説明

ドリル

【課題】樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルを提供する。
【解決手段】先端側に刃部12dを備え後端側にシャンク部30dを備えるドリル10dには、ねじれ半月状の一条の切屑排出溝16dが形成されている。刃部12dの外周面は全体がマージン14dとされており、マージン14dにはドリル10dの回転軸回りを周回するように切屑排出溝16dとは逆向きにねじれて刃部12dにクーラントを供給する副溝20dが形成されており、副溝20dが切屑排出溝16dにより分割されて切屑排出溝16dに開口している。そして、シャンク部30dには副溝20dと同じ向きにねじれるクーラント誘導溝36dが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は樹脂材への穴明け加工に用いられるドリルに関する。さらに詳しくは、クーラントを刃部に供給する機能を備え、樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高精度の深穴加工に対するニーズが、樹脂材への穴明け加工の分野で高まってきている。例えば、医療やバイオの分野では、医療機器や培養装置について、耐腐食性、軽量化等の観点から薬液等の流路を有する部品における樹脂材の使用が増大している。ここで、薬液等の流路となる穴内壁に微細な凹凸があると、雑菌の増殖や薬液の残留の原因となり、薬液等の流れのばらつきの原因ともなる。そこで、雑菌の増殖を防ぎ、薬液の残留を防止し、薬液等の流れを一定に保つことができるようにするため、医療機器や培養装置に使用される樹脂部品に対して、穴内壁の面粗度が良い穴明け加工が要求されている。
また、自動車の塗装ラインでは、塗料の流路を備えた樹脂部品が使用されており、塗装ラインに流れてくる車に指定されている色に自動で色替えをして塗装を行っている。ここで、塗料の流路となる穴内壁の面粗度が悪いと、色替えのための流路の洗浄に手間がかかり、洗浄用の溶剤の使用量も多くなる。そのため、塗装ラインで使用される樹脂部品に対して、穴内壁の面粗度が良い穴明け加工が要求されている。
このように、樹脂材に対する高精度の深穴加工についてのニーズは高まってきているが、市場規模が小さいため、市販品には樹脂用のドリルは見あたらない。そこで、ガンドリルやツイストドリル等の金属用のドリルの転用により、樹脂材への深穴加工がなされてきた。
【0003】
ガンドリルによる深穴加工では、ポンプで高圧のクーラントを供給しながらドリルを回転させ、クーラントをドリル内部に形成された穴を通して刃先から噴出させて切削を行う。そして、クーラントの流れに切屑をのせて、回転するシャンクの外側に形成されたV字状の溝を通して切屑を外部に送り出す。
ガンドリルは樹脂材に対する高精度の深穴加工に転用することができるが、ガンドリルを用いた深穴加工では、クーラントを供給するための高圧ポンプを必要とする。そのため、高圧ポンプを備えていない一般の工作機械では、ガンドリルを用いた深穴加工を実施することはできず、ガンドリルを用いた深穴加工は汎用性に欠ける。また、ガンドリルによる深穴加工では、切削速度が遅いという問題がある。
【0004】
一方、ツイストドリルでは、ねじれて形成された切屑排出溝により切屑が送り出されるので切屑の排出に高圧ポンプは不要である。そしてクーラントは刃部内部にねじれて形成され刃部の先端面に開口する油穴により刃先に供給される。しかし、ツイストドリルを樹脂材に対する深穴加工に転用した場合は、被削材である金属と樹脂の性質の違いにより、形成される穴の精度に種々の問題が生ずる。
ツイストドリルでは、ドリルの外周面が被削材に接触するマージンの幅を狭くして、ドリルと被削材の接触抵抗を減らしている。ツイストドリルのマージンの幅は外周面の10%前後である。金属材の場合は剛性が高いので、マージンが穴の内壁面に接触する幅が狭くても、形成される穴の直進性に問題が生じることは少ない。しかし、被削材が樹脂の場合、樹脂材は金属材に比べて柔らかいため、マージンの幅が狭いとドリルの外周面が穴の内壁面に接触する幅が狭くなり、ビビリやむしれが発生して切削面に荒れが生じ、形成される穴の直進性や穴の内壁面の面粗度に問題が生じる。
また、金属材では切屑が剪断されるため、切屑の穴からの排出が比較的容易であるが、樹脂は金属に比べて粘りが強いため、樹脂材では切屑が柔らかくて粘りがあり剪断されずに帯状となるので、切屑の穴からの排出性が悪い。
そして、樹脂は金属に比べてより低温で柔らかくなるので、穴明け加工時には加工熱によって樹脂材が柔らかくなり、穴の内壁面が傷つきやすい。金属材の場合には400°C位までは許容できるが、樹脂の場合は130°C位で傷つきやすくなるため、仕上げ面が金属と比較すると悪くなりやすい。そして、樹脂材では切屑の熱硬化が大きく、切屑により加工熱により柔らかくなった穴の内壁面を傷つけやすい。また、樹脂材の加工では、ドライ切削を行うと静電気の発生により面粗度の低下、刃部の劣化が生じるので、刃部へのクーラントの供給は必須であると考えられる。
【0005】
ここで、特開2002−205212号公報(特許文献1)には、ドリルの刃部の切屑排出溝を除く外周面をすべてマージンとしたドリルが開示されている。特許文献1に記載のドリルは、マージンを広く取って穴の直進性の向上を図ろうとするものである。
また、特開2002−205214号公報(特許文献2)には、ドリルの刃部の切屑排出溝を除く外周面をすべてマージンとし、切刃と逆向きにねじれる仕上げ刃付きの逆ねじれ溝を刃部の外周面に形成したドリルが開示されている。特許文献2に記載のドリルは、マージンを広く取って穴の直進性の向上を図ると共に、仕上げ刃で穴の再切削を行うことで、穴の内壁面の面粗さの向上を図ることにより、高精度な深穴加工を実現しようとするものである。
そして、刃部へクーラントを供給する技術としては、特開平5−57517号公報(特許文献3)にドリルの先端の切刃に切削油を供給する溝が開示されている。また、実公平4−2743号公報(特許文献4)には、シャンク部から切屑排出溝にクーラントを誘導する技術として、シャンク部の外周にドリルの長手方向に沿ってシャンク部の後端から切屑排出溝まで延びる溝が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−205212号公報
【特許文献2】特開2002−205214号公報
【特許文献3】特開平5−57517号公報
【特許文献4】実公平4−2743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載のドリルによれば、マージンを広く取ることにより、樹脂材への穴明けにおいて穴の直進性の向上が図られると考えられる。しかしながら、樹脂材に対する穴空け加工では、前述の通り切屑が柔らかくて粘りがあり帯状となるので、切屑の排出性が悪い。ここで、特許文献1、2に記載のドリルでは、切屑排出溝の軸に直交する断面の底部で凹状となっているので切屑が詰まりやすいと考えられる。そして、特許文献2に記載のドリルでは、切屑が仕上げ刃に引っかかって穴の内壁面を傷つけて、かえって面粗度を低下させてしまうと考えられる。
また、樹脂材は、前述の通り穴明け加工時に発生する熱により柔らかくなって傷つきやすくなるという特徴がある。特許文献1、2に記載のドリルではマージンの幅を広く取ることにより摩擦熱が増大するので、穴の内壁面がさらに傷つきやすくなると考えられる。また、樹脂材に対する加工では、前述の通り静電気の発生による面粗度の低下、刃部の劣化を防ぐため、刃部へのクーラントの供給は必須であると考えられるが、特許文献1、2にはクーラントに関する記載はない。そして、クーラントが供給されないと樹脂材の切粉が加工熱により加熱されて硬化し、穴の内壁面を傷つけやすくなる。
よって、特許文献1、2に記載のドリルを樹脂材への高精度な深穴加工に用いることは、困難であると考えられる。
そして、特許文献3、4に記載のドリルでは、刃部および刃先にクーラントを供給することはできるが、マージンの幅が狭いために、樹脂材への穴明け加工では、穴の直進性の確保が困難となり、切屑排出溝が狭いため、切屑が詰まりやすいと考えられる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するために提案するものであり、本発明が解決しようとする課題は、樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願の発明者は、鋭意研究の結果、樹脂材への高精度の深穴加工に適したドリルを開発した。そして、本発明にかかるドリルは次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、先端側に刃部を備え後端側にシャンク部を備えるドリルであって、
前記刃部の先端から前記シャンク部側に向けてドリルの回転軸回りにねじれる一条の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝は前記シャンク部側から前記刃部の先端に向けてドリルの正回転方向にねじれており、
前記切屑排出溝のドリルの回転方向を向く側面と該刃部の外周面との交差稜線部分には切刃が形成されており、
前記刃部のドリルの回転軸に直交する断面の形状は半月状とされており、該刃部の切屑排出溝を除く外周面は全体がマージンとされ、
前記マージンには、該刃部にクーラントを供給する副溝が、前記シャンク部側から前記刃部の先端側に向けてドリルの回転軸回りに前記切屑排出溝とは逆向きにねじれて形成されており、
前記副溝は軸方向の両端部のうち少なくとも一方が前記切屑排出溝に開口する構成とされており、
前記シャンク部には、ドリルの回転軸回りに前記副溝と同じ向きにねじれて該シャンク部の外周面を周回するクーラント供給溝が形成されている、樹脂材への穴明け加工に用いられるドリルである。
【0010】
この第1の発明によれば、ドリルの刃部の切屑排出溝を除く外周面は全体がマージンとされているので、マージンの幅が広いため、穴の直進性の向上が図られる。そして、刃部が一条のねじれ半月状とされているので、切屑排出溝もねじれ半月状となる。よって、切屑排出溝の割合が大きいので大量の切屑を排出することができるため切削効率を高めることができる。また、切屑排出溝に狭まった部分がないので切屑が詰まりにくい。さらに、切屑排出溝がドリルの正回転方向にねじれていることにより切屑を送り出す効果があるので、切屑を効率よく排出することができる。また、切屑排出溝の割合が大きく大量の切屑を一時的に保持できるので、ステップ加工における一度の切り込み深さを大きく取ることができる。
そして、副溝はドリルの正回転方向とは逆方向にねじれており、穴内壁に食いつきにくい構成とされているので、副溝のエッジ部によって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができる。
そして、マージンに形成された副溝は切屑排出溝と逆向きにねじれて切屑排出溝に開口している。そこで、ドリルが正回転して穴加工が進行し刃部が加工中の穴に入っていく時、外部から刃部に供給されるクーラントが副溝に入り穴の内部に供給されていく。すると副溝に入ったクーラントには遠心力が働き、クーラントは切屑排出溝の表面部を経て副溝を伝いドリルの先端部へ流れていく。よって、クーラントがドリルの刃部と穴の内壁面および穴の先端部に供給され、ドリルと穴の摩擦を低減させ、刃部と穴内壁を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。
そして、刃部の長さを超える深穴加工において、穴加工が進行して刃部の全体が加工中の穴に入った状態であっても、外部からシャンク部に供給されるクーラントを、クーラント誘導溝が受けて刃部へ誘導し副溝へ流すことにより、クーラントをドリルの刃部と穴の内壁面および穴の先端部に供給することができる。そして、クーラント誘導溝は工具軸に対して傾斜してシャンク部を周回しているので開口面積が広くクーラントを受け止めやすい。また、クーラント誘導溝は工具の回転方向と逆方向にねじれているので、穴内壁に食いつきにくく、遠心力によるポンプ作用によりクーラントを効率よくドリルの刃部側へ送り込むことができる。よって、刃部の長さを超える深穴加工において、クーラントを刃部に供給することができ、摩擦を低減させ、刃部と穴内壁および穴の先端部を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。
そして、クーラントがシャンク部および刃部と穴の内壁面の間に供給されるため、クーラントの静電気に対する除去効果により、静電気による穴内壁の面粗度の低下および刃部の劣化を防止することができる。
よって、この第1の発明により、樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルを提供することができる。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係るドリルであって、前記ドリルの溝長Lが前記刃部の外径Dの3倍以上かつ10倍以下であることを特徴とする。
ドリルの溝長Lが刃部の外径Dの3倍以上であれば、ステップ加工で確実に切屑を排出して深穴加工を行うことができる。また、ドリルの溝長Lが刃部の外径Dの10倍以下であれば、ドリルの剛性が十分に保たれる。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係るドリルであって、前記刃部の断面積dsの該刃部の外周円の面積Sに対する割合ds/Sが50%以上かつ60%以下であることを特徴とする。
刃部の断面積が外周円の面積の50%以上あれば、樹脂材への穴明加工に十分な強度を確保できる。また、刃部の断面積が外周円の面積の60%以下であれば、切屑排出溝の断面積が十分に確保されるので、切屑の効果的な排出が可能となる。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明ないし第3の発明のいずれかの発明に係るドリルであって、ドリルの回転軸に対して、前記副溝のねじれ角θが45度以上かつ80度以下であり、前記クーラント誘導溝のねじれ角θ2が45度以上かつ80度以下であることを特徴とする。
ドリルの回転軸に対する副溝のねじれ角θを45度以上とすると、副溝が穴内壁にさらに食いつきにくい構成となり、副溝のエッジ部に切屑がさらに引っかかりにくくなる。また、ねじれ角θを80度以下とすれば、遠心力によりクーラントがドリルの先端部へ流れやすくなり、穴の先端部における摩擦の低減及び冷却を効果的に行うことができる。そして、クーラント誘導溝のねじれ角θを45度以上とすると、クーラント誘導溝が穴の内壁にさらに食いつきにくくなり、クーラント誘導溝によって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができると共に、クーラントを効率よく受けることができる。また、クーラント誘導溝のねじれ角θを80度以下とすれば、遠心力によるポンプ作用によりクーラントがドリルの刃部側へ流れ易くなる。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、上記第1の発明ないし第4の発明のいずれかの発明に係るドリルであって、前記副溝の側面と前記マージンの交差部分に形成されるエッジ部には目立て処理がなされておらず、前記副溝の側面と前記マージンの交差部分に形成されるエッジ部が前記刃部に形成された切刃と交差する部位では、該エッジ部に面取り処理または丸め処理がなされていることを特徴とする。
副溝のエッジ部には目立て処理がなされていないので、切屑が副溝のエッジ部に引っかかりにくく、切屑が副溝のエッジ部に引っかかって穴の内壁面を傷つけるのを防ぐことができる。そして、刃部に形成された切刃が副溝のエッジ部と交差する部位では、エッジ部に面取り処理または丸め処理がなされているので、エッジ部と交差する部位の切刃による穴内壁への傷つけや、当該部位で切刃に切屑が引っかかることによる穴内壁のへ傷つけを抑止することができる。
【0015】
次に、本発明の第6の発明は、先端側に刃部を備え後端側にシャンク部を備えるドリルであって、前記刃部の先端から前記シャンク部側に向けてドリルの回転軸回りにねじれる一条の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝は前記シャンク部側から前記刃部の先端に向けてドリルの正回転方向にねじれており、
前記切屑排出溝のドリルの回転方向を向く側面と該刃部の外周面との交差稜線部分には切刃が形成されており、
前記刃部のドリルの回転軸に直交する断面の形状は半月状とされており、該刃部の切屑排出溝を除く外周面は全体がマージンとされ、
前記マージンには、該刃部にクーラントを供給する副溝が、前記シャンク部側から前記刃部の先端側に向けてドリルの回転軸回りに前記切屑排出溝とは逆向きにねじれて形成されており、
前記副溝は前記マージン上に点在して形成されており、該副溝の側面が該マージン上で閉じており、
前記シャンク部には、ドリルの回転軸回りに前記副溝と同じ向きにねじれて該シャンク部の外周面を周回するクーラント供給溝が形成されている、樹脂材への穴明け加工に用いられるドリルである。
【0016】
この第6の発明によれば、ドリルの刃部の切屑排出溝を除く外周面は全体がマージンとされているので、マージンの幅が広いため、穴の直進性の向上が図られる。そして、刃部が一条のねじれ半月状とされているので、切屑排出溝もねじれ半月状となる。よって、切屑排出溝の割合が大きいので大量の切屑を排出することができるため切削効率を高めることができる。また、切屑排出溝に狭まった部分がないので切屑が詰まりにくい。さらに、切屑排出溝がドリルの正回転方向にねじれていることにより切屑を送り出す効果があるので、切屑を効率よく排出することができる。また、切屑排出溝の割合が大きく大量の切屑を一時的に保持できるので、ステップ加工における一度の切り込み深さを大きく取ることができる。
そして、副溝はドリルの正回転方向とは逆方向にねじれており、穴内壁に食いつきにくい構成とされているので、副溝のエッジ部によって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができる。
そして、マージンに形成された副溝は側面がマージン上で閉じている。そこで、ドリルが正回転して穴加工が進行し刃部が加工中の穴に入っていく時、刃部は外部から供給されるクーラントをマージン上に形成された副溝に保持して穴の中に入っていく。よって、クーラントを副溝からドリルの刃部と穴の内壁面の間に供給し、摩擦を低減させ、刃部と穴内壁を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。
また、穴内壁に付着した切屑が副溝に保持されたクーラントにより洗い落とされて副溝に留まるので、穴内壁に付着した切屑により穴内壁が傷つけられるのを防ぐことができる。また、加工中にびびり等が発生した場合には、副溝に保持されたクーラントよりドリルの穴内壁面への衝突が抑制されて、穴内壁が保護される。
そして、刃部の長さを超える深穴加工において、加工が進行して刃部の全体が加工中の穴に入った状態であっても、外部からシャンク部に供給されるクーラントをクーラント誘導溝が受けて刃部へ誘導し、クーラントをドリルの刃部と穴の内壁面に供給できる。クーラント誘導溝は工具軸に対して傾斜してシャンク部を周回しているので溝の開口面積が広く、クーラントを受け止めやすい。また、工具の回転方向と逆方向にねじれているので、穴内壁に食いつきにくく、遠心力によるポンプ作用によりクーラントを効率よくドリルの刃部側へ送り込むことができる。よって、刃部の長さを超える深穴加工において、クーラントを刃部に供給することができ、摩擦を低減させ、刃部と穴内壁を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。
また、クーラントによる静電気に対する除去効果により、静電気による穴内壁の面粗度の低下および刃部の劣化を防止することができる。
よって、この第6の発明により、樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルを提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
上述の本発明の各発明によれば、次の効果が得られる。
まず、上述の第1の発明によれば、穴の直進性の向上が図ることができ、切屑が詰まりにくく、切屑の排出効率がよい。そして、ステップ加工における一度の切り込み深さを大きく取ることができる。また、副溝のエッジ部によって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができる。そして、クーラントを副溝を経由させてドリルの刃部と穴の内壁面および穴の先端部に供給して、ドリルと穴の摩擦を低減させ、刃部と穴内壁を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。そして、刃部の長さを超える深穴加工においても、クーラント誘導溝で受けたクーラントをポンプ作用により刃部へ送り込むことができる。また、クーラントの静電気に対する除去効果により、静電気による穴内壁の面粗度の低下および刃部の劣化を防止することができる。よって、樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルを提供することができる。
次に上述の第2の発明によれば、ステップ加工で確実に切屑を排出して深穴加工を行うことができる。また、ドリルの剛性を十分に保つことができる。
次に上述の第3の発明によれば、樹脂材への穴明加工に十分な強度を確保できる。また、切屑排出溝の断面積が十分に確保されるので、切屑の効果的な排出が可能となる。
次に上述の第4の発明によれば、副溝が穴内壁にさらに食いつきにくい構成となり、副溝のエッジ部に切屑がさらに引っかかりにくくなる。また、遠心力によりクーラントがドリルの先端部へ流れやすくなり、穴の先端部における摩擦の低減及び冷却を効果的に行うことができる。そして、クーラント誘導溝が穴の内壁にさらに食いつきにくくなり、クーラント誘導溝によって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができると共に、クーラントを効率よく受けることができる。また、遠心力によるポンプ作用によりクーラントがドリルの刃部側へ流れ易くなる。
次に上述の第5の発明によれば、切屑が副溝のエッジ部に引っかかりにくく、切屑が副溝のエッジ部に引っかかって穴の内壁面を傷つけるのを防ぐことができる。そして、副溝のエッジ部と交差する部位の切刃による穴内壁への傷つけや、当該部位で切刃に切屑が引っかかることによる穴内壁のへ傷つけを抑止することができる。
【0018】
また、上述の第6の発明によれば、穴の直進性の向上を図ることができ、切屑が詰まりにくく、切屑の排出効率がよい。そして、ステップ加工における一度の切り込み深さを大きく取ることができる。また、副溝のエッジ部の食いつきによって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができる。そして、副溝に保持されたクーラントをドリルの刃部と穴の内壁面に供給して、ドリルと穴の摩擦を低減させ、刃部と穴内壁を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。そして、穴内壁に付着した切屑が副溝に保持されたクーラントにより洗い落とされて副溝に留まるので、穴内壁に付着した切屑により穴内壁が傷つけられるのを防ぐことができる。また、加工中にびびり等が発生した場合には、副溝に保持されたクーラントよりドリルの穴内壁面への衝突が抑制されて、穴内壁が保護される。そして、刃部の長さを超える深穴加工においても、クーラント誘導溝で受けたクーラントをポンプ作用により刃部へ送り込むことができる。また、クーラントの静電気に対する除去効果により、静電気による穴内壁の面粗度の低下および刃部の劣化を防止することができる。よって、樹脂材への高精度の深穴加工に用いられるドリルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1におけるドリルの側面図である。
【図2】図1のA−A位置におけるドリルの断面図である。
【図3】図1のB方向からの矢視図である。
【図4】実施例2におけるドリルの側面図である。
【図5】図4のC−C位置におけるドリルの断面図である。
【図6】実施例3におけるドリルの側面図である。
【図7】実施例4におけるドリルの側面図である。
【図8】(a)は図7のドリルを刃部の先端側から見た図であり、(b)は図7のE−E位置におけるドリルの断面図であり、(c)は図7のF−F位置におけるドリルの断面図である。
【図9】図7のドリルの先端部分の図7に示した側面の裏側の側面図である。
【図10】実施例5におけるドリルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0021】
[実施例1の構成]
図1に本発明の実施例1におけるドリル10の側面図を、図2に図1のA−A位置におけるドリル10の断面図を示す。図2の下方の矢印はドリル10の正回転方向を示す。
ドリル10は先端側に刃部12を備え、後端側にシャンク部30を備えた樹脂材の深穴加工に用いるドリルである。ドリル10には、刃部12の先端からシャンク部30に向けて、ドリル10の回転軸回りにねじれる一条の切屑排出溝16が形成されている。切屑排出溝16は、シャンク部30側から刃部12の先端に向けてドリル10の正回転方向に一周以上ねじれており、ドリル10の回転軸に対するねじれ角は35度である。そして、図2に示すとおり、切屑排出溝16のドリル10の正回転方向を向く側面と刃部12の外周面との交差稜線部分には切刃18が形成されている。そして、図1に示すとおり、切屑排出溝16のシャンク部30側の端部には、シャンク部30の後方に傾斜する半月状の平面からなる切屑排出面32が形成されている。
【0022】
そして、ドリル10の溝長L(刃部12の先端から切屑排出面32のシャンク部30側の端までの長さ)は、刃部12の外径Dの約8.5倍とされている。そして、図2に示すとおり、刃部12のドリル10の回転軸に直交する断面の形状は中央部がややふくらんだ半月状とされており、切屑排出溝16の断面は中央部がややふくらんだ半月状とされている。そして、刃部12の断面積dsの刃部12の外周円の面積Sに対する割合ds/Sは、約55%とされている。なお、刃部12の先端部分では断面は中央が平坦な半月状でds/Sは約50%であり、シャンク部30側に向かって中央のふくらみが大きくなってds/Sが大きくなり、途中からds/Sが一定となる構成とされている。そして、ドリル10の回転軸に直交する断面上での切屑排出溝16の両端部は、刃部12の外径と等しい距離に保たれている。
【0023】
そして、図1、図2に示すとおり、刃部12の切屑排出溝16を除く外周面は全体がマージン14とされており、マージン14には、シャンク部30側から刃部12の先端側に向けて、ドリル10の回転軸回りに切屑排出溝16とは逆向きにねじれる副溝20が形成されている。
副溝20は、刃部12の先端の少し手前から切屑排出面32の少し後方までの範囲で、刃部12の軸方向のほぼ全長にわたって、切屑排出溝16とは逆向きにねじれて刃部12の外周面をほぼ7回周回するように形成されている。図1にθで示した副溝20のねじれ角は約60度である。そして、副溝20は切屑排出溝16により分割されて切屑排出溝16に開口している。そして、副溝20の側面とマージン14の交差部分に形成されるエッジ部22に目立て処理はされておらず、エッジ部22には切刃は形成されていない。
図3に、図1のB方向からみた、切刃18と副溝20が交差する部位の矢視図を示す。図3に示すとおり、副溝20のエッジ部22が切刃18と交差する部位においては、エッジ部22に丸め処理がなされており、切刃18が副溝20のエッジ部22と交差する部位には角ばった所がない。
【0024】
[実施例1の効果]
この実施例1のドリル10によれば、刃部12の切屑排出溝16を除く外周面は全体がマージン14とされているのでマージン14の幅が広いため深穴加工における穴の直進性の向上が図られる。そして、刃部12が一条のねじれ半月状とされており、切屑排出溝16もねじれ半月状となる。よって、切屑排出溝16の割合が大きいので大量の切屑を排出することができるため切削効率を高めることができる。また、切屑排出溝16に狭まった部分がないので切屑が詰まりにくい。さらに、切屑排出溝16がねじれていることにより、ドリル10の正回転により切屑を送り出す効果があり、切屑を効率よく排出することができる。
そして、ドリル10では、切屑排出溝16のシャンク部30側の端部に設けられた切屑排出面32は、シャンク部30の後方に傾斜する半月状の平面なので、切屑排出溝16のシャンク部30側の端部に達した切屑が、切屑排出面32で横滑りしてドリル10の径方向の外側へ飛ばされるので、切屑の排出効率がよい。
【0025】
そして、刃部12のマージン14に形成された副溝20はドリル10の正回転方向とは逆方向にねじれており、穴内壁に食いつきにくい構成とされているので、副溝20のエッジ部22が穴の内壁面を傷つけるのを防ぐことができる。さらに、副溝20のエッジ部22は目立て処理がなされておらず、エッジ部22には切刃が形成されていないため、切屑が副溝20のエッジ部22に引っかかりにくいので、切屑が副溝20のエッジ部22に引っかかって穴の内壁面を傷つけるのを防ぐことができる。
そして、図3に示したとおり、刃部12に形成された切刃18が副溝20のエッジ部22と交差する部位では、エッジ部22に丸め処理がなされているので、エッジ部22と交差する部位の切刃18による穴内壁の傷つけや、当該部位の切刃18に切屑が引っかかることによる穴内壁の傷つけを防止することができる。
【0026】
そして、ドリル10が正回転して刃部12に形成された切刃18により穴加工が進行するとき、刃部12に外部から供給されるクーラントがマージン14と穴の入り口の間で開口部する副溝20から穴の中に入る。すると、副溝20は切屑排出溝16と逆向きにねじれているので、副溝20に入ったクーラントには遠心力が働き、クーラントは切屑排出溝16の表面部を経て副溝20を伝いドリル10の先端部へ流れていく。よって、副溝20を通ってクーラントがドリル10の刃部12と穴の内壁面および穴の先端部に供給されるので、摩擦を低減させ穴内壁および穴の先端部を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。また、クーラントが刃部12と穴の内壁面および穴の先端に供給されるので、静電気に対する除去効果があり、静電気による穴の内壁面の面粗度の低下、刃部12および刃先の劣化を防止することができる。
よって、ドリル10は、樹脂材への高精度の深穴加工に用いることができる。
【0027】
そして、上述の通り、ドリル10による樹脂材への深穴加工では、市販品の金属用のツイストドリルを樹脂材の深穴加工に用いたのに比べて穴内壁の面粗度が改善されるので、リーマ仕上げが省略できる場合が多い。また、切屑の排出効率が良いので、切削速度をツイストドリルの2倍程度、ガンドリルの3倍程度とすることができる。
そして、ドリル10による樹脂材への深穴加工では、クーラントを供給する高圧ポンプを必要としないので、ドリル10により、一般の工作機械で、樹脂材への高精度の深穴加工を実施することができる。
【0028】
実施例1では、ドリル10の溝長Lは、刃部12の外径Dの約8.5倍としているが、ドリル10の溝長Lは刃部12の外径Dの3倍以上かつ10倍以下であることが好ましい。ドリル10の溝長Lが刃部12の外径Dの3倍以上であれば、ステップ加工で確実に切屑を排出して深穴加工を行うことができる。また、ドリル10の溝長Lが刃部12の外径Dの10倍以下であれば、ドリル10の剛性が十分に保たれる。
そして、実施例1では、刃部12の断面積dsの刃部12の外周円の面積Sに対する割合ds/Sは、約55%としているが、ds/Sは、50%以上かつ60%以下であることが好ましい。刃部12の断面積が外周円の面積の50%以上あれば、樹脂材への穴空け加工に十分な強度を確保できる。また、刃部12の断面積が外周円の面積の60%以下であれば、切屑排出溝16の断面積が十分に確保されるので、切屑の効果的な排出が可能となる。
また、実施例1では、ドリル10の回転軸に対する副溝20のねじれ角θは約60度としているが、θは45度以上かつ80度以下とすることが望ましい。ドリル10の回転軸に対する副溝20のねじれ角θを45度以上とすると、副溝20のエッジ部22に切屑がさらに引っかかりにくくなる。また、ねじれ角θを80度以下とすれば、遠心力によりクーラントは副溝20をドリル10の先端部へ流れ易くなる。
【実施例2】
【0029】
[実施例2の構成]
図4に本発明の実施例2におけるドリル10aの側面図を、図5に図4のC−C位置におけるドリル10aの断面図を示す。実施例2のドリル10aと、実施例1のドリル10とでは、副溝の形成される範囲が少し異なる点、及びドリル10aにはシャンク部にクーラント誘導溝36が形成されている点に違いがあるが、他の構成はドリル10と共通するので、ドリル10と共通する部分は同一符号を付して説明を省略する。
実施例2のドリル10aでは、副溝20aは切屑排出溝16とは逆向きにねじれて、刃部12のシャンク部30側の端部の切屑排出面32の後方から刃部12の先端近くまでの範囲でドリル10aの外周面を7回余り周回するように形成されている。そして、副溝20aは切屑排出溝16により分割されて切屑排出溝16に開口している。そして、副溝20aの側面と、シャンク部30の外周面及び刃部12のマージン14との交差部分に形成されるエッジ部22aには目立て処理がなされておらず、切刃は形成されていない。
そして、シャンク部30の外周面には、ドリル10aのシャンク部30側の端部から刃部12に向けてドリル10aの回転軸と平行にクーラント誘導溝36が形成されており、クーラント誘導溝36は副溝20aおよび切屑排出面32に交差して、副溝20aおよび切屑排出面32に開口している。なお、クーラント誘導溝36はシャンク部30の途中から副溝20aに達するまでの範囲で形成しても良い。また、クーラント誘導溝36は副溝20aと同じ向きにねじれた構成としても良い。
【0030】
[実施例2の効果]
この実施例2のドリル10aによれば、ドリル10aが正回転して刃部12に形成された切刃18により穴加工が進行するとき、刃部12に外部から供給されるクーラントがマージン14と穴の入り口の間で開口する副溝20から穴の中に入る。すると、副溝20aに入ったクーラントには遠心力が働き、クーラントは切屑排出溝16の表面部を経て副溝20aを伝いドリル10aの先端部へ流れていく。また、刃部12の全体が穴の中に入り、副溝20aの全体が穴の中に入った後も、シャンク部30に供給されるクーラントをシャンク部30と穴の入り口の間で開口するクーラント誘導溝36から刃部12へ誘導して副溝20aへ流すことができる。そして、クーラントをドリル10aの刃部12と穴の内壁面および穴の先端部へ供給できる。
よって、クーラントにより摩擦が低減し穴内壁および穴の先端部が冷却されるので、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。また、クーラントによる静電気に対する除去効果により、静電気による穴の内壁面の面粗度の低下、刃部12および刃先の劣化を防止することができる。そして、エッジ部22aには目立て処理がされておらず切刃は形成されていないので、エッジ部22aと交差する部位の切刃18が穴内壁を傷つけたり、切屑を引っかけたりするのを防止することができる。
そして、ドリル10と共通の構成のマージン14により穴の直進性の向上が図られ、切屑排出溝16および切屑排出面32により切屑を効率よく排出することができる。
よって、ドリル10aは、樹脂材への高精度の深穴加工に用いることができる。
【実施例3】
【0031】
[実施例3の構成]
図6に本発明の実施例3におけるドリル10bの側面図を示す。実施例3のドリル10bは、実施例1のドリル10とは、副溝の構造が異なる点に違いがあるが、他の構成はドリル10と共通するので、ドリル10と共通する部分は同一符号を付して説明を省略する。
実施例3のドリル10bでは、図6に示すとおり、副溝20bは切屑排出溝16とは逆向きにねじれて、刃部12のシャンク部30側の端部から刃部12の先端近くまでの範囲で、マージン14上で位相を変えて点在するように形成されている。そして、副溝20bは切屑排出溝16とは交差せず、副溝20bの側面はマージン14上で閉じている。そして、副溝20bの側面と刃部12のマージン14との交差部分に形成されるエッジ部22bには、目立て処理がなされていない。
【0032】
[実施例3の効果]
この実施例3のドリル10bによれば、副溝20bがマージン14上に点在して形成され、副溝20bの側面はマージン14上で閉じている。そこで、穴加工が進行してドリル10bの刃部12が穴の中に入っていくとき、刃部12は外部から供給されるクーラントを副溝20bに保持して穴の中に入っていく。そして、副溝20bからドリル10bの刃部12と穴の内壁面の間にクーラントが供給される。よって、クーラントにより摩擦が低減し穴内壁が冷却されるので、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。また、クーラントによる静電気に対する除去効果により、静電気による穴の内壁面の面粗度の低下、刃部12の劣化を防止することができる。そして、エッジ部22bには目立て処理がされていないので、エッジ部22bが穴内壁を傷つけたり、切屑を引っかけたりするのを防止することができる。
また、穴内壁に付着した微細な切屑が、副溝20b内に保持されているクーラントにより洗い落とされて副溝20b内に留まるため、穴内壁に付着した微細な切屑により穴内壁が傷つけられるのを防ぐことができる。また、加工中にびびり等が発生した場合には、副溝20b内に保持されたクーラントの圧力上昇と穴内壁面への飛散により、ドリル10bの穴内壁面への衝突が抑制されて、穴内壁面が保護される。
そして、ドリル10と共通の構成のマージン14により穴の直進性の向上が図られ、切屑排出溝16および切屑排出面32により切屑を効率よく排出することができる。
よって、ドリル10bは、樹脂材への高精度の深穴加工に用いることができる。
【実施例4】
【0033】
[実施例4の構成]
図7〜図9を用いて、実施例4のドリル10cについて説明する。ドリル10cは樹脂材への穴明け加工に用いられ、ステップ加工を用いて、ドリルの刃部の長さを超える深穴を空けることのできるドリルである。
図7にドリル10cの側面図を、図8(a)にドリル10cを刃部の先端側から見た図を、図8(b)に図7のE−E位置におけるドリル10cの断面図を、図8(c)に図7のF−F位置におけるドリル10cの断面図を示す。図8(a)、(b)、(c)の下方の矢印はドリル10cの正回転方向を示す。そして、図9にドリル10cの刃部12cの先端部分の図7に示した側面の裏側の側面図を示す。
図7に示すとおり、ドリル10cは先端側に刃部12cを備え、後端側にシャンク部30cを備えており、刃部12cの先端からシャンク部30cに向けてドリル10cの回転軸回りにねじれる一条の切屑排出溝16cが形成されている。切屑排出溝16cはシャンク部30c側から刃部12cの先端に向けてドリル10cの正回転方向に約一周ねじれており、切屑排出溝16cのドリル10cの回転軸に対するねじれ角は約20度である。そして、図7、図8(b)に示すとおり、ドリル10cの正回転方向を向く切屑排出溝16cの側面と刃部12cの外周面との交差稜線部分には切刃18cが形成されている。そして、図7に示すとおり、切屑排出溝16cのシャンク部30c側の端部には、シャンク部30cの後方に傾斜する略半月状の平面からなる切屑排出面32cが形成されている。
【0034】
ドリル10cの外径Dは刃部12cおよびシャンク部30cで一定であり、外径Dの値は3mmである。そして、ドリル10cの溝長L(刃部12cの先端から切屑排出面32cのシャンク部30c側の端までの長さ)は25mmであり、刃部12cの外径Dの約8.3倍である。そして、ドリル10cの全長は260mmであり、シャンク部30cの長さが235mmである。
そして、図7のE−E位置における刃部12cのドリル10cの回転軸に直交する断面の形状は、図8(b)に示すとおり、中央部がややふくらんだ半月状されており、切屑排出溝16cの断面は中央部がややふくらんだ半月状とされている。そして、刃部12cの断面積dsの刃部12cの外周円の面積Sに対する割合は約55%である。そして、刃部12cの先端部分ではds/Sは約50%であり、シャンク部30側に向かって中央部が徐々にふくらんでds/Sが徐々に大きくなり、途中からds/Sが一定となる。そして、ドリル10cの回転軸に直交する断面上での切屑排出溝16cの両端部は刃部12cの外径に等しい距離に保たれている。そして、刃部12cの先端には図7、図9に示すように円錐状の先端面28cが形成されており、切屑排出溝16cと先端面28cの交差稜線は図8(a)に示すようにドリル10cの中心軸上を通っており、交差稜線のドリル10cの正回転方向を向く部分には、すくい刃24cが形成されている。そしてすくい刃24cに続く切屑排出溝16cの先端部分にはすくい面26cが形成されている。
【0035】
そして、図7、図8(b)に示すとおり、先端面28cと切屑排出溝16cとを除く刃部12cの外周面は全体がマージン14cとされており、マージン14cにはシャンク部30c側から刃部12cの先端側に向けてドリル10cの回転軸回りに切屑排出溝16cとは逆向きにねじれる副溝20cが形成されている。
副溝20cは、刃部12cのマージン14c上で位相を変えてほぼ等間隔に点在するように形成されており、副溝20cと切屑排出溝16cは交差せず、副溝20cの側面はマージン14c上で閉じている。なお、副溝20cの側面とマージン14cの交差稜線部分に形成されるエッジ部22cには、目立て処理はなされておらず、エッジ部22cには刃は形成されていない。なお、ドリル10cの回転軸に対する副溝20cのねじれ角θは各副溝20cで同一であり約60度である。
そして、シャンク部30cの外周面には、シャンク部30cのほぼ中央の位置から刃部12cに向かって副溝20cと同じ向きにねじれるクーラント誘導溝36cが形成されている。クーラント誘導溝36cは、シャンク部30cの外周面を螺旋状に周回する構成とされており、溝の形成範囲の軸方向の長さは115mm、ドリルの回転軸に対するねじれ角θ2は約60度、溝の幅は1mm、溝の深さは0.2mmであって、溝の進行方向に直交する断面の形状は円弧状である。
【0036】
[実施例4の効果]
実施例4のドリル10cを用いて、ステップ加工により、穴深さ10D〜50Dの深穴について穴明け加工のテストをおこなった。そして加工した穴の面粗度を測定したところ、面粗度は2Z〜6Zであり、非常に良好な結果が得られた。この面粗度の値は、副溝等の構成はドリル10cと同じでクーラント誘導溝をドリルの軸に平行な直線状とした比較例のテスト結果に比べて、10分の1以下である。そして、穴の拡大がなく出口のバリが非常に少ないという効果を確認することができた。
比較例に比べて実施例4で穴の面粗度が大幅に改善しているのは、ドリルの回転方向と逆向きにねじれたクーラント誘導溝を設けることで、ポンプ作用によりクーラントの押し込みが格段に良くなり、刃部へのクーラントの供給が十分に行われたことによる。一方、比較例では、ドリルの回転軸に平行なクーラント誘導溝では遠心力によるポンプ作用が働かず、クーラントの押し込みが不十分となる。そのため、刃部へのクーラントの供給が不足して、実施例4と比較して穴の面粗度が一桁大きな値にとどまった。このように、ドリルの回転方向と逆向きにねじれたクーラント誘導溝を設けることで、面粗度の向上に対して顕著な効果がある。
【0037】
そして、この実施例4のドリル10cによれば、マージン14cの幅が広いため深穴加工における穴の直進性の向上が図られる。そして切屑排出溝16cの割合が大きいので大量の切屑を効率よく排出できるため切削効率を高めることができる。また、切屑排出溝16cが半月状で狭まった部分がないので切屑が詰まりにくい。さらに、切屑排出溝16cがドリル10cの正回転方向にねじれているため、ドリル10cの正回転により切屑をシャンク部30c側へ送り出す効果があり、切屑を効率よく排出することができる。また、切屑排出溝16cの割合が大きく大量の切屑を一時的に保持できるので、ステップ加工における一度の切り込み深さを大きく取ることができる。
そして、切屑排出面32cがシャンク部30cの後方に傾斜する半月状の平面とされているため、切屑排出溝16cのシャンク部30c側の端部に達した切屑が、切屑排出面32cで横滑りしながらドリル10cの径方向外方へ飛ばされるので、切屑の排出効率がよい。
【0038】
そして、副溝20cはドリル10cの正回転方向とは逆向きにねじれており、穴内壁に食いつきにくい構成とされているので、副溝20cのエッジ部22cによって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができる。そして、副溝20cのエッジ部22cは目立て処理がされておらず、切屑が副溝20cに引っかかりにくいので、切屑がエッジ部22cに引っかかって穴の内壁面を傷つけるのを防ぐことができる。
そして、穴加工が進行してドリル10cの刃部12cが穴の中に入っていく時、刃部12cは外部から供給されるクーラントを副溝20cに保持して加工中の穴に入っていくので、副溝20cからドリル10cの刃部12cと穴の内壁面の間にクーラントが供給される。よって、クーラントにより摩擦が低減され、刃部12cおよび穴内壁が冷却されるので、穴の内壁面の荒れを防ぎ、面粗度の低下を防ぐことができる。
また、穴内壁に付着した微細な切屑が、副溝20c内に保持されたクーラントにより洗い落とされて副溝20c内に留まるので、穴内壁に付着した微細な切屑により穴内壁が傷つけられるのを防ぐことができる。また、加工中にびびり等が発生した場合には、副溝20c内に保持されたクーラントの圧力上昇と穴内壁面への飛散により、ドリル10cの穴内壁面への衝突が抑制され、穴内壁面が保護される。
【0039】
そして、刃部の長さを超える深穴加工において、刃部12cの全体が加工中の穴の中に入り、副溝20cが全て穴の中に入った後も、外部からシャンク部30cに供給されるクーラントを、シャンク部30cの外周面に螺旋状に形成されたクーラント誘導溝36cが効率よく受けることができる。そして、クーラント誘導溝36cに入ったクーラントは、シャンク部30cの外周面と穴の壁面の間を潤滑しながら、クーラントに働く遠心力によるポンプ作用により刃部12cへと誘導される。そして、刃部12cに誘導され遠心力により付勢されたクーラントは、ドリル10cの芯ぶれにより生ずる刃部12cと穴内壁の微少なすき間を通って刃部12cに供給される。よって、刃部12cの長さを超える深穴加工において、クーラントを刃部12cに供給することができ、摩擦を低減させ、刃部12cと穴内壁および穴の先端部を冷却して、穴内壁の荒れを防ぎ面粗度の低下を防ぐことができる。
そして、クーラントによる静電気に対する除去効果により、静電気による穴内壁の面粗度の低下、刃部12cの劣化を防ぐことができる。
よって、ドリル10cは、樹脂材への高精度の深穴加工に用いることができる。
【0040】
実施例4ではドリル10cの回転軸に対するクーラント誘導溝36cのねじれ角θ2は約60度としているが、θ2は45度以上かつ80度以下とすることが望ましい。クーラント誘導溝36cのねじれ角θ2を45度以上とすると、クーラント誘導溝36cが穴の内壁にさらに食いつきにくくなり、クーラント誘導溝36cによって穴の内壁面が傷つけられるのを防ぐことができると共に、クーラントを効率よく受けることができる。また、クーラント誘導溝36cのねじれ角θ2を80度以下とすれば、遠心力によりクーラントがドリル10cの刃部12c側へ流れ易くなる。
【0041】
[実施例5の構成]
図10に本発明の実施例5におけるドリル10dの側面図を示す。ドリル10dと実施例4のドリル10cとでは、副溝20dの構成が副溝20cと異なるので、副溝20dについて以下に説明する。ドリル10dの他の構成についてはドリル10cと共通するので、「10c」と「10d」のように対応する符号を付して説明は省略する。
ドリル10dでは、副溝20dは切屑排出溝16dとは逆向きにねじれて、刃部12dの軸方向のほぼ全長にわたり、刃部12dの外周面を周回するように形成されている。そして、副溝20dは、切屑排出溝16dにより分割されて切屑排出溝16dに開口している。そして、副溝20dの側面とマージン14dの交差部分に形成されるエッジ部22dは目立て処理がなされておらず、エッジ部22dには切刃は形成されていない。そして、実施例1と同様に、副溝20dのエッジ部22dと切刃18dの交差する部位において、エッジ部22dに丸め処理がなされている。
そして、副溝20dのシャンク部30d側の端部は、クーラント誘導溝36dの刃部12d側の端部と接続する構成とされている。そして、副溝20dのねじれ角θとクーラント誘導溝36dのねじれ角θ2は共に60度である。この例では、クーラント誘導溝36dは、副溝20dをシャンク部30dの外周面を周回するようにシャンク部30d上に延長したものと同様の構成となっている。
【0042】
[実施例5の効果]
実施例5の副溝20dの構成は実施例1の副溝20と共通するので、実施例1で述べたのと同様に、穴内壁面の傷つけを防止する効果、クーラントをドリルの先端部へ送り込む効果、刃部や穴内壁を潤滑し冷却する効果、静電気による穴内壁の面粗度低下や刃部および刃先の劣化を防ぐ効果がある。
そして、切屑排出溝16dおよび切屑排出面32dの構成は実施例4の切屑排出溝16cおよび切屑排出面32cと共通するので、切屑を効率よく排出できる等の効果が得られる。また、マージン14dの構成は実施例4のマージン14cと共通するので、穴の直進性の向上が図られる。
そして、クーラント誘導溝36dが副溝20dに接続しており、クーラント誘導溝36dに入ったクーラントを効率よく副溝20dに供給することができるため、刃部の長さを超える深穴加工において、クーラントを効率よく刃部12dの先端に供給できる。
よって、ドリル10dによれば、樹脂材への高精度の深穴加工を行うことができる。
【0043】
実施例5では副溝20dを刃部12dの外周面を周回する線上に形成しているが、副溝20dを形成する位置は周回線上に限定されない。また、副溝20dのねじれ角θとクーラント誘導溝36dのねじれ角θ2は異なる値であっても良い。そして、クーラント誘導溝36dは刃部12d側の端部が副溝20dと交差しても良く、切屑排出溝16d又は切屑排出面32dと交差しても良い。なお、クーラント誘導溝36dのねじれ角θ2は、実施例4と同様の理由で45度以上かつ80度以下とすることが好ましい。
なお、実施例5では副溝20dは軸方向の両端が切屑排出溝16dに開口する構成としているが、副溝20dの軸方向の一端がマージン14d上で閉じる構成としても良い。ドリル10dの先端側を閉じれば、クーラントを副溝20dに保持し易くなる。また、ドリル10dのシャンク部30d側を閉じれば、切刃18dとエッジ部22dの交差がなくなるので、切屑がエッジ部22dの端に引っかかって穴の内壁面を傷つけるのを防ぐことができる。そして、いずれも場合も、クーラントは、ドリル10dの芯ぶれにより生ずる刃部12dと穴内壁の間の微少なすき間を通って刃部12dの先端側へ供給される。
【0044】
[他の実施形態]
上述の各実施例では、切屑排出溝のシャンク部側の端部にねじれ半月状の溝に続いて半月状の切屑排出面が形成される構成としているが、ねじれ半月状の溝と切屑排出面の間に、断面が半月状でねじれのないストレート溝が形成された構成としても良い。ストレート溝の部分では、溝がねじれている部分に比べて切屑の排出時の抵抗が少なくなる。また、ステップ加工時には、より多くの切屑を切屑排出溝に一時的に保持することができる。
そして、上述の各実施例では切屑排出面を傾斜が一定の平面としているが、ドリルの中心側の底辺部で傾斜が緩く、ドリルの外周側の上端部で傾斜が急となる曲面としても良い。また、切屑排出面は必須ではなく、切屑排出溝のシャンク部側の端部がねじれたまま溝の深さが浅くなっていく構成としても良い。この構成では、切屑は切屑排出溝のシャンク部側の端部で、ドリルの径方向外方へ押し出される。
また、上述の実施例1では、副溝のエッジ部が刃部に形成された切刃と交差する部位においては、エッジ部に丸め処理をしているが、当該エッジ部に面取り処理をする構成としても良い。また、エッジ部全体について面取り処理または丸め処理をしても良い。
【0045】
上述の各実施例では、切屑排出溝のドリルの回転軸に対するねじれ角が一定となる等リードとしているが、ねじれ角が刃部の先端側で大きく刃部のシャンク部側で小さい、不等リードとしても良い。不等リードとすることによりビビリを抑制する効果がある。
また、上述の各実施例ではシャンク部の径を刃部の径と同一としているが、ドリルのシャンク部側の端部で径を他の部分よりも大きくすることにより、ドリルの剛性を高めることができる。
その他、本発明に係るドリルはその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
【符号の説明】
【0046】
10、10a、10b、10c、10d ドリル
12、12c、12d 刃部
14、14c、14d マージン
16、16c、16d 切屑排出溝
18、18c、18d 切刃
20、20a、20b、20c、20d 副溝
22、22a、22b、22c、22d エッジ部
24c、24d すくい刃
26c、26d すくい面
28c、28d 先端面
30、30c、30d シャンク部
32、32c、32d 切屑排出面
36、36c、36d クーラント誘導溝
D 外径
L 溝長
θ 副溝のねじれ角
θ2 クーラント誘導溝のねじれ角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に刃部を備え後端側にシャンク部を備えるドリルであって、
前記刃部の先端から前記シャンク部側に向けてドリルの回転軸回りにねじれる一条の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝は前記シャンク部側から前記刃部の先端に向けてドリルの正回転方向にねじれており、
前記切屑排出溝のドリルの回転方向を向く側面と該刃部の外周面との交差稜線部分には切刃が形成されており、
前記刃部のドリルの回転軸に直交する断面の形状は半月状とされており、該刃部の切屑排出溝を除く外周面は全体がマージンとされ、
前記マージンには、該刃部にクーラントを供給する副溝が、前記シャンク部側から前記刃部の先端側に向けてドリルの回転軸回りに前記切屑排出溝とは逆向きにねじれて形成されており、
前記副溝は軸方向の両端部のうち少なくとも一方が前記切屑排出溝に開口する構成とされており、
前記シャンク部には、ドリルの回転軸回りに前記副溝と同じ向きにねじれて該シャンク部の外周面を周回するクーラント供給溝が形成されている、樹脂材への穴明け加工に用いられるドリル。
【請求項2】
請求項1に記載のドリルであって、
前記ドリルの溝長Lが前記刃部の外径Dの3倍以上かつ10倍以下であることを特徴とするドリル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のドリルであって、
前記刃部の断面積dsの該刃部の外周円の面積Sに対する割合ds/Sが50%以上かつ60%以下であることを特徴とするドリル。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のドリルであって、
ドリルの回転軸に対して、前記副溝のねじれ角θ1が45度以上かつ80度以下であり、前記クーラント誘導溝のねじれ角θ2が45度以上かつ80度以下であることを特徴とするドリル。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のドリルであって、
前記副溝の側面と前記マージンの交差部分に形成されるエッジ部には目立て処理がなされておらず、
前記副溝の側面と前記マージンの交差部分に形成されるエッジ部が前記刃部に形成された切刃と交差する部位では、該エッジ部に面取り処理または丸め処理がなされていることを特徴とするドリル。
【請求項6】
先端側に刃部を備え後端側にシャンク部を備えるドリルであって、
前記刃部の先端から前記シャンク部側に向けてドリルの回転軸回りにねじれる一条の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝は前記シャンク部側から前記刃部の先端に向けてドリルの正回転方向にねじれており、
前記切屑排出溝のドリルの回転方向を向く側面と該刃部の外周面との交差稜線部分には切刃が形成されており、
前記刃部のドリルの回転軸に直交する断面の形状は半月状とされており、該刃部の切屑排出溝を除く外周面は全体がマージンとされ、
前記マージンには、該刃部にクーラントを供給する副溝が、前記シャンク部側から前記刃部の先端側に向けてドリルの回転軸回りに前記切屑排出溝とは逆向きにねじれて形成されており、
前記副溝は前記マージン上に点在して形成されており、該副溝の側面が該マージン上で閉じており、
前記シャンク部には、ドリルの回転軸回りに前記副溝と同じ向きにねじれて該シャンク部の外周面を周回するクーラント供給溝が形成されている、樹脂材への穴明け加工に用いられるドリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−75355(P2013−75355A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279270(P2011−279270)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【出願人】(511224128)
【Fターム(参考)】