の周りに間隔をあけられ、当該ドラム本体上のドラムフープを保持する。当該張力制御装置は、それぞれのドラムフープによって保持される皮の張力を増加または減少させるために、緊張または弛緩させることができる。
【0003】
各張力制御装置は、通常は締め釘である雄ネジ部、および対応する雌ネジ部を含む。当該雌ネジ部は、当該ドラム本体に固定され、当該締め釘は、当該ドラムフープ内の孔を貫通し、当該雌ネジ部内にはめ込まれている。調整のために、当該雌ネジ部へ当該締め釘を締めることで、当該ドラムの中心に向かって当該ドラムフープを引張し、当該ドラム皮を緊張させる。逆に、当該締め釘を緩めることで、当該ドラム皮を弛緩させる。理想的には、特定のドラムフープを保持する一組の締め釘は、当該それぞれのドラム皮全体にわたって一定の張力および調整を提供するために同じ張力になるまで締められる。当該締め釘は通常、手持ち鍵を用いて回転される。
【0004】
典型的な鍵は、各締め釘頭部および全体に固定された翼状部をはめ込み、手動での当該鍵の回転を可能にするための受口部を有する。別の典型的な鍵は、横棒部および柄部に接続された受口部を含む。このことは、締めることに関して力学的利点を与えるが、使用するにはより不便となり得る。その他の鍵は、1つの方向における歯止めの滑りを可能にする歯止め装置を含むが、歯止め装置を含む鍵を用いて各締め釘に加えられる回転の量を測定するのは困難である。このことは、ドラム皮全体にわたって調整することさえ実現することをより困難にする。
【0005】
通常、各ドラムフープの周囲には、少なくとも6つの締め釘が提供されるが、当該ドラムが大きい場合、より多くの締め釘があり得る。このような事情なので、各ドラム上には少なくとも12本の締め釘、および標準的な5点のドラムキット中には60本の締め釘がある。それ故、当該調整方法は時間がかかり得る。
【0006】
ドラム皮が摩耗または破損した場合、その後それは取り替える必要があり得る。このことは、当該ドラムフープを当該ドラム本体に保持し、当該ドラム皮の除去を可能にする全ての当該締め釘の除去による、当該それぞれのドラムフープの除去を要求する。当該ドラム皮を取り替える場合、当該締め釘を再挿入し、所望の調整張力になるまで締める必要がある。重ねて、これは時間のかかる作業である。
【0007】
調整している間、最小張力が通常各締め釘に加えられ、その後当該締め釘は、同一の所定の回転角を経てそれぞれ回転される。このことは、当該皮が当該所望の張力になるまで均一に引張されることを保証する。しかしながら、これは目測する必要があるため、同一の角度を経て当該締め釘を回転することは容易ではない。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、ドラム皮張力制御装置の頭部をはめ込むのに適合した駆動頭部、当該駆動頭部を回転させるための原動機、および当該駆動頭部の回転を制御するための制御手段、特定の前設定可能な所定の角度に当該駆動頭部の回転を制御する制御手段を含むドラム調整装置が提供される。
【0009】
所定の角度を経て当該ドラムフープを保持する締め釘の回転によって、最小張力から均一にドラム皮を引張することができるということは、本発明の利点である。このことは、人為的過誤を回避し、正確な調整およびより速い調整を可能にし、先述のように手動鍵を用いて今まで調整を行ってきただろう調整者の手首および指にかかる圧力を軽減する。
【0010】
好ましくは、当該制御手段は、前記所定の角度まで駆動頭部の回転を作動させるための切換手段を含む。
【0011】
さらに、当該制御手段は、好ましくは複数の切換手段を含み、各手段は、様々な特定の前設定可能な所定の角度まで駆動頭部の回転を作動させるためのものである。
【0012】
当該制御手段は、90°、180°、および360°のそれぞれの角度まで駆動頭部の回転を作動させるための3つの切換手段もまた含み得る。
【0013】
各切換手段は、押しボタンまたはその他適切な切換装置であり得る。
【0014】
好ましくは、当該切換手段は、当該引金部が押下される場合に駆動頭部の回転を作動させるための引金部を含む。
【0015】
好ましくは、当該駆動頭部は、両方向に駆動することができる。
【0016】
好ましくは、当該原動機はステッピングモーターである。
【0017】
好ましくは、当該原動機は歯車箱を通じて駆動する。
【0018】
好ましくは、当該原動機は、所定のトルク設定を超えた駆動頭部の駆動を防止するトルククラッチを通じて駆動する。
【0019】
好ましくは、調節手段は、当該トルククラッチのトルク設定を調節するために提供される。
【0020】
好ましくは、当該装置は電池式である。
【0021】
好ましくは、当該装置は充電式電池で作動する。
【0022】
本発明のさらなる理解のため、およびそれを実施し得る方法をより明確に示すために、例として、添付図面に対する参照をここで行う。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のドラム調整装置の一方からの概略斜視図を示す。
【図2】他方からの図1のドラム調整装置の概略斜視図を示す。
【図3】図1のドラム調整装置の概略側面図を示す。
【図4】図1のドラム調整装置の上方からの概略平面図を示す。
【図5】図1のドラム調整装置の部分端面図を示す。
【図6】一方からの図1のドラム調整装置の分解部切取図を示す。
【図7】一方からの図1のドラム調整装置の一部切取図を示す。
【図8】使用時における図1のドラム調整装置を示す。
【図9】主電力供給装置から充電されている図1のドラム調整装置を示す。
【実施例】
【0024】
まず図1から図4を参照すると、ドラム調整装置は概して10と示している。装置10は、プラスチックから鋳造された外枠部12および駆動頭部14を含む。当該駆動頭部の回転を制御するための制御手段は、複数の押しボタン16、18、20を含み、各押しボタンは、それぞれ特定の所定の回転角に当該駆動頭部の回転を制御するためのものであり、引金部22は、駆動頭部14の連続回転のためのものである。図5におけるボタン上の陰影記号によって示すように、押しボタン16は、当該駆動頭部の90°の角度までの作動を制御し、押しボタン18は、当該駆動頭部の180°の角度までの作動を制御し、押しボタン20は、当該駆動頭部の360°の角度までの作動を制御する。
【0025】
図6および図7も参照すると、当該枠部の内側に、ステッピングモーター24、歯車箱26、およびトルククラッチ28が搭載され、これらは駆動頭部14を駆動させる。ステッピングモーター24は歯車箱26に推進力を伝え、歯車箱26はトルククラッチ28に推進力を伝え、当該トルククラッチは駆動頭部14に推進力を伝える。枠部12の末端にあるトルククラッチの周りにアニュラリングまたは斜面溝30を搭載し、当該トルククラッチが滑るトルクを設定するのに用いることができる。図5に示すように、装置10の枠部12上に度目盛32を与え、アニュラリング30上の指示矢印34を、当該リングを当該枠部に対して回転させるような所望のトルク設定と合わせることができる。
【0026】
押しボタン16、18、20、およびその他電子制御の回路構成要素を、マイクロプロセッサを含め、印刷回路板(PCB)36上に与え、また枠部12内に配置する。当該装置を作動させる充電式電池38を、枠部12の後部内に、ステッピングモーター24の後ろに配置する。充電式電池38を充電するための充電プラグを受け入れるための受口部38を、当該枠部の後部内に配置する。充電中の当該充電式電池装置を図9に示し、変換機40を通じて主電力供給受口部に接続する。随意に当該充電式電池を移動または置換することができ、別の随意の配列では、当該装置を置換可能な非充電式電池によって、例えば、いくつかのAA電池によって作動させることができる。
【0027】
駆動頭部14は四角孔の駆動凹部を備え、これは典型的なドラム皮の張力制御手段の締め釘を駆動させるのに適切である。しかしながら、ドラム皮を緊張または弛緩するのに適切なその他の駆動手段のために、これを変化することができる。
【0028】
図8を参照して、装置10の操作をここで記載する。ドラムの多数の締め釘42のうち1つではめ込んだ駆動頭部14とともに、装置10を示す。装置10は手持ち式であり、各締め釘42を最小張力になるまで回転するのに引金部22を用いる。ドラム皮を緊張させる前に、アニュラリング30および度目盛32を用いて当該トルクを設定することができる。その後、当該トルクを最大値に設定し、調整に必要な回転を選択することができる。例えば、各締め釘42をちょうど180°にて回転させることは望ましい可能性があり、この場合、交互に各締め釘42で装置10をはめ込み、押しボタン18を用いて当該装置を作動させる。
【0029】
締め釘42のちょうど90°の回転を必要とする場合、押しボタン16を選択し、当該駆動頭部がその開始地点からちょうど90°への緊張方向に移動するように、当該制御手段は駆動頭部14の角度変位を制御する。
【0030】
同様に、締め釘42のちょうど360°の回転を必要とする場合、押しボタン20を選択し、当該駆動頭部がその開始地点からちょうど360°への緊張方向に移動するように、当該制御手段は駆動頭部14の角度変位を制御する。
【0031】
結果として、その開始地点から特定かつ正確な角度までの当該駆動頭部の角度移動を、各締め釘の正確な緊張を可能にする装置によって制御する。
【0032】
装置10の駆動方向を変化させるための手段(図示せず)を与え、使用後に当該ドラムの締め釘を弛緩させるためにもこれを用いることができる。この手段を制御することはできず、それによって乱雑かつ無秩序な弛緩を可能にし、かつ/または90°、180°、および360°等の正確な角度量にて当該締め釘を弛緩させる選択手段を含み得る。
【0033】
特定の回転角度量間で切り換えを行うための、複数の押しボタンを含むと当該制御手段を提案したが、当該駆動頭部を駆動することができる様々な正確な回転角の選択を、スクロールして可能にするダイヤルまたはレバー等のその他選択手段を利用することができる。
【0034】
当該装置は、一様な張力を有するドラム皮を調整する効果的な方法を提供する。当該調整方法は、手で行うよりも容易であり、手の器用さをそれ程必要とせず、手動鍵を用いるよりも遥かに迅速である。
【0035】
当該制御手段は、複数の前設定可能な角度または正確な角度のうち1つまで回転するように当該駆動頭部を制御するが、当該制御手段は、当該駆動頭部を回転させることができる、ただ1つの前設定された角度または特定の角度を有し得、例えば、この角度は90°である。この場合、連続的な特定の角度まで当該駆動頭部を回転させるように、全く連続的に当該装置を操作する。例えば、180°を必要とする場合、その開始地点から最初に90°まで当該駆動頭部を移動させるように当該装置を2回操作し、その後、さらに90°にて再び当該駆動頭部を移動させるように再び同じ操作を行う。
【0036】
上記の実施形態は、ほんの一例として与えられるものであり、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々なその他の修正が当業者にとって明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム皮張力制御装置の頭部をはめ込むのに適合した駆動頭部(14)と、前記駆動頭部(14)を回転させるための原動機(24)と、前記駆動頭部(14)の回転を制御するための制御手段(16、18、20、36)と、特定の前設定可能な所定の角度までの前記駆動頭部(14)の回転を制御する制御手段(16、18、20、36)とを含むドラム調整装置(10)。
【請求項2】
前記制御手段(16、18、20、36)は、前記所定の角度までの前記駆動頭部(14)の回転を作動させるための切換手段(16、18、20)を含む、請求項1に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項3】
前記制御手段(16、18、20、36)は、複数の切換手段(16、18、20)を含み、各切換手段は、様々な特定の前設定可能な所定の角度までの前記駆動頭部(14)の回転を作動させるためのものである、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項4】
前記制御手段(16、18、20、36)は、90°、180°、および360°のそれぞれの角度までの前記駆動頭部(14)の回転を作動させるための3つの切換手段(16、18、20)を含む、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項5】
前記制御手段(16、18、20、36)は、引金部(22)が押下される場合に、前記駆動頭部(14)の回転を作動させるための前記引金部(22)を含む、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項6】
前記駆動頭部(14)をどちらの方向にも駆動させることができる、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項7】
前記原動機(24)はステッピングモーター(24)である、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項8】
前記原動機(24)は歯車箱(26)を通じて駆動する、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項9】
前記原動機(24)は、所定のトルク設定を超えた前記駆動頭部(14)の駆動を防止するトルククラッチ(28)を通じて駆動する、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項10】
調節手段(30)は、前記トルククラッチ(28)のトルク設定を調節するために提供される、請求項9に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項11】
前記装置(10)は電池式である、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項12】
前記装置(10)は充電式電池を動力源とする、先行請求項の何れか1項に記載のドラム調整装置(10)。
【請求項13】
添付図面の図1から図9を参照し、これらの図にて説明されるように、十分に本明細書にて記載されているようなドラム調整装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−535349(P2010−535349A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518732(P2010−518732)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002590
【国際公開番号】WO2009/016365
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(510019233)