説明

ナット検知装置

【課題】ナットが適正に設けられているか否か、およびナットの有無を確実に判定し得ると共にワークの位置決めをなし得るナット検知装置を提供する。
【解決手段】
ナット検知装置30は、ワークWの貫通孔cに挿入されて該ワークWを位置決めするピン34と、ピン34に穿設された導通孔56と、導通孔56に挿通されて先端部64がピン34の側面から出没可能なワイヤ62とを備える。ワイヤ62には、マグネット74と、マグネット74を検知する判定リードスイッチ78と、ナット42がワークWに適正に設けられているか否か、およびナット42の有無を判定する判定部80とを備える。そして、ワイヤ62の先端部64がナット42のネジ孔44の内周面に当接して停止したマグネット74を判定リードスイッチ78が検知すると、判定部80は正常であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナット検知装置に関し、更に詳細には、例えば部品溶接工程において用いられ、ナットがワークに適正に設けられているか否か、およびナットの有無を判定するナット検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、乗用自動車のルーフやフロアー、ドア等の大型板金部品(ワーク)は、組付け工程において相互に組合わされた状態で治具にセットされ、スポット溶接等により接合されるようになっている。各ワークには、予め複数のナットがスポット溶接等により固着されており、他のワークに設けたボルト等と締結することで、ワークの組付けに供されるようになっている。
【0003】
ところで、ナットをワークに溶接する工程において、ナット供給装置等の異常により、ナットがワークに取付けられなかったり(ナットの欠品)、ワークの取付けられるべき位置から偏倚してナットが取付けられたりすること(位置ズレ)がある。このようなナットの欠品や位置ズレは、その後のワーク同士の組付けが不可能となり、品質管理上の重大な損害・損失をもたらす原因となる。そこで、このようなナットの欠品や位置ズレを検知するナット検知装置として、各種の装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
例えば、図5に示す従来のナット検知装置10では、ナット12のネジ孔14より大径に形成されて先端にテーパーが付されたピン16が、装置本体18に通孔部18aを介して上下に往復移動可能に設けられている。前記ピン16は、スプリング20により上方付勢されており、ピン16をナット12のネジ孔14に挿入したときに、該ピン16のテーパー部分がナット12に接触して停止するようになっている。すなわち、ナット12がワーク22に適正に設けられている場合、図5(a)に示す如く、ピン16がナット12に接触して所定位置(正常停止位置)で停止するようになっている。この正常停止位置では、ピン16の下部に設けた第1接点24が装置本体18内に設けた第2接点26に接触して電気信号が送られ、これによりナット12が正常に設けられていると判定される。一方、ナット12が欠品している場合、図5(b)に示すように、ピン16はナット12に当接することなく上昇し、前記正常停止位置を越えて停止する。すると、前記第1接点24および第2接点26は一旦接触した後に非接触となり、ナット12の異常(欠品)が判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−15480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記のように、ピン16のテーパー部分がナット12に当接してピン16が停止する構成では、ピン16をナット12のネジ孔14の中心から正確に挿入させる必要がある。すなわち、ネジ孔14の中心から一方(図5では、左方)へズレた位置からピン16を挿入させた場合、図5(c)に示す如く、ピン16は、一方側のテーパー部分が高い位置でナット12と接触することとなる。このため、ピン16は正常停止位置よりも手前(下方)で停止し、第1接点24および第2接点26が接触することはない。この場合、ナット12が適正にワーク22に設けられているのにも拘わらず、ナット12の欠品や位置ズレが生じたと判定してしまうことがある。
【0007】
そこで、この発明は、従来の技術に係るナット検知装置に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、ナットの欠品や位置ズレを正確に判定し得るナット検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本発明に係るナット検知装置は、
貫通孔が形成されるワークに対し、該貫通孔にネジ孔が整列する位置にナットが適正に設けられているか否か、およびナットの有無を判定するナット検知装置であって、
装置本体の先端に設けられ、前記ワークの貫通孔に挿脱されると共に、該貫通孔に挿入した際にワークを位置決めするピンと、
前記ピンにおける装置本体側から該ピンを前記貫通孔に挿通した状態でワーク外に臨む側面にかけて貫通するよう穿設される導通孔と、
前記導通孔に装置本体側から挿通されると共に該装置本体に往復移動自在に設けられ、先端部がピンの側面から出没可能なワイヤと、
前記ワイヤと共に往復移動する被検知体と、
前記ワークに適正に設けられたナットのネジ孔内に前記ピンが臨む状態で、前記ワイヤを先端部がピンの側面から突出する方向に移動させて該先端部がネジ孔の内面に当接したときの前記被検知体の停止位置に対応して設けられ、該被検知体を検知可能な検知体と、
前記検知体の検知信号に基づいて、ナットがワークに適正に設けられているか否か、およびナットの有無を判定する判定部とを備えることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、ピンの導通孔を介して移動するワイヤの先端部がナットに当接することで、ナットが正常に設けられているか否か、およびナットの有無を判定する構成としたので、従来の如く、ナットのネジ孔の中心から偏倚してピンを挿入したとしても誤判定が生ずることはない。また、ピンをネジ孔の中心から正確に挿入させる必要がないので、該ピンの挿入位置を高度に制御する装置を必要とせず、コストの抑制を図り得る。更に、ピンをワークの貫通孔に挿入した際に、ピンによりワークを位置決めすることができる。すなわち、本発明のナット検知装置によれば、ナットの欠品等を判定しつつワークの位置決めをすることができ、例えば、本装置でワークを位置決めしてワーク同士を溶接することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るナット検知装置によれば、ナットの欠品や位置ズレの誤判定が生じ難く、正確な判定が可能となる。また、ピンによりワークの位置決めをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例に係るナット検知装置の全体構成を概略的に示す縦断面図である。
【図2】実施例に係るナット検知装置が作動する様子を示す説明図であって、(a)はマグネットが下限位置にある場合を示し、(b)はワイヤの先端部がナットのネジ孔の内周面に当接した状態を示す。
【図3】ナットがワークに設けられておらず、ワイヤの先端部がピンから突出した状態を示す説明図である。
【図4】ナットがワークの適正位置からズレて設けられている場合において、ワイヤの先端部がピンから突出した状態を示す説明図である。
【図5】従来のナット検知装置が作動する様子を示す説明図であって、(a)はワークにナットが適正に設けられている場合を示し、(b)はワークにナットが設けられていない場合を示し、(c)はナットのネジ孔の中心から偏倚してピンを挿入した場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るナット検知装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において「上」、「下」とは、ナット検知装置を図1を基準として見た場合で指称することとする。
【実施例】
【0012】
図1は、実施例に係るナット検知装置30の全体構成を示す縦断面図である。ナット検知装置30は、所要長さの筒状に構成された装置本体32と、該装置本体32の上端に設けたピン34と、装置本体32の下端に設けたシリンダ36とを備えている。装置本体32の内部には、該装置本体32の下端面から上方へ所定長さで凹設したスライド孔38が画成されている。また、前記装置本体32の上端面からスライド孔38の上部にかけて通孔32aが穿設されている。装置本体32の上部には、凹状に形成された連結凹部40が設けられ、該連結凹部40に前記ピン34が嵌挿されるようになっている。
【0013】
前記ピン34は、ナット42のネジ孔44に整列するようワークWに設けた貫通孔cに挿脱可能に構成されている。このピン34は、下側の基部46と、該基部46から上方に突出する挿入部48と、上方へ次第に縮径するテーパー部50とから構成される。前記基部46は、ワークWの貫通孔cより大径に形成されて、その上面にワークWの下端面に当接可能なフランジ面52が形成されている。また、前記基部46の下面には、下方へ向けて突出する連結凸部54が形成され、該連結凸部54が装置本体32の連結凹部40に嵌入することで、ピン34が装置本体32に装着されるようになっている。前記ピン34の挿入部48は、ワークWの貫通孔cおよびナット42のネジ孔44と略同径または僅かに小径に設定され、ピン34をナット42のネジ孔44に挿入した際に、挿入部48の側面がネジ孔44の内周面に当接または僅かに離間して臨むようになっている。また、ピン34をワークWの貫通孔cに挿入した際に、該ピン34の挿入部48が貫通孔cに嵌合して、ワークWをピン34により位置決めし得るようになっている。
【0014】
前記ピン34は、装置本体32側から、ピン34を前記貫通孔cに挿通した状態でワークW外に臨む側面にかけて貫通するよう穿設された導通孔56を備えている。すなわち導通孔56は、連結凸部54の下面中央位置に設けた通入口58と、前記挿入部48の側面において該挿入部48をワークWの貫通孔cに挿通したときに該貫通孔cを抜けてナット42のネジ孔44内に臨む部位に設けた通出口60とを連通している。また、図1に示すように、前記導通孔56は、通入口58から上方(ピン34の挿入方向)へ真っ直ぐ延在した後、途中でピン34の側面へ向けて側方(ピン34の挿入方向と交差する方向)へ湾曲している。なお、前記通入口58は、装置本体32の通孔32aの上部開口に整合するよう設けられ、前記ピン34を装置本体32に取付けたときに導通孔56および通孔32aが連通するよう構成される。
【0015】
前記装置本体32のスライド孔38には、針金状のワイヤ62が前記導通孔56に装置本体32側から挿通されて、上下方向に往復移動自在に設けられている。このワイヤ62は、湾曲可能な金属線等で構成され、前記導通孔56および通孔32aを挿通し得る径に設定されている。そして、前記ワイヤ62は、通孔32aおよび導通孔56を介して上下に移動することで、ワイヤ62の先端部64が前記通出口60を介してナット42の側面から出没可能に構成されている。すなわち、ワイヤ62の先端部64は、上昇時(往動時)に前記ピン34の通出口60から斜め上方へ突出すると共に、下降時(復動時)に導通孔56内に引き込まれるようになっている。そして、ワイヤ62の先端部64が前記通出口60に到来したときに、該先端部64がナット42のネジ孔44の内周面に当接し得るようになっている。なお、前記ワイヤ62の後端部は、前記シリンダ36の内部に配設されたピストン部材66に連結部68を介して連結され、該ピストン部材66が上下動することで、ワイヤ62が往復移動される。
【0016】
前記ピストン部材66は、上下方向に延在するロッド部70と、該ロッド部70の下端に連結された板部72とからT字状に形成され、図示しない駆動源によりシリンダ36内へ空気を給排気することで、ピストン部材66は上下に往復移動されるようになっている。前記ロッド部70は、前記シリンダ36より上下寸法が大きく設定され、該シリンダ36の上部に設けた穴部36aを介してロッド部70の上端側が前記スライド孔38に臨んでいる。そして、このスライド孔38に臨むロッド部70の上端に、ワイヤ62を連結する前記連結部68が設けられている。前記板部72は、シリンダ36内の内径に略一致する寸法に形成されて、該シリンダ36の内周面を摺動するよう構成されている。ここで、ピストン部材66の移動量は、前記板部72がシリンダ36の底面に位置する下限位置から、前記ロッド部70の上端に設けた連結部68がスライド孔38の上端に当接する上限位置まで移動し得るようになっている(図2および図3参照)。なお、ピストン部材66は、前記ワイヤ62の先端部64がナット42のネジ孔44の内周面に当接したときに停止されるようになっている。すなわち、駆動源によるエア圧力は、ピストン部材66の上昇時の負荷より大きく、かつワイヤ62の剛性より小さな値に設定されている。従って、ワイヤ62がナット42に当接した後は、ピストン部材66は上昇することなく停止するようになっている。
【0017】
前記板部72の外周面には、被検知体としてのマグネット74が環状に設けられ、板部72と共にシリンダ36内を上下に往復移動するよう構成される。また、前記シリンダ36の外周面には、該マグネット74を検知可能なリードスイッチ76,78が上下に離間して2つ設けられている。下側に設けられたリードスイッチ(以下、始点リードスイッチ76という)は、前記ピストン部材66が下限位置にあるときの板部72(マグネット74)の位置に対応して設けられ、該始点リードスイッチ76がマグネット74を検知したときに検知信号を出力するようになっている。上側に設けられたリードスイッチ(以下、判定リードスイッチ(検知体)78という)は、ナット42がワークWに適正に設けられている場合において、該ナット42のネジ孔44の内周面にワイヤ62が当接してピストン部材66が停止したときのマグネット74の位置(以下、正常停止位置という)に対応して設けられている。そして、判定リードスイッチ78は、正常停止位置に到来したマグネット74を検知すると、その検知信号を出力するようになっている。
【0018】
前記2つのリードスイッチ76,78は、ナット42がワークWに適正に設けられているか否か、およびナット42の有無を判定する判定部80に電気的に接続されている。すなわち、始点リードスイッチ76からの検知信号を判定部80が受信すると、該判定部80は、ピストン部材66が下限位置にあることを認識するようになっている。また、前記判定リードスイッチ78から検知信号を連続して受信すると、判定部80は、ナット42がワークWに適正に設けられていると判定するようになっている。更に、判定部80は、判定リードスイッチ78から瞬間的(パルス的)な検知信号を受信したときに、ナット42の欠品または位置ズレが発生したと判定するよう設定されている。
【0019】
(実施例の作用)
次に、実施例に係るナット検知装置30の作用について、該ナット検知装置30を部品(ワーク)溶接工程で使用する場合を例に説明する。
【0020】
先ず始めに、ナット42がワークWの適正位置に溶接されている場合について説明する。なお、ワークWに設けられるナット42は、ナット溶接工程において、予めアーク溶接等によりワークWの所定位置に溶接される。図示しない移動制御装置によりナット検知装置30をワークWの下方から臨ませ、ピン34をワークWの貫通孔cに挿通させる。そして、前記ピン34のフランジ面52がワークWの下面に当接したところで、前記移動制御装置は、ピン34の挿入を停止させる。このとき、前記ピン34をナット42のネジ孔44の中心から偏倚して挿通しても、判定部80が誤判定を起こすことはない。すなわち、ピン34をナット42のネジ孔44に挿入し得るのであれば、ピン34をネジ孔44の中心から正確に挿入させなくとも正確に判定することができ、移動制御装置によるナット検知装置30の高度な制御は不要となってコストの低減を図り得る。前記ピン34がネジ孔44に挿入されると、該ピン34の通出口60は、ナット42のネジ孔44の内周面に臨む(図2(a)参照)。また、ピン34をワークWの貫通孔cに挿入した際に、ピン34が貫通孔cに嵌合してワークWが位置決めされる。
【0021】
次に、駆動源が作動してシリンダ36内へ空気が供給され、下限位置に位置するピストン部材66が上方へ移動される。すると、ピストン部材66と共にワイヤ62が上方へ移動し、該ワイヤ62の先端部64がピン34の導通孔56内を上昇する。更に、ワイヤ62が上昇すると、該ワイヤ62は導通孔56の湾曲部に沿って側方(ネジ孔44側)へ湾曲し、ピン34(挿入部48)の側面へ向けて斜め上方へ移動する。そして、図2(b)に示すように、ワイヤ62の先端部64が通出口60に到達すると、該先端部64がネジ孔44の内周面に当接する。すると、前記駆動源が停止して、ピストン部材66の移動が停止され、ワイヤ62の移動も停止される。このとき、前記ピストン部材66の板部72に設けられたマグネット74が正常停止位置で停止し、前記判定リードスイッチ78がマグネット74を検知する。すると、判定リードスイッチ78はマグネット74を検知し続けるので、該スイッチ78は、検知信号を判定部80へ連続的に送信し、該判定部80はナット42がワークWに適正に設けられていると判定する。
【0022】
判定部80による判定が終了すると、前記駆動源が作動してシリンダ36内の空気が排気され、ピストン部材66がワイヤ62と共に下降して、ワイヤ62の先端部64が導通孔56内に引き込まれる。そして、マグネット74が下限位置に到来して、始点リードスイッチ76が該マグネット74を検知すると、駆動源が停止してピストン部材66の移動を終了させる。なお、ワークWはピン34に位置決めされたもとで、他のワークWと溶接される。すなわち、実施例に係るナット検知装置30によれば、ナット42の欠品等の判定と共にワークWの位置決めをなし得るので、該ワークWを位置決めするための治具を他に必要とせず、コストを低廉にし得る。
【0023】
次に、ナット42がワークWに設けられていない場合(ナット42の欠品)について説明する。上記同様に、ナット検知装置30をワークWの下方から臨ませ、前記ピン34をワークWの貫通孔cに挿通される。しかるに、図3に示すように、ワークWにナット42が存在していないため、ピン34の通出口60は外部に露出した状態となる。この状態でピストン部材66が上昇すると、ワイヤ62の先端部64がピン34の通出口60から外方へ突出し、ワイヤ62は、連結部68がスライド孔38の上部に当接するまで上昇する。従って、前記マグネット74は、正常停止位置を通過して、判定リードスイッチ78はマグネット74を瞬間的に検知し、パルス的な検知信号が判定部80へ送信される。これを受けた判定部80は、ナット42が異常であると判定し、ナット42の欠品が検知される。
【0024】
次に、ナット42がワークWの適正位置からズレて設けられている場合(位置ズレ)について説明する。この場合、図4に示すように、前記ピン34をワークWの貫通孔cに挿通しようとしても、ピン34のテーパー部50がナット42に当接して、これ以上の挿入が阻止される。従って、ピン34の通出口60はナット42のネジ孔44内に臨むことなく、ワークWの下方で外部に露出した状態となる。この状態で、ピストン部材66が上昇すると、ワイヤ62の先端部64が通出口60から外方へ突出する。従って、マグネット74が正常停止位置を通過するので、判定リードスイッチ78が瞬間的にマグネット74を検知する。すると、判定部80が判定リードスイッチ78からパルス的な検知信号を受信して、該判定部80は、ナット42が異常であると判定する。これにより、ナット42の位置ズレを検知することができる。
【0025】
このように、実施例に係るナット検知装置30によれば、ナット42のネジ孔44の中心から正確にピン34を挿入しなくとも、ナット42の欠品や位置ズレを正確に検知することができる。また、ピン34によりワークWを位置決めし得るので、ナット42の欠品等の判定をしつつワークWを溶接することができる。従って、ワークWの位置決めするための治具を別途設ける必要がなく、コストを低廉にし得る。なお、実施例に係るナット検知装置30では、針金状のワイヤ62が導通孔56を移動する構成としたので、仮に導通孔56内にゴミ等が詰まったとしても、ワイヤ62によりゴミを外部へ放出することができ、装置の故障や不具合が生じるのを抑制し得る。
【符号の説明】
【0026】
32 装置本体,34 ピン,42 ナット,44 ネジ孔,56 導通孔
62 ワイヤ,64 先端部,74 マグネット(被検知体)
78 判定リードスイッチ(検知体),80 判定部,c 貫通孔,W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔(c)が形成されるワーク(W)に対し、該貫通孔(c)にネジ孔(44)が整列する位置にナット(42)が適正に設けられているか否か、およびナット(42)の有無を判定するナット検知装置であって、
装置本体(32)の先端に設けられ、前記ワーク(W)の貫通孔(c)に挿脱されると共に、該貫通孔(c)に挿入した際にワーク(W)を位置決めするピン(34)と、
前記ピン(34)における装置本体(32)側から該ピン(34)を前記貫通孔(c)に挿通した状態でワーク(W)外に臨む側面にかけて貫通するよう穿設される導通孔(56)と、
前記導通孔(56)に装置本体(32)側から挿通されると共に該装置本体(32)に往復移動自在に設けられ、先端部(64)がピン(34)の側面から出没可能なワイヤ(62)と、
前記ワイヤ(62)と共に往復移動する被検知体(74)と、
前記ワーク(W)に適正に設けられたナット(42)のネジ孔(44)内に前記ピン(34)が臨む状態で、前記ワイヤ(62)を先端部(64)がピン(34)の側面から突出する方向に移動させて該先端部(64)がネジ孔(44)の内面に当接したときの前記被検知体(74)の停止位置に対応して設けられ、該被検知体(74)を検知可能な検知体(78)と、
前記検知体(78)の検知信号に基づいて、ナット(42)がワーク(W)に適正に設けられているか否か、およびナット(42)の有無を判定する判定部(80)とを備える
ことを特徴とするナット検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−172908(P2010−172908A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15809(P2009−15809)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(593222805)アスカ株式会社 (11)