説明

ドーム型カメラ

【課題】撮像部が透明カバーで覆われたドーム型カメラにおいて、レンズを水平方向に向けたときに、ケラレを発生させることなく、かつ、レンズと透明カバーとの距離を一定に保つことにより、画像に歪みを生じさせず、高品質な画像を移すことができるドーム型カメラを提供することができる。
【解決手段】撮像部が湾曲した透明カバーで覆われ、撮像部を駆動部のモータによって旋回させて、透明カバー方向に、撮像部のレンズを向けて撮像するドーム型カメラにおいて、モータの回転を第一の歯車を伝えて、撮像部を旋回させ、かつ、モータの回転を第二の歯車を伝えて、第二の歯車の回転をラックの上下運動に変えて、ラックにより撮像部を上下方向に移動するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドーム型カメラに係り、特に、カメラの撮像部分を覆う透明カバーにより映像が不均一になるのを防止するドーム型カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
ドーム型カメラは、防犯用などの監視カメラとしてよく用いられ、相手に監視カメラが設置してあるという事を意識させず不快感を与えにくい形状をしたカメラである。このドーム型カメラは、オフィス入り口や店舗監視用、マンションのエントランスなどの監視として、天井部分に設置されることが多く、カメラのレンズ部分が外から見難いので、監視角度がわかりにくく、死角スペースにも防犯効果を与える効果が得られるとされる。
【0003】
特許文献1には、ズームレンズの焦点位置により、ズームレンズの旋回範囲を制御するドーム型カメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下、図3および図4を用いて、従来技術に係るドーム型カメラの構造について説明する。
図3は、従来技術に係るドーム型カメラの断面図である。
図4は、従来技術に係るドーム型カメラの旋回機構の駆動部の斜視図である。
【0006】
ドーム型カメラは、図3に示されるように、胴体部18と湾曲した形状の透明カバー12で覆われた形状をしている。そして、通常は、監視対象とする施設の天井などに透明カバー12が下向き(図3のy方向)になるように取り付ける。
【0007】
ドーム型カメラの旋回機構の駆動部は、図4に示されるように、撮像部13、および、撮像部13を取り付けるベース14、それらを旋回させるモータ15、プーリ16、および、ベルト17で構成され、撮像部の回転軸11を中心に回転するようになっている。
【0008】
図3に示されるように、撮像部の回転軸11は、透明カバーの中心位置20を通る回転軸11′とは一致せず、湾曲した透明カバー12の内面に寄せて、回転軸11′よりも、下方に配置されている。これは、撮像部のレンズが水平方向を向いた際の画像にケラレをなくすためである。ケラレとは、レンズの本来の設計上は想定していないような使用法によって、周辺が暗くなることをいう。
【0009】
しかしながら、透明カバーの方向に寄せた回転軸11では、透明カバーの中心位置20を通っておらず、レンズと透明カバーとの距離を一定に保つことが不可能になり、画像に歪みが発生してしまうという問題点がある。
【0010】
レンズと透明カバーとの距離を一定に保つためには、撮像部の回転軸11を湾曲した透明カバー12の中心を通る位置に設定すればよい。しかしながら、水平方向の画像に対してケラレが発生してしまうという問題点がある。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、撮像部が透明カバーで覆われたドーム型カメラにおいて、レンズを水平方向に向けたときに、ケラレを発生させることなく、かつ、レンズと透明カバーとの距離を一定に保つことにより、画像に歪みを生じさせず、高品質な画像を移すことができるドーム型カメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のドーム型カメラは、撮像部が湾曲した透明カバーで覆われ、撮像部を駆動部のモータによって旋回させて、透明カバー方向に、撮像部のレンズを向けて撮像するドーム型カメラであり、モータの回転を第一の歯車を伝えて、撮像部を旋回させ、かつ、モータの回転を第二の歯車を伝えて、第二の歯車の回転をラックの上下運動に変えて、ラックにより撮像部を上下方向に移動するようにする。
【0013】
これにより、撮像部のレンズと透明カバーの距離を一定に保ち、レンズと透明カバーの距離が不均一になることによる映像の歪みを防止し、高品質な画像を映し出すことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撮像部が透明カバーで覆われたドーム型カメラにおいて、レンズを水平方向に向けたときに、ケラレを発生させることなく、かつ、レンズと透明カバーとの距離を一定に保つことにより、画像に歪みを生じさせず、高品質な画像を移すことができるドーム型カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るドーム型カメラの旋回機構の駆動部の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るドーム型カメラの断面図で、撮像部のレンズの角度を変えたときを対比して示した図である。
【図3】従来技術に係るドーム型カメラの断面図である。
【図4】従来技術に係るドーム型カメラの旋回機構の駆動部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1および図2を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドーム型カメラの旋回機構の駆動部の斜視図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るドーム型カメラの断面図で、撮像部のレンズの角度を変えたときを対比して示した図である。
図1は、本発明のカメラ旋回機構の駆動部を示す外観図である。
【0017】
撮像部1のレンズ19が透明カバー12との距離を一定に保つようにカメラを上下させるため、撮像部回転用の歯車とは、別に撮像部1を上下に移動させる歯車3およびラック4が設けられている。撮像部を回転させるモータ5の回転は、歯車6を介して歯車7に伝達され、同じ軸上に構成されたウォームギア8を介してウォームホイール9に回転伝達され、撮像部1の回転をおこなう。また、歯車6は、カメラ1を上下に移動させるための歯車3ともかみ合っており、ラック4によりカメラ1を上下方向に動作させる。
【0018】
レンズ19が水平方向(x方向)に向く場合には、撮像部と透明カバー12との位置関係は、図2(a)に示されるようになり、レンズと透明カバー12との距離は、距離Aとなる。そして、この回転動作と上下動作を同期させることにより、レンズが垂直方向(y方向)に向く場合には、図2(b)に示されるように、レンズと透明カバーの距離が一定になるように、撮像部1の回転に連動して、撮像部1が上下方向へ移動し、レンズ19と透明カバー12の距離Bを距離Aと同じになるように調整する。これにより、透明カバー12とレンズ19との距離を一定に保つことができ、歪みのない安定した画像を取得できるようになる。
【符号の説明】
【0019】
1…撮像部、2…ベース、3…歯車、4…ラック、5…モータ、6…歯車、7…歯車、8…ウォームギア、9…ウォームホイール、
11,11′…撮像部回転軸、12…透明カバー、13…カメラ、14…取付けベース、15…モータ、16…プーリ、17…ベルト、18…胴体部、19…レンズ、20…透明カバーの中心位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部が湾曲した透明カバーで覆われ、前記撮像部を駆動部のモータによって旋回させて、透明カバー方向に、前記撮像部のレンズを向けて撮像するドーム型カメラにおいて、
前記モータの回転を第一の歯車を伝えて、前記撮像部を旋回させ、かつ、前記モータの回転を第二の歯車を伝えて、前記第二の歯車の回転をラックの上下運動に変えて、前記ラックにより前記撮像部を上下方向に移動するようにしたドーム型カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−124706(P2011−124706A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279566(P2009−279566)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】