ナノワイヤ及びナノワイヤを製造する方法
本発明は、セグメント化ナノワイヤの製造、及び該セグメント化ナノワイヤを備える構成要素の製造に関する。ナノワイヤ構造体を製造するために、好ましくはナノワイヤの電気化学的堆積をナノ細孔内で行うテンプレートベースの方法を使用する。したがって、テンプレートフィルム内に多数のナノワイヤが生じる。ナノワイヤの電気化学的堆積では、交互に連続する陰極堆積パルス及び陽極逆パルスを用いる反転パルス方法を実施する。それによって、セグメント化ナノワイヤを製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別な構造を有するナノワイヤ、該ナノワイヤを製造する方法、及び該ナノワイヤから成る構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
K. Jaehnisch他は、非特許文献1において、化学反応及び分析目的に対するマイクロ構造部品の利点を実証した。これによって、化学合成及び分析に対するこのようなシステムの重要性が増した。従来のリアクタと比較して、これらのマイクロ構造リアクタは、非常に大きな面積・体積比を有し、これは、熱交換性能及び物質輸送の進展に有利な影響を及ぼす(非特許文献2を参照されたい)。
【0003】
マイクロ構造リアクタにおいては、既に多数の既知の反応が実施されており、特に多数の触媒反応も実施されている。ここで、液相反応であるか、気相反応であるか、又は気液相反応であるかは重要ではない。触媒の潜在活性の利用を可能にするために、触媒材料は、様々な幾何形状を有するマイクロ構造システムに一体化される。最も単純な場合を前提とすると、マイクロリアクタを構成するために使用されるリアクタ材料はそれ自体で、触媒活性物質から成る(非特許文献3を参照されたい)。しかしながら、これは、触媒表面をリアクタ壁に限定してしまう。この欠点は部分的に、最適化されている触媒/担体システムによって回避される。大抵の場合、今日のマイクロ構造リアクタは、チャネル内に入れられている小さな粒子又は粉末を含む。
【0004】
しかしながら、触媒繊維、触媒ワイヤ、及び触媒膜も使用される(非特許文献4)。金属ナノ構造体、特に貴金属から成る金属ナノ構造体は、面積と質量との比が大きいことに起因して(これは製造コストがわずかであることに関連している)、不均一触媒において既知である(非特許文献5を参照されたい)。
【0005】
元来、ナノ化学における研究は、等方性金属粒子の調査に集中してきた。したがって、その触媒特性はよく研究されている。しかしながら、今日まで、多数の1次元ナノ構造体も、不均一触媒における使用を考慮した上で分析されてきた。しかし、その固定化は大きな問題である。非特許文献6から、ナノ構造体を担体上に設けるか、又は、たとえばナフィオンのような多孔性材料内に入れることが既知であるが、これは、利用可能な触媒表面を強制的に排除することになる。さらに、拡散プロセスに起因して、触媒活性は触媒材料の分布に依存することに注意する必要がある。したがって、ナノ粒子は確かに表面・体積比を劇的に増大させるが、以下の理由から、このようなリアクタの長期間安定性は比較的低くなってしまう。
1.担体の腐食に起因するナノ粒子の接触の損失
2.溶解及び再度の堆積又はオストワルト熟成
3.表面エネルギーを最小化するためのナノ粒子の凝集
4.ナノ粒子の溶解及び水溶性イオンの移動
【0006】
平行に方向付けられているワイヤアレイ及び管アレイは既に、グルコースセンサとして(非特許文献7)、電極触媒として、たとえばアルコール酸化(非特許文献8)及び水素過酸化物還元(非特許文献9)において使用されている。
【0007】
Nielsch他は、非特許文献10において、薄い金属膜からの堆積のためにパルス(gepulste: pulsed)堆積を使用することを報告している。しかしながら、全体的に見れば、ナノ技術の分野においては、さらなる大きな革新の可能性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Chemistry in Microstructured Reactors」(Ang. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 406-446)
【非特許文献2】O. Woerz他著「Microreactors - a New Efficient Tool for Reactor Development」(Chem. Eng. Technol. 2001, 24, 138-142)
【非特許文献3】M. Fichtner著「Microstructured Rhodium Catalysts for the Partial Oxidation of Methane to Syngas under Pressure」(Ind. Eng. Chem. Res . 2001, 40, 3475-3483)
【非特許文献4】G. Veser著「Experimental and Theoretical Investigation of H2 Oxidation in a High-Temperature Catalytic Microreactor」(Chem. Eng. Sei. 2001, 56, 1265-1273)
【非特許文献5】R. Narayanan他著「Catalysis with Transition Metal Nanoparticles in Colloidal Solution: Nanoparticle Shape Dependence and Stability」(J. Chem. Phys. B, 2005, 109, 12663-12676)
【非特許文献6】Z. Chen他「Supportless Pt and PtPd Nanotubes as Electrocatalysts for Oxygen-Reduction Reactions」(Angew. Chem. 2007, 119, S. 4138-4141)
【非特許文献7】J. H. Yuan他著「Highly ordered Platinum-Nanotubule Arrays for Amperometric Glucose Sensing」(Adv. Funct . Mater 2005, 15, 803)
【非特許文献8】H. Wang他著「Pd nanowire arrays as electrocatalysts for ethanol electrooxidation」(Electrochem. Commun. 2007, 9, 1212-1216)
【非特許文献9】H. M. Zhang他「novel electrocatalytic activity in layered Ni-Cu nanowire arrays」(Chem. Commun. 2003, 3022)
【非特許文献10】「Uniform Nickel Deposition into ordered Alumina pores by pulsed electrodeposition」(Adv. Mater. 2000, 12, 582-586)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、比表面積が大きいナノワイヤ又はナノワイヤ構造体を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる課題は、広範囲に使用可能であるナノワイヤ又はナノワイヤ構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利なさらなる構成は、従属請求項において規定されている。
【0012】
本発明によれば、テンプレートベースの方法によって、多数のナノワイヤを製造する。この場合、多数のナノ細孔を有するテンプレートを用意する。該ナノ細孔はテンプレート、特にテンプレートフィルムを貫通する。テンプレートは、該テンプレートの第1の面において陰極層を備える。
【0013】
このために、第1のテンプレートフィルムの第1の面上に、陰極層、好ましくは金属層を堆積する。陰極層は一体的に堆積することができ、たとえばPVD、蒸着、又はスパッタリングによって施すことができる。ただし、好ましくは、陰極層は少なくとも2層で生成される。このために、第1の部分層を、たとえばPVD、スパッタリング、又は蒸着によって堆積し、この第1の部分層を、電気化学的堆積を用いて、場合によっては別の材料から成る第2の部分層によって補強する。たとえば、まず、薄い金属層、たとえば金層をスパッタリングし、その後、この金層を電気化学的に、たとえば銅層によって補強する。これは、最初に比較的薄い層をスパッタリングすることができ、コスト効率を良くすることができるという利点を有する。
【0014】
好ましくは、通常のプラスチックフィルム、特にポリマーフィルムに、エネルギー放射、特に高エネルギーイオンを照射することによって、ナノ細孔が混じっているテンプレートを製造する。たとえば、数MeV/u〜数百MeV/uのエネルギーで、ポリカーボネートフィルムにイオンを照射する。ここで、イオンのエネルギーは、イオンがテンプレートフィルムを完全に横断するように選択する。イオンのエネルギーはしたがって、照射されるフィルムの厚さに依存し、対応して選択される。このような高エネルギーイオンビームは、たとえば、ダルムシュタット所在の重イオン研究所のシンクロトロンにおいて得るこができる。照射によって、テンプレートを貫通する多数のトラックが生じる。トラックは、フィルムの分子構造、たとえばポリマー構造が、個別の各照射イオンの軌道に沿って破壊されることを特徴とする。これらのトラックを「潜在トラック」と呼ぶ。破損はトラック中心部(Spurkern; track core)において最大であり、1/r2で低減する。エッチング技法によって、破壊された分子構造を有する材料をトラックから除去して、潜在トラックをエッチングして、開いたチャネルを形成することができる。チャネルは、数ナノメートルまでの直径で製造することができ、ナノ細孔と呼ぶ。ここで、潜在トラック、ひいては後に生成されるナノ細孔は、テンプレート表面の平面に関して確率的に分布している。
【0015】
続いて、ナノ細孔内において、導電性材料、特に金属の電気化学的堆積によって、ナノワイヤを堆積、すなわち「成長」させる。ここで、ナノワイヤは、ナノ細孔内部で、テンプレートの第1の面において陰極層上で成長する。陰極層は、ナノ細孔内でのナノワイヤの堆積の前に、テンプレートフィルム上で堆積される。これは、イオン照射の前に、イオン照射とナノ細孔を生成するためのエッチングとの間で、又は、ナノ細孔を生成するためのエッチングの後で実施することができる。
【0016】
この種のナノワイヤ製造では、したがって、陰極層の内側から開始して、ナノ細孔を、電気化学的堆積を用いて満たす。ここで、ナノワイヤがナノ細孔内で成長する。ナノワイヤの成長プロセスは陰極層において開始し、ナノワイヤは、ナノ細孔の内部で、陰極層からテンプレートフィルムの対向する面まで成長する。このために、ナノ細孔によって貫通されており且つ片側が伝導的に被覆されている誘電性テンプレートフィルムを電気化学的堆積装置内に設置する。そして、金属イオンの電気化学的堆積を用いて、ナノワイヤをナノ細孔内で成長させる。ナノ細孔内部の金属から成るナノワイヤは、特に直接的に陰極層上で成長する。ここで、ナノワイヤは陰極層と固く一体化する。
【0017】
ナノワイヤ生成のこのような方法は基本的に既知である。たとえば、T. W. Cornelius 他著「Controlled fabrication of poly- and single-crystalline bismuth nanowires」(Nanotechnology 2005, 16, S. 246-249)、並びに、Thomas Walter Corneliusの論文(GSI, 2006)、Florian Maurerの論文(GSI, 2007)、及びShafgat Karimの論文(GSI, 2007)を参照されたい。なお、これらは本明細書に参照により援用される。ただし、これらの方法では、一様なナノワイヤのみが得られる。
【0018】
本発明者らは、適切なパラメータを用いて、パルス化して、より詳細には反転パルス方法で電気化学的堆積を行う場合、特別に構造化されたナノワイヤを製造することができることを発見した。反転パルス方法では、時間的に交互に連続して生じる、陰極堆積パルス及び陰極堆積パルス間の陽極逆パルスをテンプレートフィルム又は陰極層に印加する。陰極堆積パルスの期間中、陽極に関して、負の電圧が陰極層に印加される。それによって、各陰極堆積パルスの期間中、ナノワイヤは常に、各陰極堆積パルスの期間に依存する長さ、及びナノ細孔の直径によって規定される第1の直径の分だけナノ細孔内で成長する。陰極堆積パルスの期間中では、対応するセグメントが、ナノ細孔を半径方向において完全に塞ぐ。陰極堆積パルス間では、それぞれ時間的空白が設けられる。反転パルス方法では、この空白において、陽極逆パルスとして逆電圧を印加する。逆パルスの期間中、陰極層には正の電圧が、陽極には負の電圧が印加されているが、それでも、「陰極層」及び「陽極」という呼称は意味を持って使用されていることは当業者には明らかである。驚くべきことに、陽極逆パルスの期間中では、ナノワイヤ成長が単純に停止するといったことは明らかに起きず、代わりに、より小さい直径を有するセグメントがナノワイヤにおいて生じることが明らかになった。該直径は、各ナノ細孔を半径方向に完全に塞がず、より小さいものである。したがって、陰極堆積パルス間の陽極逆パルスの期間中では、ナノワイヤは常に、各陽極逆パルスの期間に依存する長さ、及び第2の直径の分だけナノ細孔内で成長する。ここで、第2の直径は第1の直径よりも小さい。したがって、それによって、ナノワイヤの長さに沿って厚いセグメントと薄いセグメントとが交互に連続するセグメント化ナノワイヤを生成することができる。この後、テンプレートフィルムを溶解及び除去する。ポリマーフィルムの場合は適切な溶媒を使用する。それによって、セグメント化ナノワイヤが露出する。
【0019】
陽極逆パルスが陰極層からの正の電流フローをもたらす場合に、セグメント形成が成功すると考えられる。陰極層と陽極との間に電流フローが存在しない点を、平衡電圧(Gleichgewichtsspannung: equilibrium voltage)と呼ぶ。平衡電圧は、特に、材料及び電解質の濃度に依存し、場合によっては、さらに、温度に依存する。当業者は、平衡電圧を各堆積システムに関して求めることができる。
【0020】
陰極堆積パルスとは、本明細書においては、陽極から陰極層の方向に正の電流フローをもたらすために、陽極に関して、平衡電圧よりも負である電圧を陰極層に印加する電圧パルスを意味する。
【0021】
陽極逆パルスとは、本明細書においては、陰極層から陽極の方向に正の電流フローをもたらすために、陽極に関して、平衡電圧よりも正である電圧を陰極層に印加する電圧パルスを意味する。
【0022】
実施例において使用した堆積パラメータでは、陽極に関して陰極層の平衡電圧は約−400mVであった。その結果、+400mVの電圧が陰極層に印加される場合、陰極に関して、平衡電圧に対して相対的な+800の相対電圧で陽極逆パルスは調整される。
【0023】
陽極逆パルスは好ましくは、平衡電圧に対して相対的な特定の正の最小電圧を有し、それによって、所望の効果を達成する。平衡電圧に対して相対的な陰極層への正の相対電圧はしたがって、好ましくは少なくとも+100mV、さらに好ましくは少なくとも+400mV、特に好ましくは+800mV±400mVである。陰極層と陽極との間の平衡電圧が−400mVの場合、これは、少なくとも−300mVよりも正の、さらに好ましくは0mVよりも正の、特に好ましくは+400mV±400mVの絶対電圧を意味する。
【0024】
したがって、上述した方法によって、セグメント化ナノワイヤを製造することができる。該セグメント化ナノワイヤでは、第1の直径を有する第1のセグメントと第2の直径を有する第2のセグメントとが交互に存在する。ここで、第1の直径は第2の直径よりも大きい。換言すると、常に、大きい方の直径を有する2つの隔たった第1のセグメントが、それらの間に存在する、小さい方の直径を有する第2のセグメントによって、互いに固く結合している。したがって、以下において、第1のセグメントを主セグメントと呼び、第2のセグメントを結合セグメントと呼ぶ。主セグメント及び結合セグメントは同じ材料から成る。
【0025】
主セグメント及び結合セグメントは、堆積プロセスに起因して、一体的に互いと結合している。これらのセグメントは共に、電気化学的に成長した材料から成る単一のナノワイヤを形成する。主セグメントはしたがって、ネックレスの真珠のように、結合セグメントによって互いに結合される。
【0026】
有利には、セグメント化ナノワイヤの表面は、一定の直径を有する一様なナノワイヤの表面よりも大きい。さらなる利点は用途に応じる。
【0027】
第1のセグメントの長さは、陰極堆積パルスの時間期間によって意図した通りに調整される。第2のセグメントの長さは、時間的空白の時間期間によって意図した通りに調整される。特に、第1のセグメント及び第2のセグメントの長さは、陰極堆積パルス及び時間的空白のそれぞれの時間長によって、互いから独立して調整することができる。したがって、第1のセグメント及び第2のセグメントのそれぞれの所定の長さを選択することができる。この場合、選択された、ひいては予め求められた、第1のセグメント及び第2のセグメントのそれぞれの長さを製造するために、陰極堆積パルス及び時間的空白の時間長を対応して調整する。
【0028】
第1のセグメント及び第2のセグメントは好ましくは、異なる長さを有する。これに関して、大きい方の直径を有する主セグメントの長さを、小さい方の直径を有する結合セグメントの長さよりも長く調整することが好ましい。このために、陽極逆パルスの時間期間を、陰極堆積パルスの時間期間よりも短く選択する。好ましくは、陰極堆積パルスの時間期間を、60秒未満に、好ましくは20秒未満に、特に好ましくは1秒〜5秒の範囲内で調整する。陽極逆パルスの期間は、好ましくは、陰極堆積パルスの長さよりも5倍〜1.5倍の倍数範囲内で短い。陽極逆パルスは、好ましくは0.1秒〜5秒、特に好ましくは0.3秒〜3秒の長さを有する。しかしながら、陰極堆積パルスの期間及び陽極逆パルスの期間は、セグメントの形成を確実にするために、短すぎてもならない。陰極堆積パルス及び/又は陽極逆パルスの最低期間は少なくとも100msと想定される。
【0029】
したがって、製造されるナノワイヤは、電気化学的に成長する導電性材料、特に金属又は金属化合物から成り、交互に連続する、大きい方の直径を有する多数の主セグメント及び小さい方の直径を有する多数の結合セグメントを有する。したがって、本明細書では、セグメント化ナノワイヤという用語を用いる。各セグメントの長さは、たとえば数nm〜数百nmの範囲内で、非常に小さく調整することができるため、セグメント化ナノワイヤは、100個よりも多く、場合によっては1000個よりも多い、交互に現れる主セグメント及び結合セグメントの対から成る。換言すると、主セグメント及び結合セグメントは、ナノメートルスケールで、各ナノワイヤの長手方向において規則的に交互に現れる。それによって、各ナノワイヤの長手方向において途切れることなく、2つの主セグメントの間にちょうど1つの結合セグメントが常に存在するようになる。
【0030】
本発明による方法によって、主セグメントの長さが100nmよりも短いセグメント化ナノワイヤを製造することができる。概して、主セグメントの長さは自由に予め決定することができ、1000nm未満の長さが有利であると考えられる。結合セグメントの長さは、セグメント化ナノワイヤの十分な安定性を保証するために、好ましくは10nm未満に調整される。
【0031】
主セグメントの形状は、実質的に円柱状である。これは、主セグメントはナノ細孔の内部形状を模倣するためである。ナノ細孔の直径が大きすぎない場合にセグメント化は良好に成功するということが分かっている。ナノ細孔の直径、ひいては主セグメントの直径は好ましくは、500nmよりも小さく、特に好ましくは、数ナノメートルと数百ナノメートルとの間にある。好ましくは、主セグメントの直径は、ナノワイヤの長さにわたって一定である。
【0032】
陰極堆積パルス及び陽極逆パルスから成るパルス電圧を、堆積装置において、それぞれ一定のパルス期間で規則的に繰り返されるように調整した場合、第1のセグメント及び第2のセグメントは、少なくともナノワイヤの長さの部分領域にわたって、それぞれ一定の長さを有する。それによって、セグメント化は、少なくともナノワイヤの長さの部分領域にわたって規則的になる。
【0033】
基本的に、テンプレートベースの方法では、テンプレートフィルム内に、多数のナノワイヤを一度に製造することができる。該ナノワイヤは、製造後に、陰極層の溶解によって、互いから分離させることができる。それによって、別個の多数のセグメント化ナノワイヤが生じる。
【0034】
しかしながら、多数のセグメント化ナノワイヤから成るアレイを含む安定したナノワイヤ構造体を製造することも同様に有利である。
【0035】
これは、たとえば、陰極層が基板層としてナノワイヤアレイに残り、各ナノワイヤが端部において基板層と固く結合することによって達成することができる。このために、事前に陰極層を除去することなく、テンプレートフィルムを溶解する。この場合、陰極層は二重機能を有する。すなわち、陰極層は、一方では、電気化学的堆積方法のための電極としての役割を果たし、他方では、完成したナノワイヤ構造体において、安定して閉じている基板層又はカバー層としての役割を果たす。つまり、陰極層は、生成されるナノワイヤ構造体の一体的構成要素として残り、ナノワイヤ構造体から取り除かれることはない。ただし、ナノ細孔内でのナノワイヤの堆積後、陰極層を除去し、新たなカバー層を施すといったことも考えられる。
【0036】
さらに、2つのカバー層間に配置される、セグメント化ナノワイヤから成るナノワイヤアレイを、該ナノワイヤアレイがサンドウィッチ状に2つのカバー層間に閉じ込められるように含むナノワイヤ構造体を製造することも可能である。したがって、この場合、好ましくは陰極層によって形成される基板層に加えて、さらに第2のカバー層が、対向する面において設けられる。
【0037】
ナノワイヤアレイと第2のカバー層との間の安定した結合を達成するために、ナノワイヤの電気化学的堆積プロセスは、少なくとも、テンプレートフィルムの第2の面においてナノワイヤ上にキャップが形成されるまで続く。第2のカバー層の生成に関して、さらに、特に以下の2つのオプションを提示する。
【0038】
電気化学的堆積過程を、ナノ細孔を完全に満たした後にさらに続ける。ここで、最初にテンプレートフィルムの第2の面において、キャップがナノワイヤ上で成長する。電気化学的堆積過程をさらに続けていくと、複数のキャップが一体化して平坦に閉じている層を形成し、この平坦に閉じている層は、堆積時間が長くなるにつれて厚くなる。したがって、ナノワイヤの生成又は成長に用いられる電気化学的堆積過程を単に、第2のカバー層が、十分に厚く、安定した、平坦に閉じている層の形態に完全に成長するまで続ければよい。ここで、ナノワイヤ及び第2のカバー層全体は、電気化学的に堆積された材料から成る一体的に成長した構造体を形成する。したがって、図1の部分ステップ(d1)及び(d2)を、同じ導電性材料を用いる同じ電気化学的堆積過程の部分ステップとして、実施する。
【0039】
代替的に、ナノワイヤの生成のための電気化学的堆積過程を、テンプレートフィルムの第2の面において、キャップがナノワイヤ上で成長し、キャップが少なくとも部分的に一体化しているが、まだ安定した第2のカバー層が生成されていない段階まで続け、その後になってから一度終了させる。第2のカバー層は、第2の別個の後続する堆積過程にて完成する。ここでは、平坦に閉じているさらなる層を、少なくとも部分的に一体化したキャップ上に堆積し、それによって、少なくとも部分的に一体化したキャップと平坦に閉じているさらなる層とから成る、二層構成の安定した第2のカバー層が生じる。したがって、少なくとも部分的に一体化したキャップは、第2のカバー層の第1の部分層を形成し、該さらなる層は第2のカバー層の第2の部分層を形成する。上記別個の堆積過程は同様に電気化学的堆積とすることができるが、たとえば蒸着又はスパッタリングのようなPVD法を含むことができる。この別個の堆積過程が電気化学的堆積であっても、第2の部分層のために、ナノワイヤ及びキャップのための材料とは別の材料を使用することができる。第2の部分層は、セグメント化ナノワイヤとは異なり、好ましくは直流法によって電気化学的に堆積される。それによって、第2のカバー層の堆積時間を短縮することができる。
【0040】
したがって、第2のカバー層を、部分的に又は完全に、導電性材料、好ましくは金属の電気化学的堆積によってテンプレートフィルムの第2の面において生成する。それによって、第2のカバー層がナノワイヤと固く一体化するようになる。
【0041】
好ましくは、まず、イオン照射を行い、その後、ただしエッチング前に、陰極層を施す。陰極層をテンプレートフィルム上に施した後で初めて、潜在イオン誘起トラックからナノ細孔をエッチングする。したがって、特に、伝導性金属層をテンプレートフィルム上に施し、該金属層を電気化学的に補強してから、潜在イオントラックに化学エッチングプロセスを受けさせる。このようにして、陰極層の金属が孔内で堆積する可能性を排除する。それによって、生成されるナノワイヤ構造体の機械的安定性を向上させることができる。さらに、孔は特に正確な円筒形を有し、その両端が狭窄化することはない。
【0042】
したがって、この好ましい実施の形態の結果として、テンプレートフィルムを除去した後に、多数の隣接して配置されているセグメント化ナノワイヤのアレイと、2つの平行して隔たっている、平坦に閉じているカバー層とから成る空隙構造を有するナノワイヤ構造体が得られる。2つのカバー層は、この実施の形態では、ナノワイヤ構造体の一体的構成要素であり、セグメント化ナノワイヤから分離することはなく、ナノワイヤと固く結合し続け、より正確には、電気化学的堆積過程によって原子/分子レベルで互いに一体化している。
【0043】
したがって、ナノワイヤは、この実施の形態では、2つのカバー層に対して直角に、該2つのカバー層間で延在し、ナノワイヤは、第1の端部において陰極層と、第2の端部において第2のカバー層と一体化している。それによって、ナノワイヤは、2つの層を互いに固く結合させ、2つのカバー層間の距離を規定する。それによって、両側がカバー層によって境されていると共に多数のセグメント化ナノワイヤが貫通している空隙構造を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造体が生じる。
【0044】
さらに、この実施の形態では、ナノワイヤ間に、互いに結合している空間が存在する。空隙構造はしたがって、カバー層に平行な平面において、2次元のオープンセル型である。それによって、セグメント化ナノワイヤの非常に大きな表面積との相互作用のために、2つのカバー層間で、2次元のオープンセル型の空隙構造を通じて流体を導くことができる。換言すると、2つの閉じているカバー層と、該2つのカバー層間でサンドウィッチ状に閉じ込められていると共に該2つのカバー層と結合しているナノワイヤアレイとから成る、独立して存在する安定したナノワイヤ構造体が形成される。両側が平坦に閉じているナノワイヤアレイ、又は、ナノワイヤアレイによって貫かれている層状の(schichtartiger: layer-like)空隙構造を有するこのナノワイヤ構造体は、たとえばマイクロリアクタの構成要素として、特に不均一触媒のためのマイクロ触媒構成要素として非常に適している。
【0045】
2つのカバー層間の距離又はセグメント化ナノワイヤの長さは、テンプレートフィルムの厚さによって規定され、好ましくは200μm以下、特に好ましくは50μm以下である。これは、ナノワイヤが別々になる場合にも該当する。
【0046】
しかしながら、この製造方法によって、生成されるセグメント化ナノワイヤ構造体のさらなる特定の構造特性が生じる。ナノワイヤは、電気化学的に堆積される材料から成長することによって、たとえばX線回折によって調査することができる特定の結晶構造を有することができる。
【0047】
さらに、ナノワイヤ構造体において、ナノワイヤは、電気化学的堆積に起因して、両側においてそれぞれのカバー層と直接的に固く一体化している。ナノワイヤの電気化学的堆積を、少なくとも、キャップが成長し、場合によっては一体化するまで続けることによって、ナノワイヤ及び第2のカバー層の少なくとも一部は一体的に成長する。さらにこれは、特に、ナノワイヤがキャップと一体的に成長し、ナノワイヤ及びキャップが少なくとも部分的に互いと一体化する場合に、構造的に検出することができる。またこれは、ナノワイヤの生成に用いられた堆積過程を、キャップの一体化の後に終了させ、それによって、第2のカバー層の第1の部分層を形成し、また、変化した方法パラメータを用いて別個のステップにて、一体化し合っているキャップ上に第2の部分層を堆積する場合も、構造的に検出することができる。このことが該当するのは、カバー層が、異なる材料から成る2つの部分層を含む場合に限られない。
【0048】
アスペクト比が大きくなればなるほど、セグメント化ナノワイヤの活性表面は大きく生成することができる。したがって、ナノワイヤのアスペクト比は、好ましくは1対50以上、特に好ましくは1対100以上である。
【0049】
ナノワイヤ構造体において、ナノワイヤの数の面密度は、同様に活性表面に対する尺度であり、好ましくはn/F=107cm−2以上、特に好ましくはn/F=108cm−2以上である。
【0050】
ナノワイヤ構造体の活性表面に対する特定の尺度として、ナノ構造体の面(カバー層の面)及びナノワイヤの長さ(構造化空隙の高さ)当たりのナノワイヤの幾何学的比表面積Avを挙げることができる。この幾何学的比表面積Avは、少なくとも1mm2/(cm2 μm)とすべきである。しかしながら、より大きな値が好ましい。すなわち、Avは、5mm2/(cm2 μm)以上、20mm2/(cm2 μm)以上、又はさらには100mm2/(cm2 μm)以上である。さらに、場合によっては、値は、1000mm2/(cm2 μm)までとすることができる。
【0051】
反転パルス方法を用いるナノワイヤの製造においては、ナノワイヤは明確な<100>集合組織又は結晶構造を有する。たとえば金のような特定の金属に関しては、可能な限り小さな結晶を生成することが有利であり得る。このために、4nm以下の結晶サイズを達成することが好ましい。既に、一般的には、10nm以下の平均結晶サイズが有利であり得るとされている。
【0052】
結晶集合組織に起因して、表面積の実際の大きさは、滑らかな円柱表面に基づく幾何学的比表面積Avよりも大きく、詳細には、好ましくは約4倍〜5倍である。
【0053】
いわゆるイオンビーム誘起エッチングによる、ナノ細孔によって貫通されるテンプレートの製造を上述した。しかしながら、ナノ細孔によって貫通されるテンプレートの製造のために、たとえばアルミニウムフィルムの陽極酸化処理のような他の方法も使用することができることは明らかである。
【0054】
陽極酸化アルミニウムにおけるナノ細孔アレイの製造に関しては、A. P. Li他著「Hexagonal Pore Arrays with a 50-420 nm Interpore Distance Formed by Self-Organization in Anodic Alumina」(Journal of Applied Physics, 84-11, 1998, S. 6023-6026)と、J.W. Diggle、Thomas C. Downie、及びC.W. Gouldingの総説(S. 365-405 DOI: 10.1021/cr60259a005)とを参照されたい。なお、これらは参照により本明細書に援用される。このような陽極酸化アルミニウムテンプレートは、ナノ細孔が亀甲模様(hexagonalen Musters: hexagonal pattern)の形態で規則的に配置されているという特別な特性を有する。
【0055】
本発明に従って製造されるナノワイヤ構造体に対する特に好ましい利用分野は不均一触媒である。すなわち、1つ又は複数のナノワイヤ構造体は、特にマイクロ触媒のための触媒構成要素としての役割を果たす。このために、1つ又は複数の面において、正面をカバー層で覆い、該カバー層を別のカバー層と一体化させる、すなわち、ナノワイヤ構造体において各正面を一体的に閉じることが有利である。特に簡単には、まず、全正面を閉じ、引き続いて、2つの対向する正面において、カバー層の平面に対して直角にナノワイヤ構造体を切断する。
【0056】
マイクロ触媒は好ましくは、流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、流体供給部と流体排出部との間の触媒要素としての少なくとも1つのナノワイヤ構造体とを含む。それによって、流体供給部から2つのカバー層間の空隙構造内に流体を導き入れ、ナノワイヤ間の空間を通じて導き、流体排出部を通じて空隙構造から排出することができる。ここで、2つのカバー層間のナノワイヤ構造体の2次元のオープンセル型の空隙構造は触媒反応容積を形成し、ナノワイヤの表面は触媒活性表面を形成し、該活性表面と流体が空隙構造内で相互作用する。好ましくは、ナノワイヤは、堆積によって、たとえば多量に(完全に同じ材料から)、たとえば白金から形成されているため、触媒要素は非担持触媒(Vollkatalysator: unsupported catalyst: bulk catalyst:バルク触媒)要素である。
【0057】
以下において、実施例に基づいて且つ図面を参照してより詳細に本発明を説明する。同じ要素及び同様の要素には部分的に同じ参照符号を付している。様々な実施例の特徴を、特にカバー層を有する実施例及び有しない実施例を互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】ナノワイヤ構造体の製造の概要を図式的に示す図である。
【図2】ナノワイヤ構造体の立体概略図である。
【図3】3次元(3D)ナノワイヤ網を備えるナノワイヤ構造体の製造の概要を図式的に示す図である。
【図4】多数の別々のナノワイヤの製造の概要を図式的に示す図である。
【図5】電気化学的堆積のために使用される堆積装置の立体図である。
【図6】陰極層を補強するための堆積装置の透明な立体分解図である。
【図7】ナノワイヤ、及び場合によっては第2のカバー層を堆積するための透明な立体分解図である。
【図8】反転パルス堆積の電圧波形の部分図と、それによって製造されるセグメント化ナノワイヤの関連する走査型電子顕微鏡写真(REM)である。
【図9】別の反転パルス電圧波形を有する図8と同様の図である。
【図10】さらに別の反転パルス電圧波形を有する図8及び図9と同様の図である。
【図11】セグメント化ナノワイヤの透過型電子顕微鏡写真(TEM)である。
【図12】図11のセグメント化ナノワイヤの拡大TEM写真である。
【図13】複数のセグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】セグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図16】図15よりも短い主セグメントを有するセグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図17】図15よりも短い主セグメントを有するセグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図18】反転パルス堆積によって製造される白金ナノワイヤキャップのREM写真である。
【図19】図18の部分拡大図である。
【図20】ナノワイヤアレイの定電位製造における電流プロファイルである。
【図21】貫流モードのためのナノワイヤ構造体を備えるマイクロリアクタの概略展開図である。
【図22】2つのナノワイヤ構造体を備えるセンサ素子の概略図である。
【実施例1】
【0059】
平行なナノワイヤを備えるナノワイヤ構造体の製造
ナノワイヤ構造体の製造は、テンプレートベースの方法に基づく。該方法の部分ステップを図1において以下のように概略的に示す。
(c1)テンプレートフィルムに対するイオン照射
(b)伝導性の層の施し
(c2)イオントラックのエッチングによるナノ細孔の形成
(d1)ナノワイヤの堆積及びキャップ成長
(d2)第2の金属層の堆積
(e)テンプレートの溶解
【0060】
好ましくは、方法ステップは、図1に示す順番、すなわち(c1)、(b)、(c2)、(d1)、(d2)、(e)で実施される。しかしながら、基本的に、別の順序を使用することも可能であり、たとえば2つの面からエッチングを行い、その後に初めて陰極層を施す部分ステップ(ステップ(b)の前に(c2))も可能である(たとえば図3を参照されたい)。
【0061】
図1を参照すると、まず、テンプレートフィルム12にイオン14を照射する。ここで、軌道に沿って、テンプレートフィルム12の材料内で潜在イオントラック16を生成させる(c1)。テンプレートフィルム12はこの実施例では、ポリマーフィルム、より正確にはポリカーボネートフィルムである。
【0062】
続いて、テンプレートフィルム12の第1の面12aにおいて、薄い伝導性の金属層22a、たとえば金層をスパッタリングする。該金属層は第1の部分層を形成する。引き続いて、第1の部分層22aを第2の部分層24aによって電気化学的に補強する。それによって、陰極層26aを形成する。該陰極層は後に、ナノワイヤ堆積における電極として機能する(b)。第2の部分層24aの電気化学的堆積のために、テンプレートフィルム12を、図5〜図7に示す堆積装置82内に嵌め込む。
【0063】
引き続いて、片側だけ被覆されているテンプレートフィルム12を堆積装置82から取り外し、潜在イオントラック16を化学的にエッチングし、それによって、均一なナノ細孔32を生成する。代替的に、エッチング液を対応する槽88内に注ぎ込み、エッチングの終了後に除去することによって、エッチングプロセスを堆積装置82において行うこともできる。テンプレートフィルムを取り外し、再度組み込む必要はない。円筒形ナノ細孔32の直径は、エッチング時間の調整によって制御することができる(c2)。
【0064】
続いて、以上のようにして用意されたテンプレートフィルム12を再び堆積装置82内に嵌め込み、第2の電気化学的プロセスにおいて、所望の金属をナノ細孔32内に堆積する(d1)。ナノワイヤ34がテンプレートフィルム12の第2の面12bにおける孔端32bに到達すると、キャップ36の形成が始まる。適切な条件下では、キャップ36は平坦に一体化し、陰極層に平行な、閉じているが、まだ十分に安定していない第2の金属層22bを形成する(d2)。この金属層はこの実施例では、第1の部分層22bである。該部分層上には、第2の部分層24bを形成するさらなる金属層が堆積される(d2)。第2の部分層24bによって、一体化したキャップは機械的に安定して埋め込まれる。したがって、第1の部分層22b及び第2の部分層24bは共に、第2のカバー層26bを形成する。
【0065】
最後に、ポリマーフィルム12を、適切な有機溶媒内で溶解させる(e)。このようにして本発明に従って製造されるナノワイヤ構造体1を、図2において概略的に示す。ナノワイヤのセグメントの描写は、簡単にするために、図2では省いている。しかしながら、REM写真及びTEM写真が示すように(図8〜図17)、本発明に従って製造されるナノワイヤ34は、堆積パラメータの適切な選択によって、以下でより詳細に述べるように、実際にはセグメント化されている。少なくとも、第2のカバー層26bの、空隙構造42の方を向いている内側は、ここでは少なくとも部分的に、電気化学的に堆積された層22bによって形成される。
【0066】
テンプレートベースの方法は、多数のパラメータに対して意図した通りに影響を及ぼすことができるという利点を提供する。ナノワイヤ34の長さは、使用されるテンプレート12の厚さによって決定され、好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは約30μm±50%である。ナノワイヤ34の面密度は、照射によって確定され、アレイの製造のために、好ましくは1・107cm−2〜1・109cm−2である。ナノワイヤ34の直径Dは、エッチングの時間長さによって調整され、約20nm〜約500nmとすることができる。アスペクト比は、1000までの値をとることができる。
【0067】
陰極層26a及び第2のカバー層26bの厚さは、それぞれの電気化学的堆積の時間長さによってコントロールされ、十分な安定性が保証されるほどの厚さを有するべきである。好ましくは、第2のカバー層26bの厚さは少なくとも1μmとすべきである。しかしながら、好ましくは、厚さは、5μmよりも大きく、たとえば5μm〜10μmである。同様のことが、陰極層26aにも該当する。
【0068】
ナノワイヤのための材料としては、電気化学的堆積に適した金属が考えられる。以下の金属を用いての経験がある:Cu、Au、Bi、Pt、Ag、Cu、Cu/Co多層、Bi2Te3。
【0069】
ナノワイヤ構造体1に関して、一方では、大きな活性表面を得るために、わずかな直径Dを有するナノワイヤ34が多数存在していることが望ましく、他方では良好な機械的安定性を達成する必要がある。この最適化は、材料に依存し、要求に応じるものである。
【0070】
銅部分層24a及び24b間に白金ナノワイヤ34を備えるナノワイヤ構造体1のために、たとえば、直径が250nmであると共に長さが30μmである108/cm2本のナノワイヤを備える安定した実施態様を製造した。ここでは、アスペクト比は120であった。このような要素は、たとえば触媒要素として適している。
【0071】
ナノワイヤ34を製造するために、ポリマーフィルム12の代わりに、酸化アルミニウムから成る硬いテンプレートフィルムのような他のテンプレートフィルムを使用することもできる。ここでは、達成可能な孔径は10nm〜200nmである。厚さはここでは、6.5・108cm−2〜1.3・1011cm−2である。多孔性酸化アルミニウムテンプレートは、規則的に並べられた構造の生成を可能にする。テンプレートとしては、イオントラックエッチングされるガラス及びマイカフィルムも考えられる。これらのテンプレートでは、テンプレートの溶解はフッ化水素酸(HF)を用いて行われる。それによって、ワイヤ堆積及び金属層のための金属の種類が幾らか制限される。
【実施例2】
【0072】
網目状に結合したナノワイヤアレイを備えるナノワイヤ構造体の製造
図3は、網目状に結合したナノワイヤアレイを備えるナノワイヤ構造体の製造を概略的に示している。ここで、テンプレートフィルム12に、複数の異なる角度でイオンを照射する。それによって、潜在トラック、及び後では、交差ナノ細孔又は交差ナノワイヤが、互いに対してたとえば90度の角度で延在するようになる。当然のことながら、他の角度も可能である。
【0073】
異なる角度でテンプレートフィルム12に対して連続して照射を続けるために、まず、対応する放射管、たとえばGSIのシンクロトロンにおけるイオンビームの方向に対する第1の角度でテンプレートフィルム12を位置決めし、所定の第1のイオン面密度で該テンプレートフィルムに対して照射を行う。引き続いて、テンプレートフィルム12を放射方向に対して傾斜させ、所定の第2のイオン面密度でもう一度、該テンプレートフィルムに対して照射を行う。さらなる他の角度でナノワイヤを生成することになっている場合は、所望の角度の数だけこの過程を繰り返す。3次元網の製造のために、たとえば、ビーム軸に対する極角で位置決めされるテンプレートフィルム12を、ビーム軸を中心にして方位角回転させる。他には、図1に示されている実施例と同様の事を行うが、第2のカバー層は省くことができる。
【0074】
このようにして製造されるナノワイヤ構造体1を概略的に図3(e)に示す。ナノワイヤ構造体1は、交差して一体化しているナノワイヤ34から成るナノワイヤアレイ35を含むか、又は、該ナノワイヤアレイから成る。該ナノワイヤは、一体的な相互接続ナノワイヤ網37を形成する。網37は、一体化しているナノワイヤの相互接続構造に起因して、カバー層がなくても、すなわち全面において開いていても、特定の固有安定性を有する。ただし、たとえば片側(残っている陰極層26aである基板層)の、又は、サンドウィッチ構造を形成するための両側のこのようなカバー層を排除することは意図していない。
【実施例3】
【0075】
別個のナノワイヤの製造
図1又は図3に基づいて説明されているようにナノワイヤ構造体1を製造することが確かに好ましいが、別個のセグメント化ナノワイヤ34を製造することも基本的に可能である。図4に製造ステップの概略図を示す。この場合、キャップ成長が始まる(d1)前に電気化学的堆積を停止させ、その後、陰極層26aを除去する。これは特に、陰極層26a、又は少なくとも第1の部分層22aがナノワイヤ34とは別の材料から成る場合に可能である。その後、ステップ(e)においてテンプレートフィルム12を溶解する。それによって、個々のナノワイヤ34が別々になる(図示せず)。
【0076】
ナノワイヤのセグメント化を達成するための例示的なパラメータ
全ての上述した実施例は、本発明に従って、セグメント化ナノワイヤ34と共に製造される。
【0077】
たとえば、30μmの厚さの、円形の(r=1.5cm)ポリカーボネートフィルム12(Makrofol(登録商標))を使用し、該ポリカーボネートフィルムに、11.1MeV/uのエネルギーで、且つ、3・107イオン/cm−2のフルエンスで重イオン14を照射した。伝導性金属層22aを施す前に、トラック16に沿ったエッチングの選択性を高めるために、ポリマーフィルム12の各面を、1時間にわたってUV光で照射する。
【0078】
ポリカーボネートフィルム12の第1の面12aにおいて、約30nmの厚さの金層22aをスパッタリングする。CuSO4系の電解質溶液(Cupatierbad、Riedel製)に基づく銅を、U=−500mVの電圧で定電位堆積することによって該金層を補強する。ここで、銅棒電極が陽極としての役割を果たす(部分層24a)。堆積を30分後に終了させる。その後、銅層24aの厚さがおおよそ10μmになる。続いて、60℃で、NaOH溶液(6M)を用いて25分にわたって、テンプレートフィルム12の未処理の面12bからエッチングを行い、脱イオン水によって徹底的に洗浄を行い、それによって、エッチング液の残りを除去する。そして、ナノ細孔を有するテンプレートフィルム12を堆積装置82内に嵌め込む。ナノワイヤ34の堆積を、65℃で、アルカリ性Pt電解質(Pt-OH-Bad、Metakem)を用いて行う。
【0079】
図8を参照すると、ナノワイヤ34の生成のために反転パルス堆積の方法を使用する。電圧符号は、別途指示がない限り、それぞれ、陰極層36aから見た場合の陰極層36aと陽極96との間の電圧に関する。
【0080】
U=−1.3Vの絶対電圧での5秒間にわたる陰極堆積パルスの後に、U=+400mVの絶対電圧での1秒間にわたる陽極逆パルスが続き、その後も同様に進行する。上方の図は、時間の関数としての、陰極層26aに印加されるパルス電圧波形の一部を示す。数十分後に、堆積を停止させ、成長をコントロールする。使用した装置と、テンプレートフィルム12としてのポリカーボネートフィルムとでは、この実施例の場合、平衡電圧は約−400mVである。その結果、それぞれ平衡電圧に対して、陰極堆積パルスの相対電圧は約−900mVであり、陽極逆パルスの相対電圧は約+800mVである。交互に生じる陰極堆積パルス212及び陽極214逆パルス214を、数十分の堆積期間にわたって数百回繰り返す。図8は、少数のパルス212及び214のみを示す部分図である。
【0081】
図8の一部であるREM写真(図8の下方)では、この連続するパルスによって生成されるセグメント化ナノワイヤ34を見てとれる。セグメント化ナノワイヤ34は、規則的に交互に連続する厚い主セグメント34cと薄い結合セグメント34dとから成る。結合セグメント34dはそれぞれ、2つの隣接する主セグメント34cを互いに結合させる。しかしながら、ナノワイヤ34はそれでも、均一な材料から成長する。結合セグメント34dは、ナノワイヤ34の規則的に存在する狭窄部として捉えることもできる。主セグメント34cは、概ね50nm〜100nmの長さを有する。結合セグメント34dは、概ね10nm以下の長さを有する。
【0082】
図9は、図8と同様の図であるが、陰極堆積パルス212が2.5秒まで短縮されている。したがって、主セグメント34cは、図8におけるよりも短く、詳細には約半分である。陽極逆パルス214は1秒の長さで一定に保った。
【0083】
図10は、図8及び図8と同様の図であるが、陰極堆積パルス212が1.5秒まで短縮されている。したがって、主セグメント34cは、図9におけるよりもさらに短い。ナノワイ34の表面が大きくなればなるほど、連続するセグメント34c及び34dは短くなり、より多くのセグメントをナノワイヤ34が有するようになることは明らかである。
【0084】
したがって、本発明による方法では、セグメント化の繰り返し率の所定の長さを、陰極堆積パルス212の時間長を対応して選択することによって調整することができる。特に、主セグメント34cの長さを意図した通りに調整することができる。結合セグメント34dの長さも、陽極逆パルス214の時間長の選択によって調整することができると考えられる。しかしながら、この長さは、セグメント化ナノワイヤ34の十分な安定性を得るために、大きすぎないように選択すべきである。さらに図8〜図10において、セグメント34c及び34dが、それぞれのナノワイヤの内部で、少なくともナノワイヤ34の図示されている部分領域において、ナノワイヤ34に沿って実質的に一定の長さを有することが分かる。直径も一定であり、これは、ナノ細孔32の円筒形状に起因する。
【0085】
第2のカバー層26bを生成するのであれば、キャップ36が十分に一体化して部分層22bとなるまでさらに堆積を行う。それによって、その後、U=−500mVで約30分にわたって銅部分層24bの定電位堆積を行うことができる。
【0086】
最後に、ナノワイヤ構造体全体をテンプレートフィルム12と共に、数時間にわたって10mlの塩化メチレンを有する容器内に置くことによって、テンプレート材料を除去する。完全にポリマー残留物を除去するために、溶媒を3回交換する。
【0087】
本発明者らは、セグメント化のプロセスを以下のように説明することができると考えている。金属イオンがナノ細孔32内を進むことを可能にする一般的な輸送プロセスは電解質溶液内での拡散である。ナノワイヤ34の堆積では、2つの異なる種類の拡散が生じ、該拡散がセグメント長に影響を及ぼす。ナノ電極(ナノワイヤ34はナノ電極とみなすことができる)の電気化学的挙動は、マクロ電極の挙動とは異なる。金属イオンは、電極表面において還元され、それによって、溶液から取り除かれる。それによって、拡散層が形成され、イオンが乏しい領域と溶液内の濃度との間の濃度勾配が生じる。拡散層は、時間の経過と共に溶液内へと成長する。それによって、時間が経つにつれて、拡散制限電流(diffusionslimitierte Strom: diffusion-limited stream)が減少する。
【0088】
短時間で、ナノチャネル32内で平面拡散を行うことができ、挙動はコットレルの式によって記述することができる。1/t1/2に比例する、時間に依存する拡散制限電流が生じる(ここで、tは時間である)。時間がより長くなると、拡散層はナノ細孔32から溶液内に入る。ここでは、球面拡散挙動が存在する。この場合、電流はほとんど時間に依存しない。
【0089】
図20において、ナノワイヤアレイ35の定電位製造中の電流プロファイルを示す。曲線は3つの領域に分割することができる。領域Iでは、電流信号の急激な低下を観察することができる。ここでは、ナノ細孔32内で平面拡散が存在している。領域IIでは、拡散層は既に溶液内に入っており、半球拡散が優勢となっている。最後に、ナノワイヤ34は領域IIIにおいて、成長してナノ細孔32から出て、キャップを形成する。電極表面は拡大し、新たに平面拡散が生じる。
【0090】
反転パルス長が十分に短いと仮定すると、ナノワイヤアレイの定電位製造中の上述した拡散挙動によって、ナノワイヤ34は良好に、反転パルスによる、セグメント化ナノワイヤを備えるアレイの電気化学的堆積へと移行する。それによって、濃度差の過度な調整は不要であり、拡散層は溶液内へと成長しなくなる。したがって、陰極堆積パルス212及び陽極逆パルス214のパルス長は対応して、十分に短く選択される。
【0091】
陰極堆積パルス212のパルス長及び陽極逆パルス214のパルス長を一定に保つと、セグメント長は拡散電流に比例する。拡散電流は短時間後に比較的一定となるため、セグメント34c及び34dの長さも、短い堆積時間後に一定となるはずである。これを、透過型電子顕微鏡(TEM)写真によって確認する。図11において、主セグメント34cが最初は、回転軸に沿って左下から右上までどんどんと長さを増していき、後に約2μmの一定の長さに到達したところで停止することが分かる。図12による、同一のナノワイヤ34のワイヤ中心のTEM写真は、同じ長さのセグメントを示している。写されている白金ワイヤ34は、図8に示すように、U=−1.3Vの絶対電圧での5秒間の陰極堆積パルスと、U=0.4Vの1秒間にわたる陽極逆パルスとによって製造した。
【0092】
堆積の開始時には比較的短く、ワイヤ軸の長さに沿ってより長くなるセグメントに関しては、以下によって説明することができる。すなわち、最初は、拡散層は非常に短いため、小さな容量の金属イオンもナノチャネル32内で、陰極堆積パルス212のパルス長の期間中に、再供給(nachgeliefert: delivered in addition)及び還元されることができる。拡散層は溶液内へと成長し、拡散ゾーン内に入る電気化学的活性種の量が増加する。拡散電流は、最終的に、半球拡散に起因して孔開口においてほとんど時間に依存しなくなるまで増大する。この場合、主セグメント34cの長さはほとんど変化しない。ナノワイヤ34がナノ細孔32の端部に到達すると、半球状のキャップ36が形成される。孔端にまだ完全に到達していない、近接して存在するナノワイヤ34は、成長がはるかに遅い。これは、物質輸送全体がほとんど、新たに形成されたキャップ36へと行われるためである。キャップ36が大きくなればなるほど、キャップ表面への拡散の平面成分は大きくなり、半球成分は小さくなる。したがって、拡散電流密度が低下する一方、大きくなった電極面に起因して電流全体は増加する。この移行は、反転パルス堆積によって製造されたキャップ36において知覚可能である。図18及び図19に、生成中にテンプレート12の方を向いている、ナノワイヤキャップ36の面を見てとれる。環状構造はパルス方法によって生じる。キャップ部分は、中心から外側へと成長する。各リングセグメントは、陰極堆積パルス212と陽極逆パルス214との対に対応する。上記部分は、拡散電流が低下するにつれて、外側に向かって薄くなる。この方向において、面全体は電流全体と共に増大する。したがって、キャップ36もセグメント化されており、詳細には環状である。
【0093】
セグメント形成は、十分に正である陽極逆パルス214によっても保証される。陽極逆パルス214の期間中、輸送プロセスがナノ細孔32内で、成長ナノワイヤの端部から孔端へと行われるものと考えられる。この輸送プロセスは、ナノチャネル壁においてはより速い。それによって、セグメントの円柱形状からのずれが常に生じ、それによって、常により薄い結合セグメント34dを形成する狭窄部が生じる。これに関しては、孔壁の電荷及び電解質溶液のpH値が関係していると思われる。電解質溶液は好ましくはアルカリ性である(ph>7)。セグメントは、孔中央部において、端部におけるよりも「より深く」孔内に入る。これはTEM写真において見てとれる(たとえば図15)。ここでは、個々の主セグメント34c間においてそれぞれ、はっきりとした狭窄部が存在していることも分かる。それによって、隣接する主セグメント34cは結合セグメント34dと一体化している。結合セグメント34dはわずかな直径を有する。これは特に、図13〜図17においてはっきりと見てとれる。このようにセグメント化されるナノワイヤ34は、均一な円柱ワイヤと比べてより大きな表面を有すると共に、伝導性がより小さい、すなわち抵抗がより大きいはずであり、非常に興味深い。
【0094】
したがって、このようにセグメント化されたナノワイヤ34の調査によって、拡散電流、ひいては拡散挙動を容易に調査することができる。各パルスによる明確な構造化によって、生成の時間的推移に関する記述が可能になり、この疑似1次元ナノ構造が、輸送プロセスに関して、高いアスペクト比を有する材料における電気化学的堆積のためのモデルシステムとなる。
【0095】
おそらく、反転パルス堆積中のナノチャネル32における輸送プロセスは、セグメント34c及び34dの形成に関して重要であると考えられる。セグメントの形成のためには、ナノワイヤ34の電気化学的堆積のために、アルカリ性電解質溶液(pH>7)を、テンプレートフィルムとしてのポリマーフィルム12、特にポリカーボネートフィルムと共に使用することが適していることが分かっている。電解質溶液は、好ましくはさらに強いアルカリ性を有する(pH>11)。
【0096】
ポリカーボネートフィルムを使用する場合、負の表面電荷に起因して、たとえばガラス表面及び石英表面においてpH値が十分に正であるときに現れるような、電気二重層が形成されると考えられる。静電気力によって、好ましくは電解質溶液からの陽イオンが表面に付加する。すなわち、二重層が形成される。該二重層は、固定された(恒星層(Sternschicht: stellar layer))と、可動の拡散境界層とから成る。恒星に従って、2つの領域に分割することができる電位が形成される。固定された境界層においては線形の電位降下が、拡散層においては指数関数的な電位降下(ゼータ電位)が観察される。二重層を備える薄い毛細管に沿って電界を印加すると、可動陽イオンが、拡散層において、陰極の方向に引き寄せられる。イオンの溶媒和シェル(Solvathuellen: solvate shells)が巻き込まれて移動し、拡散層が互いに非常に接近することによって、薄い毛細管内で、電解質溶液全体が移動する。電界における溶液全体の流れを、電気浸透流(EOF)と呼ぶ。
【0097】
ナノ細孔内で、電気二重層は、大きさがナノ細孔32の直径と匹敵するようにまでなる。それによって、流体及びイオンは、壁との大きな相互作用力下にある。ナノ細孔32(直径<1000nm又はさらには<500nm)内での輸送現象はしたがって、マイクロメートルチャネル及びミリメートルチャネル内での輸送現象とは異なる。壁に形成される電気二重層がナノ細孔32の大きな領域を覆うことができるため、流れプロファイル及びイオンの空間分布の変化によって、流体の流れとイオンの輸送とに対する大きな影響が予期される。ここで製造されるナノワイヤ34におけるように直径が非常に小さい場合、流れプロファイルは平坦な形状からずれ、放物線状となる。直径が小さくなると、鋭利さが増す。したがって、パラメータのうちの少なくとも幾つか、すなわち
テンプレートフィルムの材料
平衡電圧に対して相対的な陰極堆積パルスの相対電圧
平衡電圧に対して相対的な陽極逆パルスの相対電圧
ナノ細孔32の直径
電解質溶液のpH値
は、ナノ細孔32内でのナノワイヤ34の堆積において、電気二重層がナノ細孔内で生成されるように、特に、ナノ細孔32内での電気二重層の大きさがナノ細孔32の直径の規模に収まるように選択される。
【0098】
放物線形状は、セグメント化ナノワイヤ34においても認識できる。主セグメント34cは、結合セグメント34dと中央のみにおいて結合している。これは、放物線状の流れプロファイルに起因して、イオンが、まずそこにおいて、直前に成長したセグメントによって形成される一時的な陰極と接触し、還元されるためである。
【0099】
大きなゼータ電位、ひいては大きなEOFにとって重要なのは高いpH値である。使用されるPt電解質のpH値は、約pH=13である。さらに、EOFは、電解質濃度が低下すると減少する。温度も影響力を有することができる。これは、温度によって、溶液の粘度が変化するためである。
【0100】
反転パルス方法では、以前に堆積されたセグメントの方向において、新たに各セグメントのためのイオン輸送が行われ、対応するプロファイルが新たに形成される。平衡電圧に対して相対的な相対電圧の極性は各パルスによって反転するので、輸送方向は各パルスによって変化する。
【0101】
電気化学的堆積のための構成
図5〜図7を参照すると、全ての実施例において、ナノワイヤ34の電気化学的堆積は、図5に示されている堆積装置82内で行われる。該堆積装置は、2つの電解槽86及び88を収容する金属キャリッジを押し入れることができる金属ハウジング84から成る。金属の良好な伝熱性に起因して、コントロールされる外部熱供給によって堆積装置を温度調整することが可能である。
【0102】
PCTFEから製造される電解槽86及び88は、互いの方を向いている面においてそれぞれ同じ大きさの円形の開口87及び89を有し、つまみネジ90によって互いに密に圧接することができる。2つの電解槽86及び88間の銅リング92は、電気化学的堆積のために、陰極層26aと接触するための陰極接触部としての役割を果たす。
【0103】
図6を参照すると、部分層22aの電気化学的補強のために、イオントラックエッチングされるテンプレートフィルム12が、部分層22a、ここではスパッタリングされた金層22aが環状の銅電極92と良好に接触するように、2つの電解槽86及び88の間に取り付けられる。陰極接触部として使用される銅リング92の両側では、電解槽が電解質で満たされる。部分層22aの方を向いている電解槽86内に配置されている第1の陽極94と、制御装置を備える外部電流源とを用いて金層22aの電気化学的補強が行われ、カバー層26aが形成される。
【0104】
テンプレートフィルム12の取り外し、及び、堆積装置82の外側でのナノ細孔32のエッチングの後、テンプレートフィルム12は、再び堆積装置82内に設置される。
【0105】
図7を参照すると、ナノワイヤ34、場合によってはキャップ36、及び場合によっては完全な第2のカバー層26bの電気化学的堆積のために、片側が被覆されており且つナノ細孔32が設けられたテンプレートフィルム12が、図6におけるように堆積装置82内に再び嵌め込まれ、それによって、陰極層26aがリング電極92と接触する。そして、テンプレートフィルム12の第2の面12bにおいて、陰極層26aに対して背を向けている電解槽88内で、該電解槽内に配置されている第2の陽極96によって堆積が行われる。この堆積プロセスは、上述したように、反転パルス方法でセグメント化ナノワイヤ34を生成するために行われる。
【0106】
ナノワイヤの構造特性
本発明においては、様々な材料から成るナノワイヤ34の構造特性も調査した。電気化学的に堆積される材料においては、たとえば、晶子のサイズをコントロールすることが可能である。これは、機械的安定性、熱輸送特性及び電気輸送特性並びに表面積、ひいては触媒活性に対しても効果を有する。したがって、多数の特性に対して意図した通りに影響を与えることができる。
【0107】
特に、ナノワイヤ34の構造を、X線回折を使用して調査した。このために、集合組織を分析した。反転パルス堆積下で製造されるナノワイヤ34を調査したところ、明確な<100>集合組織が示された。集合組織係数TC100は4.16である。したがって、晶子は好ましい配向を有し、整列度(Grad der Ausrichtung: degree of alignment)は83%である。少なくとも50%の整列度が場合によって有利である。したがって、本発明に従って製造されるナノワイヤは場合によっては結晶構造を有する。
【0108】
用途
触媒のために、本発明による多数のナノワイヤ構造体1を積み重ねてまとめて扱うことが可能である。しかしながら、ナノワイヤ構造体1は寸法に起因して、1mm未満の、大抵は10マイクロメートル〜数百マイクロメートルの内部寸法を有する3次元構造体であるマイクロ構造システム内に個別に組み込むのにも適している。
【0109】
図21は、流体供給部102と流体排出部104との間に本発明によるナノワイヤ構造体1が嵌め込まれているマイクロ触媒100を概略的に示す。このようなマイクロ触媒100においては、気相反応又は液相反応を行うことが考えられる。さらに、気体流又は液体流が、好ましくは圧力をかけられてマイクロ触媒100を通じて導かれる。
【0110】
1つ又は2つの導電性カバー層26a及び26bを備えるように製造可能であるナノワイヤ構造体1は、本質的に、1つ又は2つの導電性カバー層26a及び26bに結合される全てのナノワイヤ34の電気的接触を含む。それによって、コントロールされる電圧をナノワイヤ34に印加することができ、ひいては、電極触媒プロセスが可能となる。さらに、この構成要素は、電流測定センサとして使用することができる。
【0111】
照射マスクを用いたマイクロ要素の製造
本発明によれば、テンプレートフィルム12、この例ではポリマーフィルムに、対応するマスク110を通じて重イオンを照射することによって、非常に小さな寸法を有するナノワイヤ構造体又はナノワイヤアレイを生成することができる。事前に設けられているマスク、たとえばシャドーマスクが複数の開口又は孔を有し、各開口が後のマイクロ要素を規定する。マスクは、照射時にテンプレートフィルム12を覆い、それによって、覆われていない領域、すなわちマスクの開口において潜在イオントラック16が形成される。該潜在イオントラックは後にエッチングされてナノ細孔32となる。マイクロ要素の輪郭及び形状はしたがって、マスクによって与えられる。
【0112】
この方法は、特に、上述したようにマイクロ要素の形態の多数の非常に小さなナノワイヤ構造体を製造するのに適している。それによって製造可能なマイクロ要素は、500μm未満の、特に100μmの、そして場合によってはさらに、数マイクロメートルまでの大きさを有することができる。
【0113】
たとえば、イオン照射のためのシャドーマスクには、約2000個の穴がおおよそ0.5cm2の堆積面全体に設けられており、それによって、テンプレートフィルム12内の孤立部分のようなナノワイヤアレイを備える約2000個のマイクロ要素を一度で生成することができた。陰極層の除去後、マイクロ要素は互いから分離し、そして、テンプレートフィルムの溶解及び除去時に別々になる。しかしながら、各個別のマイクロ要素のためのカバー層を生成するために、追加のステップを設けることもできる。
【0114】
マイクロ要素の内部において、全てのナノワイヤ34は電気的に接触しているため、ナノワイヤアレイを備えるマイクロ要素は、特に小型センサの製造に適している。ワイヤが多数存在しているため、高い感受性だけでなく、高い欠陥許容値も得られるはずである。
【0115】
センサ素子は、たとえば気体流、温度を測定するために、且つ運動センサとして使用することができる。図22を参照すると、センサ150は、第1のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1a及び第2のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aを備える少なくとも1つの測定ユニットを備える。これらのマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aはそれぞれ、両側においてカバー層26a及び26bを設けられており、2つのナノワイヤ構造体1aのそれぞれは、1つ又は2つのカバー層26a及び26bによって電気的に接触される。2つのナノワイヤ構造体1aは別個に接触される。2つのマイクロ要素ナノワイヤ構造体の間に、加熱素子、たとえば電圧の印加によって加熱可能なマイクロワイヤ152が配置されている。センサ素子150の抵抗の変化は、気体流又は温度変化又は運動変化に対する基準として使用される。
【0116】
上述した実施形態は例示として理解されるべきであり、本発明はこれらの実施形態には限定されず、本発明から離れることなく多様に変更することができることは当業者に明らかである。特に、マイクロ触媒の製造は、多数の利用分野のうちの1つに過ぎない。セグメント化ナノワイヤは個別に多用途のために使用可能である。さらに、特徴が、明細書、特許請求の範囲、図面、又は他の箇所のいずれに開示されているかを問わず、たとえ他の特徴と共に記載されていようとも、個々に本発明の本質的な構成要素を定めるものであることは明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別な構造を有するナノワイヤ、該ナノワイヤを製造する方法、及び該ナノワイヤから成る構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
K. Jaehnisch他は、非特許文献1において、化学反応及び分析目的に対するマイクロ構造部品の利点を実証した。これによって、化学合成及び分析に対するこのようなシステムの重要性が増した。従来のリアクタと比較して、これらのマイクロ構造リアクタは、非常に大きな面積・体積比を有し、これは、熱交換性能及び物質輸送の進展に有利な影響を及ぼす(非特許文献2を参照されたい)。
【0003】
マイクロ構造リアクタにおいては、既に多数の既知の反応が実施されており、特に多数の触媒反応も実施されている。ここで、液相反応であるか、気相反応であるか、又は気液相反応であるかは重要ではない。触媒の潜在活性の利用を可能にするために、触媒材料は、様々な幾何形状を有するマイクロ構造システムに一体化される。最も単純な場合を前提とすると、マイクロリアクタを構成するために使用されるリアクタ材料はそれ自体で、触媒活性物質から成る(非特許文献3を参照されたい)。しかしながら、これは、触媒表面をリアクタ壁に限定してしまう。この欠点は部分的に、最適化されている触媒/担体システムによって回避される。大抵の場合、今日のマイクロ構造リアクタは、チャネル内に入れられている小さな粒子又は粉末を含む。
【0004】
しかしながら、触媒繊維、触媒ワイヤ、及び触媒膜も使用される(非特許文献4)。金属ナノ構造体、特に貴金属から成る金属ナノ構造体は、面積と質量との比が大きいことに起因して(これは製造コストがわずかであることに関連している)、不均一触媒において既知である(非特許文献5を参照されたい)。
【0005】
元来、ナノ化学における研究は、等方性金属粒子の調査に集中してきた。したがって、その触媒特性はよく研究されている。しかしながら、今日まで、多数の1次元ナノ構造体も、不均一触媒における使用を考慮した上で分析されてきた。しかし、その固定化は大きな問題である。非特許文献6から、ナノ構造体を担体上に設けるか、又は、たとえばナフィオンのような多孔性材料内に入れることが既知であるが、これは、利用可能な触媒表面を強制的に排除することになる。さらに、拡散プロセスに起因して、触媒活性は触媒材料の分布に依存することに注意する必要がある。したがって、ナノ粒子は確かに表面・体積比を劇的に増大させるが、以下の理由から、このようなリアクタの長期間安定性は比較的低くなってしまう。
1.担体の腐食に起因するナノ粒子の接触の損失
2.溶解及び再度の堆積又はオストワルト熟成
3.表面エネルギーを最小化するためのナノ粒子の凝集
4.ナノ粒子の溶解及び水溶性イオンの移動
【0006】
平行に方向付けられているワイヤアレイ及び管アレイは既に、グルコースセンサとして(非特許文献7)、電極触媒として、たとえばアルコール酸化(非特許文献8)及び水素過酸化物還元(非特許文献9)において使用されている。
【0007】
Nielsch他は、非特許文献10において、薄い金属膜からの堆積のためにパルス(gepulste: pulsed)堆積を使用することを報告している。しかしながら、全体的に見れば、ナノ技術の分野においては、さらなる大きな革新の可能性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Chemistry in Microstructured Reactors」(Ang. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 406-446)
【非特許文献2】O. Woerz他著「Microreactors - a New Efficient Tool for Reactor Development」(Chem. Eng. Technol. 2001, 24, 138-142)
【非特許文献3】M. Fichtner著「Microstructured Rhodium Catalysts for the Partial Oxidation of Methane to Syngas under Pressure」(Ind. Eng. Chem. Res . 2001, 40, 3475-3483)
【非特許文献4】G. Veser著「Experimental and Theoretical Investigation of H2 Oxidation in a High-Temperature Catalytic Microreactor」(Chem. Eng. Sei. 2001, 56, 1265-1273)
【非特許文献5】R. Narayanan他著「Catalysis with Transition Metal Nanoparticles in Colloidal Solution: Nanoparticle Shape Dependence and Stability」(J. Chem. Phys. B, 2005, 109, 12663-12676)
【非特許文献6】Z. Chen他「Supportless Pt and PtPd Nanotubes as Electrocatalysts for Oxygen-Reduction Reactions」(Angew. Chem. 2007, 119, S. 4138-4141)
【非特許文献7】J. H. Yuan他著「Highly ordered Platinum-Nanotubule Arrays for Amperometric Glucose Sensing」(Adv. Funct . Mater 2005, 15, 803)
【非特許文献8】H. Wang他著「Pd nanowire arrays as electrocatalysts for ethanol electrooxidation」(Electrochem. Commun. 2007, 9, 1212-1216)
【非特許文献9】H. M. Zhang他「novel electrocatalytic activity in layered Ni-Cu nanowire arrays」(Chem. Commun. 2003, 3022)
【非特許文献10】「Uniform Nickel Deposition into ordered Alumina pores by pulsed electrodeposition」(Adv. Mater. 2000, 12, 582-586)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、比表面積が大きいナノワイヤ又はナノワイヤ構造体を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる課題は、広範囲に使用可能であるナノワイヤ又はナノワイヤ構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利なさらなる構成は、従属請求項において規定されている。
【0012】
本発明によれば、テンプレートベースの方法によって、多数のナノワイヤを製造する。この場合、多数のナノ細孔を有するテンプレートを用意する。該ナノ細孔はテンプレート、特にテンプレートフィルムを貫通する。テンプレートは、該テンプレートの第1の面において陰極層を備える。
【0013】
このために、第1のテンプレートフィルムの第1の面上に、陰極層、好ましくは金属層を堆積する。陰極層は一体的に堆積することができ、たとえばPVD、蒸着、又はスパッタリングによって施すことができる。ただし、好ましくは、陰極層は少なくとも2層で生成される。このために、第1の部分層を、たとえばPVD、スパッタリング、又は蒸着によって堆積し、この第1の部分層を、電気化学的堆積を用いて、場合によっては別の材料から成る第2の部分層によって補強する。たとえば、まず、薄い金属層、たとえば金層をスパッタリングし、その後、この金層を電気化学的に、たとえば銅層によって補強する。これは、最初に比較的薄い層をスパッタリングすることができ、コスト効率を良くすることができるという利点を有する。
【0014】
好ましくは、通常のプラスチックフィルム、特にポリマーフィルムに、エネルギー放射、特に高エネルギーイオンを照射することによって、ナノ細孔が混じっているテンプレートを製造する。たとえば、数MeV/u〜数百MeV/uのエネルギーで、ポリカーボネートフィルムにイオンを照射する。ここで、イオンのエネルギーは、イオンがテンプレートフィルムを完全に横断するように選択する。イオンのエネルギーはしたがって、照射されるフィルムの厚さに依存し、対応して選択される。このような高エネルギーイオンビームは、たとえば、ダルムシュタット所在の重イオン研究所のシンクロトロンにおいて得るこができる。照射によって、テンプレートを貫通する多数のトラックが生じる。トラックは、フィルムの分子構造、たとえばポリマー構造が、個別の各照射イオンの軌道に沿って破壊されることを特徴とする。これらのトラックを「潜在トラック」と呼ぶ。破損はトラック中心部(Spurkern; track core)において最大であり、1/r2で低減する。エッチング技法によって、破壊された分子構造を有する材料をトラックから除去して、潜在トラックをエッチングして、開いたチャネルを形成することができる。チャネルは、数ナノメートルまでの直径で製造することができ、ナノ細孔と呼ぶ。ここで、潜在トラック、ひいては後に生成されるナノ細孔は、テンプレート表面の平面に関して確率的に分布している。
【0015】
続いて、ナノ細孔内において、導電性材料、特に金属の電気化学的堆積によって、ナノワイヤを堆積、すなわち「成長」させる。ここで、ナノワイヤは、ナノ細孔内部で、テンプレートの第1の面において陰極層上で成長する。陰極層は、ナノ細孔内でのナノワイヤの堆積の前に、テンプレートフィルム上で堆積される。これは、イオン照射の前に、イオン照射とナノ細孔を生成するためのエッチングとの間で、又は、ナノ細孔を生成するためのエッチングの後で実施することができる。
【0016】
この種のナノワイヤ製造では、したがって、陰極層の内側から開始して、ナノ細孔を、電気化学的堆積を用いて満たす。ここで、ナノワイヤがナノ細孔内で成長する。ナノワイヤの成長プロセスは陰極層において開始し、ナノワイヤは、ナノ細孔の内部で、陰極層からテンプレートフィルムの対向する面まで成長する。このために、ナノ細孔によって貫通されており且つ片側が伝導的に被覆されている誘電性テンプレートフィルムを電気化学的堆積装置内に設置する。そして、金属イオンの電気化学的堆積を用いて、ナノワイヤをナノ細孔内で成長させる。ナノ細孔内部の金属から成るナノワイヤは、特に直接的に陰極層上で成長する。ここで、ナノワイヤは陰極層と固く一体化する。
【0017】
ナノワイヤ生成のこのような方法は基本的に既知である。たとえば、T. W. Cornelius 他著「Controlled fabrication of poly- and single-crystalline bismuth nanowires」(Nanotechnology 2005, 16, S. 246-249)、並びに、Thomas Walter Corneliusの論文(GSI, 2006)、Florian Maurerの論文(GSI, 2007)、及びShafgat Karimの論文(GSI, 2007)を参照されたい。なお、これらは本明細書に参照により援用される。ただし、これらの方法では、一様なナノワイヤのみが得られる。
【0018】
本発明者らは、適切なパラメータを用いて、パルス化して、より詳細には反転パルス方法で電気化学的堆積を行う場合、特別に構造化されたナノワイヤを製造することができることを発見した。反転パルス方法では、時間的に交互に連続して生じる、陰極堆積パルス及び陰極堆積パルス間の陽極逆パルスをテンプレートフィルム又は陰極層に印加する。陰極堆積パルスの期間中、陽極に関して、負の電圧が陰極層に印加される。それによって、各陰極堆積パルスの期間中、ナノワイヤは常に、各陰極堆積パルスの期間に依存する長さ、及びナノ細孔の直径によって規定される第1の直径の分だけナノ細孔内で成長する。陰極堆積パルスの期間中では、対応するセグメントが、ナノ細孔を半径方向において完全に塞ぐ。陰極堆積パルス間では、それぞれ時間的空白が設けられる。反転パルス方法では、この空白において、陽極逆パルスとして逆電圧を印加する。逆パルスの期間中、陰極層には正の電圧が、陽極には負の電圧が印加されているが、それでも、「陰極層」及び「陽極」という呼称は意味を持って使用されていることは当業者には明らかである。驚くべきことに、陽極逆パルスの期間中では、ナノワイヤ成長が単純に停止するといったことは明らかに起きず、代わりに、より小さい直径を有するセグメントがナノワイヤにおいて生じることが明らかになった。該直径は、各ナノ細孔を半径方向に完全に塞がず、より小さいものである。したがって、陰極堆積パルス間の陽極逆パルスの期間中では、ナノワイヤは常に、各陽極逆パルスの期間に依存する長さ、及び第2の直径の分だけナノ細孔内で成長する。ここで、第2の直径は第1の直径よりも小さい。したがって、それによって、ナノワイヤの長さに沿って厚いセグメントと薄いセグメントとが交互に連続するセグメント化ナノワイヤを生成することができる。この後、テンプレートフィルムを溶解及び除去する。ポリマーフィルムの場合は適切な溶媒を使用する。それによって、セグメント化ナノワイヤが露出する。
【0019】
陽極逆パルスが陰極層からの正の電流フローをもたらす場合に、セグメント形成が成功すると考えられる。陰極層と陽極との間に電流フローが存在しない点を、平衡電圧(Gleichgewichtsspannung: equilibrium voltage)と呼ぶ。平衡電圧は、特に、材料及び電解質の濃度に依存し、場合によっては、さらに、温度に依存する。当業者は、平衡電圧を各堆積システムに関して求めることができる。
【0020】
陰極堆積パルスとは、本明細書においては、陽極から陰極層の方向に正の電流フローをもたらすために、陽極に関して、平衡電圧よりも負である電圧を陰極層に印加する電圧パルスを意味する。
【0021】
陽極逆パルスとは、本明細書においては、陰極層から陽極の方向に正の電流フローをもたらすために、陽極に関して、平衡電圧よりも正である電圧を陰極層に印加する電圧パルスを意味する。
【0022】
実施例において使用した堆積パラメータでは、陽極に関して陰極層の平衡電圧は約−400mVであった。その結果、+400mVの電圧が陰極層に印加される場合、陰極に関して、平衡電圧に対して相対的な+800の相対電圧で陽極逆パルスは調整される。
【0023】
陽極逆パルスは好ましくは、平衡電圧に対して相対的な特定の正の最小電圧を有し、それによって、所望の効果を達成する。平衡電圧に対して相対的な陰極層への正の相対電圧はしたがって、好ましくは少なくとも+100mV、さらに好ましくは少なくとも+400mV、特に好ましくは+800mV±400mVである。陰極層と陽極との間の平衡電圧が−400mVの場合、これは、少なくとも−300mVよりも正の、さらに好ましくは0mVよりも正の、特に好ましくは+400mV±400mVの絶対電圧を意味する。
【0024】
したがって、上述した方法によって、セグメント化ナノワイヤを製造することができる。該セグメント化ナノワイヤでは、第1の直径を有する第1のセグメントと第2の直径を有する第2のセグメントとが交互に存在する。ここで、第1の直径は第2の直径よりも大きい。換言すると、常に、大きい方の直径を有する2つの隔たった第1のセグメントが、それらの間に存在する、小さい方の直径を有する第2のセグメントによって、互いに固く結合している。したがって、以下において、第1のセグメントを主セグメントと呼び、第2のセグメントを結合セグメントと呼ぶ。主セグメント及び結合セグメントは同じ材料から成る。
【0025】
主セグメント及び結合セグメントは、堆積プロセスに起因して、一体的に互いと結合している。これらのセグメントは共に、電気化学的に成長した材料から成る単一のナノワイヤを形成する。主セグメントはしたがって、ネックレスの真珠のように、結合セグメントによって互いに結合される。
【0026】
有利には、セグメント化ナノワイヤの表面は、一定の直径を有する一様なナノワイヤの表面よりも大きい。さらなる利点は用途に応じる。
【0027】
第1のセグメントの長さは、陰極堆積パルスの時間期間によって意図した通りに調整される。第2のセグメントの長さは、時間的空白の時間期間によって意図した通りに調整される。特に、第1のセグメント及び第2のセグメントの長さは、陰極堆積パルス及び時間的空白のそれぞれの時間長によって、互いから独立して調整することができる。したがって、第1のセグメント及び第2のセグメントのそれぞれの所定の長さを選択することができる。この場合、選択された、ひいては予め求められた、第1のセグメント及び第2のセグメントのそれぞれの長さを製造するために、陰極堆積パルス及び時間的空白の時間長を対応して調整する。
【0028】
第1のセグメント及び第2のセグメントは好ましくは、異なる長さを有する。これに関して、大きい方の直径を有する主セグメントの長さを、小さい方の直径を有する結合セグメントの長さよりも長く調整することが好ましい。このために、陽極逆パルスの時間期間を、陰極堆積パルスの時間期間よりも短く選択する。好ましくは、陰極堆積パルスの時間期間を、60秒未満に、好ましくは20秒未満に、特に好ましくは1秒〜5秒の範囲内で調整する。陽極逆パルスの期間は、好ましくは、陰極堆積パルスの長さよりも5倍〜1.5倍の倍数範囲内で短い。陽極逆パルスは、好ましくは0.1秒〜5秒、特に好ましくは0.3秒〜3秒の長さを有する。しかしながら、陰極堆積パルスの期間及び陽極逆パルスの期間は、セグメントの形成を確実にするために、短すぎてもならない。陰極堆積パルス及び/又は陽極逆パルスの最低期間は少なくとも100msと想定される。
【0029】
したがって、製造されるナノワイヤは、電気化学的に成長する導電性材料、特に金属又は金属化合物から成り、交互に連続する、大きい方の直径を有する多数の主セグメント及び小さい方の直径を有する多数の結合セグメントを有する。したがって、本明細書では、セグメント化ナノワイヤという用語を用いる。各セグメントの長さは、たとえば数nm〜数百nmの範囲内で、非常に小さく調整することができるため、セグメント化ナノワイヤは、100個よりも多く、場合によっては1000個よりも多い、交互に現れる主セグメント及び結合セグメントの対から成る。換言すると、主セグメント及び結合セグメントは、ナノメートルスケールで、各ナノワイヤの長手方向において規則的に交互に現れる。それによって、各ナノワイヤの長手方向において途切れることなく、2つの主セグメントの間にちょうど1つの結合セグメントが常に存在するようになる。
【0030】
本発明による方法によって、主セグメントの長さが100nmよりも短いセグメント化ナノワイヤを製造することができる。概して、主セグメントの長さは自由に予め決定することができ、1000nm未満の長さが有利であると考えられる。結合セグメントの長さは、セグメント化ナノワイヤの十分な安定性を保証するために、好ましくは10nm未満に調整される。
【0031】
主セグメントの形状は、実質的に円柱状である。これは、主セグメントはナノ細孔の内部形状を模倣するためである。ナノ細孔の直径が大きすぎない場合にセグメント化は良好に成功するということが分かっている。ナノ細孔の直径、ひいては主セグメントの直径は好ましくは、500nmよりも小さく、特に好ましくは、数ナノメートルと数百ナノメートルとの間にある。好ましくは、主セグメントの直径は、ナノワイヤの長さにわたって一定である。
【0032】
陰極堆積パルス及び陽極逆パルスから成るパルス電圧を、堆積装置において、それぞれ一定のパルス期間で規則的に繰り返されるように調整した場合、第1のセグメント及び第2のセグメントは、少なくともナノワイヤの長さの部分領域にわたって、それぞれ一定の長さを有する。それによって、セグメント化は、少なくともナノワイヤの長さの部分領域にわたって規則的になる。
【0033】
基本的に、テンプレートベースの方法では、テンプレートフィルム内に、多数のナノワイヤを一度に製造することができる。該ナノワイヤは、製造後に、陰極層の溶解によって、互いから分離させることができる。それによって、別個の多数のセグメント化ナノワイヤが生じる。
【0034】
しかしながら、多数のセグメント化ナノワイヤから成るアレイを含む安定したナノワイヤ構造体を製造することも同様に有利である。
【0035】
これは、たとえば、陰極層が基板層としてナノワイヤアレイに残り、各ナノワイヤが端部において基板層と固く結合することによって達成することができる。このために、事前に陰極層を除去することなく、テンプレートフィルムを溶解する。この場合、陰極層は二重機能を有する。すなわち、陰極層は、一方では、電気化学的堆積方法のための電極としての役割を果たし、他方では、完成したナノワイヤ構造体において、安定して閉じている基板層又はカバー層としての役割を果たす。つまり、陰極層は、生成されるナノワイヤ構造体の一体的構成要素として残り、ナノワイヤ構造体から取り除かれることはない。ただし、ナノ細孔内でのナノワイヤの堆積後、陰極層を除去し、新たなカバー層を施すといったことも考えられる。
【0036】
さらに、2つのカバー層間に配置される、セグメント化ナノワイヤから成るナノワイヤアレイを、該ナノワイヤアレイがサンドウィッチ状に2つのカバー層間に閉じ込められるように含むナノワイヤ構造体を製造することも可能である。したがって、この場合、好ましくは陰極層によって形成される基板層に加えて、さらに第2のカバー層が、対向する面において設けられる。
【0037】
ナノワイヤアレイと第2のカバー層との間の安定した結合を達成するために、ナノワイヤの電気化学的堆積プロセスは、少なくとも、テンプレートフィルムの第2の面においてナノワイヤ上にキャップが形成されるまで続く。第2のカバー層の生成に関して、さらに、特に以下の2つのオプションを提示する。
【0038】
電気化学的堆積過程を、ナノ細孔を完全に満たした後にさらに続ける。ここで、最初にテンプレートフィルムの第2の面において、キャップがナノワイヤ上で成長する。電気化学的堆積過程をさらに続けていくと、複数のキャップが一体化して平坦に閉じている層を形成し、この平坦に閉じている層は、堆積時間が長くなるにつれて厚くなる。したがって、ナノワイヤの生成又は成長に用いられる電気化学的堆積過程を単に、第2のカバー層が、十分に厚く、安定した、平坦に閉じている層の形態に完全に成長するまで続ければよい。ここで、ナノワイヤ及び第2のカバー層全体は、電気化学的に堆積された材料から成る一体的に成長した構造体を形成する。したがって、図1の部分ステップ(d1)及び(d2)を、同じ導電性材料を用いる同じ電気化学的堆積過程の部分ステップとして、実施する。
【0039】
代替的に、ナノワイヤの生成のための電気化学的堆積過程を、テンプレートフィルムの第2の面において、キャップがナノワイヤ上で成長し、キャップが少なくとも部分的に一体化しているが、まだ安定した第2のカバー層が生成されていない段階まで続け、その後になってから一度終了させる。第2のカバー層は、第2の別個の後続する堆積過程にて完成する。ここでは、平坦に閉じているさらなる層を、少なくとも部分的に一体化したキャップ上に堆積し、それによって、少なくとも部分的に一体化したキャップと平坦に閉じているさらなる層とから成る、二層構成の安定した第2のカバー層が生じる。したがって、少なくとも部分的に一体化したキャップは、第2のカバー層の第1の部分層を形成し、該さらなる層は第2のカバー層の第2の部分層を形成する。上記別個の堆積過程は同様に電気化学的堆積とすることができるが、たとえば蒸着又はスパッタリングのようなPVD法を含むことができる。この別個の堆積過程が電気化学的堆積であっても、第2の部分層のために、ナノワイヤ及びキャップのための材料とは別の材料を使用することができる。第2の部分層は、セグメント化ナノワイヤとは異なり、好ましくは直流法によって電気化学的に堆積される。それによって、第2のカバー層の堆積時間を短縮することができる。
【0040】
したがって、第2のカバー層を、部分的に又は完全に、導電性材料、好ましくは金属の電気化学的堆積によってテンプレートフィルムの第2の面において生成する。それによって、第2のカバー層がナノワイヤと固く一体化するようになる。
【0041】
好ましくは、まず、イオン照射を行い、その後、ただしエッチング前に、陰極層を施す。陰極層をテンプレートフィルム上に施した後で初めて、潜在イオン誘起トラックからナノ細孔をエッチングする。したがって、特に、伝導性金属層をテンプレートフィルム上に施し、該金属層を電気化学的に補強してから、潜在イオントラックに化学エッチングプロセスを受けさせる。このようにして、陰極層の金属が孔内で堆積する可能性を排除する。それによって、生成されるナノワイヤ構造体の機械的安定性を向上させることができる。さらに、孔は特に正確な円筒形を有し、その両端が狭窄化することはない。
【0042】
したがって、この好ましい実施の形態の結果として、テンプレートフィルムを除去した後に、多数の隣接して配置されているセグメント化ナノワイヤのアレイと、2つの平行して隔たっている、平坦に閉じているカバー層とから成る空隙構造を有するナノワイヤ構造体が得られる。2つのカバー層は、この実施の形態では、ナノワイヤ構造体の一体的構成要素であり、セグメント化ナノワイヤから分離することはなく、ナノワイヤと固く結合し続け、より正確には、電気化学的堆積過程によって原子/分子レベルで互いに一体化している。
【0043】
したがって、ナノワイヤは、この実施の形態では、2つのカバー層に対して直角に、該2つのカバー層間で延在し、ナノワイヤは、第1の端部において陰極層と、第2の端部において第2のカバー層と一体化している。それによって、ナノワイヤは、2つの層を互いに固く結合させ、2つのカバー層間の距離を規定する。それによって、両側がカバー層によって境されていると共に多数のセグメント化ナノワイヤが貫通している空隙構造を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造体が生じる。
【0044】
さらに、この実施の形態では、ナノワイヤ間に、互いに結合している空間が存在する。空隙構造はしたがって、カバー層に平行な平面において、2次元のオープンセル型である。それによって、セグメント化ナノワイヤの非常に大きな表面積との相互作用のために、2つのカバー層間で、2次元のオープンセル型の空隙構造を通じて流体を導くことができる。換言すると、2つの閉じているカバー層と、該2つのカバー層間でサンドウィッチ状に閉じ込められていると共に該2つのカバー層と結合しているナノワイヤアレイとから成る、独立して存在する安定したナノワイヤ構造体が形成される。両側が平坦に閉じているナノワイヤアレイ、又は、ナノワイヤアレイによって貫かれている層状の(schichtartiger: layer-like)空隙構造を有するこのナノワイヤ構造体は、たとえばマイクロリアクタの構成要素として、特に不均一触媒のためのマイクロ触媒構成要素として非常に適している。
【0045】
2つのカバー層間の距離又はセグメント化ナノワイヤの長さは、テンプレートフィルムの厚さによって規定され、好ましくは200μm以下、特に好ましくは50μm以下である。これは、ナノワイヤが別々になる場合にも該当する。
【0046】
しかしながら、この製造方法によって、生成されるセグメント化ナノワイヤ構造体のさらなる特定の構造特性が生じる。ナノワイヤは、電気化学的に堆積される材料から成長することによって、たとえばX線回折によって調査することができる特定の結晶構造を有することができる。
【0047】
さらに、ナノワイヤ構造体において、ナノワイヤは、電気化学的堆積に起因して、両側においてそれぞれのカバー層と直接的に固く一体化している。ナノワイヤの電気化学的堆積を、少なくとも、キャップが成長し、場合によっては一体化するまで続けることによって、ナノワイヤ及び第2のカバー層の少なくとも一部は一体的に成長する。さらにこれは、特に、ナノワイヤがキャップと一体的に成長し、ナノワイヤ及びキャップが少なくとも部分的に互いと一体化する場合に、構造的に検出することができる。またこれは、ナノワイヤの生成に用いられた堆積過程を、キャップの一体化の後に終了させ、それによって、第2のカバー層の第1の部分層を形成し、また、変化した方法パラメータを用いて別個のステップにて、一体化し合っているキャップ上に第2の部分層を堆積する場合も、構造的に検出することができる。このことが該当するのは、カバー層が、異なる材料から成る2つの部分層を含む場合に限られない。
【0048】
アスペクト比が大きくなればなるほど、セグメント化ナノワイヤの活性表面は大きく生成することができる。したがって、ナノワイヤのアスペクト比は、好ましくは1対50以上、特に好ましくは1対100以上である。
【0049】
ナノワイヤ構造体において、ナノワイヤの数の面密度は、同様に活性表面に対する尺度であり、好ましくはn/F=107cm−2以上、特に好ましくはn/F=108cm−2以上である。
【0050】
ナノワイヤ構造体の活性表面に対する特定の尺度として、ナノ構造体の面(カバー層の面)及びナノワイヤの長さ(構造化空隙の高さ)当たりのナノワイヤの幾何学的比表面積Avを挙げることができる。この幾何学的比表面積Avは、少なくとも1mm2/(cm2 μm)とすべきである。しかしながら、より大きな値が好ましい。すなわち、Avは、5mm2/(cm2 μm)以上、20mm2/(cm2 μm)以上、又はさらには100mm2/(cm2 μm)以上である。さらに、場合によっては、値は、1000mm2/(cm2 μm)までとすることができる。
【0051】
反転パルス方法を用いるナノワイヤの製造においては、ナノワイヤは明確な<100>集合組織又は結晶構造を有する。たとえば金のような特定の金属に関しては、可能な限り小さな結晶を生成することが有利であり得る。このために、4nm以下の結晶サイズを達成することが好ましい。既に、一般的には、10nm以下の平均結晶サイズが有利であり得るとされている。
【0052】
結晶集合組織に起因して、表面積の実際の大きさは、滑らかな円柱表面に基づく幾何学的比表面積Avよりも大きく、詳細には、好ましくは約4倍〜5倍である。
【0053】
いわゆるイオンビーム誘起エッチングによる、ナノ細孔によって貫通されるテンプレートの製造を上述した。しかしながら、ナノ細孔によって貫通されるテンプレートの製造のために、たとえばアルミニウムフィルムの陽極酸化処理のような他の方法も使用することができることは明らかである。
【0054】
陽極酸化アルミニウムにおけるナノ細孔アレイの製造に関しては、A. P. Li他著「Hexagonal Pore Arrays with a 50-420 nm Interpore Distance Formed by Self-Organization in Anodic Alumina」(Journal of Applied Physics, 84-11, 1998, S. 6023-6026)と、J.W. Diggle、Thomas C. Downie、及びC.W. Gouldingの総説(S. 365-405 DOI: 10.1021/cr60259a005)とを参照されたい。なお、これらは参照により本明細書に援用される。このような陽極酸化アルミニウムテンプレートは、ナノ細孔が亀甲模様(hexagonalen Musters: hexagonal pattern)の形態で規則的に配置されているという特別な特性を有する。
【0055】
本発明に従って製造されるナノワイヤ構造体に対する特に好ましい利用分野は不均一触媒である。すなわち、1つ又は複数のナノワイヤ構造体は、特にマイクロ触媒のための触媒構成要素としての役割を果たす。このために、1つ又は複数の面において、正面をカバー層で覆い、該カバー層を別のカバー層と一体化させる、すなわち、ナノワイヤ構造体において各正面を一体的に閉じることが有利である。特に簡単には、まず、全正面を閉じ、引き続いて、2つの対向する正面において、カバー層の平面に対して直角にナノワイヤ構造体を切断する。
【0056】
マイクロ触媒は好ましくは、流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、流体供給部と流体排出部との間の触媒要素としての少なくとも1つのナノワイヤ構造体とを含む。それによって、流体供給部から2つのカバー層間の空隙構造内に流体を導き入れ、ナノワイヤ間の空間を通じて導き、流体排出部を通じて空隙構造から排出することができる。ここで、2つのカバー層間のナノワイヤ構造体の2次元のオープンセル型の空隙構造は触媒反応容積を形成し、ナノワイヤの表面は触媒活性表面を形成し、該活性表面と流体が空隙構造内で相互作用する。好ましくは、ナノワイヤは、堆積によって、たとえば多量に(完全に同じ材料から)、たとえば白金から形成されているため、触媒要素は非担持触媒(Vollkatalysator: unsupported catalyst: bulk catalyst:バルク触媒)要素である。
【0057】
以下において、実施例に基づいて且つ図面を参照してより詳細に本発明を説明する。同じ要素及び同様の要素には部分的に同じ参照符号を付している。様々な実施例の特徴を、特にカバー層を有する実施例及び有しない実施例を互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】ナノワイヤ構造体の製造の概要を図式的に示す図である。
【図2】ナノワイヤ構造体の立体概略図である。
【図3】3次元(3D)ナノワイヤ網を備えるナノワイヤ構造体の製造の概要を図式的に示す図である。
【図4】多数の別々のナノワイヤの製造の概要を図式的に示す図である。
【図5】電気化学的堆積のために使用される堆積装置の立体図である。
【図6】陰極層を補強するための堆積装置の透明な立体分解図である。
【図7】ナノワイヤ、及び場合によっては第2のカバー層を堆積するための透明な立体分解図である。
【図8】反転パルス堆積の電圧波形の部分図と、それによって製造されるセグメント化ナノワイヤの関連する走査型電子顕微鏡写真(REM)である。
【図9】別の反転パルス電圧波形を有する図8と同様の図である。
【図10】さらに別の反転パルス電圧波形を有する図8及び図9と同様の図である。
【図11】セグメント化ナノワイヤの透過型電子顕微鏡写真(TEM)である。
【図12】図11のセグメント化ナノワイヤの拡大TEM写真である。
【図13】複数のセグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図14】図13の部分拡大図である。
【図15】セグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図16】図15よりも短い主セグメントを有するセグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図17】図15よりも短い主セグメントを有するセグメント化ナノワイヤのTEM写真である。
【図18】反転パルス堆積によって製造される白金ナノワイヤキャップのREM写真である。
【図19】図18の部分拡大図である。
【図20】ナノワイヤアレイの定電位製造における電流プロファイルである。
【図21】貫流モードのためのナノワイヤ構造体を備えるマイクロリアクタの概略展開図である。
【図22】2つのナノワイヤ構造体を備えるセンサ素子の概略図である。
【実施例1】
【0059】
平行なナノワイヤを備えるナノワイヤ構造体の製造
ナノワイヤ構造体の製造は、テンプレートベースの方法に基づく。該方法の部分ステップを図1において以下のように概略的に示す。
(c1)テンプレートフィルムに対するイオン照射
(b)伝導性の層の施し
(c2)イオントラックのエッチングによるナノ細孔の形成
(d1)ナノワイヤの堆積及びキャップ成長
(d2)第2の金属層の堆積
(e)テンプレートの溶解
【0060】
好ましくは、方法ステップは、図1に示す順番、すなわち(c1)、(b)、(c2)、(d1)、(d2)、(e)で実施される。しかしながら、基本的に、別の順序を使用することも可能であり、たとえば2つの面からエッチングを行い、その後に初めて陰極層を施す部分ステップ(ステップ(b)の前に(c2))も可能である(たとえば図3を参照されたい)。
【0061】
図1を参照すると、まず、テンプレートフィルム12にイオン14を照射する。ここで、軌道に沿って、テンプレートフィルム12の材料内で潜在イオントラック16を生成させる(c1)。テンプレートフィルム12はこの実施例では、ポリマーフィルム、より正確にはポリカーボネートフィルムである。
【0062】
続いて、テンプレートフィルム12の第1の面12aにおいて、薄い伝導性の金属層22a、たとえば金層をスパッタリングする。該金属層は第1の部分層を形成する。引き続いて、第1の部分層22aを第2の部分層24aによって電気化学的に補強する。それによって、陰極層26aを形成する。該陰極層は後に、ナノワイヤ堆積における電極として機能する(b)。第2の部分層24aの電気化学的堆積のために、テンプレートフィルム12を、図5〜図7に示す堆積装置82内に嵌め込む。
【0063】
引き続いて、片側だけ被覆されているテンプレートフィルム12を堆積装置82から取り外し、潜在イオントラック16を化学的にエッチングし、それによって、均一なナノ細孔32を生成する。代替的に、エッチング液を対応する槽88内に注ぎ込み、エッチングの終了後に除去することによって、エッチングプロセスを堆積装置82において行うこともできる。テンプレートフィルムを取り外し、再度組み込む必要はない。円筒形ナノ細孔32の直径は、エッチング時間の調整によって制御することができる(c2)。
【0064】
続いて、以上のようにして用意されたテンプレートフィルム12を再び堆積装置82内に嵌め込み、第2の電気化学的プロセスにおいて、所望の金属をナノ細孔32内に堆積する(d1)。ナノワイヤ34がテンプレートフィルム12の第2の面12bにおける孔端32bに到達すると、キャップ36の形成が始まる。適切な条件下では、キャップ36は平坦に一体化し、陰極層に平行な、閉じているが、まだ十分に安定していない第2の金属層22bを形成する(d2)。この金属層はこの実施例では、第1の部分層22bである。該部分層上には、第2の部分層24bを形成するさらなる金属層が堆積される(d2)。第2の部分層24bによって、一体化したキャップは機械的に安定して埋め込まれる。したがって、第1の部分層22b及び第2の部分層24bは共に、第2のカバー層26bを形成する。
【0065】
最後に、ポリマーフィルム12を、適切な有機溶媒内で溶解させる(e)。このようにして本発明に従って製造されるナノワイヤ構造体1を、図2において概略的に示す。ナノワイヤのセグメントの描写は、簡単にするために、図2では省いている。しかしながら、REM写真及びTEM写真が示すように(図8〜図17)、本発明に従って製造されるナノワイヤ34は、堆積パラメータの適切な選択によって、以下でより詳細に述べるように、実際にはセグメント化されている。少なくとも、第2のカバー層26bの、空隙構造42の方を向いている内側は、ここでは少なくとも部分的に、電気化学的に堆積された層22bによって形成される。
【0066】
テンプレートベースの方法は、多数のパラメータに対して意図した通りに影響を及ぼすことができるという利点を提供する。ナノワイヤ34の長さは、使用されるテンプレート12の厚さによって決定され、好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは約30μm±50%である。ナノワイヤ34の面密度は、照射によって確定され、アレイの製造のために、好ましくは1・107cm−2〜1・109cm−2である。ナノワイヤ34の直径Dは、エッチングの時間長さによって調整され、約20nm〜約500nmとすることができる。アスペクト比は、1000までの値をとることができる。
【0067】
陰極層26a及び第2のカバー層26bの厚さは、それぞれの電気化学的堆積の時間長さによってコントロールされ、十分な安定性が保証されるほどの厚さを有するべきである。好ましくは、第2のカバー層26bの厚さは少なくとも1μmとすべきである。しかしながら、好ましくは、厚さは、5μmよりも大きく、たとえば5μm〜10μmである。同様のことが、陰極層26aにも該当する。
【0068】
ナノワイヤのための材料としては、電気化学的堆積に適した金属が考えられる。以下の金属を用いての経験がある:Cu、Au、Bi、Pt、Ag、Cu、Cu/Co多層、Bi2Te3。
【0069】
ナノワイヤ構造体1に関して、一方では、大きな活性表面を得るために、わずかな直径Dを有するナノワイヤ34が多数存在していることが望ましく、他方では良好な機械的安定性を達成する必要がある。この最適化は、材料に依存し、要求に応じるものである。
【0070】
銅部分層24a及び24b間に白金ナノワイヤ34を備えるナノワイヤ構造体1のために、たとえば、直径が250nmであると共に長さが30μmである108/cm2本のナノワイヤを備える安定した実施態様を製造した。ここでは、アスペクト比は120であった。このような要素は、たとえば触媒要素として適している。
【0071】
ナノワイヤ34を製造するために、ポリマーフィルム12の代わりに、酸化アルミニウムから成る硬いテンプレートフィルムのような他のテンプレートフィルムを使用することもできる。ここでは、達成可能な孔径は10nm〜200nmである。厚さはここでは、6.5・108cm−2〜1.3・1011cm−2である。多孔性酸化アルミニウムテンプレートは、規則的に並べられた構造の生成を可能にする。テンプレートとしては、イオントラックエッチングされるガラス及びマイカフィルムも考えられる。これらのテンプレートでは、テンプレートの溶解はフッ化水素酸(HF)を用いて行われる。それによって、ワイヤ堆積及び金属層のための金属の種類が幾らか制限される。
【実施例2】
【0072】
網目状に結合したナノワイヤアレイを備えるナノワイヤ構造体の製造
図3は、網目状に結合したナノワイヤアレイを備えるナノワイヤ構造体の製造を概略的に示している。ここで、テンプレートフィルム12に、複数の異なる角度でイオンを照射する。それによって、潜在トラック、及び後では、交差ナノ細孔又は交差ナノワイヤが、互いに対してたとえば90度の角度で延在するようになる。当然のことながら、他の角度も可能である。
【0073】
異なる角度でテンプレートフィルム12に対して連続して照射を続けるために、まず、対応する放射管、たとえばGSIのシンクロトロンにおけるイオンビームの方向に対する第1の角度でテンプレートフィルム12を位置決めし、所定の第1のイオン面密度で該テンプレートフィルムに対して照射を行う。引き続いて、テンプレートフィルム12を放射方向に対して傾斜させ、所定の第2のイオン面密度でもう一度、該テンプレートフィルムに対して照射を行う。さらなる他の角度でナノワイヤを生成することになっている場合は、所望の角度の数だけこの過程を繰り返す。3次元網の製造のために、たとえば、ビーム軸に対する極角で位置決めされるテンプレートフィルム12を、ビーム軸を中心にして方位角回転させる。他には、図1に示されている実施例と同様の事を行うが、第2のカバー層は省くことができる。
【0074】
このようにして製造されるナノワイヤ構造体1を概略的に図3(e)に示す。ナノワイヤ構造体1は、交差して一体化しているナノワイヤ34から成るナノワイヤアレイ35を含むか、又は、該ナノワイヤアレイから成る。該ナノワイヤは、一体的な相互接続ナノワイヤ網37を形成する。網37は、一体化しているナノワイヤの相互接続構造に起因して、カバー層がなくても、すなわち全面において開いていても、特定の固有安定性を有する。ただし、たとえば片側(残っている陰極層26aである基板層)の、又は、サンドウィッチ構造を形成するための両側のこのようなカバー層を排除することは意図していない。
【実施例3】
【0075】
別個のナノワイヤの製造
図1又は図3に基づいて説明されているようにナノワイヤ構造体1を製造することが確かに好ましいが、別個のセグメント化ナノワイヤ34を製造することも基本的に可能である。図4に製造ステップの概略図を示す。この場合、キャップ成長が始まる(d1)前に電気化学的堆積を停止させ、その後、陰極層26aを除去する。これは特に、陰極層26a、又は少なくとも第1の部分層22aがナノワイヤ34とは別の材料から成る場合に可能である。その後、ステップ(e)においてテンプレートフィルム12を溶解する。それによって、個々のナノワイヤ34が別々になる(図示せず)。
【0076】
ナノワイヤのセグメント化を達成するための例示的なパラメータ
全ての上述した実施例は、本発明に従って、セグメント化ナノワイヤ34と共に製造される。
【0077】
たとえば、30μmの厚さの、円形の(r=1.5cm)ポリカーボネートフィルム12(Makrofol(登録商標))を使用し、該ポリカーボネートフィルムに、11.1MeV/uのエネルギーで、且つ、3・107イオン/cm−2のフルエンスで重イオン14を照射した。伝導性金属層22aを施す前に、トラック16に沿ったエッチングの選択性を高めるために、ポリマーフィルム12の各面を、1時間にわたってUV光で照射する。
【0078】
ポリカーボネートフィルム12の第1の面12aにおいて、約30nmの厚さの金層22aをスパッタリングする。CuSO4系の電解質溶液(Cupatierbad、Riedel製)に基づく銅を、U=−500mVの電圧で定電位堆積することによって該金層を補強する。ここで、銅棒電極が陽極としての役割を果たす(部分層24a)。堆積を30分後に終了させる。その後、銅層24aの厚さがおおよそ10μmになる。続いて、60℃で、NaOH溶液(6M)を用いて25分にわたって、テンプレートフィルム12の未処理の面12bからエッチングを行い、脱イオン水によって徹底的に洗浄を行い、それによって、エッチング液の残りを除去する。そして、ナノ細孔を有するテンプレートフィルム12を堆積装置82内に嵌め込む。ナノワイヤ34の堆積を、65℃で、アルカリ性Pt電解質(Pt-OH-Bad、Metakem)を用いて行う。
【0079】
図8を参照すると、ナノワイヤ34の生成のために反転パルス堆積の方法を使用する。電圧符号は、別途指示がない限り、それぞれ、陰極層36aから見た場合の陰極層36aと陽極96との間の電圧に関する。
【0080】
U=−1.3Vの絶対電圧での5秒間にわたる陰極堆積パルスの後に、U=+400mVの絶対電圧での1秒間にわたる陽極逆パルスが続き、その後も同様に進行する。上方の図は、時間の関数としての、陰極層26aに印加されるパルス電圧波形の一部を示す。数十分後に、堆積を停止させ、成長をコントロールする。使用した装置と、テンプレートフィルム12としてのポリカーボネートフィルムとでは、この実施例の場合、平衡電圧は約−400mVである。その結果、それぞれ平衡電圧に対して、陰極堆積パルスの相対電圧は約−900mVであり、陽極逆パルスの相対電圧は約+800mVである。交互に生じる陰極堆積パルス212及び陽極214逆パルス214を、数十分の堆積期間にわたって数百回繰り返す。図8は、少数のパルス212及び214のみを示す部分図である。
【0081】
図8の一部であるREM写真(図8の下方)では、この連続するパルスによって生成されるセグメント化ナノワイヤ34を見てとれる。セグメント化ナノワイヤ34は、規則的に交互に連続する厚い主セグメント34cと薄い結合セグメント34dとから成る。結合セグメント34dはそれぞれ、2つの隣接する主セグメント34cを互いに結合させる。しかしながら、ナノワイヤ34はそれでも、均一な材料から成長する。結合セグメント34dは、ナノワイヤ34の規則的に存在する狭窄部として捉えることもできる。主セグメント34cは、概ね50nm〜100nmの長さを有する。結合セグメント34dは、概ね10nm以下の長さを有する。
【0082】
図9は、図8と同様の図であるが、陰極堆積パルス212が2.5秒まで短縮されている。したがって、主セグメント34cは、図8におけるよりも短く、詳細には約半分である。陽極逆パルス214は1秒の長さで一定に保った。
【0083】
図10は、図8及び図8と同様の図であるが、陰極堆積パルス212が1.5秒まで短縮されている。したがって、主セグメント34cは、図9におけるよりもさらに短い。ナノワイ34の表面が大きくなればなるほど、連続するセグメント34c及び34dは短くなり、より多くのセグメントをナノワイヤ34が有するようになることは明らかである。
【0084】
したがって、本発明による方法では、セグメント化の繰り返し率の所定の長さを、陰極堆積パルス212の時間長を対応して選択することによって調整することができる。特に、主セグメント34cの長さを意図した通りに調整することができる。結合セグメント34dの長さも、陽極逆パルス214の時間長の選択によって調整することができると考えられる。しかしながら、この長さは、セグメント化ナノワイヤ34の十分な安定性を得るために、大きすぎないように選択すべきである。さらに図8〜図10において、セグメント34c及び34dが、それぞれのナノワイヤの内部で、少なくともナノワイヤ34の図示されている部分領域において、ナノワイヤ34に沿って実質的に一定の長さを有することが分かる。直径も一定であり、これは、ナノ細孔32の円筒形状に起因する。
【0085】
第2のカバー層26bを生成するのであれば、キャップ36が十分に一体化して部分層22bとなるまでさらに堆積を行う。それによって、その後、U=−500mVで約30分にわたって銅部分層24bの定電位堆積を行うことができる。
【0086】
最後に、ナノワイヤ構造体全体をテンプレートフィルム12と共に、数時間にわたって10mlの塩化メチレンを有する容器内に置くことによって、テンプレート材料を除去する。完全にポリマー残留物を除去するために、溶媒を3回交換する。
【0087】
本発明者らは、セグメント化のプロセスを以下のように説明することができると考えている。金属イオンがナノ細孔32内を進むことを可能にする一般的な輸送プロセスは電解質溶液内での拡散である。ナノワイヤ34の堆積では、2つの異なる種類の拡散が生じ、該拡散がセグメント長に影響を及ぼす。ナノ電極(ナノワイヤ34はナノ電極とみなすことができる)の電気化学的挙動は、マクロ電極の挙動とは異なる。金属イオンは、電極表面において還元され、それによって、溶液から取り除かれる。それによって、拡散層が形成され、イオンが乏しい領域と溶液内の濃度との間の濃度勾配が生じる。拡散層は、時間の経過と共に溶液内へと成長する。それによって、時間が経つにつれて、拡散制限電流(diffusionslimitierte Strom: diffusion-limited stream)が減少する。
【0088】
短時間で、ナノチャネル32内で平面拡散を行うことができ、挙動はコットレルの式によって記述することができる。1/t1/2に比例する、時間に依存する拡散制限電流が生じる(ここで、tは時間である)。時間がより長くなると、拡散層はナノ細孔32から溶液内に入る。ここでは、球面拡散挙動が存在する。この場合、電流はほとんど時間に依存しない。
【0089】
図20において、ナノワイヤアレイ35の定電位製造中の電流プロファイルを示す。曲線は3つの領域に分割することができる。領域Iでは、電流信号の急激な低下を観察することができる。ここでは、ナノ細孔32内で平面拡散が存在している。領域IIでは、拡散層は既に溶液内に入っており、半球拡散が優勢となっている。最後に、ナノワイヤ34は領域IIIにおいて、成長してナノ細孔32から出て、キャップを形成する。電極表面は拡大し、新たに平面拡散が生じる。
【0090】
反転パルス長が十分に短いと仮定すると、ナノワイヤアレイの定電位製造中の上述した拡散挙動によって、ナノワイヤ34は良好に、反転パルスによる、セグメント化ナノワイヤを備えるアレイの電気化学的堆積へと移行する。それによって、濃度差の過度な調整は不要であり、拡散層は溶液内へと成長しなくなる。したがって、陰極堆積パルス212及び陽極逆パルス214のパルス長は対応して、十分に短く選択される。
【0091】
陰極堆積パルス212のパルス長及び陽極逆パルス214のパルス長を一定に保つと、セグメント長は拡散電流に比例する。拡散電流は短時間後に比較的一定となるため、セグメント34c及び34dの長さも、短い堆積時間後に一定となるはずである。これを、透過型電子顕微鏡(TEM)写真によって確認する。図11において、主セグメント34cが最初は、回転軸に沿って左下から右上までどんどんと長さを増していき、後に約2μmの一定の長さに到達したところで停止することが分かる。図12による、同一のナノワイヤ34のワイヤ中心のTEM写真は、同じ長さのセグメントを示している。写されている白金ワイヤ34は、図8に示すように、U=−1.3Vの絶対電圧での5秒間の陰極堆積パルスと、U=0.4Vの1秒間にわたる陽極逆パルスとによって製造した。
【0092】
堆積の開始時には比較的短く、ワイヤ軸の長さに沿ってより長くなるセグメントに関しては、以下によって説明することができる。すなわち、最初は、拡散層は非常に短いため、小さな容量の金属イオンもナノチャネル32内で、陰極堆積パルス212のパルス長の期間中に、再供給(nachgeliefert: delivered in addition)及び還元されることができる。拡散層は溶液内へと成長し、拡散ゾーン内に入る電気化学的活性種の量が増加する。拡散電流は、最終的に、半球拡散に起因して孔開口においてほとんど時間に依存しなくなるまで増大する。この場合、主セグメント34cの長さはほとんど変化しない。ナノワイヤ34がナノ細孔32の端部に到達すると、半球状のキャップ36が形成される。孔端にまだ完全に到達していない、近接して存在するナノワイヤ34は、成長がはるかに遅い。これは、物質輸送全体がほとんど、新たに形成されたキャップ36へと行われるためである。キャップ36が大きくなればなるほど、キャップ表面への拡散の平面成分は大きくなり、半球成分は小さくなる。したがって、拡散電流密度が低下する一方、大きくなった電極面に起因して電流全体は増加する。この移行は、反転パルス堆積によって製造されたキャップ36において知覚可能である。図18及び図19に、生成中にテンプレート12の方を向いている、ナノワイヤキャップ36の面を見てとれる。環状構造はパルス方法によって生じる。キャップ部分は、中心から外側へと成長する。各リングセグメントは、陰極堆積パルス212と陽極逆パルス214との対に対応する。上記部分は、拡散電流が低下するにつれて、外側に向かって薄くなる。この方向において、面全体は電流全体と共に増大する。したがって、キャップ36もセグメント化されており、詳細には環状である。
【0093】
セグメント形成は、十分に正である陽極逆パルス214によっても保証される。陽極逆パルス214の期間中、輸送プロセスがナノ細孔32内で、成長ナノワイヤの端部から孔端へと行われるものと考えられる。この輸送プロセスは、ナノチャネル壁においてはより速い。それによって、セグメントの円柱形状からのずれが常に生じ、それによって、常により薄い結合セグメント34dを形成する狭窄部が生じる。これに関しては、孔壁の電荷及び電解質溶液のpH値が関係していると思われる。電解質溶液は好ましくはアルカリ性である(ph>7)。セグメントは、孔中央部において、端部におけるよりも「より深く」孔内に入る。これはTEM写真において見てとれる(たとえば図15)。ここでは、個々の主セグメント34c間においてそれぞれ、はっきりとした狭窄部が存在していることも分かる。それによって、隣接する主セグメント34cは結合セグメント34dと一体化している。結合セグメント34dはわずかな直径を有する。これは特に、図13〜図17においてはっきりと見てとれる。このようにセグメント化されるナノワイヤ34は、均一な円柱ワイヤと比べてより大きな表面を有すると共に、伝導性がより小さい、すなわち抵抗がより大きいはずであり、非常に興味深い。
【0094】
したがって、このようにセグメント化されたナノワイヤ34の調査によって、拡散電流、ひいては拡散挙動を容易に調査することができる。各パルスによる明確な構造化によって、生成の時間的推移に関する記述が可能になり、この疑似1次元ナノ構造が、輸送プロセスに関して、高いアスペクト比を有する材料における電気化学的堆積のためのモデルシステムとなる。
【0095】
おそらく、反転パルス堆積中のナノチャネル32における輸送プロセスは、セグメント34c及び34dの形成に関して重要であると考えられる。セグメントの形成のためには、ナノワイヤ34の電気化学的堆積のために、アルカリ性電解質溶液(pH>7)を、テンプレートフィルムとしてのポリマーフィルム12、特にポリカーボネートフィルムと共に使用することが適していることが分かっている。電解質溶液は、好ましくはさらに強いアルカリ性を有する(pH>11)。
【0096】
ポリカーボネートフィルムを使用する場合、負の表面電荷に起因して、たとえばガラス表面及び石英表面においてpH値が十分に正であるときに現れるような、電気二重層が形成されると考えられる。静電気力によって、好ましくは電解質溶液からの陽イオンが表面に付加する。すなわち、二重層が形成される。該二重層は、固定された(恒星層(Sternschicht: stellar layer))と、可動の拡散境界層とから成る。恒星に従って、2つの領域に分割することができる電位が形成される。固定された境界層においては線形の電位降下が、拡散層においては指数関数的な電位降下(ゼータ電位)が観察される。二重層を備える薄い毛細管に沿って電界を印加すると、可動陽イオンが、拡散層において、陰極の方向に引き寄せられる。イオンの溶媒和シェル(Solvathuellen: solvate shells)が巻き込まれて移動し、拡散層が互いに非常に接近することによって、薄い毛細管内で、電解質溶液全体が移動する。電界における溶液全体の流れを、電気浸透流(EOF)と呼ぶ。
【0097】
ナノ細孔内で、電気二重層は、大きさがナノ細孔32の直径と匹敵するようにまでなる。それによって、流体及びイオンは、壁との大きな相互作用力下にある。ナノ細孔32(直径<1000nm又はさらには<500nm)内での輸送現象はしたがって、マイクロメートルチャネル及びミリメートルチャネル内での輸送現象とは異なる。壁に形成される電気二重層がナノ細孔32の大きな領域を覆うことができるため、流れプロファイル及びイオンの空間分布の変化によって、流体の流れとイオンの輸送とに対する大きな影響が予期される。ここで製造されるナノワイヤ34におけるように直径が非常に小さい場合、流れプロファイルは平坦な形状からずれ、放物線状となる。直径が小さくなると、鋭利さが増す。したがって、パラメータのうちの少なくとも幾つか、すなわち
テンプレートフィルムの材料
平衡電圧に対して相対的な陰極堆積パルスの相対電圧
平衡電圧に対して相対的な陽極逆パルスの相対電圧
ナノ細孔32の直径
電解質溶液のpH値
は、ナノ細孔32内でのナノワイヤ34の堆積において、電気二重層がナノ細孔内で生成されるように、特に、ナノ細孔32内での電気二重層の大きさがナノ細孔32の直径の規模に収まるように選択される。
【0098】
放物線形状は、セグメント化ナノワイヤ34においても認識できる。主セグメント34cは、結合セグメント34dと中央のみにおいて結合している。これは、放物線状の流れプロファイルに起因して、イオンが、まずそこにおいて、直前に成長したセグメントによって形成される一時的な陰極と接触し、還元されるためである。
【0099】
大きなゼータ電位、ひいては大きなEOFにとって重要なのは高いpH値である。使用されるPt電解質のpH値は、約pH=13である。さらに、EOFは、電解質濃度が低下すると減少する。温度も影響力を有することができる。これは、温度によって、溶液の粘度が変化するためである。
【0100】
反転パルス方法では、以前に堆積されたセグメントの方向において、新たに各セグメントのためのイオン輸送が行われ、対応するプロファイルが新たに形成される。平衡電圧に対して相対的な相対電圧の極性は各パルスによって反転するので、輸送方向は各パルスによって変化する。
【0101】
電気化学的堆積のための構成
図5〜図7を参照すると、全ての実施例において、ナノワイヤ34の電気化学的堆積は、図5に示されている堆積装置82内で行われる。該堆積装置は、2つの電解槽86及び88を収容する金属キャリッジを押し入れることができる金属ハウジング84から成る。金属の良好な伝熱性に起因して、コントロールされる外部熱供給によって堆積装置を温度調整することが可能である。
【0102】
PCTFEから製造される電解槽86及び88は、互いの方を向いている面においてそれぞれ同じ大きさの円形の開口87及び89を有し、つまみネジ90によって互いに密に圧接することができる。2つの電解槽86及び88間の銅リング92は、電気化学的堆積のために、陰極層26aと接触するための陰極接触部としての役割を果たす。
【0103】
図6を参照すると、部分層22aの電気化学的補強のために、イオントラックエッチングされるテンプレートフィルム12が、部分層22a、ここではスパッタリングされた金層22aが環状の銅電極92と良好に接触するように、2つの電解槽86及び88の間に取り付けられる。陰極接触部として使用される銅リング92の両側では、電解槽が電解質で満たされる。部分層22aの方を向いている電解槽86内に配置されている第1の陽極94と、制御装置を備える外部電流源とを用いて金層22aの電気化学的補強が行われ、カバー層26aが形成される。
【0104】
テンプレートフィルム12の取り外し、及び、堆積装置82の外側でのナノ細孔32のエッチングの後、テンプレートフィルム12は、再び堆積装置82内に設置される。
【0105】
図7を参照すると、ナノワイヤ34、場合によってはキャップ36、及び場合によっては完全な第2のカバー層26bの電気化学的堆積のために、片側が被覆されており且つナノ細孔32が設けられたテンプレートフィルム12が、図6におけるように堆積装置82内に再び嵌め込まれ、それによって、陰極層26aがリング電極92と接触する。そして、テンプレートフィルム12の第2の面12bにおいて、陰極層26aに対して背を向けている電解槽88内で、該電解槽内に配置されている第2の陽極96によって堆積が行われる。この堆積プロセスは、上述したように、反転パルス方法でセグメント化ナノワイヤ34を生成するために行われる。
【0106】
ナノワイヤの構造特性
本発明においては、様々な材料から成るナノワイヤ34の構造特性も調査した。電気化学的に堆積される材料においては、たとえば、晶子のサイズをコントロールすることが可能である。これは、機械的安定性、熱輸送特性及び電気輸送特性並びに表面積、ひいては触媒活性に対しても効果を有する。したがって、多数の特性に対して意図した通りに影響を与えることができる。
【0107】
特に、ナノワイヤ34の構造を、X線回折を使用して調査した。このために、集合組織を分析した。反転パルス堆積下で製造されるナノワイヤ34を調査したところ、明確な<100>集合組織が示された。集合組織係数TC100は4.16である。したがって、晶子は好ましい配向を有し、整列度(Grad der Ausrichtung: degree of alignment)は83%である。少なくとも50%の整列度が場合によって有利である。したがって、本発明に従って製造されるナノワイヤは場合によっては結晶構造を有する。
【0108】
用途
触媒のために、本発明による多数のナノワイヤ構造体1を積み重ねてまとめて扱うことが可能である。しかしながら、ナノワイヤ構造体1は寸法に起因して、1mm未満の、大抵は10マイクロメートル〜数百マイクロメートルの内部寸法を有する3次元構造体であるマイクロ構造システム内に個別に組み込むのにも適している。
【0109】
図21は、流体供給部102と流体排出部104との間に本発明によるナノワイヤ構造体1が嵌め込まれているマイクロ触媒100を概略的に示す。このようなマイクロ触媒100においては、気相反応又は液相反応を行うことが考えられる。さらに、気体流又は液体流が、好ましくは圧力をかけられてマイクロ触媒100を通じて導かれる。
【0110】
1つ又は2つの導電性カバー層26a及び26bを備えるように製造可能であるナノワイヤ構造体1は、本質的に、1つ又は2つの導電性カバー層26a及び26bに結合される全てのナノワイヤ34の電気的接触を含む。それによって、コントロールされる電圧をナノワイヤ34に印加することができ、ひいては、電極触媒プロセスが可能となる。さらに、この構成要素は、電流測定センサとして使用することができる。
【0111】
照射マスクを用いたマイクロ要素の製造
本発明によれば、テンプレートフィルム12、この例ではポリマーフィルムに、対応するマスク110を通じて重イオンを照射することによって、非常に小さな寸法を有するナノワイヤ構造体又はナノワイヤアレイを生成することができる。事前に設けられているマスク、たとえばシャドーマスクが複数の開口又は孔を有し、各開口が後のマイクロ要素を規定する。マスクは、照射時にテンプレートフィルム12を覆い、それによって、覆われていない領域、すなわちマスクの開口において潜在イオントラック16が形成される。該潜在イオントラックは後にエッチングされてナノ細孔32となる。マイクロ要素の輪郭及び形状はしたがって、マスクによって与えられる。
【0112】
この方法は、特に、上述したようにマイクロ要素の形態の多数の非常に小さなナノワイヤ構造体を製造するのに適している。それによって製造可能なマイクロ要素は、500μm未満の、特に100μmの、そして場合によってはさらに、数マイクロメートルまでの大きさを有することができる。
【0113】
たとえば、イオン照射のためのシャドーマスクには、約2000個の穴がおおよそ0.5cm2の堆積面全体に設けられており、それによって、テンプレートフィルム12内の孤立部分のようなナノワイヤアレイを備える約2000個のマイクロ要素を一度で生成することができた。陰極層の除去後、マイクロ要素は互いから分離し、そして、テンプレートフィルムの溶解及び除去時に別々になる。しかしながら、各個別のマイクロ要素のためのカバー層を生成するために、追加のステップを設けることもできる。
【0114】
マイクロ要素の内部において、全てのナノワイヤ34は電気的に接触しているため、ナノワイヤアレイを備えるマイクロ要素は、特に小型センサの製造に適している。ワイヤが多数存在しているため、高い感受性だけでなく、高い欠陥許容値も得られるはずである。
【0115】
センサ素子は、たとえば気体流、温度を測定するために、且つ運動センサとして使用することができる。図22を参照すると、センサ150は、第1のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1a及び第2のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aを備える少なくとも1つの測定ユニットを備える。これらのマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aはそれぞれ、両側においてカバー層26a及び26bを設けられており、2つのナノワイヤ構造体1aのそれぞれは、1つ又は2つのカバー層26a及び26bによって電気的に接触される。2つのナノワイヤ構造体1aは別個に接触される。2つのマイクロ要素ナノワイヤ構造体の間に、加熱素子、たとえば電圧の印加によって加熱可能なマイクロワイヤ152が配置されている。センサ素子150の抵抗の変化は、気体流又は温度変化又は運動変化に対する基準として使用される。
【0116】
上述した実施形態は例示として理解されるべきであり、本発明はこれらの実施形態には限定されず、本発明から離れることなく多様に変更することができることは当業者に明らかである。特に、マイクロ触媒の製造は、多数の利用分野のうちの1つに過ぎない。セグメント化ナノワイヤは個別に多用途のために使用可能である。さらに、特徴が、明細書、特許請求の範囲、図面、又は他の箇所のいずれに開示されているかを問わず、たとえ他の特徴と共に記載されていようとも、個々に本発明の本質的な構成要素を定めるものであることは明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノワイヤ(34)を製造する方法であって、
多数のナノ細孔(32)を有するテンプレート(12)であって、該ナノ細孔は該テンプレート(12)を、第1の面(12a)から対向する第2の面(12b)まで貫通する、テンプレート(12)と、該テンプレート(12)の前記第1の面(12a)上の陰極層(26a)とを用意するステップと、
電気化学的堆積によって前記ナノ細孔(32)内で前記ナノワイヤ(34)を成長させるステップであって、該ナノワイヤ(34)は、該ナノ細孔(32)内において前記陰極層(26a)上で成長する、成長させるステップと、
なお、前記電気化学的堆積は、時間的に交互に連続する陰極堆積パルス(212)及び該陰極堆積パルス(212)間の時間的空白(214)によってパルス化されて行われ、
前記陰極堆積パルス(212)の期間中、前記ナノワイヤ(34)はそれぞれ、それぞれの該陰極堆積パルス(212)の期間に依存する長さと、前記ナノ細孔(32)の直径によって規定される第1の直径とを有する主セグメント(34c)の分だけ、前記ナノ細孔(32)内で成長し、
前記陰極堆積パルス(212)間のそれぞれの前記時間的空白(214)によって、前記ナノワイヤ(34)において第2の直径を有する結合セグメント(34d)が前記ナノ細孔(32)内で生成され、
前記第2の直径は前記第1の直径よりも小さく、それによって、厚い主セグメント(34c)と薄い結合セグメント(34d)とが前記ナノワイヤ(34)の長さに沿って交互に連続するセグメント化ナノワイヤ(34)が生成され、
前記テンプレート(12)を溶解すると共に除去するステップであって、前記セグメント化ナノワイヤ(34)を露出させる、溶解すると共に除去するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記時間的空白の期間中、陽極逆パルス(214)が印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記陽極逆パルス(214)は、平衡電圧に対して相対的な少なくとも+100mVの相対電圧を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記陽極逆パルス(214)は、前記陰極堆積パルス(212)よりも小さい絶対電圧を有する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記陰極堆積パルス(212)は、少なくとも100mVの大きさの、平衡電圧に対して相対的な負の相対電圧を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記陰極堆積パルス(212)は、少なくとも500mVの大きさの負の絶対電圧を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記時間的空白(214)の時間期間は、前記陰極堆積パルス(212)の時間期間よりも短い、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記陰極堆積パルスの時間期間は60秒よりも短く、前記時間的空白(214)の期間は10秒よりも短い、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記陰極堆積パルス(212)と前記時間的空白(214)とが時間的に連続して何回も繰り返される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ナノ細孔(32)によって貫通される前記テンプレート(12)は、
(a)テンプレートフィルム(12)を用意するステップと、
(b)前記テンプレートフィルム(12)の前記第1の面(12a)上に前記陰極層(26a)を堆積するステップと、
(c1)イオンビームを前記テンプレートフィルム(12)に照射するステップであって、該テンプレートフィルム(12)を貫通する多数の潜在トラック(16)を生成する、照射するステップと、
(c2)前記潜在トラック(16)をエッチングするステップであって、前記ナノ細孔(32)を形成する、エッチングするステップとによって製造される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
セグメント化ナノワイヤ(34)であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって製造可能な、セグメント化ナノワイヤ。
【請求項12】
特に請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって製造可能な、電気化学的に堆積される材料から成るナノワイヤであって、交互に連続する、第1の直径を有する多数の第1のセグメント(34c)及び第2の直径を有する多数の第2のセグメント(34d)を有し、前記第1の直径は前記第2の直径よりも大きく、それによって、該ナノワイヤ(34)は長手方向においてセグメント化構造を有し、該セグメント化構造において、前記第2のセグメント(34d)は前記第1のセグメント(34c)間の結合部分を形成する、ナノワイヤ。
【請求項13】
前記第1のセグメント(34c)及び前記第2のセグメント(34d)は、一体的に互いに結合しており、同一の電気化学的に堆積される材料から成る、請求項12に記載のナノワイヤ。
【請求項14】
前記大きい方の直径を有する前記第1のセグメント(34c)は、前記小さい方の直径を有する前記第2のセグメント(34d)よりも長い、請求項12又は13に記載のナノワイヤ。
【請求項15】
前記大きい方の直径を有する前記第1のセグメント(34c)は、円柱形状を有する、請求項12〜14のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項16】
前記第1のセグメント(34c)及び/又は前記第2のセグメント(34d)はそれぞれ、少なくとも前記ナノワイヤの長さの部分領域にわたって一定の長さを有する、請求項12〜15のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項17】
前記第1のセグメント(34c)の直径は、前記ナノワイヤの長さにわたって500nmよりも小さい、請求項12〜16のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項18】
前記大きい方の直径を有する前記第1のセグメント(34c)の長さは1000nmよりも小さく、且つ/又は、前記小さい方の直径を有する前記第2のセグメント(34d)の長さは50nmよりも小さい、請求項12〜17のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項19】
前記第1のセグメント(34c)及び前記第2のセグメント(34d)は、前記ナノワイヤ(34)の長手方向において規則的に交互に現れ、それによって、前記ナノワイヤ(34)の長手方向において途切れることなく、2つの第2のセグメント(34c)の間に常にちょうど1つの第1のセグメント(34d)が存在するようになる、請求項12〜18のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれか一項に記載の、多数の隣接して配置されるセグメント化ナノワイヤ(34)から成るアレイ(35)と、該ナノワイヤのそれぞれが固く結合している少なくとも1つの基板層(26a)とを備える、ナノワイヤ構造体。
【請求項21】
ナノワイヤ構造体であって、
請求項11〜19のいずれか一項に記載の、多数の隣接して配置されるセグメント化ナノワイヤ(34)から成るアレイ(35)と、
2つの隔たっているカバー層(26a、26b)とを備え、
前記セグメント化ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)間で延在し、前記セグメント化ナノワイヤ(34)は第1の端部(34a)において前記第1のカバー層(26a)と、第2の端部(34b)において前記第2のカバー層(26b)と固く結合しており、それによって、前記セグメント化ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)を互いに固く結合させ、2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記距離を規定し、
前記セグメント化ナノワイヤ(34)間に互いに結合し合う空間が存在し、
それによって、両側が前記カバー層(26a、26b)によって境されており、多数の前記ナノワイヤ(34)によって貫通されていると共に、前記カバー層(26a、26b)に平行な前記平面において2次元のオープンセル型である空隙構造(42)を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造が、2つの前記カバー層(26a、26b)間で流体が前記2次元のオープンセル型の空隙構造(42)を通じて導かれることができるように、画定される、ナノワイヤ構造体。
【請求項22】
マイクロリアクタシステムであって、
流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、
前記流体供給部及び前記流体排出部間のリアクタ要素としての、セグメント化ナノワイヤ(34)を備える、請求項20又は21に記載の少なくとも1つのナノワイヤ構造体(1)とを、
流体が、前記流体供給部から2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記空隙構造(42)内に導き入れられ、前記セグメント化ナノワイヤ(34)間の前記空間を通じて導かれ、前記流体排出部を通じて前記空隙構造(42)から排出されることができるように備え、
2つの前記カバー層(26a、26b)間の、前記ナノワイヤ構造体(1)の、2次元のオープンセル型である前記空隙構造(42)は前記反応容積を形成し、前記ナノワイヤ(34)の前記円柱面は前記活性表面を形成し、前記流体は該活性表面と前記空隙構造(42)内で流れている間に相互作用する、マイクロリアクタシステム。
【請求項23】
触媒システムであって、
流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、
前記流体供給部及び前記流体排出部間のリアクタ要素としての、セグメント化ナノワイヤ(34)を備える、請求項20又は21に記載の少なくとも1つのナノワイヤ構造体(1)とを、
流体が、前記流体供給部から2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記空隙構造(42)内に導き入れられ、前記セグメント化ナノワイヤ(34)間の前記空間を通じて導かれ、前記流体排出部を通じて前記空隙構造(42)から排出されることができるように備え、
2つの前記カバー層(26a、26b)間の、前記ナノワイヤ構造体(1)の、2次元のオープンセル型である前記空隙構造(42)は前記触媒反応容積を形成し、前記ナノワイヤ(34)の前記円柱面は前記触媒活性表面を形成し、前記流体は該触媒活性表面と前記空隙構造(42)内で流れている間に相互作用する、触媒システム。
【請求項24】
特に気体流、温度、又は運動の測定のためのセンサ素子(150)であって、該センサ素子は、それぞれセグメント化ナノワイヤ(34)を備える、特に請求項20又は21に記載の第1のナノワイヤ構造体(1)及び第2のナノワイヤ構造体(1a)を備える少なくとも1つの測定ユニットであって、前記ナノワイヤ構造体(1、1a)はそれぞれ、それぞれの該ナノワイヤ構造体の接触のために、前記セグメント化ナノワイヤ(34)に結合している少なくとも1つのカバー層(26a、26b)を備え、前記ナノワイヤ構造体間に加熱素子(152)が配置されている、少なくとも1つの測定ユニットを備える、センサ素子。
【請求項1】
ナノワイヤ(34)を製造する方法であって、
多数のナノ細孔(32)を有するテンプレート(12)であって、該ナノ細孔は該テンプレート(12)を、第1の面(12a)から対向する第2の面(12b)まで貫通する、テンプレート(12)と、該テンプレート(12)の前記第1の面(12a)上の陰極層(26a)とを用意するステップと、
電気化学的堆積によって前記ナノ細孔(32)内で前記ナノワイヤ(34)を成長させるステップであって、該ナノワイヤ(34)は、該ナノ細孔(32)内において前記陰極層(26a)上で成長する、成長させるステップと、
なお、前記電気化学的堆積は、時間的に交互に連続する陰極堆積パルス(212)及び該陰極堆積パルス(212)間の時間的空白(214)によってパルス化されて行われ、
前記陰極堆積パルス(212)の期間中、前記ナノワイヤ(34)はそれぞれ、それぞれの該陰極堆積パルス(212)の期間に依存する長さと、前記ナノ細孔(32)の直径によって規定される第1の直径とを有する主セグメント(34c)の分だけ、前記ナノ細孔(32)内で成長し、
前記陰極堆積パルス(212)間のそれぞれの前記時間的空白(214)によって、前記ナノワイヤ(34)において第2の直径を有する結合セグメント(34d)が前記ナノ細孔(32)内で生成され、
前記第2の直径は前記第1の直径よりも小さく、それによって、厚い主セグメント(34c)と薄い結合セグメント(34d)とが前記ナノワイヤ(34)の長さに沿って交互に連続するセグメント化ナノワイヤ(34)が生成され、
前記テンプレート(12)を溶解すると共に除去するステップであって、前記セグメント化ナノワイヤ(34)を露出させる、溶解すると共に除去するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記時間的空白の期間中、陽極逆パルス(214)が印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記陽極逆パルス(214)は、平衡電圧に対して相対的な少なくとも+100mVの相対電圧を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記陽極逆パルス(214)は、前記陰極堆積パルス(212)よりも小さい絶対電圧を有する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記陰極堆積パルス(212)は、少なくとも100mVの大きさの、平衡電圧に対して相対的な負の相対電圧を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記陰極堆積パルス(212)は、少なくとも500mVの大きさの負の絶対電圧を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記時間的空白(214)の時間期間は、前記陰極堆積パルス(212)の時間期間よりも短い、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記陰極堆積パルスの時間期間は60秒よりも短く、前記時間的空白(214)の期間は10秒よりも短い、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記陰極堆積パルス(212)と前記時間的空白(214)とが時間的に連続して何回も繰り返される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ナノ細孔(32)によって貫通される前記テンプレート(12)は、
(a)テンプレートフィルム(12)を用意するステップと、
(b)前記テンプレートフィルム(12)の前記第1の面(12a)上に前記陰極層(26a)を堆積するステップと、
(c1)イオンビームを前記テンプレートフィルム(12)に照射するステップであって、該テンプレートフィルム(12)を貫通する多数の潜在トラック(16)を生成する、照射するステップと、
(c2)前記潜在トラック(16)をエッチングするステップであって、前記ナノ細孔(32)を形成する、エッチングするステップとによって製造される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
セグメント化ナノワイヤ(34)であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって製造可能な、セグメント化ナノワイヤ。
【請求項12】
特に請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法によって製造可能な、電気化学的に堆積される材料から成るナノワイヤであって、交互に連続する、第1の直径を有する多数の第1のセグメント(34c)及び第2の直径を有する多数の第2のセグメント(34d)を有し、前記第1の直径は前記第2の直径よりも大きく、それによって、該ナノワイヤ(34)は長手方向においてセグメント化構造を有し、該セグメント化構造において、前記第2のセグメント(34d)は前記第1のセグメント(34c)間の結合部分を形成する、ナノワイヤ。
【請求項13】
前記第1のセグメント(34c)及び前記第2のセグメント(34d)は、一体的に互いに結合しており、同一の電気化学的に堆積される材料から成る、請求項12に記載のナノワイヤ。
【請求項14】
前記大きい方の直径を有する前記第1のセグメント(34c)は、前記小さい方の直径を有する前記第2のセグメント(34d)よりも長い、請求項12又は13に記載のナノワイヤ。
【請求項15】
前記大きい方の直径を有する前記第1のセグメント(34c)は、円柱形状を有する、請求項12〜14のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項16】
前記第1のセグメント(34c)及び/又は前記第2のセグメント(34d)はそれぞれ、少なくとも前記ナノワイヤの長さの部分領域にわたって一定の長さを有する、請求項12〜15のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項17】
前記第1のセグメント(34c)の直径は、前記ナノワイヤの長さにわたって500nmよりも小さい、請求項12〜16のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項18】
前記大きい方の直径を有する前記第1のセグメント(34c)の長さは1000nmよりも小さく、且つ/又は、前記小さい方の直径を有する前記第2のセグメント(34d)の長さは50nmよりも小さい、請求項12〜17のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項19】
前記第1のセグメント(34c)及び前記第2のセグメント(34d)は、前記ナノワイヤ(34)の長手方向において規則的に交互に現れ、それによって、前記ナノワイヤ(34)の長手方向において途切れることなく、2つの第2のセグメント(34c)の間に常にちょうど1つの第1のセグメント(34d)が存在するようになる、請求項12〜18のいずれか一項に記載のナノワイヤ。
【請求項20】
請求項11〜19のいずれか一項に記載の、多数の隣接して配置されるセグメント化ナノワイヤ(34)から成るアレイ(35)と、該ナノワイヤのそれぞれが固く結合している少なくとも1つの基板層(26a)とを備える、ナノワイヤ構造体。
【請求項21】
ナノワイヤ構造体であって、
請求項11〜19のいずれか一項に記載の、多数の隣接して配置されるセグメント化ナノワイヤ(34)から成るアレイ(35)と、
2つの隔たっているカバー層(26a、26b)とを備え、
前記セグメント化ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)間で延在し、前記セグメント化ナノワイヤ(34)は第1の端部(34a)において前記第1のカバー層(26a)と、第2の端部(34b)において前記第2のカバー層(26b)と固く結合しており、それによって、前記セグメント化ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)を互いに固く結合させ、2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記距離を規定し、
前記セグメント化ナノワイヤ(34)間に互いに結合し合う空間が存在し、
それによって、両側が前記カバー層(26a、26b)によって境されており、多数の前記ナノワイヤ(34)によって貫通されていると共に、前記カバー層(26a、26b)に平行な前記平面において2次元のオープンセル型である空隙構造(42)を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造が、2つの前記カバー層(26a、26b)間で流体が前記2次元のオープンセル型の空隙構造(42)を通じて導かれることができるように、画定される、ナノワイヤ構造体。
【請求項22】
マイクロリアクタシステムであって、
流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、
前記流体供給部及び前記流体排出部間のリアクタ要素としての、セグメント化ナノワイヤ(34)を備える、請求項20又は21に記載の少なくとも1つのナノワイヤ構造体(1)とを、
流体が、前記流体供給部から2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記空隙構造(42)内に導き入れられ、前記セグメント化ナノワイヤ(34)間の前記空間を通じて導かれ、前記流体排出部を通じて前記空隙構造(42)から排出されることができるように備え、
2つの前記カバー層(26a、26b)間の、前記ナノワイヤ構造体(1)の、2次元のオープンセル型である前記空隙構造(42)は前記反応容積を形成し、前記ナノワイヤ(34)の前記円柱面は前記活性表面を形成し、前記流体は該活性表面と前記空隙構造(42)内で流れている間に相互作用する、マイクロリアクタシステム。
【請求項23】
触媒システムであって、
流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、
前記流体供給部及び前記流体排出部間のリアクタ要素としての、セグメント化ナノワイヤ(34)を備える、請求項20又は21に記載の少なくとも1つのナノワイヤ構造体(1)とを、
流体が、前記流体供給部から2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記空隙構造(42)内に導き入れられ、前記セグメント化ナノワイヤ(34)間の前記空間を通じて導かれ、前記流体排出部を通じて前記空隙構造(42)から排出されることができるように備え、
2つの前記カバー層(26a、26b)間の、前記ナノワイヤ構造体(1)の、2次元のオープンセル型である前記空隙構造(42)は前記触媒反応容積を形成し、前記ナノワイヤ(34)の前記円柱面は前記触媒活性表面を形成し、前記流体は該触媒活性表面と前記空隙構造(42)内で流れている間に相互作用する、触媒システム。
【請求項24】
特に気体流、温度、又は運動の測定のためのセンサ素子(150)であって、該センサ素子は、それぞれセグメント化ナノワイヤ(34)を備える、特に請求項20又は21に記載の第1のナノワイヤ構造体(1)及び第2のナノワイヤ構造体(1a)を備える少なくとも1つの測定ユニットであって、前記ナノワイヤ構造体(1、1a)はそれぞれ、それぞれの該ナノワイヤ構造体の接触のために、前記セグメント化ナノワイヤ(34)に結合している少なくとも1つのカバー層(26a、26b)を備え、前記ナノワイヤ構造体間に加熱素子(152)が配置されている、少なくとも1つの測定ユニットを備える、センサ素子。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図20】
【図21】
【図22】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図4】
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【図6】
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【図21】
【図22】
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【図18】
【図19】
【公表番号】特表2011−518946(P2011−518946A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500079(P2011−500079)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001781
【国際公開番号】WO2009/115230
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(508021624)ゲーエスイー ヘルムホルッツェントゥルム フュア シュヴェリオネンフォルシュンク ゲーエムベーハー (7)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001781
【国際公開番号】WO2009/115230
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(508021624)ゲーエスイー ヘルムホルッツェントゥルム フュア シュヴェリオネンフォルシュンク ゲーエムベーハー (7)
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