説明

ナトリウム利尿ペプチドに対する単離ヒト自己抗体及びナトリウム利尿ペプチドに対するヒト自己抗体を検出するための方法及びキット

本開示は、単離ヒト自己抗体及び、試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性があるヒト自己抗体を検出するための、アッセイ及びキットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、2008年5月19日に提出の米国特許仮出願第61/054,348号及び2008年7月22日提出の米国特許出願第12/177,584号(それぞれ、その全体において参照により組み込まれる。)の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、単離ヒト自己抗体及び、試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上のヒト自己抗体を検出するための、アッセイ及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
A型ナトリウム利尿ペプチド(本明細書中で以後、「ANP」と呼ぶ。)、B型ナトリウム利尿ペプチド(本明細書中で以後、「BNP」と呼ぶ。)、C型ナトリウム利尿ペプチド(本明細書中で以後、「CNP」と呼ぶ。)及びデンドロアスピス(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド(本明細書中で以後、「DNP」と呼ぶ。)は、それぞれ、「ナトリウム利尿ペプチド」として知られているホルモンのファミリーのメンバーである。ANP及びBNPは、共通の幅広い生物学的特性を有し、心臓ナトリウム利尿系に属する。ANP及びBNPの両者は心筋細胞由来であるが、一方で、CNPは内皮細胞由来である。DNPは、ミドリマンバヘビの毒液から単離され、ANP、BNP及びCNPと構造的類似性がある。
【0004】
ANPの名称の由来は、それが心房において心臓により分泌されることから来る。最初、「ANP」は、「心房性ナトリウム利尿ペプチド」を表していた。しかし、ANPが心臓ナトリウム利尿系に属することが分かったので、「心房」という語は「A型」に変更された。ANPのヒト型は151個のアミノ酸を含有し、そのアミノ末端にシグナルペプチド配列を有する。プロペプチドは、シグナルペプチドの切断により生成される、126−アミノ酸ペプチド、プロANP1−126として貯蔵される。ホルモン放出に対する適切なシグナルが与えられた場合、プロANP_126は、一般に生物学的活性分子と考えられる、NH−末端断片、プロANP1−98及びCOOH−末端ペプチドANP99_126にさらに分割される。
【0005】
BNPの名称の由来は、それが最初にブタ脳から単離されたからであり、従って当初、「BNP」は「脳ナトリウム利尿ペプチド」を意味した。しかし、BNPは心臓ナトリウム利尿系に属することが分かったので、「脳」という語は、「B型」に変更された。従って、「BNP」は現在、「B型ナトリウム利尿ペプチド」と呼ばれる。ヒトにおいて、BNPは、冠状静脈洞を通じて、主に心室から、心臓によって分泌される。ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体(本明細書中で以後、「ヒトプレプロBNP」と呼ぶ。)は、134アミノ酸長であり(配列番号1)、短いシグナルペプチドを含み、このシグナルペプチドは酵素切断されて、108アミノ酸長(配列番号2)であるBNPのヒトプロペプチド(本明細書中で以後、「ヒトプロBNP」と呼ぶ。)を放出する。ヒトプロBNPは、76アミノ酸長(配列番号3)であり、活性ホルモンであるヒトBNPのN末端プロペプチド(本明細書中で以後「ヒトNT−プロBNP」と呼ぶ。)、32アミノ酸長(配列番号4)であるヒトBNP(本明細書中で以後、「hBNP」又は「hBNP−32」)へとさらに切断される。ヒトNTプロ−BNP、hBNP−32及びヒトプロBNP−のそれぞれは、ヒト血漿中を循環し得ることが示唆されてきた(Tateyamaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、185:760−7(1992);Huntら、Biochem.Biophys.Res.Commun.214:1175−83(1995)参照)。
【0006】
ヒトCNPは、脳及び脳脊髄液において見られる126アミノ酸ペプチドであり、中枢神経系においては、3種類のペプチドの中で最も主要なものである。CNPが心臓に存在するとしてもわずかである。
【0007】
既に述べられように、DNPはミドリマンバヘビの毒液から単離された。DNPの成熟型は38アミノ酸から構成される。DNP様免疫反応性(DNP−LI)がヒト血漿において報告されており、DNP−LIの血漿濃度は、うっ血性心不全の患者において上昇していることが分かっている(Cataliottiら、Mayo Clin.Proc.、76:111−1119(2001)参照)。さらに、合成DNPの点滴の結果、血漿及び尿の環状グアノシン一リン酸の上昇に付随して、顕著なナトリウム利尿及び利尿が起こることも知られている。Id.
ヒトにおいて、心疾患は、ANP及びBNPの分泌を刺激し得る。実際に、ヒトでのANP及びBNPの分泌は、一般に、心機能の変化を反映する。具体的には、ANPの分泌は、一般に、心房に負荷がかかると加速され、一方で、BNPの生合成及び分泌は、心室に負荷がかかると刺激される。そこで、ANP及びBNPの両者とも、心疾患の診断における指標として有用である。しかし、これにも関わらず、及び長年にわたり、BNPは、ANPよりも、心疾患の診断における有用な指標として認識されるようになってきた。例えば、BNPの血中濃度は、いわゆる正常な対象においてANPの僅か1/6であるが、これは心不全の患者においてはANPよりも高くなる。さらに、ANPのように心不全の場合にBNPの血中濃度が上昇し、BNPの血漿濃度はANPの血漿濃度を超えることが多く、従って、心機能不全の重症度をより正しく反映する。さらに、心不全を経験している患者のBNPレベルは、時に、健康な対象の数十倍から数百倍に上昇する場合がある。診断マーカーとしてのBNPの臨床的有用性が多くの文献で報告されてきた(例えば、米国特許第5,786,163号、同第6,117,644号、同第6,162,902号、同第6,376,207号、同第6,677,124号及び同第6,461,828号(RE39,816として再発行);WO2002/089657;EP0542255及び同EP01016867参照)。
【0008】
アッセイ、特に、免疫アッセイは、関心のある検体の濃度に依存する量で免疫複合体を形成させるための、関心のある検体と反応する1以上の抗体を使用する。ヒト試験試料中での関心のある検体に対する免疫アッセイで使用される抗体は、一般に、例えば、マウス、ヤギ、ウサギなどの別の種由来である。時には、ヒト被験者もまた、免疫複合体を形成するために関心のある検体と反応する抗体を産生する。このようなヒト免疫複合体は、関心のある検体に対するアッセイの結果を複雑にし得、定量が不正確なものとなり得る。
【0009】
さらに、ヒト被験者が、関心のある検体と反応する抗体を産生する場合及び関心のある検体が内因性物質である場合、この被験者は、自己免疫疾患に関連するある種の臨床症状に罹りやすい場合がある。内因性ヒト抗原との反応性があるこのような内因性ヒト抗体は自己抗体と呼ばれる。当技術分野で周知の方法を用いて、それらの産生を調節する遺伝子の対応する核酸配列とともに、このような自己抗体のアミノ酸配列を調べることができる。このような情報は、例えば、医薬組成物の設計において有用である(例えば組み換え及びキメラ抗体がスクリーニングを大きく促進し得るので。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,786,163号明細書
【特許文献2】米国特許第6,117,644号明細書
【特許文献3】米国特許第6,162,902号明細書
【特許文献4】米国特許第6,376,207号明細書
【特許文献5】米国特許第6,677,124号明細書
【特許文献6】米国特許第6,461,828号明細書(RE39,816として再発行)
【特許文献7】国際公開第2002/089657号
【特許文献8】欧州特許第0542255号明細書
【特許文献9】欧州特許第01016867号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Tateyama他、Biochem.Biophys.Res.Commun.、185、1992年、p.760−767
【非特許文献2】Hunt他、Biochem.Biophys.Res.Commun.214、1995年、p.1175−1183
【非特許文献3】Cataliotti他、Mayo Clin.Proc.、76、2001年、p.111−1119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、ある種の疾患(以下に限定されないが、心疾患など)に関与するナトリウム利尿ペプチドレベルの重要性を考慮すると、対象においてこのようなペプチドに対するヒト自己抗体のレベルを正確に定量する新しいナトリウム利尿ペプチドアッセイ及びキットが今も必要とされている。本開示のこれら及びその他の目的及び長所は、本明細書中で提供されるさらなる説明から明らかとなろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ある実施形態において、本開示は、試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を検出するための方法に関する。この方法は、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する1以上の自己抗体の存在について評価される試験試料と、検出可能な標識で標識された第一の特異的結合パートナーと、を含む混合物を調製し(第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片であり、さらに、1以上の自己抗体及び第一の特異的結合パートナーは、第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体を形成する。);
(b)検出可能な標識により生成されるか又はこれから放射されるシグナルを測定する、
段階を含む。場合によっては、この方法(及び本明細書中に記載の全てのその他の方法)は、自動化システム又は半自動化システムでの使用に適応する。
【0014】
上記方法において、ナトリウム利尿ペプチドは、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド、ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせである。
【0015】
上記方法において、好ましい検出可能な標識は、アクリジニウム化合物である。
【0016】
ある態様において、アクリジニウム化合物は、式I:
【0017】
【化1】

で表される構造を有する、アクリジニウム−9−カルボキサミド(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である。
【0018】
別の態様において、アクリジニウム化合物は、式II:
【0019】
【化2】

で表される構造を有する、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である。
【0020】
上記方法において、本方法は、段階(a)での検出可能な標識を含有する第一の特異的結合パートナーの添加の前又は後に、過酸化水素源を混合物中で生成させるか又は混合物に提供し;
光シグナルを生成させるために混合物に塩基性溶液を添加し;
1以上の自己抗体を検出するために、生成される光を測定することにより、段階(b)においてシグナルを測定する、段階をさらに含み得る。
【0021】
別の実施形態において、本開示は、試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を検出するための方法に関する。この方法は、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する1以上の自己抗体の存在について評価される試験試料と、固相に固定化される第一の特異的結合パートナーと、を含む混合物を調製し(この場合、第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片であり、さらに、1以上の自己抗体及び第一の特異的結合パートナーは、固相の第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体を形成する。);
(b)第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体を形成させるために、混合物に検出可能な標識で標識される第二の特異的結合パートナーを添加し(第二の特異的結合パートナーは抗ヒト抗体である。);
(c)検出可能な標識により生成されるか又はこれから放射されるシグナルを測定する、
段階を含む。
【0022】
場合によっては、本方法は、(1)段階(b)の前に固相の第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体から、全ての未結合の1以上の自己抗体を除去することと;(2)段階(c)の前に、第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体から、検出可能な標識で標識される全ての未結合の第二の特異的結合パートナーを除去することと、からなる群から選択されるさらなる段階をさらに含む。さらに、本方法は、さらに場合によっては、
(i)段階(b)における、検出可能な標識を含有する第二の特異的結合パートナーの添加の前又は後に、過酸化水素源を混合物中で生成させるか又は混合物に提供し;
(ii)段階(b)の後及び段階(c)の前に、光シグナルを形成させるために、混合物に塩基性溶液を添加し;
(iii)1以上の自己抗体を検出するために、生成された光を測定することにより、段階(c)においてシグナルを測定する、
段階を含む。
【0023】
従って、本開示はまた、試験試料中で、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を検出するための方法にも関する。この方法は、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する1以上の自己抗体の存在について評価される試験試料と、固相に固定される第一の特異的結合パートナーと、を含む混合物を調製し(第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片であり、さらに、1以上の自己抗体及び第一の特異的結合パートナーは、固相の第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体複合体を形成する。);
(b)固相の第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体から、全ての未結合の1以上の自己抗体を除去し;
(c)第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体を形成させるために、混合物に検出可能な標識で標識される第二の特異的結合パートナーを添加し(第二の特異的結合パートナーは抗ヒト抗体である。);
(d)第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体から、検出可能な標識で標識される全ての未結合の第二の特異的結合パートナーを除去し;
(e)検出可能な標識により生成されるか又はこれから放射されるシグナルを測定する、
段階を含む。
【0024】
ある実施形態において、本方法は、検体に対する標準曲線の使用によるか又は参照基準に対する比較によるかの何れかでの、試験試料中の、1以上の自己抗体の量に対する、段階(e)におけるシグナルの量に関する。
【0025】
上記方法において、ナトリウム利尿ペプチドは、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド、ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせである。
【0026】
上記方法において、好ましい検出可能な標識はアクリジニウム化合物である。ある態様において、このアクリジニウム化合物は、式I:
【0027】
【化3】

で表される構造を有するアクリジニウム−9−カルボキサミド(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である。
【0028】
別の態様において、アクリジニウム化合物は、式II:
【0029】
【化4】

で表される構造を有するアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である。
【0030】
上記方法において、本方法は、段階(d)の後の、検出可能な標識を含有する第二の特異的結合パートナーの添加の前又は後に、過酸化水素源を混合物中で生成させるか又は混合物に提供し;
光シグナルを生成させるために、混合物に塩基性溶液を添加し;
自己抗体を検出するために、生成される光シグナルを測定することにより、段階(e)においてシグナルを測定する、
段階をさらに含み得る。
【0031】
ある実施形態において、本方法は、検体に対する標準曲線の使用によるか又は参照基準に対する比較によるかの何れかでの、試験試料中の、1以上の自己抗体の量に対する、(e)におけるシグナルの量に関する。
【0032】
別の実施形態において、本開示は、試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対して反応性がある1以上の自己抗体を検出するためのキットに関する。このキットは、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片と、
(b)少なくとも1つの検出可能な標識と、
(c)該1以上の自己抗体を検出するための説明書と、
を含み得る。
【0033】
上記のキットはまた、少なくとも1つの抗ヒト抗体もさらに含み得る。また、上記のキットにおいて、ナトリウム利尿ペプチドは、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド、ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせである。
【0034】
上記のキットにおいて、検出可能な標識はアクリジニウム化合物であり得る。ある態様において、アクリジニウム化合物は、式I:
【0035】
【化5】

で表される構造を有するアクリジニウム−9−カルボキサミド(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である。
【0036】
別の態様において、アクリジニウム化合物は、式II:
【0037】
【化6】

で表される構造を有するアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である。
【0038】
さらに、本キットはさらなる成分も含み得る。例えば、本キットはまた、
(d)少なくとも1つの塩基性溶液と、
(e)過酸化水素源(この過酸化水素源は、過酸化水素の指定量を含有する。)と、
もさらに含み得る。
【0039】
さらに、少なくとも1つの塩基性溶液及び過酸化水素源に加えて、本キットはまた、少なくとも1つの抗ヒト抗体も含有し得る。
【0040】
さらにまた別の実施形態において、本開示は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を含む混合物を調製し;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を混合物から単離する、
段階を含むプロセスにより得られる単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に関する。
【0041】
上記の同定される抗体はIgG抗体であり得る。さらに、本抗体は、ヒトBNP自己抗体のプレプロペプチド前駆体、ヒトBNP自己抗体のプロペプチド、BNP自己抗体のN末端プロペプチド及びヒトBNP自己抗体からなる群から選択される、単離ヒト自己抗体であり得る。具体的には、本抗体は、単離プロペプチドヒトBNP自己抗体であり得る。
【0042】
さらにまた別の実施形態において、本開示は、少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害することに有用な少なくとも1つの作用物質に対するスクリーニングの方法に関する。この方法は、
(a)単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を含む混合物を調製し;
(b)少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片及び試験しようとする少なくとも1つの作用物質を混合物に添加し;
(c)作用物質が、ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する、少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害するか否かを判定する、段階を含む。
【0043】
さらにまた別の実施形態において、本開示は、ヒトナトリウム利尿ペプチドのアッセイ結果の信頼性を判定する方法に関する。本方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体に対して試験試料をアッセイし;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチドアッセイ結果の信頼性を判定する(ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の試験試料中のレベル上昇があることは、ヒトナトリウム利尿ペプチドの結果が信頼できるものではないことを示す。)、
段階を含む。
【0044】
またさらなる実施形態において、本開示は、対象が心血管系疾患に罹患しているか又は発現するリスクがあるか否かを評価する方法に関する。本方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の対象からの試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を所定のレベルと比較する(段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルに関して好ましい場合、対象は、心血管系疾患に罹患していないか又はそのリスクがないと判定され;さらに、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が所定のレベルに関して好ましくない場合、対象は、心血管系疾患に罹患しているか又はそのリスクがあると判定される。)、
段階を含む。
【0045】
上記方法において、ヒトナトリウム利尿ペプチドは、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせである。
【0046】
また別の実施形態において、本開示は、対象において疾患(例えば心血管系疾患)の進行を監視する方法に関し、本方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の、対象からの第一の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の、対象からの第二又はその後の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(c)段階(b)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較する(段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(b)で測定された濃度又は量が不変であるか又は望ましくないとき、対象の疾患は、継続しているか、進行しているか又は悪化していると判定され、さらに、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(b)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が望ましいとき、対象の疾患は、継続していないか、軽減しているか又は改善していると判定される。)、段階を含む。
【0047】
この方法は、さらに、場合によっては、段階(b)又は段階(d)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、所定のレベルと比較することを含む。さらに、本方法は、場合によっては、比較により、段階(b)又は段階(d)で決定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルに関して好ましくない方向に変化することが示される場合、しばらくの間、1以上の医薬組成物で対象を治療することを含む。
【0048】
さらにまた別の実施形態において、本開示は、対象における治療、例えば、医薬組成物の投与による心血管系疾患に対する対象の治療を監視する方法に関する。本方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の、対象からの第一の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)しばらくの間、1以上の医薬組成物で対象を治療し;
(c)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の段階(b)での治療後、対象から得られた第二又はその後の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(d)段階(c)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較する(この場合、段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(c)で測定された濃度又は量が不変であるか又は望ましくないとき、対象の疾患は、継続しているか、進行しているか又は悪化していると判定され、対象は、段階(b)で対象に投与される1以上の医薬組成物のより高い濃度で治療されるべきであるか又は対象は、段階(b)で対象に投与される1以上の医薬組成物とは異なる1以上の医薬組成物で治療されるべきであり、
さらに、段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(c)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が望ましいとき、対象の疾患は、継続していないか、軽減しているか又は改善していると判定され、対象は、段階(b)の1以上の医薬組成物を投与され続けるべきである。)、段階を含む。
【0049】
さらに、本開示はまた、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体を監視することにより、疾患に罹患しやすくなっているか又は疾患に罹患している対象が、薬物による治療及び治療を受ける対象の反応から利益を受けるか否かを判定する方法にも関する。特に、本開示は、ナトリウム利尿ペプチド併用診断法及び製品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例2に記載の方法を用いた、3つの集団における抗ヒトプロBNP自己抗体反応性の範囲を示す分布プロットを示す。図1で示されるように、△は、ヒトBNPに対して試験で陽性を示した集団を表し、□は、ヒト心臓トロポニン−I(cTn1)に対して試験で陽性を示した集団を表し、○は、正常血液ドナー(ND)の集団を表し;黒塗りの印は、各集団内で非常に反応性の高い試料を表す(即ち、RLUmax>上位四分位点+四分位範囲の1.5倍)。
【図2】実施例3に記載のような、抗プロBNP濃度(「[抗プロBNP]」)が横座標上にプロットされた、抗プロBNP標準曲線(マイクロプレート)を示す。
【図3】実施例4に記載のような、プロBNP抗原との反応性がある、見かけ上健康である者(「正常ドナー集団」、即ち正常血液ドナー集団)、心臓トロポニン−I陽性及び脳ナトリウム利尿ペプチド陽性集団における内因性抗体の箱ひげプロットである。
【図4】実施例5に記載のような、抗プロBNP濃度(「[抗プロBNP]」)が横軸上にプロットされた、抗プロBNP標準曲線(マイクロプレート中で評価される微粒子)を示す。
【図5】実施例5に記載のような、抗プロBNP濃度(「[抗プロBNP]」)が横軸上にプロットされた、抗プロBNP標準曲線(ARCHITECT(R)を用いて評価を実行)を示す。
【図6】実施例6に記載のような、プロBNP自己抗体のエピトープの不均一性を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本開示は、発明者らによる、試験試料中でのある種の内因性抗体(自己抗体)の存在の、驚くべき及び予想外の発見に基づく。具体的に、発明者らにより発見された自己抗体は、ヒト血清及び血漿中の、B型ナトリウム利尿ペプチドなどのナトリウム利尿ペプチド及び特にヒトプロBNPとの反応性がある抗体である。これらの自己抗体の同定は、試験試料中にその他のタイプの自己抗体が存在することが、ある種の研究、例えばトロポニンアッセイでの心臓バイオマーカー研究などで偽陰性の結果が生じることに関与することが観察されたということにおいて重要である(例えば、Bohnerら、Clin.Chem.、42、2046(1996)参照)。従って、本開示は、ナトリウム利尿ペプチド及びナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体を検出するための方法を提供する。これらの方法は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片アッセイの信頼性を判定するために及び試験試料中のナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の量を正確に測定するために、使用され得る。
【0052】
さらに、本開示の方法は、試験試料中のナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の量を正確に決定するだけでなく、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片アッセイとは独立に使用され得る。とりわけ、本開示の方法は、対象から得られた試験試料中の、ナトリウム利尿ペプチド及びナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体の存在を検出するために使用され得る。試験試料中の自己抗体の同定は、自己免疫疾患の診断及び監視において及びとりわけ自己免疫疾患のリスクを評価することにおいて、臨床的に重要な意義を有する。特に有利であるのは、本明細書中に記載の試験方法が、疾患(例えば心血管系疾患)の症状を呈する対象ならびに見かけ上健康であり、疾患(例えば心血管系疾患)の症状をまだ呈していないが時間とともに呈し得る対象の検査のために使用され得ることである。
【0053】
最後に、本開示はまた単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体にも関する。
【0054】
A.定義
このセクションで使用されるようなセクション見出し及び本明細書中の全体的開示は、限定を意図するものではない。
【0055】
本明細書中で使用される場合、文脈からの別段の明らかな指示がない限り、単数形「a」、「an」及び「the」には、複数形の対象が含まれる。本明細書中で数値範囲を記載する場合には、同一精度でその範囲内の各数値を明確に想定する。例えば、6から9の範囲では、6及び9に加えて数値7及び8が想定され、6.0から7.0の範囲では、数値6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明確に想定される。
【0056】
a)アシル(及びその他の化学構造基の定義)
本明細書中で使用される場合、「アシル」という用語は、−C(O)R基を指す(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキルを指す。アシルの代表例には、以下に限定されないが、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが含まれる。
【0057】
本明細書中で使用される場合、「アルケニル」という用語は、2から10個の炭素を含有し、2個の水素の除去により形成される少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する、直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味する。アルケニルの代表例には、以下に限定されないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−へキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル及び3−デセニルが含まれる。
【0058】
本明細書中で使用される場合、「アルキル」という用語は、1から10個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味する。アルキルの代表例には、以下に限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル及びn−デシルが含まれる。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「アルキル基」という用語は、直鎖又は分岐鎖炭化水素由来の、一般式C2n+1の、一連の1価の基の何れかを意味する。
【0060】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、酸素原子を通じて親分子部分に付加される、本明細書中で定義されるようなアルキル基を意味する。アルコキシの代表例には、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが含まれる。
【0061】
本明細書中で使用される場合、「アルキニル」という用語は、2から10個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する、直鎖又は分岐鎖炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例には、以下に限定されないが、アセチルエニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニル及び1−ブチニルが含まれる。
【0062】
本明細書中で使用される場合、「アミド」という用語は、カルボニル基を通じて親分子部分に連結されたアミノ基を指す(ここで、「カルボニル基」という用語は、−C(O)−基を指す。)。
【0063】
本明細書中で使用される場合、「アミノ」という用語は、−NR(式中、R及びRは、独立に、水素、アルキル及びアルキルカルボニルからなる群から選択される。)を意味する。
【0064】
本明細書中で使用される場合、「陰イオン」という用語は、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸及びフルオロスルホン酸及びそれらの何らかの組み合わせなどの、無機又は有機酸の陰イオンを指す。
【0065】
本明細書中で使用される場合、「アラルキル」という用語は、本明細書中で定義されるようなアルキル基を通じて親分子部分に付加されたアリール基を意味する。アリールアルキルの代表例には、以下に限定されないが、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル及び2−ナフト-2−イルエチルが含まれる。
【0066】
本明細書中で使用される場合、「アリール」という用語は、縮合環の1以上がフェニル基である、フェニル基又は二環式もしくは三環式縮合環系を意味する。二環式縮合環系の例は、フェニル基が、シクロアルケニル基、シクロアルキル基又は別のフェニル基に縮合されたものである。三環式縮合環系の例は、二環式縮合環系が、本明細書中で定義されるような、シクロアルケニル基、シクロアルキル基又は別のフェニル基に縮合されたものである。アリールの代表例には、以下に限定されないが、アントラセニル、アズレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル及びテトラヒドロナフチルが含まれる。本開示のアリール基は、場合によっては、アルコキシ、アルキル、カルボキシル、ハロ及びヒドロキシルからなる群から独立に選択される、1、2、3、4又は5個の置換基で置換され得る。
【0067】
本明細書中で使用される場合、「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、−COH又は−COを指す。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「カルボキシアルキル」という用語は、−(CHnCOH又は−(CHnCO基(式中、nは1から10である。)を指す。
【0069】
本明細書中で使用される場合、「シアノ」という用語は、−CN基を意味する。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「シクロアルケニル」という用語は、3から10個の炭素原子及び1から3個の環を有する非芳香族環状又は二環式環系を指し、この場合、各5員環は1個の二重結合を有し、各6員環は1又は2個の二重結合を有し、各7員及び8員環は1から3個の二重結合を有し、各9から10員環は1から4個の二重結合を有する。シクロアルケニル基の代表例には、シクロへキセニル、オクタヒドロナフタレニル、ノルボルニルエニルなどが含まれる。シクロアルケニル基は、場合によっては、アルコキシ、アルキル、カルボキシル、ハロ及びヒドロキシルからなる群から独立に選択される、1、2、3、4又は5個の置換基で置換され得る。
【0071】
本明細書中で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、3から12個の炭素原子を有する、飽和単環式、二環式又は三環式炭化水素環系を指す。シクロアルキル基の代表例には、シクロプロピル、シクロペンチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、アダマンチルなどが含まれる。本開示のシクロアルキル基は、場合によっては、アルコキシ、アルキル、カルボキシル、ハロ及びヒドロキシルからなる群から独立に選択される、1、2、3、4又は5個の置換基で置換され得る。
【0072】
本明細書中で使用される場合、「シクロアルキルアルキル」という用語は、−R基(式中、Rはアルキレン基であり、Rはシクロアルキル基である。)を意味する。シクロアルキルアルキル基の代表例は、シクロヘキシルメチルなどである。
【0073】
本明細書中で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、−Cl、−Br、−I又は−Fを意味し;「ハロゲン化物」という用語は、二元化合物を意味し、この一方の部分はハロゲン原子であり、他方の部分は、ハロゲンよりも電気陰性度が低い元素又は基、例えばアルキル基である。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「ヒドロキシル」という用語は、−OH基を意味する。
【0075】
本明細書中で使用される場合、「ニトロ」という用語は、−NO基を意味する。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「オキソアルキル」という用語は、−(CHC(O)Rを指す(式中、Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、フェニル又はフェニルアルキルであり、nは1から10である。)。
【0077】
本明細書中で使用される場合、「フェニルアルキル」という用語は、フェニル基により置換されているアルキル基を意味する。
【0078】
本明細書中で使用される場合、「スルホ」という用語は、−SOH又は−SO基を意味する。
【0079】
本明細書中で使用される場合、「スルホアルキル」という用語は、−(CHSOH又は−(CHSO基を指す(式中、nは1から10である。)。
【0080】
b)抗体
本明細書中で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子又は免疫学的に活性のあるその一部、即ち抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性のある部分の例には、抗体をペプシンなどの酵素で処理することにより生成させ得るF(ab)及びF(ab’)断片が含まれる。本開示で使用され得る抗体の例には、以下に限定されないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、組み換え抗体、1本鎖Fvs(「scFv」)、親和性成熟抗体、1本鎖抗体、単ドメイン抗体、F(ab)断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fvs(「sdFv」)及び抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体及び上記の何れかの機能的活性エピトープ結合断片が含まれる。便宜上、検体に対する抗体は、「抗検体抗体」又は単に「検体抗体」の何れかであると言われることが多い(例えば、ヒトナトリウム利尿ペプチド抗体又はヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体)。
【0081】
c)自己抗体
本明細書中で使用される場合、「自己抗体(autoantibody又はautoantibodies)という用語は、抗体が産生される対象において天然に存在する検体に結合(又は検体との「反応性がある」)内因性抗体(antibody又はantibodies)を指す。好ましくは、検体は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片である。
【0082】
d)心血管系疾患(及びその他の疾患関連の定義)
本明細書中で使用される場合、「心血管系疾患」という用語は、心臓、血管又は循環を含む様々な臨床疾患、障害又は状態を指す。この疾患、障害又は状態は、冠動脈、脳動脈又は末梢動脈のアテローム硬化性障害に起因し得る。心血管疾患には、以下に限定されないが、冠動脈疾患、末梢血管疾患、高血圧、心筋梗塞、心不全などが含まれる。例えば、心不全において、心血管系疾患の「重症化」とは例えばクラスIII又はクラスIVへの、NYHA分類の上昇により示されるような疾患の悪化を指し、心血管系疾患の「重症度の低下」とは、例えばクラスIII又はIVからクラスII又はIへの、NYHA分類の低下により示されるような疾患の改善を指す。
【0083】
本明細書中で使用される場合、「心不全」という用語は、心臓が効率的に身体のその他の部分に血液を送り出せない状態を指す。心不全は、心臓への損傷又は梗塞による動脈狭窄、心筋症(原発性又は二次性)、高血圧、冠動脈疾患、弁膜疾患、先天性欠損又は感染によるものであり得る。心不全は、慢性、うっ血性、急性、代償不全、収縮性又は拡張性としてさらに表現され得る。New York Heart Association(NYHA)分類は、患者の機能的能力に基づく疾患の重症度を評するものであり;NYHAクラスは、治療又は治療に対する反応の欠如に基づき、上昇及び/又は下降し得る。
【0084】
心血管系疾患は、本明細書中で使用される場合、心血管系自己免疫疾患を含む。「心血管系自己免疫疾患」は、本明細書中で使用される場合、その典型的機能を害する、心臓又は心臓に供給する血管の何らかの構造的もしくは機能的異常を含む、基礎をなす自己免疫疾患によるものである、心臓の、健康又は正常な状態からの何らかの逸脱を指す。心血管系自己免疫疾患の例には、それぞれ基礎をなす自己免疫疾患による、心筋炎、心筋症及び虚血性心疾患が含まれる。
【0085】
「自己免疫疾患」とは、自己抗原に対する免疫学的寛容性の喪失を指す。自己免疫疾患の診断のための基準の一部には、(1)循環自己抗体の存在;(2)冒された器官で自己抗体が観察されること;(3)標的抗原が同定されること;(4)抗原、血清又は自己抗体トランスファーでの免疫付与により動物モデルで誘導可能であること及び(5)免疫抑制療法又は免疫吸収に対する反応性が含まれる。自己免疫疾患のその他の特徴には、その、(a)女性の罹患率が高いこと;(b)家族内集積(これは疾患により異なる。);(c)無症候性リスク(即ち、自己抗体の存在が、長年にもわたり疾患に先立ち得る。);(d)周期的性質;及び(e)慢性的性質が含まれる。
【0086】
「自己免疫」とは、例えば、自己抗体又は宿主抗原との反応性があるTリンパ球の存在を特徴とする、宿主抗原に対する1以上の免疫反応を指す。
【0087】
「心筋炎」という用語は、心筋の炎症を指す。心筋炎は、ウイルス感染、サルコイドーシス、リウマチ熱、自己免疫疾患(全身性エリテマトーデスなど)及び妊娠などの様々な状態により引き起こされ得る。
【0088】
「心筋症」という用語は、心筋の衰弱又は心筋構造の変化を指す。これは、不適切な心ポンプ又はその他の心機能異常を付随することが多い。心筋症は、ウイルス感染、心臓発作、アルコール依存症、長期の、重度の高血圧、栄養不足(特に、セレニウム、チアミン及びL−カルニチン)、全身性エリテマトーデス、セリアック病及び末期の腎臓疾患により引き起こされ得る。心筋症のタイプには、拡張型心筋症、肥大型心筋症及び拘束型心筋症が含まれる。
【0089】
本明細書中で使用される場合、「拡張型心筋症」という用語は、左心室の著しい拡張及び不適切な機能を特徴とする、全体的な、通常は特発性の、心筋疾患を指す。拡張型心筋症には、虚血性心筋症、特発性心筋症、高血圧心筋症、感染性心筋症、アルコール性心筋症、毒性心筋症及び周産期心筋症が含まれる。
【0090】
本明細書中で使用される場合、「肥大型心筋症」という用語は、左右心筋が異なる大きさに肥大する結果起こる状態を指す。
【0091】
本明細書中で使用される場合、「拘束型心筋症」という用語は、収縮と収縮の間に心筋が弛緩できないこと(これにより、心臓が十分に拡張できなくなる。)を特徴とする状態を指す。
【0092】
「虚血性心疾患」という用語は、その血液供給の欠如又は相対的喪失のために、心筋が損傷を受けるか効率的に働かない何らかの状態を指し、殆どの場合、アテローム性動脈硬化症により引き起こされ、虚血性心疾患には、狭心症、急性心筋梗塞及び慢性虚血性心疾患が含まれる。
【0093】
「狭心症」は、心筋の血管(冠状血管)を通じた不適切な血流により起こる胸部不快感を指す。
【0094】
「心筋梗塞」(心臓発作)は、その領域への酸素供給が不適切であることにより、心筋の一部が死ぬか又は損傷を受けたときに起こる。
【0095】
e)臨床的指標
本明細書中で使用される場合、「臨床的指標」という用語は、アッセイ、試験法(画像解析など)、基準(The New York Heart Association(NYHA)分類)、生体物理学的測定(LDL濃度、HDL濃度、トリグリセリド濃度、血圧、ボディーマスインデックス、胴回り、心拍数、空腹時インスリン濃度、空腹時血糖値、糖尿病状態)及び心血管系疾患の指標を提供するその他の生体測定学的パラメーター(以下に限定されないが、人種、性別、年齢、喫煙状況、心血管系疾患の既往歴、心血管系疾患の家族歴、高血圧薬の使用など)を指す。
【0096】
f)マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド(DNP)及び断片
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド」、「DNP」、「DNPペプチド」又は「DNPポリペプチド」という用語は、配列番号14で示されるアミノ酸配列を有する38アミノ酸分子を指す。
【0097】
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド」、「DNP」、「DNPペプチド」又は「DNPポリペプチド」という用語は、DNPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有するDNPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、DNP断片又はDNPペプチド断片は、配列番号14の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、DNP断片又はDNPペプチド断片は、配列番号14の少なくとも10連続アミノ酸残基、配列番号14のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基、配列番号14の少なくとも20連続アミノ酸残基、配列番号14の少なくとも25連続アミノ酸残基又は配列番号14のアミノ酸の少なくとも30連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。
【0098】
g)ヒトA型ナトリウム利尿ペプチド(hANP)及び断片
本明細書中で使用される場合、「ヒトA型ナトリウム利尿ペプチド」、「ヒトANP」、「hANP」、「hANPペプチド」又は「hANPポリペプチド」という用語は、本明細書中で交換可能に使用される場合、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有する28アミノ酸分子を指す。
【0099】
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトA型ナトリウム利尿ペプチド断片」、「hANP断片」又は「hANPペプチド断片」という用語は、hANPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有するhANPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、hANP断片又はhANPペプチド断片は、配列番号8の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、hANP断片又はhANPペプチド断片は、配列番号8の少なくとも10連続アミノ酸残基;配列番号8のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基又は配列番号8の少なくとも20連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。hANP断片又はhANPペプチド断片の例には、以下に限定されないが、配列番号8のアミノ酸残基1−27、1−26、1−25、1−24、1−23、1−22、1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12、1−11、1−10、1−9、1−8、1−7、1−6、1−5、2−28、2−27、2−26、2−25、2−24、2−23、2−22、2−21、2−20、2−19、2−18、2−17、2−16、2−15、2−14、2−13、2−12、2−11、2−10、2−9、2−8、2−7、2−6、3−28、3−27、3−26、3−25、3−24、3−23、3−22、3−21、3−20、3−19、3−18、3−17、3−16、3−15、3−14、3−13、3−12、3−11、3−10、3−9、3−8、3−7、4−28、4−27、4−26、4−25、4−24、4−23、4−22、4−21、4−20、4−19、4−18、4−17、4−16、4−15、4−14、4−13、4−12、4−11、4−10、4−9、4−8、5−28、5−27、5−26、5−25、5−24、5−23、5−22、5−21、5−20、5−19、5−18、5−17、5−16、5−15、5−14、5−13、5−12、5−11、5−10、5−9、6−28、6−27、6−26、6−25、6−24、6−23、6−22、6−21、6−20、6−19、6−18、6−17、6−16、6−15、6−14、6−13、6−12、6−11、6−10、7−28、7−27、7−26、7−25、7−24、7−23、7−22、7−21、7−20、7−19、7−18、7−17、7−16、7−15、7−14、7−13、7−12、7−11、8−28、8−27、8−26、8−25、8−24、8−23、8−22、8−21、8−20、8−19、8−18、8−17、8−16、8−15、8−14、8−13、8−12、9−28、9−27、9−26、9−25、9−24、9−23、9−22、9−21、9−20、9−19、9−18、9−17、9−16、9−15、9−14、9−13、10−28、10−27、10−26、10−25、10−24、10−23、10−22、10−21、10−20、10−19、10−18、10−17、10−16、10−15、10−14、11−28、11−27、11−26、11−25、11−24、11−23、11−22、11−21、11−20、11−19、11−18、11−17、11−16、11−15、12−28、12−27、12−26、12−25、12−24、12−23、12−22、12−21、12−20、12−19、12−18、12−17、12−16、13−28、13−27、13−26、13−25、13−24、13−23、13−22、13−21、13−20、13−19、13−18、13−17、14−28、14−27、14−26、14−25、14−24、14−23、14−22、14−21、14−20、14−19、14−18、15−28、15−27、15−26、15−25、15−24、15−23、15−22、15−21、15−20、15−19、16−32、16−31、16−30、16−29、16−28、16−27、16−26、16−25、16−24、16−23、16−22、16−21、16−20、17−28、17−27、17−26、17−25、17−24、17−23、17−22、17−21、18−28、18−27、18−26、18−25、18−24、18−23、18−22、19−28、19−27、19−26、19−25、19−24、19−23、20−28、20−27、20−26、20−25、20−24、−28、21−27、21−26、21−25、22−32、22−31、22−30、22−29、22−28、22−27、22−26、23−28又は23−27を含有するアミノ酸配列が含まれる。
【0100】
h)ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)及び断片
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド」、「ヒトBNP」、「hBNP」、「hBNP−32」、「hBNPペプチド」、「hBNPポリペプチド」又は「B型ナトリウム利尿ペプチド」という用語は、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有する32アミノ酸分子を指す。配列番号4で示されるアミノ酸配列は、ヒトプロBNP(配列番号2)の108アミノ酸配列のアミノ酸77−108により表される。
【0101】
本明細書中で使用される場合、「ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド断片」、「hBNP断片」、「hBNP−32断片」又は「hBNPペプチド断片」という用語は、本明細書中で交換可能に使用される場合、hBNPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有するhBNPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、hBNP断片又はhBNPペプチド断片は、配列番号4の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、hBNP断片又はhBNPペプチド断片は、配列番号4の少なくとも10連続アミノ酸残基、配列番号4のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基、配列番号4の少なくとも20連続アミノ酸残基、配列番号4の少なくとも25連続アミノ酸残基又は配列番号4のアミノ酸の少なくとも30連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。hBNP断片又はhBNPペプチド断片の例には、以下に限定されないが、配列番号4のアミノ酸残基1−31、1−30、1−29、1−28、1−27、1−26、1−25、1−24、1−23、1−22、1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12、1−11、1−10、1−9、1−8、1−7、1−6、1−5、2−32、2−31、2−30、2−29、2−28、2−27、2−26、2−25、2−24、2−23、2−22、2−21、2−20、2−19、2−18、2−17、2−16、2−15、2−14、2−13、2−12、2−11、2−10、2−9、2−8、2−7、2−6、3−32、3−31、3−30、3−29、3−28、3−27、3−26、3−25、3−24、3−23、3−32、3−21、3−20、3−19、3−18、3−17、3−16、3−15、3−14、3−13、3−12、3−11、3−10、3−9、3−8、3−7、4−32、4−31、4−30、4−29、4−28、4−27、4−26、4−25、4−24、4−23、4−22、4−21、4−20、4−19、4−18、4−17、4−16、4−15、4−14、4−13、4−12、4−11、4−10、4−9、4−8、5−32、5−31、5−30、5−29、5−28、5−27、5−26、5−25、5−24、5−23、5−22、5−21、5−20、5−19、5−18、5−17、5−16、5−15、5−14、5−13、5−12、5−11、5−10、5−9、6−32、6−31、6−30、6−29、6−28、6−27、6−26、6−25、6−24、6−23、6−22、6−21、6−20、6−19、6−18、6−17、6−16、6−15、6−14、6−13、6−12、6−11、6−10、7−32、7−31、7−30、7−29、7−28、7−27、7−26、7−25、7−24、7−23、7−22、7−21、7−20、7−19、7−18、7−17、7−16、7−15、7−14、7−13、7−12、7−11、8−32、8−31、8−30、8−29、8−28、8−27、8−26、8−25、8−24、8−23、8−22、8−21、8−20、8−19、8−18、8−17、8−16、8−15、8−14、8−13、8−12、9−32、9−31、9−30、9−29、9−28、9−27、9−26、9−25、9−24、9−23、9−22、9−21、9−20、9−19、9−18、9−17、9−16、9−15、9−14、9−13、10−32、10−31、10−30、10−29、10−28、10−27、10−26、10−25、10−24、10−23、10−22、10−21、10−20、10−19、10−18、10−17、10−16、10−15、10−14、11−32、11−31、11−30、11−29、11−28、11−27、11−26、11−25、11−24、11−23、11−22、11−21、11−20、11−19、11−18、11−17、11−16、11−15、12−32、12−31、12−30、12−29、12−28、12−27、12−26、12−25、12−24、12−23、12−22、12−21、12−20、12−19、12−18、12−17、12−16、13−32、13−31、13−30、13−29、13−28、13−27、13−26、13−25、13−24、13−23、13−22、13−21、13−20、13−19、13−18、13−17、14−32、14−31、14−30、14−29、14−28、14−27、14−26、14−25、14−24、14−23、14−22、14−21、14−20、14−19、14−18、15−32、15−31、15−30、15−29、15−28、15−27、15−26、15−25、15−24、15−23、15−22、15−21、15−20、15−19、16−32、16−31、16−30、16−29、16−28、16−27、16−26、16−25、16−24、16−23、16−22、16−21、16−20、17−32、17−31、17−30、17−29、17−28、17−27、17−26、17−25、17−24、17−23、17−22、17−21、18−32、18−31、18−30、18−29、18−28、18−27、18−26、18−25、18−24、18−23、18−22、19−32、19−31、19−30、19−29、19−28、19−27、19−26、19−25、19−24、19−23、20−32、20−31、20−30、20−29、20−28、20−27、20−26、20−25、20−24、21−32、21−31、21−30、21−29、21−28、21−27、21−26、21−25、22−32、22−31、22−30、22−29、22−28、22−27、22−26、23−32、23−31、23−30、23−29、23−28、23−27、24−32、24−31、24−30、24−29、24−28、25−32、25−31、25−30、25−29、26−32、26−31、26−30、27−32又は27−31を含有するアミノ酸配列が含まれる。
【0102】
i)ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド(hCNP)及び断片
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド」、「ヒトCNP」、「hCNP」、「hCNPペプチド」又は「hCNPポリペプチド」という用語は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を有する22アミノ酸分子を指す。
【0103】
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド断片」、「hCNP断片」又は「hCNPペプチド断片」という用語は、hCNPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有するhCNPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、hCNP断片又はhCNPペプチド断片は、配列番号13の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、hCNP断片又はhCNPペプチド断片は、配列番号13の少なくとも10連続アミノ酸残基、配列番号13のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基又は配列番号13の少なくとも18連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。hCNP断片又はhCNPペプチド断片の例には、以下に限定されないが、配列番号13のアミノ酸残基1−21、1−20、1−19、1−18、1−17、1−16、1−15、1−14、1−13、1−12、1−11、1−10、1−9、1−8、1−7、1−6、1−5、2−22、2−21、2−20、2−19、2−18、2−17、2−16、2−15、2−14、2−13、2−12、2−11、2−10、2−9、2−8、2−7、2−6、3−22、3−21、3−20、3−19、3−18、3−17、3−16、3−15、3−14、3−13、3−12、3−11、3−10、3−9、3−8、3−7、4−22、4−21、4−20、4−19、4−18、4−17、4−16、4−15、4−14、4−13、4−12、4−11、4−10、4−9、4−8、5−22、5−21、5−20、5−19、5−18、5−17、5−16、5−15、5−14、5−13、5−12、5−11、5−10、5−9、6−22、6−21、6−20、6−19、6−18、6−17、6−16、6−15、6−14、6−13、6−12、6−11、6−10、7−22、7−21、7−20、7−19、7−18、7−17、7−16、7−15、7−14、7−8−22、8−21、8−20、8−19、8−18、8−17、8−16、8−15、8−14、8−13、8−12、9−22、9−21、9−20、9−19、9−18、9−17、9−16、9−15、9−14、9−13、10−22、10−21、10−20、10−19、10−18、10−17、10−16、10−15、10−14、11−22、11−21、11−20、11−19、11−18、11−17、11−16、11−15、12−22、12−21、12−20、12−19、12−18、12−17、12−16、13−22、13−21、13−20、13−19、13−18、13−17、14−22、14−21、14−20、14−19、14−18、15−22、15−21、15−20、15−19、16−22、16−21、16−20、17−22、17−21又は18−22を含有するアミノ酸配列が含まれる。
【0104】
j)ヒトA型ナトリウム利尿プロペプチド(プロANP)及び断片
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトA型ナトリウム利尿プロペプチド」、「ヒトANPのプロペプチド」、「ヒトプロANP」、「h−プロANP」、「h−プロANP−126」、「h−プロANPペプチド」、「h−プロANPポリペプチド」又は「A型ナトリウム利尿プロペプチド」という用語は、配列番号6で示されるアミノ酸配列を有する126アミノ酸分子を指す。ヒトプロANPは、ヒトプレプロANP由来である。
【0105】
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトA型ナトリウム利尿プロペプチド断片」、「h−プロANP断片」、「h−プロANP−126断片」又は「h−プロANPペプチド断片」という用語は、プロANPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。ある態様において、プロANP断片は、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するhANP又は配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するNT−プロANPを含む。別の態様において、プロANPペプチドの断片は、h−プロANPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有する。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、プロANP断片又はプロANPペプチド断片は、配列番号6の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、プロANP断片又はプロANPペプチド断片は、配列番号6の少なくとも10連続アミノ酸残基、配列番号6のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基、配列番号6の少なくとも20連続アミノ酸残基、配列番号6の少なくとも25連続アミノ酸残基又は配列番号6のアミノ酸の少なくとも30連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。プロANP断片又はプロBNPペプチド断片の例には、以下に限定されないが、配列番号6のアミノ酸残基1−98、124−153、124−152、124−151、124−150、124−149、124−148、124−147、124−146、124−145、124−144、124−143、124−142、124−141、124−140、124−139、124−138、124−137、124−136、124−135、124−134、124−133、124−132、124−131、124−130、124−129、124−128、125−151、125−150、125−149、125−148、125−147、125−146、125−145、125−144、125−143、125−142、125−141、125−140、125−139、125−138、125−137、125−136、125−135、125−134、125−133、125−132、125−131、125−130、125−129、126−151、126−150、126−149、126−148、126−147、126−146、126−145、126−144、126−143、126−142、126−141、126−140、126−139、126−138、126−137、126−136、126−135、126−134、126−133、126−132、126−131、126−130、127−151、127−150、127−149、127−148、127−147、127−146、127−145、127−144、127−143、127−142、127−141、127−140、127−139、127−138、127−137、127−136、127−135、127−134、127−133、127−132、127−131、128−151、128−150、128−149、128−148、128−147、128−146、128−145、128−144、128−143、128−142、128−141、128−140、128−139、128−138、128−137、128−136、128−135、128−134、128−133、128−132、129−151、129−150、129−149、129−148、129−147、129−146、129−145、129−144、129−143、129−142、129−141、129−140、129−139、129−138、129−137、129−136、129−135、129−134、129−133、130−151、130−150、130−149、130−148、130−147、130−146、130−145、130−144、130−143、130−142、130−141、130−140、130−139、130−138、130−137、130−136、130−135、130−134、131−151、131−150、131−149、131−148、131−147、131−146、131−145、131−144、131−143、131−142、131−141、131−140、131−139、131−138、131−137、131−136、131−135、132−151、132−150、132−149、132−148、132−147、132−146、132−145、132−144、132−143、132−142、132−141、132−140、132−139、132−138、132−137、132−136、133−151、133−150、133−149、133−148、133−147、133−146、133−145、133−144、133−143、133−142、133−141、133−140、133−139、133−138、133−137、134−151、134−150、134−149、134−148、134−147、134−146、134−145、134−144、134−143、134−142、134−141、134−140、134−139、134−138、135−151、135−150、135−149、135−148、135−147、135−146、135−145、135−144、135−143、135−142、135−141、135−140、135−139、136−151、136−150、136−149、136−148、136−147、136−146、136−145、136−144、136−143、136−142、136−141、136−140、137−151、137−150、137−149、137−148、137−147、137−146、137−145、137−144、137−143、137−142、137−141、138−151、138−150、138−149、138−148、138−147、138−146、138−145、138−144、138−143、138−142、139−151、139−150、139−149、139−148、139−147、139−146、139−145、139−144、139−143、140−151、140−150、140−149、140−148、140−147、140−146、140−145、140−144、141−151、141−150、141−149、141−148、141−147、141−146、141−145、142−151、142−150、142−149、142−148、142−147、142−146、143−151、143−150、143−149、143−148、143−147、144−151、144−150、144−149、144−148、145−151、145−150、145−149、146−151、146−150又は147−151を含有するアミノ酸配列が含まれる。
【0106】
k)ヒトB型ナトリウム利尿プロペプチド(プロBNP)及び断片
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用される、「ヒトB型ナトリウム利尿プロペプチド」、「ヒトBNPのプロペプチド」、「ヒトプロBNP」、「h−プロBNP」、「h−プロBNP−108」、「h−プロBNPペプチド」、「h−プロBNPポリペプチド」又は「B型ナトリウム利尿プロペプチド」という用語は、配列番号2で示されるアミノ酸配列を有する108アミノ酸分子を指す。ヒトプロBNPはヒトプレプロBNP由来である。
【0107】
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような「ヒトB型ナトリウム利尿プロペプチド断片」、「h−プロBNP断片」、「h−プロBNP−108断片」又は「h−プロBNPペプチド断片」という用語は、プロBNPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。ある態様において、プロBNP断片は、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するhBNP又は配列番号3で示されるアミノ酸配列を有するNT−プロBNPを含む。別の態様において、プロBNPペプチドの断片は、h−プロBNPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有する。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、プロBNP断片又はプロBNPペプチド断片は、配列番号2の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、プロBNP断片又はプロBNPペプチド断片は、配列番号2の少なくとも10連続アミノ酸残基;配列番号2のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基;配列番号2の少なくとも20連続アミノ酸残基;配列番号2の少なくとも25連続アミノ酸残基又は配列番号2のアミノ酸の少なくとも30連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。プロBNP断片又はプロBNPペプチド断片の例には、以下に限定されないが、配列番号2のアミノ酸残基1−76、77−108、1−30、2−31、3−32、4−33、5−34、6−35、7−36、8−37、9−38、10−39、11−40、12−41、13−42、14−43、15−44、16−45、17−46、18−47、19−48、20−49、21−50、22−51、23−52、24−53、25−54、26−55、27−56、28−57、29−58、30−59、31−60、32−61、33−62、34−63、35−64、36−65、37−66、38−67、39−68、40−69、41−70、42−71、43−72、44−73、45−74、46−75、47−76、48−77、49−78、50−79、51−80、52−81、53−82、54−83、55−84、56−85、57−86、58−87、59−88、60−89、61−90、62−91、63−92、64−93、65−94、66−95、67−96、68−97、69−98、70−99、71−100、72−101、73−102、74−103、75−104、76−105、77−106、78−107、79−108、1−20、2−21、3−22、4−23、5−24、6−25、7−26、8−27、9−28、10−29、11−30、12−31、13−32、14−33、15−34、16−35、17−36、18−37、19−38、20−39、21−40、22−41、23−42、24−43、25−44、26−45、27−46、28−47、29−48、30−49、31−50、32−51、33−52、34−53、35−54、36−55、37−56、38−57、39−58、40−59、41−60、42−61、43−62、44−63、45−64、46−65、47−66、48−67、49−68、50−69、51−70、52−71、53−72、54−73、55−74、56−75、57−76、58−77、59−78、60−79、61−80、62−81、63−82、64−83、65−84、66−85、67−86、68−87、69−88、70−89、71−90、72−91、73−92、74−93、75−94、76−95、77−96、78−97、79−98、80−99、81−100、82−101、83−102、84−103、85−104、86−105、87−106、88−107、89−108、1−15、2−16、3−17、4−18、5−19、6−20、7−21、8−22、9−23、10−24、11−25、12−26、13−27、14−28、15−29、16−30、17−31、18−32、19−33、20−34、21−35、22−36、23−37、24−38、25−39、26−40、27−41、28−42、29−43、30−44、31−45、32−46、33−47、34−48、35−49、36−50、37−51、38−52、39−53、40−54、41−55、42−56、43−57、44−58、45−59、46−60、47−61、48−62、49−63、50−64、51−65、52−66、53−67、54−68、55−69、56−70、57−71、58−72、59−73、60−74、61−75、62−76、63−77、64−78、65−79、66−80、67−81、68−82、69−83、70−84、71−85、72−86、73−87、74−88、75−89、76−90、77−91、78−92、79−93、80−94、81−95、82−96、83−97、84−98、85−99、86−100、87−101、88−102、89−103、90−104、91−105、92−106、93−107、94−108、1−10、2−11、3−12、4−13、5−14、6−15、7−16、8−17、9−18、10−19、11−20、12−21、13−22、14−23、15−24、16−25、17−26、18−27、19−28、20−29、21−30、22−31、23−32、24−33、25−34、26−35、27−36、28−37、29−38、30−39、31−40、32−41、33−42、34−43、35−44、36−45、37−46、38−47、39−48、40−49、41−50、42−51、43−52、44−53、45−54、46−55、47−56、48−57、49−58、50−59、51−60、52−61、53−62、54−63、55−64、56−65、57−66、58−67、59−68、60−69、61−70、62−71、63−72、64−73、65−74、66−75、67−76、68−77、69−78、70−79、71−80、72−81、73−82、74−83、75−84、76−85、77−86、78−87、79−88、80−89、81−90、82−91、83−92、84−93、85−94、86−95、87−96、88−97、89−98、90−99、91−100、92−101、93−102、94−103、95−104、96−105、97−106、98−107、99−108、1−5、2−6、3−7、4−8、5−9、6−10、7−11、8−12、9−13、10−14、11−15、12−16、13−17、14−18、15−19、16−20、17−21、18−22、19−23、20−24、21−25、22−26、23−27、24−28、25−29、26−30、27−31、28−32、29−33、30−34、31−35、32−36、33−37、34−38、35−39、36−40、37−41、38−42、39−43、40−44、41−45、42−46、43−47、44−48、45−49、46−50、47−51、48−52、49−53、50−54、51−55、52−56、53−57、54−58、55−59、56−60、57−61、58−62、59−63、60−64、61−65、62−66、63−67、64−68、65−69、66−70、67−71、68−72、69−73、70−74、71−75、72−76、73−77、74−78、75−79、76−80、77−81、78−82、79−83、80−84、81−85、82−86、83−87、84−88、85−89、86−90、87−91、88−92、89−93、90−94、91−95、92−96、93−97、94−98、95−99、96−100、97−101、98−102、99−103、100−104、101−105、102−106、103−107又は104−108を含有するアミノ酸配列が含まれる。
【0108】
1)ヒトC型ナトリウム利尿プロペプチド(プロCNP)及び断片
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用される、「ヒトC型ナトリウム利尿プロペプチド」、「ヒトCNPのプロペプチド」、「ヒトプロCNP」、「h−プロCNP」、「h−プロCNP−103」、「h−プロCNPペプチド」、「h−プロCNPポリペプチド」又は「C型ナトリウム利尿プロペプチド」という用語は、配列番号10で示されるアミノ酸配列を有する103アミノ酸分子を指す。ヒトプロCNPはヒトプレプロCNP由来である。
【0109】
本明細書中で使用される場合、本明細書中で交換可能に使用されるような、「ヒトC型ナトリウム利尿プロペプチド断片」、「h−プロCNP断片」、「h−プロCNP−103断片」又は「h−プロCNPペプチド断片」という用語は、プロCNPペプチドの断片を含むポリペプチドを指す。ある態様において、プロCNP断片は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を有するhCNP又は配列番号15で示されるアミノ酸配列を有するNT−プロCNP、配列番号11で示されるアミノ酸配列を有するhCNP−53又は配列番号12で示されるアミノ酸配列を有するhCNP−29ポリペプチドを含む。
【0110】
別の態様において、プロCNPペプチドの断片は、h−プロCNPペプチドの連続的又は非直線エピトープを含有する。このようなエピトープ断片の正確な境界は、当技術分野での通常の技術を用いて確認され得る。ある態様において、プロCNP断片又はプロCNPペプチド断片は、配列番号10の少なくとも5連続アミノ酸を含むペプチドを指す。別の態様において、プロCNP断片又はプロCNPペプチド断片は、配列番号10の少なくとも10連続アミノ酸残基、配列番号10のアミノ酸の少なくとも15連続アミノ酸残基、配列番号10の少なくとも20連続アミノ酸残基、配列番号10の少なくとも25連続アミノ酸残基又は配列番号10のアミノ酸の少なくとも30連続アミノ酸残基を含むペプチドを指す。プロCNP断片又はプロCNPペプチド断片の例には、以下に限定されないが、配列番号10のアミノ酸残基1−50、51−103、75−103、82−103、82−102、82−101、82−100、82−99、82−98、82−97、82−96、82−95、82−94、82−93、82−92、82−91、82−90、82−89、82−88、82−87、82−86、83−103、83−102、83−101、83−100、83−99、83−98、83−97、83−96、83−95、83−94、83−93、83−92、83−91、83−90、83−89、83−88、83−87、84−103、84−102、84−101、84−100、84−99、84−98、84−97、84−96、84−95、84−94、84−93、84−92、84−91、84−90、84−89、84−88、85−103、85−102、85−101、85−100、85−99、85−98、85−97、85−96、85−95、85−94、85−93、85−92、85−91、85−90、85−89、86−103、86−102、86−101、86−100、86−99、86−98、86−97、86−96、86−95、86−94、86−93、86−92、86−91、86−90、87−103、87−102、87−101、87−100、87−99、87−98、87−97、87−96、87−95、87−94、87−93、87−92、87−91、88−103、88−102、88−101、88−100、88−99、88−98、88−97、88−96、88−95、88−94、88−93、88−92、89−103、89−102、89−101、89−100、89−99、89−98、89−97、89−96、89−95、89−94、89−93、90−103、90−102、90−101、90−100、90−99、90−98、90−97、90−96、90−95、90−94、91−103、91−102、91−101、91−100、91−99、91−98、91−97、91−96、91−95、92−103、92−102、92−101、92−100、92−99、92−98、92−97、92−96、93−103、93−102、93−101、93−100、93−99、93−98、93−97、94−103、94−102、94−101、94−100、94−99、94−98、95−103、95−102、95−101、95−100、95−99、96−103、96−102、96−101、96−100、97−103、97−102、97−101、98−103、98−102又は99−103を含有するアミノ酸配列が含まれる。
【0111】
m)ヒトナトリウム利尿ペプチド及び断片
本明細書中で使用される場合、「ヒトナトリウム利尿ペプチド」という用語は、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド又はそれらの何らかの組み合わせを指す。
【0112】
本明細書中で使用される場合、「ヒトナトリウム利尿ペプチド断片」という用語は、ヒトA型プロペプチド断片、ヒトA型ナトリウム利尿ペプチド断片、ヒトB型プロペプチド断片、ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド断片、ヒトC型プロペプチド断片、ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせを指す。
【0113】
n)ヒトナトリウム利尿ペプチド類似体
本明細書中で使用される場合、「ヒトナトリウム利尿ペプチド類似体」という用語は、ヒトナトリウム利尿ペプチド(例えばヒトBNP)の生物学的活性類似体を指す。例えば、生物学的活性ヒトナトリウム利尿ペプチド類似体は、元の化合物の生物学的活性を低下させない、短縮、欠失、挿入、置換、置き換え、側鎖伸長のあるヒトナトリウム利尿ペプチド及び融合タンパク質又は前述のものの組み合わせであり得る。ヒトナトリウム利尿ペプチド類似体は、様々な手段により得ることができる。例えば、相互作用的結合能を損なわずに、ある種のアミノ酸で、ネイティブのナトリウム利尿ペプチド構造中のその他のアミノ酸を置換することができる。ヒトナトリウム利尿ペプチド類似体及びこのような類似体を作製するための方法の例は、米国特許出願第2006/0172933号に記載されている。
【0114】
o)ヒトナトリウム利尿ペプチド結合物
本明細書中で使用される場合、「ヒトナトリウム利尿ペプチド結合物」という用語は、少なくとも1つの修飾部分又はそれに連結される少なくとも1つの反応部分を含む、ヒトナトリウム利尿ペプチド又はヒトナトリウム利尿ペプチド断片を指す。修飾部分は、ヒトナトリウム利尿ペプチド又はヒトナトリウム利尿ペプチド断片(例えばhBNP又はhBNP断片)を修飾する部分である。修飾部分の例には、以下に限定されないが、安定性、溶解性及び/又は生物学的活性に影響を与える部分(例えば親水性ポリマー又はオリゴマー、両親媒性ポリマー又はオリゴマー及び親油性ポリマー又はオリゴマー)、親水性部分、ポリエチレングリコール部分、生体適合性のある水溶性部分、ポリカチオン性部分、両親媒性部分、ポリエチレングリコール/アルキル修飾部分などが含まれる(これらのそれぞれは、米国特許出願第2006/0172933号に記載されている。)。
【0115】
ヒトナトリウム利尿ペプチド又はヒトナトリウム利尿ペプチド断片は、米国特許出願第2004/0266673号に記載のような反応部分へのカップリングにより、(共有結合によって)化学的に修飾され得る。反応部分は、血液成分、好ましくは血液タンパク質と共有結合を形成することが可能である。共有結合は、一般に、血液成分において、反応部分と、アミノ基、ヒドロキシル基又はチオール基との間で形成される。アミノ基は、カルボキシ、ホスホリル又はアシルなどの反応部分と共有結合を形成し得、ヒドロキシル基は、好ましくは、活性化エステルのような反応部分と共有結合を形成し、チオール基は、好ましくは、エステル又は混合無水物などの反応部分と共有結合を形成する。好ましい血液成分は、血清アルブミン、免疫グロブリン又はそれらの組み合わせなどの流動性の血液成分であり、好ましい反応部分は、マレイミド又はマレイミド含有基などの無水物を含む。
【0116】
ヒトナトリウム利尿ペプチド(例えばヒトBNP)などのベース分子に修飾部分を結合させるための方法は当技術分野で周知である。例えば、ヒトナトリウム利尿ペプチドに修飾部分を結合させるためのストラテジーは、米国特許出願第2006/0172933号で開示されている。反応部分に対してヒトナトリウム利尿ペプチドを化学的に修飾するための方法は、米国特許出願第2004/0266673に記載されている。
【0117】
p)ヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体
本明細書中で使用される場合、「ヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体」という用語は、ヒトナトリウム利尿ペプチド類似体、ヒトナトリウム利尿ペプチド結合物又はヒトナトリウム利尿ペプチドの組み換え型(例えばヒトBNP(配列番号4)の組み換え型(例えばネシリチド))を指す。
【0118】
q)過酸化水素生成酵素
本明細書中で使用される場合、「過酸化水素生成酵素」という用語は、過酸化水素を生成させることが可能である酵素を指す。過酸化水素生成酵素の例は下記表1で列挙する。
【0119】
【表1】





【0120】
r)単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体
本明細書中で使用される場合、「単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体」という用語は、その天然の環境の成分から、同定され、分離され及び/又は回収された抗体を指す。その天然環境の夾雑成分は、抗体に対する診断又は治療用途を妨害する物質であり、これには、酵素、ホルモン及びその他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質が含まれ得る。通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製段階により調製される。
【0121】
s)ナトリウム利尿ペプチド及び断片
本明細書中で使用される場合、「ナトリウム利尿ペプチド」という用語は、ヒトANPの少なくとも1つのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド及びそれらの何らかの組み合わせを指す。
【0122】
本明細書中で使用される場合、「ナトリウム利尿ペプチド断片」という用語は、少なくとも1つのヒトA型プロペプチド断片、ヒトA型ナトリウム利尿ペプチド断片、ヒトB型プロペプチド断片、ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド断片、ヒトC型プロペプチド断片、ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド断片、マンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド断片及びそれらの何らかの組み合わせを指す。
【0123】
t)医薬組成物
本明細書中で使用される場合、「医薬組成物」という用語は、治療を必要とする疾患又は状態に罹患している対象を治療するために使用され得る、小分子(例えば活性物質を含有する薬物、通常は非ペプチド性)であれ又は生体分子(例えば、以下に限定されないがPEG付加などの修飾があるあらゆるものを含む、ペプチド又はタンパク質に基づく薬物)であれ、何らかの作用物質又は薬物を指す。医薬組成物の例には、以下に限定されないが、高脂血症薬(以下に限定されないが、ナイアシン、フィブラート(例えばクロフィブラート、フェノフィブラート、フェノフィブリン酸、シムフラート(simfrate)、フェノフィブリンの塩及びそれらの何らかの組み合わせを含む。)、エゼチミブ、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えばスタチン、以下に限定されないが、ロスバスタチン、シンバスタチン及びそれらの組み合わせ(その他の高脂血症薬(例えばシンバスタチン及びエゼチミブ)との組み合わせを含む。)、抗炎症剤、ナトリウム利尿ペプチド及びその誘導体及び類似体(例えばネシリチド、BNP及びそれらの組み合わせ)などならびにそれらの何らかの組み合わせが含まれる。
【0124】
u)ヒトANP、ヒトBNP及びヒトCNPのプレプロペプチド前駆体
本明細書中で使用される場合、「ヒトANPのプレプロペプチド前駆体」又は「ヒトプレプロANP」という用語は、配列番号5で示されるアミノ酸配列を有する153アミノ酸分子を指す。
【0125】
本明細書中で使用される場合、「ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体」又は「ヒトプレプロBNP」という用語は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有する134アミノ酸分子を指す。
【0126】
本明細書中で使用される場合、「ヒトCNPのプレプロペプチド」又は「ヒトプレプロCNP」という用語は、配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する126アミノ酸分子を指す。
【0127】
v)所定のレベル
本明細書中で使用される場合、「所定のレベル」という用語は、一般に、所定のレベルに対してアッセイ結果を比較することにより、診断結果を評価するために使用されるアッセイカットオフ値を指し、この場合、所定のレベルは、様々な臨床パラメーター(例えば、リスク、疾患の重症度、進行/非進行/改善の評価など)と既に結び付けられているか又は関連付けられている。本開示は、代表的な所定のレベルを提供し、本明細書中に記載のような代表的免疫アッセイに対する臨床パラメーターとのこのようなレベルの最初の結び付き又は関連を述べる。しかし、カットオフ値が免疫アッセイの性質(例えば使用される抗体など)に依存して変動し得ることは周知である。この記載に基づくその他の免疫アッセイのための免疫アッセイ特異的カットオフ値を得るために、その他の免疫アッセイに対して本明細書中の開示を適応させることは、さらに、十分に、当業者の通常の技術の範囲内である。
【0128】
w)リスク
本明細書中で使用される場合、「リスク」という用語は、現在又は将来のある時点の何れかで起こる特定の事象の可能性又は見込みに関する。「リスク分類」は、特定の疾患、障害又は状態の発現の、低、中程度、高又は最高リスクへと、医師が患者を分類できるようにするための一連の公知の臨床リスク因子を指す。
【0129】
x)特異的結合パートナー
本明細書中で使用される場合、「特異的結合パートナー」という用語は、本明細書中で使用される場合、特異的結合対のメンバーである。これは、分子の一方が、化学的又は物理的手段を通じて、第二の分子に特異的に結合する、2つの異なる分子である。従って、共通の免疫アッセイの抗原及び抗体特異的結合対に加えて、その他の特異的結合対には、ビオチン及びアビジン(又はストレプトアビジン)、炭化水素及びレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクター及び受容体分子、補因子及び酵素、酵素阻害剤及び酵素などが含まれ得る。さらに、特異的な結合対は、元の特異的結合メンバーの類似体(例えば検体−類似体)であるメンバーを含み得る。免疫反応性特異的結合メンバーには、抗原、抗原断片、抗体及び抗体断片、モノクローナル及びポリクローナルの両方及びその複合体(組み換えDNA分子により形成されるものを含む。)が含まれる。
【0130】
y)対象
「対象」は、何らかの動物種、好ましくは哺乳動物種のメンバー、場合によってはヒトである。この対象は、見かけ上健康な個体、疾患に罹患している個体及び疾患に対する治療が行われている個体であり得る。被験者は、参照試料が採取される個体である。「参照対象(reference subject又はreference subjects)」は、1以上のパラメーターに関して別の個体又は集団を評価するために参照となる個体又は集団である。一般的に言って、所定のレベルは、参照対象の試験及び評価により得られる。
【0131】
さらにこのような参照対象に関して、本明細書中で記載される場合、「臨床的に正常な心血管機能」は、既知の又は明白な又は現在検出可能な心血管機能不全がなく、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体又はその断片のレベルの検出可能な望ましくない変化(即ち、通常は上昇)がない、参照対象を意味する。
【0132】
z)試験試料
本明細書中で使用される場合、「試験試料」又は「試料」という用語は、一般に、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片などの関心のある検体を含有することについて試験される及び/又はその疑いがある生体物質を指す。試験試料は、以下に限定されないが、全血、血清、血漿、間質液、唾液、眼レンズ液、脳脊髄液、汗、尿、乳、腹水(ascites fluid)、粘液、鼻汁、痰、滑液、腹水(peritoneal fluid)、膣液、月経、羊水、精液などを含む生理液などの何らかの生物学的起源由来であり得る。試験試料は、生物学的起源から得られるものとして直接、又は試料の性質を変化させるための前処理後、使用され得る。例えば、このような前処理は、血液から血漿を調製すること、粘性のある液体を希釈することなどを含み得る。前処理の方法はまた、ろ過、沈殿、希釈、蒸留、混合、濃縮、阻害成分の不活性化、試薬の添加、溶解なども含み得る。さらに、液体培地を形成するために又は検体を放出させるために、固形の試験試料を変化させることも有益であり得る。好ましい試験試料には、尿、血液、血清及び血漿が含まれる。
【0133】
B.試験試料中の、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する反応性がある自己抗体を検出するための方法
ある実施形態において、本開示は、試験試料中の、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対して反応性がある1以上の自己抗体を検出するか又は定量するための方法に関する。本明細書中で既に考察したように、試験試料中のナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体の存在は、アッセイにおいて得られる偽陰性の結果の生成に関与し得る。従って、本開示の方法により、偽陰性の生成に関与し得るナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体を試験試料が含有し得るか否かについて、アッセイを行う前に知ることができるようになる。あるいは、本開示の方法は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片アッセイ結果の正確性又は信頼性を確認又は調べるために必要な手段を提供する。
【0134】
本方法は、「1以上の自己抗体」を検出又は定量するために使用され得る(「1以上の」とは、型又は集団を指す。)。複数の自己抗体を検出又は定量するために使用される場合、検出される自己抗体は、同じ又は異なるナトリウム利尿ペプチドに対して向けられる。言い換えると、複数の自己抗体がある場合、異なるナトリウム利尿ペプチドに対して向けられることにより又は同じナトリウム利尿ペプチド(例えばナトリウム利尿ペプチド又はペプチド断片の異なる領域)に対して向けられる抗体の異なる形態であることによって、検出される自己抗体が互いに異なる。
【0135】
本開示のアッセイ又は方法は、対象からの試験試料を得ることを含む。試験試料が得られ得る対象は何らかの脊椎動物である。好ましくは、脊椎動物は哺乳動物、特にヒトである。哺乳動物の例には、以下に限定されないが、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、非ヒト霊長類及びヒトが含まれる。当業者にとって公知の通常の技術を使用して、対象から試験試料を得ることができる。好ましくは、試験試料は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を含有し、場合によっては、試験試料は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片をさらに含有する。
【0136】
本開示のアッセイ又は方法は、均一又は不均一方式で行うことができる。この2つの方式間の基本的な相違が存在することは当業者により認識されるであろう。例えば、均一方式は、複合体を形成していないメンバーから、関心のある検体と特異的結合パートナーとの間の免疫複合体を分離するための1以上の段階がない。さらに、均一アッセイは検出可能な標識を使用する。検出可能な標識から生成されるシグナルの1以上の特徴は、免疫複合体の形成により調節される。このような特徴には、以下に限定されないが、波長、強度、持続時間又は異方性が含まれ得る。使用され得るこのような均一アッセイの例には、以下に限定されないが、蛍光偏光免疫アッセイ(FPIA)、競合的酵素免疫分析法(EMIT)、生体発光共鳴エネルギー移動(BRET)、均一化学発光アッセイなどが含まれる。均一方式において、対象から試験試料が得られた後、第一の混合物を調製する。この混合物は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体について評価されている試験試料及び検出可能な標識で標識される第一の特異的結合パートナーを含有する。第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片である。検出可能な標識に関して、当技術分野で公知の何らかの検出可能な標識が使用され得る。例えば、FPIAにおいて、検出可能な標識は、蛍光標識であり得る(例えば米国特許第5,593,896号、同第5,573,904号、同第5,496,925号、同第5,359,093号及び同第5,352,803号(それらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)参照)。さらなる例として、Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Johnson、D.D.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Pan、Y.及びReddy、R.E.、Chemiluminescent Acridinium−9−carboxamide Boronic Acid Probes:Application to a Homogeneous Glycated Hemoglobin Assay、Bioorg.Med.Chem.Lett.16:1324−1328(2006);Adamczyk、M.、Fino、J.R.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.及びPan、Y.、Chemiluminescence quenching of pteroic acid−N−Sulfonyl−acridinium−9−carboxamide conjugates by folate binding protein.Bioorg.Med.Chem.Lett.14:2313−2317(2004);Adamczyk、M.、Johnson、D.D.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.及びPan、Y.、Intrinsic factor−mediated modulation of cyanocobalamin−N−sulfonyl−acridinium−9−carboxamide chemiluminescence.Biorg.Med.Chem.Lett.14:3917−3921(2004);及びAdamczyk、M.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.及びPan、Y.Regiodependent luminescence quenching of biotinylated N−sulfonyl−acridinium−9−carboxamide by avidin.Org.Lett.、5:3779−3782(2003)、で記載されるものなどの均一化学発光アッセイにおいて、検出可能な標識はアクリジニウム化合物である。好ましくは、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキサミドである。具体的に、アクリジニウム−9−カルボキサミドは、式I:
【0137】
【化7】

で表される構造を有する(式中、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
さらに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルの何れも1以上のヘテロ原子を含有し得;
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)。
【0138】
アクリジニウム9−カルボキサミドを調製するための方法は、Mattingly、P.G.、J.Biolumin.Chemilumin.、6、107−14;(1991);Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Mattingly、P.G.、Pan、Y.J.Org.Chem.、63、5636−5639(1998);Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Shreder、K.、Tetrahedron、55、10899−10914(1999);Adamczyk、M.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Pan、Y.、Org.Lett.、1、779−781(1999);Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Fishpaugh、J.R.、Mattingly、P.G.、Pan、Y.、Shreder、K.、Yu、Z.、Bioconjugate Chem.、11、714−724(2000);Mattingly、P.G.、Adamczyk、M.、Luminescence Biotechnology:Instruments and Applications;Dyke、K.V.編、CRC Press:Boca Raton、pp.77−105(2002);Adamczyk、M.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Pan、Y.、Org.Lett.、5、3779−3782(2003);及び米国特許第5,468,646号、同第5,543,524号及び同第5,783,699号(それぞれ、同上に関するそれらの教示に対してそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
【0139】
あるいは、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルであり得;アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルは、式II
【0140】
【化8】

で表される構造を有し得る(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)。
【0141】
本開示で使用され得る上記式IIを有するアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルの例には、以下に限定されないが、10−メチル−9−(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホネート(Cayman Chemical、Ann Arbor、MIから入手可能)が含まれる。アクリジニウム9−カルボキシレートアリールエステルを調製するための方法は、McCapra、F.ら、Photochem.Photobiol.、4、1111−21(1965);Razavi、Zら、Luminescence、15:245−249(2000);Razavi、Zら、Luminescence、15:239−244(2000);及び米国特許第5,241,070号(それぞれ、同上に関するそれらの教示に対してそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
【0142】
混合物を形成させるために、試験試料及び検出可能な標識で標識された第一の特異的結合パートナーが添加される順序は、重要ではない。第一の混合物を形成させるために検出可能な標識で標識された第一の特異的結合パートナー及び試験試料が添加された後、第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体が形成される。
【0143】
本開示のある実施形態において、過酸化水素は、上述のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第一の特異的結合パートナー)の添加前に、混合物中でin situで生成させるか又は、混合物に提供もしくは供給する。本開示の第二の実施形態において、過酸化水素は、上述のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第一の特異的結合パートナー)と同時に、混合物中でin situで生成させるか又は、混合物に提供もしくは供給する。第三の実施形態において、過酸化水素は、上述のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第一の特異的結合パートナー)を試験試料に添加した後に、in situで生成させるか又は混合物に提供もしくは供給する。
【0144】
上述のように、混合物中で、in situで過酸化水素を生成させ得る。多くの方法でin situで過酸化水素を生成させ得る。例えば、過酸化水素生成酵素を第一の混合物に添加することができる。具体的には、混合物中で、in situで過酸化水素を生成させることを可能とするのに十分な量で、混合物に1以上の過酸化水素生成酵素を添加することができる。混合物に添加されるべき上記酵素の1以上の量は、当業者により容易に決定され得る。
【0145】
過酸化水素はまた、例えば、Agladze、G.R.、Tsurtsumia、G.S.、Jung、B.I.、Kim、J.S.、Gorelishvili、G.、J.Applied Electrochem.、37、375−383(2007);Qiang、Z.、Chang、J.−H.、Huang、C−P.、Water Research、36、85−94(2002)で示されるように、電気化学的にin situで生成させることもできる。in situで光化学的に過酸化水素を生成させることもできる(例えば、Draper、W.M.;Crosby、D.G.Archives of Environmental Contamination and Toxicology、12、121−126(1983)。)。
【0146】
あるいは、過酸化水素源を混合物に供給又は提供することができる。例えば、過酸化水素源は、過酸化水素を含有することが知られている1以上の緩衝液又はその他の溶液であり得る。このような緩衝液又はその他の溶液は、混合物に単純に添加される。あるいは、別の過酸化水素源は、単純に、過酸化水素を含有する溶液であり得る。
【0147】
上記により明らかにされるように、アクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識される第一の特異的結合パートナー)及び過酸化水素を混合物中で提供するか又は混合物に供給するか又は混合物中でin situで生成させるタイミング及び順序は、それらが、少なくとも1つの塩基性溶液の添加前に、添加、供給、提供又はin situで生成されるならば、重要ではない(下記で詳細に考察する。)。
【0148】
混合物へのアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第一の特異的結合パートナー)及び過酸化水素の添加後、検出可能なシグナル、即ち化学発光シグナルを生成させるために、混合物に少なくとも1つの塩基性溶液が添加される。塩基性溶液は、少なくとも1つの塩基を含有し、10以上のpH、好ましくは12以上のpHを有する溶液である。塩基性溶液の例には、以下に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び重炭酸カルシウムが含まれる。混合物に添加される塩基性溶液の量は、アッセイで使用される塩基性溶液の濃度に依存する。使用される塩基性溶液の濃度に基づき、当業者は、本方法で使用されるべき塩基性溶液の量を容易に決定することができる。当業者にとって公知の通常の技術を用いて、生成される化学発光シグナルを検出することができる。
【0149】
塩基性溶液の添加後、検出可能な標識からの検出可能なシグナルが生成されるか放射され、次にこれを測定する。検出可能な標識からのシグナルを生成させ、結果として得られた生成シグナルを測定するための方法は、当業者にとって周知である。例えば、塩基性溶液の添加後に、化学発光シグナルを生成させることができる。生成シグナルの強度に基づき、試験試料中の自己抗体の量を定量することができる。具体的には、存在する自己抗体の量は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体に対する標準曲線と生成される光の量を比較することに基づき、又は参照基準に対する比較により、定量することができる。既知の濃度のナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体の連続希釈液又は溶液を用いて、質量分析により、重量測定法で及び当技術分野で公知のその他の技術により、標準曲線を作成することができる。
【0150】
不均一方式において、試験試料を対象から得た後、第一の混合物を調製する。この混合物は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体について評価される試験試料及び第一の特異的結合パートナーを含有し、そこで、試験試料中に含有される第一の特異的結合パートナー及び何らかの自己抗体は、第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体を形成する。好ましくは、第一の特異的結合パートナーはナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片である。混合物を形成させるために試験試料及び第一の特異的結合パートナーが添加される順序は重要ではない。好ましくは、第一の特異的結合パートナーは、固相に固定化される。(第一の特異的結合パートナー及び場合によっては第二の特異的結合パートナーに対して)免疫アッセイで使用される固相は、当技術分野で公知の何らかの固相であり得、例えば、以下に限定されないが、磁気粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、足場分子、フィルム、ろ紙、ディスク及びチップなどである。
【0151】
第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体を含有する混合物が形成された後、洗浄などの当技術分野で公知の何らかの技術を用いて、この複合体から未結合自己抗体を除去する。
【0152】
未結合自己抗体を全て除去した後、第一の特異的結合パートナー−自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体を形成させるために、第二の特異的結合パートナーを混合物に添加する。第二の特異的結合パートナーは、好ましくは、抗ヒト抗体である。さらに、また好ましくは、第二の特異的結合パートナーは、検出可能な標識で標識されるか又はこれを含有する。検出可能な標識に関して、当技術分野で公知の何らかの検出可能な標識が使用され得る。例えば、検出可能な標識は、放射活性標識(例えばH、125I、35S、14C、32P及び33Pなど)、酵素標識(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリペルオキシダーゼ、グルコース6−ホスフェートデヒドロゲナーゼなど)、化学発光標識(例えばアクリジニウムエステル、チオエステル又はスルホンアミド;ルミノール、イソルミノール、フェナントリジニウムエステルなど)、蛍光標識(例えばフルオレセイン(例えば5−フルオレセイン、6−カルボキシフルオレセイン、3’6−カルボキシフルオレセイン、5(6)−カルボキシフルオレセイン、6−ヘキサクロロ−フルオレセイン、6−テトラクロロフルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネートなど))、ローダミン、フィコビリタンパク質、R−フィコエリスリン、量子ドット(例えば硫化亜鉛でキャップされたカドニウムセレニド)、温度測定標識又は免疫−ポリメラーゼ連鎖反応標識であり得る。標識への導入、標識手順及び標識の検出は、Polak及びVan Noorden、Introduction to Immunocytochemistry、第2版、Springer Verlag、N.Y.(1997)及びHaugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(1996)(これは、Molecular Probes、Inc.、Eugene、Oregonにより出版されているハンドブック兼カタログである。)で見出される。しかし、好ましくは、検出可能な標識は、化学発光アッセイで使用することができるアクリジニウム化合物である。好ましくは、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキサミドである。具体的には、アクリジニウム−9−カルボキサミドは、式I:
【0153】
【化9】

で表される構造を有する(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
さらに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルの何れも1以上のヘテロ原子を含有し得、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)。
【0154】
アクリジニウム9−カルボキサミドを調製するための方法は、Mattingly、P.G.、J.Biolumin.Chemilumin.、6、107−14;(1991);Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Mattingly、P.G.、Pan、Y.、J.Org.Chem.63、5636−5639(1998);Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Shreder、K.、Tetrahedron 55、10899−10914(1999);Adamczyk、M.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Pan、Y.、Org.Lett.1、779−781(1999);Adamczyk、M.、Chen、Y.−Y.、Fishpaugh、J.R.、Mattingly、P.G.、Pan、Y.、Shreder、K.、Yu、Z.、Bioconjugate Chem.11、714−724(2000);Mattingly、P.G.、Adamczyk、M.、Luminescence Biotechnology:Instruments and Applications;Dyke、K.V.編;CRC Press:Boca Raton、pp.77−105(2002);Adamczyk、M.、Mattingly、P.G.、Moore、J.A.、Pan、Y.、Org.Lett.5、3779−3782(2003);及び米国特許第5,468,646号、同第5,543,524号及び同第5,783,699号(それぞれ、同上に関するそれらの教示に対してそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
【0155】
あるいは、アクリジニウム化合物は、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルであり得;アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルは、式II
【0156】
【化10】

で表される構造を有し得る(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)。
【0157】
本開示で使用することができる上記式IIを有するアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルの例には、以下に限定されないが、10−メチル−9−(フェノキシカルボニル)アクリジニウムフルオロスルホネート(Cayman Chemical、Ann Arbor、MIから入手可能)が含まれる。アクリジニウム9−カルボキシレートアリールエステルを調製するための方法は、McCapra、F.、ら、Photochem.Photobiol.、4、1111−21(1965);Razavi、Zら、Luminescence、15:245−249(2000);Razavi、Zら、Luminescence、15:239−244(2000);及び米国特許第5,241,070号(それぞれ、同上に関するそれらの教示に対してそれらの全体において参照により本明細書中に組み込まれる。)に記載されている。
【0158】
第二の特異的結合パートナーの形成後及び第一の特異的結合パートナー−自己抗体−第二の特異的結合複合体の形成後、洗浄などの当技術分野で公知の何らかの技術を用いて、全ての未結合第二の特異的結合パートナー(標識されているものであれ未標識のものであれ)を複合体から除去する。
【0159】
本開示のある実施形態において、過酸化水素は、上述のアクリジニウム化合物(具体的にはアクリジニウム化合物で標識された第二の特異的結合パートナー)の添加前に、混合物中でin situで生成させるか又は混合物に提供もしくは供給する。本開示の第二の実施形態において、過酸化水素は、上述のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第二の特異的結合パートナー)と同時に、混合物中でin situで生成させるか又は混合物に提供もしくは供給する。第三の実施形態において、過酸化水素は、上述のアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第二の特異的結合パートナー)が試験試料に添加された後に、in situで生成させるか又は混合物に提供もしくは供給する。
【0160】
上述のように、混合物中でin situで過酸化水素を生成させ得る。多くの方法でin situで過酸化水素を生成させ得る。例えば、過酸化水素生成酵素を第一の混合物に添加することができる。具体的には、混合物中でin situで過酸化水素を生成させることを可能とするのに十分な量で、混合物に1以上の過酸化水素生成酵素を添加することができる。混合物に添加されるべき上記酵素の1以上の量は、当業者により容易に決定され得る。
【0161】
過酸化水素はまた、例えば、Agladze、G.R.、Tsurtsumia、G.S.、Jung、B.L.、Kim、J.S.、Gorelishvili、G.J.、Applied Electrochem.37、375−383(2007);Qiang、Z.、Chang、J.−H.、Huang、C−P.、Water Research 36、85−94(2002)で示されるように、電気化学的にin situで生成させることもできる。in situで光化学的に過酸化水素を生成させることもできる(例えば、Draper、W.M.、Crosby、D.G.、Archives of Environmental Contamination and Toxicology 12、121−126(1983)。)。
【0162】
あるいは、過酸化水素源を混合物に供給又は提供することができる。例えば、過酸化水素源は、過酸化水素を含有することが知られている1以上の緩衝液又はその他の溶液であり得る。このような緩衝液又はその他の溶液は、混合物に単純に添加される。あるいは、別の過酸化水素源は、単純に、過酸化水素を含有する溶液であり得る。
【0163】
上記により明らかにされるように、アクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識される第二の特異的結合パートナー)及び過酸化水素を混合物中で提供するか又は混合物に供給するか混合物中でin situで生成させるタイミング及び順序は、それらが、少なくとも1つの塩基性溶液の添加前に、添加、提供、供給又はin situで生成されるならば、重要ではない(下記で詳細に考察する。)。
【0164】
混合物へのアクリジニウム化合物(具体的には、アクリジニウム化合物で標識された第二の特異的結合パートナー)及び過酸化水素の添加後、検出可能なシグナル、即ち化学発光シグナルを生成させるために、混合物に少なくとも1つの塩基性溶液が添加される。塩基性溶液は、少なくとも1つの塩基を含有し、10以上のpH、好ましくは12以上のpHを有する溶液である。塩基性溶液の例には、以下に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び重炭酸カルシウムが含まれる。混合物に添加される塩基性溶液の量は、アッセイで使用される塩基性溶液の濃度に依存する。使用される塩基性溶液の濃度に基づき、当業者は、本方法で使用されるべき塩基性溶液の量を容易に決定することができる。当業者にとって公知の通常の技術を用いて、生成される化学発光シグナルを検出することができる。
【0165】
検出可能な標識で標識される全ての未結合の第二の特異的結合パートナーを除去した後、検出可能な標識からの検出可能なシグナルが生成されるか又は放射され、次にこれを測定する。検出可能な標識からのシグナルを生成させ、結果として得られた生成シグナルを測定するための方法は、当業者にとって周知である。例えば、塩基性溶液の添加後に、化学発光シグナルが生成され得る。生成されるシグナルの強度に基づき、試験試料中の自己抗体の量を定量することができる。具体的には、試験試料中に含有される自己抗体の量は、生成されるシグナルの強度に比例する。具体的には、存在する自己抗体の量は、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体に対する標準曲線と、生成される光の量を比較することに基づき、又は参照基準に対する比較により、定量することができる。既知の濃度のナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体の連続希釈液又は溶液を用いて、質量分析により、重量測定法で及び当技術分野で公知のその他の技術により、標準曲線を作成することができる。
【0166】
本明細書中に記載の方法は、対象から得られた試験試料中のヒトナトリウム利尿ペプチドの量を検出又は定量するためのアッセイ(例えば、即ち、既に行われたアッセイ)から得られた結果の信頼性を判定するために使用することができる。具体的には、このような方法は、対象からの試験試料を得ることを含む。好ましくは、試験試料は、試料中のヒトナトリウム利尿ペプチドの量を検出又は定量するためにアッセイが既に行われた同じ対象から得られる。従って、この試験試料は、対象から得られた第二の又はその後の試験試料となろう。第二の試験試料を対象から得た後、本明細書中に記載のアッセイの何れか(例えばこのセクションBに記載の方法を用いて)又は当技術分野で公知のものなど自己抗体に対する何らかの代替的アッセイを用いて、免疫アッセイ以外のものを含め、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上のヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体の量の濃度を測定する。第二の試験試料中のヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が所定のレベルと比較して上昇している場合、既に行われたアッセイから得られた結果は信頼できないと判定される。しかし、第二の試験試料中のヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が所定のレベルより低いか又は同じである場合、既に行われたアッセイから得られた結果は信頼できると判定される。
【0167】
本明細書中の開示から明らかなように、一般に、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体に対して試験試料をアッセイする際に得られる結果を評価するためのベンチマークとして所定のレベルが使用され得る。一般に、このような比較を行うことにおいて、所定のレベルは、十分な回数及び、疾患、障害もしくは状態(例えば心血管系疾患)の特定のエンドポイントとの又は特定の臨床指標との、検体(例えば自己抗体)レベル、濃度又は量の関連付け又は連関が行われ得るような適切な条件下で、特定のアッセイを行うことによって得られる。通常、所定のレベルは、本明細書中で記載されるような、参照対象物(又は対象の集団)のアッセイにより得られる。
【0168】
ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体に関して、このような自己抗体は、心血管系又は、ナトリウム利尿ペプチドが何らかの機能又は影響を有するその他の主要な器官系(例えば中枢神経系及び/又は呼吸器系)に関与する様々なインビボ標的に対するものであり得、従って、特定の自己抗体は、自己抗体が向けられる抗原の役割又は機能に基づき、所定のレベルに関して上昇又は低下し得ることが想定される。
【0169】
特に、所定のレベルに関して、疾患の進行及び/又は治療を監視するために使用する場合、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある自己抗体の濃度又は量は、「不変」、「好ましい」(又は「好ましく変化」)又は「「不良」(又は「不利に変化」)の何れかであり得る。一般に、本明細書中に記載のような自己抗体は、ナトリウム利尿ペプチド−特異的心臓生理病理学に関与すると考えられ、いわゆる正常集団に関しては低比率で(例えば約5%未満、特に約0.5%から約5%)上昇し、ヒトナトリウム利尿ペプチド(例えばBNP)の存在に関する試験により陽性となる集団に関してはより高い比率で(約15%未満、特に約10から約15%)上昇するので、殆どの場合、所定のレベルに対するか又は以前に測定された値に対するそれぞれの場合において、「不良な」(「不利に変化」)は、自己抗体量又は濃度の増加又は上昇に対応し、「好ましい」(「好ましく変化」)は、自己抗体量又は濃度の減少又は低下に対応すると考えられる。
【0170】
本明細書中で使用される場合、「上昇」又は「増加」という用語は、典型的な又は正常なレベルもしくは範囲(例えば所定のレベル)よりも高いか又は別の参照レベルもしくは範囲(例えばより初期の又はベースラインの試料)よりも高い試験試料の濃度又は量を指す。「低下」又は「減少」という用語は、典型的又は正常なレベルもしくは範囲(例えば所定のレベル)よりも高いか又は別の参照レベルもしくは範囲(例えばより初期の又はベースラインの試料)よりも高い試験試料中の濃度又は量を指す。「変化する」という用語は、典型的又は正常なレベルもしくは範囲(例えば所定のレベル)を越えて又は別の参照レベルもしくは範囲(例えばより初期の又はベースラインの試料)を越えて変化する(上昇するか又は低下する)試料中の濃度又は量を指す。
【0171】
ナトリウム利尿ペプチド抗原及びそれらとの反応性がある自己抗体に対する典型的又は正常なレベルもしくは範囲は、標準的技法に従い規定される。自己抗体のレベルは、時に非常に低いので、典型的又は正常レベルもしくは範囲又は参照レベルもしくは範囲と比較したとき、実験誤差又は試料変化により説明することができない何らかの純変化がある場合、いわゆるレベル変化又は変化が起こったとみなされ得る。このようにして、特定の試料で測定されたレベルを、いわゆる正常対象からの同様の試料で測定されたレベル又はレベルの範囲と比較する。この文脈において、「正常対象」は、検出可能な心血管系の病態がない個体であり、「正常」(時として「対照」と呼ばれる。)患者又は集団は、検出可能な心血管系病態を呈さない者である。さらに、ナトリウム利尿ペプチドに対する1以上の自己抗体が大多数のヒト集団において通常高いレベルで見出されない場合、「正常対象」は、検体の濃度又は量が実質的に検出可能に増加又は上昇していない個体とみなされ得、「正常」(時として「対照」と呼ばれる。)患者又は集団は、検体の濃度又は量が実質的に検出可能に増加又は上昇していない個体である。「見かけ上正常な対象」とは、自己抗体がまだ評価されていないか又は評価中の個体である。検体が、通常は検出不能であるが(例えば正常レベルが0であるか又は正常集団の約25から約75パーセンタイルの範囲内である。)試験試料中で検出される場合、ならびに正常レベルより高いレベルで試験試料中に検体が存在する場合、検体のレベルが「上昇している」と言われる。
【0172】
既に述べられているように、本明細書中に記載のようなナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体が、心血管系又はナトリウム利尿ペプチドが何らかの機能又は影響を有するその他の主要な器官系(例えば中枢神経系及び/又は呼吸器系)に関与する様々なインビボ標的に向けられ得ると考えられる。従って、とりわけ、本開示は、以下に限定されないが、心筋炎、虚血性心疾患又は心筋症を含む心血管系疾患に罹患しているか罹患するリスクがある対象についてスクリーニングする方法を提供する。これらの実施形態の変形において、心筋症は拡張型心筋症ではない。従って、例えば、本方法は、肥大型心筋症及び/又は拘束型心筋症に罹患しているか又は罹患するリスクがある対象についてスクリーニングするために使用することができる。
【0173】
以下に限定されないが、理学的検査及び/又は例えば心筋炎、虚血性心疾患又は肥大型もしくは拘束型心筋症の鑑別診断を可能にするための病歴の取得を含め、1以上のその他の試験と組み合わせて、本明細書中に記載のような試験方法の何れかを行うことができる。これらの疾患を診断することにおいて使用される様々な試験及びパラメーターは、当業者にとって周知である。さらに、無症候性対象又は心血管系疾患(心血管系自己免疫疾患を含む。)と関与する1以上のリスク因子又はこの症状を有する対象からの試料において、これらの方法の何れかを行うことができる。例えば、対象は、自己免疫疾患、高血圧を有し得るか、又は、肥大型心筋症などの遺伝性心血管系自己免疫疾患を患った又は心血管系機能に有害な影響を与え得る自己免疫疾患(例えば糖尿病、リウマチ性心疾患又は紅斑性狼瘡)を患った近親者(例えば第一度近親者)を有し得る。
【0174】
特定の実施形態において、対象が、ナトリウム利尿ペプチドに対する1以上の自己抗体の好ましくないレベルを有すると判定される場合、その対象は、場合によっては、ミオグロビン、CK−MB(筋肉−脳クレアチンキナーゼ)、BNP(脳ナトリウム利尿ペプチド)、CRP(C反応性タンパク質)、心臓トロポニンI(cTnI)、心臓トロポニンT(cTnT)、血液酸素レベル、心臓イメージング、心電図記録法及び当技術分野で公知の何らかのその他のものなどの心血管系疾患の1以上のさらなる指標について評価される。
【0175】
しかし、このような試験は、ナトリウム利尿ペプチドに対する1以上の自己抗体の好ましくないレベルが以前に検出されたことがない場合でも、場合によっては、行われ得る。例えば、このような1以上の自己抗体が検出されない場合でも、本開示の方法のいずれかを、心血管系疾患に関与する1以上のマーカーの測定によって遂行することもできる。このようなマーカーには、数ある中でも、ナトリウム利尿ペプチド又はその断片(例えば組み合わせ抗原/抗体(Ccombination antigen/antibody)アッセイ又は個別の試験)、ならびに(限定されないが)妊娠関連血漿プロテインA(PAPP−A)、IL−8、IL−10、インターロイキン−18(IL−18/IL−18b)、虚血性修飾アルブミン(ischemic modified albumin、IMA)、ICAM−1(細胞間細胞接着分子−1)、VCAM−I(血管細胞接着分子−1)、脂肪酸結合タンパク質(FABP)、E−セレクチン、P−セレクチン、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、MPO(ミエロペルオキシダーゼ)、LpPLA2(リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2)、GP−BB(グリコーゲンホスホリラーゼアイソザイムBB)、ILIRA、TAFI(トロンビン活性化線維素溶解阻害剤)、可溶性フィブリン、抗oxLDL(酸化低密度リポタンパク質に対する抗体)、MCP−1(単球走化性タンパク質−1)、凝固促進組織因子(TF)、MMP−9(マトリックスメタロプロテイナーゼ9)、Ang−2(アンジオポエチン−2)、bFGF(塩基性繊維芽細胞増殖因子)、VLDL(超低密度リポタンパク質)及びPAI−1(プラスミノーゲン活性因子阻害剤−1)が含まれる。
【0176】
従って、本明細書中に記載の方法はまた、対象が心血管系疾患に罹患しているか又はこれを発現するリスクがあるか否かを判定するために、使用することもできる。具体的には、このような方法は、
(a)(例えば本明細書中に記載の方法又は当技術分野で公知の方法を用いて)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の対象からの試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、所定のレベルと比較する(この場合、所定レベルに関して、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が良好である場合、対象は心血管系疾患に罹患していないか又はそのリスクがないと判定される。)、
段階を含み得る。しかし、段階(a)で定められる、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルに関して好ましくない場合、対象は、心血管系疾患に罹患しているか又はそのリスクがあると判定される。
【0177】
さらに、対象における疾患の進行を監視する方法が本明細書中で提供される。最適には、この方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の、対象からの第一の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の、対象からの第二又はその後の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(c)段階(b)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較する(段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(b)で測定された濃度又は量が不変であるか又は望ましくないとき、対象の疾患は、継続しているか、進行しているか又は悪化していると判定される。)、
段階を含む。ちなみに、段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(b)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が望ましいとき、対象の疾患は、継続していないか、軽減しているか又は改善していると判定される。
【0178】
場合によっては、本方法は、段階(b)又は段階(d)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、所定のレベルと比較することをさらに含む。さらに、場合によっては、本方法は、段階(b)又は段階(d)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルに関して好ましくない方向に変化していることがこの比較により示される場合、しばらくの間、1以上の医薬組成物で対象を治療することを含む。
【0179】
またさらに、本開示の方法は、1以上の医薬組成物で治療を受けている対象において治療を監視するために使用することができる。具体的には、このような方法は、1以上の医薬組成物を対象が投与される前に、対象からの第一の試験試料を提供することを含む。次に、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の、対象からの第一の試験試料中の濃度又は量が、測定される(例えば本明細書中に記載の又は当技術分野で公知の方法を用いて)。ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を測定した後、場合によっては、測定されるヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、所定のレベルと比較する。第一の試験試料中で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルよりも低い場合、対象は1以上の医薬組成物で治療されない。しかし、第一の試験試料中で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルよりも高い場合、対象は、しばらくの間、1以上の医薬組成物で治療される。対象が1以上の医薬組成物で治療される期間は、当業者により決定され得る(例えば、この期間は、約7日間から約2年、好ましくは約14日間から約1年間であり得る。)。
【0180】
1以上の医薬組成物での治療過程中、第二及びその後の試験試料を対象から採取する。試験試料の数及びその試験試料が対象から採取される時間は重要ではない。例えば、第二の試験試料は、対象が1以上の医薬組成物を最初に投与されてから7日後に採取され得、第三の試験試料は、対象が1以上の医薬組成物を最初に投与されてから2週間後に採取され得、第四の試験試料は、対象が1以上の医薬組成物を最初に投与されてから3週間後に採取され得、第五の試験試料は、対象が1以上の医薬組成物を最初に投与されてから4週間後に採取され得る。
【0181】
それぞれ第二又はその後の試験試料を対象から採取した後、第二又はその後の試験試料中のヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を測定する(例えば本明細書中に記載の又は当技術分野で公知の方法を用いて)。ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、これらの第二又はその後の試験試料のそれぞれにおいて測定し、次いで第一の試験試料(例えば、元来、場合によっては、所定のレベルと比較された試験試料)中で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と、比較する。段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(c)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が望ましいとき、対象の疾患は、継続していないか、軽減しているか又は改善していると判定され、対象は、段階(b)の1以上の医薬組成物の投与が継続されるべきである。しかし、段階(a)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(c)で測定された濃度又は量が不変であるか又は望ましくないとき、対象の疾患は、継続しているか、進行しているか又は悪化していると判定され、対象は、段階(b)で対象に投与された1以上の医薬組成物のより高い濃度で治療されるべきであるか又は対象は、段階(b)で対象に投与された1以上の医薬組成物とは異なる1以上の医薬組成物で治療されるべきである。具体的には、対象は、この対象のヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体レベルを減少又は低下させるために対象が既に受けた1以上の医薬組成物とは異なる1以上の医薬組成物で治療され得る。
【0182】
一般に、反復試験が行われ得るアッセイに対して(例えば疾患進行及び/又は治療に対する反応を監視)、第二又はその後の試験試料は、第一の試験試料が対象から採取された後の時点で採取される。具体的には、対象からの第二の試験試料は、第一の試験試料が対象から採取されてから、分、時間、日、週又は年単位の後に採取され得る。例えば、第二の試験試料は、対象からの第一の試験試料が採取されてから、約1分、約5分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約25週間、約26週間、約27週間、約28週間、約29週間、約30週間、約31週間、約32週間、約33週間、約34週間、約35週間、約36週間、約37週間、約38週間、約39週間、約40週間、約41週間、約42週間、約43週間、約44週間、約45週間、約46週間、約47週間、約48週間、約49週間、約50週間、約51週間
、約52週間、約1.5年、約2年、約2.5年、約3.0年、約3.5年、約4.0年、約4.5年、約5.0年、約5.5年、約6.0年、約6.5年、約7.0年、約7.5年、約8.0年、約8.5年、約9.0年、約9.5年又は約10.0年後の時点で対象から採取され得る。疾患進行を監視するために使用される場合、急性疾患に罹患している対象において疾患の進行を監視するために上記アッセイを使用することができる。重症管理状態としても知られている急性期は、心血管系(以下に限定されないが、敗血症ならびに全身性炎症反応症候群を含む。)、中枢神経系及び/又は呼吸器系に関与する、急性の、致命的な疾患又はその他の重篤な医学的状態を指す。通常、重症管理状態は、病院環境での緊急の医学的介入(以下に限定されないが、緊急治療室、集中治療室、外傷センター又はその他の緊急治療環境を含む。)又は救急医療隊員もしくはその他の現場ベースの医療関係者による投与を必要とする状態を指す。重症管理状態の場合、通常、より短い時間枠、即ち、分、時間又は日単位内(例えば約1分、約5分、約10分、約15分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間又は約7日間)で、反復監視が行われ、同様に最初のアッセイは、一般に、より短い時間枠(例えば疾患又は状態の発現から、約分、時間又は日単位内)で行われる。
【0183】
このアッセイはまた、慢性又は非急性期状態に罹患している対象において疾患の進行を監視するために使用することもできる。非救急治療又は非急性期状態は、心血管系、中枢神経系及び/又は呼吸器系を含む、急性の致命的疾患又はその他の重症の医学的状態以外の状態を指す。通常、非急性期状態は、長期間の又は慢性的持続状態のものを含み、例えば眼疾患及び癌を含む。非急性期状態の場合、反復監視は、通常、より長い時間枠で、例えば時間、日、週、月又は年単位で行われ(例えば約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約25週間、約26週間、約27週間、約28週間、約29週間、約30週間、約31週間、約32週間、約33週間、約34週間、約35週間、約36週間、約37週間、約38週間、約39週間、約40週間、約41週間、約42週間、約43週間、約44週間、約45週間、約46週間、約47週間、約48週間、約49週間、約50週間、約51週間、約52週間、約1.5年、約2年、約2.5年、約3.0年、約3.5年、約4.0年、約4.5年、約5.0年、約5.5年、約6.0年、約6.5年、約7.0年、約7.5年、約8.0年、約8.5年、約9.0年、約9.5年又は約10.0年)、同様に最初のアッセイは、より長い時間枠内(通常、疾患又は状態の発現の、例えば約時間、日、月又は年単位)で行われる。
【0184】
さらに、上記のアッセイは、対象から採取された第一の試験試料を用いて行うことができる(第一の試験試料は全血、血清又は血漿である。)。次に、対象から得られる第二の試験試料を用いて、上記アッセイを繰り返すことができる(第二の試験試料は、全血、血清又は血漿以外のもの(例えば尿)である。)。第一の試験試料及び第二の試験試料を用いたアッセイから得られた結果を比較する。対象における疾患状況又は状態を評価するために、この比較を使用することができる。
【0185】
さらに、本開示はまた、疾患(例えば心血管系疾患)に罹患しやすいか又は罹患している対象が治療から利益を得るか否かを判定する方法にも関する。特に、本開示は、ナトリウム利尿ペプチド併用診断法及び製品に関する。従って、「対象での疾患の治療を監視する」方法は、本明細書中に記載のように、さらに最適には、治療のために候補物を選択又は同定することも包含し得る。
【0186】
従って、特定の実施形態において、本開示はまた、心血管系疾患(例えば心血管系自己免疫疾患)を有しているか又はそのリスクがある対象が、治療(例えば免疫抑制療法又は免疫吸着療法又は1以上の医薬組成物での治療)に対する候補であるか否かを判定する方法も提供する。一般に、この対象は、心血管系疾患(例えば心血管系自己免疫疾患)のいくつかの症状を起こしたことがある者又は心血管系疾患(例えば心血管系自己免疫疾患)を有しているか又はそのリスクがあるとして実際に診断されたことがある者及び/又は本明細書中に記載のようなナトリウム利尿ペプチド又はその断片との反応性がある1以上の自己抗体の好ましくない濃度又は量を示す者である。
【0187】
この方法は、場合によっては、本明細書中に記載のようなアッセイを含み、そこで、検体は、1以上の医薬組成物(例えば特にナトリウム利尿ペプチドの作用機構に関連する医薬、例えばBNP、ネシリチド又は何らかのその組み合わせ)での、免疫抑制治療薬での又は免疫吸着療法による対象の治療の前後に評価されるか、又はこのような治療後に検体が評価され、検体の濃度又は量が所定のレベルと比較される。治療後に観察される検体量の望ましくない濃度から、対象がさらなる又は継続的な治療を受けることにより利益を得ないであろうことが確認され;一方で、治療後に観察される検体量の望ましい濃度により、さらなる又は継続的な治療を受けることにより対象が利益を得るであろうことが確認される。この確認は、臨床治験の管理及び患者ケアの改善をもたらすことに役立つ。
【0188】
C.単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体
別の実施形態において、本開示は、単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に関する。本開示の単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体は、プレプロペプチド前駆体ヒトANP自己抗体、プロペプチドヒトANP自己抗体、N末端プロペプチドヒトANP自己抗体、ヒトANP自己抗体、プレプロペプチド前駆体ヒトBNP自己抗体、プロペプチドヒトBNP自己抗体、N末端プロペプチドヒトBNP自己抗体、ヒトBNP自己抗体、ヒトCNP自己抗体、プロペプチドヒトCNP自己抗体又はそれらの何らかの組み合わせであり得る。単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体は、IgG、IgA又はIgM抗体であり得る。好ましくは、単離自己抗体はIgG抗体である。ある実施形態において、単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体は、ヒトプロhBNP自己抗体である。別の実施形態において、単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体はhBNP自己抗体である。
【0189】
本開示の単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体は、当技術分野で公知の通常の技術を用いて得ることができる。例えば、自己抗体は、例えば、ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を含有する混合物からなど、このような自己抗体をそれらの環境から分離することにより得ることができる。このような混合物は、ヒトナトリウム利尿ペプチドでの治療(例えばヒトANPの、あるプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド又はそれらの何らかの組み合わせのうち少なくとも1つでの治療)、ヒトナトリウム利尿ペプチド断片での治療(例えばヒトA型ナトリウム利尿ペプチド断片、ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド断片、ヒトC型ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせのうち少なくとも1つでの治療)又はヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体での治療を受けている対象から得ることができる。あるいは、この混合物は、うっ血性心不全の臨床症状のある対象又はヒトナトリウム利尿ペプチド、ヒトナトリウム利尿ペプチド断片もしくはヒトナトリウム利尿ペプチド誘導体の内在濃度が正常集団に対する臨床的に許容可能な値よりも高い対象から得ることができる。
【0190】
このような自己抗体を含有する混合物は、上記セクションB及び実施例に記載の方法を用いて容易に同定することができる。例えば、実施例は、ナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体のレベルが上昇しているある種の対象集団の同定を記載する。このような混合物は、例えば、対象から血液、血漿又は血清試料を得ることによって、当技術分野で公知の通常の技術を用いて得ることができる。
【0191】
上記で簡潔に述べたように、本開示の自己抗体は、例えば、塩分別(硫酸アンモニウム沈殿など)、免疫沈降、固相での親和性捕捉、ゲル電気泳動、透析又はクロマトグラフィー(プロテインA−セファロースクロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)など、通常の免疫グロブリン手順を用いてそれらの環境から単離することができる。
【0192】
特に、自己抗体の単離及び/又は単離自己抗体、特にヒトプロBNP又はhBNPとの反応性がある自己抗体の同定の確認において、標準的技術を用いて、本明細書中及び次の実施例に記載の特異的結合パートナーを使用することができる。
【0193】
このような単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体が得られたら、自動エドマン分解の使用によるなど、当技術分野で公知の通常技術を用いて、このような抗体のアミノ酸配列を調べることができる。あるいは、Adamczyk、M.、Gebler、J.C、Wu、J.及びYu、Z.、「Complete sequencing of anti−vancomycin fab fragments by liquid chromatography−electrospray ion trap mass spectrometry with a combination of database searching and manual interpretation of the MS/MS spectra」、J Immunol Methods 260、235−49(2002);Adamczyk、M.、Gebler、J.C.及びWu、J.、「Sequencing of anti−thyroxine monoclonal antibody fab fragments by ion trap mass spectrometry」、Rapid Commun Mass Spectrom 14、999−1007(2000);Adamczyk、M.、Gebler、J.C及びWu、J.、「Papain digestion of different mouse IgG subclasses as studied by electrospray mass spectrometry」、J.Immunol Methods 237、95−104(2000);Adamczyk、M.、Gebler、J.C.及びWu、J.、「Profiling of polyclonal antibody light chains by liquid chromatography/electrospray ionization mass spectrometry」、Rapid Commun Mass Spectrom 14、49−51(2000);Adamczyk、M.、Gebler、J.C.及びWu、J.、「A simple method to identify cystein residues by isotopic labeling and ion trap mass spectrometry」、Rapid Commun Mass Spectrom 13、1813−7(1999);及びAdamczyk、M.、Gebler、J.C.及びWu、J.、「Charge derivatization of peptides to simplify their sequencing with an ion trap mass spectrometer」、Rapid Commun Mass Spectrom 13、1413−22(1999)に記載のような、質量分析法及び技術を用いてこのような抗体のアミノ酸配列を決定することができる。
【0194】
自己抗体のアミノ酸配列が決定されたら、当技術分野で公知の通常技術を用いて、このような自己抗体の核酸配列を決定することもできる。このようにして得られる核酸配列は、抗体改変の技術の熟練者にとって周知のようなヒトもしくは非ヒト細胞株又は非ヒト対象において自己抗体又は自己抗体断片を発現させるために使用され得る。
【0195】
さらに、単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体のアミノ酸及び核酸配列が得られたら、様々な固相技術(Roberge J Yら、Science 269:202−204(1995)参照)を用いてアミノ酸及び核酸配列を直接合成することができ、例えば、製造者により提供される説明書に従い、ABI43 1Aペプチド合成装置(Perkin Elmer)を用いて、自動合成を達成し得る。さらに、本明細書中に記載の単離自己抗体から得ることができるアミノ酸配列は、変異配列及び故に変異ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を作製するために、直接合成中に改変され得及び/又はその他のサブユニットからの配列又はその何れかの部分と、化学的方法を用いて組み合わせられ得る。
【0196】
様々な異なる目的のために、本明細書中に記載のヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を使用することができる。例えば、これらの単離自己抗体は、少なくとも1つのヒト抗ナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害することにおいて有用である作用物質を同定するためのスクリーニング法において使用され得る。具体的には、このようなスクリーニング法は、単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を含む混合物を調製することを含む。このような混合物を調製した後、本方法は、同時に又は連続的に何らかの順序でこの混合物に少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片及び試験しようとする少なくとも1つの作用物質(医薬組成物など)を添加することを含む。最終段階は、被験作用物質がヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害するか否かを判定することを含む。このような方法は、一度に多数の作用物質をスクリーニングすることを可能にするために部分的又は完全に自動化され得ることが企図される。ヒトでの心血管系疾患の治療における治療剤候補としてのさらなる試験用途のために、ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害すると判定された作用物質が選択される。さらに、本明細書中に記載の単離自己抗体はまた、心血管系疾患を治療するために使用され得る医薬組成物においても使用することができる。このような医薬組成物は、本明細書中に記載の単離自己抗体及び1以上の医薬的に許容可能な賦形剤を含有する。
【0197】
D.試験試料中の、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を検出するためのアッセイキット
別の実施形態において、本開示は、試験試料中の、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性のある1以上の自己抗体を検出するための試験キットに関する。本キットは、第一の特異的結合パートナーを含有し得る(この第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片である。)。場合によっては、本キットはまた、第二の特異的結合パートナーも含有し得る(この第二の特異的結合パートナーは抗ヒト抗体である。)。本キットはまた、少なくとも1つの検出可能な標識も含有し得る。検出可能な標識は、キットの独立した成分であり得る。あるいは、検出可能な標識は、第一又は第二の特異的結合パートナーに対して結合され得、この形態で本キット中で供給され得る。好ましくは、検出可能な標識は少なくとも1つのアクリジニウム化合物である。本キットが少なくとも1つのアクリジニウム化合物を含有する場合、アクリジニウム化合物は、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキサミド、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル又はそれらの何らかの組み合わせを含み得る。より具体的には、使用することができるアクリジニウム−9−カルボキサミドは、式I:
【0198】
【化11】

で表される構造を有し得る(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され;
さらに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキルの何れも1以上のヘテロ原子を含有し得、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)。
【0199】
さらに、使用することができるアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステルは、式II:
【0200】
【化12】

で表される構造を有し得る(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)。
【0201】
さらに、本キットは、試験試料中でin situで過酸化水素を生成させる手段も含有し得る。試験試料中でin situで過酸化水素を生成させるための手段には、少なくとも1つの過酸化水素生成酵素を添加することが含まれ得る。あるいは、本キットは、少なくとも1つの過酸化水素源を含有し得る。少なくとも1つの過酸化水素源は、過酸化水素を含有することが知られている、1以上の緩衝液又はその他の溶液であり得る。あるいは、本キットは、過酸化水素を含有する溶液を含有し得る。
【0202】
さらに、本キットは、少なくとも1つの塩基性溶液も含有し得る。
【0203】
さらに、本キットは固相も含有し得る。例えば、この固相は、磁性粒子、ビーズ、試験管、マイクロタイタープレート、キュベット、膜、足場分子、フィルム、ろ紙、ディスク及びチップであり得る。
【0204】
また、本キットは、試験試料中のナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する自己抗体を検出及び定量するための1以上の説明書も含有し得る。本キットは、試験試料中の自己抗体を定量する目的ための、自己抗体又は参照基準物を定量する目的のための標準曲線を作成するための説明書も含有し得る。このような説明書は、場合によっては、印刷物の形態又はCD、DVD又は記録媒体のその他の形式のものであり得る。
【0205】
E.本開示の方法及びキットの適応
本開示は、本明細書中に記載のように、例えば米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号に記載のように及び例えばAbbott Laboratories(Abbott Park、IL)(以下に限定されないが、AbbottのARCHITECT(R)、AxSYM、IMX、PRISM及びQuantum II装置を含む。)により市販されているものならびにその他のプラットフォームなど、様々な自動化及び半自動化システム(固相が微粒子を含むものを含む。)における使用にも適応し得る。さらに、本開示は、場合によっては、サンドイッチ免疫アッセイを行うためのAbbott Laboratoriesの市販のPoint of Care(I−STAT(R))電気化学的免疫アッセイシステムに適応可能である。免疫センサー及び、使い捨て試験装置における、それらの製造及び操作の方法は、例えば、米国特許第5,063,081号、米国特許出願第2003/0170881号、米国特許出願第2004/0018577号、米国特許出願第2005/0054078号及び米国特許出願第2006/0160164号(これらは、同上に関するそれらの教示に対して参照によりそれらの全体において組み込まれる。)に記載されている。
【0206】
特に、I−STAT(R)システムへの本自己抗体アッセイの適応に関して、次の構成が好ましい。微細加工シリコンチップは、金アンペロメトリー作用電極及び銀−塩化銀参照電極のペアを用いて製造される。作用電極の一方において、第一の特異的結合パートナー(ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片)が固定化されたポリスチレンビーズ(0.2mm直径)を、電極上のパターン化されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングに接着させる。このチップは、免疫アッセイに適切な流体光学方式でI−STAT(R)カートリッジへと組み立てられる。カートリッジの試料保持チャンバーの壁の一部の上に、アルカリホスファターゼ(又はその他の標識)で標識された第二のナトリウム利尿ペプチド特異的結合パートナーを含む層がある。カートリッジの流体ポーチ内には、P−アミノフェノールホスフェートを含む水性試薬が入る。
【0207】
操作中、ナトリウム利尿ペプチドを含有する疑いがある試料がナトリウム利尿ペプチド試験カートリッジの保持チャンバーに添加され、このカートリッジがI−STAT(R)リーダーに挿入される。第二の特異的結合パートナーを試料中へと溶解させた後、カートリッジ内のポンプ成分により、試料が、チップを含有するコンジットに入れられる。ここで、第一の特異的結合パートナー、ナトリウム利尿ペプチドと、標識した第二の特異的結合パートナーとの間のサンドイッチの形成を促進するために、これを振動させる。アッセイの最後から2番目の段階において、液体をポーチからコンジットに流出させ、試料をチップから洗い流して廃液チャンバーに入れる。このアッセイの最終段階において、アルカリホスファターゼ標識は、p−アミノフェノールホスフェートと反応し、リン酸基を切断し、遊離したP−アミノフェノールが作用電極において電気化学的に酸化されるようになる。測定電流に基づき、読み取り装置は、内蔵アルゴリズム及び出荷時に測定された標準曲線により、試料中のナトリウム利尿ペプチドの量を計算することができる。
【0208】
さらに言うまでもないが、本明細書中に記載のような方法及びキットは、必ず、免疫アッセイを行うための、その他の試薬及び方法を包含する。例えば、当技術分野で公知のもの及び/又は容易に調製され得るか又は、コンジュゲート希釈剤として及び/又は標準物質希釈剤として、例えば洗浄に対して使用されるために最適化され得るものなどの様々な緩衝液が包含される。代表的なコンジュゲート希釈剤は、ある種のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)において使用され、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、その他の塩、タンパク質ブロッカー、抗菌剤及び界面活性剤を含有する、ARCHITECT(R)コンジュゲート希釈剤である。代表的な標準物質希釈剤は、ある種のキット(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)で使用されるARCHITECT(R)ヒト標準物質希釈剤であり、これは、MESを含有する緩衝液、その他の塩、タンパク質ブロッカー及び抗菌剤を含む。さらに、米国特許出願第61/142,048号(2008年12月31日提出)に記載のように、例えば、シグナル増幅物としてシグナル抗体に連結された核酸配列を用いて、I−STAT(R)カートリッジ方式において、シグナル生成が改善され得る。
【0209】
さらに、既に述べられたように、本方法及びキットは、場合によっては、自動化又は半自動化システムでの使用に適応する。非自動化システム(例えばELISA)と比較した場合、自動化又は半自動化システムの間の相違の一部には、第一の特異的結合パートナー(例えば検体抗原又は捕捉抗体)が連結される基質(サンドイッチ形成及び検体反応性に影響を与え得る。)及び、捕捉、検出及び/又は何らかの任意の洗浄段階の長さ及びタイミングが含まれる。ELISAなどの非自動化方式では、試料及び捕捉試薬との温置時間が比較的長い(例えば約2時間)ものであり得る一方で、自動化又は半自動化方式(例えばARCHITECT(R))の温置時間は比較的短いものであり得る(例えばARCHITECT(R)の場合、およそ18分)。同様に、ELISAなどの非自動化方式ではコンジュゲート試薬などの検出抗体が比較的長い時間温置され得る一方で(例えば約2時間)、自動又は半自動化方式(例えばARCHITECT(R))の温置時間は比較的短いものであり得る(例えばARCHITECT(R)の場合、およそ4分)。
【0210】
ここで、例として、限定ではなく、本開示の実施例を与える。
【実施例1】
【0211】
ナトリウム利尿ペプチド被覆マイクロプレートの調製及び特性評価
ヒトBNPの組み換えプロペプチド(BiosPacific、Emeryville、CA、カタログ番号J10710359)をリン酸緩衝液(0.2M、pH8.0)中で溶解させ、2μg/mLの溶液を得た。28rpmで混合しながら、ヒトBNPのプロペプチド溶液(100μL/ウェル)で38℃で2時間、マイクロプレート(Costar(R)、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、カタログ番号3923)を被覆した。このプレートから液体を排出させ、ヒトBNPのプロペプチド溶液を熱不活性化ウシ血清アルブミン(BSA、PBS中で2%w/v、300μL/ウェル)の溶液に交換した。28rpmで混合しながら、このプレートを38℃で1時間温置し、次いで液体を排出させた。次いで、スクロース溶液(PBS中2%w/v、300μL/ウェル)で3回このプレートを洗浄し、液体を排出させ、乾燥窒素流下で乾燥させた。
【0212】
アクリジニウム−9−カルボキサミドで標識されたマウス抗hBNP抗体(Scios Inc.、Mountain View、California、Mab 106.3、100ng/mL)をヒトBNPプロペプチド被覆マイクロプレートに添加し(100μL/ウェル)、プロ−BNP被覆マイクロプレートに添加した、アクリジニウム−9−カルボキサミドで標識されたマウス抗ヒト抗体(200ng/mL)と比較した(100μL/ウェル)。hBNP反応性抗体コンジュゲートにより、抗ヒトIgGコンジュゲートよりも180倍高い反応が得られ(下記、表2参照)、これにより、固体により支持された免疫反応性プロ−BMP面を形成させるための、被覆手順の有効性が明らかとなる。
【0213】
【表2】

【実施例2】
【0214】
ナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある内因性抗体に対するヒト血漿の分析
試料:見かけ上健康な個体(疾患又は疾患の症状が報告されていないという意味)からの凍結ドナー血漿、心臓トロポニン−I(cTnI)陽性血漿試料及びhBNP陽性血漿試料をAbbott Laboratories(Abbott Park、IL)試料バンクから入手して、使用前に2−8℃で凍結融解した。
【0215】
マイクロプレートの調製:実施例1の方法に従い、マイクロプレートを調製した。
【0216】
化学発光検出コンジュゲート:マウス抗ヒトIgG(サブタイプIgG2b、κ)を化学発光アクリジニウム−9−カルボキサミドで標識した。この抗体は、全てのヒトIgGサブタイプを認識したが、一方でヒトIgMもしくはIgA又はウサギ、ヒツジもしくはヤギIgGに対して顕著な反応性がなかった。
【0217】
アッセイプロトコール:マイクロプレートウェル中で、AxS YM(R)トロポニン−I ADV(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)予温置希釈液(90μL)で試料(10μL)を希釈した。37℃での2時間にわたる温置後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液(3x、350μL)でプレートを洗浄した。次に、マウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル−アクリジニウムコンジュゲート(100μL)を添加し、プレートを37℃で1時間温置し、その後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液(3x、350μL)で最後の洗浄を行った。
【0218】
化学発光検出:このマイクロプレートを28℃で平衡化されたMithrasマイクロプレートリーダー(Berthold Technologies Inc、Oak Ridge、TN)に載せた。ARCHITECT(R)プレトリガー溶液(100μL)及びARCHITECT(R)トリガー溶液(100μL)の連続添加後、各ウェルからの化学発光シグナルを2秒間記録した。
【0219】
被験集団に対する一般統計学は下記表3で示す。人口データは分布プロットで与える(図1参照)。示されるように、見かけ上健康なドナー集団の3%(3/97);心臓トロポニン−I陽性集団の1.2%(1/77);及びBNP陽性集団の11.4%(11/96)の、ヒトプロBNP−反応性自己抗体が非常に高レベルである(即ち、RLUmaxが上位四分位点+四分位範囲の1.5倍よりも大きい。)。
【0220】
まとめの統計は下記表3から6で与える。
【0221】
【表3】

【0222】
【表4】

【0223】
【表5】

【0224】
【表6】

【0225】
これらの結果から、驚くべきことに、及び、予想外に、ヒトナトリウム利尿ペプチド(例えばヒトプロBNP)との反応性がある1以上の自己抗体が見かけ上健康な個体で見出されることが確認される。上記で同定されたさらなる傾向から、1以上の自己抗体が、心臓生理病理学の指標であり、心臓生理病理と関与する可能性があることが示唆される。具体的には、高レベルのヒトプロBNP−反応性自己抗体が、見かけ上正常な集団の少数で(見かけ上正常なドナー集団で3%)見られ、比較すると心臓トロポニン−I陽性集団では少なくなっており(1.2%)、比較するとBNP陽性集団では増加している(11.4%)。心臓トロポニン−I及びBNPの両者とも、心血管系疾患に対する承認された生体マーカーである。これらの結果から、ナトリウム利尿ペプチド−反応性自己抗体が心臓の病態に関与し得ることが示唆される。言うまでもなく、これらの予想外の重要な知見は、予後診断、疾患の監視及び治療に対して効果がある。
【実施例3】
【0226】
化学発光マイクロプレート方式における、標準物質としてヒト化キメラ抗体を用いた、プロBNPとの反応性がある内因性抗体に対するヒト血漿及び血清の分析
試料:見かけ上健康な個体(疾患又は疾患の症状が報告されていないという意味)からの血漿又は血清、心臓トロポニン−I(cTnI)陽性試料及びhBNP陽性試料をAbbott Laboratories(Abbott Park、IL)試料バンクから入手して、使用前に2−8℃で凍結融解した。
【0227】
マイクロプレートの調製:実施例1の方法に従い、マイクロプレートを調製した。
【0228】
化学発光検出コンジュゲート:マウス抗ヒトIgG(サブタイプIgG2b、κ)を化学発光アクリジニウム−9−カルボキサミドで標識した。この抗体は、全てのヒトIgGサブタイプを認識したが、一方でヒトIgMもしくはIgA又はウサギ、ヒツジもしくはヤギIgGに対して顕著な反応性がなかった。
【0229】
標準物質:アミノ酸配列VQGSGCFG(配列番号57)を包含するBNPエピトープを認識するヒト−マウスキメラ抗BNP抗体(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)をリン酸緩衝液中で希釈して、24、12、8、5、3及び0μg/mLの濃度とした。この実施例及び次の実施例で使用されるヒト−マウスキメラ抗BNP抗体は、American Type Culture Collection(本明細書中で以後、「A.T.C.C.」と呼ぶ。)、10801 University Blvd.、Manassas、VA 20110−2209に2005年9月20日に寄託され、A.T.C.C.受入番号PTA−6987を割り当てられ、公開出願US20070207152A1及びUS20090123473A1(同上に関するそれらの教示に対して参照により本明細書により組み込まれる。)でさらに記載されている、BNP106.3sc128am1CHO1162−236に対するチャイニーズハムスター卵巣細胞株(チャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞株AM1としても知られる。)から得る。
【0230】
アッセイプロトコール:AxS YM(R)トロポニン−I ADV予温置希釈剤(90μL、Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)で希釈した試料及び標準物質(10μL)をマイクロプレート上に並べた。37℃で2時間温置した後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液(3x、350μL)でこのプレートを洗浄した。次に、マウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル−アクリジニウムコンジュゲート(100μL)を各ウェルに添加し、プレートを37℃で1時間温置し、その後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液(3x、350μL)で最終的な洗浄を行った。
【0231】
化学発光検出:このマイクロプレートを28℃で平衡化されたMithrasマイクロプレートリーダー(Berthold Technologies Inc、Oak Ridge、TN)に載せた。ARCHITECT(R)プレトリガー溶液(100μL)及びARCHITECT(R)トリガー溶液(100μL)の連続添加後、各ウェルからの化学発光シグナルを2秒間記録した。
【0232】
ヒト−マウスキメラ抗プロBNP IgGを用いた典型的な標準曲線を図2で示す。被験集団に対する一般統計学は表7から10で示す。人口データは、BNP抗原に対して非常に高い反応性があった試料を識別するために箱ひげ図で与える(図2)。
【0233】
【表7】

【0234】
【表8】

【0235】
【表9】

【0236】
【表10】

【0237】
示されるように、見かけ上健康なドナー集団の10.1%(20/198);心臓トロポニン−I陽性集団の16.7%(40/239);及びBNP陽性集団の32.4%(35/108)で、ヒトプロBNP−反応性自己抗体が非常に高いレベルである(抗プロBNP IgG濃度での統計的異常値として定義、即ち、RLUmax、2.47μg/mLより大きい。)。
【実施例4】
【0238】
化学発光微粒子/マイクロプレート方式における、標準物質としてヒト化キメラ抗体を用いた、プロBNPとの反応性がある内因性抗体に対するヒト血漿及び血清の分析
試料:見かけ上健康な個体(疾患又は疾患の症状が報告されていないという意味)からの凍結血漿又は血清、心臓トロポニン−I(cTnI)陽性試料及びhBNP陽性試料をAbbott Laboratories試料バンクから入手して、使用前に2−8℃で凍結融解した。
【0239】
マイクロプレート調製:使用されたマイクロプレートは96−ウェルの未処理白色ポリスチレン(Costarカタログ番号3912)であった。
【0240】
磁気分離:Fleximag Jr(Sepherotech Inc、Libertyville、IL、カタログ番号FMJ−1000)を用いて、大量の微粒子の磁気封鎖を行った。Micromag Separator(Sepherotech Inc、Libertyville、IL、カタログ番号MM−S2100)を用いて、アッセイプロトコール中に微粒子の磁気封鎖を行った。洗浄は、上記装置のうち1つを用いて微粒子を封鎖すること、上清液を除去すること及び磁気分離器なしで、それに続く溶液で粒子を再懸濁することから構成された。
【0241】
微粒子の調製:カルボキシ常磁性微粒子(5%固形物、名目上5ミクロン直径、Polymer Laboratories、現在はVarian、Inc.、Essex Road、Church Stretton、Shropshire、UKの一部)を2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸緩衝液(MES、2mL、pH6.2、50mM)中で1%固形物の濃度に希釈し、次いでMES緩衝液(3x、2mL)で洗浄し、最後にMES(2mL)中で再懸濁した。1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(水中11mg/1.129mL 20μL)と20分間混合することによって、粒子を活性化し、次いで洗浄し(MES、2mL)、MES(2mL)中で再懸濁した。リン酸緩衝液(PBS、pH7.2、1.28mg/mL、78μL)中で溶解させた組み換えプロBNP(BiosPacificカタログ番号J10710359)を添加した。60分間混合した後、抗原被覆粒子を磁気的に封鎖し、抗原溶液をPBS中の1%BSAからなるブロッキング溶液(2mL)に交換した。30分間混合した後、粒子をPBS中の1%BSA(3x、2mL)で洗浄し、最後にPBS中の1%BSA(2mL)中で再懸濁した。スクロース(13.6%)及び抗菌剤を含有するMES緩衝液(20mM、pH6.6)中の0.05%固形物となるように保存縣濁液を希釈することにより、微粒子の実施縣濁液を調製した。
【0242】
化学発光検出コンジュゲート:マウス抗ヒトIgG(サブタイプIgG2b、κ)を化学発光アクリジニウム−9−カルボキサミドで標識した。この抗体は、全てのヒトIgGサブタイプを認識したが、一方でヒトIgMもしくはIgA又はウサギ、ヒツジもしくはヤギIgGに対して顕著な反応性がなかった。
【0243】
標準物質:実施例3に記載のように、アミノ酸配列VQGSGCFG(配列番号57)を包含するBNPエピトープを認識する、ヒト−マウスキメラ抗脳ナトリウム利尿抗体(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)を、24、12、8、5、3及び0μg/mLの濃度になるようにリン酸緩衝液中で希釈した。
【0244】
アッセイプロトコール:AxS YM(R)トロポニン−I ADV予温置希釈剤(40μL、Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)及び微粒子の実施縣濁液(40μL)をマイクロプレート上に並べた。次に、試料及び標準物質(20μL)をマイクロプレートに並べた。37℃で18分間温置した後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液(3x、350μL)でこのプレートを洗浄した。次に、マウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル−アクリジニウムコンジュゲート(100μL)を各ウェルに添加し、プレートを37℃で18分間温置し、その後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液(3x、350μL)で最終的な洗浄を行った。
【0245】
化学発光検出:このマイクロプレートを28℃で平衡化されたMithrasマイクロプレートリーダー(Berthold Technologies Inc、Oak Ridge、TN)に載せた。ARCHITECT(R)プレトリガー溶液(100μL)及びARCHITECT(R)トリガー溶液(100μL)の連続添加後、各ウェルからの化学発光シグナルを2秒間記録した。
【0246】
ヒト−マウスキメラ抗プロBNP IgGを用いた典型的な標準曲線を表3で示す。
【実施例5】
【0247】
自動化化学発光微粒子方式における、標準物質としてヒト化キメラ抗体を用いた、プロBNPとの反応性がある内因性抗体に対するヒト血漿及び血清の分析
試料:見かけ上健康な個体(疾患又は疾患の症状が報告されていないという意味)からの凍結血漿又は血清、心臓トロポニン−I(cTnI)陽性試料及びhBNP陽性試料をAbbott Laboratories試料バンクから入手して、使用前に2−8℃で凍結融解した。
【0248】
微粒子の調製:カルボキシ常磁性微粒子(5%固形物、名目上5ミクロン直径、Polymer Laboratories)を2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸緩衝液(MES、2mL、pH6.2、50mM)中で1%固形物の濃度に希釈し、次いでMES緩衝液(3x、2mL)で洗浄し、最後にMES(2mL)中で再懸濁した。1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(水中11mg/1.129mL 20μL)と20分間混合することによって、粒子を活性化し、次いで洗浄し(MES、2mL)、MES(2mL)中で再懸濁した。
【0249】
リン酸緩衝液(PBS、pH7.2、1.28mg/mL、78μL)中で溶解させた組み換えプロBNP(BiosPacificカタログ番号J10710359)を添加した。60分間混合した後、抗原被覆粒子を磁気的に封鎖し、抗原溶液をPBS中の1%BSAからなるブロッキング溶液(2mL)に交換した。30分間混合した後、粒子をPBS中の1%BSA(3x、2mL)で洗浄し、最後にPBS中の1%BSA(2mL)中で再懸濁した。スクロース(13.6%)及び抗菌剤を含有するMES緩衝液(20mM、pH6.6)中で0.05%固形物になるように保存縣濁液を希釈することにより、微粒子の実施縣濁液を調製した。
【0250】
化学発光検出コンジュゲート:マウス抗ヒトIgG(サブタイプIgG2b、κ)を化学発光アクリジニウム−9−カルボキサミドで標識した。この抗体は、全てのヒトIgGサブタイプを認識したが、一方でヒトIgMもしくはIgA又はウサギ、ヒツジもしくはヤギIgGに対して顕著な反応性がなかった。
【0251】
標準物質:実施例3に記載のようにアミノ酸配列VQGSGCFG(配列番号57)を包含するBNPエピトープを認識するヒト−マウスキメラ抗脳ナトリウム利尿抗体(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)をリン酸緩衝液中1%BSA中で希釈して、24、12、6、3、1.5及び0μg/mLの濃度とした。
【0252】
アッセイプロトコール:ARCHITECT I2000分析装置(Abbott Laboratories、Abbott Park、IL)上の、アッセイ特異的希釈剤、微粒子及びコンジュゲート試薬の位置に、AxSYM(R)トロポニン−I ADV予温置希釈剤、微粒子の実施縣濁液及び化学発光検出コンジュゲート溶液をそれぞれ入れた。試料及び標準物質を試料キャリア上に置いた。運転開始後、、各試料又は標準物質(10μL)を連続的に装置上の反応容器にAxSYM(R)トロポニン−IADV予温置希釈剤(50μL)及び微粒子の実施縣濁液(50μL)とともに添加した。18分間温置した後、微粒子を磁気的に封鎖し、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液で洗浄する。次に、マウス抗ヒトIgG特異的モノクローナル−アクリジニウムコンジュゲート(50μL、100ng/mL)を各反応容器に添加し、18分間温置し、その後、ARCHITECT(R)洗浄緩衝液で最終的な洗浄を行った。ARCHITECT(R)プレトリガー溶液及びARCHITECT(R)トリガー溶液の連続添加後に、各反応容器からの化学発光シグナルを記録した。
【0253】
ヒト−マウスキメラ抗プロBNP IgGを用いた典型的な標準曲線を図4(微粒子/マイクロプレート)及び図5(ARCHITECT(R))で示す。
【実施例6】
【0254】
プレプロBNP抗原ペプチドライブラリを用いたプロBNP反応性自己抗体の検出
ストレプトアビジン−被覆マイクロプレート(Reacti−BindTM、Streptavidin;Pierce、RockFord、IL)上でプレプロBNP配列全体(ペプチド長、15アミノ酸;重複、12アミノ酸;PEPscreen(R)、Sigma−Genosys、The Woodlands、TX)を包含するビオチン化ペプチドライブラリ(表11)に対して、実施例2からのプロBNPに対して非常に反応性が高かった試料をスクリーニングした。
【0255】
表11の各ペプチドのアミノ末端はビオチン(Btn)で標識され、ペプチド番号1−40のカルボキシ末端はアミド形態、即ち−CO−NHであり、ペプチド番号41のカルボキシ末端は遊離型のカルボン酸の形態、即ち−CO−OHであった。表11の第四列の配列内番号は、1−133アミノ酸プレプロBNP配列内のペプチドに対するアミノ酸の配列内の番号を指す。通常使用される付番と相応して、遺伝子配列に基づくプレプロBNPのホモサピエンス型に対する配列番号1は、プロセシングされたタンパク質には存在しない位置1のメチオニンを含む。表11の第一列のペプチド番号はまた、図6の横座標におけるものを指す。
【0256】
【表11】




【0257】
従って、表11で示されるペプチド(100μL、1200pmol/mL)をマイクロプレート上に並べ;次にこのマイクロプレートを密封し、周囲温度で1時間温置/混合した。次に、このマイクロプレートをARCHITECT(R)洗浄緩衝液で洗浄し、吸引して乾燥させた。試料(500μL)をAxSYM(R)トロポニン−I ADV 予温置希釈液9.5mLで希釈し、次いでペプチドライブラリとともにマイクロプレートに並べた(100μL/ウェル)。このプレートを密封し、37℃で温置し、28rpmで2時間混合した。その後、このプレートをARCHITECT(R)洗浄緩衝液で洗浄し、実施例2のように化学発光検出を用いて各ペプチドに対する反応を測定した。
【0258】
各試料について、マイクロプレート上に並べられた各ライブラリペプチドに対して、相対的光単位(RLUmax)でピーク出力として化学発光シグナル(S)を記録した。陽性反応を示すためのカットオフ(CO)値は、記録されたシグナルに対して、上位四分位点+四分位範囲の1.5倍以上であるものとして定義した。
【0259】
プロBNP反応性自己抗体の実際のエピトープ不均一性を示すヒストグラムを図6で示すが、とりわけ、プロBNP自己抗体陽性試料の33%が、52KLSELQVEQTSLEPL66(配列番号33)の表11からのアミノ酸配列を有するペプチド18を認識し、27%が、85GIRGHRKMVLYTLRA99(配列番号44)の配列を有するペプチド29を認識し(両者ともNT−プロBNPに属する領域にある。)、一方で陽性試料の17%が、NT−プロBNP及びBNP−32領域と重複する領域中のペプチド30、88GHRKMVLYTLRAPRS102(配列番号45)及びBNP−32領域中のペプチド41、121SSSGLGCKVLRRH133(配列番号56)を認識したことが分かる。
【0260】
当業者にとって当然のことながら、本発明は、目的を遂行し、言及した結果及び長所ならびに本発明において固有の結果及び長所を得るためによく適応する。本明細書中に記載の、分子複合体及び方法、手順、治療、分子、具体的な化合物は、現在、好ましい実施形態の代表であり、典型であって、本開示の範囲を限定するものではない。当業者にとって当然のことながら、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書中で開示される開示に対して様々な置換及び変更がなされ得る。
【0261】
本明細書で言及する全ての特許及び刊行物は、本開示が属する分野において当業者のレベルを示すものである。全ての特許及び刊行物は、各個々の刊行物が具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるように、同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0262】
本明細書中で具体的に開示されない何らかの要素や制限なく、本明細書中に例示的に記載の開示が適切に実施され得る。従って、例えば、本明細書中のいかなる場合も、「含む(comprising)」、「基本的にからなる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という用語は何れも、他の2つの用語の何れかで置き換え得る。使用してきた用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定の用語として使用されず、かかる用語及び表現の使用は、示され記載されている特性又はその一部の何らかの同等物を排除するものではないが、特許請求される本開示の範囲内で様々な変更が可能であることを認識されたい。このように、好ましい実施形態及び任意の特性により本開示を具体的に開示してきたが、本明細書中で開示される概念の、変更及び改変が当業者にとってなされ得、かかる変更及び改変が、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲内にあるとみなされることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性のある1以上の自己抗体を検出するための方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する1以上の自己抗体の存在について評価される試験試料と、検出可能な標識で標識される第一の特異的結合パートナーと、を含む混合物を調製し(ここでこの第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片であり、さらに、1以上の自己抗体及び第一の特異的結合パートナーは、第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体を形成し、);
(b)検出可能な標識により生成されるか又は検出可能な標識から放射されるシグナルを測定する、
段階を含む方法。
【請求項2】
段階(a)での第一の特異的結合パートナーの添加の前又は後に、過酸化水素源を混合物において生成させるか又は混合物に提供し;
光シグナルを生成させるために混合物に塩基性溶液を添加し;
1以上の自己抗体を検出するために、生成される光を測定することによって、段階(b)でのシグナルを測定する、
段階をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項3】
試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を検出するための方法であって、前記方法は、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片に対する1以上の自己抗体の存在について評価される試験試料と、固相に固定される第一の特異的結合パートナーと、を含む混合物を調製し(ここでこの第一の特異的結合パートナーは、ナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片であり、さらに、1以上の自己抗体及び第一の特異的結合パートナーは、固相の第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体を形成し、);
(b)第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体を形成させるために、検出可能な標識で標識される第二の特異的結合パートナーを混合物に添加し(ここでこの第二の特異的結合パートナーは抗ヒト抗体であり、);
(c)検出可能な標識により生成されるか又は検出可能な標識から放出されるシグナルを測定する、
段階を含む方法。
【請求項4】
(1)段階(b)の前に、固相の第一の特異的結合パートナー−自己抗体複合体から、全ての未結合の1以上の自己抗体を除去し、
(2)段階(c)の前に、第一の特異的結合パートナー−1以上の自己抗体−第二の特異的結合パートナー複合体から、全ての未結合の、検出可能な標識で標識される第二の特異的結合パートナーを除去すること、
からなる群から選択されるさらなる段階をさらに含む、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
ナトリウム利尿ペプチドが、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド、ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせである、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
検出可能な標識がアクリジニウム化合物である、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
アクリジニウム化合物が、
(a)式I:
【化1】

で表される構造を有する、アクリジニウム−9−カルボキサミド(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル、オキソアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、オキソアルキル及びカルボキシアルキルからなる群から選択され;
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)であるか;又は
(b)式II:
【化2】

で表される構造を有する、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
(i)段階(b)における、検出可能な標識を含有する第二の特異的結合パートナーの添加の前又は後に、過酸化水素源を混合物中で生成させるか又は混合物に提供し;
(ii)段階(b)の後及び段階(c)の前に、光シグナルを生成させるために混合物に塩基性溶液を添加し;
(iii)1以上の自己抗体を検出するために、生成された光を測定することによって、段階(c)においてシグナルを測定する、
段階をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
検体に対する標準曲線の使用によるか又は参照基準に対する比較によるかの何れかでの、試験試料中の1以上の自己抗体の量に対する段階(c)におけるシグナル量に関する、請求項1から請求項8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
自動化システム又は半自動化システムでの使用に適応している、請求項1から請求項9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
試験試料中の、少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片との反応性がある1以上の自己抗体を検出するためのキットであって、前記キットは、
(a)少なくとも1つのナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片と、
(b)少なくとも1つの検出可能な標識と、
(c)該1以上の自己抗体を検出するための説明書、
を含むキット。
【請求項12】
少なくとも1つの抗ヒト抗体をさらに含む、請求項11に記載のキット。
【請求項13】
ナトリウム利尿ペプチドが、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド、マンバ属ナトリウム利尿ペプチド、ナトリウム利尿ペプチド断片又はそれらの何らかの組み合わせである、請求項11又は請求項12に記載のキット。
【請求項14】
検出可能な標識がアクリジニウム化合物である、請求項11から請求項13の何れか1項に記載のキット。
【請求項15】
アクリジニウム化合物が、
(a)式I:
【化3】

で表される構造を有する、アクリジニウム−9−カルボキサミド(式中、
及びRは、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、オキソアルキル及びカルボキシアルキルからなる群から選択され、
からR15は、それぞれ独立に、水素;アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、オキソアルキル及びカルボキシアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)であるか;又は
(b)式II:
【化4】

で表される構造を有する、アクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル(式中、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルであり;
からR15は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル、アミノ、アミド、アシル、アルコキシル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、ハロゲン化物、ニトロ、シアノ、スルホ、スルホアルキル、カルボキシアルキル及びオキソアルキルからなる群から選択され、
場合によっては、存在するならば、Xは陰イオンである。)である、請求項11から請求項14の何れか1項に記載のキット。
【請求項16】
(d)少なくとも1つの塩基性溶液と、
(e)過酸化水素の源(該源は、過酸化水素の指定量を含有する。)、
をさらに含む、請求項11から請求項15の何れか1項に記載のキット。
【請求項17】
少なくとも1つの抗ヒト抗体をさらに含む、請求項11から請求項16の何れか1項に記載のキット。
【請求項18】
単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体(この自己抗体は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を含む混合物を調製し;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を混合物から単離する、
段階を含むプロセスにより得られる。)。
【請求項19】
抗体がIgG抗体である、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
ヒトBNP自己抗体のプレプロペプチド前駆体、ヒトBNP自己抗体のプロペプチド、BNP自己抗体のN末端プロペプチド及びヒトBNP自己抗体からなる群から選択される単離ヒト自己抗体である、請求項18又は請求項19に記載の抗体。
【請求項21】
単離プロペプチドヒトBNP自己抗体である、請求項18から請求項20の何れか1項に記載の抗体。
【請求項22】
少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する、少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害することにおいて有用な少なくとも1つの作用物質に対してスクリーニングを行う方法であって、前記方法は、
(a)単離ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体を含む混合物を調製し;
(b)少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片及び試験しようとする少なくとも1つの作用物質を混合物に添加し;
(c)作用物質が、ヒトナトリウム利尿ペプチド自己抗体に対する、少なくとも1つのヒトナトリウム利尿ペプチド又はナトリウム利尿ペプチド断片の結合を阻害するか否かを判定する、
段階を含む方法。
【請求項23】
ヒトナトリウム利尿ペプチドアッセイ結果の信頼性を判定する方法であって、前記方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体に対して試験試料をアッセイし;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチドアッセイ結果の信頼性を判定する(ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の試験試料中のレベル上昇があることは、ヒトナトリウム利尿ペプチドの結果が信頼性がないことを示唆する。)、
段階を含む方法。
【請求項24】
対象が、心血管系疾患を発現しているか又はそのリスクを有するか否かを評価する方法であって、前記方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の対象からの試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を所定のレベルと比較する(段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が所定のレベルに関して好ましい場合、対象は、心血管系疾患に罹患していないか又はそのリスクがないと判定され;さらに、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルに関して好ましくない場合、対象は、心血管系疾患に罹患しているか又はそのリスクを有すると判定される。)、
段階を含む方法。
【請求項25】
ヒトナトリウム利尿ペプチドが、ヒトANPのプレプロペプチド前駆体、ヒトANPのプロペプチド、ANPのN末端プロペプチド、ヒトANP、ヒトBNPのプレプロペプチド前駆体、ヒトBNPのプロペプチド、BNPのN末端プロペプチド、ヒトBNP、ヒトCNP、ヒトCNPのプロペプチド又はそれらの何らかの組み合わせである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
対象における疾患の進行を監視する方法であって、前記方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の対象からの第一の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の対象からの第二又はその後の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(c)段階(b)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較する(段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(b)で測定された濃度又は量が不変であるか又は望ましくないとき、対象の疾患は、継続しているか、進行しているか又は悪化していると判定され、
さらに、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(b)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が望ましいとき、対象の疾患は、継続していないか、軽減しているか又は改善していると判定される。)、
段階を含む方法。
【請求項27】
段階(b)又は段階(d)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を所定のレベルと比較することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
比較が、段階(b)又は段階(d)で測定された、ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が、所定のレベルに関して好ましくない方向に変化することを示す場合、しばらくの間、1以上の医薬組成物で対象を治療することをさらに含む、請求項26又は請求項27に記載の方法。
【請求項29】
対象において疾患の治療を監視する方法であって、前記方法は、
(a)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の対象からの第一の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(b)しばらくの間、1以上の医薬組成物で対象を治療し;
(c)ヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の段階(b)での治療後に、対象から得られた第二又はその後の試験試料中の濃度又は量を測定し;
(d)段階(c)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量を、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較する(段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(c)で測定された濃度又は量が不変であるか又は望ましくないとき、対象は、段階(b)において対象に投与される1以上の医薬組成物のより高濃度で治療されるべきであるか又は、対象は、段階(b)で対象に投与される1以上の医薬組成物とは異なる1以上の医薬組成物で治療されるべきであり、
さらに、段階(a)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量と比較した場合に、段階(c)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度又は量が望ましいとき、段階(b)の1以上の医薬組成物が対象に投与され続けるべきである。)、
段階を含む方法。
【請求項30】
段階(a)又は段階(c)で測定されたヒトナトリウム利尿ペプチドとの反応性がある1以上の自己抗体の濃度もしくは量を所定のレベルと比較することをさらに含む、請求項29に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−523053(P2011−523053A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510634(P2011−510634)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/044444
【国際公開番号】WO2009/143098
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】