説明

ナノピンセットユニット取付用治具、その治具を使用したナノピンセットユニットの取り付け方法およびナノピンセットユニット受け渡しホルダ

【課題】 ナノピンセットユニット取り付け作業中のナノピンセット破損を防止することができるナノピンセットユニット取付用治具およびナノピンセットユニットの取り付け方法を提供する。
【解決手段】 ナノピンセット固定板80の押さえ部81の間隔を広げて、ナノピンセットユニット取付用治具60のガイド溝72に、ナノピンセットユニット11を載置する。押さえ部81の間隔を狭め、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に固定する。微小試料ハンドリング装置などにナノピンセットユニット11を装着するには、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に保持したまま行い、装着後、再びナノピンセット固定板80の押さえ部81の間隔を広げて、ナノピンセットユニット取付用治具60からナノピンセットユニット11を外す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノピンセットユニットを所定の装置に取り付けるために使用する治具、その治具を使用したナノピンセットユニットの取り付け方法およびその治具を使用してナノピンセットユニットを取り外すナノピンセットユニット受け渡しホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
微小物質を把持するためのフィンガー体を備えたマイクログリッパーが知られている。このようなマイクログリッパーは、たとえば、下記特許文献1に開示されているように、3次元の油圧駆動型マニピュレータの移動部の先端に固定されて用いられる(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−257926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているものでは、マイクログリッパーをマニピュレータ先端のコネクタに取り付ける際、マイクログリッパーを破損してしまうという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明は、開閉自在な一対のアームと、一対のアームを開閉駆動するアクチュエータと、アクチュエータに所定の駆動信号を出力するための配線を形成した平板状のホルダと、ホルダの配線と駆動信号を制御する制御装置とを接続するためのケーブルとを備えたナノピンセットユニットを所定の装置に取り付けるために使用するナノピンセットユニット取付用治具であって、ナノピンセットユニットを載置してアームを保護する本体部と、載置したナノピンセットユニットのホルダを押さえてナノピンセットユニットを固定する固定板とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のナノピンセットユニット取付用治具において、本体部は平板状であり、本体部には、ナノピンセットユニットのホルダを載置し、ナノピンセットユニットのホルダの厚みと略同じ深さを有する溝が設けられ、固定板は、ばね性を有し、そしてホルダを押さえる押さえ部を備え、押さえ部は固定板のばね性を利用して溝の上方に移動、または溝の上方から退避することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1に記載のナノピンセットユニット取付用治具において、本体部には2つの突起部が設けられ、2つの突起部の内面間の幅は所定の装置にナノピンセットユニットを取り付ける取付部の幅と略同一であることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載のナノピンセットユニット取付用治具において、突起部に傾斜面を備えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、複数のナノピンセットユニットが取り付けられ、請求項3または4に記載のナノピンセットユニット取付用治具を使用して、ナノピンセットユニットを取り外すナノピンセットユニット受け渡しホルダであって、ナノピンセットユニット受け渡しホルダには、第1の凹部が形成され、第1の凹部の奥部にナノピンセットユニットが取り付けられており、第1の凹部の幅はナノピンセットユニット取付用治具の幅より広いことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載のナノピンセットユニット受け渡しホルダにおいて、第1の凹部の奥部に第2の凹部が形成され、第2の凹部の奥部にナノピンセットユニットが取り付けられており、第2の凹部の幅はナノピンセットユニット取付用治具の本体部に設けられた2つの突起部の外側間の幅と略同一であることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、微小試料を把持するナノピンセットユニットであって、ナノピンセットユニット受け渡しホルダに固定されているナノピンセットユニットを、そのナノピンセットユニットを使用する装置へ装着する際に使用されるナノピンセットユニット取付用治具において、ナノピンセットユニット受け渡しホルダから突設するナノピンセットユニットを載置する載置部と、載置部に載置されたナノピンセットユニットを固定する固定部とを備えることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1のナノピンセットユニット取付用治具を使用してナノピンセットユニットを取り付ける方法であって、ナノピンセットユニット受け渡しホルダに固定されているナノピンセットユニットを、ナノピンセットユニットを使用する装置へ取り付ける方法において、ナノピンセットユニット受け渡しホルダから突設するナノピンセットユニットを載置部へ載置させ、載置部に載置されたナノピンセットユニットを載置部に固定し、載置部に固定されているナノピンセットユニットをナノピンセットユニット受け渡しホルダから取り外し、載置部に固定されているナノピンセットユニットを装置に装着し、治具をナノピンセットユニットから取り外すことを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項1のナノピンセットユニット取付用治具を使用してナノピンセットユニットを取り付ける方法であって、ナノピンセットユニット受け渡しホルダに固定されているナノピンセットユニットを、ナノピンセットユニットを使用する装置のアダプタに取り付ける方法において、ナノピンセットユニット受け渡しホルダから突設するナノピンセットユニットを載置部へ載置させ、載置部に載置されたナノピンセットユニットを載置部に固定し、載置部に固定されているナノピンセットユニットをナノピンセットユニット受け渡しホルダから取り外し、載置部に固定されているナノピンセットユニットにアダプタを取り付け、ナノピンセットユニットを載置部から取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ナノピンセットユニットに触れることなく所定の装置にナノピンセットユニットを取り付けることができる。したがって、ナノピンセットユニット取り付け作業中のナノピンセット破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
はじめに、ナノピンセット装置について図を参照しながら説明する。ナノピンセット装置は、ナノピンセットと電源回路を備えており、ナノピンセットユニットと、DC電源およびそのDC電源を制御するコントローラを有するコントローラ装置とから構成される。ナノピンセットユニットは、ナノピンセットユニット取付用治具によって所定の取付部に取り付けられる。ナノピンセットユニットの詳細については後述する。
【0007】
図1は、本発明の実施の形態によるナノピンセット装置全体の概略を示す構成図である。ナノピンセット装置50は、ナノピンセット1と、電源回路2とを備えており、ナノピンセット1は、後述するようにSOI(Silicon on Insulator)ウエハから一体で作製される。SOIウエハは、2枚のSi単結晶板の一方にSiO層を形成し、SiO層を介して貼り合わせたものである。
【0008】
図1に示すように、ナノピンセット1は、一対のアーム3a,3bと、一対の静電アクチュエータ4a,4bと、一対の支持部7a,7bと、一対の連結部8a,8bと、一対のアーム支持部9a,9bと、台座10とを備える。静電アクチュエータ4aには、固定電極5aおよび可動電極6aが設けられ、静電アクチュエータ4bには固定電極5bおよび可動電極6bが設けられている。台座10は、後述するホルダ30に接合され、ホルダ30は、不図示の移動機構に着脱可能に取り付けられ、3次元方向に移動可能であり、これにより、ナノピンセット1全体が3次元方向に移動可能となっている。
【0009】
図2を参照しながら、ナノピンセット1の構造を詳しく説明する。図2は、図1に示すナノピンセット1を拡大して示す平面図である。図2以下では、ナノピンセット1の左右対称に設けられる構成部品については、主として左側についてのみ説明する。固定電極5aおよび可動電極6aは、いずれも櫛歯形状を呈しており、相互に複数の櫛歯が噛み合うように対向載置されている。固定電極5aは台座10に固定されているが、可動電極6aは、細いビーム状の支持部7aによって台座10に弾性的に固定されている。アーム3a,3bは、それぞれ細いビーム状のアーム支持部9a,9bを介して台座10に弾性的に固定されている。アーム3aと可動電極6aとは連結部8aによって連結され、アーム3bと可動電極6bとは連結部8bによって連結されている。
【0010】
図1および図2を参照すると、ナノピンセット1には、左側電極端子2a、左側電極端子2b、左アーム用電極端子2c、右アーム用電極端子2d、右側電極端子2e、右側電極端子2fおよびアース電極端子2gが形成されている。左側電極端子2aは固定電極5aに接続され、左側電極端子2bは可動電極6aに接続され、左アーム用電極端子2cはアーム3aに接続されている。右アーム用電極端子2dはアーム3bに接続され、右側電極端子2eは可動電極6bに接続され、右側電極端子2fは固定電極5bに接続され、アース電極端子2gは台座10に接続されている。これら7つの電極端子2a〜2gと電源回路2の7つの端子2a〜2gとが、対応する符号同士接続されている。
【0011】
左側電極2a,2bの間にはDC電源20aが接続され、右側電極2e,2fの間にはDC電源20bが接続されている。左側電極2a,2b間に直流電圧を印加することにより、固定電極5aと可動電極6aとの間にクーロン力による静電引力を発生させ、可動電極6aを固定電極5aに対して動かすことができる。右側の固定電極5b,可動電極6bについても同様に動作する。200はDC電源20a,20bを制御するコントローラである。上記コントローラ装置は、DC電源20a,20bとコントローラ200とから構成される。
【0012】
左アーム用電極端子2cと右アーム用電極端子2dは、アーム3a,3b間に作用する電気量などを検出するために設けられている。そのため、アーム3a,3bは、それぞれ可動電極6a,6bとは絶縁されている。アース電極端子2gは、台座10が浮遊電極になるのを防ぐために設けられている。また、チップ抵抗R1〜R6は、静電アクチュエータ4a,4bやアーム3a,3bに、外界の電磁波の交番電界によって導線に生じる起電力が印加されないようにする過電圧印加防止のために設けられている。ナノピンセット1では、アーム3a,3bの開閉に必要な電圧は数十ボルトオーダーであるが、電源回路2の配線長さや周囲の環境によっては、上述の交番電界による周期的に変化する起電力が数十ボルトに達することもある。この起電力が静電アクチュエータ4a,4bに印加されると、アーム3a,3bの先端が過度に振動し、互いに接触して破損をもたらしたり、ナノピンセット1の内部で絶縁破壊を引き起こす恐れがある。このような過電圧が印加されるのを防止するため、電源回路2にチップ抵抗R1〜R6を挿入して電流を逃がすようにしている。
【0013】
図3は、図1に示すナノピンセット1が取り付けられるホルダ30を説明する図であり、ナノピンセット1および電源回路2の一部をホルダに設置した状態を示している。図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。ナノピンセット1の台座10が平板状でセラミックスなどの絶縁材料のホルダ30に接合され、ナノピンセット1とホルダ30とは一体化されている。ホルダ30に形成された配線32には、端子2a〜2gが設けられているとともに、チップ抵抗R1〜R6が配設されている。7つの端子2a〜2gは、ナノピンセット1の7つの電極端子2a〜2gとAuの細線31により対応する符号同士が接続されている。この接続箇所には、図4に示すように樹脂51が塗布されており、樹脂51によって保護されている。33a〜33gはホルダ30を貫通するスルーホールであり、各配線32において、スルーホール33a〜33fとチップ抵抗R1〜R6との間に、図4に示すように外部からのケーブル40が取り付けられる。以下、ナノピンセット1とホルダ30とケーブル40とを組合せたものをナノピンセットユニット11と呼ぶ。スルーホール33aとチップ抵抗R1との間のケーブル取付け部およびスルーホール33bとチップ抵抗R2との間のケーブル取付け部は、ケーブル40によりDC電源20a(図1参照)に接続され、スルーホール33eとチップ抵抗R5との間のケーブル取付け部およびスルーホール33fとチップ抵抗R6との間のケーブル取付け部は、DC電源20b(図1参照)に接続されている。ケーブル取付け部とケーブル4の配線とは半田によって接続されている。また、図4に示すように、この接続箇所には樹脂52が塗布され、ケーブル取付け部からケーブル40の配線が外れないように補強されている。チップ抵抗R1〜R6は、ナノピンセット1上に配設することもできるが、アーム3a,3bの先端など重要部分がハンダ付けなどにより汚染されるのを避けるためには、ホルダ30上に設ける方が望ましい。なお、チップ抵抗R1〜R6の代わりにダイオードを用いても同様に過電圧が印加されるのを防止することができる。
【0014】
図5は、図1に示すナノピンセット1の要部を示す平面図である。可動電極6aと固定電極5aとの間に電圧を印加すると、可動電極6aが固定電極5aに対して、図5の右方向(x方向)に動くことにより、アーム3aがx方向に駆動される。電圧印加を解除すると、アーム3aは元の位置、つまり図5に示す位置へ復帰する。右側については動作が反転するだけであり、同様に、可動電極6bが固定電極5bに対して、図中、左方向に動くことにより、アーム3bが左方向に駆動される。したがって、アーム間隔Dを変えることができ、微小物体を把持したり解放することができる。
【0015】
次に、図6〜図14を参照して、SOI基板を用いてナノピンセット1を形成する場合の製造方法について説明する。SOI基板100としては、図6(a)に示すように<110>方位の単結晶シリコンから成るベース層101、SiOから成る絶縁層102、<110>方位の単結晶シリコンから成るシリコン層103が順に積層された基板が用いられる。
【0016】
ナノピンセット1を形成する材料には、SOI基板だけでなく、ガラス基板上に単結晶シリコン層を有する基板、アモルファスシリコン基板、ポリシリコン基板上にSOI層を有する基板なども用いることができる。すなわち、最上層が<110>方位を有するシリコン層103であって、このシリコン層103の下層に絶縁層102が形成されているような層構造を有する基板であれば、ベース層101を多層構造としてもかまわない。
【0017】
SOI基板100の各層の厚さの一例を述べると、シリコン層103は25μm、絶縁層102は1μm、ベース層101は300μmである。また、SOI基板100上で1つのナノピンセット1を形成する領域は、縦、横ともに数mmの矩形状をしている。図6(a)に示す工程では、スパッタリング法や真空蒸着法などにより、厚さ約50nmのアルミ層104をシリコン層103の表面に形成する。
【0018】
次に、図6(b)に示すように、アルミ層104の表面にレジスト層105を約2μmの厚さで形成し、フォトリソグラフィによりレジスト層105を露光・現像することにより、図6(c)に示すレジストパターン105aを形成する。図9は、SOI基板100の斜視図であり、アルミ層104の上面に、アーム3、静電アクチュエータ4等に対応するレジストパターン105aが形成されている。なお、図6(c)は、図9のI−I断面を示したものである。
【0019】
図6(d)に示すように、このレジストパターン105aをマスクとして混酸液によりアルミ層104をエッチングし、シリコン層103を露出させる。その後、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma - Reactive Ion Etching)によりシリコン層103を垂直方向に異方性エッチングする。このエッチングは絶縁層102が露出するまで行われ、エッチング終了後、硫酸・過酸化水素混合液によりレジストパターン105aおよびアルミ層104を除去する(図7(a)参照)。
【0020】
図10は、レジストパターン105aおよびアルミ層104を除去した後のSOI基板100を示す斜視図である。絶縁層102上には、シリコン層103による立体構造体が形成される。その立体構造体は、アーム3を構成する部分103aと、静電アクチュエータ4を構成する部分103bと、電極端子2a〜2fを構成する部分103cと、ガードを構成する部分103dとから成る。なお、ガードは、製造時にアーム3を損傷から防護するものであり、ナノピンセット1の構成部品ではないので、以下、その形成過程については説明を省略する。
【0021】
図7(b)に示すように、露出した絶縁層102およびシリコン層103(103a〜103c)を覆うようにレジスト106を塗布する。レジスト106の塗布厚さは10μm程度とする。その後、フォトリソグラフィによりレジスト106にマスクパターンを転写して現像することにより、図11に示すように、アーム構成部103aの先端部分におけるレジスト106が矩形状に除去されたレジストパターン106aを形成する。そして、レジストパターン106aをマスクとしてICP−RIEや通常のRIEなどを行い、アーム構成部103aの先端部分を所定の形状と寸法に加工する。また、ダイシングなどの機械的な切削加工によりその部分を所定の形状と寸法に加工することも可能である。
【0022】
次に、図7(c)に示すように、SOI基板100を表裏反転させて、スパッタリング法や真空蒸着法によりベース層101の表面にアルミ層107を形成する。アルミ層107の厚さは、約50nmとする。そして、アルミ層107の上にレジスト108を約2μmの厚さに形成した後に、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、そのレジスト108をマスクに用いてアルミ層107を混酸液によりエッチングする(図8(a)参照)。
【0023】
図12は、レジスト108およびアルミ層107の形状を示す斜視図である。図8(a)は、図12のII−II断面を示すものであり、絶縁層102の図示下側(表面側)にはシリコン層103によるアーム部103aの断面が図示されている。レジスト108は、連結部8に対応する部分111や台座10に対応する部分112などが残っており、逆に、アーム3の周辺領域が除去されてベース層101が露出している。
【0024】
その後、ベース層101の上に形成されたレジスト108およびアルミ層107をマスクとして、ベース層101をICP−RIEによりエッチングする。ベース層101は異方性エッチングにより垂直方向にエッチングされ、エッチングは絶縁層102が露出するまで行われる。図8(b)も図12のII−II断面を示すものであり、エッチング終了後に、硫酸・過酸化水素混液によりレジスト108,106およびアルミ層107を除去する。
【0025】
図13は、図8(b)に示すベース層101の裏面側を示す図である。エッチングにより、ベース層101には台座10、連絡部8などが形成される。次いで、台座10上に露出している酸化シリコンから成る絶縁層102を、緩衝フッ化水素溶液を用いてエッチングする。その結果、シリコン層103とベース層101とで挟まれた領域を除いて、絶縁層102が除去される(図8(c)参照)。
【0026】
図14は、ベース層101の表面側を示す斜視図であり、図8(c)は図14のIII−III断面を示したものである。上述したように、シリコン層103とベース層101との間には絶縁層102が介在している。その後、図8(d)に示すように、露出しているベース層101の上および各構造体を構成するシリコン層103の上に、真空蒸着法等によりアルミ等からなる導体膜109を形成する。導体膜109の厚さは500nm以下とする。このようにして、ナノピンセット1が完成するが、把持対象によってはFIBなどの加工装置によりアーム3を追加工しても良い。
【0027】
次に本発明の実施形態のナノピンセットユニット取付用治具について図を参照しながら説明する。
【0028】
図15および図16は、本発明の実施の形態によるナノピンセットユニット取付用治具全体の概略を示す構成図である。ナノピンセットユニット取付用治具60は、本体部70と、ナノピンセット固定板80とを備えている。本体部70は、ジュラルミン、アルミニウム、チタンなどの軽金属、またはプラスチックなどの素材からなる平板状のブロックであり、ナノピンセットユニット取り付け作業中、ナノピンセットユニット11が手などで触れられないようにナノピンセットユニット11を保護する。本体部70のナノピンセットユニット11を載置する箇所に、ガイド突起部71とガイド溝72とが設けられている。ガイド突起部71の先端は切り欠かれて傾斜面71aが形成されている。また、ガイド溝72の深さはホルダ30の厚みと略同じである。
【0029】
ナノピンセット固定板80は、本体部70のガイド溝72に載置されたナノピンセットユニット11を本体部70に固定するものである。ナノピンセット固定板80は、略W字形状のリン青銅などの弾性を有する板であり、2つの先端側にそれぞれ押さえ部81が設けられている。ナノピンセット固定板80は、ねじ61で本体部70に固定される。ナノピンセット固定板80はばね性を有するために、ねじ61を支点に開閉する。図16に示すように、ナノピンセット固定板80の溝82の箇所で、リング63を介在させてねじ62が本体部70に設合されている。リング63の厚みはナノピンセット固定板80の板厚より数10μm程度大きい高さであり、ナノピンセット固定板80の開閉動作を可能としつつ、ねじ62とリング63とでナノピンセット固定板80の先端側が本体部70から浮き上がるのを防止する。
【0030】
ナノピンセット固定板80は、次のようにして本体部70に載置されたナノピンセットユニット11を固定する。図17(a)に示すように、本体部70のガイド溝72にナノピンセットユニット11のホルダ30を載置にあたり、ナノピンセット固定板80の両脇から押圧し、ねじ61による固定箇所を支点として2つの押さえ部81の間隔を広げる。このとき、ナノピンセット固定板80の押さえ部81はガイド溝72の上から退避する。この状態でナノピンセットユニット11のホルダ30をガイド溝72に載置する。これが図17(a)の状態である。ナノピンセット固定板80に対する押圧を止めると、図17(b),(c)に示すように、ナノピンセット固定板80の押さえ部81は、ホルダ30を載置したガイド溝72の上方においてナノピンセットユニット11の樹脂51と樹脂52との間の位置に移動し、ナノピンセット1はナノピンセットユニット取付用治具60に固定される。図17(c)に示されるように、本体部70のガイド溝72の深さはナノピンセットユニット11のホルダ30の厚みと略同一であり、また、ねじ62の頭部によって、ナノピンセット固体板80の先端側が浮き上がるのを防止するため、ナノピンセットユニット11は押さえ部81によって確実に固定される。
【0031】
本発明の実施形態のナノピンセットユニット取付用治具60を使用したナノピンセットユニット取り付け作業を図18を参照して説明する。なお、説明の便宜上、ナノピンセットユニット取付用治具60を簡略化する。
【0032】
取り付け作業を始める前のナノピンセットユニット11は、図18(a)や図19(a),(c)に示すように、ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90にねじ91によって固定されている。すなわち、複数のナノピンセットユニット11は、メーカ出荷時にナノピンセットユニット受け渡しホルダ90に各々装着され、ユーザに納品される。そして、ユーザは、後述する手順にて、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に受け渡し、ナノピンセットユニット取付用治具60を用いて、ナノピンセットユニット11にアダプタ300を装着する。そして、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60から解放し、アダプタ300により、所定の装置にナノピンセットユニット11が取り付けられる。以下、詳細に説明する。
【0033】
ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90について図19を参照して説明する。図19(a)に示すように、ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90には第1凹部92が形成されており、その第1凹部92の奥部には第2凹部93が形成されている。そして、図19(c)に示すように、第2凹部93の奥部にナノピンセットユニット11が取り付けられている。このようにして、ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90には複数のナノピンセットユニット11が取り付けられている。
【0034】
第1凹部92の幅はナノピンセットユニット取付用治具60の幅に比べて広く、第2凹部93の幅は2つのガイド突起部71の外面間の幅と略同じ幅である。図20に矢印で示すように、第1凹部92内にナノピンセットユニット取付用治具60を移動することによって、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に取り付けるときの、ナノピンセットユニット取付用治具60の大まかな位置を決めることができる。
【0035】
図18(b)に示すように、作業員に把持されたナノピンセットユニット取付用治具60の上方に、ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90に取り付けてあるナノピンセットユニット11が位置するようにする。このとき、図17(a)に示すように、ナノピンセット固定板80の押さえ部81の間隔を広げ、図21に示すように、第2凹部93にナノピンセットユニット取付用治具60のガイド突起部71を嵌合する。このように嵌合することによって、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60の所定の位置(例えば、ナノピンセットユニット取付用治具60の中心R1)に精度よく載置することができる。
【0036】
ところで、ナノピンセットユニット取付用治具60に精度よくナノピンセットユニット11を載置するためには、第2凹部93の幅と2つのガイド突起部71の外面間の幅とをできるだけ同じ幅にする必要がある。本発明の実施形態では、嵌合した際、第2凹部93とガイド突起部71との間に50μmのクリアランスが生じるように第2凹部93を形成した。このような小さなクリアランスでは、嵌合した後、ナノピンセットユニット取付用治具60がナノピンセットユニット受け渡しホルダ90から外れない場合がある。そこで、この実施の形態では、ナノピンセットユニット取付治具60のガイド突起部71の先端に傾斜面71aを形成する。第2凹部93に嵌合したナノピンセットユニット取付用治具60が幅方向に動かない場合であっても、図22に示すようにナノピンセットユニット11取付用治具60は上下方向に揺動となる。したがって、ナノピンセットユニット取付用治具60がナノピンセットユニット受け渡しホルダ90から外れない場合は、ナノピンセットユニット取付用治具60を上下方向に動かしながら外すことができる。
【0037】
以上のようにしてナノピンセットユニット取付用治具60の本体部70のガイド溝72内にナノピンセットユニット11のホルダ30を位置決めした状態で、ナノピンセット固定板80への押圧力を解放して図17(b),(c)に示すように、ナノピンセット固定板80の押さえ部81によってナノピンセットユニット取付用治具60にナノピンセットユニット11を固定する。これが、図18(c)に示す状態である。そして、ねじ91を緩め、ナノピンセットユニット11を固定したナノピンセットユニット取付用治具60を矢印方向に移動させててナノピンセットユニット受け渡しホルダ90から外す。
【0038】
これによりナノピンセットユニット11は、ナノピンセットユニット取付用治具60に受け渡される。その後、図18(d)に示すように、ナノピンセットユニット11にアダプタ300を取り付ける。このアダプタ300は、たとえば、微小試料ハンドリング装置にナノピンセットユニット11を取り付けるための部品である。アダプタ300は、割りピン301と、割りピン301に設けられた取付部302とを有する。ナノピンセットユニット11を取付部302の先端のスリットに挟み、ねじ303で固定する。ナノピンセットユニット11の2つのガイド突起部71の内側間の幅は、取付部302の横幅と略同じ幅である。したがって、図23に示すように、ナノピンセットユニット11を取付部302に取り付けるとき、ガイド突起部71間に取付部302を嵌合することによって精度よく、たとえば割りピン301の中心軸R2上にナノピンセットユニット11を取り付けることができる。
【0039】
作業員は、アダプタ300の割りピン301を把持しつつ、ナノピンセットユニット11を取り付けた後、図17(a)に示すようにナノピンセット固定板80の押さえ部81の間隔を広げる。そして、ナノピンセットユニット11からナノピンセットユニット取付用治具60を外し、図18(e)に示すようにアダプタ300にナノピンセットユニット11が取り付けられる。
【0040】
ナノピンセットユニット11が取り付けられたアダプタ300は、図24に示すように支持アーム400に割りピン301を差し込むことによって微小試料ハンドリング装置などの装置に取り付けられる。
【0041】
以上の本発明の実施形態によるナノピンセットユニット取付用治具60およびナノピンセットユニット受け渡しホルダ90は次のような作用効果を奏する。
(1)ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90の凹部92,93にナノピンセットユニット11を装着、保護した状態で、ナノピンセットメーカはナノピンセットユニット11をユーザに納入するようにした。したがって、微小で破損しやすいナノピンセットユニット11の納品が容易となる。
【0042】
(2)ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90に装着されたナノピンセットユニット11を、作業員が把持する治具60に受け渡し、そのナノピンセットユニット11に作業員が取り付け用アダプタ300を装着し、さらに、ナノピンセットユニット取付用治具60を把持しつつ、作業員によりアダプタ300を微小ハンドリング装置などに装着し、その後、ナノピンセットユニット取付用治具60を取り外すようにした。したがって、微小で破損しやすいナノピンセット1に触れることなくナノピンセットユニット11を用いる各種装置にナノピンセットユニット11を装着することができる。その結果、操作性良く、しかもナノピンセット1を破損させることがない。
【0043】
(3)ナノピンセット固定板80はばね性を有する略W字形状であり、略W形状のナノピンセット固定板80の両脇を押圧すると2つの押さえ部81間の間隔が開いてナノピンセットユニット11の固定を解除することができる。つまり、ホルダ30がガイド溝72に載置された後、ナノピンセット固定板80の押さえ部81は、ばね性を利用してホルダ30を載置したガイド溝72の上方に移動し、ナノピンセットユニット11が取り外された後、ナノピンセット固定板80の押さえ部81は、ばね性を利用してホルダを載置されていたガイド溝72の上方に移動する。よって、ナノピンセットユニット11の着脱を容易に行うことができる。したがって、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に固定する際、またはナノピンセットユニット取付用治具60から外す際、誤ってナノピンセットユニット11を破損するおそれが低減する。また、ナノピンセットユニット取り付け作業の作業能率が上がる。
【0044】
(4)ナノピンセットユニット取付用治具60には、ナノピンセットユニット11のホルダ30の厚みと略同じ深さを有するガイド溝72が設けられ、ガイド溝72内に載置されたナノピンセットユニット11をナノピンセット固定板80で押さえて固定するので、確実にナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に固定することができる。
【0045】
(5)ナノピンセット固定板80と略同一の厚みのリング63を挟んで本体部70にねじ込んだねじ62の頭部によってナノピンセット固定板80の先端側が本体部70から浮き上がることを防止するので、確実にナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に固定することができる。
【0046】
(6)2つのガイド突起部71の内側間の幅はアダプタ300の取付部302の幅と略同一としたので、ガイド突起部71間に取付部201を嵌合して取り付けることによって、簡単に精度よくナノピンセットユニット11を取り付けることができる。
【0047】
(7)ナノピンセットユニット取付治具60のガイド突起部71の先端に傾斜面71aを形成したので、ナノピンセットユニット取付治具60をナノピンセットユニット受け渡しホルダ90に嵌合した後、ナノピンセットユニット取付用治具60が外れない場合であっても、上下方向にナノピンセットユニット取付用治具60は動かすことができるので、上下方向に動かしながらナノピンセットユニット取付用治具60をナノピンセットユニット受け渡しホルダ90から外すことができる。
【0048】
(8)ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90には、第1凹部92が形成され、第1凹部92の奥部にナノピンセットユニット11が取り付けられている。第1凹部92の幅はナノピンセットユニット取付用治具60の幅より広いので、第1の凹部92内にナノピンセットユニット取付用治具60を移動することによって、ナノピンセットユニット11をナノピンセットユニット取付用治具60に取り付けるための大まかなナノピンセットユニット取付用治具60の位置決めをすることができる。
【0049】
(9)ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90には、第1凹部92と第2凹部93とが形成され、第1凹部92の奥部に第2凹部93が形成され、第2凹部93の奥部にナノピンセットユニット11が取り付けられている。第2凹部93の幅はナノピンセットユニット取付用治具60の本体部70に設けられた2つのガイド突起部71の外側間の幅と略同一であるので、第2凹部93にガイド突起部71を嵌合することによってナノピンセットユニット取付用治具60の所定の位置に簡単に精度よくナノピンセットユニット11を載置することができる。
【0050】
上述の説明では、ナノピンセットユニット取付用治具60に受け渡されたナノピンセットユニット11にアダプタ300を取付け、このアダプタ300を介して微小ハンドリング装置などへナノピンセットユニット11を装着するようにした。しかし、アダプタ300を介在させず、ナノピンセットユニット取付用治具60に受け渡したナノピンセットユニット11を直接、微小ハンドリング装置などへ装着してもよい。
【0051】
本発明によるナノピンセットユニット取付用治具60は、ナノピンセットメーカからユーザへ納品する際、ナノピンセットユニット11の取扱性と破損防止のためにナノピンセットユニット受け渡しホルダ90に固定されているナノピンセットユニット11の受け渡し用あるいは取付用治具である。すなわち、このナノピンセットユニット取付用治具60は、ナノピンセットユニット受け渡しホルダ90から突設するナノピンセットユニット11を載置する載置部と、載置部に載置されたナノピンセットユニット11を固定する固定部とを備えるものであれば、種々の形態、形状、形式のものでもよい。したがって、本発明による治具が対象とするナノピンセットユニット11は、上述したものに限定されない。すなわち、一対の開閉アームと、アーム駆動アクチュエータとを有するナノピンセットを備えたナノピンセットユニット11であれば種々のものが対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態に係るナノピンセットユニット取付用治具で取り付けるナノピンセットユニットのナノピンセット装置全体の概略を示す構成図である。
【図2】図1に示すナノピンセットを拡大して示す平面図である。
【図3】図1に示すナノピンセットおよび電源回路の一部をホルダに設置した状態を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
【図4】ナノピンセットユニットを説明するための図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。
【図5】図1に示すナノピンセットの要部を示す平面図である。
【図6】実施の形態に係るナノピンセットの製造工程を説明する図であり、図6(a)〜図6(d)の順に工程が進む。
【図7】図6に続く工程を示す図であり、図7(a)〜図7(c)の順に工程が進む。
【図8】図7に続く工程を示す図であり、図8(a)〜図8(d)の順に工程が進む。
【図9】図6(c)に示すSOI基板100の斜視図である。
【図10】図9に示すレジストパターン105aおよびアルミ層104を除去した後のSOI基板100の斜視図である。
【図11】レジストパターン106aの形状を示すSOI基板100の斜視図である。
【図12】図8(a)に示すレジストパターン108およびアルミ層107の形状を示すSOI基板100の斜視図である。
【図13】図8(b)に示すベース層101の裏面側を示すSOI基板100の斜視図である。
【図14】図8(c)に示すベース層101の表面側を示すSOI基板100の斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態によるナノピンセットユニット取付用治具全体の概略を示す構成図であり、図15(a)は平面図、図15(b)は側面図である。
【図16】図15のナノピンセットユニット取付用治具の分解図である。
【図17】ナノピンセットユニット取付用治具の固定板によってナノピンセットユニットを固定する操作を説明するための図である。図17(a)はナノピンセットユニットをナノピンセットユニット取付用治具に載置したときの状態を説明するための図であり、図17(b)は載置したナノピンセットユニットを固定板によって固定したときの状態を説明するための図であり、図17(c)は図17(b)のナノピンセットユニット取付用治具のC−C’間の断面図である。
【図18】実施の形態に係るナノピンセットユニット取付用治具によるナノピンセットユニットの取付操作を説明する図であり、図18(a)〜図18(e)の順に操作が進む。
【図19】実施の形態に係るナノピンセットユニット受け渡しホルダを説明するための図である。図19(a)は平面図、図19(b)は側面図である。図19(c)は、ナノピンセットユニット受け渡しホルダのナノピンセットユニット取付部を説明するための図である。
【図20】ナノピンセットユニット受け渡しホルダのナノピンセットユニットをナノピンセットユニット取付用治具にセットする操作を説明するための図である。
【図21】ナノピンセットユニット受け渡しホルダに取り付けてあるナノピンセットユニットをナノピンセットユニット取付用治具にセットした状態を説明するための図である。
【図22】ナノピンセットユニット取付用治具のガイド突起部に形成された傾斜面の効果を説明するための図である。
【図23】ナノピンセットユニット取付用治具を使用してアダプタにナノピンセットユニットを取り付けた状態を説明するための図である。
【図24】ナノピンセットユニットが取り付けられたアダプタ300の微小試料ハンドリング装置の取り付けを説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1:ナノピンセット 2:電源回路
3a,3b:アーム 4a,4b:静電アクチュエータ
5a,5b:固定電極 6a,6b:可動電極
7a,7b:支持部 8a,8b:連結部
9a,9b:アーム支持部 10:台座
11:ナノピンセットユニット 30:ホルダ
32:プリント配線 40:ケーブル
50:ナノピンセット装置 51,52:樹脂
60:ナノピンセットユニット取付用治具
61,62,91,303:ねじ 63:リング
70:本体部 71:ガイド突起部
71a:傾斜面 72:ガイド溝
80:固定板 81:押さえ部
90:ナノピンセットユニット受け渡しホルダ
91:第1凹部 92:第2凹部
100:SOIウエハ 101:ベース層
102:絶縁層 103:シリコン層
200:コントローラ 300:アダプタ
301:割りピン 302:取付部
400:支持アーム R1〜R6:チップ抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な一対のアームと、
前記一対のアームを開閉駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータに所定の駆動信号を出力するための配線を形成した平板状のホルダと、
前記ホルダの配線と前記駆動信号を制御する制御装置とを接続するためのケーブルとを備えたナノピンセットユニットを所定の装置に取り付けるために使用するナノピンセットユニット取付用治具であって、
前記ナノピンセットユニットを載置して前記アームを保護する本体部と、
前記載置したナノピンセットユニットのホルダを押さえて前記ナノピンセットユニットを固定する固定板とを備えることを特徴とするナノピンセットユニット取付用治具。
【請求項2】
請求項1に記載のナノピンセットユニット取付用治具において、
前記本体部は平板状であり、前記本体部には、前記ナノピンセットユニットのホルダを載置し、前記ナノピンセットユニットのホルダの厚みと略同じ深さを有する溝が設けられ、
前記固定板は、ばね性を有し、そして前記ホルダを押さえる押さえ部を備え、
前記押さえ部は前記固定板のばね性を利用して前記溝の上方に移動、または前記溝の上方から退避することを特徴とするナノピンセットユニット取付用治具。
【請求項3】
請求項1に記載のナノピンセットユニット取付用治具において、
前記本体部には2つの突起部が設けられ、
前記2つの突起部の内面間の幅は前記所定の装置に前記ナノピンセットユニットを取り付ける取付部の幅と略同一であることを特徴とするナノピンセットユニット取付用治具。
【請求項4】
請求項3に記載のナノピンセットユニット取付用治具において、
前記突起部に傾斜面を備えることを特徴とするナノピンセットユニット取付用治具。
【請求項5】
複数のナノピンセットユニットが取り付けられ、
請求項3または4に記載のナノピンセットユニット取付用治具を使用して、前記ナノピンセットユニットを取り外すナノピンセットユニット受け渡しホルダであって、
前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダには、第1の凹部が形成され、
前記第1の凹部の奥部に前記ナノピンセットユニットが取り付けられており、
前記第1の凹部の幅は前記ナノピンセットユニット取付用治具の幅より広いことを特徴とするナノピンセットユニット受け渡しホルダ。
【請求項6】
請求項5に記載のナノピンセットユニット受け渡しホルダにおいて、
前記第1の凹部の奥部に前記第2の凹部が形成され、
前記第2の凹部の奥部に前記ナノピンセットユニットが取り付けられており、
前記第2の凹部の幅は前記ナノピンセットユニット取付用治具の本体部に設けられた2つの突起部の外側間の幅と略同一であることを特徴とするナノピンセットユニット受け渡しホルダ。
【請求項7】
微小試料を把持するナノピンセットユニットであって、ナノピンセットユニット受け渡しホルダに固定されているナノピンセットユニットを、そのナノピンセットユニットを使用する装置へ装着する際に使用されるナノピンセットユニット取付用治具において、
前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダから突設するナノピンセットユニットを載置する載置部と、
前記載置部に載置されたナノピンセットユニットを固定する固定部とを備えることを特徴とするナノピンセットユニット取付用治具。
【請求項8】
請求項1のナノピンセットユニット取付用治具を使用してナノピンセットユニットを取り付ける方法であって、前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダに固定されているナノピンセットユニットを、ナノピンセットユニットを使用する装置へ取り付ける方法において、
前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダから突設するナノピンセットユニットを前記載置部へ載置させ、
前記載置部に載置されたナノピンセットユニットを前記載置部に固定し、
前記載置部に固定されている前記ナノピンセットユニットを前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダから取り外し、
前記載置部に固定されている前記ナノピンセットを前記装置に装着し、
前記治具を前記ナノピンセットユニットから取り外すことを特徴とするナノピンセットユニットの取付方法。
【請求項9】
請求項1のナノピンセットユニット取付用治具を使用してナノピンセットユニットを取り付ける方法であって、前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダに固定されているナノピンセットユニットを、ナノピンセットユニットを使用する装置のアダプタに取り付ける方法において、
前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダから突設するナノピンセットユニットを前記載置部へ載置させ、
前記載置部に載置されたナノピンセットユニットを前記載置部に固定し、
前記載置部に固定されている前記ナノピンセットユニットを前記ナノピンセットユニット受け渡しホルダから取り外し、
前記載置部に固定されている前記ナノピンセットユニットに前記アダプタを取り付け、
前記ナノピンセットユニットを前記載置部から取り外すことを特徴とするナノピンセットユニットの取付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2007−69322(P2007−69322A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260454(P2005−260454)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)