ドレッシング材
【課題】本発明は、一内層と一外層とを含み、そのうち該内層と該外層との一端縁にトリミングされるドレッシング材を提供する。
【解決手段】該内層材は、ヒドロゲルと、メルトブロー不織布と、を含み、該外層は、ポリウレタンフィルムと、感圧接着剤と、含んでいる。該ドレッシング材は、水適合度を増加し、且つ該ドレッシング材で環状の創傷領域に被覆する。
【解決手段】該内層材は、ヒドロゲルと、メルトブロー不織布と、を含み、該外層は、ポリウレタンフィルムと、感圧接着剤と、含んでいる。該ドレッシング材は、水適合度を増加し、且つ該ドレッシング材で環状の創傷領域に被覆する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ドレッシング材の技術分野に属し、外傷を負った創傷の治癒に最適な環境を保持し、治癒にかかる時間を短縮し、抗菌且つ感染の機会を低減するドレッシング材を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の科学と統計レポートによると、世界の外傷に係る市場の需要、特に外科手術による外傷は日増しに増大しており、該世界の外傷に係る市場の年間の総数もすでに1億人を突破し、年々増え続けている傾向にあり、外傷や裂傷による事故が原因で年間約2千万人、火傷による事故が原因で年間約1千万人、その他に毎年、慢性疾患、糖尿病及び経年劣化による潰瘍性創傷が原因で約3千万人が利用している。
【0003】
外科手術は、治療の需要及び内視鏡手術の普及によって、手術によるリスクが大幅に低減されているが、それに付随して必要とされるのが、望ましい創傷のケア及び術後の傷跡予防の需要である。現在、先進的なドレッシング材により治癒にかかる時間を短縮するとともに傷跡を無くす創傷ケアの方法がすでにある。
【0004】
従来のドレッシング材は、ガーゼ、パッド、ウール、各種ガーゼなどの天然植物繊維或いは動物毛髪類の物質で構成され、これらドレッシング材はあくまでも一時的な被覆材であって、一定の時間以内に交換する必要がある。現在のドレッシング材研究により、人々はドレッシング材に対して科学的認識を持っており、且つその研究から望ましいドレッシング材は、創傷の細胞の成長に良好な治癒環境の保持及び滲出液の制御と吸収とができるものであって、通気性、透湿性を有して細菌の侵入を防ぐものであって、密接に創傷面に付着するものであって、薬物を設けて放出することができるものであって、良好な組織及び血液の適合性を備え、創傷面から剥がす際、必要のない粘着と剥離が起こらないものであって、また、優れた機械的特性、引張強度及び使い易いという特性を有するものであることが示されている。既存の技術では、ヒドロゲルを基材とする医療用ドレッシング材に関して、医療用ヒドロゲル層ドレッシング材の作成法、又は、ポリウレタンエマルジョンを含有するヒドロゲル型ドレッシング材及びその作成法などがある。
【0005】
また、ワシントン、ピユ・フォーラム(Pew Forum)の「宗教および公共生活(Religion & Public Life)」のデータより、2010年には16億人のイスラム教人口があり、世界人口の23.4パーセントを占め、今後20年でイスラム教人口の平均成長率は1.5パーセントが予測されるため、毎年割礼に適する男性はおよそ1000万人いると示されている。連合国の人口統計によれば、全世界には毎年約4000万人の新生児が誕生しており、そのうち28パーセントの割合で包茎手術を行うとして計算すると、毎年全世界で包茎手術を行う人は約1200万人いるため、全世界にはおよそ1億2600万米ドルもの包茎手術のアフターケア市場があるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願200810122438.1号
【特許文献2】中国特許公開CN1562382A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一内層と一外層とを含み、そのうち該内層と該外層との一端縁にトリミングされるドレッシング材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
好ましい実施例において、該ドレッシング材は、水適合度を増加することができる。
【0009】
好ましい実施例において、該内層材は、ヒドロゲルと、メルトブロー不織布と、を含み、該外層は、ポリウレタンフィルムと、感圧接着剤と、含んでおり、そのうち、該メルトブロー不織布及び該ヒドロゲルは、紫外線に照射されることによって接合し貫網目重合体となり、且つ外側へ露出する該メルトブロー不織布の一部と該外層の該感圧接着剤とが安定的に接合している。
【0010】
本発明は、このほかに、本発明のドレッシング材を環状に創傷領域に被覆する、環状の創傷を被覆する方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のドレッシング材は、感圧接着剤と皮膚との接触を少なくすることで、アレルギー性皮膚反応を軽減することを提供している。また、該ドレッシング材は、環状の創傷を被覆する作業が容易であって、水平或いは垂直方向で作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るドレッシング材の平面概略図である。
【図2】本発明に係るドレッシング材の側面概略図である。
【図3】本発明に係るヒドロゲルの構造概略図である。
【図4】本発明に係るヒドロゲルの膨潤率(%)を表したグラフである。
【図5】創傷範囲をソフトウェアイメージプロプラス4.5(Image Pro Plus 4.5)によって計算することを表した図である。
【図6】ドレッシング材を使用した後の異なる時点の創傷の外観を比較した図である。
【図7】ドレッシング材を14日間使用した際の創傷面積比率(%)を表した図である。
【図8】ドレッシング材を14日間使用した際の表皮の成長を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【図9】ドレッシング材を14日間使用した際の肉芽組織の成長と炎症反応の状況を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【図10】ドレッシング材を31日間使用した際の表皮の成長を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【図11】ドレッシング材を31日間使用した際の肉芽組織の成長と炎症反応の状況を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は異なる形で実施することが可能で、以下の実施例で言及することは、本発明を限定するものではなく、本発明の異なる態様及び特徴を表すものである。
【実施例1】
【0014】
ドレッシング材の概略図
図1及び図2に示されているように、該ドレッシング材は、一内層(100)と一外層(200)とを含み、そのうち該内層(100)と該外層(200)との一端縁にトリミングされている。
【実施例2】
【0015】
ヒドロゲルの構造
図3に示されているように、該ヒドロゲルの構造は、ポリウレタンフィルム層(10)と、感圧接着層(20)と、メルトブロー不織布(30)と、ヒドロゲル(40)と、から組成されている貫網目重合体(50)を含んでいる。そのうち、該感圧接着層(20)は該ポリウレタンフィルム層(10)に塗布され、該メルトブロー不織布(30)及び該ヒドロゲル(40)は、紫外線に照射されることによって接合し該貫網目重合体(50)となり、且つ外側へ露出する該メルトブロー不織布(30)の一部と該外層の該感圧接着層(20)とが安定的に接合し、該ヒドロゲルの構造を構成している。
【実施例3】
【0016】
ヒドロゲルの配合
ヒドロゲルは、以下のような、
(a)(1)光重合開始剤及びアクリル酸アミドモノマーを溶解するまで混合し、(2)(1)にグリセロールを添加し溶解するまで混合し、(3)(2)にアクリルスルホン酸モノマーを添加し溶解するまで混合し、(4)グリセロールを添加し混合してなる一混合物を提供する工程と、
(b)(1)光重合開始剤と不飽和二重官能基エステルモノマーを混合するもうひとつの混合物をさらに提供する工程と、
(c)(a)工程と(b)工程との混合物を混合する工程と、
(d)(c)工程の混合物に紫外線を照射することで重合させてクロスリンクし、ヒドロゲルを形成する工程と、で作成される。
上記素材の重量比は次のとおり、
該アクリル酸アミドモノマーは、15から30ユニット、
該アクリルスルホン酸モノマーは、10から50ユニット、
該グリセロールは、15から45ユニット、
該光重合開始剤は、0.01から0.1ユニット、
該不飽和二官能基エステルモノマーは、0.01から0.2ユニット、である。
【実施例4】
【0017】
引張試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、ASTM D 412−98aの加硫ゴム及び熱可塑性エラストマーテンションに係る標準試験方法(ASTM D 412−98a Standard Test Methods for Vulcanized Rubber and Thermoplastic Elastomers−Tension)に基づいて、ポリウレタンフィルム層とヒドロゲル複合体とを測定し、その結果は以下の表1のとおりである。
【0018】
【表1】
引張強度及び伸縮試験(試験単位:TTRI)
【実施例5】
【0019】
通気度試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、JIS L 1096試験により、ポリウレタンフィルム層とハイドロゲル複合体との透過性を測定し、その結果は以下の表2のとおりである。
【0020】
【表2】
通気度試験(測定単位:TTRI)
【実施例6】
【0021】
透湿性試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、JIS L 1099 A−1 塩化カルシウム試験(JIS L 1099 A1 Calcium Chloride upright Cup test)により、その透湿性を測定し、その結果は以下の表3のとおりである。
透湿性(g / m 2 /日)=(2回目−1回目)×8488
【0022】
【表3】
透湿性試験(測定単位:TTRI)
【実施例7】
【0023】
吸収率
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、吸収率の測定を行う。まずヒドロゲルの重さを秤量した後、ヒドロゲルを温度25℃、pH値7.4のPBS溶液の中に置き、十分に吸収して膨張した後、その表面の水分を拭取り再度重さを秤量する。ヒドロゲルの重さの変化がなくなるまで、これを一定の間隔ごとに繰り返し、ヒドロゲルの重さの変化で吸収率を測定する。膨潤率(%)の公式は [(PBS溶液を吸収したヒドロゲルの重さ−吸収する前のヒドロゲルの重さ)/吸収する前のヒドロゲルの重さ]×100%であって、その結果は図4のとおりである。
【実施例8】
【0024】
創傷治癒試験
材料と方法
1.被検体
ガーゼを用いた対象グループ
ヒドロゲルの構造(Lexiderm社)を用いた試験グループ
【0025】
2.実験用動物
該試験は、動物系統がLYDの3品種の2ヶ月齢のブタを実験用動物としており、且つ台湾台中退役軍人総合病院、実験用動物管理グループの検査に合格している。(整理番号:La99736)
【0026】
3.試験群
実験用動物は、それぞれ14日間使用するもの(3匹のブタ)と、31日間使用するもの(1匹のブタ)との二グループに分けられ、それぞれ背中の左側と右側との各三か所に、3cm×3cmの大きさですべて皮膚を切除して創傷を作り、それぞれ対照用ドレッシング材と試験用ドレッシング材を投与する。
【0027】
4.投与方法
試験用ドレッシング材或いは対照用ドレッシング材を直接実験用動物の背中の創傷に被覆させ、3日から5日毎にドレッシング材を交換する。
【0028】
5.生体内(In vivo)動物実験
該実験では、LYDの3品種の2ヶ月齢のブタを実験用動物としており、実験器材は、シェービングナイフと、高温・高圧下で滅菌消毒された手術器具(比例尺度、ホールタオル用鉗子、ハサミ、ピンセット、止血鉗子、メス、持針器)と、消耗品(無菌ホールタオル、ガーゼ、綿、ヨードチンキ、アルコール、縫合糸)とを含み、該実験の工程は以下の通り、
各ブタにケタミン(2mg/kg)及びキシラジン(2mg/kg)の麻酔を投与した後、さらに1.0から2.0%のイソフルランで麻酔を維持する。ブタの背中をシェービングした後、最初に70%のアルコールで消毒し、次にヨードチンキで消毒して無菌ホールタオルを背中に被覆させる。メスで3cm×3cmの大きさの皮膚を皮筋層(panniculus carnosus)まで切除して創傷を作る。該創傷に、試験用ドレッシング材或いは対照用ドレッシング材を被覆し、ドレッシング材の外部にガーゼを一層被覆した後、ドレッシング材の破損により創傷が感染することを防ぐため弾性包帯または縫合糸で、創傷を包む。術後は3日から5日毎に創傷をクレンジングし、上記の方法に基づいて新しい試験用ドレッシング材或いは対照用ドレッシング材を被覆し、包帯と固定を行う。また、術後1日から2日は、痛みを軽減させるため、カルプロフェン(carprofen)を2mg/kgを投与する。
【0029】
上記の実験中、各ブタは術後それぞれ単独で飼育され、自由に飲水し、決まった時間に飼料が与えられた。該実験は一日単位で記録が行われ、術後3日、7日、10日、12日で各ブタに対して以下のような評価を出した。
【0030】
臨床創傷評価−皮膚及び創傷治癒過程の観察を行った。各ブタ毎に、ドレッシング材の粘着状況、滲出液の分泌量、創傷周囲組織の状況、創傷治癒状況、及びドレッシング材取換えの難易度を記録し、文面の記録以外に、写真を撮って比較し、最後に結果の分析を行った。
【0031】
創傷治癒推進評価−ドレッシング材の取換えの際、創傷に比例尺度を置き、創傷を撮影して記録し、グラフィックスソフトウェアイメージプロプラス4.5(Image Pro Plus 4.5)で比例尺度に基づき調整を行った後、図5のように創傷面積の計算を行った。
【0032】
組織学的評価−(状況に応じて)ドレッシング材を被覆したサンプルを正常な組織ごと組織学生体組織検査を行った。術後14日目で、創傷の箇所から、ドレッシング材と、肉芽組織と、結合組織と、下方の筋肉とを含む5mmの楔状の断片を切取り、
ホルムアルデヒドに固定した後、脱水、埋込み、脱ワックス、スライスを行い、H&Eとpicro−Sirius redを用いて染色する。創傷治癒の状況を評価するため、光学顕微鏡で、上皮細胞、真皮細胞、血管新生母細胞、炎症に関わる細胞及び線維芽細胞同士の相互作用の状況を観察した。
【0033】
評価基準
表皮の成長評価:
0−表皮の成長なし、1−成長した表皮が創傷面積の3分の1以下、2−成長した表皮が創傷面積の3分の1から2分の1の間、3−成長した表皮が創傷面積の2分の1から3分の2の間、4−成長した表皮が創傷面積の3分の2以上或いは創傷が完治。
肉芽組織の成長評価:
0− 肉芽組織の成長なし、1−肉芽組織が散漫、2−肉芽組織が綿密、3−結合組織が生成
炎症反応の評価:
0−重度の炎症反応(大量の好中球、リンパ球が浸潤)、1−中度の炎症反応(大量のリンパ球が浸潤)、2−軽度の炎症反応(少量のリンパ球が浸潤)、3−炎症反応なし(リンパ球の浸潤なし)
【0034】
評価の結果
術後の臨床症状及び創傷観察の評価:
該ブタにすべて皮膚を切除する手術を施行した後、人道的管理原則に基づき、術後1日から2日は、術後の痛みを軽減させるため、カルプロフェンを2mg/kgを投与している。実験期間中、ブタは創傷部を噛んだり、ドレッシング材を落とす或いは擦切れたりするなどのことはなかった。術後3日目及び6日目のドレッシング材の取換えの際、ドレッシング材は試験グループ及び対照グループともに創傷の滲出液を完全に吸収しておらず、且つ創傷周囲には大量の滲出液が流出している状態だった。術後9日目以降のドレッシング材の取換えの際は、創傷の滲出液の分泌量は顕著に低減していた。ドレッシング材と創傷との粘着状況において、対照グループのガーゼは試験期間、創傷と極めて粘着し易く、生理食塩水で濡らしてからでないと取外せないが、試験グループのドレッシング材は前記のような状況は起こらなかった。
【0035】
肉眼による術後創傷の治癒の評価:
ブタは、すべて皮膚を切除する手術によって創傷は28.72平方ミリメートルから32.52平方ミリメートルの間の大きさとなり、ドレッシング材を使用してから6日目において、試験グループの創傷の辺縁から少量の新しい皮膚組織が形成していることが分かった(図6の6日目を参照)。12日目以降の各グループの創傷はともに顕著に収縮され、創傷の外形も四角く滑らかになっており、試験グループの新しい皮膚組織は、20日目には創傷面積の2分の1以上を被覆していた。ドレッシング材を使用してから28日目には、すべての創傷がほぼ完治しており、ガーゼの対照グループは、創傷が歪んでおり、ほとんど新しい皮膚組織を形成していないのに対して、試験グループは、新しい皮膚組織を多く形成している上、創傷に形成した新しい皮膚組織は滑らかであった(図6の28日目を参照)。
【0036】
術後の創傷治癒の促進の評価:
創傷面積を定量分析した後、ドレッシング材を使用してから6日目において、試験グループはガーゼの対照グループと比べて創傷が顕著に小さくなっていた(図7及ぶ表4を参照)。
【0037】
【表4】
ドレッシング材を使用してから14日目においての原創傷に残っている創傷面積の割合(%)
*:P <0.05、**:p <0.01、***:p <0.001、ガーゼの対照グループ(n=3)、ヒドロゲルの試験グループ(Lexiderm社)(n=3)
【0038】
ドレッシング材を使用してから14日目の組織学的評価;
表皮の成長状況の評価結果から分かるとおり、ガーゼの対照グループは成長した表皮が創傷面積の3分の1近くであるため、評価結果は1となり、試験グループは成長した表皮が創傷面積の3分の1から2分の1の間であるため、評価結果は2となっている。そのため、試験グループの表皮の成長はガーゼの対照グループに比べて良いことが表されている(図8を参照)。肉芽組織の成長において、ガーゼの対照グループ及び試験グループともに綿密であるため、評価結果はともに2となる(図9を参照)。炎症反応において、ガーゼの対照グループはリンパ球の浸潤状況があまり顕著ではなかったが、試験グループの創傷部分は、少量から中量のリンパ球の浸潤があり、内部性炎症作用においてもガーゼの対照グループに比べて顕著であった(図9を参照)。
【実施例9】
【0039】
細菌予防及び殺菌試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、JIS L 1920:2008試験により、その細菌予防及び抗菌効果を測定し、その結果は以下の表5(菌株:Staphylococcus)及び表6(菌株:Klebsiella pneumoniae)のとおりである。
【0040】
【表5】
細菌予防及び抗菌試験 その1(菌株:Staphylococcus)(測定単位:TTRI)
【0041】
【表6】
細菌予防及び抗菌試験 その2(菌株:Klebsiella pneumoniae)(測定単位:TTRI)
1.Ma=対照グループにおいて、直ちに洗浄した際の細菌の量
2.Mb=対照グループにおいて、18時間後に洗浄した際の細菌の量
3.Mo=試験グループにおいて、直ちに洗浄した際の細菌の量
4.Mc=試験グループにおいて、18時間後に洗浄した際の細菌の量
5.増殖値=logMb−logMa
6.抗菌活性値=(logMb−logMa)−(logMc−logMo)
7.除菌活性値=logMa−logMc
【符号の説明】
【0042】
100 内層
200 外層
10 ポリウレタンフィルム層
20 感圧接着層
30 メルトブロー不織布
40 ヒドロゲル
50 貫網目重合体
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ドレッシング材の技術分野に属し、外傷を負った創傷の治癒に最適な環境を保持し、治癒にかかる時間を短縮し、抗菌且つ感染の機会を低減するドレッシング材を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の科学と統計レポートによると、世界の外傷に係る市場の需要、特に外科手術による外傷は日増しに増大しており、該世界の外傷に係る市場の年間の総数もすでに1億人を突破し、年々増え続けている傾向にあり、外傷や裂傷による事故が原因で年間約2千万人、火傷による事故が原因で年間約1千万人、その他に毎年、慢性疾患、糖尿病及び経年劣化による潰瘍性創傷が原因で約3千万人が利用している。
【0003】
外科手術は、治療の需要及び内視鏡手術の普及によって、手術によるリスクが大幅に低減されているが、それに付随して必要とされるのが、望ましい創傷のケア及び術後の傷跡予防の需要である。現在、先進的なドレッシング材により治癒にかかる時間を短縮するとともに傷跡を無くす創傷ケアの方法がすでにある。
【0004】
従来のドレッシング材は、ガーゼ、パッド、ウール、各種ガーゼなどの天然植物繊維或いは動物毛髪類の物質で構成され、これらドレッシング材はあくまでも一時的な被覆材であって、一定の時間以内に交換する必要がある。現在のドレッシング材研究により、人々はドレッシング材に対して科学的認識を持っており、且つその研究から望ましいドレッシング材は、創傷の細胞の成長に良好な治癒環境の保持及び滲出液の制御と吸収とができるものであって、通気性、透湿性を有して細菌の侵入を防ぐものであって、密接に創傷面に付着するものであって、薬物を設けて放出することができるものであって、良好な組織及び血液の適合性を備え、創傷面から剥がす際、必要のない粘着と剥離が起こらないものであって、また、優れた機械的特性、引張強度及び使い易いという特性を有するものであることが示されている。既存の技術では、ヒドロゲルを基材とする医療用ドレッシング材に関して、医療用ヒドロゲル層ドレッシング材の作成法、又は、ポリウレタンエマルジョンを含有するヒドロゲル型ドレッシング材及びその作成法などがある。
【0005】
また、ワシントン、ピユ・フォーラム(Pew Forum)の「宗教および公共生活(Religion & Public Life)」のデータより、2010年には16億人のイスラム教人口があり、世界人口の23.4パーセントを占め、今後20年でイスラム教人口の平均成長率は1.5パーセントが予測されるため、毎年割礼に適する男性はおよそ1000万人いると示されている。連合国の人口統計によれば、全世界には毎年約4000万人の新生児が誕生しており、そのうち28パーセントの割合で包茎手術を行うとして計算すると、毎年全世界で包茎手術を行う人は約1200万人いるため、全世界にはおよそ1億2600万米ドルもの包茎手術のアフターケア市場があるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願200810122438.1号
【特許文献2】中国特許公開CN1562382A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一内層と一外層とを含み、そのうち該内層と該外層との一端縁にトリミングされるドレッシング材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
好ましい実施例において、該ドレッシング材は、水適合度を増加することができる。
【0009】
好ましい実施例において、該内層材は、ヒドロゲルと、メルトブロー不織布と、を含み、該外層は、ポリウレタンフィルムと、感圧接着剤と、含んでおり、そのうち、該メルトブロー不織布及び該ヒドロゲルは、紫外線に照射されることによって接合し貫網目重合体となり、且つ外側へ露出する該メルトブロー不織布の一部と該外層の該感圧接着剤とが安定的に接合している。
【0010】
本発明は、このほかに、本発明のドレッシング材を環状に創傷領域に被覆する、環状の創傷を被覆する方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のドレッシング材は、感圧接着剤と皮膚との接触を少なくすることで、アレルギー性皮膚反応を軽減することを提供している。また、該ドレッシング材は、環状の創傷を被覆する作業が容易であって、水平或いは垂直方向で作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るドレッシング材の平面概略図である。
【図2】本発明に係るドレッシング材の側面概略図である。
【図3】本発明に係るヒドロゲルの構造概略図である。
【図4】本発明に係るヒドロゲルの膨潤率(%)を表したグラフである。
【図5】創傷範囲をソフトウェアイメージプロプラス4.5(Image Pro Plus 4.5)によって計算することを表した図である。
【図6】ドレッシング材を使用した後の異なる時点の創傷の外観を比較した図である。
【図7】ドレッシング材を14日間使用した際の創傷面積比率(%)を表した図である。
【図8】ドレッシング材を14日間使用した際の表皮の成長を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【図9】ドレッシング材を14日間使用した際の肉芽組織の成長と炎症反応の状況を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【図10】ドレッシング材を31日間使用した際の表皮の成長を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【図11】ドレッシング材を31日間使用した際の肉芽組織の成長と炎症反応の状況を表した図である。Aはガーゼを用いた対照グループで、BはLexiderm社のヒドロゲルドレッシング材を用いた試験グループである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は異なる形で実施することが可能で、以下の実施例で言及することは、本発明を限定するものではなく、本発明の異なる態様及び特徴を表すものである。
【実施例1】
【0014】
ドレッシング材の概略図
図1及び図2に示されているように、該ドレッシング材は、一内層(100)と一外層(200)とを含み、そのうち該内層(100)と該外層(200)との一端縁にトリミングされている。
【実施例2】
【0015】
ヒドロゲルの構造
図3に示されているように、該ヒドロゲルの構造は、ポリウレタンフィルム層(10)と、感圧接着層(20)と、メルトブロー不織布(30)と、ヒドロゲル(40)と、から組成されている貫網目重合体(50)を含んでいる。そのうち、該感圧接着層(20)は該ポリウレタンフィルム層(10)に塗布され、該メルトブロー不織布(30)及び該ヒドロゲル(40)は、紫外線に照射されることによって接合し該貫網目重合体(50)となり、且つ外側へ露出する該メルトブロー不織布(30)の一部と該外層の該感圧接着層(20)とが安定的に接合し、該ヒドロゲルの構造を構成している。
【実施例3】
【0016】
ヒドロゲルの配合
ヒドロゲルは、以下のような、
(a)(1)光重合開始剤及びアクリル酸アミドモノマーを溶解するまで混合し、(2)(1)にグリセロールを添加し溶解するまで混合し、(3)(2)にアクリルスルホン酸モノマーを添加し溶解するまで混合し、(4)グリセロールを添加し混合してなる一混合物を提供する工程と、
(b)(1)光重合開始剤と不飽和二重官能基エステルモノマーを混合するもうひとつの混合物をさらに提供する工程と、
(c)(a)工程と(b)工程との混合物を混合する工程と、
(d)(c)工程の混合物に紫外線を照射することで重合させてクロスリンクし、ヒドロゲルを形成する工程と、で作成される。
上記素材の重量比は次のとおり、
該アクリル酸アミドモノマーは、15から30ユニット、
該アクリルスルホン酸モノマーは、10から50ユニット、
該グリセロールは、15から45ユニット、
該光重合開始剤は、0.01から0.1ユニット、
該不飽和二官能基エステルモノマーは、0.01から0.2ユニット、である。
【実施例4】
【0017】
引張試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、ASTM D 412−98aの加硫ゴム及び熱可塑性エラストマーテンションに係る標準試験方法(ASTM D 412−98a Standard Test Methods for Vulcanized Rubber and Thermoplastic Elastomers−Tension)に基づいて、ポリウレタンフィルム層とヒドロゲル複合体とを測定し、その結果は以下の表1のとおりである。
【0018】
【表1】
引張強度及び伸縮試験(試験単位:TTRI)
【実施例5】
【0019】
通気度試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、JIS L 1096試験により、ポリウレタンフィルム層とハイドロゲル複合体との透過性を測定し、その結果は以下の表2のとおりである。
【0020】
【表2】
通気度試験(測定単位:TTRI)
【実施例6】
【0021】
透湿性試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、JIS L 1099 A−1 塩化カルシウム試験(JIS L 1099 A1 Calcium Chloride upright Cup test)により、その透湿性を測定し、その結果は以下の表3のとおりである。
透湿性(g / m 2 /日)=(2回目−1回目)×8488
【0022】
【表3】
透湿性試験(測定単位:TTRI)
【実施例7】
【0023】
吸収率
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、吸収率の測定を行う。まずヒドロゲルの重さを秤量した後、ヒドロゲルを温度25℃、pH値7.4のPBS溶液の中に置き、十分に吸収して膨張した後、その表面の水分を拭取り再度重さを秤量する。ヒドロゲルの重さの変化がなくなるまで、これを一定の間隔ごとに繰り返し、ヒドロゲルの重さの変化で吸収率を測定する。膨潤率(%)の公式は [(PBS溶液を吸収したヒドロゲルの重さ−吸収する前のヒドロゲルの重さ)/吸収する前のヒドロゲルの重さ]×100%であって、その結果は図4のとおりである。
【実施例8】
【0024】
創傷治癒試験
材料と方法
1.被検体
ガーゼを用いた対象グループ
ヒドロゲルの構造(Lexiderm社)を用いた試験グループ
【0025】
2.実験用動物
該試験は、動物系統がLYDの3品種の2ヶ月齢のブタを実験用動物としており、且つ台湾台中退役軍人総合病院、実験用動物管理グループの検査に合格している。(整理番号:La99736)
【0026】
3.試験群
実験用動物は、それぞれ14日間使用するもの(3匹のブタ)と、31日間使用するもの(1匹のブタ)との二グループに分けられ、それぞれ背中の左側と右側との各三か所に、3cm×3cmの大きさですべて皮膚を切除して創傷を作り、それぞれ対照用ドレッシング材と試験用ドレッシング材を投与する。
【0027】
4.投与方法
試験用ドレッシング材或いは対照用ドレッシング材を直接実験用動物の背中の創傷に被覆させ、3日から5日毎にドレッシング材を交換する。
【0028】
5.生体内(In vivo)動物実験
該実験では、LYDの3品種の2ヶ月齢のブタを実験用動物としており、実験器材は、シェービングナイフと、高温・高圧下で滅菌消毒された手術器具(比例尺度、ホールタオル用鉗子、ハサミ、ピンセット、止血鉗子、メス、持針器)と、消耗品(無菌ホールタオル、ガーゼ、綿、ヨードチンキ、アルコール、縫合糸)とを含み、該実験の工程は以下の通り、
各ブタにケタミン(2mg/kg)及びキシラジン(2mg/kg)の麻酔を投与した後、さらに1.0から2.0%のイソフルランで麻酔を維持する。ブタの背中をシェービングした後、最初に70%のアルコールで消毒し、次にヨードチンキで消毒して無菌ホールタオルを背中に被覆させる。メスで3cm×3cmの大きさの皮膚を皮筋層(panniculus carnosus)まで切除して創傷を作る。該創傷に、試験用ドレッシング材或いは対照用ドレッシング材を被覆し、ドレッシング材の外部にガーゼを一層被覆した後、ドレッシング材の破損により創傷が感染することを防ぐため弾性包帯または縫合糸で、創傷を包む。術後は3日から5日毎に創傷をクレンジングし、上記の方法に基づいて新しい試験用ドレッシング材或いは対照用ドレッシング材を被覆し、包帯と固定を行う。また、術後1日から2日は、痛みを軽減させるため、カルプロフェン(carprofen)を2mg/kgを投与する。
【0029】
上記の実験中、各ブタは術後それぞれ単独で飼育され、自由に飲水し、決まった時間に飼料が与えられた。該実験は一日単位で記録が行われ、術後3日、7日、10日、12日で各ブタに対して以下のような評価を出した。
【0030】
臨床創傷評価−皮膚及び創傷治癒過程の観察を行った。各ブタ毎に、ドレッシング材の粘着状況、滲出液の分泌量、創傷周囲組織の状況、創傷治癒状況、及びドレッシング材取換えの難易度を記録し、文面の記録以外に、写真を撮って比較し、最後に結果の分析を行った。
【0031】
創傷治癒推進評価−ドレッシング材の取換えの際、創傷に比例尺度を置き、創傷を撮影して記録し、グラフィックスソフトウェアイメージプロプラス4.5(Image Pro Plus 4.5)で比例尺度に基づき調整を行った後、図5のように創傷面積の計算を行った。
【0032】
組織学的評価−(状況に応じて)ドレッシング材を被覆したサンプルを正常な組織ごと組織学生体組織検査を行った。術後14日目で、創傷の箇所から、ドレッシング材と、肉芽組織と、結合組織と、下方の筋肉とを含む5mmの楔状の断片を切取り、
ホルムアルデヒドに固定した後、脱水、埋込み、脱ワックス、スライスを行い、H&Eとpicro−Sirius redを用いて染色する。創傷治癒の状況を評価するため、光学顕微鏡で、上皮細胞、真皮細胞、血管新生母細胞、炎症に関わる細胞及び線維芽細胞同士の相互作用の状況を観察した。
【0033】
評価基準
表皮の成長評価:
0−表皮の成長なし、1−成長した表皮が創傷面積の3分の1以下、2−成長した表皮が創傷面積の3分の1から2分の1の間、3−成長した表皮が創傷面積の2分の1から3分の2の間、4−成長した表皮が創傷面積の3分の2以上或いは創傷が完治。
肉芽組織の成長評価:
0− 肉芽組織の成長なし、1−肉芽組織が散漫、2−肉芽組織が綿密、3−結合組織が生成
炎症反応の評価:
0−重度の炎症反応(大量の好中球、リンパ球が浸潤)、1−中度の炎症反応(大量のリンパ球が浸潤)、2−軽度の炎症反応(少量のリンパ球が浸潤)、3−炎症反応なし(リンパ球の浸潤なし)
【0034】
評価の結果
術後の臨床症状及び創傷観察の評価:
該ブタにすべて皮膚を切除する手術を施行した後、人道的管理原則に基づき、術後1日から2日は、術後の痛みを軽減させるため、カルプロフェンを2mg/kgを投与している。実験期間中、ブタは創傷部を噛んだり、ドレッシング材を落とす或いは擦切れたりするなどのことはなかった。術後3日目及び6日目のドレッシング材の取換えの際、ドレッシング材は試験グループ及び対照グループともに創傷の滲出液を完全に吸収しておらず、且つ創傷周囲には大量の滲出液が流出している状態だった。術後9日目以降のドレッシング材の取換えの際は、創傷の滲出液の分泌量は顕著に低減していた。ドレッシング材と創傷との粘着状況において、対照グループのガーゼは試験期間、創傷と極めて粘着し易く、生理食塩水で濡らしてからでないと取外せないが、試験グループのドレッシング材は前記のような状況は起こらなかった。
【0035】
肉眼による術後創傷の治癒の評価:
ブタは、すべて皮膚を切除する手術によって創傷は28.72平方ミリメートルから32.52平方ミリメートルの間の大きさとなり、ドレッシング材を使用してから6日目において、試験グループの創傷の辺縁から少量の新しい皮膚組織が形成していることが分かった(図6の6日目を参照)。12日目以降の各グループの創傷はともに顕著に収縮され、創傷の外形も四角く滑らかになっており、試験グループの新しい皮膚組織は、20日目には創傷面積の2分の1以上を被覆していた。ドレッシング材を使用してから28日目には、すべての創傷がほぼ完治しており、ガーゼの対照グループは、創傷が歪んでおり、ほとんど新しい皮膚組織を形成していないのに対して、試験グループは、新しい皮膚組織を多く形成している上、創傷に形成した新しい皮膚組織は滑らかであった(図6の28日目を参照)。
【0036】
術後の創傷治癒の促進の評価:
創傷面積を定量分析した後、ドレッシング材を使用してから6日目において、試験グループはガーゼの対照グループと比べて創傷が顕著に小さくなっていた(図7及ぶ表4を参照)。
【0037】
【表4】
ドレッシング材を使用してから14日目においての原創傷に残っている創傷面積の割合(%)
*:P <0.05、**:p <0.01、***:p <0.001、ガーゼの対照グループ(n=3)、ヒドロゲルの試験グループ(Lexiderm社)(n=3)
【0038】
ドレッシング材を使用してから14日目の組織学的評価;
表皮の成長状況の評価結果から分かるとおり、ガーゼの対照グループは成長した表皮が創傷面積の3分の1近くであるため、評価結果は1となり、試験グループは成長した表皮が創傷面積の3分の1から2分の1の間であるため、評価結果は2となっている。そのため、試験グループの表皮の成長はガーゼの対照グループに比べて良いことが表されている(図8を参照)。肉芽組織の成長において、ガーゼの対照グループ及び試験グループともに綿密であるため、評価結果はともに2となる(図9を参照)。炎症反応において、ガーゼの対照グループはリンパ球の浸潤状況があまり顕著ではなかったが、試験グループの創傷部分は、少量から中量のリンパ球の浸潤があり、内部性炎症作用においてもガーゼの対照グループに比べて顕著であった(図9を参照)。
【実施例9】
【0039】
細菌予防及び殺菌試験
本発明のヒドロゲルの構造(Lexiderm社)に対して、JIS L 1920:2008試験により、その細菌予防及び抗菌効果を測定し、その結果は以下の表5(菌株:Staphylococcus)及び表6(菌株:Klebsiella pneumoniae)のとおりである。
【0040】
【表5】
細菌予防及び抗菌試験 その1(菌株:Staphylococcus)(測定単位:TTRI)
【0041】
【表6】
細菌予防及び抗菌試験 その2(菌株:Klebsiella pneumoniae)(測定単位:TTRI)
1.Ma=対照グループにおいて、直ちに洗浄した際の細菌の量
2.Mb=対照グループにおいて、18時間後に洗浄した際の細菌の量
3.Mo=試験グループにおいて、直ちに洗浄した際の細菌の量
4.Mc=試験グループにおいて、18時間後に洗浄した際の細菌の量
5.増殖値=logMb−logMa
6.抗菌活性値=(logMb−logMa)−(logMc−logMo)
7.除菌活性値=logMa−logMc
【符号の説明】
【0042】
100 内層
200 外層
10 ポリウレタンフィルム層
20 感圧接着層
30 メルトブロー不織布
40 ヒドロゲル
50 貫網目重合体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一内層と一外層とを含むドレッシング材であって、
該内層と該外層との一端縁にトリミングされる、ことを特徴とするドレッシング材。
【請求項2】
該ドレッシング材は、水適合度を増加することができることを特徴とする請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項3】
該内層材は、ヒドロゲルと、メルトブロー不織布と、を含み、該外層は、ポリウレタンフィルムと、感圧接着剤と、含んでおり、そのうち、該メルトブロー不織布及び該ヒドロゲルは、紫外線に照射されることによって接合し貫網目重合体となり、且つ外側へ露出する該メルトブロー不織布の一部と該外層の該感圧接着剤とが安定的に接合していることを特徴とする請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項4】
環状に請求項1のドレッシング材を創傷領域に被覆する、ことを特徴とする環状の創傷を被覆する方法。
【請求項1】
一内層と一外層とを含むドレッシング材であって、
該内層と該外層との一端縁にトリミングされる、ことを特徴とするドレッシング材。
【請求項2】
該ドレッシング材は、水適合度を増加することができることを特徴とする請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項3】
該内層材は、ヒドロゲルと、メルトブロー不織布と、を含み、該外層は、ポリウレタンフィルムと、感圧接着剤と、含んでおり、そのうち、該メルトブロー不織布及び該ヒドロゲルは、紫外線に照射されることによって接合し貫網目重合体となり、且つ外側へ露出する該メルトブロー不織布の一部と該外層の該感圧接着剤とが安定的に接合していることを特徴とする請求項1に記載のドレッシング材。
【請求項4】
環状に請求項1のドレッシング材を創傷領域に被覆する、ことを特徴とする環状の創傷を被覆する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−63267(P2013−63267A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−199051(P2012−199051)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(512235932)英属維京群島商科裕有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】Compose Element Limited
【住所又は居所原語表記】1F,No.64,Aly.33,Lane 514,Zhongzheng Rd.,Xinzhuang Dist.,New Taipei City 24265,Taiwan
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−199051(P2012−199051)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【出願人】(512235932)英属維京群島商科裕有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】Compose Element Limited
【住所又は居所原語表記】1F,No.64,Aly.33,Lane 514,Zhongzheng Rd.,Xinzhuang Dist.,New Taipei City 24265,Taiwan
【Fターム(参考)】
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