説明

ナイセリアのタンパク質の異種発現

【課題】Neisseria meningitidisまたはNeisseria
gonorrhoeaeのタンパク質の異種発現に対する代替的または改善されたアプローチ。これらのアプローチは、代表的には、発現レベル、精製の容易さ、細胞局在化、および/または発現されたタンパク質の免疫学的性質に影響を与える。
【解決手段】例えば、本発明は、(a)本発明のタンパク質の少なくとも1つのドメインが除去されており、そして必要に応じて、(b)融合パートナーが使用されない、本発明のタンパク質の異種発現の方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で引用される全ての文書は、その全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、タンパク質発現の分野にある。特に、本発明は、Neisseria(例えば、N.gonorrhoeaeまたは好ましくはN.meningitidis)由来のタンパク質の異種発現に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
特許文献1、特許文献2特許文献3および特許文献4は、Neisseria meningitidisおよびNeisseria gonorrhoeae由来のタンパク質を開示する。これらのタンパク質は、代表的には、N末端GST融合物またはC末端Hisタグ融合物のいずれかとして、E.coli中で発現される(すなわち、異種発現)と記載されるが、他の発現系(ネイティブのNeisseriaでの発現を含む)もまた開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/24578号
【特許文献2】国際公開第99/36544号
【特許文献3】国際公開第99/57280号
【特許文献4】国際公開第00/22430号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、これらのタンパク質の異種発現のための代替的なおよび改善されたアプローチを提供することである。これらのアプローチは、代表的には、発現のレベル、精製の容易さ、発現の細胞局在、および/または発現されたタンパク質の免疫学的特性に影響を及ぼす。また、本発明は以下を提供する:
(項目1) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで、(a)該タンパク質の少なくとも1つのドメインが欠失されており、そして必要に応じて、(b)融合パートナーが使用されない、方法。
(項目2) 前記本発明のタンパク質がORF46である、項目1に記載の方法。
(項目3) ORF46が、第1のドメイン(1〜433のアミノ酸)と第2のドメイン(433〜608のアミノ酸)に分割される、項目2に記載の方法。
(項目4) 前記本発明のタンパク質が564である、項目2に記載の方法。
(項目5) タンパク質564が図8に示したようなドメインに分割される、項目4の方法。
(項目6) 前記本発明のタンパク質が961である、項目1に記載の方法。
(項目7) タンパク質961が図12に示されるようなドメインで分割される、項目6に記載の方法。
(項目8) 前記本発明のタンパク質が502であり、そして前記ドメインが(MC58配列に従った番号において)28〜167のアミノ酸である、項目1に記載の方法。
(項目9) 前記本発明のタンパク質が、287である、項目1に記載の方法。
(項目10) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで(a)該タンパク質のN末端ドメインの一部分が欠失されている、方法。
(項目11) タンパク質287が、図5にしめされるドメインA、ドメインB、およびドメインCに分割される、項目9または10に記載の方法。
(項目12) (i)ドメインA、(ii)ドメインAおよびB、または(iii)ドメインAおよびCが、欠失される、項目11の方法。
(項目13) 項目11に記載の方法であって、ここで、ドメインAにいて、(i)1〜17のアミノ酸、(ii)1〜25のアミノ酸、(iii)1〜69のアミノ酸、または(iv)1〜106のアミノ酸が、欠失される、方法。
(項目14) 本発明のタンパク質の異種発現の方法であって、ここで(a)融合パートナーが使用されないか、および
(b)存在する場合、該タンパク質の天然のリーダーペプチドが使用される、
方法。
(項目15) 項目14に記載の方法であって、ここで、
前記本発明のタンパク質が以下:
111、149、206、225−1、235、247−1、274、283、
286、292、401、406、502−1、503、519−1、525−1、552、556、557、570、576−1、580、583、664、759、907、913、920−1、936−1、953、961、983、989、Orf4、Orf7−1、Orf9−1、Orf23、Orf25、Orf37、Orf38、Orf40、Orf40.1、Orf40.2、Orf72−1、Orf76−1、Orf85−2、Orf91、Orf97−1、Orf119、Orf143.1、NMB0109、NMB2050、008、105、117−1、121−1、122−1、128−1、148、216、243、308、593、652、726、926、982、Orf83−1およびOrf43−1、
からなる群より選択される、方法。
(項目16) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで(a)該タンパク質のリーダーペプチドが、異なるタンパク質由来のリーダーペプチドにより置換され、そして、必要に応じて(b)融合パートナーが使用されない、方法。
(項目17) 前記異なるタンパク質が、961、ORF4、E.coli OmpA、またはE.carotovora PelBであるか、または前記リーダーペプチドがMKKYLFSAAである、項目16に記載の方法。
(項目18) 前記異なるタンパク質が、E.coli OmpAであり、そして前記本発明のタンパク質がORF1である、項目17に記載の方法。
(項目19) 前記本発明のタンパク質が911であり、そして前記異なるタンパク質がE.carotovora PelBまたはE.coli OmpAである、項目17に記載の方法。
(項目20) 前記異なるタンパク質が、ORF4であり、そして前記本発明のタンパク質が287である、項目17に記載の方法。
(項目21) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで、(a)該タンパク質のリーダーペプチドが欠失されており、そして必要に応じて、(b)融合パートナーが使用されない、方法。
(項目22) 前記本発明のタンパク質が919である、項目21に記載の方法。
(項目23) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで本発明のタンパク質の発現が、該タンパク質の有毒活性が現れない温度で、実行される、方法。
(項目24) タンパク質919が30℃で発現される、項目23に記載の方法。
(項目25) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、タンパク質が有毒活性を減少するか、または除去するように変異される、方法。
(項目26) 前記本発明のタンパク質が、907、919、または9222である、項目25に記載の方法。
(項目27) 907が、Glu−117で変異(例えば、Glu→Gly)した、項目26に記載の方法。
(項目28) 919が、Glu−255での変異(例えば、Glu→Gly)および/またはGlu−323での変異(例えば、Glu→Gly)をした、項目26に記載の方法。
(項目29) 922が、Glu−164での変異(例えば、Glu→Gly)、Ser−213での変異(例えば、Ser→Gly)および/またはAsn−348での変異(例えば、Asn→Gly)をした、項目26に記載の方法。
(項目30) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここでベクターpSM214が使用されるか、またはベクターpET−24bが使用される、方法。
(項目31) 前記本発明のタンパク質が953であり、そして前記ベクターがpSM214である、項目30に記載の方法。
(項目32) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで、タンパク質が特定の多量体形態を取るように、該タンパク質が発現されるか、または精製される、方法。
(項目33) タンパク質953が単量体形態で発現され、そして/またはタンパク質953が単量体形態で精製される、項目32に記載の方法。
(項目34) タンパク質961が四量体形態で発現され、そして/またはタンパク質961が四量体形態で精製される、項目32に記載の方法。
(項目35) タンパク質287が二量体形態で発現され、そして/またはタンパク質287が二量体形態で精製される、項目32に記載の方法。
(項目36) タンパク質919が単量体形態で発現され、そして/またはタンパク質919が単量体形態で精製される、項目32に記載の方法。
(項目37) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで該タンパク質が、脂質化タンパク質として発現される、方法。
(項目38) 前記本発明のタンパク質が919、287、ORF4、406、567またはORF25である、項目37に記載の方法。
(項目39) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、ここで(a)該タンパク質のC末端領域が変異されており、そして必要に応じて(b)融合パートナーが使用されない、方法。
(項目40) 前記変異が、置換、挿入、または欠失である、項目39に記載の方法。
(項目41) 前記本発明のタンパク質が、730、ORF29またはORF46である、項目40に記載の方法。
(項目42) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、該タンパク質のリーダーペプチドが変異される、方法。
(項目43) 前記本発明のタンパク質が919である、項目42に記載の方法。
(項目44) 本発明のタンパク質の異種発現のための方法であって、該タンパク質中のポリグリシンストレッチが変異された、方法。
(項目45) 前記タンパク質が、本発明のタンパク質である、項目44に記載の方法。
(項目46) 前記本発明のタンパク質が、287、741、983またはTbp2である、項目45に記載の方法。
(項目47) (Gly)が287または983から欠失された、項目46に記載の方法。
(項目48) (Gly)がTbp2または741から欠失された、項目46に記載の方法。
(項目49) リーダーペプチドもまた欠失された、項目47または48に記載の方法。
(項目50) 前記異種発現がE.coli宿主の中に存在する、項目1〜49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51) 項目1〜50のいずれか1項に記載の方法により発現されたタンパク質。
(項目52) N末端アミノ酸配列MKKYLFSAAを含む、異種タンパク質。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、異種リーダーペプチドを使用してタンパク質を発現させるために使用された構築物を示す。
【図2】図2は、異種リーダーペプチドを使用してタンパク質を発現させるために使用された構築物を示す。
【図3】図3は、ORF1についての発現データを示す。
【図4】図4は、タンパク質961についての類似の発現データを示す。
【図5】図5は、タンパク質287のドメインを示す。
【図6】図6は、ドメインA内の欠失を示す。
【図7】図7は、ドメインA内の欠失を示す。
【図8】図8は、タンパク質564のドメインを示す。
【図9】図9は、919リーダーペプチドによって駆動されるPhoCレポーター遺伝子を示す。
【図10】図10は、919リーダーペプチドの変異体を使用して得られた結果を示す。
【図11】図11は、タンパク質730の挿入変異体を示す(A:730−C1;B:730−C2)。
【図12】図12は、タンパク質961のドメインを示す。
【図13】図13は、ΔGタンパク質のSDS−PAGEを示す。点は、主な組換え産物を示す。
【図14−1】図14は、本発明に従った26個のハイブリッドタンパク質を示す。
【図14−2】 図14は、本発明に従った26個のハイブリッドタンパク質を示す。
【図14−3】 図14は、本発明に従った26個のハイブリッドタンパク質を示す。
【図14−4】 図14は、本発明に従った26個のハイブリッドタンパク質を示す。
【図14−5】 図14は、本発明に従った26個のハイブリッドタンパク質を示す。
【図14−6】 図14は、本発明に従った26個のハイブリッドタンパク質を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の開示)
(本明細書中での用語)
WO99/24578、WO99/36544およびWO99/57280において開示された2166のタンパク質配列は、以下の配列番号により本明細書中で言及される:
【0008】
【表1】


この配列番号の番号付けに加えて、WO99/24578、WO99/365
44およびWO99/57280において用いられた命名の取り決めもまた用い
られる(例えば、WO99/24578およびWO99/36544で用いられ
ように「ORF4」、「ORF40」、「ORF40−1」など;WO99/5
7280において用いらるように「m919」、「g919」および「a919
」など)。
【0009】
Tettelinら[Science(2000)287:1809−181
5]の2160のタンパク質NMB0001〜NMB2160は、本明細書中で
配列番号2167〜4326として言及される[WO00/66791もまた参
照のこと]。
【0010】
本明細書中で用いられる場合、用語「本発明のタンパク質」とは、以下を含む
タンパク質をいう:
(a)配列番号1〜4326の配列のうちの1つ;または
(b)配列番号1〜4326の配列のうちの1つに対する配列同一性を有する
配列;または
(c)配列番号1〜4326のうちの1つのフラグメント。
【0011】
(b)において言及される「配列同一性」の程度は、好ましくは、50%より
大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%以上)。こ
れは、変異体および対立遺伝子改変体を含む[例えば、WO00/66741を
参照のこと]。同一性は、好ましくは、MPSRCHプログラム(Oxford
Molecular)で実行されるようなSmith−Waterman相同
性検索アルゴリズムにより、パラメーター、ギャップオープンペナルティー=1
2およびギャップ伸長ペナルティー=1を用いたアフィンギャップ検索を用いて
決定される。代表的には、2つのタンパク質間の50%以上の同一性が、機能的
等価の指標とみなされる。
【0012】
(c)で言及される「フラグメント」は、配列番号1〜4326の1つに由来
する少なくともn個の連続するアミノ酸を含むべきである。そして特定の配列に
依存して、nは7以上である(例えば、8、10、12、14、16、18、2
0、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100以上)。
好ましくは、このフラグメントは、配列番号1〜4326のうちの1つに由来す
るエピトープを含む。好ましいフラグメントは、WO00/71574およびW
O01/04316に開示されるフラグメントである。
【0013】
本発明の好ましいタンパク質は、N.meningitidis血清群Bにお
いて見出される。
【0014】
本発明に従う使用に好ましいタンパク質は、血清群BのN.meningit
idis 2996株または394/98株(New Zealand株)のタ
ンパク質である。他に述べられなければ、本明細書中で言及されるタンパク質は
、N.meningitidis 2996株に由来する。しかし本発明は、概
して株により限定されないことが理解される。特定のタンパク質(例えば、「2
87」、「919」など)に対する言及は、任意の株に由来するタンパク質を含
むとみなされ得る。
【0015】
(非融合物発現)
異種発現に対する第1のアプローチにおいて、融合パートナーは用いられず、
ネイティブのリーダーペプチド(存在する場合)が用いられる。これは、代表的
には、融合パートナーに由来する任意の「干渉」を防止し、異種宿主における細
胞局在および/または翻訳後修飾および/または折りたたみを変化させ得る。
【0016】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供する。
この方法において、(a)融合パートナーは用いられず、そして(b)そのタン
パク質のネイティブなリーダーペプチド(存在する場合)が用いられる。
【0017】
この方法は、代表的には、本発明のタンパク質を発現するベクターを調製し、
その結果、第1の発現されたアミノ酸がこのタンパク質の最初のアミノ酸(メチ
オニン)であり、そして最後に発現されたアミノ酸がこのタンパク質の最後のア
ミノ酸(すなわち、ネイティブな停止コドンの前にあるコドン)である工程を包
含する。
【0018】
このアプローチは、好ましくは、ネイティブなリーダーペプチドを用いて以下
のタンパク質の発現について用いられる:111、149、206、225−1
、235、247−1、274、283、286、292、401、406、5
02−1、503、519−1、525−1、552、556、557、570
、576−1、580、583、664、759、907、913、920−1
、936−1、953、961、983、989、Orf4、Orf7−1、O
rf9−1、Orf23、Orf25、Orf37、Orf38、Orf40、
Orf40.1、Orf40.2、Orf72−1、Orf76−1、Orf8
5−2、Orf91、Orf97−1、Orf119、Orf143.1、NM
B0109およびNMB2050。タンパク質の名称において本明細書中で用い
られる接尾辞「L」は、ネイティブなリーダーペプチドを用いた様式における発
現を示す。
【0019】
好ましくは、融合パートナーを用いないこのアプローチを用いて発現され、か
つネイティブなリーダーペプチドを有さないタンパク質としては、以下が挙げら
れる:008、105、117−1、121−1、122−1、128−1、1
48、216、243、308、593、652、726、926、982、O
rf83−1およびOrf143−1。
【0020】
有利には、ORF25またはORF40の発現について用いられ、GST融合
物またはHis融合物より良好な抗細菌抗体を誘導するタンパク質を生じる。
【0021】
このアプローチは、特に、リポタンパク質を発現するために適切である。
【0022】
(リーダーペプチド置換)
異種発現に対する第2のアプローチにおいて、本発明のタンパク質のネイティ
ブなリーダーペプチドは、異なるタンパク質のリーダーペプチドにより置換され
る。さらに、融合パートナーを用いないことが好ましい。タンパク質自身のリー
ダーペプチドを異種宿主において用いると、しばしばその「天然の」細胞位置に
このタンパク質を局在させることができるが、いくらかの場合、リーダー配列は
、異種宿主によって効率的に認識されない。そのような場合、タンパク質を効率
的に標的化させることが公知のリーダーペプチドが、代わりに用いられ得る。
【0023】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供する。
この方法において、(a)このタンパク質のリーダーペプチドは、異なるタンパ
ク質由来のリーダーペプチドにより置換され、そして必要に応じて、(b)融合
パートナーは用いられない。
【0024】
この方法は、代表的には、本発明のタンパク質をコードする核酸を得る工程;
この核酸を操作して、このタンパク質のリーダーペプチドをコードする核酸を除
去し、異なるタンパク質のリーダーペプチドをコードするヌクレオチドを導入す
る工程を包含する。得られた核酸は、発現ベクターに挿入されるか、または既に
発現ベクターの一部分であり得る。発現されたタンパク質は、N末端における置
換リーダーペプチド、続いて、リーダーペプチドがない本発明のタンパク質から
なる。
【0025】
このリーダーペプチドは、好ましくは、本発明の別のタンパク質(例えば、配
列番号1〜4326のうちの1つ)に由来するが、例えば、E.coliタンパ
ク質由来(例えば、OmpAリーダーペプチド)またはErwinia car
otovaraタンパク質(PelBリーダーペプチド)でもあり得る。
【0026】
特に有用な置換リーダーペプチドは、ORF4のリーダーペプチドである。こ
のリーダーは、E.coliにおける脂質化を方向付け得、細胞局在を改善し得
、そしてタンパク質287、919およびΔG287の発現に特に有用である。
このリーダーペプチドおよび961のN末端ドメインはまた、特に有用である。
【0027】
別の有用な置換リーダーペプチドは、E.coli OmpAのリーダーペプ
チドである。このリーダーは、E.coliの膜局在化を方向付け得る。これは
ORF1の発現について特に有利であり、融合物および自身のリーダーペプチド
から発現されたタンパク質の両方より良好な抗細菌抗体を誘導するタンパク質を
生じる。
【0028】
別の有用な置換リーダーペプチドは、MKKYLFSAAである。これは、分
泌物を培養培地へ方向付け得、そして非常に短くかつ活性である。このリーダー
ペプチドの使用は、Neisseriaタンパク質の発現に限定されない。すな
わち、任意のタンパク質(特に、細菌タンパク質)の発現を方向付けるために用
いられ得る。
【0029】
(リーダーペプチド欠失)
異種発現に対する第3のアプローチにおいては、本発明のタンパク質のネイテ
ィブなリーダーペプチドが、欠失される。さらに、融合パートナーを用いないこ
とが好ましい。
【0030】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供し、こ
の方法において、(a)このタンパク質のリーダーペプチドを欠失し、そして必
要に応じて(b)融合パートナーを用いない。
【0031】
この方法は、代表的には、以下の工程を包含する:本発明のタンパク質をコー
ドする核酸を得る工程;この核酸を操作して、このタンパク質のリーダーペプチ
ドをコードするヌクレオチドを除去する工程。得られる核酸は、発現ベクターに
挿入され得るか、または既に発現ベクターの一部であり得る。発現されたタンパ
ク質の最初のアミノ酸は、成熟なネイティブタンパク質のアミノ酸である。
【0032】
この方法は、発現のレベルを増大させ得る。タンパク質919に関しては、例
えば、E.coliにおける発現レベルは、リーダーペプチドが欠失される場合
にはるかに高い。増加した発現は、リーダーペプチドの非存在下での変化した局
在の原因であり得る。
【0033】
この方法は、好ましくは、919、ORF46、961、050−1、760
および287の発現のために用いられる。
【0034】
(ドメインベースの発現)
異種発現に対する第4のアプローチにおいて、このタンパク質は、ドメインと
して発現される。これは、融合系と関連して用いられ得る(例えば、GST融合
物またはHisタグ融合物)。
【0035】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供する。
この方法において(a)このタンパク質の少なくとも1つのドメインが欠失され
、そして必要に応じて(b)融合パートナーは用いられない。
【0036】
この方法は、代表的には、以下の工程を包含する:本発明のタンパク質をコー
ドする核酸を得る工程;この核酸を操作して、このタンパク質内の少なくとも1
つのドメインを除去する工程。得られる核酸は、発現ベクターに挿入され得るか
、または既に発現ベクターの一部であり得る。融合パートナーが用いられない場
合、発現されたタンパク質の最初のアミノ酸は、このタンパク質のドメインの最
初のアミノ酸である。
【0037】
タンパク質は、代表的には、このタンパク質をデータベースにおける公知の配
列と整列させ、次いで、互いに異なる整列パターンを示すタンパク質の領域を決
定することにより概念的なドメインに分けられる。
【0038】
この方法は、好ましくは、タンパク質287の発現に用いられる。このタンパ
ク質は、3つのドメイン(A、BおよびCといわれる(図5を参照のこと))に
概念的に分割され得る。ドメインBは、IgAプロテアーゼと強く整列し、ドメ
インCは、トランスフェリン結合タンパク質と強く整列し、そしてドメインAは
、データベース配列との強い整列は示さない。287の多型形態の整列は、WO
00/66741に開示される。
【0039】
一旦タンパク質がドメインに分けられると、これらは、(a)単に発現され得
るか、(b)タンパク質から欠失され得る(例えば、タンパク質ABCD→AB
C、ACD、BCDなど)か、または(c)再配置(例えば、タンパク質ABC
→ACB、CABなど)され得る。これらの3つのストラテジーは、所望の融合
パートナーと組み合わされ得る。
【0040】
ORF46はまた、概念的に、2つのドメイン−種と血清群との間で十分に保
存されている第1のドメイン(アミノ酸1−433)、および十分に保存されて
いない第2のドメイン(アミノ酸433−608)、に分けられる。第2のドメ
インは、好ましくは欠失される。ORF46の多型形態のアラインメントは、W
O00/66741に開示されている。
【0041】
タンパク質564はまた、複数のドメインに分けられ(図8)、タンパク質9
61(図12)およびタンパク質502(MC58タンパク質のアミノ酸28−
167)も同様である。
【0042】
(ハイブリッドタンパク質)
異種発現についての第5の取り組みにおいて、本発明の2つ以上(例えば、3
,4,5,6、またはそれ以上)のタンパク質が、単一のハイブリッドタンパク
質として発現される。非ナイセリア融合パートナー(例えば、GSTまたはポリ
His)が用いられることが好ましい。
【0043】
これは、2つの利点を提供する。第1に、それ単独では不安定であり得るか、
またはほとんど発現され得ないタンパク質が、この問題を克服する安定なハイブ
リッドハートナーを加えることにより、補助され得る。第2に商業的な製造が簡
易化される−2つの別々に有用なタンパク質を製造するために、1回のみの発現
および精製が行なわれることが必要とされる。
【0044】
従って、本発明は、2つ以上の本発明のタンパク質の同時異種発現のための方
法を提供する。この方法において、2つ以上の本発明のタンパク質は、融合され
る(すなわち、それらは、単一のポリペプチド鎖として翻訳される)。
【0045】
この方法は、代表的に以下の工程を包含する:本発明の第1のタンパク質をコ
ードする第1の核酸を獲得する工程;本発明の第2のタンパク質をコードする第
2の核酸を獲得する工程;第1の核酸および第2の核酸を連結する工程。得られ
る核酸は、発現ベクターに挿入され得るか、またはすでに発現ベクターの一部で
あり得る。
【0046】
好ましくは、本発明に従うハイブリッドタンパク質の構成タンパク質は、同じ
株由来である。
【0047】
ハイブリッドにおいて融合されるタンパク質は、直接的に連結され得るか、ま
たはリンカーペプチドを介して(例えば、ポリグリシンリンカー(すなわち、G
、ここでn=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)を介して、
またはクローニングを容易にする短いペプチド配列を介して)連結され得る。ポ
リグリシンリンカーのC末端にΔGタンパク質を連結しないことが、明らかに好
ましい。
【0048】
融合タンパク質は、ネイティブのリーダーペプチドを欠失し得るか、またはN
末端融合パートナーのリーダーペプチド配列を含み得る。
【0049】
この方法は、タンパク質orf1、orf4、orf25、orf40、Or
f46/46.1、orf83、233、287、292L、564、687、
741、907、919、953、961、および983の発現に十分適してい
る。
【0050】
NH−A−B−COOH形態の、以下の表において「X」により示される4
2個のハイブリッドが好ましい。
【0051】
【表2】


従って、ハイブリッドとして発現される好ましいタンパク質は、ORF46.
1、287、741、919、953、961、および983である。これらは
、それらの本質的な全長形態で用いられ得るか、またはポリグリシン欠損(ΔG
)形態が用いられ得るか(例えば、ΔG−287、ΔGTbp2、ΔG741、
ΔG983など)、もしくは、短縮された形態が用いられ得るか(例えば、Δ1
−287、Δ2−287など)、あるいは、ドメイン欠損バージョンが用いられ
得る(例えば、287B、287C、287BC、ORF461−433、OR
F46433−608、ORF46,961cなど)。
【0052】
特に、以下が好ましい:(a)919および287を含むハイブリッドタンパ
ク質;(b)953および287を含むハイブリッドタンパク質;(c)287
およびORF46.1を含むハイブリッドタンパク質;(d)ORF1およびO
RF46.1を含むハイブリッドタンパク質;(e)919およびORF46.
1を含むハイブリッドタンパク質;(f)ORF46.1および919を含むハ
イブリッドタンパク質;(g)ORF46.1、287、および919を含むハ
イブリッドタンパク質;(h)919および519を含むハイブリッドタンパク
質;および(i)ORF97および225を含むハイブリッドタンパク質。さら
なる実施形態は、図14に示される。
【0053】
287が用いられる場合、ハイブリッドのC末端で用いられることが好ましい
;287がN末端で用いられる場合、287のΔG形態が用いられる(例えば、
ORF46.1、919、953、または961とのハイブリッドのN末端とし
て)ことが好ましい。
【0054】
287が用いられる場合、好ましくはこれは、2996株由来であるか、また
は394/98株由来である。
【0055】
961が用いられる場合、好ましくはこれは、そのN末端である。961のド
メイン形態が用いられ得る。
【0056】
ORF46、287、919、および953の多型形態のアラインメントは、
WO00/66741に開示されている。任意のこれらの多型が、本発明に従い
用いられ得る。
【0057】
(温度)
異種発現についての6番目の取り組みにおいて、本発明のタンパク質は、低温
にて発現される。
【0058】
発現されたナイセリアタンパク質(例えば919)は、E.coliに対して
有毒であり得、これは、その有毒活性が現れない温度にて、その有毒なタンパク
質を発現させることにより、回避され得る。
【0059】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供し、こ
の方法において、本発明のタンパク質の発現は、このタンパク質の有毒な活性が
現れない温度にて実施される。
【0060】
好ましい温度は、30℃付近である。これは、919の発現に特に適している

【0061】
(変異)
上記のように、発現されたナイセリアタンパク質は、E.coliに対して有
毒であり得る。この毒性は、この有毒な活性を減少または消滅させるようにこの
タンパク質を変異することにより回避され得る。特に、毒性の酵素活性を減少ま
たは消滅させるための変異が、好ましくは、部位特異的変異誘発を使用して、用
いられ得る。
【0062】
従って、異種発現についての7番目の取り組みにおいて、発現されたタンパク
質は、有毒な活性を減少または消滅させるために変異される。
【0063】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供し、こ
の方法において、タンパク質は、有毒な活性を減少または消滅させるために変異
される。
【0064】
好ましくはこの方法は、タンパク質907、919、または922の発現のた
めに用いられる。907における好ましい変異は、Glu−117での変異(例
えば、Glu→Gly)であり;919における好ましい変異は、Glu−25
5での変異(例えば、Glu→Gly)および/またはGlu−323での変異
(例えば、Glu→Gly)であり;922における好ましい変異は、Glu−
164での変異(例えば、Glu→Gly)、Ser−213での変異(例えば
、Ser→Gly)、および/またはAsn−348での変異(例えば、Asn
→Gly)である。
【0065】
(代替のベクター)
異種発現についての8番目の取り組みにおいて、代替のベクターが、このタン
パク質を発現させるために用いられた。これは、発現の収率を改善するためであ
り、例えば、GMPでの使用についてすでに承認されているプラスミドを利用す
ることであり得る。
【0066】
従って、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供し、こ
の発明において、代替のベクターが用いられる。この代替のベクターは、好まし
くはpSM214であり、融合パートナーを伴わない。リーダーペプチドは、含
まれても含まれなくてもよい。
【0067】
このアプローチは、特にタンパク質953に有用である。pSM214から発
現された953のネイティブなリーダーペプチドを有する953の発現および局
在化は、pETベクターよりもかなり良好である。
【0068】
pSM214はまた、以下:ΔG287、Δ2−287、Δ3−287、Δ4
−287、Orf46.1、961L、961、961(MC58)、961c
−L、919、953およびΔG287−Orf46.1とともに用いられ得る

【0069】
別の適切なベクターは、pET−24b(Novagen;カナマイシン耐性
を用いる)であり、ここでも融合パートナーを用いない。pET−24bは、以
下:ΔG287、Δ2−287K、Δ3−287K、Δ4−287K、Orf4
6.1K、Orf46A−K、961−K(MC58)、961a−K、961
b−K、961c−K、961c−L−K、961d−K、ΔG287−919
−K、ΔG287−Orf46.1−KおよびΔ287−961−Kとともに用
いるのに好ましい。
【0070】
(多量体形態)
異種発現に対する9番目のアプローチでは、タンパク質が、特定の多量体形態
をとるように、発現されるかまたは精製される。
【0071】
このアプローチは、タンパク質953に特に適切である。953(単量体形態
)の特定の1つの多量体形態の精製によって、他の形態(二量体形態)よりも大
きい殺菌活性を有するタンパク質が得られる。
【0072】
タンパク質287および919は、二量体形態で精製され得る。
【0073】
タンパク質961は、180kDaのオリゴマー形態(例えば、テトラマー(
四量体))で精製され得る。
【0074】
(脂質化(lipidation))
異種発現に対する10番目のアプローチでは、タンパク質が脂質化されたタン
パク質として発現される。
【0075】
このように、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供す
る。この方法では、タンパク質は脂質化されたタンパク質として発現される。
【0076】
これは、特に919、287、ORF4、406、576−1およびORF2
5の発現に有用である。919、287、およびORF4のポリマー形態は、W
O00/66741に開示される。
【0077】
この方法は、代表的に、N末端融合パートナーは用いないで、適切なリーダー
ペプチドの使用を包含する。
【0078】
(C末端欠失)
異種発現に対する11番目のアプローチでは、本発明のタンパク質のC末端が
変異している。さらに、融合タンパク質を用いないことが好ましい。
【0079】
このように、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供す
る。この方法では、(a)タンパク質のC末端領域が変異しており、そして必要
に応じて、(b)融合タンパク質を用いない。
【0080】
この方法は、代表的に、以下の工程:本発明のタンパク質をコードする核酸を
入手する工程;この核酸を操作して、タンパク質のC末端部分をコードするヌク
レオチドを変異させる工程、を包含する。得られた核酸は、発現ベクター中に挿
入され得るか、またはすでに発現ベクターの一部であり得る。発現されたタンパ
ク質の最初のアミノ酸は、成熟したネイティブタンパク質の最初のアミノ酸であ
る。
【0081】
この変異は、置換、挿入、または好ましくは欠失であり得る。
【0082】
この方法は、特にタンパク質730、ORF29、およびORF46について
、発現のレベルを増大させ得る。タンパク質730について、C末端領域の、お
よそ65〜およそ214のアミノ酸が欠失され得る;ORF46については、C
末端領域のおよそ175アミノ酸が欠失され得る;ORF29については、C末
端が欠失されて、およそ230〜370のN末端アミノ酸が残され得る。
【0083】
(リーダーペプチド変異)
異種発現に対する12番目のアプローチでは、本発明のタンパク質のリーダー
ペプチドが変異している。これは、特にタンパク質919の発現に有用である。
【0084】
このように、本発明は、タンパク質のリーダーペプチドが変異している、本発
明のタンパク質の異種発現のための方法を提供する。
【0085】
この方法は、代表的に、以下の工程:本発明のタンパク質をコードする核酸を
入手する工程;この核酸を操作して、リーダーペプチド内のヌクレオチドを変異
させる工程、を包含する。得られた核酸は、発現ベクター中に挿入され得るか、
またはすでに発現ベクターの一部であり得る。
【0086】
(ポリグリシン欠失)
異種発現に対する13番目のアプローチでは、野生型配列におけるポリグリシ
ン(poly−glycine)ストレッチが変異している。これが、タンパク
質発現を強化する。
【0087】
このポリグリシンストレッチは、配列(Gly)を有し、ここでn≧4(例
えば、5、6、7、8、9またはそれ以上)である。このストレッチは、(Gl
y)をバラバラにするかまたは除去するように変異される。これは、欠失(例
えば、CGGGGS→CGGGS、CGGS、CGSまたはCS)、置換(例え
ば、CGGGGS→CGXGGS、CGXXGS,CGXGXSなど)、および
/または挿入(例えば、CGGGGS→CGGXGGS、CGXGGGS、など
)によるものであってもよい。
【0088】
このアプローチは、Neisserialタンパク質(ナイセリアのタンパク
質)には限定されない。このアプローチは、異種発現を強化するため、任意のタ
ンパク質(特に細菌タンパク質)に用いられ得る。しかし、ナイセリアの(Ne
isserial)タンパク質について、このアプローチは、特に287、74
1、983およびTbp2を発現するのに適切である。287の多量体形態の整
列は、WO00/66741に開示されている。
【0089】
このように、本発明は、本発明のタンパク質の異種発現のための方法を提供す
る。この方法では、(a)タンパク質内のポリグリシンストレッチが変異されて
いる。
【0090】
この方法は、代表的に、以下の工程:本発明のタンパク質をコードする核酸を
入手する工程;この核酸を操作して、タンパク質内のポリグリシンストレッチを
コードするヌクレオチドを変異させる工程、を包含する。得られた核酸は、発現
ベクター中に挿入され得るか、またはすでに発現ベクターの一部であり得る。
【0091】
逆に、反対のアプローチ(すなわち、ポリグリシンストレッチの導入)を用い
て、所定の異種タンパク質の発現を抑制または減弱し得る。
【0092】
(異種宿主)
本発明のタンパク質の発現は、ネイティブな宿主(すなわち、このタンパク質
が天然に発現される生物体)に生じ得るが、本発明は異種の宿主を利用する。異
種宿主は、原核生物または真核生物であり得る。E.coliが好ましいが、他
の適切な宿主としては、Bacillus subtilis、Vibrio
cholerae、Salmonella typhi、Salmonenna
typhimurium、Neisseria meningitidis、
Neisseria gonorrhoeae、Neisseria lact
amica、Neisseria cinerea、Mycobacteria
(例えば、M.tuberculosis)、酵母など、が挙げられる。
【0093】
(ベクターなど)
上記の方法に加えて、本発明は、以下:(a)これらの方法に有用な核酸およ
びベクター、(b)このようなベクターを含む宿主細胞、(c)この方法によっ
て発現されるかまたは発現可能なタンパク質、(d)これらのタンパク質を含む
組成物(これは、例えば、ワクチンとして、または診断試薬として、または免疫
原性組成物として適切であり得る)、(e)医薬(例えば、ワクチン)として、
または診断試薬としての使用のためのこれらの組成物、(f)以下の製造におけ
るこれらの組成物の使用:(1)ナイセリア細菌による感染を処置または予防す
るための医薬、(2)ナイセリア細菌の存在、もしくはナイセリア細菌に対して
惹起された抗体の存在を検出するための診断試薬、および/または(3)ナイセ
リア細菌に対する抗体を惹起し得る試薬、(g)患者を処置する方法であって、
これらの組成物の治療上有効な量をこの患者に投与する工程を包含する、方法、
を提供する。
【0094】
(配列)
本発明はまた、以下の実施例に記載される任意の配列を有するタンパク質また
は核酸を提供する。本発明はまた、これらに同一な配列を有するタンパク質およ
び核酸もまた提供する。上記のように、「配列同一性」の程度は、好ましくは、
50%より大きい(例えば、60%、70%、80%、90%、95%、99%
、またはそれ以上)。
【0095】
さらに、本発明は、好ましくは、「高ストリンジェンシー」な条件(例えば、
0.1×SSC、0.5%SDS溶液中で65℃)下で、この実施例中に開示さ
れた核酸にハイブリダイズし得る核酸を提供する。
【0096】
本発明はまた、本発明によるタンパク質をコードする核酸を提供する。
【0097】
本発明が上記の核酸に相補的な配列を含む核酸を(例えば、アンチセンスまた
はプローブの目的で)提供することも理解されるべきである。
【0098】
本発明に従う核酸は、当然ながら、多くの方法で(例えば、ゲノムまたはcD
NAのライブラリーから、生物体自体からの、化学合成などによって)調製され
得、そして種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プローブなど)を
とり得る。
【0099】
さらに、用語「核酸」は、DNAおよびRNAを含み、そしてまたそれらのア
ナログ(例えば、改変骨格を含むもの)を含み、そしてまたペプチド核酸(PN
A)なども含む。
【実施例】
【0100】
(発明を実行するための様式)
(実施例1−919および919のリーダーペプチド)
N.meningitidis(血清型B、2996株)由来のタンパク質9
19は、以下の配列を有する。
【0101】
【化1】


リーダーペプチドには、下線を付した。
【0102】
他の株由来の919の配列は、WO00/66741の図7および図18に見
出され得る。
【0103】
WO99/57280の実施例2は、E.coliにおけるHis−融合とし
てのタンパク質919の発現を開示する。このタンパク質は、良好な表面曝露抗
原である。
【0104】
3つの代替の発現ストラテジーが919に対して用いられた:
1)そのリーダーペプチド(N末端の成熟したシステインなしの)およびいか
なる融合パートナーも有さない919(「919タグなし」):
【0105】
【化2】


このリーダーペプチドおよびシステインを、予測リーダー配列から下流の5’
末端増幅プライマーを設計することによって除外した。
【0106】
2)919自体のリーダーペプチドを有するが、いかなる融合パートナーも有
さない919(「919L」);および
3)ORF4由来のリーダーペプチド
【0107】
【化3】


を有する919(「919LOrf4」)
【0108】
【化4】


を、919に対して使用した。
【0109】
この構築物を作製するために、ORF4リーダーペプチドをコードする全配列
を、テイルとして5’−プライマー中に含んだ(プライマー919Lorf4
For)。NheI制限部位を、ORF4リーダーをコードする配列における2
個のヌクレオチド変化によって作製し(アミノ酸改変はない)、異なる遺伝子が
ORF4リーダーペプチド配列に融合されることを可能にした。終止コドンを、
3’末端プライマー配列の全てに含んだ。
【0110】
このタンパク質の3つの形態全てを発現し、精製し得た。
【0111】
「919L」および「919LOrf4」発現産物を、[H]−パルミテー
ト標識の取り込みによって示されるように、両方とも脂質化(lipidate
)した。919タグなしは、H標識を取り込まず、そして細胞内に位置した。
【0112】
919LOrf4を、919Lより容易に精製し得た。これを精製し、マウス
を免疫するために使用した。生じた血清は、FACSおよびELISA試験にお
いて、また、殺菌性のアッセイにおいても優れた結果を与えた。リポタンパク質
が、外膜に局在することを示した。
【0113】
919タグなしは、優れたELISA力価および高い血清の殺菌性活性を与え
た。FACSは、919タグなしの細胞表面の位置を確認した。
【0114】
(実施例2−919および発現温度)
919LOrf4タンパク質を発現するE.coliの37℃での増殖は、細
菌の溶解を生じた。この問題を克服するため、組換え細菌を30℃で増殖させた
。溶解を、発現を妨げることなく回避した。
【0115】
(実施例3−907、919および922の変異)
タンパク質907、919および922は、ムレイン加水分解酵素、より詳細
には溶解性トランスグリコシラーゼであると仮定された。ムレイン加水分解酵素
は、外膜に存在し、そしてペプチドグリカンの分解に関与する。
【0116】
従って、精製されたタンパク質919タグなし、919Lorf4、919−
His(すなわち、C末端のHisタグを有する)および922−Hisを、ム
レイン加水分解酵素活性について試験した[Ursinus&Holtje(1
994)J.Bact.176:338−343]。2つの異なるアッセイを使
用した。1つは、可溶ムロペプチドへの不溶ムレイン網状袋の分解を決定し、他
は、ポリ(MurNAc−GlcNAc)n>30グリカン鎖の崩壊を測定する。
【0117】
第一のアッセイは、基質としてメソ−2,6−ジアミノ−3,4,5−[
]ピメリン酸で放射性標識したムレイン網状袋を使用する。酵素(合計3〜10
μg)を、10mMのトリスマレアート(pH5.5)、10mMのMgCl
、0.2%v/vのTriton X−100および[H]Apm標識ムレ
イン網状袋(約10000cpm)を含む、100μlの合計容積で37℃で4
5分間インキュベートした。このアッセイ混合物を、15分間の1%w/vのN
−アセチル−N,N,N−トリメチルアンモニウム100μlと共に氷上に15
分間置き、そして10000gで15分間遠心分離してペレット化した材料を沈
殿させた。上清における放射能を、液体シンチレーションカウントによって測定
した。E.coliの可溶な溶解性トランスグリコシラーゼSlt70を、この
アッセイの陽性コントロールとして使用した;陰性コントロールは、酵素なしの
上記のアッセイ溶液を含んだ。
【0118】
919−His以外の全てのタンパク質は、第一のアッセイにおいて陽性の結
果を与えた。
【0119】
第二のアッセイは、ポリ(MurNAc−GlcNAc)グリカン鎖の加水分
解をモニターする。精製された鎖である、N−アセチル−D−1−[H]グル
コサミンで標識されたポリ(MurNAc−GlcNAc)n>30を、10m
Mのトリスマレアート(pH5.5)、10mMのMgCl、0.2%v/v
のTriton X−100中の3μgの919Lと共に、37℃で30分間イ
ンキュベートした。この反応を、5分間煮沸することによって停止させ、そして
このサンプルのpHを、10μlの20%v/vリン酸の添加によって約3.5
に調整した。基質および産物を、Harzら、[Anal.Biochem.(
1990)190:120−128]に記載されるように、Nucleosil
300 C18カラム上で逆相HPLCによって分離した。E.coliの溶
解性トランスグリコシラーゼ、Mlt Aを、このアッセイにおいて陽性コント
ロールとして使用した。陰性コントロールを、酵素の非存在下で実行した。
【0120】
このアッセイによって、単離されたグリカン鎖を加水分解する919LOrf
4の能力を、無水二糖類サブユニットがHPLCによってオリゴ糖から分離され
た場合に、実証した。
【0121】
タンパク質919Lorf4を、動力学的分析のために選択した。919Lo
rf4の活性は、アッセイ緩衝液中の0.2%v/vのTriton X−10
0の添加によって、3.7倍増強した。Triton X−100の存在は、9
19タグなしの活性に効果を有さなかった。酵素活性に対するpHの効果を、ト
リスマレアート緩衝液中で、5.0〜8.0の範囲にわたって決定した。反応の
ために最適なpHが、5.5であることを決定した。18℃〜42℃の範囲の温
度にわたって、最大の活性を、37℃で観察した。ムレイン加水分解酵素活性に
対する種々のイオンの効果を、10mMの最終濃度での種々のイオンの存在下で
反応を実行することによって決定した。最大の活性はMg2+で見出され、これ
は、活性を2.1倍刺激した。Mn2+およびCa2+もまた、酵素活性を類似
の程度に刺激したが、Ni2+およびEDTAの添加は、有意な効果を有しなか
った。対照的に、Fe2+およびZn2+の両方は、酵素活性を有意に阻害した。
【0122】
未標識のE.coliのムレイン網状袋の消化から生じる反応産物の構造を、
Glauner[Anal.Biochem.(1988)172:451−4
64]に記載のように、逆相HPLCによって分析した。ムラミダーゼCell
osylで消化したムレイン網状袋を、Hypersil ODSカラムを較正
し、そして標準化するために使用した。主な反応産物は、1,6無水二糖テトラ
ペプチドおよび1,6無水二糖トリペプチドであり、1,6無水ムラミン酸の分
子内結合の形成を実証する。
【0123】
これらの結果は、919がムレイン加水分解酵素であり、特に酵素の溶解性ト
ランスグリコシラーゼファミリーのメンバーであることを、実験的に実証する。
さらに、ムレイン網状袋を加水分解する922−Hisの能力は、このタンパク
質がまた、溶解性トランスグリコシラーゼであることを示唆する。
【0124】
この活性は、E.coliにおいて発現された場合の919の毒性効果を説明
する助けになり得る。
【0125】
酵素活性を除外するため、合理的な変異誘発を使用した。907、919およ
び922は、E.coli由来の3つの脂質化された膜結合ムレイン溶解性トラ
ンスグリコシラーゼに、かなり低い相同性を示す:
919(441アミノ酸)は、E.coli MLTA(P46885)に対
して440アミノ酸重複にわたり、27.3%同一である。
【0126】
922(369アミノ酸)は、E.coli MLTB(P41052)に対
して310アミノ酸重複にわたり、38.7%同一である。
【0127】
907−2(207アミノ酸)は、E.coli MLTC(P52066)
に対して149アミノ酸重複にわたり、26.8%同一である。
【0128】
907−2はまた、ペリプラズム空間に位置する可溶な溶解性トランスグリコ
シラーゼである、E.coliのMLTD(P23931)およびSlt70(
P03810)と相同性を共有する。有意な配列相同性は、919、922およ
び907−2間に検出され得ず、対応するMLTAタンパク質、MLTBタンパ
ク質およびMLTCタンパク質間で、同じである。
【0129】
結晶構造は、Slt70[1QTEA;1QTEB;Thunnissenら
(1995)Biochemistry 34:12729−12737]およ
びSlt35[1LTM;1QUS;1QUT;van Asseltら(19
99)Structure Fold Des 7:1167−80](これは
、40kDaのMLTBの可溶形態である)について利用可能である。
【0130】
この触媒性残基(グルタミン酸)は、Slt70およびMLTBの両方につい
て同定されている。
【0131】
Slt70の場合、変異誘発研究は、グルタミン(Gln)による触媒性Gl
u505の保存的置換さえ、酵素活性の完全な喪失を引き起こすことを実証した
。Slt35は、Slt70に対する明らかな配列の類似を有さないが、Slt
35の触媒ドメインは、驚くべき類似性を示す。MLTBにおけるこの対応する
触媒性残基は、Glu162である。
【0132】
酵素のクレフトの正しい折り畳みにおいて重要な役割を果たすと考えられる別
の残基は、グルタミン酸の下流のよく保存されたグリシン(Gly)である。最
近、Terrakら[Mol.Microbiol.(1999)34:350
−64]は、触媒性グルタミン酸の下流の70〜75残基あたりに位置する芳香
族アミノ酸である、別の重要な残基の存在を示唆した。
【0133】
Slt70と907−2との配列アラインメント、およびMLTBと922と
の配列アラインメントを、MenB抗原において対応する触媒性残基を同定する
ために、実行した。
【0134】
この触媒性ドメイン領域における2つのアラインメントを、以下に報告する。
【0135】
【化5】


これらのアラインメントから、907−2において対応する触媒性グルタミン
酸が、Glu117であり、一方922においてはGlu164であるという結
果になる。両方の抗原がまた、酵素のクレフトの折り畳みにおいて構造的役割を
有し得る下流のグリシン(太字)を共有し、そして922は、70アミノ酸ほど
下流の保存された芳香族残基(太字)を有する。
【0136】
タンパク質919の場合、このタンパク質のE.coliのホモログである、
MLTAについて利用可能な3次元構造は存在せず、そして潜在的触媒性残基に
ついては何も知られていない。それにもかかわらず、919における3つのアミ
ノ酸が、MLTAとのアラインメントにより、触媒性残基として予測される。
【0137】
【化6】


これら3つの潜在的触媒性残基を、記号「下向きの黒三角」によって示す:
1)3つの保存されたグリシン(Gly263、Gly265およびGly2
72)ならびに約75〜77残基下流に位置する3つの保存された芳香族残基の
前のGlu255(MLTAにおいてはAsp)。これら下流の残基を、□で示
す。
【0138】
2)2つの保存されたグリシン(Gly347およびGly355)ならびに
84〜85残基下流に位置する2つの保存された芳香族残基(Tyr406また
はPhe407)の前の(MLTAにおいて保存された)Glu323。これら
下流の残基を、◇によって示す。
【0139】
3)1つのグリシン(Gly369)および保存された芳香族残基(Trp4
28)の前のAsp362(予測されるGluの代わり)。これら下流の残基を
、○によって示す。
【0140】
919の多型形態のアラインメントは、WO00/66741に開示される。
【0141】
触媒性残基の予測に基づき、各々単一のアミノ酸置換を含む919の3種の変
異体および907の1種の変異体を、作製した。919タンパク質における25
5位および323位でのグルタミン酸、ならびに362位でのアスパラギン酸、
そして907タンパク質における117位でのグルタミン酸を、PCRベースの
SDMを使用してグリシン残基で置換した。これを行うために、GluまたはA
spからGlyへのコドンの変化を含む内部プライマーを、設計した。
【0142】
【表3】


グリシンのヌクレオチドコードに下線を付した;変異したヌクレオチドは、小文
字である。
【0143】
919−E255変異体、919−E323変異体および919−E362変
異体を作製するために、鋳型として20ngのpET919−LOrf4 DN
Aを使用し、そして以下のプライマー組:
1)Orf4L for/919−E255 rev
2)919−E255 for/919L rev
3)Orf4L for/919−E323 rev
4)919−E323 for/919L rev
5)Orf4L for/919−D362 rev
6)919−D362 for/919L rev
を使用してPCRを実行した。
【0144】
2回目のPCRを、PCR 1〜2、3〜4または5〜6の産物を鋳型として
使用し、そして「Orf4L for」および「919L rev」をそれぞれ
前向きおよび逆向きのプライマーとして使用して実行した。
【0145】
変異体907−E117については、PCRを、鋳型として2996株の染色
体DNA200ngを使用し、そして以下のプライマー組:
7)907L for/907−E117 rev
8)907−E117 for/907L rev
を使用して実行した。
【0146】
2回目のPCRを、PCR7および8の産物を鋳型として使用し、そしてオリ
ゴ「907L for」および「907L rev」をプライマーとして使用し
て、実行した。
【0147】
各変異を含むPCRフラグメントを、標準的な手順に従って進め、NdeIお
よびXhoI制限酵素で消化し、そしてpET−21b+ベクターにクローニン
グした。各変異の存在を、配列決定分析によって確認した。
【0148】
907におけるGlu117のGlyへの変異を、同様に実行し、922にお
ける残基Glu164、Ser213およびAsn348の変異も同様である。
【0149】
919のE255G変異体は、活性において50%の減少を示す;E323G
変異体は、活性において70%の減少を示す;E362G変異体は、活性におい
て減少を示さない。
【0150】
(実施例4−多量体形態)
287−GST、919タグなしおよび953−Hisを、四次構造の分析ま
たは調製目的のために、ゲル濾過に供した。ネイティブなタンパク質の分子量を
、FPLC Superose 12(H/R 10/30)またはSuper
dex 75ゲル濾過カラム(Pharmacia)のいずれかを使用して、評
価した。287、919および953についてのクロマトグラフィーに使用され
た緩衝液は、それぞれ、50mMのトリスHCl(pH8.0)、20mMのビ
シン(pH8.5)および50mMのビシン(pH8.0)であった。
【0151】
さらに、各緩衝液は、150〜200mMのNaClおよび10%v/vのグ
リセロールを含んだ。タンパク質を、適切な緩衝液に対して透析し、そして20
0μlの容積でアプライした。ゲル濾過を、0.5〜2.0ml/分の流速で実
行し、そして溶出を280nmでモニターした。画分を回収し、そしてSDS−
PAGEによって分析した。青色デキストラン2000および分子量標準リボヌ
クレアーゼA、キモトリプシンAオボアルブミン、アルブミン(Pharmac
ia)を使用してカラムを較正した。サンプルの分子量を、Kav対標準のログ
の較正曲線から概算した。ゲル濾過の前に、287−GSTを、GST部分
を切断するためにトロンビンで消化した。
【0152】
287、919および953−Hisについて概算した分子量は、それぞれ7
3kDa、47kDaおよび43kDaであった。これらの結果は、919が単
量体であるが、287および953の両方が主に自然状態で二量体であることを
示唆する。953−Hisの場合、ゲル濾過中に2つのピークを観察した。大き
いピーク(80%)は953の二量体構造を示し、小さいピーク(20%)は、
予測された単量体の大きさを有した。953の単量体形態が、二量体より大きい
殺菌性活性を有することを見出した。
【0153】
(実施例5−pSM214およびpET−24bベクター)
そのネイティブなリーダーペプチドを含みかつ融合パートナー(fusion
partner)を含まない953タンパク質を、pETベクターからおよび
pSM214ベクターからも発現させた[Velati Belliniら、(
1991)J.Biotechnol.18,177−192]。
【0154】
953配列を、E.coli MM294−1株を宿主細胞として使用して、
pSM214の中へ全長遺伝子としてクローン化した。これを行うために、95
3遺伝子の全DNA配列(ATG〜終止コドン)を、以下のプライマーを使用す
るPCRによって増幅した:
953L for/2 CCGGAATTCTTATGAAAAAAATCA
TCTTCGCCGC EcoRI
953L rev/2 GCCCAAGCTTTTATTGTTTGGCTG
CCTCGATT HindIII
(これらは、それぞれEcoRIおよびHindIII制限酵素部位を含む)。
この増幅されたフラグメントをEcoRIおよびHindIIIで消化し、そし
て同様の2つの酵素で消化したpSM214ベクターを使用して、ライゲーショ
ンを行った。ライゲーションされたプラスミドをE.coli MM294−1
細胞へ形質転換し(37℃で65分間、氷中でインキュベーションすることによ
って)、そして細菌細胞を、20μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB
寒天上へプレーティングした。
【0155】
20μg/mlクロラムフェニコールを含む4mlのLB培養液中で、組換え
コロニーを一晩中37℃にて増殖させ;細菌細胞を遠心分離し、そしてプラスミ
ドDNAを抽出し、そしてこれをEcoRIおよびHindIIIを用いる消化
によって分析した。このタンパク質を発現する組換えコロニーの能力を分析する
ために、これらの組換えコロニーを20μg/mlのクロラムフェニコールを含
むLB培養液中へ接種し、そして37℃で16時間増殖させた。細菌細胞を遠心
分離し、PBS中で再懸濁した。タンパク質の発現をSDS−PAGEおよびク
マシーブルー染色によって分析した。
【0156】
pSM214プラスミドからの発現レベルは、予想外に高かった。
【0157】
配列をpSM214ベクターにクローン化するために使用したオリゴは、以下
のようであった:
【0158】
【表4】


953Lについて記載されるように、これらの配列を操作し、クローン化し、そ
して発現させた。
【0159】
pET−24ベクターに関しては、pET−21について以下に記載されるよ
うに、pET−24中で配列をクローン化し、そしてタンパク質を発現させた。
pET−2は、pET−21と同様の配列を有するが、アンピシリンカセットの
代わりにカナマイシン耐性カセットを含む。
【0160】
配列をpET−24bベクターへクローン化するために使用されるオリゴヌク
レオチドは、以下であった:
【0161】
【表5】


*このプライマーを全287型のためのリバースプライマーとして使用した。
§ΔG278Kリバースプライマーと共に使用したフォワードプライマー。
【0162】
(実施例6−ORF1およびそのリーダーペプチド)
N.meningitidis由来のORF1(血清群B、株MC58)を外
膜か、または分泌タンパク質であると予測した。これは以下の配列を有する:
【0163】
【表6】


リーダーペプチドに下線を引いている。
【0164】
ORF1の多型は、WO99/55873において開示されている。
【0165】
3つの発現方法をORF1に対して使用した:
1)His標識を使用するORF1(WO99/24578(ORF1−His
)に従って);
2)それ自身のリーダーペプチドを含むがいずれの融合パートナーも含まないO
RF1(「ORF1F」);および
3)E.coli OmpA由来のリーダーペプチド(MKKTAIAIAVA
LAGFATVAQA)を含むORF1(「Orf1LOmpA」)
【0166】
【表7】


この構築物を作製するために、クローンpET911LOmpA(以下を参照
のこと)をNheIおよびXhoI制限酵素で消化し、そしてOmpAリーダー
配列を有するベクターに対応するフラグメントを精製した(pETLOmpA)
。成熟タンパク質をコードするORF1遺伝子をオリゴヌクレオチドORF1−
ForおよびORF1−Rev(それぞれ、NheIおよびXhoI制限酵素認
識部位を含む)を用いて増幅し、NheIおよびXhoIで消化し、そして精製
されたpETOmpAフラグメントへライゲーションした(図1を参照のこと)
。さらなるASジペプチドをNheI部位の側に導入した。
【0167】
タンパク質の全ての3つの型を発現させた。His標識化されたタンパク質を
精製し得、そして暴露され、そして分泌される可能性がある表面として確認した
(図3を参照のこと)。このタンパク質を、マウスを免疫化するために使用して
、そして生じた血清は、殺菌性のアッセイにおいて優れた結果を与えた。
【0168】
ORF1LOmpAを全膜として精製し、そして膜の内側および外側の両方に
おいて局在化させた。予想外に、ORF1LOmpAに対して惹起された血清は
、His標識化されたタンパク質に対して惹起した血清よりも、さらにより良い
ELISAおよび抗殺菌性の性質を示した。
【0169】
ORF1Lを、ORF1Lが局在している外膜として精製した。
【0170】
(実施例7−タンパク質911およびそのリーダーペプチド)
N.meningitidis由来のタンパク質911(血清群B、MC58
株)は、以下の配列を有する:
【0171】
【表8】


リーダーペプチドに下線を引いている。
【0172】
3つの発現方法を911に対して使用した:
1)それ自身のリーダーペプチドを含むがいずれの融合パートナーも含まない9
11(「911L」);
2)E.coli OmpA由来のリーダーペプチドを含む911(「911L
OmpA」)
この構築物を作製するために、OmpAリーダーペプチドをコードする全体配列
を5’プライマー中にテールとして含んだ(プライマー911LOmpA Fo
rward)。NheI制限酵素認識部位を、OmpAリーダーペプチドをコー
ドする配列と予想される成熟タンパク質をコードする911遺伝子との間に挿入
し(1つのアミノ酸(セリン)の挿入)、この構築物の使用によりOmpAリー
ダーペプチド配列の下流の異なる遺伝子をクローン化を可能にした。
【0173】
3)Erwinia carotovora PelB由来のリーダーペプチ
ド(MKYLLPTAAAGLLLAAQPAMA)を含む911(「911L
pelB」)。
【0174】
この構築物を作製するために、5’末端PCRプライマーをリーダー配列から
下流に設計し、そしてPelBリーダー配列に対して直接的に融合される911
を有するために、NcoI制限酵素認識部位を含め;3’末端プライマーに終止
コドンを含めた。使用した発現ベクターはpET22b+(Novagen)で
あり、これは、PelBリーダーペプチドについてのコード配列を有する。Nc
oI部位は、PelB配列の後に、さらなるメチオニンを導入する。
【0175】
タンパク質の全ての3つの型を発現させた。ELISA力価は911Lを用い
た場合に最も高く、919LOmpAもまた良好な結果をもたらした。
【0176】
(実施例8−ORF46)
N.meningitidis由来の完全なORF46タンパク質(血清群B
、2996株)は、以下の配列を含む:
【0177】
【表9】


リーダーペプチドに下線を引いている。
【0178】
他の株由来のORF46の配列は、WO00/66741中に見出され得る。
【0179】
3つの発現方法をORFに対して使用した:
1)それ自身のリーダーペプチドを含むがいずれの融合パートナーも含まない
ORF46(「ORF46−2L」);
2)リーダーペプチドを含まず、かついずれの融合パートナーも含まないOR
F46(「ORF46−2」)であって、以下の予想されるリーダー配列から下
流に5’末端増幅プライマーを設計することによってリーダーペプチドが除かれ
た、ORF46:
【0180】
【表10】


3)最初の433アミノ酸(「ORF46.1L」)からなる短縮型タンパク
質として、aa1〜433に対応する部分配列を増幅させるためのPCRプライ
マーを設計することによって構築した、ORF46。
終止コドンを3’末端プライマー配列中に含めた。
【0181】
ORF46−2Lを、E.coliに対して非常に低いレベルで発現させた。
このリーダーペプチド(ORF46−2)の除去は、この問題を解決しない。し
かしながら、短縮型ORF46.1L型(血清群および種の間でよく保存されて
いる最初の433アミノ酸)は、良く発現し、そしてELISA試験および殺菌
アッセイにおいて優れた結果を与える。
【0182】
ORF46.1をまた、ハイブリッドタンパク質の基礎として使用した。OR
F46.1を287,919、およびORF1と融合させた。このハイブリッド
タンパク質は、一般的に不溶性であるが、ELISAおよび殺菌性(ホモログの
2996株に対して)のいくつかの良い結果を与えた:
【0183】
【表11】


比較のために、ORF46.1、287(GST融合としてか、またはΔG2
87型でのいずれかで)および919の「3重」ハイブリッドを構築し、この3
つの抗原の単一混合物に対比して、種々の株(ホモログの2996株を含む)に
対して試験した。FCAをアジュバントとして使用した:
【0184】
【表12】


さらに、このハイブリッドは、同等かまたは優れた免疫学的活性を示す。
【0185】
2つのタンパク質(株2996)のハイブリッドを、種々の異種株に対して、
個々のタンパク質と比較した:
【0186】
【表13】


さらに、このハイブリッドは、同等かまたは優れた免疫学的活性を示す。
【0187】
(実施例9−タンパク質961)
N.meningitidis由来の完全な961タンパク質(血清群B、M
C58株)は、以下の配列を含む:
【0188】
【表14】


リーダーペプチドに下線を引いている。
【0189】
961発現に対して3つの方法を使用した:
1)GST融合を融合を用いる961(WO99/57280に従う)(「G
ST961」);
2)それ自身のリーダーペプチドを含むがいずれの融合パートナーも含まない
961(「961L」);および
3)リーダーペプチドを含まず、かついずれの融合パートナーも含まない96
1(「961標識化されていない」)であって、以下の予想されるリーダー配列
から下流に5’末端増幅プライマーを設計することによってリーダーペプチドが
除かれた、961:
このタンパク質の全ての3つの型を発現した。GST融合タンパク質を精製し
得、そしてこれに対する抗体によって961が暴露された表面であることを確認
した(図4)。マウスを免疫化するためにこのタンパク質を使用し、そして生じ
た血清は、殺菌アッセイにおいて優れた結果を与えた。961Lもまた精製しそ
して非常に高いELISA力価を得た。
【0190】
タンパク質961は、相変異(phase variable)であるようで
ある。さらに、このタンパク質は、N.meningitidisの全ての株に
おいて見出されない。
【0191】
(実施例10−タンパク質287)
N.meningitidis(血清群B、2996株)のタンパク質287
は、以下に示す配列を含む:
【0192】
【表15】


リーダーペプチドに下線を引いている。
【0193】
他の株由来の287の配列は、WO00/66741の図5および図15中に
見出され得る。
【0194】
WO99/57280の実施例9は、E.coli中でのGST融合として2
87の発現を開示する。
【0195】
E.coli中で287発現させる多くのさらなる方法を使用し、以下を含む

1)His標識化された融合体としての287(「287−His」);
2)それ自身のリーダーペプチドを含むがいずれの融合パートナーも含まない
287(「287L」);
3)PRF4リーダーペプチドを含みかついずれの融合パートナーも含まない
287(「287LOrf4」);および
4)リーダーペプチドを含まずかついずれの融合パートナーも含まない287
(「287標識化されていない」):
【0196】
【表16】


これらの全てのタンパク質を発現および精製し得た。
【0197】
「287L」および「287LOrf4」をリポタンパク質として確認した。
【0198】
図2に示すように、NdeIおよびXhoIを用いて919LOrf4を消化
することによって、「287LOrf4」を構築した。287コード配列に融合
された、5’末端プライマー(287LOrf4)中のテールとしての、欠損し
ているアミノ酸をコードするDNA配列の、添加によって、全体のORF4リー
ダーペプチドを修復した。成熟タンパク質をコードする287遺伝子を、オリゴ
ヌクレオチド287LOrf4 ForおよびRev(それぞれ、NdeI部位
およびXhoI部位を含む)を用いて増幅し、NdeIおよびXhoIで消化し
、そして精製されたpETOrf4フラグメントにライゲーションした。
【0199】
(実施例11−ネイティブなリーダーペプチドを含む/含まないさらなる非融
合タンパク質)
WO99/24578、WO99/36544およびWO99/57280由
来のさらなるタンパク質のE.coli発現について、同様の方法を採用した。
【0200】
以下は融合パートナーを含まずに発現された:008、105、117−1、
121−1、128−1、148、216、243、308、593、652、
726、982、およびOrf143−1。タンパク質117−1は、FACS
によって暴露された表面として確認され、そして高いELISA力価を与えた。
【0201】
以下は、ネイティブなリーダーペプチドを含むが融合パートナーを含まずに発
現された:111、149、206、225−1、235、247−1、274
、283、286、292、401、406、502−1、503、519−1
、525−1、552、556、557、570、576−1、580、583
、664、759、907、913、920−1、926、936−1、953
、961、983、989、Orf4、Orf7−1、Orf9−1、Orf2
3、Orf25、Orf37、Orf38、Orf40、Orf40.1、Or
f40.2、Orf72−1、Orf76−1、Orf85−2、Orf91、
Orf97−1、Orf119、Orf143.1。これらのタンパク質に接尾
語「L」を加えた。
【0202】
Hisタグ化されたタンパク質760を、リーダーペプチドを含むかまたは含
まずに発現させた。シグナルペプチドの欠失は、発現レベルを大いに減少させた
。このタンパク質は、可溶化のための2M尿素を使用して最も容易に精製され得
た。
【0203】
Hisタグ化されたタンパク質264は、それ自身のシグナルペプチドを用い
て良好に発現し、その30kDaタンパク質はウェスタンブロットの陽性な結果
を与えた。
【0204】
全てのタンパク質は、首尾よく発現した。
【0205】
593、121−1、128−1、593、726、および982の細胞質内
の局在を確認した。
【0206】
920−1L、953L、ORF9−1L、ORF85−2L、ORF97−
1L、570Lおよび580Lおよび664Lのペリプラズム中の局在を確認し
た。
【0207】
ORF40Lの外膜中の局在、および内膜中の008および519−1Lの局
在を確認した。ORF25L、ORF4L、406L、576−1Lは全て、膜
に局在することものとして確認された。
【0208】
タンパク質206は、リポタンパク質でないことが見出された。
【0209】
ORF25およびORF40はネイティブリーダーペプチドを含むが、融合パ
ートナーを含まずに発現し、そしてタンパク質593は、そのネイティブリーダ
ーペプチドを含まずかつ融合パートナーも含まずに発現し、良い抗細菌血清によ
って惹起された。驚くべきことに、ORF25およびORF40の形態は、融合
タンパク質を含まずに発現し、そしてそれ自身のリーダーペプチド(すなわち「
ORF25L」「ORF40L」)を使用することで、細菌性アッセイにおいて
融合タンパク質よりも良い結果を与えた。
【0210】
タンパク質920Lおよび953LをN末端配列決定にかけ、それぞれHRV
WVETAHおよびATYKVDEYHANARFAFを得た。この配列決定に
よって、予想されるリーダーペプチドが開裂されたことを確認し、そしてペリプ
ラズム位置で結合される場合、ネイティブリーダーペプチドから発現されるとき
、このタンパク質がE.coliによって正しくプロセスおよび局在化されるこ
とを確認した。
【0211】
内膜に局在しているタンパク質519.1LのN末端配列は、MEFFIIL
LAであり、リーダー配列が開裂されていないことを示した。それゆえ、未開裂
のリーダー配列および膜透過アンカーの両方として、N.gonorrhoea
e由来のPBP1のリーダーペプチドト同様の様態で、機能し得る[Roppお
よびNicholas(1997)L.Bact.179:2783−2787
.]。実際に、N末端領域は、強い疎水性の特徴を示し、そしてTmpred.
プログラムによって、膜貫通であることが予想される。
【0212】
(実施例12−リポタンパク質)
組換えリポタンパク質中のパルミチン酸塩の結合を、Kreftら、[J.B
act.(1998)180:3441−3447.]の方法によって、実証し
た。目的のプラスミドを内部に含む単一コロニーを、一晩中、37℃で、20m
lのLB/Amp(100μg/ml)液体培地中で、増殖させた。この培養液
を、5.0mlの新しい培地LB/Amp培地(5μC/ml[H]パルミチ
ン酸塩(Amersham)を含む)中で、0.1のOD500になるまで希釈
した。培養物のOD500が0.4〜0.8に達した時に、組換えリポタンパク
質を、IPTG(終濃度1.0mM)を用いて1時間誘導した。細菌を、卓上遠
心機の中で、2700gで15分間遠心分離することによって回収し、そして、
1.0ml氷冷PBSで2回洗浄した。細胞を120μlの20mM Tris
−HCL(pH8.0)、1mM EDTA、1.0% w/v SDS中へ再
懸濁し、10分間煮沸することによって破砕した。13000gで10分間遠心
分離した後、上清を回収し、そして1.2mlの氷冷アセトンを添加しそして1
時間−20℃で静置することによって、タンパク質を沈殿させた。タンパク質は
、13000gで10分間遠心分離することによってペレットを形成し、そして
20〜50μl(培養液の終濃度によって負荷量を標準化するように計算される
)の1.0% w/vSDSに再懸濁した。15μlのアリコートを5μlのS
DS−PAGEサンプル緩衝液と共に煮沸し、そしてSDS−PAGEによって
分析した。電気泳動ゲルを10% v/v酢酸中で1時間固定化した後、増幅溶
液(Amersham)中で30分間浸した。このゲルを熱の下で減圧乾燥し、
そしてハイパーフィルム(Kodak)に−80℃で一晩中暴露した。
【0213】
脂質化(lipidation)を確実にする、[H]パルミチン酸塩標識
の結合を、以下のタンパク質について見出した:Orf4L、Orf25L、2
87L、287LOrf4、406.L、576L、926L、919Lおよび
919LOrf4。
【0214】
(実施例13−287中のドメイン)
異なる機能クラスに属するタンパク質に対する287の異なる領域の相同性に
基づいて、図5に示されるような3つの「ドメイン」分けられる。2番目のドメ
インは、IgAプロテアーゼに対して相同性を示し、3番目のドメインは、トラ
ンスフェリン結合タンパク質に対して相同性を示す。
【0215】
3つの「ドメイン」の各々は、N.meningitidis株との間で、異
なる程度の配列保存性を示し、ドメインCは98%同一、ドメインAは83%同
一、一方ドメインBはわずかに71%同一である。株MC58中のタンパク質2
87は、株2996のタンパク質287よりも61アミノ酸長い。2つの配列の
整列は、図7に示され、そして種々の株についての整列は、WO00/6674
1中に開示されている(本明細書中の図5および図15を参照のこと)。
【0216】
3つのドメインをC末端でHisタグ化されたタンパク質として、個々に発現
させた。これを、以下の構築物を使用して、MC58株および2996株に対し
て行った:
287a−MC58(aa1−202)、287b−MC58(aa203−2
88)、287c−MC58(aa311−488)。
287a−2996(aa1−139)、287b−2996(aa140−2
25)、287c−2996(aa250−427)。
【0217】
これらの構築物を作製するために、終止コドン配列を3’末端プライマー配列
中から除いた。NdeI−XhoI、NheI−XhoI、またはNdeI−H
indIII制限酵素認識部位を使用して、それぞれの増幅されるフラグメント
を、発現ベクターpET19b+へクローン化するために、5’プライマーはN
heI制限酵素認識部位を含み、そして3’プライマーはXhoIをテールとし
て含んだ。
【0218】
全ての6つの構築物を発現させたが、287b−MC8は、可溶化のための変
性および再折り畳み(リフォールディング)を必要とした。
【0219】
ドメインAの欠失を以下に記載する(「Δ4 287−His」)。
【0220】
また、2996株由来の種々のドメインを使用して、MenA(F6124株
)およびMenC株(BZ133株)と同様に、同種および異種のMenB株に
対して、免疫学的データ(血清殺菌性アッセイ)を得た:
【0221】
【表17】


株MC58のドメインを使用して、以下の結果が得られた:
【0222】
【表18】



【0223】
(実施例14−287における欠失)
個々のドメインを発現することと同様に、第1のドメイン内の漸進的欠失を作
製することによって、287をまた発現した(C末端Hisタグタンパク質とし
て)。菌株2996由来のタンパク質287のこれらの4つの欠失変異体を使用
した(図6):
1)アミノ酸18−427(すなわち、リーダーペプチドが欠失した)からな
る「287−His」;
2)アミノ酸26−427からなる「Δ1 287−His」;
3)アミノ酸70−427からなる「Δ2 287−His」;
4)アミノ酸107−427からなる「Δ3 287−His」;および
5)アミノ酸140−427(=287−bc)からなる「Δ4 287−H
is」;
「Δ4」タンパク質はまた、菌株MC58(「Δ4 287MC58−His
」;aa203−488)について作製した。
【0224】
この構築物を、上記のように、287a/b/cと同じ様式で、作製した。
【0225】
全ての6つの構築物は発現され得、そして、タンパク質は精製され得る。しか
し、287−Hisの発現は、非常に乏しかった。
【0226】
発現はまた、C末端Hisタグが省略された場合に、非常に高かった。
【0227】
相同なMenB菌株(2996)および異種MenB菌株、ならびにMenA
(F6124菌株)およびMenC(BZ133菌株)に対する、免疫学的デー
タ(血清殺菌性アッセイ)をまた、欠失変異体を使用して得た:
【0228】
【表19】


Δ4欠失についての同じ高い活性は、菌株MC58に由来する配列を使用して
、見られた。
【0229】
従って、より優れた発現特徴を示すと同様に、この変異体は、免疫学的に等価
または優れている。
【0230】
(実施例15−ポリグリシン欠失)
以前の実施例の「Δ1 287−His」構築物は、短いN末端欠失(GGG
GGGS)によってのみ、287−Hisおよび「287未標識」と異なる。し
かし、欠失したセリンをNheクローニング部位に存在するコドンで置換する発
現ベクターを使用することは、(Gly)のみの欠失と等しい。従って、この
(Gly)配列の欠失は、タンパク質発現に対して劇的な効果を有することを
示している。
【0231】
GGGGGGまでのN末端アミノ酸を欠失しているタンパク質は、「ΔG28
7」と呼ばれる。菌株MC58において、その配列(リーダーペプチドは下線を
引かれている)は、以下のようである:
【0232】
【化7】


ΔG287(Hisタグを有するまたは有さない(それぞれ、「ΔG287−
His」および「ΔG287K」))は、「287−His」または「287
標識」と比較して、非常に良好なレベルで発現される。
【0233】
遺伝子可変性データに基づいて、ΔG287−Hisの改変体を多数のMen
B菌株由来(特に菌株2996、MC58、1000、およびBZ232由来)
のE.coli中で発現した。結果はまた良好であった。
【0234】
ポリGly欠失が、発現を改善するための一般的なストラテジーであり得るこ
とが仮定された。従って、同様の(Gly)モチーフ(N末端の近く、システ
インの下流)を含む他のMenBリポタンパク質(主に、Tbp2(NMB04
60)、741(NMB1870)および983(NMB1969))が同定さ
れた:
【0235】
【化8】


Tbp2遺伝子および741遺伝子は菌株MC58由来であった;983遺伝
子および287遺伝子は、菌株2996由来であった。これらは、pETベクタ
ー中にクローン化され、そして、それらのリーダー配列ペプチドについてコード
する配列なしで、または「ΔG形態」(共にC末端Hisタグに融合される)と
して、E.coli.中で発現される。各場合において、同じ効果(ポリグリシ
ンストレッチの欠失を保有するクローンにおいて、発現は、良好であった)が見
られ、そして、グリシンが発現されたタンパク質に存在する場合、発現は乏しい
かまたは存在しなかった。
【0236】
【表20】


タンパク質のSDS−PAGEを図13に示す。
【0237】
(ΔG287およびハイブリッド)
ΔG287タンパク質を、菌株MC58、1000およびBZ232について
作製および精製した。これらの各々は、高いELISA力価を与え、そしてまた
、8192を超える血清殺菌性力価を与えた。ΔG287K(pET−24bか
ら発現される)は、ELISAおよび血清殺菌性アッセイにおいて優れた力価を
与えた。ΔG287−ORF46.1Kはまた、pET−24bにおいて、発現
され得る。
【0238】
ΔG287はまた、919、953、961(配列は以下に示される)および
ORF46.1の上流でインフレームで、直接融合された。
【0239】
【化9−1】


【化9−2】


【化9−3】


【化9−4】


ハイブリッドタンパク質に対して惹起された抗体の殺菌性効力(相同な菌株)
を、919およびORF46.1についての成分抗原(287−GSTを使用す
る)の簡単な混合物に対して惹起された抗体と比較した:
【0240】
【表21】


異種MenB菌株に対する、ならびに血清型AおよびCに対する殺菌性活性に
ついてのデータをまた得た:
【0241】
【表22】


従って、N末端にΔG287を有するハイブリッドタンパク質は、簡単な混合
物より免疫学的に優れており、ΔG287−ORF46.1は、異種菌株に対し
てでさえ、特に効果的である。ΔG287−ORF46.1Kは、pET−24
b中で発現され得る。
【0242】
同じハイブリッドタンパク質は、2996ではなく、ニュージーランド菌株3
94/98を使用して、作製した。
【0243】
【化10−1】


【化10−2】


【化10−3】


【化10−4】


(ΔG983およびハイブリッド)
ΔG983(His融合物)に応答して生成された殺菌性力価を、種々の菌株
(相同な2996菌株を含む)に対して測定した:
【0244】
【表23】


ΔG983はまた、そのC末端にORF46.1、741、961、または9
61cを有する、ハイブリッドとして発現された。
【0245】
【化11−1】


【化11−2】


【化11−3】


【化11−4】


【化11−5】


【化11−6】


【化11−7】


【化11−8】


(ΔG741およびハイブリッド)
ΔG741(His融合物)に応答して生成された殺菌性力価を、種々の菌株
(相同な2996菌株を含む)に対して測定した:
【0246】
【表24】


見られ得るように、ΔG741誘導性抗殺菌性力価は特に、異種菌株MC58
に対して特に高かった。
【0247】
ΔG741はまた、タンパク質961、961c、983およびORF46.
1の上流にインフレームで直接融合された。
【0248】
【化12−1】


【化12−2】


【化12−3】


【化12−4】


(実施例16−287/ΔG287とのC末端融合物(「ハイブリッド」))
本発明に従って、2つのタンパク質A&Bのハイブリッドは、NH−A−B
−COOHまたはNH−B−A−COOHのいずれかであり得る。この差異の
影響を、919、953およびORF46.1に対するタンパク質287のC末
端(「287−His」形態で)またはN末端(ΔG287形態−上に示される
配列)のいずれかを使用して調査した。相同菌株2996を含む、菌株のパネル
を使用した。FCAをアジュバントとして使用した:
【0249】
【表25】


より良い殺菌性力価は、一般に、N末端で(ΔG形態で)287を使用して見
られる。
【0250】
タンパク質961[NH−ΔG287−961−COOH−上に示される配
列]に融合される場合、得られたタンパク質は不溶性であり、そして精製のため
に変性および再生されなければならない。再生に従って、約50%のタンパク質
が、不溶性のままであることが見出された。可溶性および不溶性タンパク質を比
較し、そして、はるかに高い殺菌力価が、可溶性タンパク質(アジュバントとし
てのFCA)を用いて得られた:
【0251】
【表26】


しかし、不溶性形態を用いる力価は、代わりにミョウバンアジュバントを使用
することによって改善した。
【0252】
【表27】


(実施例17−287へのN末端融合物(「ハイブリッド」))
C末端Hisタグを有するか、またはそのリーダーペプチドは有さないが、C
末端Hisタグを有する全長としてのタンパク質287の発現は、かなり低い発
現レベルを与える。より良好な発現は、N末端GST融合を使用して達成される
。 N末端融合パートナーとしてGSTを使用することに対する代替として、2
87を、タンパク質919(「919−287」)、タンパク質953(「95
3−287」)およびタンパク質ORF46.1(「ORF46.1−287」
)のC末端に配置した。両方の場合において、リーダーペプチドを欠失させ、ハ
イブリッドは、直接インフレーム融合物であった。
【0253】
953−287ハイブリッドを生成するために、2つのタンパク質のリーダー
ペプチドを、各配列のリーダーから下流の順方向プライマーを設計することによ
って除外した;停止コドン配列を953逆方向プライマーでは除外したが、28
7逆方向プライマーには含まれた。953遺伝子について、増幅に使用される5
’および3’プライマーは、それぞれNdeIおよびBamHI制限部位を含み
、故に、287遺伝子の増幅のために5’および3’プライマーは、それぞれB
amHIおよびXhoI制限部位を含んだ。この方法において、NdeI−Ba
mHI(第一の遺伝子をクローン化するために)そしてこれに引続いてBamH
I−XhoI(第二の遺伝子をクローン化するために)を使用して、pET21
b+における2つの遺伝子の配列指向性クローニングを達成し得た。
【0254】
919−287ハイブリッドを、287の成熟部分をコードする配列をpET
21b+中の919−Hisクローンの3’末端でXhoI部位にクローニング
することによって得た。287遺伝子の増幅に使用されるプライマーを、PCR
フラグメントの5’末端でSalI制限部位を、そしてPCRフラグメントの3
’末端でXhoI制限部位を導入するために設計した。SalIおよびXhoI
制限酵素によって生成された結合性の末端は適合性であるので、SalI−Xh
oIで消化された287PCR産物は、XhoIで切断したpET21b−91
9クローン中に挿入され得た。
【0255】
ORF46.1−287ハイブリッドを同様にして得た。
【0256】
ハイブリッドタンパク質に対して惹起された抗体の殺菌効果(相同菌株)を、
成分抗原の単純な混合物に対して惹起された抗体と比較した:
【0257】
【表28】


異種MenB菌株ならびに血清型AおよびCに対する殺菌活性データをまた、
919−287および953−287について得た:
【0258】
【表29】


ORF46.1および919のハイブリッドをまた構築した。最良の結果(4
倍高い力価)が、N末端での919で達成された。
【0259】
ハイブリッド919−519His、ORF97−225Hisおよび225
−ORF97Hisをまた試験した。これらは、中程度のELISA力価(fi
tre)および殺菌性抗体応答を与えた。
【0260】
(実施例18−ORF4由来のリーダーペプチド)
上に示されるように、ORF4のリーダーペプチドを他のタンパク質(例えば
、タンパク質287および919)の成熟配列へ融合し得る。このことは、E.
coliにおける脂質化を指向し得る。
【0261】
(実施例19−564中のドメイン)
タンパク質「564」は、非常に大きく(2073aa)、そして完全な形態
でそれをクローン化および発現することが困難である。発現を容易にするために
、このタンパク質を図8に示すように4つのドメインに分けた(MC58配列に
従う):
【0262】
【表30】


これらのドメインは、以下の相同性を示す:
・ドメインAは、他の細菌性毒素に対して相同性を示す:
【0263】
【化13】


・ドメインBは、相同性を示さず、564に特異的である。
・ドメインCは、以下に相同性を示す:
【0264】
【化14】


・ドメインDは、他の細菌性毒素に対して相同性を示す:
gb|AAF84955.1|AE004032_14 HA−like se
crected protein[Xylella fastidiosa](2
9%)
MC58菌株配列を使用して、564abの良好な細胞内発現をGST融合物(
精製なし)およびhisタグ化タンパク質の形態で得た;このドメイン対をまた
リポタンパク質として発現した。このリポタンパク質は、膜外/上清画分で中程
度の発現を示した。
【0265】
bドメインは、his−タグ化タンパク質(精製なし)として発現された場合
に、中程度の細胞内発現、およびGTS−融合物として良好な発現を示した。
【0266】
cドメインは、GST−融合物として良好な細胞内発現を示したが、不溶性で
あった。dドメインは、his−タグ化生成物(精製なし)として中程度の細胞
内発現を示した。cdタンパク質ドメイン対は、GTS融合物として中程度の細
胞内発現を示した(精製なし)。
【0267】
良好な殺菌性アッセイ力価を、cドメインおよびbc対を使用して観察した。
【0268】
(実施例20−919リーダーペプチド)
919由来の20マーリーダーペプチドが、上の実施例1で論じられる:
MKKYLFRAAL YGIAAAILAA
実施例1で示されるように、このリーダーの欠失は、ORF4リーダーペプチ
ドと置換される場合のように、異種発現を改善する。発現に対する919リーダ
ーの影響を、Morganella Morganii由来のPhoCレセプタ
ー遺伝子にコード配列を融合することによって調査した(Thallerら(1
994)Microbiology 140:1341−1350)。構築物を
NdeIとXhoI部位の間のpET21−bプラスミド中にクローン化した(
図9):
【0269】
【化15】


このプラスミドからのPhoCの発現レベルは、同じ構築物ではあるがネイテ
ィブなPhoCシグナルペプチドを含む構築物について見出された発現レベルよ
の200分の1未満である。同じ結果が、T7プロモーターをE.coli P
lacプロモーターで置換した後でさえ得られた。このことは、発現に対する9
19リーダー配列の影響が、使用されるプロモーターに依存しないことを意味す
る。
【0270】
観察された結果が、919シグナルペプチドヌクレオチド配列のいくつかの特
性(二次構造の形成、RNAaseへの感受性など)に起因するか、またはこの
シグナルペプチドの存在によって誘導されるタンパク質の不安定性に起因するか
否かを調査するために、多くの変異体を作製した。使用されるこのアプローチは
、縮重コドンを含む合成リンカーをクローニングすることによる919シグナル
ペプチド配列のヌクレオチド置換であった。この方法においては、変異体をヌク
レオチドおよび/またはアミノ酸置換によって得た。
【0271】
2つの異なるリンカーを使用して、最初の19塩基対(L1)中および塩基2
0〜36(S1)の間に919シグナルペプチド配列の2つの異なる領域におけ
る変異を作製するように設計した。
【0272】
【化16】


得られた変異体のいくつかのアラインメントを以下に示す。
【0273】
【化17】


配列アラインメントに示されるように、分析されたほとんどの変異体は、宿主細
胞により予想外に生成されたインフレーム欠失を含む。
【0274】
変異体の選択を、L1およびS1の変異クローンの混合物から調整されたDN
AでE.coli BL21(DE3)を形質転換することによって行った。単
一の形質転換体を、100μg/mlアンピシリン、50μg/mlメチルグリ
ーン、1mg/ml PDP(フェノールフタレインジホスフェート)を含むL
Bプレートに単一形質転換体を描画することによって、高いPhoC活性につい
てスクリーニングした。この培地上でPhoC産生細胞は、緑色になる(図10
)。
【0275】
これらの変異体によって生成されたPhoCの定量分析を、pNPPをPho
C活性の基質として使用する液体培地中で実施した。液体培地中で0、30、9
0、180分間増殖した細胞抽出物および変異体上清中で測定された比活性は以
下であった:
(細胞抽出物)
【0276】
【表31】


(上清)
【0277】
【表32】


変異体のいくつかは、大量のPhoCを生成し、特に変異体9L1aは、培養培
地中にPhoCを分泌し得る。これは、この変異体のシグナルペプチド配列が、
たった9アミノ酸長であるので、注目すべきである。これは、今日までに記載さ
れた最も短いシグナルペプチドである。
【0278】
(実施例21−Maf関連タンパク質のC末端欠失)
MafB関連タンパク質として730、ORF46およびORF29が挙げら
れる。
【0279】
MC58由来の730タンパク質は、以下の配列を有する:
【0280】
【化18】


リーダーペプチドを下線で示す。
【0281】
730は、ORF46と同様の特徴を示す(上の実施例8を参照のこと):
−Orf46に関しては、MenB、MenAおよび淋菌の間の730配列の保
存は、N末端部分でのみ高い(>80%)。〜340からのC末端は、高度に相
違している。
−その予測される二次構造は、この分子の中心領域(aa.227〜247)に
わたる疎水性セグメントを含む。
−E.coli中の全長遺伝子の発現は、非常に低いタンパク質収率を与える。
シグナルペプチド配列を除外したタグ化または非タグ化構築物からの発現は、宿
主細胞に対して毒性効果を有する。言い換えると、細胞質中の全長成熟タンパク
質の存在は、宿主細胞に対して高度に毒性であるが、一方、周辺質への移行(シ
グナルペプチドによって媒介される)は細胞の生存度への検出可能な影響を有さ
ない。リーダーのない730の発現についてのクローンが、recAの遺伝的背
景(E.coli菌株:クローニングについてHB101;発現についてHMS
174(DE3))を使用して非常に低い頻度でしか得られ得ないために、73
0のこの「細胞内毒性」は特に高い。
【0282】
この毒性を克服するために、ORF46について実施例8に記載されたアプロ
ーチと同様のアプローチを730について使用した。4つのC末端短縮形態を得
、そのそれぞれを十分に発現する。すべてを、His−タグ化したリーダーのな
い730の細胞内発現から得た。
【0283】
形態Aは、成熟タンパク質(aa.28〜226)のN末端親水性領域から構
成される。これを、予測されたよりも大きなMWを有する可溶性Hisタグ化産
物として精製した。
【0284】
形態Bは、血清型(aa.28〜340)間で保存された領域の末端まで伸長
する。これを不溶性Hisタグ化産物として精製した。
【0285】
C1およびC2と命名されたC末端が短縮された形態を、菌株HMS174(
DE3)中で高レベルの730−Hisクローンを発現するクローンについての
スクリーニングの後に得た。簡単には、全長成熟730タンパク質をコードする
Hisタグ化配列を含むpET21bプラスミドを使用して、recA菌株HM
S174(DE3)を形質転換した。形質転換体を低頻度で得た。これは、2つ
の表現型を示した:大きなコロニーおよび非常に小さなコロニー。いくつかの大
きいコロニーおよび小さなコロニーを730−Hisクローンの発現について分
析した。大きなコロニー由来の細胞のみが、抗730A抗体によって認識される
タンパク質を過剰発現した。しかし、異なるコロニーで過剰発現されたタンパク
質は、異なる分子質量を示した。2つのクローンの配列決定は、両方の場合にお
いて、E.coli IS配列の組込みが、730のC末端領域をコードする配
列内に生じたことを明らかにした。この2つの組込み事象は、C1の場合におい
て1つの付加コドン、そしてC2の場合において12の付加コドンを有するイン
フレーム融合物を精製した(図11)。生じた730の「変異」形態は、以下の
配列を有する:
【0286】
【化19】


挿入によって生成された付加アミノ酸を下線で示す。
【0287】
【化20】


挿入によって生成された付加アミノ酸を下線で示す。
【0288】
結論として、730−C1形態の細胞内発現は、非常に高いレベルのタンパク
質を与え、そして宿主細胞に対して毒性作用を有さないが、ネイティブなC末端
の存在は毒性である。これらのデータは、730の「細胞内毒性」がタンパク質
のC末端の65アミノ酸と結合することを示唆する。
【0289】
ORF29の最初の231アミノ酸または368アミノ酸への等価な短縮を、
リーダーペプチド(アミノ酸1〜26;欠失は、細胞質発現を与える)を用いて
かまたはリーダーペプチドなしで、およびHisタグ化を用いてまたはHisタ
グなしでの発現を使用して実施した。
【0290】
(実施例22−961中のドメイン)
上の実施例9に記載されるように、961のGST融合物は、E.coliで
最も良好に発現した。発現を改善するために、タンパク質をドメインに分けた(
図12)。
【0291】
961のドメインを、YadA(Yersiniaによって生成される付着因
子、これは、表面の突起を作製するオリゴマーを形成する細菌表面上に局在化さ
れる付着因子であることが実証されている(Hoiczykら(2000)EM
BO J 19:5989〜99))に基づいて設計し、これらは:リーダーペ
プチド、ヘッドドメイン、コイル状コイル領域(茎)、および膜アンカードメイ
ンである。
【0292】
これらのドメインを、リーダーペプチドを用いて、または用いずに発現し、そ
して必要に応じてC末端HisタグまたはN末端GSTのいずれかに融合した。
961の異なるドメインを発現するE.coliクローンを、一晩(o/n)培
養物から、またはIPTGで3時間インキュベーションした後の、発現されたタ
ンパク質の生成および局在化についてのSDS−PAGEおよびウエスタンブロ
ットによって分析した。結果は以下である:
【0293】
【表33】


この結果は、E.coliにおける以下のことを示す:
・961−Lは、外膜で高度に発現されそして局在化される。ウエスタンブロッ
ト分析によって、2つの特異的結合が検出された:1つは、〜45kDa(予測
された分子量)および1つは〜180kDaであり、このことは、961−Lが
オリゴマーを形成し得ることを示す。さらに、これらの凝集物は、一昼夜の培養
物(IPTG誘導なし)においてより発現される。このクローンのOMV調製物
を使用してマウスを免疫化し、そして血清を得た。一昼夜培養物(主にオリゴマ
ー形態)を使用して、その血清は殺菌性であった;IPTG誘導化培養物(主に
単量体)は、殺菌性ではなかった。
・961Δ−L(アンカー領域における部分的な欠失を有する)は、外膜で高
度に発現され、そして局在化されるが、オリゴマーを形成しない;
・961c−L(アンカー領域なし)は、可溶性形態で生成され、そして上清中
に搬出される。
【0294】
ELISAでの力価およびHis−融合物を使用する血清殺菌性アッセイでの
力価は以下のようであった:
【0295】
【表34】


異なる形態の961を発現するE.coliクローン(961、961−L、
961Δ−Lおよび961c−L)を使用して、961が接着因子(YadA
を参照のこと)であるか否かを調査した。接着アッセイを、(a)ヒト内皮細胞
および(b)一晩培養物または3時間のIPTG誘導のいずれかの後のE.co
liクローンを使用して実施した。一晩増殖した961−L(961Δ−L)
およびIPTG誘導961c−L(表面にタンパク質を発現するクローン)は、
ヒト内皮細胞に付着する。
【0296】
961cをまた、ハイブリッドタンパク質に使用した(上記を参照のこと)。
961およびそのドメイン改変体は、効率的な発現を指向するので、それらは、
理想的には、ハイブリッドタンパク質のN末端部分として適する。
【0297】
(実施例23−さらなるハイブリッド)
本発明のさらなるハイブリッドタンパク質を、以下に示す(また図14も参照
のこと)。これらは、個々のタンパク質と比較した場合、有利である。
【0298】
【化21−1】


【化21−2】


【化21−3】


【化21−4】


【化21−5】


【化21−6】


【化21−7】


【化21−8】


【化21−9】


【化21−10】


【化21−11】


【化21−12】


【化21−13】


【化21−14】


【化21−15】


本発明は、例示の目的でのみ記載されており、そして本発明の範囲および精神
の範囲内にとどまったまま改変がなされ得るということが理解される。例えば、
他の系統由来のタンパク質の使用が、予想される[例えば、ORF4、ORF4
0、ORF46、225、235、287、519、726、919および95
3の多型配列については、WO00/66741を参照のこと]。
【0299】
(実験の詳細)
(FPLCタンパク質の精製)
以下の表は、使用したFPLCタンパク質精製のまとめである:
【0300】
【表35】


緩衝溶液は、20〜120mMのNaCl、5.0mg/mlのCHAPSお
よび10%v/vグリセロールを含んだ。この透析液を、13000gで20分
間遠心分離し、そして、モノQ FPLCイオン交換樹脂またはモノS FPL
Cイオン交換樹脂のいずれかに適用した。緩衝液およびイオン交換樹脂を、目的
のタンパク質のpIおよびFPLCプロトコールマニュアル[Pharmaci
a:FPLC Ion Exchange and Chromatofocu
ssing;Principles and Methods.Pharmac
ia Publication]の推薦に従って選択した。タンパク質を、段階
的NaCl勾配を使用して溶出した。精製物を、SDS−PAGEによって分析
し、そしてタンパク質濃度をブラッドフォード法によって決定した。
【0301】
「プロトコール」列中の文字は、以下をいう:
(FPLC−A):クローン121.1、128.1、593、726、98
2、周辺タンパク質920Lおよびハイブリッドタンパク質919〜287、9
53〜287を、細胞の破壊の後に得られたE.coliの可溶化分画から精製
した。目的のプラスミドを保有する単一コロニーを、20mlのLB/Amp(
100μg/ml)液体培地中で、37℃で一晩増殖させた。細菌を、1.0L
の新鮮な培地中で1:30に希釈し、そして30℃または37℃のいずれかで、
OD550が0.6〜0.8に達するまで増殖させた。組換えタンパク質の発現
を、1.0mMの最終濃度でIPTGを用いて誘導した。3時間のインキュベー
ションの後、細菌を、8000gで15分間、4℃で遠心分離することで収集し
た。必要な場合、細胞を−20℃で保存した。全ての一連の手順を、氷上または
4℃で行った。細胞質ゾルタンパク質(121.1、128.1、593、72
6、および982)ならびに周辺タンパク質920Lについて、細菌を、完全プ
ロテアーゼインヒビター(Boehringer−Mannheim)を含有す
る25mlのPBSに再懸濁した。細胞を、Branson Sonifier
450を使用した超音波処理によって溶解した。分裂した細胞を、8000g
で30分間遠心分離して、破壊されない細胞および封入体を沈降させ、そしてこ
の上清を3.9M(NHSOの添加によって35%v/v飽和にした。
この沈殿物を、8000g、30分間で沈降させた。この上清を、3.9M(N
SOの添加によって70%v/vの飽和にし、そしてこの沈殿物を上
記のように収集した。目的のタンパク質を含むペレットを、SDS−PAGEに
よって同定し、そして適切なイオン交換緩衝液(以下を参照のこと)に対して6
時間または一晩透析した。953Lを発現するE.coli由来の周辺分画を、
Evansら、[Infect.Immun.(1974)10:1010〜1
017]のプロトコールに従って調製し、そして適切なイオン交換緩衝液に対し
て透析した。緩衝液およびイオン交換樹脂を、目的のタンパク質のpIおよびF
PLCプロトコールマニュアル(Pharmacia)の推薦に従って選択した
。緩衝溶液は、20mMのNaClおよび10%(v/v)のグリセロールを含
有した。この透析物を、13000gで20分間遠心分離し、そしてモノQ F
PLCイオン交換樹脂またはモノS FPLCイオン交換樹脂のいずれかに適用
した。緩衝液およびイオン交換樹脂を、目的のタンパク質のpIおよびFPLC
プロトコールマニュアル(Pharmacia)の推薦に従って選択した。タン
パク質を、イオン交換樹脂から、段階的NaCl勾配または連続的NaCl勾配
のいずれかを使用して溶出した。精製物を、SDS−PAGEによって分析し、
そしてタンパク質濃度をブラッドフォード法によって決定した。周辺タンパク質
のリーダーペプチドの切断を、NH末端の配列決定によって実証した(以下を
参照のこと)。
【0302】
(FPLC−B):これらのタンパク質を、E.coliの膜分画から精製し
た。目的のプラスミドを保有する単一コロニーを、20mlのLB/Amp(1
00μg/ml)液体培地中で、37℃で一晩増殖させた。細菌を、1.0Lの
新鮮な培地中で1:30に希釈した。クローン406.1Lおよび919LOr
f4を30℃で、そしてOrf25Lおよび576.1Lを37℃で、OD55
が0.6〜0.8に達するまで増殖させた。919LOrf4の場合、30℃
での増殖が必須であった。なぜなら37℃での組換えタンパク質の発現は、細胞
の溶解を生じたからである。組換えタンパク質の発現を、1.0mMの最終濃度
でIPTGを用いて誘導した。3時間のインキュベーションの後、細菌を、80
00gで15分間、4℃で遠心分離することで収集した。必要な場合、細胞を−
20℃で保存した。全ての一連の手順を、4℃で行った。細菌を、完全プロテア
ーゼインヒビター(Boehringer−Mannheim)を含有する25
mlのPBSに再懸濁し、そしてFrench Pressを2〜3回通過する
浸透圧ショックによって溶解した。分解されない細胞を、5000gで15分間
遠心分離することにより除去し、膜を100000g(Beckman Ti5
0、38000rpm)で45分間遠心分離して沈降させた。Dounceホモ
ジナイザーを使用して、膜ペレットを、20mMのTris−HCl(pH8.
0)、1.0MのNaCl、および完全プロテアーゼインヒビターの7.5ml
中に再懸濁した。この上清を24時間混合し、100000gで45分間遠心分
離し、このペレットを20mMのTris−HCl(pH8.0)、1.0Mの
NaCl、5.0mg/mlのCHAPS、10%(v/v)のグリセロールお
よび完全プロテアーゼインヒビターの7.5ml中に再懸濁した。この溶液を一
晩混合し、100000gで45分間遠心分離し、この上清を6時間、適切に選
択された緩衝液に対して透析した。Orf25.Lの場合、CHAPS抽出の後
に得たこのペレットが、組換えタンパク質を含むことを見出した。この分画を、
さらなる精製なしに、マウスを免疫化するために使用した。
【0303】
(FPLC−C):FPLC−Aと同様であるが、しかし精製物は、細胞破壊
の後よりもむしろ、ポリミキシンBを有するE.coliの透析の後に得た可溶
化分画に由来した。
【0304】
(FPLC−D):目的のプラスミドを保有する単一コロニーを、20mlの
LB/Amp(100μg/ml)液体培地中で、37℃で一晩増殖させた。細
菌を、1.0Lの新鮮な培地中で1:30に希釈し、そして30℃で、OD55
が0.6〜0.8に達するまで増殖させた。組換えタンパク質の発現を、1.
0mMの最終濃度でIPTGを用いて誘導した。3時間のインキュベーションの
後、細菌を、8000gで15分間、4℃で遠心分離することで収集した。必要
な場合、細胞を−20℃で保存した。全ての一連の手順を、氷上または4℃で行
った。細胞を、20mMのBicine(pH8.5)、20mMのNaCl、
10%(v/v)グリセロール、完全プロテアーゼインヒビター(Boehri
nger−Mannheim)に再懸濁し、Branson Sonifier
450を使用して破壊した。この超音波処理物を、8000gで30分間遠心
分離して破壊されない細胞および封入体を沈降させた。この組換えタンパク質を
、3.9M(NHSOの添加によって、35%v/vと70%v/vと
の間の飽和である溶液から沈殿した。この沈殿物を、8000g、30分間で沈
降させ、20mMのBicine(pH8.5)、20mMのNaCl、10%
(v/v)グリセロールに再懸濁し、この緩衝液に対して6時間または一晩透析
した。この透析物を13000gで20分間遠心分離し、そしてFPLC樹脂に
適用した。このタンパク質を、カラムから段階的NaCl勾配を使用して溶出し
た。精製物を、SDS−PAGEによって分析し、そしてこのタンパク質濃度を
ブラッドフォード法によって決定した。
【0305】
(クローニングストラテジーおよびオリゴヌクレオチドの設計)
目的の抗原をコードする遺伝子を、N.meningitidis B MC
58のゲノム配列に基いて設計したオリゴヌクレオチドを使用してPCRにより
増幅した。2996株からのゲノムDNAを、別段特定しなければ、常にPCR
のテンプレートとして使用し、そして他の増幅したフラグメントを発現ベクター
pET21b+(Novagen)においてクローン化して、C末端のHisタ
グ産物としてこのタンパク質を発現させるか、またはpET−24+(Nova
gen)においてクローン化して「無タグ」形態(例えば、ΔG287K)とし
てこのタンパク質を発現した。
【0306】
タンパク質を融合パートナーがなく、そして(もし存在する場合)独自のリー
ダーペプチドを有して発現した場合、オープンリーディングフレーム(ATG〜
終止コドン)の増幅を実施した。
【0307】
タンパク質が、「無タグ」形態で発現された場合、このリーダーペプチドを、
推定されたリーダーペプチドから下流の5’末端増幅プライマーを設計すること
により、取り除いた。
【0308】
PCRで使用するプライマーの融点は、プライマー全体においてハイブリダイ
ズするヌクレオチドの数と種類に依存し、以下の式によって決定した:
m1=4(G+C)+2(A+T) (尾部排除)
m2=64.9+0.41(%GC)−600/N (プライマー全体)
選択されたオリゴヌクレオチドの融点は、オリゴ全体に対して通常65〜70
℃であり、そしてハイブリダイズする領域単独について50〜60℃である。
【0309】
オリゴヌクレオチドを、Prkin Elmer394 DNA/RNA合成
機を使用して合成し、2.0mlのNHOHでこのカラムから溶出し、そして
56℃で5時間のインキュベーションにより脱保護した。このオリゴを、0.3
Mの酢酸ナトリウムと2容量のエタノールを添加することにより沈澱させた。こ
の試料を遠心分離し、そしてこのペレットを水中に再懸濁した。
【0310】
【表36−1】


【表36−2】


【表36−3】


【表36−4】


【表36−5】


【表36−6】


【表36−7】


【表36−8】


【表36−9】


【表36−10】


【表36−11】


【表36−12】


*このプライマーを、Hisタグに対する287の全てのC末端融合逆方向プ
ライマーとして使用した。
【0311】
§278−Hisリバースプライマーと組合せて使用された順方向(Forw
ard)プライマー。
【0312】
NB−全PCR反応は、別段特定(例えば、MC58株)しない限り2996
株を使用した。
【0313】
ATGで開始する全ての構築物は、特異なNheI部位の後に存在せず、AT
Gコドンはクローニング部位について使用したNdeI部位の一部である。5’
端におけるクローニング部位としてNheIを使用して(例えば、これら全てが
、N末端に287を含んでいる)をつくられたこの構築物は、抗原のコード配列
に融合された2つのさらなるコドン(GCT AGC)を有している。
【0314】
(染色体DNAテンプレートの調製)
N.meningitidis株2996、MC58、394.98、100
0およびBZ232(およびその他)を、100mlのGC培地中で対数期まで
増殖させ、遠心分離で回収し、そして5mlの緩衝液(20%w/vスクロース
、50mM Tris−HCl、50mM Tris−HCl、50mM ED
TA、pH8)中に再懸濁した。氷上での10分間のインキュベーション後、細
菌を10mlの溶解溶液(50mM NaCl,1%Na−Sarkosyl、
50μg/ml Proteinase K)の添加によって溶解し、そしてこ
の懸濁液を37℃で2時間インキュベートした。2回のフェノール抽出(pH8
で平衡化)および1回のCHCl/イソアミルアルコール(24:1)抽出を
実施した。DNAを、0.3M酢酸ナトリウムおよび2容量のエタノールを添加
することによって沈澱させ、そして遠心分離によって収集した。このペレットを
70%(v/v)エタノールで1回洗浄し、4.0ml TE緩衝液(10mM
Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)で再溶解した。DNAの
濃度は、OD260を読取ることで測定した。
【0315】
(PCR増幅)
標準PCRプロトコールは、以下のとおりであった:200ngの2996、
MC581000、もしくはBZ232株由来のゲノムDNAまたは10ngの
組換えクローンのプラスミドDNA調製物を、40μMの各オリゴヌクレオチド
プライマー、400〜800μMのdNTP溶液、1×PCR緩衝液(1.5m
M MgClを含む)、2.5単位のTaqI DNAポリメラーゼ(Per
kin−Elmer AmpliTaQ、Boerhingher Mannh
eim ExpandTM Long Templateを使用する)の存在下
でテンプレートとして使用した。
【0316】
95℃にて予め3分間の全混合物のインキュベーション後、各サンプルに、以
下の二工程増幅を行った:最初の5サイクルを、プライマーの制限酵素テールを
除くハイブリダイゼーション温度(Tm1)を使用して行った。これに続いて、
全長オリゴについて算出したハイブリダイゼーション温度(Tm2)に従って3
0サイクル行った。伸長時間(68℃または72℃で実施した)を、増幅される
Orfの長さによって変化させた。Orf1の場合、伸長時間(3分から開始す
る)を、サイクル毎に15秒ずつ増加させた。これらのサイクルを、72℃での
10分の伸長工程で完了させた。
【0317】
増幅したDNAを、1%アガロースゲルに直接ロードした。正確なサイズのバ
ンドに対応するDNAフラグメントを、Qiagen Gel Extract
ion Kitを製造業者のプロトコルに従って使用し、ゲルから精製した。
【0318】
(PCRフラグメントおよびクローニングベクターの消化)
増幅フラグメントに対応する精製DNAを、pET−21b+、pET22b
+またはpET−24b+へのクローニングのために適切な制限酵素を用いて消
化した。消化されたフラグメントを、QIAquick PCR精製キット(製
造業者の指示書に従って)を使用して精製し、そして、水または10mMのTr
is−HCl(pH8.5)のいずれかを用いて溶出した。プラスミドベクター
を、適切な制限酵素を用いて消化し、1.0%アガロースゲルにロードし、そし
てこの消化されたベクターに対応するバンドをQiagen QIAquick
Gel Extraction Kitを使用して精製した。
【0319】
(クローニング)
予め消化して、そして精製した各遺伝子に対応するフラグメントを、pET−
21b+、pET22b+またはpET−24b+に連結した。モル比3:1の
フラグメント/ベクターを、製造業者によって供給された連結緩衝液中でT4
DNAリガーゼとともに使用した。
【0320】
リガーゼ反応溶液および細菌を40分間氷上でインキュベートし、次に、37
℃で3分間インキュベートして、組換えプラスミドをコンピテントE.coli
DH5またはHB101中に形質転換した。これに続いて、800μlのLB
ブロスを添加して、37℃で20分間インキュベートした。細胞を、Eppen
dorfの微量遠心機において最大速度で遠心分離し、そして約200μlの上
清に再懸濁して、LBアンピシリン(100mg/ml)寒天上にプレートした

【0321】
組換えクローンのスクリーニングを、無作為に選択したコロニーを、100μ
g/mlのアンピシリンを加えた4.0mlのLBブロス中で37℃にて一晩増
殖させることにより行った。次に、細胞をペレットにして、そしてプラスミドD
NAをQiagen QIAprep Spin Miniprep Kitを
製造業者の指示書に従って使用して、抽出した。各々個々のミニプレップの約1
μgを、適切な制限酵素を用いて消化し、そして消化物を、1〜1.5%アガロ
ースゲル(予想されるインサートサイズに依存する)に、分子量マーカー(1k
b DNA Ladder、GIBCO)と並行してロードした。陽性クローン
のスクリーニングを、インサートサイズに基づいて行った。
【0322】
(発現)
発現ベクター中に各遺伝子をクローニングした後、組換えプラスミドを、組換
えタンパク質産物の発現に適切なE.coli株中に形質転換した。1μlの各
構築物を使用して、E.coli BL21−DE3を、上記のように形質転換
した。単一の組換えコロニーを、Amp(100μg/ml)を加えた2mlの
LBに接種し、37℃で一晩でインキュベートし、次に、100mlのフラスコ
中でAmp(100μg/ml)を加えた20mlのLB中に1:30で希釈し
、OD600が0.1と0.2との間にした。これらのフラスコを、OD600
が、発現の誘導に適切な指数増殖(0.4〜0.8OD)を示すまで回転型水浴
振とう機中で30℃または37℃でインキュベートした。タンパク質の発現を1
.0mM IPTGの添加によって誘導した。30℃または37℃での3時間の
インキュベーションの後、OD600を測定し、そして発現を試験した。サンプ
ルの最最終濃度を、ODによって確認した。1.0mlの各サンプルを微量遠心
機において遠心分離し、そのペレットをPBS中に再懸濁してSDS−PAGE
およびクマシーブルー染色によって分析した。
【0323】
(Gatewayクローニングおよび発現)
GATE標識された配列を、GATEWAYクローニング技術(GIBCO−
BRL)を用いてクローニングし、そして発現させた。組換えクローニング(R
C)は、E.coliゲノム中へのファージの組込みおよびE.coliゲノム
からのファージの切り出し、それぞれを媒介する組換え反応に基づく。組込みは
、細菌のゲノム中に位置するattB部位内へのファージDNAのattP部位
の組換え(BP反応)を含み、そしてattL部位およびattR部位に隣接し
て組み込まれたファージゲノムを生成する。切り出しは、attP部位およびa
ttB部位の後にattL部位およびattR部位を組換える(LR反応)。組
み込む反応は、2つの酵素[ファージタンパク質インテグラーゼ(Int)およ
び細菌タンパク質組込み宿主因子(IHF)](BPクロナーゼ(clonas
e))を必要とする。切り出し反応は、Int、IHF、およびさらなるファー
ジ酵素、切り出し酵素(Xis)(LRクロナーゼ)を必要とする。25bpの
細菌のattB組換え部位の人工誘導体(B1およびB2と称される)を、ナイ
セリアのORFを増幅するPCR反応に用いられるプライマーの5’末端に付加
した。得られた産物を、BPクロナーゼを用いて、ファージattP組換え部位
(P1およびP2)の相補的誘導体を含む「ドナー(Donor)ベクター」中
にBPクローニングした。得られた「侵入(entry)クローン」は、att
L部位(L1およびL2)の誘導体に隣接するORFを含み、これらのクローン
をLRクロナーゼを用いて、attL適合性attR部位(R1およびR2)の
誘導体を含む発現「目的(destination)ベクター」中にサブクロー
ニングした。これは、「発現クローン」を生じ、ここで、ORFは、B1および
B2に隣接し、そしてGSTまたはHisのN末端タグにインフレームで融合し
た。
【0324】
GATEWAY発現のために用いたE.coli株は、BL21−SIである
。この株の細胞を、塩(0.3MのNaCl)を含む培地中での増殖によってT
7RNAポリメラーゼの発現を誘導する。
【0325】
ここで留意すべき点は、この系がN末端Hisタグを与えることである。
【0326】
(膜タンパク質の調製)
内膜、外膜または全部の膜のいずれかから主に構成される画分を、膜局在化リ
ーダー配列で発現された組換えタンパク質を得るために単離した。組換えタンパ
ク質について富化された膜画分の調製のための方法を、Filipら[J.Ba
ct.(1973)115:717−722]およびDaviesら[J.Im
munol.Meth.(1990)143:215−225]から適応した。
目的のプラスミドを保有する単一コロニーを、20mlのLB/Amp(100
μg/ml)液体培地中で37℃にて一晩で増殖させた。細菌を、新鮮な培地1
.0L中で1:30に希釈し、OD550が0.6〜0.8に達するまで、30
℃または37℃のいずれかで増殖させた。組換えタンパク質の発現を、最終濃度
1.0mMでIPTGを用いて誘導した。3時間インキュベート後、細菌を80
00gで4℃にて15分間遠心分離することによって収集し、そして20mlの
20mM Tris−HCl(pH7.5)および完全プロテアーゼインヒビタ
ー(Boehringer−Mannheim)に再懸濁した。全ての引き続く
手順を4℃または氷上にて実施した。
【0327】
細胞を、Branson Sonifier 450を使用して超音波処理す
ることにより破砕し、そして5000gで20分間遠心分離して破砕されていな
い細胞および封入体を沈降させた。この上清(膜および細胞の残骸を含む)を5
0000g(Beckman Ti50、29000rpm)で75分間遠心分
離し、20mMのBis−trisプロパン(pH6.5)、1.0MのNaC
l、10%(v/v)グリセロールで洗浄し、そして50000gで75分間、
再び沈降させた。このペレットを、20mMのTris−HCl(pH7.5)
、20%(v/v)Sarkosyl、完全プロテアーゼインヒビター(1.0
mMのEDTA、最終濃度)に再懸濁し、そして20分間インキュベートして内
膜を溶解した。細胞の残骸を、5000gで10分間遠心分離することによって
ペレットにし、そして上清を75000g(Beckman Ti50、330
00rpm)で75分間遠心分離した。タンパク質008Lおよび519Lを上
清中に見出した。このことは、内膜に局在化したことを示唆する。これらのタン
パク質の代わりに内膜および全膜画分の両方(上記のようにNaClで洗浄した
)を用いて、マウスを免疫した。75000gのペレットから得た外膜小胞を、
20mMのTris−HCl(pH7.5)で洗浄し、そして75000gで7
5分間または一晩遠心分離した。OMVを、500μlの20mMのTris−
HCl(pH7.5)、10%(v/v)グリセロール中に最終的に再懸濁した
。Orf1LおよびOrf40Lを、両方とも外膜の画分に局在化および富化さ
せ、この画分を、マウスを免疫するために用いた。タンパク質濃度を、標準的B
radfordアッセイ(Bio−Rad)によって評価し、一方、内膜画分の
タンパク質濃度を、DCタンパク質アッセイ(Bio−Rad)を用いて決定し
た。単離手順からの種々の画分を、SDS−PAGEによってアッセイした。
【0328】
(Hisタグ化タンパク質の精製)
287の種々の形態を2996株およびMC58株からクローニングした。そ
れらを、C末端Hisタグ化融合体と構築し、成熟形態(aa 18〜427)
、欠失(Δ1、Δ2、Δ3およびΔ4)を有する構築物およびBドメインまたは
Cドメインのいずれかから構成されるクローンを含んだ。His−融合体として
精製した各クローンについて、単一のコロニーを画線し、LB/Amp(100
μg/ml)寒天プレート上で37℃にて一晩増殖させた。このプレートから単
離したコロニーを、20mlのLB/Amp(100μg/ml)液体培地中に
接種し、振とうさせながら37℃にて一晩増殖させた。一晩の培養物を1.0L
のLB/Amp(100μg/ml)液体培地中に1:30で希釈し、そして最
適な温度(30℃または37℃)にてOD550が0.6〜0.8に達するまで
増殖させた。組換えタンパク質の発現を、IPTG(最終濃度1.0mM)の添
加によって誘導し、そして、培養物をさらに3時間インキュベートした。細菌を
8000g、4℃にて15分間の遠心分離によって収集した。細菌のペレットを
、(i)可溶性タンパク質について、冷緩衝液A(300mMのNaCl、50
mMのリン酸緩衝液、10mMのイミダゾール、pH8.0)、または(ii)
不溶性タンパク質について、緩衝液B(10mMのTris−HCl、100m
Mのリン酸緩衝液、pH8.8および、必要に応じて8Mの尿素)のいずれか7
.5mlに再懸濁した。可溶性形態で精製したタンパク質は、287−His、
Δ1、Δ2、Δ3およびΔ4の287−His、Δ4の287MC58−His
、287c−Hisならびに287cMC58−Hisを含んだ。タンパク質2
87bMC58−Hisは、不溶性であり、これをそれに応じて精製した。この
細胞を、Branson sonifier 450を用いて、氷上で、30秒
間、40Wで4回、超音波処理によって破砕し、そして13000×gで4℃に
て30分間、遠心分離した。不溶性タンパク質について、ペレットを、2.0m
lの緩衝液C(6Mの塩酸グアニジン、100mMのリン酸緩衝液、10mMの
Tris−HCl(pH7.5))に再懸濁し、そしてDounceホモジナイ
ザーの10パスで処理した。ホモジネートを13000gで30分間遠心分離し
、そして上清を保持した。可溶性調製物および不溶性調製物の両方についての上
清を、150μlのNi2+樹脂(適切なように、緩衝液Aまたは緩衝液Bのい
ずれかで予め平衡にした)と混合し、そして30分間、穏やかに撹拌しながら、
室温でインキュベートした。この樹脂は、Chelating Sepharo
se Fast Flow(Pharmacia)であり、製造業者のプロトコ
ルに従って調製した。回分式調製物を、700gで4℃にて5分間遠心分離し、
上清を捨てた。この樹脂を、2回(回分式)、10mlの緩衝液Aまたは緩衝液
Bを用いて10分間洗浄し、1.0mlの緩衝液Aまたは緩衝液B中に再懸濁し
、そして使い捨てカラムにロードした。この樹脂を、(i)4℃にて緩衝液Aま
たは(ii)室温にて緩衝液Bのいずれかを用いて、流入のOD280が0.0
2〜0.01に達するまで、洗い続けた。この樹脂を、(i)冷緩衝液C(30
0mMのNaCl、50mMのリン酸緩衝液、20mMのイミダゾール、pH8
.0)または(ii)緩衝液D(10mMのTris−HCl、100mMのリ
ン酸緩衝液、pH6.3および、必要に応じて8Mの尿素)のいずれかを用いて
、流入のOD280が0.02〜0.01に達するまで、さらに洗浄した。Hi
s−融合タンパク質を、(i)冷溶出緩衝液A(300mMのNaCl、50m
Mのリン酸緩衝液、250mMのイミダゾール、pH8.0)、または(ii)
溶出緩衝液B(10mMのTris−HCl、100mMのリン酸緩衝液、pH
4.5および、必要に応じて8Mの尿素)のいずれか700μlの添加によって
溶出し、そしてOD280が全ての組換えタンパク質を得たことを示すまで画分
を収集した。20μlの各溶出画分のアリコートをSDS−PAGEによって分
析した。タンパク質濃度をBradfordアッセイを用いて評価した。
【0329】
(変性したHis融合タンパク質の再生)
変性が、287bMC8を可溶化するために必要とされたので、再生工程を、
免疫化の前に用いた。グリセロールを、上記で得た変性画分に添加して、10%
v/vの最終濃度にした。このタンパク質を、透析緩衝液I(10%v/vのグ
リセロール、0.5Mのアルギニン、50mMのリン酸緩衝液、5.0mMの還
元型グルタチオン、0.5mMの酸化型グルタチオン、2.0Mの尿素、pH8
.8)を使用して200μg/mlになるまで希釈し、そして同じ緩衝液に対し
て、4℃で12〜14時間透析した。さらなる透析を、透析緩衝液II(10%
v/vのグリセロール、0.5Mのアルギニン、50mMのリン酸緩衝液、5.
0mMの還元型グルタチオン、0.5mMの酸化型グルタチオン、pH8.8)
に対して4℃で12〜14時間実施した。タンパク質濃度を、以下の式を用いて
評価した:
タンパク質(mg/ml)=(1.55×OD280)−(0.76×OD26

(アミノ酸配列分析)
タンパク質のNH末端の自動化配列分析を、製造業者の勧告書に従って、オ
ンラインフェニルチオヒダントイン−アミノ酸分析機器(System Gol
d)を備えたBeckmanシークエンサー(LF 3000)で実施した。
【0330】
(免疫化)
Balb/Cマウスを、抗原を用いて、0、21および35日目に免疫し、そ
して血清を49日目に分析した。
【0331】
(血清分析−ELISAアッセイ)
無莢膜の(acapsulated)MenB M7株およびカプセル化され
た株を、チョコレート寒天プレート上にプレートし、そして5%COとともに
37℃で一晩インキュベートした。細菌のコロニーを寒天プレートから滅菌ドラ
コン(dracon)スワブを用いて収集し、そして0.25%グルコースを含
有するMueller−Hintonブロス(Difco)中に接種した。細菌
の増殖を30分毎に、OD620を追跡することによりモニターした。細菌をO
Dが0.4〜0.5の値に達するまで増殖させた。培養物を4000rpmで1
0分間遠心分離した。上清を捨て、そして細菌をPBSを用いて2回洗浄し、0
.025%のホルムアルデヒドを含有するPBS中に再懸濁し、そして37℃で
1時間インキュベートし、次いで4℃にて一晩攪拌しながらインキュベートした
。100μlの細菌細胞を、96ウェルGreinerプレートの各ウェルに添
加し、そして4℃で一晩でインキュベートした。次いでそのウェルをPBT洗浄
緩衝液(PBS中の0.1% Tween−20)を用いて3回洗浄した。20
0μlの飽和緩衝液(水中の2.7%のポリビニルピロリドン 10)を各ウェ
ルに添加し、そしてプレートを37℃で2時間インキュベートした。ウェルをP
BTで3回洗浄した。200μlの希釈血清(希釈緩衝液:PBS中に1% B
SA、0.1% Tween−20、0.1% NaN)を各ウェルに添加し
、そしてそのプレートを37℃で2時間インキュベートした。ウェルをPBTで
3回洗浄した。希釈緩衝液中に1:2000に希釈した100μlのHRP結合
体化ウサギ抗マウス(Dako)血清を、各ウェルに添加し、そしてこのプレー
トを37℃で90分間インキュベートした。ウェルを、PBT緩衝液で3回洗浄
した。HRPに対する100μlの基質緩衝液(25mlのクエン酸緩衝液(p
H5)、10mgのO−フェニルジアミンおよび10μlのH)を各ウェ
ルに添加し、そしてこのプレートを室温で20分間放置した。100μlの12
.5%HSOを各ウェルに添加し、そしてOD490を追跡した。ELIS
Aの力価を、免疫前の血清のレベルを超える0.4のOD490値を与える血清
の希釈として任意に算出した。0.4のOD490を有する血清の希釈が、1:
400より高い場合、ELISAが陽性であるとみなした。
【0332】
(血清分析−FACS Scan細菌結合アッセイ)
無莢膜MenB M7株をチョコレート寒天プレートにプレートし、そして5
%COとともに37℃で一晩インキュベートした。細菌のコロニーを寒天プレ
ートから滅菌ドラコン(dracon)スワブを用いて回収し、そして0.25
%グルコースを含有する8mlの各Mueller−Hintonブロス(Di
fco)を含む4本のチューブに中に接種した。細菌の増殖を30分毎に、OD
620を追跡することによりモニターした。細菌を、ODが0.35〜0.5の
値に達するまで増殖させた。培養物を10分間4000rpmで遠心分離した。
上清を捨て、ペレットをブロッキング緩衝液(PBS中1%BSA、0.4%N
aN)中に再懸濁し、そして5分間4000rpmで遠心分離した。細胞をO
620が0.05に達するようにブロッキング緩衝液に再懸濁した。100μ
lの細菌細胞を、Costar96ウェルプレートの各ウェルに添加した。10
0μlの希釈(1:100、1:200、1:400)血清(ブロッキング緩衝
液中)を各ウェルに添加し、そしてそのプレートを4℃で2時間インキュベート
した。細胞を5分間4000rpmで遠心分離し、その上清を吸引し、そして各
ウェルに200μl/ウェルのブロッキング緩衝液を添加することにより、細胞
を洗浄した。100μlのR−フィコエリトリン結合体化F(ab)ヤギ抗マ
ウス(1:100希釈)を各ウェルに添加し、そしてプレートを1時間4℃でイ
ンキュベートした。細胞を、4000rpmで5分間の遠心分離によって遠心沈
殿させ、そして200μl/ウェルのブロッキング緩衝液を添加することにより
、洗浄した。その上清を吸引し、そして細胞を200μl/ウェルのPBS、0
.25%のホルムアルデヒドに再懸濁した。そのサンプルをFACScanチュ
ーブに移して、そして読み取った。FACScan(レーザーパワー15mW)
設定の条件は、以下のとおりであった:FL2オン;FSC−H閾値:92;F
SC PMT電圧:E01;SSC PMT:474;増幅器ゲイン 6.1;
FL−2 PMT:586;補正値:0。
【0333】
(血清分析−殺菌性アッセイ)
N.meningitidis株2996をチョコレート寒天プレート上で、
5%COとともに37℃で一晩増殖させた(凍結ストックから開始した)。コ
ロニーを回収し、そしてこれを用いて、0.25%のグルコースを含有する7m
lのMueller−Hintonブロスに接種して、OD620が0.05〜
0.08に達した。この培養物を、OD620の値が0.23〜0.24に達す
るまで、振とうしながら37℃にて約1.5時間インキュベートした。細菌を、
10のCFU/mlの作業希釈で10mMのMgCl、10mMのCaCl
および0.5%(w/v)BSAを含有する50mMのリン酸緩衝液(pH7
.2)(アッセイ緩衝液)中に希釈した。最終反応混合物の全容量は、25μl
の連続2倍の希釈の試験血清、作業希釈での12.5μlの細菌、12.5μl
の乳仔ラビット補体(最終濃度25%)を有する50μlであった。
【0334】
コントロールは、補体血清とともにインキュベートした細菌、細菌および56
℃にて30分間加熱することによって不活化された補体とともにインキュベート
した免疫血清を含んだ。乳仔ウサギ補体の添加直後に、10μlのコントロール
を、傾斜法(tilt method)を用いてMueller−Hinton
寒天プレート上にプレートした(時間0)。96ウェルプレートを、37℃にて
1時間回転させながらインキュベートした。7μlの各サンプルを、Muell
er−Hinton寒天プレート上に斑点状にプレートしたのに対して、10μ
lのコントロールを、傾斜法を用いて、Mueller−Hinton寒天プレ
ート上にプレートした(時間1)。寒天プレートを、37℃にて18時間インキ
ュベートし、時間0および時間1に対応するコロニーを計数した。
【0335】
(血清分析−ウェスタンブロット)
MenB株2996由来の精製タンパク質(500ng/レーン)、外膜小胞
(5μg)および全細胞抽出物(25μg)を、12%SDS−ポリアクリルア
ミドゲル上にロードし、そしてニトロセルロース膜に転写した。この転写を、2
時間、150mA、4℃にて転写緩衝液(0.3%のTrisベース、1.44
%のグリシン、20%(v/v)メタノール)を用いて行った。この膜を飽和緩
衝液(PBS中の10%のスキムミルク、0.1%のTriton X100)
中での4℃の一晩のインキュベーションにより飽和させた。この膜を洗浄緩衝液
(PBS中の3%のスキムミルク、0.1%のTriton X100)を用い
て2回洗浄し、そして洗浄緩衝液中に1:200に希釈したマウス血清とともに
、37℃にて2時間インキュベートした。この膜を2回洗浄し、そして1:20
00希釈の西洋わさびペルオキシダーゼ標識した抗マウスIgとともに90分間
インキュベートした。この膜をPBS中の0.1% Triton X100を
用いて2回洗浄し、そしてOpti−4CN基質キット(Bio−Rad)を用
いて、発色させた。この反応を水を添加して停止させた。
【0336】
OMVを以下のように調製した:N.meningitidis株2996を
、5つのGCプレート上で5%COとともに37℃で一晩増殖させ、ループを
用いて収集し、そして10mlの20mM Tris−HCl(pH7.5)、
2mMのEDTA中に再懸濁した。熱不活化を56℃にて45分間行い、そして
細菌を5分間氷上で超音波処理することにより破砕した(50%の衝撃係数、5
0%の出力、Branson sonifier 3mm microtop)
。破砕されなかった細胞を5000g、10分間の遠心分離によって除去し、そ
して全細胞エンベロープ画分を含む上清を回収し、そしてさらに50000g、
4℃にて一晩遠心分離した。膜を含むペレットを、2%サルコシル、20mMの
Tris−HCl(pH7.5)、2mMのEDTA中に再懸濁し、そして室温
で20分間インキュベートして、内膜を可溶化した。この懸濁液を、10000
gで10分間遠心分離し、凝集物を除去し、そしてこの上清をさらに50000
gで3時間、遠心分離して、このペレット(外膜を含む)をPBSで洗浄し、そ
して同じ緩衝液中に再懸濁した。タンパク質濃度を、D.C.Bio−Rad
Proteinアッセイ(改変されたLowry法)によって、BSAを標準物
として用いて測定した。
【0337】
全細胞抽出物を以下のように調製した:N.meningitidis株29
96を、GCプレート上で一晩増殖させ、ループを用いて収集し、そして1ml
の20mM Tris−HCl中に再懸濁した。熱不活化を56℃にて30分間
行った。
【0338】
(961ドメインの研究)
(細胞画分の調製)961の種々のドメインを発現するE.coliクローン
の全溶解物、ペリプラズム、上清およびOVMを、一晩培養した細菌かまたはI
PTGを用いた誘導から3時間後の細菌を用いて調製した。簡潔には、ペリプラ
ズムを、100μg/mlのポリミキシン(polimixine)を有する2
5%サッカロースおよび50mMのTris(pH8)中に細菌を懸濁すること
で得た。室温にて1時間後、細菌を13000rpmで15分間遠心分離し、そ
してその上清を収集した。培養物上清を、0.2μmでろ過し、そして氷中にて
2時間50%TCAを用いて沈澱させた。遠心分離(13000rpmにて30
分間)後ペレットを70%エタノールで2回リンスし、そしてPBS中に懸濁し
た。OMV調製を既に記載したように実施した。各細胞画分をSDS−PAGE
またはGST−961に対して惹起されるポリクローナル抗血清を用いてウェス
タンブロットで分析した。
【0339】
(接着アッセイ)Chang上皮細胞(Wong−Kilbourne誘導体
、クローン1−5c−4、ヒト結膜)を、10%の熱不活性化FCS、15mM
のL−グルタミンおよび抗生物質を補給したDMEM(Gibco)中に扶養し
た。
【0340】
接着力アッセイについて、サブコンフルエントな培養物のChang上皮細胞
を、PBSでリンスし、そしてトリプシン−EDTA(Gibco)を用いて処
理してプラスチックの支持体からこれらの細胞を剥離した。次いで、これらの細
胞を、PBS中に懸濁し、計数し、そして5×10細胞/mlとなるまでPB
S中に希釈した。
【0341】
一晩培養した細菌またはIPTGを用いて誘導した後の細菌を、ペレット化し
、そして13000で5分間遠心分離することによってPBSで2回洗浄した。
約2〜3×10(cfu)を0.5mg/mlのFITC(Sigma)とと
もに1mlの緩衝液(50mMのNaHCOおよび100mMのNaCl(p
H8)を含む)中で、暗下で室温にて30分間インキュベートした。FITC標
識した細菌を2〜3回洗浄し、そしてPBS中に1〜1.5×10/mlで懸
濁した。200μlのこの懸濁液(2〜3×10)を、37℃にて30分間、
200μl(1×10)の上皮細胞とともにインキュベートした。次いで、細
胞を、2000rpmで5分間遠心分離して非接着細菌を除去し、200μlの
PBS中に懸濁し、FACScanチューブに移し、そして読み取った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図14−4】
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【図14−5】
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【図14−6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−101657(P2011−101657A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4414(P2011−4414)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【分割の表示】特願2001−563611(P2001−563611)の分割
【原出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(592243793)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (107)
【Fターム(参考)】