説明

ナノ構造へ又はナノ構造から電荷移動を容易にする有機種

本発明は、ナノ結晶表面を横断するか、又はナノ結晶含有母材中の電荷輸送の改良に使用できる組成物(小分子、オリゴマー及びポリマー)、並びに該新規組成物の製造法及び使用法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2002年9月5日出願の米国特許出願No.60/408,722及び2003年3月4日出願の米国特許出願No.60/452,232に関する。本出願は、これら各先行出願よる優先権及び利益を主張する。これら出願は、あらゆる目的のため、全体をここに援用した。
【0002】
発明の分野
本発明は、ナノテクノロジーに関する。更に詳しくは、本発明は、ナノ構造と併用される導電性配位子及び母材に向けたものであり、更には、導電組成物の製造及び使用方法に関し、また導電組成物を入れた装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ナノ結晶をポリマー母材に取り入れた、ポリマーベースの発光性光電池装置は、当該技術分野で知られている。ポリマーベース光電池装置の性能は、例えばポリマー母材中にナノ結晶を埋込むことにより、改良されてきた。例えば2002年9月5日出願の米国特許出願No.60/408,722;2002年10月25日出願の米国特許出願No.60/421,353;及び2003年3月4日出願の米国特許出願No.60/452,038には、ナノ複合体ベースの光電池装置が記載されている。しかし、ナノ結晶を用いた、これら及びその他の装置は、更に改良できる。
【0004】
半導電性ナノ結晶は、光電池装置の光取入れ部品の一部として使用されるナノクリスタルの寸法及び形状を制御することにより、或る程度、特定の光学的特性及び/又は電子構造を持って設計できる。更に、ナノ結晶を取り囲むポリマー母材も、光を吸収するように選択できる。しかし、光電池装置内での電荷輸送は、一般にナノ結晶の吸収特性よりもむしろ母材の束縛により制限される。その結果、母材中及び/又はナノ結晶間の電荷輸送は、最適な光電池操作の重要な要素である。
【0005】
ナノ結晶の合成は、通常、界面活性剤層の塗布表面を有する粒子を製造する。界面活性剤層は、例えばアルキルホスホン酸、アルキルアミン、アルキルカルボン酸、アルキルホスフィン又はアルキルホスフィン酸化物のような脂肪族長鎖を有する分子の層である。これらの配位子は、ナノ結晶表面に実質的に非導電性の層を形成する。電荷をナノ結晶構造から効率的に除去又は添加することが望ましい用途では、残存脂肪族配位子層は、表面への電荷輸送を制限する。発光可能な水溶性半導体ナノ結晶の合成は、例えばBawendi等の米国特許No.6,251,303(2001年6月6日)に“Water−soluble fluorescent nanocrystals”と題して、またBawendi等の米国特許No.6,319,426(2001年11月20日)に“ Water−soluble fluorescent semiconductor”と題して、記載されている。
【0006】
当該技術分野では、導電ポリマーが知られているが(例えばHandbook of Organic Conductive Molecules and Polymers,John Wiley & Sons 1997、Liの米国特許No.6,399,224“Conjugated Polymers with Tunable Charge Injection Ability”、及びHeeger等の米国特許No.5,504,323“Dual function conducting poly
mer diodes”参照)、これらのポリマーは、ナノ結晶表面に強力に結合できるいずれの官能基も持っていない。したがって、これらのポリマーは、ナノ結晶と最適に接触しない。
【特許文献1】米国特許出願No.60/408,722
【特許文献2】米国特許出願No.60/421,353
【特許文献3】米国特許出願No.60/452,038
【特許文献4】米国特許No.6,251,303
【特許文献5】米国特許No.6,319,426
【特許文献6】米国特許No.6,399,224
【特許文献7】米国特許No.5,504,323
【特許文献8】米国特許出願No.60/389、029
【特許文献9】米国特許No.6,306,736
【特許文献10】米国特許No.6,225,198
【特許文献11】米国特許No.5,505,928
【特許文献12】米国特許No.5,751,018
【特許文献13】米国特許No.6,048,616
【特許文献14】米国特許No.5,990,479
【特許文献15】米国特許No.6,036,774
【特許文献16】米国特許No.5,897,945
【特許文献17】米国特許No.5,997,832
【特許文献18】PCT出願No.WO 02/17362
【特許文献19】PCT出願No.WO 02/080280
【特許文献20】米国特許No.5,690,807
【特許文献21】米国特許No.6,136,156
【特許文献22】米国特許No.6,413,489
【特許文献23】米国特許No.6,207,229
【特許文献24】米国特許No.6,322,901
【特許文献25】PCT出願公開No.WO 02/17362
【特許文献26】PCT出願公開No.WO 02/080280
【特許文献27】米国特許出願No.60/370,095
【特許文献28】米国特許出願No.60/408,722
【特許文献29】米国特許出願No.60/421,353
【特許文献30】米国特許出願No.60/452,038
【特許文献31】米国特許No.6,239,355
【特許文献32】米国特許No.6,512,172
【特許文献33】米国特許No.5,728,487
【特許文献34】米国特許No.6,245,988
【特許文献35】米国特許No.6,251,303
【特許文献36】米国特許No.6,319,426
【非特許文献1】Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers,John Wiley & Sons 1997
【非特許文献2】Milliron等(2003)“Electroactive surfactant designed to mediate electron transfer between CdSe nanocrystals and organic semiconductore”Adv.Mater.15:58−61
【非特許文献3】Paleos(編)Polymerization in Organized Media(Gordon and Breach Science Publishers,Philadelphia,1992
【非特許文献4】Kraft等(1998)“Electroluminescent Conjugated Polymers−−Seeing Polymers in a New Light”Angew.Chem,Int.Ed.37:402−428
【非特許文献5】Demus(編)1998 Handbook of Liquid Crystals,第1−4巻,(John Wiley and Sons,Inc.,Hoboken,NJ)
【非特許文献6】Brandup(編)1999 Polmer Handbook(John Wiley and Sons,Inc.
【非特許文献7】Harper 2002 Handbook of Plastics,Elastomers,and Composites,第4編(McGraw−Hill,Columbus,OH)
【非特許文献8】T.A.Skatherin(編)1986 Handbook of Conducting Polymers I.(Marcel Dekker,New York)
【非特許文献9】Milliron等(2003)“Electroactive surfactant designed to mediate electron transfer between CdSe nanocrystals and organic semiconductore”Adv.Mater.15:58−61
【非特許文献10】Peng等(2000)“Shape control of CdSe nanocrystals”Nature 404:59−61
【非特許文献11】Puntes等(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt”Science 291:2115−2117
【非特許文献12】Gudiksen等(2000)“Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires”J,Am.Chem.Soc.122:8801−8802
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【非特許文献21】Manna等(2000)“Synthesis of Soluble and Processible Rod−,Arrow−,Teardrop− and Tetrapod−shaped CdSe Nanocrystals”J.Am.Chem.Soc.122:12700−12706
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【非特許文献25】Manna等(2002)“Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal nanorods”J.Am.Chem.Soc.124:7136−7145
【非特許文献26】Cao等(2000)“Growth and proparies of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores”J.Am.Chem.Soc.122:9692−9702
【非特許文献27】Gudiksen等(2002)“Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics”Nature 415:617−620
【非特許文献28】Bjork等(2002)“One−dimentional steeplechase for electrons realized”Nano Letters 2:86−89
【非特許文献29】Wu等(2002)“Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires”Nano Letters 2:83−86
【非特許文献30】Kuehl等(1997)Organometallics 16:1897
【非特許文献31】Sonogashira等(1975)Tetrahedron Lett.50:4467−4470
【非特許文献32】Miyaura(1979)Tetrahedron Lett.3437
【非特許文献33】Patel等(1977)J.Org.Chem.42:3903
【非特許文献34】Bergbreiter“Soluble polymer−bound catalysts”Bergbreiter及びMartin(編)、(1989)Functional Polymers(Pleum Press,New York,pp143−158)
【非特許文献35】Tafesh及びBeller(1995)“First Selective Reduction of Aromatic Nitro Compounds Using Water Soluble Catalysts”Tetrahedron Lett.36:9305
【非特許文献36】Huynh等(2002)Science 295:2425−2427
【非特許文献37】Huynh等(1999)Adv.Mater.11:923−927
【非特許文献38】Greenham等(1996)Phys.Rev.B−Condens Matter 54:17628−17637
【非特許文献39】Greenham等(1997)Synthetic Metals 84:545−546
【非特許文献40】Fessendon及びFessendon,(1982)Organic Chemistry,第2編,Willard Grant Press,Boston Mass
【非特許文献41】Carey & Sundberg,(1990)Advanced Organic Chemistry,第3編,Parts A and B,Plenum Press,New York
【非特許文献42】March(1985)Advanced Organic Chemistry,第3編,John Wiley and Sons,New York
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ナノ結晶ベースの発光性光電池装置の性能は、ナノ結晶による電荷の除去又は添加が一層強力に効率的ならば、改良されよう。したがって、当該技術分野では、ナノ結晶構造と併用される配位子を改良する必要がある。本発明は、ナノ結晶と併用される新規な組成物、及びこの新規組成物の製造及び使用方法を提供することにより、これら及びその他の要件を満足する。本発明を完全に理解するには、以下を復習することにより得られる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明は、表面又はナノ構造(例えばナノ結晶)表面を横断するか、或いはナノ構造(例えばナノ結晶)含有母材内の電荷輸送の改良に使用できる組成物(小さい分子、オリゴマー及びポリマー)、及びこの新規組成物の製造方法及び使用方法を提供する。この組成物は、共役有機種と、ナノ構造(例えばナノ結晶)表面と相互作用可能な少なくとも1つの結合基とを含有する。組成物がナノ構造(例えばナノ結晶)により/通って(例えば電子又はホールを抽出又は注入するプロセス中)輸送される電子及び/又はホールに対し実質的に導電性であるように、これらの組成物は、使用中、結合基を介してナノ構造(例えばナノ結晶)表面に連結(couple)している。本発明の組成物は、芯部有機種の電子共役結合(conjugation)を強化するか、近接するナノ構造(例えばナノ結晶)を連結するか、或いは各種母材中でナノ構造(例えばナノ結晶)の分散、混合及び/又はブレンドを容易にするため、別の化学基で任意に誘導体化(derivatize)できる。
【0009】
一局面では、本発明は、ナノ構造(例えばナノ結晶)含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物を提供する。この導電組成物は、通常、a)導電分子の“本体構造”、又は芯部としての共役有機部分、b)この共役有機部分上の第一位置で本体構造に連結したナノ構造(例えばナノ結晶)結合性“頭部基”、及びc)共役有機部分上の第二位置で本
体構造に連結した“尾部基”を含有する。このナノ構造(例えばナノ結晶)含有母材中に励起子を形成後、導電組成物は、この結着(attach)したナノ構造に対して、電荷(電子及び/又はホール)の注入及び/又は抽出を容易にし、これによりナノ構造含有母材を横断する電荷輸送を改良する。
【0010】
この組成物(及び対応する組成物の合成法)のモジュール性能は、所望の用途に基づいて、組成物(頭部、本体、尾部)の各種要素の改良又は調節に役立つ。したがって、異なる組成物要素には、各種の成分が使用できる。例えば本体構造は、通常、共役アルキル部分又は共役アリール部分(例えばフェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、フルオレン、ピリジン、ペリレン、フェナンスラレン、アンスラセン、アルキニル又は多核芳香族部分)を有する。機能化頭部基として使用される化学構造としては、限定されるものではないが、1つ以上のホスホン酸、カルボン酸、アミン、ホスフィン、スルホネート、スルフィネート又はチオール部分が挙げられる。尾部基構造は、導電性又は非導電性の化学部分のいずれであってもよい。好ましい尾部基置換基としては、限定されるものではないが、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、又は炭素数3〜22のアルキンが挙げられる。頭部基及び尾部基のいずれか一方又は両方は、更に、本体構造と頭部置換基又は尾部置換基との間に位置する1つ以上のチオフェン部分を任意に含む。
【0011】
幾つかの実施態様では、尾部基も、ナノ構造(例えばナノ結晶)結合性部分(例えばホスホン酸、カルボン酸、アミン、ホスフィン又はチオール部分)を含む。更に、ナノ構造結合性頭部基及び/又はナノ構造結合性尾部基は、ナノ構造に結着させるため、単一化学部分(即ち、一座)か、又は多結合性部分(即ち、多座)を供給できる。これらの部分は、選択された型のナノ構造への結合能力について任意に選択される(例えば頭部基は、p型ナノ結晶に選択的に結合し、一方、尾部基は、n型ナノ結晶に選択的に結合する)。
【0012】
本体構造は、共役有機種に連結した1つ以上の別の置換基又は“側鎖”を任意に含む。幾つかの実施態様では、側鎖は、共役有機部分に連結したO結合又はN結合の側鎖である。本体構造に側鎖(又は他の置換基)を追加しても芯部有機種の共役結合を破壊しないことが好ましく、むしろ幾つかの実施態様では、側鎖部分は、この共役結合を拡大する。したがって、側鎖要素として使用される置換基には、限定されるものではないが、電子供与基、電子求引基、導電性化学構造、非導電性化学構造、或いは各種反応性官能基又は重合性要素(例えばアクリレート部分、メタクリレート部分、又はビニル部分)が挙げられる。幾つかの実施態様では、側鎖は、ナノ構造(例えばナノ結晶)含有母材と機能的及び/又は電子的に整合(match)される。他の実施態様では、側鎖要素は、単に組成物の溶解性を変えるだけである。本発明の共役組成物は、本体構造に連結した2つの側鎖置換基を有することが好ましいが、側鎖の化学組成は同一でなくてよい。側鎖は、近接するナノ構造の結合(link)及び/又は整合(align)に任意に使用できる。
【0013】
本発明の組成物に使用される好例の側鎖置換基としては、限定されるものではないが、O結合ヘキサン部分、O結合2−エチルヘキシル部分、O結合オクチル部分、O結合デシル部分、N結合ヘキサン部分、N結合2−エチルヘキシル部分、N結合オクチル部分及びN結合デシル部分が挙げられる。しかし、炭素数が1〜22(又はそれ以上)であるN結合又はO結合のいかなるアルキル部分も本発明で使用されることが判る。
【0014】
本発明の幾つかの実施態様では、導電組成物に使用される本体構造は、モノマー化学構造よりもむしろオリゴマー構造又はポリマー構造である。好例の多量体(multimeric)本体構造としては、限定されるものではないが、ポリ(フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(エテン)、ポリ(エチン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(ピリジン)、ポリ(多核)部分、及びそれらの組合わせが挙げられる。この多量
体本体構造は、ジチオフェン部分のようなカップリング剤部分(linker region)により結合した2つ以上のモノマー本体構造要素で任意に構成される。このカップリング剤要素は、本体構造要素間を電子的に共役結合させるか、この共役結合を強化することが好ましい。モノマーの実施態様と同様、多量体本体は、オリゴマー又はポリマー構造の1つ以上の要素に連結した1つ以上の側鎖を任意に含有できる。
【0015】
また本発明は、ナノ構造(例えばナノ結晶)の構造(例えばナノ結晶の場合、ナノ結晶コーティングとして、又はポリマー母材として)と併用されるポリマー導電組成物を提供する。ポリマー導電組成物は、構造〔H−B−T(但し、Hは、ナノ構造表面に結合可能な少なくとも1つの機能化頭部基、又はナノ構造表面に結合した少なくとも1つの頭部基を含み、Bは、1つ以上の共役有機部分を有する本体構造であって、第一共役有機部分は、近接の機能化頭部基又は結合頭部基に連結する該本体構造を含み、Tは、本体構造に連結した少なくとも1つの尾部基を含み、またx、y、z及びnは、独立に1以上の整数を含む)を有する。x、y、z及びnの合計は、5以上であり、したがって、少なくとも1つの要素(頭部、本体又は尾部)は、ポリマー導電組成物中の1つの“コピー”より多く存在する。ポリマー導電組成物は、1つ以上の置換基上での各種重合性要素の連結を介してモノマー前駆体の重合により合成される。
【0016】
これらのポリマー導電組成物において、頭部基は、任意に、1つ以上のホスホン酸、カルボン酸、アミン、ホスフィン、ホスフィンオキシド又はチオール部分であり、本体部分は、任意に、フェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、フルオレン、ピリジン、ペリレン、フェナンスラレン、アンスラセン、アルケニル部分、多核芳香族部分、又はそれらのポリマーであり、また尾部基は、任意に、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、又は炭素数3〜22のアルキンである。別の実施態様では、本体構造は、1つ以上の下位単位(例えば共役有機部分の一員)に結合した1つ以上のO結合又はN結合の置換基(例えば電子供与基、電子求引基、導電性化学構造、又は非導電性化学構造)を更に有する。これらO結合又はN結合の置換基は、例えば組成物の電子特性を変えるか、或いはポリマー導電組成物の溶解性を変えるために使用できる。
【0017】
別の局面では、本発明は、ナノ構造(例えばナノ結晶)含有母材組成物を提供する。一実施態様では、このナノ構造母材組成物は、本発明の導電組成物(例えば配位子)に連結したナノ構造、及びナノ構造の配位子共役外表面に近接して位置する母材を含む。母材は、任意に、ナノ構造結合導電組成物にも共有的に連結している。好ましい実施態様では、導電組成物は、母材の1つ以上の置換基と機能的又は電子的に整合される。
【0018】
他の一実施態様では、ナノ構造(例えばナノ結晶)含有母材組成物は、ナノ構造、及び本発明のポリマー導電組成物で構成される母材を含む。一実施態様では、ナノ構造外表面の一部は、ポリマー母材に連結される。他の一実施態様では、ナノ構造は、ポリマー導電組成物に埋込む前に、本発明の導電組成物で誘導体化又は機能化される。ポリマー導電組成物及びナノ構造結合導電組成物は、任意に機能的及び/又は電子的に整合される。更に、母材組成物及び導電組成物は、任意に共有的に連結できる。
【0019】
本発明の別の実施態様では、ナノ構造−母材組成物は、第一位置で第一ナノ構造(例えばナノ結晶)に連結すると共に、第二位置で第二ナノ構造に連結した本発明の導電組成物、及びナノ構造の外表面に近接して位置する母材を含む。任意の一例では、第一ナノ構造は、p型ナノ結晶であり、また第二ナノ構造は、n型ナノ結晶である。
【0020】
また本発明は、ナノ構造含有装置に使用される電荷輸送を容易にする有機組成物の合成方法を提供する。この方法を用いて作った有機組成物は、光電池装置用に特に好適である
。この方法は、a)置換基モジュール(例えば頭部、尾部及び側鎖)の結着に利用できる少なくとも3つの位置を有する共役有機前駆体を供給する工程、b)ホスホン酸誘導体、カルボン酸誘導体、アミン誘導体、ホスフィン誘導体、チオール誘導体、チオフェン誘導体、又はそれらの組合わせを含む第一置換基モジュールを供給する工程、c)炭素数3〜22のアルキン誘導体を含む第二置換基モジュールを供給する工程、d)炭素数1〜22のアルキル誘導体を含む第三置換基モジュールを任意に供給する工程、
e)第一置換基モジュールを第一位置で連結し、第二置換基モジュールを第二位置で連結し、更に第三置換基モジュールを第三位置で任意に連結し、これにより、前記有機組成物を合成する工程を含む。
【0021】
第一、第二又は第三置換基モジュールの少なくとも1つの置換基は、ナノ構造表面に結合可能である(又は任意にこの成分は、既にナノ構造表面に結合している)。これら各種モジュールの本体構造への連結によって、本体構造の電子共役結合は破壊されない。好ましい実施態様では、むしろ、1つ以上の置換基モジュールの本体構造への連結によって、本体構造の共役結合は拡大する。
【0022】
本発明の幾つかの実施態様では、第一置換基モジュールは、チオフェン誘導体である。このチオフェン含有頭部基置換基モジュールは、例えばa)ハロゲン化アリール芯部構造を供給する工程、b)該ハロゲン化アリール芯部構造を第一ハロゲン化物位置でリチウム化し、更にクロロトリメチルシラン(TMSCl)と反応させて、TMS−アリール中間体芯部構造を生成させる工程、c)該中間体芯部構造を第二ハロゲン化物位置でリチウム化し、更に、この生成物を塩化トリメチル錫(MeSnCl)と反応させて、スタンニル化第二中間体を生成させる工程、及びd)該第二中間体をハロゲン化チオフェンと化合させて、TMS−アリール−チオフェン誘導体を含む第一置換基モジュールを形成する工程を含む。ホスファイト部分のTMS−アリール−チオフェン誘導体への連結は、例えばパラジウム触媒したホスファイト−アリールカップリングを行うことにより達成できる。第一置換基モジュールは、モジュールの本体構造への連結前に、又はモジュールを結着させた後に、ナノ構造結合性部分(例えばホスファイト基)で機能化できる。
【0023】
第二置換基モジュールとして使用したアルキン部分の連結は、例えばSonogashiraカップリングにより行える。本体構造は、頭部部分及び尾部部分の付加前に、チオフェン部分により第一部分(例えば頭部)及び/又は第二部分(例えば尾部)で任意に機能化されている。
【0024】
任意の第三置換基を本体構造に連結するため、各種の反応が使用できる。例えばヒドロキシル又はアミン部分を有する第三置換基を第三位置で共役有機前駆体に連結して、側鎖置換中間体組成物を形成するため、アルキル化反応(ウイリアムソンエーテル合成、フリーデルクラフトアルキル化反応、又はその他の芳香族求電子性置換反応)が使用できる。
【0025】
好ましい実施態様では、任意の第三置換基モジュール(例えば1つ以上の側鎖)は、第一及び/又は第二置換基モジュールの結着前に、第三位置で共役有機前駆体に連結される。例えば第三置換基モジュールを供給し、連結する工程は、a)側鎖置換基のハロゲン化誘導体を約1.1モル当量供給する工程、b)該ハロゲン化誘導体を、炭酸カリウム(KCO)及びジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で共役有機前駆体と化合させて、反応混合物を形成する工程、及びc)該反応混合物を約70℃に加熱し、これにより第三置換基を共役有機部分に連結する工程を含む。
【0026】
第三置換基連結工程中、任意に、別の側鎖置換基を共役有機前駆体に添加できる。例えば第三置換基モジュールを連結する工程は、任意に、第四置換基を第四位置で本体構造に連結する工程を更に含む。この第三及び第四置換基は、同じ化学種でも異なる化学種でも
よい。
【0027】
本発明の幾つかの実施態様では、導電組成物の作製方法は、頭部基(及び該組成物に取り入れた他のいずれのナノ構造結合性部分も)をナノ構造の外表面に連結又は共結合(cojoin)し、これによりナノ構造結合組成物を供給する工程も含む。この工程は、任意に、導電組成物の合成(例えば固体相合成)中に行える。
【0028】
重合性成分を取り入れた置換基モジュールを利用する実施態様では、導電組成物の作製方法は、任意に、有機組成物をナノ構造表面に連結後、この組成物を重合し、これにより重合共役有機組成物を形成する工程を更に含む。
【0029】
更なる局面では、本発明は、ナノ構造(例えばナノ結晶)と外部母材との相互作用を改良する方法も提供する。この方法は、a)ナノ構造を本発明の導電組成物で処理する工程、及びb)処理したナノ構造と母材組成物とを有するナノ構造含有母材を形成し、これによりナノ構造と外部母材との相互作用を改良する工程を含む。ナノ構造に適用する導電組成物は、任意に、現場で重合して、重合導電組成物を形成できる。他の一実施態様では、コートしたナノ構造を中に入れた母材組成物は、本発明の重合導電組成物を構成する。
【0030】
また本発明は、本発明の導電組成物を取り入れた、光電気装置、光電池装置及び発光装置(LED)のような装置を提供する。本発明の導電組成物は、ナノ規模でも非ナノ規模(例えば大(bulk)結晶性)のアッセンブリーに連結できる。本発明の装置は、通常、第一電極表面及び第二電極表面を備え、更にこれら2つの電極間に配置され、第一電極表面及び第二電極表面に電気的に連結した半導体又はナノ構造含有母材組成物を有する。一実施態様では、本発明の導電組成物は、例えば2002年10月25日出願の米国特許出願No.60/421,353、2003年3月4日出願の米国特許出願No.60/452,038、2003年9月4日出願の米国出願代理人ケースNo.40−001320、及び国際出願代理人ケースNo.40−001320PCに記載のような光電池装置に取り込まれる。或いは、本発明の組成物は、例えばディスプレイ又は白色光源として使用されるLEDを作るため、蛍光芯部/殻部ナノ構造への電荷注入に使用できる。
【0031】
図1は、本発明の一例の導電組成物を示す。
【0032】
図2は、本発明の他の一例の導電組成物を示す。
【0033】
図3は、本発明組成物の一実施態様についての化学合成計画を示す。
【0034】
図4は、本発明組成物の他の一実施態様についての化学合成計画を示す。
【0035】
図5は、本発明組成物の更なる実施態様についての化学合成計画を示す。
【0036】
図6は、本発明組成物の別の実施態様についての化学合成計画を示す。
【0037】
図7は、本発明組成物の更なる実施態様についての化学合成計画を示す。
【0038】
図8は、モノマー性及びポリマー性の両導電組成物を表わす本発明の更なる実施態様の絵模様図を示す。
【0039】
図9〜19は、本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【0040】
図20〜28は、本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【0041】
詳細な説明
本発明は、ナノ構造表面を横断するか、或いはナノ構造含有母材(例えば1つ以上のナノ結晶、例えば1つ以上の無機ナノ結晶を含む、例えばナノ複合体)内の電荷輸送を改良するために使用できる。
【0042】
光電池装置は、光(太陽エネルギー)を貯蔵可能なエネルギーに変換する。光がナノ複合体(例えばナノ結晶含有組成物)中のナノ結晶性構造により吸収されると、この吸収により、電子−ホール対(励起子とも言う)が形成される。この電子及びホールは、ナノ複合体の構造に或る程度依存して、再結合するか、或いは分離したまま留まる。電子とホールとの再結合は、幾つかの利用(例えばLEDでの発光)では望ましいが、その他の利用では望ましくない。
【0043】
光電池装置で使用されるナノ複合体では、例えば電子とホールとが再結合するよりも、むしろ反対電極に移動することが好ましい。しかし、ナノ構造(例えばナノワイヤー、分岐ナノワイヤー、ナノ結晶、非晶質ナノ構造、ナノ粒子、ナノテトラポッド等)は、通常、1つ以上の表面配位子(例えば合成中に導入された界面活性剤分子)を含む。例えばEmpedoclesの“Nanotechnology enabled optoelectronics”と題する米国特許出願No.60/389、029(2002年6月13日出願)、及びMilliron等(2003)“Electroactive surfactant designed to mediate electron transfer between CdSe nanocrystals and organic semiconductore”Adv.Mater.15:58−61参照。これら非導電ナノ構造コーティングは、光電池装置において、電荷分離効率を低下させる。本発明の組成物は、ナノ複合体中で発生した電子及びホールの輸送(例えば分離)を和らげるか、促進するか、さもなければ制御するように設計される。使用中、組成物は、ナノ結晶表面に連結し、したがって、組成物中の共役有機種は、ナノ結晶中を移動する電子及び/又はホールと電子的に相互作用する。これは、前述のように、本来、非導電性の現在入手可能な有機ナノ結晶性コーティングと対照的である。
【0044】
本発明を詳細に説明する前に、勿論、本発明は、変化可能な特定の装置又は生物学システムに限定されないと理解すべきである。ここで使用した用語は、特定の実施態様だけを説明する目的のためであり、限定されることを意図しないことも理解すべきである。本明細書及び特許請求の範囲で使用した単数形の冠詞及び定冠詞は、用語の内容が特に明白に指定しない限り、複数形を含む。したがって、例えば単数形の“ナノ結晶表面”と言えば、2つ以上の表面を含み、また単数形の“置換基”は、混合置換基を含む等である。
【0045】
特に定義しない限り、ここで使用した全ての技術的及び科学的用語は、本発明に関与する当業者が共通に理解している、勿論、変化可能な意味と同じ意味を有する。ここで説明したのと類似の又は同じ方法及び材料は、本発明をテストするのに使用できる。ここでは、好ましい材料及び方法を説明する。本発明を説明し、特許請求するに当り、以下に説明した定義に従って、下記用語を説明する。
【0046】
ここで使用した用語“導電組成物”は、電子導電能力、ホール導電能力、又はさもなければ電荷移動を受ける能力を有するモノマー性(例えば配位子)又はポリマー性の組成物を言う。
【0047】
用語“共役有機部分”は、単結合と交互に2つ以上の二重結合を有する有機(例えば炭素含有)分子を言い、したがって、線状構造及び環式構造を含む。
【0048】
ここで使用した用語“機能化”は、反応性化学部分又は官能価の存在を言う。
【0049】
ここで使用した用語“アルキル”は、1価基C2n(但し、nは0より大きい整数である)からなるか又は該基を含む化学置換基を言う。
【0050】
ここで使用した用語“アリール”は、芳香族基からなるか又は該基を含む化学置換基を言う。
【0051】
用語“一座”及び“多座”は、結着部位の数(一座は、1つの部位を有し、多座は、1より多い部位を有する)を言う。
【0052】
ここで使用した用語“重合性要素”は、自己重合反応及び/又は共重合反応を受けることができる化学置換基又は部分を言い、したがって、限定されるものではないが、ビニル誘導体、ブタジエン、トリエン、テトラエン、ジオレフィン、アセチレン、ジアセチレン、スチレン誘導体、及びその他、当業者に公知の反応性官能基を含む。
【0053】
ここで交換可能に使用した用語“オリゴマー”及び“ポリマー”は、1成分モノマー又は下位単位よりも多い多量体構造を言う。
【0054】
用語“母材”は、第二の材料(例えばナノ結晶性組成物)を埋込むか、囲んだ材料、多くの場合、ポリマー材料を言う。母材は、導電組成物、半導電組成物、又は非導電組成物であってよい。
【0055】
“ナノ構造”は、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、更には約20nm未満の寸法を持った少なくとも1つの部分(area)又は特有の次元を有する構造である。通常、この部分又は特有の次元は、構造の最小軸に平行する。このような構造の例としては、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ結晶、ナノテトラポッド、トリポッド、ビ(bi)ポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐テトラポッド(例えば無機デンドリマー(dendrimer))等が挙げられる。ナノ構造の材料特性は、実質的に均一であってよく、幾つかの実施態様では、不均質(例えばヘテロ構造)であってよい。ナノ構造は、例えば実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、非晶質、又はそれらの組合わせであってよい。一局面では、ナノ構造の三次元の各寸法は、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、更には約20nm未満であってよい。ナノ構造は、少なくとも1つの表面配位子(例えば界面活性剤)を有する。
【0056】
ナノ構造に関連して使用する用語“結晶性”又は“実質的に結晶性”は、ナノ構造が通常、構造の1つ以上の次元を横断する長い範囲の秩序を見せることを言う。単結晶の秩序は、この結晶の境界を越えて拡大できなので、当業者ならば、用語“長い範囲の秩序”は、特定ナノ構造の絶対寸法に依存することは理解されよう。この場合、“長い範囲の秩序”は、ナノ構造の寸法の少なくとも大部分を横断する実質的な秩序を意味する。幾つかの例では、ナノ構造は、酸化物又はその他のコーティングを持つか、或いは芯部及び少なくとも1つの殻部で構成できる。これらの例では、酸化物、殻部、又はその他のコーティングは、このような秩序(例えば非晶質又は多結晶性、その他であってよい)を見せる必要がないことは、理解されよう。これらの例では、語句“結晶性”、“実質的に結晶性”、“実質的に単結晶性”又は“単結晶性”は、ナノ構造(コーティング層又は殻部を除く)の中心芯部を言う。ナノ構造が実質的に長い範囲の秩序(例えばナノ構造又はその芯部の少なくとも1つの軸の長さに対し約80%を超える秩序)を見せる限り、ここで使用した用語“結晶性”又は“実質的に結晶性”は、各種欠点、積層(stacking)欠陥、
原子置換等を含む構造も包含することを意図する。更に、ナノ構造の芯部と外側間の界面;芯部と、近接する殻部間の界面;又は殻部と、第二の近接する殻部間の界面が非結晶性部分を含有してもよいし、更には非晶質であってもよいことは理解されよう。これは、ナノ構造が、ここで定義したような結晶性又は実質的に結晶性であることを妨げる。
【0057】
ナノ構造に関連して使用する用語“単結晶性”は、ナノ構造が実質的に結晶性で、かつ実質的に単結晶を含有することを指示する。芯部及び1つ以上の殻部を有するナノ構造ヘテロ構造に関連して使用する“単結晶性”は、芯部が、実質的に結晶性で、かつ実質的に単結晶を含有することを指示する。
【0058】
“ナノ結晶”は、実質的に単結晶性のナノ構造である。したがって、ナノ結晶は、約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、更には約20nm未満の寸法を持った少なくとも1つの部分又は特有の次元を有する。通常、この部分又は特有の次元は、構造の最小軸に平行する。このような構造の例としては、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノワイヤー、ナノテトラポッド、ナノトリポッド、ナノビポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、ナノリボン等が挙げられる。ナノ構造の材料特性は、実質的に均一であってよく、或いは特定の実施態様では、不均質(例えばヘテロ構造)であってよい。ナノ結晶は、任意に、1つ以上の表面配位子(例えば界面活性剤)を有する。ナノ結晶の構造は、実質的に単結晶(“単結晶ナノ構造”又は“単結晶性ナノ構造”)である。本発明で使用されるナノ構造は、本質的にいかなる便利な材料からも作製できるが、無機材料、例えば無機導電又は半導電材料から製造することが好ましい。導電又は半導電ナノ構造は、一次元量子閉じ込めを示すことが多く、例えば電子は、多くの場合、ナノ構造の一次元だけに沿って移動する。ナノ結晶の材料特性は、実質的に均一であってよく、或いは特定の実施態様では、不均質(例えばヘテロ構造)であってよい。用語“ナノ結晶”は、各種欠点、積層欠陥、原子置換等を含む実質的に単結晶性のナノ構造、及びこのような欠点、欠陥又は置換のない実質的に単結晶性のナノ構造も包含することを意図する。芯部及び1つ以上の殻部を有するナノ結晶ヘテロ構造の場合、このナノ結晶の芯部は、通常、実質的に単結晶性であるが、殻部はその必要がない。ナノ結晶は、本質的にいかなる便利な材料からも作製できる。
【0059】
“ナノワイヤー”は、1つの主軸が他の2つの主軸よりも長いナノ構造である。したがって、ナノワイヤーのアスペクト比は、1を超え、本発明のナノワイヤーでは、約1.5を超えるか、約2を超える。短いナノワイヤーは、時にはナノロッドと言われ、通常、アスペクト比は、約1.5〜約10の範囲である。長いナノワイヤーのアスペクト比は、約10を超えるか、約20を超えるか、約50を超えるか、約100を超えるか、更には約10、000を超える。ナノワイヤーの直径は、通常、約500nm未満、好ましくは約200nm未満、更に好ましくは約150nm未満、最も好ましくは約100nm未満、約50nm未満又は約25nm未満、更には約10nm未満又は約5nm未満である。本発明で使用されるナノワイヤーの材料特性は、実質的に均一であってよく、或いは特定の実施態様では、不均質(例えばナノワイヤーヘテロ構造)であってよい。ナノワイヤーは、本質的にいかなる便利な材料からも作製できる。ナノワイヤーは、“純粋な”材料、実質的に純粋な材料、ドープした材料等を含有でき、また絶縁体、導電体、及び半導体を含有できる。ナノワイヤーは、通常、実質的に結晶性及び/又は実質的に単結晶性である。ナノワイヤーの直径は、変化可能であっても、実質的に均一であってもよく、即ち、最大変化可能範囲及び5nm以上(例えば10nm以上、約20nm以上、又は50nm以上)の直線寸法に亘って、約20%未満(例えば約10%未満、約5%未満、又は約1%未満)変化してよい。通常、直径は、ナノワイヤーの端部から離れて(例えば、ナノワイヤの中心20%、40%又は80%に亘って)評価する。ナノワイヤーは、長軸又はその一部の全長に亘って真直ぐでも、或いはカーブしても又は曲がっていてもよい。特定の実施例では、ナノワイヤー又はその一部は、二又は三次元量子閉じ込めを示すことができる。
本発明のナノワイヤーは、炭素ナノチューブを明確に排除でき、特定の実施態様では、“ウイスカー”又は“ナノウイスカー”、特に直径100nmを超えるか、或いは約200nmを超えるウイスカーを排除できる。ナノロッド、ナオワイヤー、その他のナノ構造は、本願と同時出願の代理人ケースNo.40−000820に詳細に記載されている。同時出願の内容は、全体をここに援用した。
【0060】
“アスペクト比”は、ナノ構造の第一軸の長さを、該構造の第二軸及び第三軸の長さの平均で割った値で、第二軸及び第三軸は、互いにほぼ等しい長さの2つの軸である。例えば完全なロッドの場合のアスペクト比は、長軸の長さを、長軸に対し垂直の(標準の)横断面の直径で割った値である。
【0061】
HOMO状態とLUMO状態との“バンドギャップ差”は、価電子バンドと伝導バンドとを分離する“バンドギャップ”領域を横断する転移を作るのに必要なエネルギーを言う。
【0062】
導電組成物
一局面では、本発明は、電荷輸送、例えばナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の変更(modification)用導電組成物を提供する。この組成物は、ナノ結晶含有光電池母材のようなナノ構造組成物と協力して使用される。或いは、本発明の導電組成物は、非ナノ規模の半導体成分と一緒に使用できる。本発明の導電組成物は、通常、3つの基本的成分、即ち、芯部要素又は“本体構造”、第一位置で本体構造に連結した、ナノ構造表面と連合可能な頭部基、及び第二位置で本体構造に連結した“尾部”基を有する。更に導電組成物は、任意に、他の場所(即ち、第三位置、第四位置等)で本体構造に連結した1つ以上の“側鎖”要素を有する。
【0063】
これら各成分を以下に更に詳細に説明する。本発明の導電組成物を含む要素は、一緒に働いて、結合表面(例えばナノ結晶表面)上、又は半導体表面を囲むポリマー母材上に導電性コーティングを与え、これにより電子及び/又はホールの移動を可能及び/又は促進する。例えば光電気装置(例えば光電池装置)のナノ結晶成分に光が当たると、光子は、ナノ結晶により吸収され、ナノ結晶内に励起子を作る。ホールから電子を連行することにより、利用可能な電位を作る。本発明の導電組成物(例えば配位子型コーティング及び/又はポリマー母材)は、この電位の発生を助ける。この援助は、ナノ結晶又はその他の半導体材料への電子の供与(注入)、或いはナノ結晶又は半導体からのホールの連行(抽出)を介してよい。好ましい実施態様では、本発明の導電組成物により促進された電荷移動度(電子の移動)は、電子とホールとの再結合を回避するように十分速い。本発明の導電組成物及び関連装置(例えば光電池装置及びLED)に関する電荷の分離及び導電についての更なる検討は、Scher等による2003年3月4日出願の“Nanocomposite−Based Photovoltaic Devices”と題する米国特許出願No.60/452,083に見い出される。
【0064】
共役有機部分は、導電組成物の芯部対して選択される。この共役部分は、通常、共役アルキル部分か又は共役アリール部分である。本発明の組成物に使用される好例の本体構造としては、限定されるものではないが、フェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、ピリジン、フェナンスラレン、各種アルケニル構造等が挙げられる。幾つかの実施態様では、共役有機部分として、多核芳香族部分(例えば多核芳香族炭化水素、又はPAH)が使用される。好例のPAH化合物としては、限定されるものではないが、ベンゾ〔a〕アンスラセン、クリセン、フルオレン、ペリレン、ナフタレン、アセナフテン、アセナフタレン、フェナンスレン、ピレン、ベンゾ〔a〕ピレン等が挙げられる。
【0065】
一実施態様では、共役有機部分は、結晶からポリマー母材へ(及び任意に、例えば光電
池装置の電極又は電極表面へ)のホール輸送を与えるべきである。導電組成物の共役“主鎖(backbone)”沿いのホールの移動(例えば電荷輸送)は、本体構造の電子特性を選択するか又は整合することにより促進され、こうしてナノ結晶からポリマー母材へのホール輸送は、電子輸送よりも促進される(即ち、導電組成物の本体構造要素は、ナノ結晶よりも高いHOMOエネルギー水準及び周囲のポリマーよりも低いHOMO水準を有する)。或いは、本発明の導電組成物は、電子輸送の促進のためにモジュール的に設計できる。
【0066】
本発明の幾つかの実施態様では、本体構造は、ポリ(フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(エテン)、ポリ(エチン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(ピリジン)、ポリ(PAH)等のような、オリゴマー又はポリマー構造である。重合の程度は、たった数個の繰り返し要素(例えば2、3、4、5、6等)から更に長いポリマー(例えば数十の繰り返し単位を有する)までの範囲であってよい。更に、当業者に公知の別の又は代りの、オリゴマー共役構造又はポリマー共役構造も本発明組成物の本体構造として使用できる。
【0067】
頭部基
本発明の導電組成物は、共役有機部分の第一位置で本体構造に連結した“頭部基”を更に含有する。解放状態の配置構造では、頭部基は、ナノ構造表面に結合可能な機能化された要素である。頭部基は、任意に、結合した頭部基(例えば組成物がナノ構造と会合した実施態様の場合)である。これら結合化学構造及び機能化化学構造とも、本発明では“頭部基”とみなされる。
【0068】
本発明で機能化頭部基として使用される好例の化学部分としては、限定されるものではないが、ホスホン酸、ホスフィン酸、カルボン酸、アミン、酸化アミン、ホスフィン、酸化ホスフィン、ホスホネート、ホスホナイト、ヒドロキシル、及びチオール部分である。
【0069】
或いは、窒素含有芳香族化合物又は複素環式化合物(heterocycles)(例えばイミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、プリン又はキノリン)も、本発明の組成物においてナノ構造結合性頭部基部分として使用できる。好例の化合物としては、限定されるものではないが、2−メチルピリジン、3−エチルピリジン、4−クロロピリジン、コリジン、ジメチルキノリン、及びナノ構造生長停止剤として普通に使用されているその他の化合物、の誘導体が挙げられる。
【0070】
幾つかの実施態様では、機能化(又は結合)頭部基は、一座構造(例えばナノ構造と結合可能な単一部分)である。代りの実施態様では、頭部基は、ナノ構造表面と複数の相互作用が可能な多座構造である。
【0071】
頭部基要素は、1つ以上の重合性要素を任意に有する。重合性要素は、幾つかの実施態様では、単一本体構造に(例えば線状に)結着した複数の頭部基分子を有する導電組成物の製造に使用できる。このような組成物の一つは、式(H)−B−Tを有するものである。式中、x個の頭部部分(H)は、例えば共役組成物の合成中、本体構造(B)及び尾部基(T)に結着する。或いは、頭部基上の重合性要素は、導電組成物の近接要素を重合するのに使用される。重合は、2つの頭部基間、1つの頭部基と導電組成物の他の1つの要素(例えば尾部基又は任意の側鎖)との間で起こる可能性がある。このような性状の組成物例は、式(H−B−T)で示される。式中、nは、ポリマー中の部材(member)組成物の数(平均数)を表わす。近接要素は、幾つかの実施態様では、ナノ構造表面に結着後、重合するのが好ましいが、幾つかのポリマーの実施態様では、これらの要素は、ナノ構造に曝す前に重合する。
【0072】
尾部基
本発明の導電組成物は、共役有機部分上の第二位置(尾部位置)で本体構造に連結した尾部基も有する。導電性化学構造でも非導電性化学構造でも本発明では、尾部基として使用できる。通常、尾部基は、n個の炭素からなるアルキン構造(但し、nは3〜22に等しい)であるが、更に大きなアルキン構造(炭素数は22を超える)も、本発明組成物に使用することを意図する。本発明に使用される好例のアルキンは、限定されるものではないが、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン及び1−デシンが挙げられる。炭素数3〜22(又はそれ以上)のいずれのアルキンも本発明では尾部基として任意に使用できる。或いは、メチレン、アリール、アセチレン及びアルケン基のような“硬質”要素を有するその他の部分も本発明では尾部基として使用できる。更に硬質の成分は、更に導電性の組成物(及び、導電組成物が重合性要素を有する実施態様では、更に熱力学的に予測できる生成物)を製造するのに使用できる。
【0073】
アルキン構造は、組成物に使用される特定のシステムに応じて、線状又は分岐状であってよい。例えば幾つかの実施態様では、尾部基として使用した分岐アルキニル鎖により立体障害が増大すると、(例えば本体構造のアリール成分の位置を変えることにより)導電組成物の共役結合に影響を与える可能性がある。分子−分子及びポリマー−分子の順序、積層及び詰め込み(packing)の変化も電子特性及び電荷輸送能力に影響を与える。好ましい実施態様では、線状(例えば非分岐)アルキル鎖は、尾部基部分として使用するのが好ましい。
【0074】
幾つかの実施態様では、尾部基は、更にチオフェン部分を有する。存在すれば、チオフェンは、アルキン部分と本体構造との間に位置することが好ましい(例えばチオフェンは、尾部基を本体構造の第二位置で共役有機種に連結する)。
【0075】
尾部基は、更に、ナノ構造表面に結合可能な化学官能価を有する。頭部基要素について説明したように、尾部基は、一座又は多座構造のいずれでもよい。存在すれば、尾部基に取り込まれたナノ構造結合性官能価は、例えば第二ナノ構造表面に連結する(例えば近接ナノ結晶間に橋架組成物を形成する)のに任意に使用される。
【0076】
例えば別の実施態様では、本発明の導電組成物は、式CC−(CH2)−CCのジアルキン−又はジアルケン尾部基置換基を含有できる。式中、CCは、二重結合又は三重結合の炭素原子(この実施態様では、アルキル鎖の側面に配置する(flank))を表わす。尾部要素内には、例えば(式(OH)P(O)−CC−(CH2)−CC−で示されるように)本体構造との結着部位に対し末端の部位にナノ構造結合性部分(例えばホスファネート)が任意に取り込まれる。尾部基分子内の多数アルキン又はアルケン部分の存在は、尾部の幾何模様を変えるのに使用でき、また頭部基の結合に影響を与えることができる。尾部基に取り込まれたナノ構造結合性部分は、頭部基に存在するのと同じ又は異なる部分であってよい。尾部基に取り込まれたナノ構造結合性部分は、任意に、頭部基と同じナノ構造に結合させるのに使用できるか、或いは近接の結晶に連結(即ち、これらの結晶を結合)できる。更なる実施態様では、異なるナノ構造への結着を促進する異なるナノ構造結合性部分は、本発明の多座導電組成物に使用される(例えば非対称の二座導電組成物を形成する)。このような組成物は、例えば2結晶システム内でナノ構造を整列させるのに使用できる。
【0077】
本発明の他の一実施態様では、尾部基は、1つ以上の重合性要素を有する。前述のように、重合性要素は、幾つかの実施態様では、単一本体構造に(例えば線状に)結着した複数の尾部基モジュールを有する導電組成物を製造するのに使用できる。このような一組成物は、式H−B−(T)で示される。式中、Z個の尾部基は、本体構造に結着している
。或いは、尾部基上の重合性要素は、頭部基上の任意の重合性要素について説明した場合と同様、導電組成物の近接要素を重合するのに使用される(例えば2つの尾部基間、又は1つの尾部基と導電組成物の他の1つの要素との間)。近接要素は、ナノ構造表面に結着後、重合するのが好ましいが、重合性要素は、組成物をナノ構造に曝す前に連結できる。
【0078】
任意の側鎖
本体構造は、共役有機種に連結した1つ以上の側鎖を任意に有する。導電組成物は、2つ、3つ、又は4つの側鎖を任意に有する(追加の側鎖は、適切に構成された本体構造にありそうであるが)。
【0079】
例えば組成物の電子的調節及び/又は重合目的のため、側鎖の組成変化を利用して、導電組成物の溶解性を変えることができる。側鎖は、例えばカルボニルエステル部分を任意に含有でき、カルボニルの電子求引性の結果として、この側鎖を有する導電組成物は、電子移動を促進する。或いは、側鎖置換基として単一アルキル鎖の取込みは、この置換基の電子供与性によりホール移動を促進する。
【0080】
導電性化学構造又は非導電性化学構造のいずれでも、本発明では側鎖として使用できる。導電性化学構造は、有機芯部構造の共役結合を拡大するという更なる利点を有する。
【0081】
好ましい実施態様では、側鎖は、O結合又はN結合の化学構造である(例えば本体構造上の現存ヒドロキシル又はアミン基に連結される)。本発明で使用される好例の側鎖部分は、限定されるものではないが、O結合又はN結合のヘキサン部分、O結合又はN結合の2−エチルヘキシル部分、O結合又はN結合のオクチル部分、或いはO結合又はN結合のデシル部分が挙げられる。炭素原子数5〜22(又はそれ以上)のいずれのO結合又はN結合アルキル部分も、任意に側鎖成分(アルカン、アルケン、アルキン、ビニル、及びアリール構造を含む)として使用できる。
【0082】
前述のように、側鎖要素として使用される化学置換基は、意図する用途に応じて任意に電子供与基でも電子求引基でもよい。例えば電荷輸送の改良が電子輸送を含む実施態様では、電子求引基が好ましく、これに対し、“ホール輸送”には電子供与基が一層良好に機能する。
【0083】
好ましい実施態様では、第一側鎖は、第一側鎖位置(即ち、共役有機種の第三位置)で本体構造に連結し、第二側鎖は、第二側鎖位置(即ち、共役有機種の第四位置)で本体構造に連結する。これらの側鎖は、同一の化学部分であっても、或いは化学構造が異なってもよい。側鎖は、任意に、頭部基又は尾部基と同じ化学組成を持っていてよい。
【0084】
本発明の幾つかの実施態様では、側鎖置換基は、ナノ構造含有母材の母材組成と機能的及び/又は電子的に整合している。例えば側鎖は、母材の官能価と相互作用する官能価を含有できる(例えば親和性結合、イオン相互作用、共有相互作用及び/又は結合形成等)。或いは側鎖要素は、周囲母材の電子特性に影響を与えるのに使用できる。例えば導電組成物(例えば配位子)とポリマー母材間の距離、アリール基母材−母材積層距離及び詰め込み順序、及び/又は母材−配位子積層距離及び詰め込みは、導電組成物の側鎖要素を変化させることにより、変化又は制御でき、これにより側鎖と周囲母材との相互作用に影響を与えると共に、母材−配位子−ナノ構造システムの電子特性を改良する。
【0085】
側鎖のアルキル部分の長さは、溶解性に影響を与えるのに使用でき、したがって、いかなる長さ又は分岐計画(scheme)であってもよい。溶解性及び電子特性の両方とも、側鎖要素の各種組合わせにより同時に(又は独立に)調節できる。
【0086】
本発明の他の一実施態様では、側鎖は、1つ以上の重合性要素を有する。本発明組成物の幾つかの実施態様では、側鎖上の重合性要素は、互いに相互作用し、これにより導電組成物の個々の部材を架橋させて、ポリマー導電組成物を形成する。重合は、近接する導電組成物上の側鎖間、又は側鎖と導電組成物の他の1つの要素(例えば頭部基又は尾部基)間で起こり得る。近接要素は、ナノ構造表面に結着した後、重合するのが好ましいが、幾つかの実施態様では、要素はナノ構造に曝す前に重合する。
【0087】
或いは重合性要素は、拡大した側鎖成分(例えば追加の部分(moiety)を導電組成物に連結する手段として)を製造するのに使用できる。
【0088】
側鎖要素として組み込み可能な好例の化学成分としては、限定されるものではないが、アルキル(例えばアルカン、アルケン又はアルキン)鎖、カルボニル、アクリレート、メタクリレート、コハク酸エステル等が挙げられる。幾つかの実施態様では、側鎖要素は、ブタジエンのようなジエン部分を有するカルボニルエステル(例えばO−C(O)−(CH)N−ブタジエン)を有する。エステル化アルキル鎖沿いのいずれの位置にも配置できる(例えばカルボニルの近く、アルキル鎖の中央に向かって、O結合に対し末端、等)ジエン部分は、次に任意に、例えば2+2又は4+4重合反応により光重合できる。例えばPaleos(編)Polymerization in Organized Media(Gordon and Breach Science Publishers,Philadelphia,1992参照。
【0089】
更に、本発明導電組成物の化学合成へのモジュラーアプローチ(例えば収束的周縁(convergent periphery)改良)は、各種の、頭部部分、尾部基及び任意の側鎖要素の多数の組合わせに役立つ。
【0090】
本発明の好例の導電組成物を下記第1表及び図面、並びに実施例に示す。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】

【0091】
ポリマー実施態様
前述のように、導電組成物成分の1つ以上は、重合性要素を任意に含有できる。本発明は、各々、ナノ構造と併用されるオリゴマー導電組成物及びポリマー導電組成物も提供する。オリゴマー及び/又はポリマー組成物は、ナノ構造上のコーティングとして、或いはナノ構造を埋め込む母材として使用できる。ナノ構造は、本発明の第一導電組成物で任意にコートされ、また別の(例えば第二の)ポリマー導電組成物中に任意に埋め込まれる。別の実施態様では、種類の異なるナノ構造(例えばp型及びn型のナノ結晶)は、本発明の導電組成物により母材中で連結又は架橋される。
【0092】
効率的な電荷輸送を達成する一手段は、ホール及び電子の両方に対する電子“階段”をバンドギャップの調節で設計することによるものである。この場合、母材ポリマーは、ナノ構造を結合した導電組成物配位子(それ自体、ナノ構造よりも高い最高占有分子軌道(HOMO)水準を有する)のHOMOよりも僅かに高いHOMO水準を有する。ホール輸送のため精力的に有利に働く通路は、低いHOMO水準から高いHOMO水準まであるので、このような設計は、ホール輸送をナノ構造から配位子へ、ポリマーへ、電極へと促進する。逆に、母材ポリマーは、配位子のLUMO(最低不占有分子軌道)よりも僅かに低いLUMO水準を持つことができ、また配位子LUMOは、ナノ結晶LUMO水準よりも低くできる。これにより、電子輸送は、ポリマーから配位子及びナノ構造を経由して電極へと促進される。我々は、配位子及びポリマーのバンドギャップ、HOMO及びLUMOのモデル計算を行い、これらの要件に適合させるため、配位子及びポリマーの両方を調整する(tune)ことにより、達成できることが判った。この一達成手段は、ポリマー及びオリゴマーの各々の電子サインは類似するが、僅かな調整で、それぞれホール及び電子の輸送に適切な電子階段を付与できるように、ポリマー及びオリゴマー用の類似の成分を用いることである。
【0093】
重合性要素
本発明導電組成物のいずれの要素(頭部基、本体構造、尾部基、及び/又は側鎖)も、重合性要素を1つ以上含有できる。組成物中に取込み可能な好例の化学置換基としては、限定されるものではないが、ビニル誘導体、ブタジエン、トリエン、テトラエン、ジオレフィン、アセチレン、ジアセチレン、スチレン誘導体等が挙げられる。好例の側鎖置換基及び/又は誘導体(及び連結又は架橋の機構)は、例えば上記Paleos、及びKraft等(1998)“Electroluminescent Conjugated Polymers−−Seeing Polymers in a New Light”Angew.Chem,Int.Ed.37:402−428に示される。
【0094】
架橋反応については、重合性要素は、選択された要素の端部に位置してよく、或いは内部(例えばアルキル鎖置換基中)に位置してよい。本発明では、限定されるものではないが、重付加反応(熱、光誘引又は放射線誘因)、重縮合、酸化カップリング等を含む各種の重合機構を意図する。好ましい重合機構は、隣接する導電組成物中の側鎖置換基のビニル重合である。
【0095】
ポリマー組成物
好ましい実施態様では、本発明のポリマー導電組成物は、通常、構造〔H−B−Tを有する。式中、Hは、頭部基を表わし、Bは、本体構造を表わし、またTは、尾部基を表わす。下部小記号x、y及びzは、ポリマーの“モノマー”下位単位に存在する繰り返し要素の数(それぞれ、頭部基、本体構造、尾部基の数)を表わし、一方、nの値は、ポリマー中に存在するモノマー単位の数を与える。これらの値は整数である。x、y、z及びnが全て1である実施態様は、前述のようなモノマー導電組成物と同等である。したがって、本発明のポリマー導電組成物では、これら整数(x+y+z+n)は、4より大きい数(即ち、5又はそれ以上)である。図8は、本発明の好例のポリマー導電組成物を示す。ここで、多数の本体構造成分は、結着した同様な又は異なる側鎖要素で示す。
Nは、1(即ち、組成物のモノマー形態)〜10又はそれ以上(例えば15、2、25、50、100等)の値の範囲にある整数である。
【0096】
側鎖は、ポリマー導電組成物中の本体構造の1つ以上に結着して、存在してよい。これら任意の側鎖は、本体構造Bとは無関係の式には示されないが、任意に存在する。本発明の幾つかの実施態様では、側鎖部分は、存在する大部分の本体構造上(即ち、本体構造の少なくとも50%)に存在する。別の実施態様では、側鎖部分は、部材本体構造の少なくとも75%、90%、95%、99%又は本質的に全てに存在する。これら側鎖部分は、任意に、同じ化学官能価で有り得るし、或いは側鎖の組成は、本体構造の方々で任意に変化する。例えば一実施態様では、ポリマーの複数の本体構造は、2つの異なる側鎖部分の結着間で交互に現われる。他の一実施態様では、組成物に存在するこれら複数の側鎖は、2つ、3つ、4つ又はそれ以上の化学置換基のランダム混合物である。
【0097】
使用時(例えばナノ構造の存在下で)、ポリマー導電組成物の少なくとも1つの頭部基部分は、ナノ構造表面に結合する。複数の頭部基の大部分(例えば頭部基の少なくとも50%、約75%、約90%、約95%、約99%又は本質的に全て)は、結合形態である。前節で述べたように、重合は、導電組成物のナノ構造への結合前又は結合後のいずれでも行うことができる。更に、ポリマーは、最初の工程で部分架橋でき、またナノ構造との相互作用させて、更に架橋できる。こうして、ナノ構造(例えばナノ構造含有母材)と組合せて導電組成物又はポリマーを含む組成物も本発明で考慮される。
【0098】
ナノ構造−母材
導電組成物は、その他の非ナノ規模表面、例えば大結晶性材料等からの電荷注入/抽出にも有用である。こうして、ナノ構造及びその他のナノ規模組成物は、好ましい実施態様であるが、ここで説明した導電組成物は、その他の非ナノ規模表面、例えば大結晶性材料等からの電荷注入/抽出に使用でき、したがって、ナノ規模及び非ナノ規模(例えば大結晶性)アッセンブリーのいずれにも限定されない。一実施態様では、ナノ構造含有母材は、表面の一部が本発明の導電組成物に共結合した外表面を有するナノ構造、及びナノ構造の共役外表面に近接して位置する母材成分を含有する。ナノ構造含有母材に使用される導電組成物は、モノマー組成物であっても、或いはポリマー版、例えばナノ構造をコートするポリマー版であってもよい。母材成分は、生成物に考慮した用途に応じて、導電性母材でも非導電性母材でもよい。本発明で使用される好例の母材としては、限定されるものではないが、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリ(p−フェニレンビニレン(PPV)、及びポリ(2−メトキシ、5エチル(2’ヘキシルオキシ)p−フェニレン−ビニレン(MEH−PPV)が挙げられる。
【0099】
他の一実施態様では、本発明のナノ構造含有母材は、限定されるものではないが、ナノ構造及びこのナノ構造の外表面に近接して位置する母材組成物を含む。但し、この母材組成物は、本発明導電組成物の重合化実施態様を有する。例えば構造〔T−B−Hを有する。式中、Hは、ナノ構造表面に結合可能な少なくとも1つの機能化頭部基を含ぶ。Bは、1つ以上の共役有機部分を有する本体構造を含み、第一共役有機部分は、この少なくとも1つの機能化頭部基に連結する。Tは、本体構造に連結した少なくとも1つの尾部基を含む。またx、y、z及びnは、独立に1以上の整数である。重合は、組成物の要素(例えば側鎖)上で重合性単位の架橋により行われる。
【0100】
本発明の別の実施態様では、母材の導電ポリマー組成物は、ナノ構造に適用された別の導電組成物に共有的に連結する。好ましい実施態様では、この追加の導電組成物は、導電ポリマー母材の1つ以上の成分と機能的及び/又は電子的に整合している。
【0101】
母材
広範な各種のナノ構造適合性ポリマーが当業者に知られている(例えばDemus(編)1998 Handbook of Liquid Crystals,第1−4巻,(John Wiley and Sons,Inc.,Hoboken,NJ);Brandup(編)1999 Polmer Handbook(John Wiley and Sons,Inc.);Harper 2002 Handbook of Plastics,Elastomers,and Composites,第4編(McGraw−Hill,Columbus,OH);及びKraft等(1998)Angew.Chem,Int.Ed.37:402−428参照)。導電ポリマー又は非導電ポリマーのいずれでも、本発明の導電組成物に併用できるが、本発明の好ましい実施態様は、導電ポリマーを使用する。
【0102】
本発明で使用される好例のポリマーとしては、限定されるものではないが、熱可塑性ポリマー(例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリシリコーン、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、又はフルオロプラスチック)、熱硬化性プラスチック(例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂)、エンジニアリングプラスチック(例えばポリアミド、ポリアクリレート樹脂、ポリケトン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアセタール)、及び主鎖液晶ポリマー(例えばポリ(ヒドロキシナフトエ酸))や側鎖液晶ポリマー(例えばポリ〔n−((4’(4’’−シアンフェニル)フェノキシ)アルキル)ビニルエーテル〕)を含む液晶ポリマーが挙げられる。特定の実施態様は、導電性有機ポリマーを含む。例えばT.A.Skatherin(編)1986 Handbook of Conducting Polymers I.(Marcel Dekker,New York)参照。本発明の母材として使用される導電ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリ(2−メトキシ、5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−p−フェニレン−ビニレン(MEH−PPV)、ポリ(p−フェニレンビニレン(PPV)及びポリアニリンが挙げられる。
【0103】
ナノ構造
前述のように、本発明に使用される構造は、限定されるものではないが、ナノ規模及び非ナノ規模(例えば大結晶性)アッセンブリーを含む。ナノ結晶、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノ粒子等のナノ構造は、当業者に公知の多数の機構により作製できる。更に、その大きさは、異なる材料に適合可能な多数の便利な方法のいずれによっても制御できる。例えば各種組成物のナノ結晶の合成については、下記文献に記載されている。Peng等(2000)“Shape control of CdSe nanocrystals”Nature 404:59−61;Puntes等(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt”Science 291:2115−2117;Alivisatos等(2001年10月23日)“Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals, and product formed using process”と題する米国特許No.6,306,736;Alivisatos等(2001年5月1日)“Process for forming shaped group
II−VI semiconductor nanocrystals, and product formed using process”と題する米国特許No.6,225,198;Alivisatos等(1996年4月9日)“Preparation of III−V semiconductor nanocrystals”と題する米国特許No.5,505,928;Alivisatos等(1998年5月12日)“Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces usi
ng self−assembled monolayers”と題する米国特許No.5,751,018;Gallagher等(2000年4月11日)“Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same”と題する米国特許No.6,048,616;及びWeiss等(1999年11月23日)“Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes”と題する米国特許No.5,990,479。
【0104】
制御された直径を有するナノワイヤーを含む各種アスペクト比のナノワイヤーの生長については、例えば下記文献に記載されている。Gudiksen等(2000)“Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires”J,Am.Chem.Soc.122:8801−8802;Cui等(2001)“Diameter−controlled synthesis of single crystal silicon nanowires”App.Phys.Lett.78:2214−2216;Gudiksen等(2001)“Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires”J.Phys.Chem.B 105:4062−4064;Morales等(1998)“A laser ablation method for the synthesis of crystalling semiconductor nanowires”Science 279:208−211;Duan等(2000)“General synthesis of compoud semiconductor nanowires”Adv.Mater.12:298−302;Cui等(2000)“Doping and electrical transport
in silicon nanowires”J,Phys.Chem.B 104:5213−5216;前記Peng等(2000);前記Puntes等(2001);前記Alivisatos等の米国特許No.6,225,198;Lieber等(2000年3月14日)“Method of producing metal oxide nanorods”と題する米国特許No.6,036,774;Lieber等(1999年4月27日)“Metal of oxide nanorods”と題する米国特許No.5,897,945;Lieber等(1999年12月7日)“Preparation of carbide nanorods”と題する米国特許No.5,997,832;Urbau等(2002)“Synthesis of single−crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate”J.Am.Chem.Soc.124,1186;Yun等(2002)“Ferroelectric Properties of Indivisual
Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy”Nanoletters 2,447;並びにPCT出願No.WO 02/17362及びNo.WO 02/080280。
【0105】
分岐ナノワイヤー(例えばナノテトラポッド、トリポッド、バイポッド及び分岐テトラポッド)の生長については、例えばJun等(2001)“Controlled synthesis of multi−armed CdS nanorod architectures using nonosurfactant system”J.Am.Chem.Soc.123:5150−5151;及びManna等(2000)“Synthesis of Soluble and Processible Rod
−,Arrow−,Teardrop− and Tetrapod−shaped CdSe Nanocrystals”J.Am.Chem.Soc.122:12700−12706に記載されている。ナノ粒子の合成については、例えばClark Jr.等(1997年11月25日)“Method for producing semiconductor particles”と題する米国特許No.5,690,807;El−Shall等(2000年10月24日)“Nanoparticles of
silicon oxide alloys”と題する米国特許No.6,136,156;Ying等(2002年7月2日)“Synthesis of nanometer−sized particles by reverse micelle mediated techniques”と題する米国特許No.6,413,489;Liu等(2001)“Sol−Gel Synthesis of Free−Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nonoparticles”J.Am.Chem.Soc.123:4344に記載されている。上記文献には、ナノ結晶、ナノワイヤー及び分岐ナノワイヤーの生長のためのナノ粒子の合成法も記載されている。この方法で得られるナノ構造のアスペクト比は、約1.5未満である。
【0106】
芯部−殻部ナノ構造ヘテロ構造の合成法が、例えばPeng等(1997)“Epitaxial growth of highly luminesent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility”J.Am.Chem.Soc.119:7019−7029;Dabbousi等(1997)“(CdSe)ZnS core−shell quantum dots:Synthesis and Characterization of a size series of highly luminescent nanocrystallites”J.Phys.Chem.B 101:9463−9475;Manna等(2002)“Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal nanorods”J.Am.Chem.Soc.124:7136−7145;及びCao等(2000)“Growth and proparies of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores”J.Am.Chem.Soc.122:9692−9702に記載されている。例えば“Highly luminescent color−selective materials”と題するBawendi等の、(2001年3月27日)米国特許No.6,207,229及び(2001年11月27日)米国特許No.6,322,901参照。
【0107】
異なる材料をナノワイヤーの長軸沿いの異なる位置に分配したナノワイヤーヘテロ構造を含むナノワイヤーの均質集団の生長が、例えば下記文献に記載されている。PCT出願公開No.WO 02/17362及び同WO 02/080280;Gudiksen等(2002)“Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics”Nature 415:617−620;Bjork等(2002)“One−dimentional steeplechase for electrons realized”Nano Letters 2:86−89;Wu等(2002)“Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires”Nano Letters 2:83−86;及びEmpedocles等(2002年4月2日)“Nanowire heterostructures for encoding information”と題する米国特許出願No.60/370,09
5に記載されている。同様な方法は、他のヘテロ構造の生長に利用できる。
【0108】
特定の実施態様では、ナノ構造の収集又は集団の大きさ及び/又は形状は、実質的に単分散である。例えばBawendi等の“Preparation of nanocrystallite”と題する米国特許出願No.20020071952参照。
【0109】
無機ナノワイヤーの直径は、例えば蛍光ナノワイヤーの発する波長を制御するため、変化できる。ナノワイヤーの直径は、好ましくは約2〜約100nm、更に好ましくは約2〜約5nm又は約10〜約50nmである。ナノワイヤーの長さも変化できる。特定の実施態様では、無機ナノワイヤーのアスペクト比は、約10〜約10,000(例えば約20〜約10,000、約50〜約10,000又は約100〜約10,000)である。
【0110】
ナノワイヤーは、本質的にいかなる便利な材料(例えば半導電性材料、強誘電性材料、金属等)でも作製でき、また本質的に単一材料を含有でき、或いはヘテロ構造であり得る。
【0111】
本発明のナノ構造含有母材に使用されるナノ構造は、本質的にいかなる便利な材料からも作製できる。例えば、ナノ結晶としては、無機材料、例えば半導電性材料、例えば周期表第2族又は第12族から選ばれた第一元素と、第16族から選ばれた第二元素とを含む材料(例えばZnS、ZnO、ZnSe、ZnTe、CdS,CdSe,CdTe,HgS,HgSe,HgTe,MgS,MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe及び同様な材料);第13族から選ばれた第一元素と、第15族から選ばれた第二元素とを含む材料(例えばGaN、GaP、GaAs,GaSb、InN、InP、InAs、InSb、及び同様な材料);第14族元素を含む材料(Ge、Si及び同様な材料)を含む材料;PbS、PbSe、PbSe、PbTe、AlS、AlP、及びAlSbのような材料;或いは合金又はその混合物が挙げられる。本発明に使用されるナノ結晶構造についての更なる詳細は、例えばScher等による2002年10月25日及び2003年3月4日出願の“Nanocomposite Based Photovolatic Devices”と題する、それぞれ米国特許出願No.60/421,353及び同時係属出願No.60/452,038に見られる。
【0112】
好ましい実施態様では、本発明の装置は、ナノ結晶材料としてCdSe、CdTe及び/又はInPを含むナノ結晶を使用する。
【0113】
導電組成物の合成方法
本発明は、例えばナノ構造含有光電池装置に使用される、電荷輸送を容易にする有機種の合成方法も提供する。この方法は、このような合成法へのモジュラーアプローチを提供するもので、こうして各種の頭部基、尾部基及び側鎖が、選択された本体構造に独立に連結できる。
【0114】
本発明方法は、a)置換基モジュールの結着に利用できる少なくとも3つの位置を有する共役有機前駆体を供給する工程、b)ホスホン酸誘導体、カルボン酸誘導体、アミン誘導体、ホスフィン誘導体、チオール誘導体、チオフェン誘導体、又はそれらの組合わせのようなナノ構造結合性部分を含む第一置換基モジュール(例えば頭部基又はその他のナノ構造結合性部分)を供給する工程、
c)炭素数3〜22のアルキン誘導体を含む第二置換基モジュール(例えば尾部基)を供給する工程を含む。この方法は、更に任意に、炭素数1〜22のアルキル誘導体を含む第三置換基モジュール(例えば側鎖)を供給する工程を含む。次に、これらの置換基モジュールは、共役有機前駆体(例えば本体構造)に連結する。即ち、第一置換基モジュールを
第一位置で連結し、第二置換基モジュールを第二位置で連結し、更に任意の第三置換基モジュールを第三位置で連結し、これにより有機組成物を合成する。(第一、第二及び第三位置は、共役有機部分上の利用可能な結着部位の描写するもので、合成中の結着順序を表わすものでもなく、また共役有機種に対するIUOACの番号付け協約を表わすものでもない。)通常、任意の第三置換基は、第一置換基(頭部基)及び第二置換基(尾部基)の結着前に本体構造に連結する。これらモジュールの本体構造への連結は、本体構造の電子的共役結合を破壊せず、更に、第一、第二又は第三の置換基モジュールの少なくとも1つの置換基は、ナノ構造表面に結合できる(又はナノ構造表面に既に結合している)ことが好ましい。
【0115】
側鎖部分を結着した芯部本体構造の合成
本体構造は、本発明共役有機種の深部を付与する。通常、本体構造は、本発明の導電組成物を製造するため、機能化(例えばハロゲン化により)可能か、或いは他の機能化部分(頭部基、尾部基、側鎖)と反応可能な共役有機種である。
【0116】
共役有機前駆体は、当業者に公知の多数の共役アルキル部分又は共役アリール部分のいずれからも選択することが好ましい。好例の共役有機前駆体、例えばフェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、フルオレン、及びピリジン誘導体、アルケニル部分、又はペリレン、フェナンスラレン、アンスラセン、アルケニル又はその他の多核芳香族部分(又はそれらのポリマー誘導体)は、後節で検討する。本体構造への1つ以上の置換基モジュールの連結は、本体構造の共役結合を拡大する。好例の本体構造を第2表に示す。
【表5】

【0117】
本発明導電組成物の設計及び製造への収束的成分合成(“モジュラー”)アプローチに対する一利点は、この合成機構用の各成分の反応性を調節するか又は“整合(tune)させる”能力である。例えばアリール−アリールカップリングの速度は、各成分上の適切な電子供与基又は電子求引基を選択することにより、増大又は低下させることができる。電子求引基は、パラジウム触媒したカップリング反応での酸化付加工程を促進する傾向がある(例えばKuehl等(1997)Organometallics 16:1897参照)。こうして、成分の1つに電子求引基を含有させることにより、カップリング速度は増大する。本発明を特定の機構に限定するものではないが、カップリングの促進は、
ハロゲン化アリール又はアリール−スタナン(stannane)結合を弱める電子求引基により達成され、これにより、これらの部分間にパラジウム触媒が一層容易に挿入できる。例えばアルキニル尾部基をチオフェン前駆体に結着させ、次いでトリメチルスタナンを結着させた後、この成分を本体に連結すると、段階的アッセンブリーよりもカップリング速度及び全収率が高くなる。チオフェン及び本体成分を収束段階的方法で連結した後、アルキニル部分を加えると、カップリング速度が遅くなることが観察された。
【0118】
本発明の導電組成物は、本体構造に連結した1つ又は2つの側鎖、或いは“腕”(即ち、第三及び第四置換基モジュール)を有することが多い。これら方法の好ましい実施態様では、任意の第三及び第四置換基モジュールは、第一(頭部)置換基モジュール及び/又は第二(尾部)置換基モジュールに連結する前に、共役有機前駆体に連結する。例えば共役有機前駆体は、O結合又はN結合側鎖置換中間体組成物を形成するため、ヒドロキシル部分又はアミン部分を有する第三位置でアルキル化できる。
【0119】
例えばハロゲン化物(例えばI又はBr)で機能化した側鎖部分は、当該分野で公知の方法により、選択された共役有機種をアルキル化して側鎖置換本体構造を得るのに使用できる。一例として、ここで説明したヒドロキシ含有共役有機前駆体については、第三置換基モジュールの供給工程は、選択された側鎖置換基のハロゲン化誘導体を約1.1モル当量供給する工程を含み、また第三置換基モジュールを共役有機前駆体と連結する工程は、a)このハロゲン化側鎖誘導体と共役有機前駆体とを例えば炭酸カリウム(KCO)及びジメチルホルムアミド(DMF)の存在下に化合させて、反応混合物を形成する工程、及びb)この反応混合物を約70℃に加熱し、これにより第三置換基を共役有機部分に連結する工程を含む。同様な反応は、機能化側鎖部分をアミン含有本体構造前駆体に連結するのに設計できる。或いは、本発明の組成物を生成する際、基体として使用される側鎖連結本体構造は、入手可能ならば、種々の供給者(例えばSIGMA−Aldrich)から購入できる。
【0120】
2つ(又はそれ以上)の同一の側鎖部分を有する本体構造の場合、第三及び第四置換基に対するカップリング反応は、通常、同時に(例えば単一反応混合物中で)行われる。
【0121】
本発明の方法及び組成物に使用される1つの好ましい本体構造は、ヒドロキノン(1,4−ジヒドロキシベンゼン)である。第3表は、ここで説明した合成方法に使用される好例の基体を示す。これらの基体は、芯部ヒドロキノン構造のヒドロキシル部分に連結した2つの側鎖置換基を有するヒドロキノン本体構造をベースとする。
【表6】

【0122】
この表に示すように、限定する必要はないが、ヒドロキノン構造の1及び4位置に2つの側鎖要素は、同じ化学実体(entity)であってよい。
【0123】
頭部基部分の合成
第一置換基モジュールは、機能化ナノ構造結合性頭部基を有する。例えば第一置換基モジュールがジエチルホスファイトを有する実施態様では、第一置換基モジュールを本体構造に連結する工程は、パラジウム触媒したホスファイト−アリールカップリング反応により行うことができる。
【0124】
代りの実施態様では、ナノ構造結合性部分を本体構造に結合するため、ナノ構造結合性部分(例えばホスファイト)及び共役種(例えばベンゼン環又はチオフェン)を有する大きな頭部モジュール(前駆体)が製造される。このような頭部モジュールの合成は、例えばハロゲン化アリール芯部構造を供給して、2つのリチウム−ハロゲン交換反応を行うことにより達成できる。ハロゲン化アリール芯部構造は、第一ハロゲン化位置でリチウム化し、クロロトリメチルシラン(TMSCl)と反応させて、TMS−アリール中間体芯部構造を得る。次にTMS−アリール中間体芯部構造は、第二ハロゲン化位置でリチウム化し、塩化トリメチル錫(MeSnCl)と反応させて、スタンニル化第二中間体を得る。リチウム化反応は、逆の順序で任意に実施できる。次にこれら反応の生成物は、共役種としての例えばハロゲン化チオフェンと化合させて、本実施態様ではTMS−アリール−チオフェン誘導体を含む第一置換基モジュールを形成する。次にナノ構造結合性部分(例えばホスファイト基)は、(頭部基を本体構造に結着する前又は後に)パラジウム触媒機構により結合頭部基モジュールのアリール位置に連結できる。
【0125】
本発明で使用できる好例のナノ構造結合性部分としては、限定されるものではないが、第4表に示すものが挙げられる。
【表7】

【0126】
尾部部分の合成
導電組成物は、通常、ナノ構造結合性頭部基末端に位置する尾部基も有する。尾部基は、任意に1つ以上のナノ構造結合性部分も有する。これらの実施態様では、導電組成物は、近接ナノ構造間又はナノ構造間のカップリング剤として使用できる。内部に自己組織化特性を組み込んだ実施態様では、本発明の導電組成物は、例えば会合ナノ構造を配向及び/又は整合させるための配位子としても使用できる(例えば本出願と同時出願した米国出願代理人事件No.40−003300US及びPCT出願代理人事件No.40−003300PC参照)。
【0127】
第二置換基モジュール(例えばアルキン含有尾部基)のカップリングは、パラジウム触媒を用いるアリールカップリング反応により達成できる。好例の反応体系としては、限定されるものではないが、Sonogashiraカップリング(Sonogashira等(1975)Tetrahedron Lett.50:4467−4470)、Suzukiカップリング(Miyaura(1979)Tetrahedron Lett.3437)、Hartwig−Buchwaldカップリング(N結合置換基用)Heck反応(Patel等(1977)J.Org.Chem.42:3903)等が挙げられる。或いは、第二置換基モジュールを本体構造に連結するため、UllmannカップリングやStephens−Castroカップリングのような銅媒介反応が使用できる。触媒(この反応及びここで説明した他の反応用)は、固体支持体上に任意に供給できるか、或いは材料の回収を改良するため、可溶性ポリマーに任意に連結できる(例えばBergbreiter“Soluble polymer−bound catalysts”Bergbreiter及びMartin(編)、(1989)Functional Polymers(Pleum Press,New York,pp143−158);Tafesh及びBeller(1995)“First Selective
Reduction of Aromatic Nitro Compounds Using Water Soluble Catalysts”Tetrahedron
Lett.36:9305参照)。
【0128】
本発明で尾部基部分として使用される好例の化学成分としては、限定されるものではないが、第5表に示す構造が挙げられる。
【表8】

【0129】
導電組成物のモジュラー合成
本体構造(任意に同伴する側鎖を有し又は有さない)、頭部基部分及び尾部基部分を別々に製造することにより、各種の異なる導電組成物が容易かつ迅速に製造できる。本発明導電組成物の化学合成への、このようなモジュラーアプローチは、各種の、頭部部分、尾部基及び任意の側鎖要素の多数の組合わせに役立つ。その幾つかを図1及び図2に示す。
【0130】
この合成法は、更に頭部基をナノ結晶(又は他のナノ構造)のような構造の外表面に連結し、これによりナノ結晶結合組成物を供給する工程を任意に含む。或いは、頭部基は、非ナノ規模の表面及び非ナノ規模の半導体組成物と共同で用いた導電組成物に連結できる。半導体及びナノ規模の半導体組成物は、当該分野で知られている。このカップリング工程で使用できる外表面を有するナノ構造は、先に説明した好例の半導電性材料のいずれからも製造できる。好ましい実施態様では、ナノ結晶は第II/VI族構造又は第III/V族構造で、これらの構造に対しては、頭部基をナノ結晶の外表面に連結する工程は、例えば頭部基で入手できる自由電子とナノ結晶の近接金属部分との会合工程を含む。使用する頭部基モジュールは、接触させる構造又はナノ規模の構造の組成物を基準として選択でき、こうして過度の実験を行うことなく、いかなるナノ構造/ナノ結晶組成物についても製造できる。
【0131】
本発明方法は、更に、有機組成物をナノ構造表面に連結した後、この組成物を重合し、これにより重合した有機組成物を形成する工程を任意に含む。
【0132】
本発明のナノ構造含有装置は、光電池装置に使用するのに特に適している。例えばHuynh等(2002)Science 295:2425−2427;Huynh等(1999)Adv.Mater.11:923−927;Greenham等(1996)Phys.Rev.B−Condens Matter 54:17628−17637;及びGreenham等(1997)Synthetic Metals 84:545−546参照。また、好例のナノ結晶含有光電池装置は、2002年9月5日出願の米国特許出願No.60/408,722、2002年10月25日出願の米国特許出願No.60/421,353及び2003年3月4日出願の米国特許出願No.60/452,038に記載されている。本発明の導電組成物は、米国特許No.6,239,355、同6,512,172に記載のポリマー/ナノ複合体光電池装置や、同5,728,487及び同6,245,988に記載の染料増感結晶光電池装置にも使用できる。
【0133】
発光可能な水溶性半導体ナノ結晶の合成法は、例えばBawendi等の“Water−soluble fluorescent nanocrystals”(2001年6月6日)と題する米国特許No.6,251,303及びBawendi等の“Water−soluble fluorescent semiconductor”(20
01年11月20日)と題する米国特許No.6,319,426に記載されている。
【0134】
ナノ構造と母材との相互作用の改良方法
別の局面として、本発明は、ナノ構造と外部母材との相互作用を改良する方法を提供する。この方法は、a)ナノ構造を本発明の導電組成物で処理する工程、及びb)処理したナノ構造と母材組成物とを有するナノ構造含有母材を形成する工程を含む。ナノ構造の処理工程は、導電組成物を重合して、重合した導電組成物を形成する工程も任意に含むことができる。この方法の幾つかの実施態様では、ここに記載のポリマー導電組成物が、この方法での母材として使用される。
【0135】
本発明の方法、装置及び組成物の使用法
以上説明した方法及び材料には、特許請求した本発明の範囲を逸脱しない限り、変形は可能であり、本発明は、以下のような多数の異なる使用法に供することができる。
【0136】
ナノ構造を含む相互作用、例えばナノ結晶と母材との相互作用の改良に使用される導電組成物の製造に、以上のいずれかの方法を使用すること。
【0137】
本発明の導電組成物を1つ以上のナノ構造と会合させるため、以上のいずれかの方法を使用すること。
【0138】
本発明の方法及び導電組成物をナノ構造含有装置の製造に使用すること。
【0139】
以上説明した、導電組成物、ナノ構造:導電組成物;ナノ構造:母材組成物、又は方法のいずれか1つを使用したキット又はシステム。キットは、更にこれらの方法を行うための指示書;梱包材料;及び/又は導電組成物の製造に使用される導電組成物又は材料を収容する1つ以上の容器等を任意に有する。
【0140】
更なる局面では、本発明は、以上の方法及び装置を実現するキットを提供する。本発明のキットは、以下の1つ以上を任意に有する。(1)本発明導電組成物のモジュラー合成用の各種成分(本体構造、頭部基、尾部基、側鎖)、(2)ナノ結晶又はその他のナノ構造の1つ以上の配合物(preparation)、(3)ナノ結晶:母材組成物の製造用指示書、(4)以上説明した方法を実施するための指示書、及び/又は(5)梱包材料。
【0141】
更なる局面では、本発明は、以上説明したいずれの成分又はキットも使用するため、以上説明したいずれの方法も実施するため、及び/又は以上説明したいずれの方法も実施するいずれの装置又はキットも使用するため、用意する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0142】
実施例
以下の実施例は、説明のために示すもので、特許請求した発明を限定するものではない。ここで説明した実施例及び実施態様は、単に説明目的のためであり、この観点から、各種の変形又は変化は当業者に示唆されるし、また本出願の精神及び範囲並びに付属の特許請求の範囲内に含まれることが判る。
【0143】
本発明導電組成物の合成方法を、ここで、また付属の図面に示す。合成技術に関する更なる情報は、例えばFessendon及びFessendon,(1982)Organic Chemistry,第2編,Willard Grant Press,Boston Mass;Carey & Sundberg,(1990)Advanced Organic Chemistry,第3編,Parts A and B,Pl
enum Press,New York;及びMarch(1985)Advanced Organic Chemistry,第3編,John Wiley and Sons,New Yorkに記載されている。これらの文献に説明された標準の化学反応は、反応効率、収率及び/又は便宜性を高めるため改良する。
【実施例1】
【0144】
例1:雛型導電組成物 4−デシニルベンゼン−1−ホスホン酸の合成
本発明組成物の合成へのモジュラーアプローチを試験するため、合成体系を設計した(図3)。本体構造の前駆体として1−ヨード−4−ブロモベンゼン、尾部基部分として1−デシン、及び頭部基部分としてジエチルホスファイトを用いて、雛型導電組成物5bを製造した。アルゴン下の卵形撹拌棒付き500mLシュレンクフラスコに、塩化パラジウム(1.0ミリモル、0.177g)ヨウ化銅(I)(2。36ミリモル、0.450g)及びトリフェニルホスフィン(2.0ミリモル、0.525g)をグローブボックス中、アルゴン下で加えた。シュレンク線上で1−ヨード−4−ブロモベンゼン(50ミリモル、14.15g、化合物1)を加え、容器に栓を付け、フラスコを真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。フラスコに正圧のアルゴン下で隔壁を取付け、ガス抜きしたジイソプロピルアミン(100mL)を正圧のアルゴン下、撹拌しながらカニューレで加えた。次に、ガス抜きした1−デシン(50ミリモル、6.91g、化合物2)をアルゴン下に注射器で加えた。最後に、ガス抜きした乾燥テトラヒドロフランをアルゴン下にカニューレ移送により加え、容器をガラス栓で密封し、周囲温度で16時間撹拌後、55℃で1時間加熱した。周囲温度に冷却後、溶剤を回転蒸発により除去し、残査をジエチルエーテル(200mL)に溶解し、塩化アンモニウム(飽和水溶液、3×100mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去した。得られた油は、ヘキサンに溶解し、シリカゲルで塞いだ(plugged through)。溶剤の除去後、4−デシニル−ブロモベンゼン3(14.34g、収率98%)の黄色油が得られた。
【0145】
この材料を更に精製することなくホスホネートエステル部分の結着用に用いた。前記化合物3(23.87ミリモル、7.0g)を入れたテフロンバルブ及び撹拌棒付き100mLシュレンク管に、パラジウム(O)テトラキス〔トリフェニルホスフィン〕(1.19ミリモル、1.38g)を加えた。次に、シュレンク線上で、ガス抜きしたトリエチルアミン(11mL)及びガス抜きしたトルエンをアルゴン下、注射器で連続的に加えた。反応容器を密封し、混合物を撹拌し、100℃で2時間加熱した。溶剤を回転蒸発により除去し、残査を酢酸エチル(200mL)に溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過後、溶剤を回転蒸発により除去した。シリカゲルクロマトグラフィーによる単離(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で、4−デシニルベンゼン−1−ジエチルホスホネート5aを無色油(7.19g、収率90%)が得られた。H NMR(CDCl)δ7.70(m,2H)、7.45(m,2H)、4.10(m,4H)、2.42(t,2H)、1.61(m,2H)、1.45(m,2H)、1.32(t,8H)、1.27(m,6H)、0.89(t,3H)。連結尾部基(反応の副生成物)なしのホスホン化ベンジル環由来のMS信号を図9に示す。
【0146】
ホスホン酸に対するエステルの加水分解を次のように行った。化合物5a(10ミリモル、3.5g)及び乾燥ジクロロメタン(65mL)を入れた250mLシュレンクフラスコに、臭化トリメチルシリル(40mL)をアルゴン下、撹拌しながら注射器で加えた。周囲温度で4.5時間撹拌後、溶剤をシュレンク線上で真空除去した。次いでアセトン(32mL)及び水(0.775mL)を加え、混合物を周囲温度で45分間撹拌した。回転蒸発によるアセトン/水除去後、ジクロロメタンを添加し、更に全溶剤を回転蒸発させ、ホスホン酸誘導体5b(2.9g、収率100%)を得た。H NMR(CDCl
、図18)δ7.75(m,2H)、7.45(m,2H)、2.44(t,2H)、1.63(m,2H)、1.45(m,2H)、1.32(t,8H)、0.93(t,3H)。{1H}31P NMR(CDCl、図19)δ24.0。
【実施例2】
【0147】
例2:導電組成物16の合成
本発明方法の一利点は、関心のある各種導電組成物の合成へのモジュラーアプローチである。このアプローチを用いると、共通の合成中間体及び芯構造を製造し、使用することができる。本発明導電組成物を製造するための好例の合成機構を図4に示し、ここで更に詳細に説明する。このモジュラーアプローチでは、組成物の各種成分(本体構造、頭部基、尾部基)を個々の構造として合成し、次いで共に連結して導電組成物を形成する。
【0148】
頭部基前駆体の製造
本発明の幾つかの実施態様において、1つの共通の中間体は、活性化頭部基前駆体化合物9であり、この化合物は、図4に示すような公知の合成体系に基づいて製造できる。
【0149】
側腕部分の本体構造への連結
本発明の多くの実施態様では、頭部要素及び尾部要素を取り込む前に、本体要素に側腕部分を連結する。導電組成物に使用される1つの好ましい側腕成分は、O結合ヘキシル部分である。したがって、2,5−ジヒドロキシ含有導電組成物の合成に有用な他の1つの中間体は、1,4−ジヨード−2,5−ジヒドロキシベンゼン(化合物13、図14も参照)である。この芳香族本体構造(ベンゼン)からなる芯部構造及び2つのO結合側腕鎖は、図4に示すような標準的な方法によりヒドロキノン(化合物10)から製造できる。以下の合成法は、ヒドロキノンベースの本体構造(例えばベンゼン芯部にO結合した各種側鎖)に焦点を絞っているが、本発明の導電組成物を生成するには、その他のアリール及び/又は芳香族芯部構造も考慮され、また使用できる。代りの芯部構造を用いた好例の導電組成物を図2に例示する。
【0150】
本体構造へのチオフェン要素の付加
好ましい実施態様では、本体構造は、芳香族環芯部構造に連結した1つ以上のチオフェン部分を有する。この構造は、チオフェン含有芯部構造を供給するか、或いはチオフェン含有の頭部基部分又は尾部基部分を供給することにより、合成的に得られる。好例のチオフェン含有本体構造(連結した側腕を有する)は、1,4−ジチオフェン−2,5−ジヒドロキシベンゼン(化合物15a)である。この化合物は、ヨウ素化中間体化合物15bの前駆体で、次のようにして製造される。撹拌棒及びテフロンバルブ付き100mLシュレンクフラスコに二塩化パラジウム(1.0ミリモル、0.177g)、トリフェニルアルセン(2.0ミリモル、0.610g)及びLiCl(20ミリモル、0.859g)をグローブボックス中で加えた。シュレンク線上で1,4−ジヨード−2,5−ジヒドロキシベンゼン13(10ミリモル、5.30g)を加え、容器を真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。次に、ガス抜きしたジメチルホルムアミド(DMF)を正圧のアルゴン下にカニューレ移送した。容器を密封し、100℃で6日間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(200mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(125mL)、脱イオン水(50mL)及びブライン(150mL)で洗浄した。有機相を真空下に置き、溶剤を除去し、250mLシュレンクフラスコ中に閉じ込めた。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、0、1、2、及び5%勾配)による精製及び回転蒸発による溶剤除去により、1,4−ジチオフェン−2,5−ジヒドロキシベンゼン(2.2g、収率49%、化合物15a)の黄色結晶を得た。H NMR(CDCl、図16)δ7.53(d,2H)、7.34(d,2H)、7.25(s,2H)、7.09(dd,2H)、4.09(t,4H)、1.91(m,4H)、1.55(m,4H)、1.36(m,8H)、0.93(t,6H);13C{H}(CDCl)δ
149.2、139.3、126.8、125.8、125.2、123.0、112.9、69.9、31.9、29.7、26.2、22.9、14.4。
【0151】
次にチオフェン要素の1つをヨウ素化することにより、中間体15aを次のようにして化合物15bに転化した。テフロンバルブ及び撹拌棒付き100mLフラスコに1,4−ジチオフェン−2,5−ジヒドロキシベンゼン(2.49ミリモル、1.10g)を加え、フラスコを栓で閉じ、真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。次に、乾燥クロロホルム(30mL)を正圧のアルゴン下にカニューレ移送し、混合物を撹拌した。アルゴン下の撹拌溶液に、N−ヨードスクシンイミド(2.49ミリモル、0.560g)を一度に(in one portion)加え、反応容器をテフロンスリーブを付けた栓で密封し、反応混合物を周囲温度で4.5時間撹拌した後、40℃に加熱し、更に22時間撹拌した。粗反応混合物を冷却後、シリカゲル(5%酢酸エチル:95%ヘキサン)で塞ぎ、次いで10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(3×50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去して、粗材化合物15bを黄色油状固体(1.40g、収率99%)として得た。H NMR(CDCl、図13)δ7.53(m,1H)、7.43(d,1H)、7.35(m,1H)、7.26−7.20(m,3H)、7.13(d,1H)、7.09(dd,1H)、7.02(s,1H)、4.09(t,4H)、2.45(t,2H)、1.93(m,4H)、1.70−1.25(m,24H)、0.94(m,9H);MALDI−TOF MS(M+H)569m/z。
【0152】
尾部基及び頭部基の連結
ヨウ素化中間体15bに尾部基及び頭部基を付加すると、導電組成物16となる。尾部部分は、図4に示すような本体構造のヨウ素化チオフェンヨウ素に、前記化合物5aの場合と同様な方法で連結される。頭部基の連結は、所望導電組成物16の合成法の最終工程である。
【実施例3】
【0153】
例3:非対称側腕要素を有する組成物の合成
導電組成物の2つの側腕部分は、構造的に同一又は非対称である必要はない。本発明組成物の他の一実施態様では、導電組成物21のモジュラー合成に2つの異なる側腕部分が使用される。図5に示すように、4−メトキシフェノール(化合物17)の未保護ヒドロキシル基は、1.1当量の1−ヨードヘキサン(化合物11)を用いて、炭酸カリウム及びDMFの存在下、70℃でアルキル化し、中間体化合物18(図15参照)を形成した。この化合物は、ヨウ素化し(化合物19、図17)、チオフェン部分で誘導体化し、更に、例2と同様な方法で1−デシン尾部基部分(T1)及びチオフェン−ホスホネート頭部基H3)に連結した。
【実施例4】
【0154】
例4:尾部基部分1−スタニル−5−デシニル−チオフェンの合成
本発明の幾つかの実施態様の合成法に使用される他の1つの共通の中間体は、チオフェン含有尾部基部分1−スタニル−5−デシニル−チオフェン(化合物22)で、チオフェン部分及び尾部基は、本体構造に連結する前に結合される(図4及び図5に示す合成機構とは対照的に、チオフェン部分は、尾部基部分の連結前に、本体構造に結合される)。このチオフェン尾部基中間体は、次のようにして製造できる(図6)。再密封可能なテフロンバルブ及び卵形撹拌棒付き100mLシュレンク管に、二塩化パラジウム(0.413ミリモル、0.073g)、トリフェニルホスフィン(0.826ミリモル、0.217g)及びヨウ化銅(I)(0.413ミリモル、0.079g)をグローブボックス中で加えた。シュレンク線上で、ガス抜きした2−ブロモチオフェン8(20.66ミリモル,3.37g)、ジイソプロピルアミン(30mL)、1−デシン2(20.66ミリモ
ル,2.86g)及びトルエン(50mL)アルゴン下、注射器で連続的に加えた。反応容器をバルブで密封し、反応混合物を100℃に加熱し、一晩撹拌した。反応混合物を周囲温度に冷却し、溶剤を回転蒸発により除去した。残査は、ジエチルエーテル(250mL)に溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×125mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去し、黄色油を得た。ヘキサンを含むシリカゲルで塞いで精製し、2−デシニルチオフェン(化合物22a)を淡黄色油(4.32g、収率95%)として得た。H NMR(CDCl)δ7.18(d,1H)、7.12(d,2H)、6.94(dd,1H)、2.44(t,2H)、1.70−1.30(m,12H)、0.92(t,3H);GC/MS(M220m/z)。この化合物は、更に精製することなく使用した。
【0155】
グローブボックス内の卵形撹拌棒付き1Lシュレンクフラスコに2−デシニルチオフェン22a(57.44ミリモル、12.658g)をピペットで加えた。シュレンク線上でテトラヒドロフラン(300mL)を、隔壁を通して反応容器にカニューレ移送した。反応混合物を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(35.6mL、1.6Mヘキサン溶液)を注射器で滴下し、反応混合物を45分間撹拌した。反応容器に更にロートを取付け、塩化トリメチル錫(57.4mL、1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を正圧のアルゴン下、隔壁を通してロートにカニューレ移送した。この塩化トリメチル錫溶液を、撹拌中のリチウム塩溶液に−78℃で15分かけて滴下した。反応混合物を一晩撹拌しながら、周囲温度に加温した。溶剤をシュレンク線上で真空除去し、1Lシュレンクフラスコに閉じ込めた。得られた残査をジエチルエーテル(500mL)に溶解し、ブライン(3×200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去して、1−スタニル−5−デシニル−チオフェン22bを淡褐色油(20.6g、収率94%)として得た。H NMR(CDCl)δ7.20(d,1H)、7.00(d,2H)、2.43(t,2H)、1.60(m,2H)、1.44(m,2H)、1.30(m,8H)、0.899(t,3H)、0.37(s,9H);GC/MS(M)384m/z、(M−CH)369m/z。
【実施例5】
【0156】
例5:共役組成物25の合成
本発明共役組成物の他の一例は、第1表及び図6に示す化合物25である。この組成物は、チオフェン誘導体化尾部基部分22b及び本体構造15bを用い、次のようにして製造した。
【0157】
撹拌棒付き50mLシュレンク管に二塩化パラジウム(0.12ミリモル、0.021g)、トリフェニルアルセン(0.24ミリモル、0.073g)、LiCl(2.4ミリモル、0.103g)及び1−スタニル−5−デシニル−チオフェン22bをグローブボックス中で加えた。シュレンク線上で化合物15bをガス抜きしたジメチルホルムアミドに溶解し、正圧のアルゴン下でシュレンンク管にカニューレ移送した。反応混合物を真空下に置き、アルゴンで裏込めし、容器を密封し、100℃で4日間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(250mL)で希釈し、脱イオン水(100mL)で洗浄し、有機相を分離し、溶剤を真空除去した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(4%酢酸エチル:96%ヘキサン)による精製により、化合物23の前駆体(前駆体の構造は示さず)を黄色油状固体(0.360g、収率23%)として得た。H NMR(CDCl、図13)δ7.54(m,1H)、7.35(d,1H)、7.25−7.16(m,4H)、7.09(dd,1H)、4.09(m,4H)、1.93(m,4H)、1.56(m,4H)、1.39(m,8H)、0.94(m,9H);MALDI−TOF MS(M+H)661m/z。
【0158】
化合物23(0.515ミリモル、0.340g)前駆体及びクロロホルム(6.2m
L)を入れたテフロンバルブ付き50mLシュレンクフラスコにN−ヨードスクシンイミド(0.515ミリモル、0.116g)をアルゴン下に一度に加えた。反応容器を密封し、混合物を40℃で22時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(3×25mL)、ブライン(2×25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去して、粗生成物23を粘着性黄色固体(1.402g、収率99%)として得た。このものは、更に精製することなく使用した。H NMR(CDCl)δ7.72(d,1H)、7.56(m,1H)、7.50(d,1H)、7.40−7.32(m,2H)、7.30−7.20(m,2H)、7.11(dd,1H)、5.18(t,2H)、4.13(m,4H)、2.15(m,2H)、1.95(m,4H)、1.58(m,8H)、1.40−1.20(m,14H)、1.28 0.93(m,9H)。
【0159】
本発明の特定の実施態様では、チオフェン連結頭部基部分24は、本体構造への結着のため化合物15bの非ヨウ素化チオフェンへの連結により製造できる。導電組成物25を形成するため、粗反応生成物23への前駆体頭部基部分24の付加は、図6に示すように行った。
【実施例6】
【0160】
例6:共役組成物28の合成
本発明共役組成物の他の一例は、第1表及び図7に示すような化合物28である。この組成物は、チオフェン含有本体構造15b及びベンジル含有尾部部分を用いて、図7と同様な方法で製造した。或いは、化合物28は、図10に示す中間体を用いて(即ち、ベンジル環を有する頭部基の代りにベンジル環を有する本体構造を用いることにより)合成できた。
【0161】
図11に示す導電組成物は、本体構造15b、ベンジル化頭部基(図9に示すような)及びチオフェン含有尾部基(例えば化合物22)を用いて、同様な方法で合成できた。
【実施例7】
【0162】
例7:化合物25のモジュラー合成の代替方法
導電組成物25の製造への代替モジュラーアプローチは、図20に示すように、意図する。このアプローチでは、ジチオフェン要素は、チオフェン含有の頭部基要素及び尾部基要素を用いるよりもむしろ、本体構造に1単位として結着する。このような合成アプローチでは、ヨウ素化本体構造13は、前述のように、ヒドロキノン10から製造する。次に、ヨウ素部分は、2つのジチオフェン構造と置換して化合物30を形成する。中間体30は、次に、図20に示すように、尾部基2及びホスホン酸頭部基に結合して、導電組成物25を形成する。
【実施例8】
【0163】
例8:共役組成物31の合成
ジ−ヨウ素化中間体13は、図21に示すように、本発明導電組成物の別の実施態様、化合物31の合成にも使用できる。
【実施例9】
【0164】
例9:重合性導電ポリマーの合成
本発明は、導電組成物の1つ以上の成分(例えば本体構造、頭部、尾部)が多数単位で存在する実施態様を意図する。例えば幾つかの実施態様は、2つ以上の本体構造をカップリング又は重合することにより製造した複数の本体構造を含む。カップリングは、それぞれの本体構造に頭部部分及び尾部部分を結着する前又は後で行うことができる。これらの実施態様は、一般的に構造〔H−B−Tを有する導電組成物として示される。
ここで、Hは、ナノ結晶表面に結合可能な少なくとも1つの機能化頭部基(又はナノ構造結合の実施態様については、ナノ結晶表面に結合した少なくとも1つの頭部基)を含み、Bは、1つ以上の共役有機部分を有する本体構造であって、第一共役有機部分は、近接の機能化頭部基又は結合した頭部基に連結する該本体構造を含み、Tは、本体構造に連結した少なくとも1つの尾部基を含み、またx、y、z及びnは、独立に1以上の整数である。
【0165】
図22は、2つの芯部本体構造成分、p−キシレン単位(化合物32から誘導)及びO−アルキル化ヒドロキシキノン単位(化合物12)を取り込んだ導電組成物(化合物36)を製造する合成機構を示す。しかし、合成の観点から2つの本体構造成分を用いたが、最終生成物(本例では、化合物36)は、ジチオフェン部分で連結された2つの芳香環を有すると共に、全本体構造の第一端部に結着した尾部部分及び全本体構造の第二端部に結着した頭部部分を有する1つの大きな本体成分を持つことも考えられることに注目すべきである。本発明の化学組成物の多くの実施態様に関しては、本体構造、頭部基要素及び尾部基要素は、選択した合成アプローチ(前述のように、化合物25への2つのモジュラーアプローチに注目)に部分的に基づき、したがって、限定するものとみなすべきではない。
【0166】
化合物36は、図23に示すように合成できる。同様な方法で、化合物41も、図24に示すように合成できる。このモジュラーアプローチでは、本体構造(化合物38)の第一部分を製造し、次いで(中間体39を形成するため)尾部基22に連結する。また第二本体構造部分(化合物20)をスタニル化して、(中間体40を形成するため)頭部基に連結し、次にこれらの合成中間体を結合して、化合物41を形成する。
【0167】
化合物36及び41(これら組成物)は、本発明の更なる任意の特徴、即ち、導電組成物の重合局面の1つを具体化するので、特に関心がある。図23に示すように、本体構造のp−キシレン誘導部分の側腕要素は、例えばリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のような立体選択的塩基の存在下で、図23に示すようなケトン官能基と反応できる。これらケトン含有導電組成物間の相互反応性(好ましくはナノ構造に対する)により、近接の導電組成物は架橋する。
【0168】
この実施態様は、母材中にn型ナノ結晶及びp型ナノ結晶の両方を取り込んだナノ構造−母材組成物に特に関心がある。n型ナノ結晶と、近接のp型ナノ結晶とのカップリングにより、母材内の電子及びホールの伝送は、なお一層効率的となる。
【実施例10】
【0169】
例10:導電組成物43の合成
ジ−ヨウ素化中間体13は、本発明導電組成物の別の実施態様である化合物43(図25参照)の合成に使用できる。この化合物の合成のため、前述のように、中間体30を製造する。次いで、図25に記載した実験計画を用いて、本体構造に頭部基部分及び尾部基部分を連結し、化合物43を生成する。
【実施例11】
【0170】
例11:導電組成物46の合成
ジ−ヨウ素化中間体13は、本発明導電組成物の他の実施態様である化合物46(図26参照)の合成にも使用できる。
【0171】
アルゴン下の卵形撹拌棒付き50mLシュレンクフラスコに、前駆体22b(0.997ミリモル、0.659g)を加えた。容器に栓を付け、真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。シュレンク線上でテトラヒドロフラン(5mL)を、隔壁を通して反応
容器にカニューレ移送した。反応混合物を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(0.623mL、1.6Mヘキサン溶液)を注射器で滴下し、反応混合物を−50℃に加温し、1時間撹拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、塩化トリメチル錫(0.997mL、1.0Mテトラヒドロフラン溶液)を−78℃で撹拌中のリチウム塩溶液に注射器で滴下した。反応混合物を一晩撹拌しながら、周囲温度に加温した。溶剤をシュレンク線上で真空除去し、1Lシュレンクフラスコに閉じ込めた。得られた残査をヘキサン(3×50mL)で抽出し、カニューレろ過した後、溶剤を真空除去して、中間体化合物44を黄色油として得た。H NMR(CDCl)δ7.67(d,1H)、7.45(d,1H)、7.28−7.22(m,2H)、7.20(d,1H)、7.15(d,1H)、7.03(s,2H)、4.12(m,4H)、2.46(t,2H)、1.93(m,4H)、1.62(m,2H)、1.44(m,2H)、1.39(m,8H)、0.95(m,9H)、0.37(s,9H)。
【0172】
機能化頭部部分45を製造するため、テフロンバルブ及び撹拌棒付き200mLシュレンク管に、化合物13(50.0ミリモル、14.15g)及びパラジウム(O)テトラキス〔トリフェニルホスフィン〕(2.50ミリモル、2.89g)をアルゴン下に注射器で加えた。次に、シュレンク線上で、ガス抜きしたトリエチルアミン(20.9mL)及びガス抜きしたトルエン(50mL)をアルゴン下に注射器で連続的に加えた。次に、ガス抜きしたジエチルホスファイト(50.0ミリモル、6.91g)をアルゴン下に注射器で加えた。反応容器を密封し、混合物を周囲温度で12時間撹拌した後、50℃で1時間加熱した。溶剤を回転蒸発により除去し、残査を酢酸エチル(500mL)に溶解し、飽和塩化アンモニウム水溶液(3×200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過後、溶剤を回転蒸発により除去した。シリカゲルクロマトグラフィーによる単離(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で、化合物45を無色油(9.17g、収率62%)として得た。H NMR(CDCl)δ7.90−7.50(m,4H)、4.30−4.10(m,4H)、1.50−1.30(m,6H);{1H}31P NMR(CDCl)δ18.8(s)。
【0173】
撹拌棒付き50mLシュレンク管に二塩化パラジウム(0.06ミリモル、0.010g)、トリフェニルアルセン(0.10ミリモル、0.031g)、LiCl(1.0ミリモル、0.043g)及び化合物45(1.05ミリモル、0.370g)をグローブボックス中で加えた。シュレンク線上で化合物44を、ガス抜きしたジメチルホルムアミド(6mL)に溶解し、正圧のアルゴン下、シュレンク管にカニューレ移送した。反応混合物を真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めし、容器を密封し、100℃で12時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(250mL)で希釈し、脱イオン水(100mL)で洗浄し、有機相を分離し、溶剤を真空除去した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)による精製により、化合物46を黄色油状固体(0.124g、収率14%)として得た。H NMR(CDCl)δ7.85−7.80(m,2H)、7.76−7.72(m,2H)、7.65(d,1H)、7.46(d,1H)、7.42(d,2H)、7.25(m,2H)、7.15(d,1H)、7.04(s,1H)、7.03(s,1H)、4.15(m,4H)、2.46(t,2H)、1.97(m,4H)、1.62(m,2H)、1.42(m,2H)、1.37(m,8H)、0.95(m,9H);{1H}31P NMR(CDCl)δ19.6(s)。
【実施例12】
【0174】
例12:導電組成物50の合成
図27に示すように、ヨウ素化本体構造48を用いて化合物50を製造する。
撹拌棒及びテフロンバルブ付き250mLシュレンク管に二塩化パラジウム(2.05ミリモル、0.363g)、トリフェニルアルセン(4.1ミリモル、1.255g)及
びLiCl(41ミリモル、1.759g)をグローブボックス中で加えた。シュレンク線上で1,4−ジヨード−2−(2−エチルヘキソキシ)−5−メトキシベンゼン(化合物47b、20.5ミリモル、10.0g)を加え、容器を真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。次に、ガス抜きしたジメチルホルムアミド(DMF、100mL)を正圧のアルゴン下にカニューレ移送した。容器を密封し、100℃で1日間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(500mL)で希釈し、チオ硫酸ナトリウム飽和水溶液(3×150mL)及びブライン(3×150mL)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去した。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、0、1、2、5及び10%勾配)による精製及び回転蒸発による溶剤除去により、1,4−ジチオフェン−2−(2−エチルヘキソキシ)−5−メトキシベンゼン(7.55g、収率92%、化合物15a)を無色油として得た。H NMR(CDCl)δ7.56(m,2H)、7.37(d,2H)、7.29(s,1H)、7.26(s,1H)、7.13(m,2H)、4.01(d,2H)、3.97(s,3H)、1.87(m,1H)、1.61(m,4H)、1.38(m,8H)、1.00(t,3H)、0.98(t,3H)。
【0175】
グローブボックス中の卵形撹拌棒付き500mLシュレンクフラスコに、反応生成物(16.85ミリモル、6.75g)を加えた。容器に栓を付け、真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。シュレンク線上でテトラヒドロフラン(241mL)を、隔壁を通して反応容器にカニューレ移送した。次にN,N−テトラメチルエチレンジアミン(16.85ミリモル、1.96g)を注射器で反応混合物に送った。反応混合物を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(10.53mL、1.6Mヘキサン溶液)を注射器で滴下し、反応混合物を1時間撹拌した。1,2−ジヨードエタン(21.91ミリモル、6.174g)のTHF溶液(70mL)を−78℃で撹拌中のリチウム塩溶液にカニューレ移送した。反応混合物を一晩撹拌しながら、周囲温度に加温した。溶剤を回転蒸発により除去し、残査を酢酸エチル(225mL)に溶解し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(1×150mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、溶剤を回転蒸発により除去した。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、0、1、2、5及び10%勾配)による精製及び回転蒸発による溶剤除去により、4−ヨード−(1,4−ジチオフェン−2−(2−エチルヘキソキシ)−5−メトキシベンゼン(化合物48、6.21g、収率72%)を黄色油として得た。H NMR(CDCl)δ7.55(m,1H)、7.38(d,1H)、7.29(s,1H)、7.25(d,1H)、7.21(d,1H)、7.20(s,1H)、7.13(dd,1H)、4.01(d,2H)、3.99(s,3H)、1.88(m,1H)、1.61(m,4H)、1.36(m,8H)、1.01(t,3H)、0.98(t,3H)。
【0176】
次にヨウ素化本体構造48を尾部部分に連結して、中間体化合物49(図27に示す)を形成する。撹拌棒付き100mLシュレンク管に二塩化パラジウム(0.32ミリモル、0.277g)及びトリフェニルアルセン(0.64ミリモル、0.197g)、LiCl(6.43ミリモル、0.277g)及び1−スタニル−5−デシニル−チオフェン22bをグローブボックス中で加えた。シュレンク線上で化合物48を、ガス抜きしたジメチルホルムアミドに溶解し、正圧のアルゴン下でシュレンンク管にカニューレ移送した。反応混合物を真空下に置き、アルゴンで裏込めし、容器を密封し、100℃で1日間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(250mL)で希釈し、脱イオン水(100mL)で洗浄し、有機相を分離し、溶剤を真空除去した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(5〜15%酢酸エチル:95〜85%ヘキサン)による精製により、前駆体化合物を黄色油(2.83g、収率71%)として得た。H NMR(CDCl)δ7.57(d,1H)、7.47(m,1H)、7.38(m,1H)、7.32−7.25(m,2H)、717(d,1H)、7.13(dd,1H)、7.09−7.00(m,2H)
、4.00(m,2H)、3.99(s,3H)、2.47(t,2H)、1.87(m,1H)、1.63(m,4H)、1.45(m,2H)、1.36(m,8H)、1.30−0.94(m,9H);MALDI−TOF MS(M+H)618m/z。
【0177】
グローブボックス内の卵形撹拌棒付き100mLシュレンクフラスコに前駆体49(4.56ミリモル、2.82g)を加えた。容器に栓を付け、真空下に置き、アルゴン(3X)で裏込めした。乾燥箱中で、反応容器にテトラヒドロフランをピペットで加え、この気体を周囲温度で溶解した。反応混合物を−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(2.85mL、1.6Mヘキサン溶液)を注射器で滴下し、反応混合物を−50℃に加温し、1時間撹拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、塩化ジエチルホスホネート(0.456ミリモル、0.658mL)を−78℃で撹拌中のリチウム塩溶液に注射器で滴下した。反応混合物を一晩撹拌しながら、周囲温度に加温した。溶剤を回転蒸発により除去し、得られた残査を酢酸エチル(150mL)に溶解し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(4%酢酸エチル:96%ヘキサン)による精製により、前駆体化合物をオレンジ色油として得た。
【実施例13】
【0178】
例13:導電組成物25の合成
図28は、導電組成物25の合成への代替アプローチを示す。
【実施例14】
【0179】
例14:ナノ構造の製造
トリオクチルホスフィン(TOP)、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、ヘキサデシルホスホン酸(HDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)及びトリ−n−ブチルホスフィン(TBP)のような余分な有機界面活性剤は、ここで引用した標準的方法で製造されるナノ構造配合物中に共通に存在する。いずれの余分な有機界面活性剤も、本発明の導電組成物と会合させる前に、任意に除去される。これは、例えばナノ構造可溶性第一溶剤(例えばトルエン又はクロロホルム)及びナノ構造不溶解性第一溶剤(例えばイソプロパノール又はそれ以上の長鎖アルコール、或いは酢酸エチルのようなアセテート)から作った溶剤混合物を加えることにより達成できる。溶剤混合物中に得られた第一溶剤と第二溶剤との比は、通常、1:1〜10:1の範囲であり、1つの好ましい溶剤混合物は、トルエン4部とイソプロパノール1部とからなる。
【0180】
次に、第二溶剤を、溶剤混合物からナノ構造(但し、余分な界面活性剤を含まない)を沈殿させるのに十分な量、更に加える。次いで、沈殿したナノ構造を溶剤混合物から(例えば遠心分離により)分離し、こうしてナノ構造から余分な有機界面活性剤を除去する。この沈殿ナノ構造は、例えば分析によりナノ構造配合物が余分な界面活性剤を、なお望ましくない量含有することが判れば、溶剤混合物で1回以上、任意に洗浄できる。
【0181】
また、ナノ結晶反応混合物中のナノ結晶上でピリジン交換を行い、次いでナノ結晶を溶液中に残存させながら、有機塩を沈殿させることにより、余分な有機塩は、いずれもナノ結晶反応混合物から除去できる。ピリジン交換は、例えばナノ結晶反応混合物を150℃で約1時間加熱することにより行われる。
【0182】
以上、明確化及び理解の目的で、本発明を若干詳細に説明したが、この開示を読むことにより、当業者ならば、本発明の範囲を逸脱しない限り、形式及び詳細の各種変化が可能であることは明白であろう。例えば以上説明した技術及び装置の全ては、種々組合せて使用できる。本出願で引用した刊行物、特許、特許出願及び/又はその他の文献は、各個々の刊行物、特許、特許出願及び/又はその他の文献が、あらゆる目的のため、援用することを指示したのと同じ程度に、あらゆる目的のため、全体を援用する。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1−1】本発明の一例の導電組成物を示す。
【図1−2】本発明の一例の導電組成物を示す。
【図1−3】本発明の一例の導電組成物を示す。
【図2−1】本発明の他の一例の導電組成物を示す。
【図2−2】本発明の他の一例の導電組成物を示す。
【図3】本発明組成物の一実施態様についての化学合成計画を示す。
【図4】本発明組成物の他の一実施態様についての化学合成計画を示す。
【図5】本発明組成物の更なる実施態様についての化学合成計画を示す。
【図6】本発明組成物の別の実施態様についての化学合成計画を示す。
【図7】本発明組成物の更なる実施態様についての化学合成計画を示す。
【図8】モノマー性及びポリマー性の両導電組成物を表わす本発明の更なる実施態様の絵模様図を示す。
【図9】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図10】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図11】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図12】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図13】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図14】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図15】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図16】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図17】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図18】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図19】本発明の一例の中間体及び組成物についての質量スペクトル及びNMRデータを示す。
【図20】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図21】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図22】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図23】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図24】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図25】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図26】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図27】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。
【図28】本発明の他の実施態様についての他の化学合成計画を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共役有機部分を有する本体構造、
該共役有機部分上の第一位置で本体構造に連結した頭部基であって、該頭部基は、ナノ構造表面、又はナノ構造表面に結合した頭部基に結合可能な機能化表面を有する該頭部基、及び
該共役有機部分上の第二位置で本体構造に連結した尾部基、
を含有する導電組成物であって、該導電組成物の1つ以上の要素をナノ構造表面に結着させると、ナノ構造から電荷を除去するか又は付加し、これによりナノ構造含有母材を横断する電荷輸送を改良する、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項2】
前記ナノ構造が、ナノ結晶である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ナノ構造が、無機ナノ結晶である請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記機能化頭部基が、1つ以上のホスホン酸、カルボン酸、アミン、ホスフィン、又はチオール部分を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記機能化頭部基又は結合した頭部基が、一座構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記機能化頭部基又は結合した頭部基が、多座構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記本体構造が、共役アルキル部分又は共役アリール部分を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記本体構造が、フェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、フルオレン、ピリジン、ペリレン、フェナンスラレン、アンスラセン、アルケニル又は多核芳香族部分を有する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記本体構造が、共役有機部分に連結した1つ以上のO結合又はN結合の側鎖を更に有する請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記側鎖が、電子供与基を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記側鎖が、電子求引基を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記側鎖が、導電性化学構造を有し、これにより1つ以上の側鎖が、本体構造の共役結合を拡大する請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記側鎖が、重合性要素を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記重合性要素が、アクリレート部分、メタクリレート部分又はビニル部分を有する請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
第一側鎖が、前記本体構造に第一側鎖位置で連結すると共に、第二側鎖が、前記本体構造に第二側鎖位置で連結する請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
前記第一及び第二側鎖が、異なる化学部分である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記第一及び第二側鎖が、同じ化学部分である請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記側鎖が、組成物の溶解性を変化させる請求項9に記載の組成物。
【請求項19】
前記側鎖が、ナノ構造含有母材の母材組成物と機能的及び/又は電子的に整合される請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
前記側鎖が、O結合ヘキサン部分、O結合2−エチルヘキシル部分、O結合オクチル部分、O結合デシル部分、又は炭素数5〜22のO結合アルキル部分を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
前記側鎖が、N結合ヘキサン部分、N結合2−エチルヘキシル部分、N結合オクチル部分、N結合デシル部分、又は炭素原子数5〜22のN結合アルキル部分を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項22】
前記側鎖が、炭素数22を超える化学置換基を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項23】
前記1つ以上の側鎖及び尾部基が、同じ化学置換基を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項24】
前記本体構造が、オリゴマー又はポリマー構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記本体構造が、ポリ(フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(エテン)、ポリ(エチン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(ピリジン)、又はポリ(多核芳香族)部分を有する請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記本体構造が、オリゴマー又はポリマー構造の1つ以上の要素に連結した1つ以上の側鎖を更に有する請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記尾部基が、導電性化学構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記尾部基が、非導電性化学構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記尾部基が、アルケン又はアルキン部分を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項30】
前記尾部基が、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、又は炭素数3〜22のアルキンを有する請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記尾部基が、炭素数22を超えるアルキンを有する請求項1に記載の組成物。
【請求項32】
前記尾部基が、本体構造とアルキン部分との間に位置するチオフェン部分を更に有する請求項30に記載の組成物。
【請求項33】
前記尾部基が、ナノ構造表面又は更なるナノ構造表面に結合可能な化学官能価を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記尾部基が、一座構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項35】
前記尾部基が、多座構造を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
前記尾部基が、重合性要素を有する請求項1に記載の組成物。
【請求項37】
式:
【化1】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項38】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項37に記載の導電組成物。
【請求項39】
式:
【化2】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項40】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項39に記載の導電組成物。
【請求項41】
式:
【化3】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項42】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項41に記載の導電組成物。
【請求項43】
式:
【化4】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項44】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項43に記載の導電組成物。
【請求項45】
式:
【化5】


の組成物からなる、ナノ結晶含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項46】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項45に記載の導電組成物。
【請求項47】
式:
【化6】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項48】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項47に記載の導電組成物。
【請求項49】
式:
【化7】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項50】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項49に記載の導電組成物。
【請求項51】
式:
【化8】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項52】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項51に記載の導電組成物。
【請求項53】
式:
【化9】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項54】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項53に記載の導電組成物。
【請求項55】
式:
【化10】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項56】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項55に記載の導電組成物。
【請求項57】
式:
【化11】


の組成物からなる、ナノ構造含有母材を横断する電荷輸送の改良用導電組成物。
【請求項58】
前記ナノ構造がナノ結晶である請求項57に記載の導電組成物。
【請求項59】
構造〔H−B−T(但し、
Hは、ナノ構造表面に結合可能な少なくとも1つの機能化頭部基、又はナノ構造表面に結合した少なくとも1つの頭部基を含み、
Bは、1つ以上の共役有機部分を有する本体構造であって、第一共役有機部分は、近接の機能化頭部基又は結合頭部基に連結する該本体構造を含み、
Tは、本体構造に連結した少なくとも1つの尾部基を含み、また
x、y、z及びnは、独立に1以上の整数であって、かつx+y+z+nは、5以上である)
を有するポリマー導電組成物。
【請求項60】
前記頭部基が、1つ以上の、ホスホン酸、カルボン酸、アミン、ホスフィン、又はチオール部分を有する請求項59に記載のポリマー導電組成物。
【請求項61】
前記本体構造が、フェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、フルオレン、ピリジン、ペリレン、フェナンスラレン、アンスラセン、アルケニル又は多核芳香族部分を有する請求項59に記載のポリマー導電組成物。
【請求項62】
前記本体構造が、ポリ(フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(エテン)、ポリ(エチン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(ピリジン)部分、又はポリ(多核芳香族)部分を有する請求項59に記載のポリマー導電組成物。
【請求項63】
前記尾部基が、1−プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−ヘプチン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン、又は炭素数3〜22のアルキンを有する請求項59に記載のポリマー導電組成物。
【請求項64】
前記本体構造が、1つ以上の共役有機部分に連結した1つ以上のO結合又はN結合置換基を更に有し、該置換基は、ポリマー導電組成物の電子サイン又は溶解性を変える請求項59に記載のポリマー導電組成物。
【請求項65】
前記ポリマー導電組成物が、1つ以上の置換基上の重合性要素により重合する請求項64に記載のポリマー導電組成物。
【請求項66】
前記1つ以上の置換基が、独立に電子供与基、電子求引基、導電性化学構造、又は非導電性化学構造を有する請求項64に記載のポリマー導電組成物。
【請求項67】
外表面を有するナノ構造であって、ナノ構造外表面の一部は、請求項1に記載の導電組成物に結合した該ナノ構造、及び
該ナノ構造の共役該表面に近接して位置する母材、
を含有するナノ構造母材組成物。
【請求項68】
前記母材が、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HY)を含有する請求項67に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項69】
前記母材が、請求項1に記載の導電組成物に共有的に連結する請求項67に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項70】
前記導電組成物が、母材の1つ以上の置換基と機能的又は電子的に整合される請求項67に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項71】
前記ナノ構造が、ナノ結晶である請求項67に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項72】
外表面を有するナノ構造、及び
該ナノ構造の外表面に近接して位置する母材組成物、
を含むナノ構造含有母材組成物であって、該母材組成物は、構造
〔H−B−T(但し、Hは、ナノ構造表面に結合可能な少なくとも1つの機能化頭部基を含み、Bは、1つ以上の共役有機部分を有する本体構造であって、第一共役有機部分は、該少なくとも1つの機能化頭部基に連結する該本体構造を含み、Tは、本体構造に連結した少なくとも1つの尾部基を含み、またx、y、z及びnは、独立に1以上の整数である)の導電ポリマーを有する該ナノ構造含有母材組成物。
【請求項73】
前記ナノ結晶外表面の一部が、請求項1に記載の導電組成物と共役する請求項72に記載のナノ構造含有母材組成物。
【請求項74】
前記母材組成物及び導電組成物が、機能的及び/又は電子的に整合される請求項73に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項75】
前記母材組成物及び導電組成物が、共有的に連結する請求項73に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項76】
前記ナノ構造が、ナノ結晶である請求項73に記載のナノ構造母材組成物。
【請求項77】
a)置換基モジュールの結着に利用できる少なくとも3つの位置を有する共役有機前駆体を供給する工程、
b)ホスホン酸誘導体、カルボン酸誘導体、アミン誘導体、ホスフィン誘導体、チオール誘導体、チオフェン誘導体、又はそれらの組合わせを含む第一置換基モジュールを供給する工程、
c)炭素数3〜22のアルキン誘導体を含む第二置換基モジュールを供給する工程、
d)炭素数1〜22のアルキル誘導体を含む第三置換基モジュールを任意に供給する工程、
e)第一置換基モジュールを第一位置で連結し、第二置換基モジュールを第二位置で連結し、更に第三置換基モジュールを第三位置で任意に連結し、これにより、ナノ構造含有装置に使用される電荷輸送を容易にする有機組成物を合成する工程、
を含み、モジュールの本体構造への連結が本体構造の電子的共役結合を破壊せず、かつ第一、第二又は第三の置換基モジュールの少なくとも1つの置換基がナノ構造表面に結合可能か、又はナノ構造表面に既に結合している、該有機組成物の合成方法。
【請求項78】
前記共役有機前駆体が、共役アルキル部分又は共役アリール部分を有する請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記共役有機前駆体が、フェニレン、チオフェン、エテン、エチン、アニリン、フルオレン、ピリジン、ペリレン、フェナンスラレン、アンスラセン、アルケニル又は多核芳香族誘導体を有する請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記共役有機前駆体が、ポリ(フェニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(エテン)、ポリ(エチン)、ポリ(アニリン)、ポリ(フルオレン)、又はポリ(ピリジン)誘導体を有する請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記1つ以上の置換基モジュールの本体構造への連結が、本体構造の共役結合を拡大す
る請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記任意の第三置換基モジュールが、第一及び/又は第二置換基モジュールを連結する前に、共役有機前駆体に連結される請求項77に記載の方法。
【請求項83】
前記第一置換基モジュールを供給する工程が、チオフェン誘導体を供給する工程を含む請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記第一置換基モジュールを供給する工程が、
a)ハロゲン化アリール芯部構造を供給する工程、
b)該ハロゲン化アリール芯部構造を第一ハロゲン化物位置でリチウム化し(lithiating)、更にクロロトリメチルシラン(TMSCl)と反応させて、TMS−アリール中間体芯部構造を生成させる工程、
c)該TMS−中間体芯部構造を第二ハロゲン化物位置でリチウム化し、更に塩化トリメチル錫(MeSnCl)と反応させて、スタンニル化第二中間体を生成させる工程、及び
d)該第二中間体をハロゲン化チオフェンと化合させて、TMS−アリール−チオフェン誘導体を含む第一置換基モジュールを形成する工程、
を含む請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第一置換基モジュールが、アリール−チオフェン部分を有し、また第一置換基モジュールを連結する工程が、
a)Stilleカップリングを行って、ヨウ素化中間体を形成する工程、
b)該ヨウ素化中間体のヨウ素置換基をTMS置換基と交換する工程、
c)パラジウム触媒した機構によりホスファイト基を前記結合した第一置換基モジュールのアリール部に連結させる工程、
を含む請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記第一置換基モジュールが、ジエチルホスファイトを有し、また第一置換基モジュールを連結する工程が、パラジウム触媒したホスファイト−アリールカップリングを行う工程を含む請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記第二置換基モジュールを連結する工程が、Sonogashiraカップリングを行う工程を含む請求項77に記載の方法。
【請求項88】
前記第一置換基を供給する工程及び/又は前記第二置換基を供給する工程が、第一及び/又は第二置換基のチオフェン誘導体を生成する工程を含む請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記任意の第三置換基モジュールを連結する工程が、共役有機前駆体をヒドロキシル又はアミン部分を含む第三位置でアルキル化する工程を含む請求項77に記載の方法。
【請求項90】
前記第三置換基モジュールを連結する工程が、側鎖置換基のハロゲン化誘導体を約1.1モル当量供給する工程を含み、また前記第三置換基モジュールを共役有機前駆体に連結する工程が、
i)該ハロゲン化誘導体を、炭酸カリウム(KCO)及びジメチルホルムアミド(DMF)の存在下で共役有機前駆体と化合させて、反応混合物を形成する工程、及び
ii)該反応混合物を約70℃に加熱し、これにより第三置換基を共役有機部分に連結する工程、
を含む請求項77に記載の方法。
【請求項91】
前記第三置換基を連結する工程が、第四置換基を本体構造に第四位置で連結する工程を更に含む請求項77に記載の方法。
【請求項92】
前記第三置換基及び第四置換基が、異なる化学種を有する請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記第三置換基及び第四置換基が、同じ化学種を有し、また第一置換基を連結する工程及び第四置換基を連結する工程が、単一反応混合物中で行われる請求項91に記載の方法。
【請求項94】
f)前記頭部基をナノ結晶に連結し、これによりナノ結晶結合組成物を供給する工程を更に含む請求項77に記載の方法。
【請求項95】
前記ナノ構造が、CdTe又はInPを有する請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記頭部基をナノ構造の外表面に連結する工程が、頭部基の1つ以上の自由電子をナノ構造の近接金属部分と相互作用させる工程を含む請求項94に記載の方法。
【請求項97】
g)前記有機組成物をナノ結晶表面に連結した後、該組成物を重合し、これにより重合した有機組成物を形成する工程を更に含む請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記ナノ構造含有装置が、光電池装置を有する請求項77に記載の方法。
【請求項99】
ナノ構造を請求項1に記載の導電組成物で処理する工程、及び
処理したナノ構造と母材組成物とを有するナノ構造含有母材を形成する工程、
を含む、ナノ構造と外部母材との相互作用を改良する方法。
【請求項100】
前記ナノ構造を処理する工程が、請求項1に記載の導電組成物を重合して、重合した導電組成物を形成する工程を更に含む請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記母材組成物が、請求項59に記載のポリマー導電組成物を有する請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記ナノ構造が、ナノ結晶である請求項99に記載の方法。
【請求項103】
a)第一電極表面、
b)該第一電極表面に電気的に連結した請求項67に記載のナノ構造母材組成物、及び
c)該ナノ構造含有母材組成物に電気的に連結した第二電極表面、
を備えた装置。
【請求項104】
前記ナノ構造母材組成物が、1つ以上のナノ結晶を有する請求項103に記載の装置。
【請求項105】
d)第一電極表面、
e)該第一電極表面に電気的に連結した請求項72に記載のナノ構造含有母材組成物、及び
f)該ナノ構造含有母材組成物に電気的に連結した第二電極表面、
を備えた装置。
【請求項106】
前記ナノ構造含有母材組成物が、1つ以上のナノ結晶を有する請求項105に記載の装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2006−511634(P2006−511634A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534640(P2004−534640)
【出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/027847
【国際公開番号】WO2004/022714
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【Fターム(参考)】