説明

ナノ構造材料の製造方法、ナノ構造材料及びその利用

【課題】光学活性を有する材料を用いずに、汎用材料を用いてナノらせん構造を有するナノ構造材料を製造する方法およびかかるナノらせん構造を有するナノ構造材料を実現する。
【解決手段】ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマー相互間の相互作用パラメータが、χBC>χAB>χACを満たし、且つ、ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率が所定の範囲内にあるABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解し膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造材料の製造方法、ナノ構造材料及びその利用に関し、特にらせん構造を有するナノ構造材料の製造方法、ナノ構造材料及びその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノスケールの微細ならせん構造であるナノらせん構造は、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサ、アンテナ、高機能分離膜等として、幅広い用途への利用が可能と考えられる。また、かかるナノらせん構造におけるらせんのピッチやらせん径などを正確に制御することができれば工業的なインパクトは非常に大きい。
【0003】
従来ナノらせん構造を形成するとされている高分子材料としては、光学活性を有する有機又は無機材料が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、らせん構造などの光学活性なキラル配向構造を有する重合体が有する分子レベルのキラルな情報を効率的にシリカなどの金属酸化物に転写することを目的として、光学活性なキラル配向構造を有する有機/無機複合体からなるらせん構造を製造することが報告されている。
【0005】
また、非特許文献1および2には、いずれかの成分が光学活性を有する2成分系のブロック共重合体が、シリンダー構造又はジャイロイド構造を形成する分子内組成比であっても、右巻きのらせん構造を形成することが報告されている。
【0006】
通常、各成分が光学活性を有さない2成分系のブロック共重合体は、互いに非相溶の高分子鎖を共有結合することにより、同種の高分子鎖同士が集まり、それぞれの成分が独立に高次構造を形成する結果、いわゆるミクロ相分離を起こす。一般に、ポリマーブロックAとポリマーブロックBとを共有結合してなるABブロック共重合体では、A成分とB成分との体積分率によって種々の規則性の高いナノスケールの高次構造が発現する。A成分の体積分率の増大に伴い、A成分が球状である構造、A成分がシリンダー状である構造、A成分がジャイロイド状である構造、ラメラ構造、B成分がジャイロイド状である構造、B成分がシリンダー状である構造、B成分が球状である構造が観察される。
【0007】
非特許文献1にはスチレン−Lラクチドブロック共重合体から1重のらせん構造を製造することが、非特許文献2はスチレン−イソシアニドブロック共重合体から1重らせん構造を製造することが開示されている。
【0008】
また、光学活性を持たない高分子としては、非特許文献3及び4に、3成分系のブロック共重合体がらせん構造を発現することが開示されている。このらせん構造はコアのシリンダーに4本のシリンダーがらせん状に巻き付いた構造であると考えられている。
【0009】
ところで、垂直に配向するシリンダー構造やラメラ構造を有するブロック共重合体膜については、磁気記録媒体、太陽電池、発光素子、精密フィルター等広範な分野への応用が期待されている。しかし、シリンダー構造やラメラ構造を垂直に配向させることは困難であることから種々の方法が提案されている。
【0010】
例えば、特許文献2には、スチレン−エチレンブチレン−スチレントリブロック共重合体を用い、貧溶媒を用いた溶媒キャスト法により球構造を形成させ、シリコーンオイルバス中で加熱処理を行うことで垂直配向するシリンダー構造を製造する方法が開示されている。
【0011】
また、特許文献3には、スチレン−イソプレンブロック共重合体をゾーン加熱することにより垂直配向するラメラ構造を製造する方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献4には、特性表面粗さ以上の(凹凸のある)基板上にブロック共重合体を載置し、熱処理することにより垂直配向するラメラ構造を製造する方法が開示されている。
【0013】
また、特許文献5には、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとからなるブロック共重合体を用いることで垂直配向するシリンダー構造を製造する方法が開示されている。
【0014】
また、非特許文献5には、直流電流を印加することにより垂直配向するシリンダー構造を製造する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−239863号公報(2005年9月8日公開)
【特許文献2】特開2006−299106号公報(2006年11月2日公開)
【特許文献3】特開2005−060583号公報(2005年3月10日公開)
【特許文献4】特開2004−099667号公報(2004年4月2日公開)
【特許文献5】特開2004−124088号公報(2004年4月22日公開)
【非特許文献1】Three-Dimensionally Packed Nanohelical Phase in Chiral Block Copolymers, Rong-Ming Ho, Yeo-Wan Chiang, Chi-Chun Tsai, Chu-Chieh Lin, Bao-Tsan Ko, and Bor-Han Huang, J.Am.Chem.Soc.,126,2704(2004)
【非特許文献2】Helical Superstructures from Charged Poly(stylene)-Poly(isocyanodipeptide) Block Copolymers, Jerone J.L.M.Cornrlissen, Matthias Fischer, Nico A.J.M.Sommerdijk, Roeland J.M.Nolte, Science, 280, 1427(2007)
【非特許文献3】Udo Kreppe, et al. Macromolecules 1995,28,4558
【非特許文献4】“Cylindrical morphologies in asymmetric ABC triblock copolymers”, Ulrike Breiner, Udo Krappe, Volker Abetz, and Reimund Stadler, Macromol. Chem. Phys.198,1051-1083(1997)
【非特許文献5】Ultrahigh-Density Nanowire Arrays Grown in Self-Assembled Diblock Copolymer Templates, T.Thurn-Albrecht, J.Schotter, G.A.Kaestle, N.Emley, T.Shibauchi, L.Krusin-Elbaum, K.Guarini, C.T.Black, M.T.Tuominen, and T.P.Russell, Science Dec 15 2000:2126-2129
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来ナノらせん構造を形成するとされている高分子材料としては、光学活性を有する有機又は無機材料が用いられてきた。しかし、光学活性を有する材料を実際に工業的に用いるのは現実的ではない。そのため、光学活性を有する材料を用いずに、汎用材料を用いてナノらせん構造を形成する方法が求められている。
【0016】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光学活性を有する材料を用いずに、汎用材料を用いてナノらせん構造を有するナノ構造材料を製造する方法およびかかるナノらせん構造を有するナノ構造材料を実現することにある。
【0017】
また、従来、垂直配向するブロック共重合体としては、2成分系のブロック共重合体が用いられており、発現する構造はラメラ構造又はシリンダー構造に限られていた。ナノらせん構造を垂直配向させたナノ構造材料を得ることができれば、垂直に配向するシリンダー構造やラメラ構造を有するブロック共重合体膜の応用が期待される磁気記録媒体、太陽電池、発光素子、精密フィルター等広範な分野や、さらに新たな分野に応用の可能性が広がる。
【0018】
本発明は、上記の観点に鑑みてなされたものであり、本発明の他の目的は、垂直配向するナノらせん構造を形成する膜状のナノ構造材料を製造する方法およびかかるナノ構造材料を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るナノ構造材料の製造方法は、上記課題を解決するために、第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなるABC−トリブロック共重合体を含み、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有しているナノ構造材料の製造方法であって、
当該ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たすABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解する工程と、得られたABC−トリブロック共重合体の溶液を用いて上記ブロック共重合体を含む膜を形成する膜形成工程と、上記膜から溶媒を除去してミクロ相分離構造を発現させる工程とを含むことを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、規則性の非常に高いナノメートルオーダーのらせん構造を有するナノ構造材料を、汎用物質を用いて、簡便に製造することができる。また、上記の構成によれば、膜表面に対して垂直方向に配向したらせん構造を有するナノ構造材料を、電場印加や温度勾配の付与、又はゾーン加熱などの操作を要さず、極めて簡単且つ低コストに製造することができる。
【0021】
本発明に係るナノ構造材料は、上記課題を解決するために、第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなるABC−トリブロック共重合体を含む、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、該ナノ構造材料は膜の形状を有し、ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たし、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有していることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、規則性の非常に高いナノメートルオーダーのらせん構造を有するナノ構造材料を、汎用物質を用いて、簡便に製造することができる。また、上記の構成によれば、膜表面に対して垂直方向に配向したらせん構造を有するナノ構造材料を、電場印加や温度勾配の付与、又はゾーン加熱などの操作を要さず、極めて簡単且つ低コストに製造することができる。
【0023】
本発明に係るナノ構造材料では、上記ポリマーブロックAからなるシリンダー構造は、上記膜の一方の表面から反対側の表面に向かって貫通しており、膜表面の一部を構成するシリンダー構造の端部を含むシリンダー構造の少なくとも一部が膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であることが好ましい。
【0024】
上記構成により、シリンダー構造及び/又はらせん構造を溶解して、空洞化したポーラス構造とした場合、膜を貫通するポーラス構造を得ることができ、当該膜を高機能膜、電解質膜等として用いることが可能となる。
【0025】
本発明に係るナノ構造材料は、1000nm未満の膜厚を有することが好ましい。
【0026】
上記ナノ構造材料は、1000nm未満の膜厚を有することにより、かかる膜は、高機能膜、電解質膜等の多様な用途に用いることができる。
【0027】
本発明に係るナノ構造材料では、上記シリンダー構造は、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であることが好ましい。
【0028】
上記構成により、シリンダー構造及び/又はらせん構造を溶解して、空洞化したポーラス構造とした場合、膜を貫通するポーラス構造を得ることができ、当該膜を高機能膜、電解質膜等として用いることが可能となる。また、かかるナノ構造材料はナノスタンプやナノらせんを製造するための材料として用いることができる。
【0029】
本発明に係るナノ構造材料は、1μm以上1000μm以下の膜厚を有することが好ましい。
【0030】
上記ナノ構造材料が1μm以上1000μm以下の膜厚を有することにより、かかる膜は、燃料電池の電解質膜、超高周波領域の電磁波吸収材料等の多様な用途に用いることができる。
【0031】
本発明に係るナノ構造材料では、上記らせん構造は、二重らせん構造であることが好ましい。
【0032】
上記らせん構造は、二重らせん構造であることにより、ABC−トリブロックポリマーにおけるポリマーブロックBの重量分率のみが異なる2種類のABC−トリブロックポリマーを混合して、溶媒に溶解し、膜形成することにより、2重らせんを形成するポリマーブロックBからなる相の直径が、2重らせんの各らせんで異なるナノ構造材料を製造することができる。かかるナノ構造材料を用いて、後述する方法により作成したナノポーラス材料は、例えばバイモダルな孔を有する分離膜として用いることができる。
【0033】
本発明に係るナノ構造材料では、ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCはアキラルであることが好ましい。
【0034】
上記ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCはアキラルであることにより、汎用高分子材料を用いて、上記ナノ構造材料を製造することができる。
【0035】
本発明に係るナノ構造材料では、上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwは10,000以上1,000,000以下であることが好ましい。
【0036】
上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwが上記範囲内であることにより、ナノメートルオーダーのサイズのらせん構造を有するナノ構造材料を製造することができるため好ましい。
【0037】
本発明に係るナノ構造材料では、上記シリンダー構造は、六方格子上に配列していることが好ましい。
【0038】
上記シリンダー構造が六方格子上に配列していることにより、上記ナノ構造材料を超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0039】
本発明に係るナノ構造材料では、上記シリンダー構造の中心間の距離は、10nm以上300nm以下であることが好ましい。
【0040】
上記シリンダー構造の中心間の距離は、10nm以上300nm以下であることにより、上記ナノ構造材料を超高周波領域の電磁波吸収材料、センサ、アンテナ、高機能分離膜等に好適に用いることができる。
【0041】
本発明に係るナノ構造材料では、上記らせん構造の外径は、5nm以上150nm以下であることが好ましい。
【0042】
上記らせん構造の外径は、5nm以上150nm以下であることにより、上記ナノ構造材料を超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0043】
本発明に係るナノ構造材料は、さらに基板を含み、当該基板上に、上記膜が形成されていてもよい。
【0044】
本発明に係るナノポーラス材料は、上記ナノ構造材料におけるABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックBからなる相が分解又は溶解によって除去されてなるものであることが好ましい。
【0045】
上記構成により、係るナノポーラス材料は、ナノメートルオーダーのらせん構造が膜表面に略垂直に配向しているため、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0046】
本発明に係るナノスタンプは、上記ナノポーラス材料に金属、半導体、無機化合物を充填した後、ABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相を分解又は溶解することによって得られることが好ましい。
【0047】
上記構成により、係るナノスタンプは、ナノメートルオーダーのらせん構造を有する金属、半導体、無機化合物が膜表面に略垂直に配向しているため、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0048】
本発明に係るナノらせんは、ナノ構造材料におけるABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相が分解または溶解によって除去されてなることが好ましい。
【0049】
上記構成により、係るナノらせんは、ナノメートルオーダーのらせん構造が膜表面に略垂直に配向しているため、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0050】
本発明に係るナノ構造材料の製造方法では、上記ポリマーブロックAの重量分率を変化させることにより、上記らせん構造の外径及びピッチを変化させることが好ましい。
【0051】
上記構成により、所望の形状を有するらせん構造を有するナノ構造材料を製造することができる。
【0052】
本発明に係るナノ構造材料の製造方法では、上記ポリマーブロックBの重量分率を変化させることにより、上記らせん構造の線径を変化させることが好ましい。
【0053】
上記構成により、所望の形状を有するらせん構造を有するナノ構造材料を製造することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明に係るナノ構造材料の製造方法は、以上のように、当該ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たすABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解する工程と、得られたABC−トリブロック共重合体の溶液を用いて上記ブロック共重合体を含む膜を形成する膜形成工程と、上記膜から溶媒を除去してミクロ相分離構造を発現させる工程とを含む構成を備えているので、規則性の非常に高いナノメートルオーダーのらせん構造を有するナノ構造材料を、汎用物質を用いて、簡便に製造することができる。また、上記の構成によれば、膜表面に対して垂直方向に配向したらせん構造を有するナノ構造材料を、電場印加や温度勾配の付与、又はゾーン加熱などの操作を要さず、極めて簡単且つ低コストに製造することができる。
【0055】
本発明に係るナノ構造材料は、以上のように、上記課題を解決するために、該ナノ構造材料は膜の形状を有し、ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たす構成を備えているので、規則性の非常に高いナノメートルオーダーのらせん構造を有するナノ構造材料を、汎用物質を用いて、簡便に製造することができる。また、上記の構成によれば、膜表面に対して垂直方向に配向したらせん構造を有するナノ構造材料を、電場印加や温度勾配の付与、又はゾーン加熱などの操作を要さず、極めて簡単且つ低コストに製造することができる。
【0056】
また、ナノスケールのコイル(ナノコイル)の作成が可能となる。ナノコイルの利用例としては、高周波領域における電磁波吸収材料を挙げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明について、以下に(I)ナノ構造材料、(II)ナノ構造材料の製造方法、(III)ナノ構造材料の利用の順に説明する。
【0058】
(I)ナノ構造材料
本発明にかかるナノ構造材料は、第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなるABC−トリブロック共重合体を含む、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、該ナノ構造材料は膜の形状を有し、ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たし、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有している。
【0059】
(I−1)ABC−トリブロック共重合体
本発明にかかるナノ構造材料は、第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなるABC−トリブロック共重合体を含む、ミクロ相分離したナノ構造材料である。
【0060】
本発明のナノ構造材料においては、上記ABC−トリブロック共重合体として、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たすような繰り返しモノマーを選択し、且つ、ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率を所定の範囲とする。かかるABC−トリブロック共重合体を用いることにより、ポリマーブロックBからなる相がらせん構造を形成するようにミクロ相分離したナノ構造材料を得ることができる。
【0061】
ここで、ABC−トリブロック共重合体とは、第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなる線状のブロック共重合体である。ここで各ポリマーブロックA、BおよびCは、それぞれ異なる繰り返しモノマーで構成されている。換言すれば、ABC−トリブロック共重合体とは、繰り返しモノマーから構成されるポリマーブロックAと、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーとは異なる繰り返しモノマーから構成されるポリマーブロックBと、ポリマーブロックAやBを構成する繰り返しモノマーとは異なる繰り返しモノマーから構成されるポリマーブロックCとの3種類の高分子鎖が結合した線状のブロック共重合体である。
【0062】
上記ABC−トリブロック共重合体では、上述したようなポリマーブロックAの重量分率は17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率は4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率は63%以上79%未満の範囲であることが好ましい。ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率を上記範囲とすることにより、ポリマーブロックBからなる相がらせん構造を形成するようにミクロ相分離したナノ構造材料を得ることができる。
【0063】
ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率を上記範囲とすることにより、ポリマーブロックBからなる相がらせん構造を形成するようにミクロ相分離したナノ構造材料を得ることができる理由としては例えば以下の理由が考えられる。すなわち、重量分率が最も小さいポリマーブロックBからなる相が、次に重量分率が小さいポリマーブロックAからなる相のシリンダー構造の周囲に巻き付くらせん構造を形成することで、極端に伸びたり、縮んだりする分子鎖が最も少なくエネルギー的に最も安定であると考えられる。
【0064】
また、上記ポリマーブロックAの重量分率は17%以上26%未満であることが好ましいが、18%以上25%以下であることがより好ましく、19%以上24%以下であることがさらに好ましい。上記ポリマーブロックBの重量分率は4%以上12%未満であることが好ましいが、5%以上11%以下であることがより好ましく、6%以上10%以下であることがさらに好ましい。ポリマーブロックCの重量分率は63%以上79%未満の範囲であることが好ましいが、64%以上78%以下であることがより好ましく、65%以上77%以下であることがさらに好ましい。
【0065】
また、上記ABC−トリブロック共重合体では、ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマー相互間の相互作用パラメータは、χBC>χAB>χACを満たすものである。これにより、ポリマーブロックBからなる相がらせん構造を形成するようにミクロ相分離したナノ構造材料を得ることができる。
【0066】
ここで、相互作用パラメータχとは、Flory−Hugginsの相互パラメータのことをいい、例えばポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータχABについては下式(1)によって得られる値をいう。
χAB=(v/RT)(δ−δ ・・・(1)
式(1)中、vはモル体積を示し、Rは気体定数を示し、Tは絶対温度を示し、δはHildebrandの相溶性パラメータを示す。
【0067】
また、モル体積vは、下式(2)によって得られる値である。
v={(ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーの分子量/ポリマーブロックAの密度)+(ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーの分子量/ポリマーブロックBの密度)}/2 ・・・(2)
また、本発明において、相互作用パラメータχを算出するために用いられるHildebrandの相溶性パラメータ(Solubility parameter)δとしては、PolymerHandbook(Brandrup, J and Immergut, E. H. “Polymer Handbook”, 3. Ed., Wiley, New York 1989) に記載の値を用いるものとする。
【0068】
なお、Hildebrandの相溶性パラメータ(Solubility parameter)δとは、Hildebrand-Scatchardの溶液理論において分子間の引き合う力を考え次式で定義されるものである。
δ=(ΔE/V)1/2
ここで、ΔEは蒸発エネルギー、Vは分子容、ΔE/Vは凝集エネルギー密度を示す。また、
ΔE=ΔH−PdV
より1モルでは
ΔE=ΔH−RT
ここで、ΔHは絶対温度Tにおけるモル蒸発熱、Pは圧力、Rは気体定数を示す。従って以下の関係が導かれる。
δ=(ΔH−RT/V1/2
また、ここで、χBC、χAB及びχACの関係は、χBC>χAB>χACであればよいが、χBC/χABに比べると、χBC/χAC及びχAB/χACは大きい。また、χBC、χAB及びχACは、0<(χBC/χAB)<3、8<(χBC/χAC)<12、及び、4<(χAB/χAC)<8の関係にあることがより好ましい。
【0069】
本発明で用いられる上記ABC−トリブロック共重合体は、ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマー相互間の相互作用パラメータが、χBC>χAB>χACを満たし、且つ、ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率が上記範囲内にあれば、特に限定されるものではなく、いかなるABC−トリブロック共重合体であってもよい。
【0070】
かかるABC−トリブロック共重合体としては、より具体的には例えば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン−ポリエチレンブチレン−ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン−ポリ2ビニルピリジン−ポリtert-ブチルメタクリレート、ポリスチレン−ポリフェロセニルシラン−ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン−ポリエチレンプロピレン−ポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0071】
また、本発明で用いられるポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCはアキラルであることが好ましい。本発明では、上記従来の2成分系ブロック共重合体と異なり、ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマー相互間の相互作用パラメータが、χBC>χAB>χACを満たし、且つ、ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率が上記範囲内にあるABC−トリブロック共重合体を用いることにより、ポリマーブロックBからなる相がらせん構造を有するミクロ相分離構造を発現させるので、キラルな材料を用いる必要がなく、汎用高分子材料を用いてらせん構造を有するナノ構造材料を製造することが可能となる。
【0072】
上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwは特に限定されるものではなく、目的とするナノ構造材料のサイズに応じて選択すればよいが、例えば、重量平均分子量Mwが10,000以上1,000,000以下であることが好ましく、20,000以上750,000以下であることがより好ましく、30,000以上500,000以下であることがさらに好ましい。ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwが上記範囲内であることにより、ナノメートルオーダー〜マイクロメートルオーダーのサイズのらせん構造を有するナノ構造材料を製造することができるため好ましい。
【0073】
なお、上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwを変化させることにより、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有しているミクロ相分離構造を保ったまま、そのサイズを変化させることができる。例えば、上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwを小さくすれば、より小さい上記ミクロ相分離構造を発現させることができ、上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量Mwを大きくすれば、より大きい上記ミクロ相分離構造を発現させることができる。
【0074】
なお、ここで、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー法により測定された値を意味する。
【0075】
また、上記ABC−トリブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は1.3以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.1以下であることがさらに好ましい。
【0076】
分子量分布が上記範囲内にあることにより、より均一なミクロ相分離構造を発現させることができる。
【0077】
なお、ここで、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー法により測定された重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnより算出した値を意味する。
【0078】
上記ABC−トリブロック共重合体の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができる。かかる方法としては、例えば、リビングアニオン重合等を好適に用いることができる。分子量分布を小さくするという観点からリビングアニオン重合は好ましい。
【0079】
(I−2)ABC−トリブロック共重合体の高次構造
本発明にかかるナノ構造材料は、上記ABC−トリブロック共重合体を含む、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有している。
【0080】
本発明にかかるナノ構造材料を、図1および3に基づいて説明する。図1は本発明にかかるナノ構造材料を模式的に表す図である。図1に示すように、本発明にかかるナノ構造材料では、ポリマーブロックAからなる相がシリンダー構造を形成している。かかるシリンダー構造をコアとして、その周囲を、ポリマーブロックBからなる相が巻き付いてらせん構造を形成している。そして、ポリマーブロックBからなる相が巻き付いた状態のシリンダー構造の間隙を埋めるマトリックスは、ポリマーブロックCからなる相によって構成されている。なお、各相は、それぞれ、当該相を構成するポリマーブロックが凝集することにより構成されている。また、図3は本発明にかかるナノ構造材料を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy,TEM)内で傾斜させ、様々な角度で透過像を取得し3次元再構成を行って得た結果を示す図である。図3中、黒色のらせん構造がポリマーブロックBからなる相であり、らせん内の灰色の部分はポリマーブロックAからなる相であり、マトリックスの部分がポリマーブロックCからなる相である。
【0081】
また、シリンダー構造をコアとして、その周囲に巻き付いているらせん構造の巻き方向は特に限定されるものではなく、同じ方向であってもよいし、部分的に巻き方向が異なっていてもよい。
【0082】
また、各相の大きさも特に限定されるものではないが、シリンダー構造を形成するポリマーブロックAからなる相の直径、すなわち、シリンダー構造の長手方向に垂直な断面の直径は通常10nm〜140nmであるが、20nm〜120nmであることがより好ましく、30nm〜100nmであることがさらに好ましい。なお、ここで、断面の形状は円形であることがより好ましいが、円形に限定されるものではなく、楕円形、三角形、四角形、五角形、またはそれ以上の多角形等であってもよい。また、断面の形状が円形でない場合、断面の直径とは、断面の外周を円の外周に換算した場合の直径で規定できる。シリンダー構造の直径が上記範囲であることにより、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0083】
上記シリンダー構造は、ナノ構造材料の膜の表面で、少なくとも一部において規則的に配列している。より好ましくは、上記シリンダー構造は、ナノ構造材料の膜の表面において、より多くの部分、より好ましくは全部分において規則的に配列している。より具体的には、上記シリンダー構造が、規則的に配列している部分は、ナノ構造材料の膜の表面の面積全体に対して20%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【0084】
また、上記シリンダー構造は規則的に配列していれば、その配置は特に限定されるものではないが、例えば、六方格子上、立方格子上に配列している。
【0085】
また、上記シリンダー構造の中心間の距離、すなわち、シリンダー構造の長手方向に垂直な断面の中心相互間の距離は、通常10nm〜300nmであるが、20nm〜200nmであることがより好ましく、30nm〜150nmであることがさらに好ましい。シリンダー構造相互間の間隔が上記範囲であることにより、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜等に好適に用いることができる。
【0086】
また、上記らせん構造は、1重らせんであってもよいし、2重らせんであってもよいし、3重らせんであってもよいし、それ以上のらせん構造であってもよい。なお、本発明者らは、上記ABC−トリブロック共重合体の分子量分布を狭くすることにより、2重らせん構造を含むミクロ相分離構造が、ナノ構造材料の多くの部分、より好ましくは全部分において発現することを見出している。
【0087】
上記らせん構造が2重らせんである場合、例えば、ABC−トリブロックポリマーにおけるポリマーブロックBの重量分率のみが異なる2種類のABC−トリブロックポリマーを混合して、溶媒に溶解し、膜形成することにより、2重らせんを形成するポリマーブロックBからなる相の直径が、2重らせんの各らせんで異なるナノ構造材料を製造することができる。かかるナノ構造材料を用いて、後述する方法により作成したナノポーラス材料は、例えばバイモダルな孔を有する分離膜として用いることができる。
【0088】
図3中aで示されるらせん構造のピッチは特に限定されるものではないが、通常、20nm〜100nmであり、40nm〜80nmであることがより好ましく、50nm〜70nmであることがさらに好ましい。
【0089】
また、図3中bで示されるシリンダー相に対するらせんの傾斜角度も特に限定されるものではないが、20°〜60°、より好ましくは35°〜45°であることが好ましい。
【0090】
また、図3中cで示されるらせん構造を構成する相の直径も特に限定されるものではないが、通常、9nm〜17nmであり、11nm〜15nmであることがより好ましく、12nm〜14nmであることがさらに好ましい。
【0091】
また、シリンダー構造を構成する相の直径も特に限定されるものではないが、通常、10nm〜140nmであり、20nm〜120nmであることがより好ましく、30nm〜100nmであることがさらに好ましい。
【0092】
また、図3中dで示される、上記らせん構造の外径は、通常5nm〜150nmであり、10nm〜140nmであることがより好ましく、20nm〜120nmであることがさらに好ましい。なお、ここで、上記らせん構造の外径とは、(シリンダー構造を構成する相の直径+らせん構造を構成する相の直径×2)で表される値をいう。
【0093】
また、上記らせん構造が、2重以上のらせん構造である場合、各らせん構造の太さは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0094】
(I−3)ナノ構造材料
本発明にかかるナノ構造材料は膜の形状を有していることが好ましい。本発明のナノ構造材料からなる膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、5,000μm以下であることが好ましく、1,000μm以下であることがさらに好ましい。
【0095】
中でも本発明にかかるナノ構造材料からなる膜のより好ましい一実施形態は、1000nm未満の膜厚を有する膜である。かかる膜は、高機能膜、電解質膜等の多様な用途に用いることができる。かかる膜の膜厚は、0より大きく1000nm未満であればよいが、より好ましくは10nm以上500nm以下、さらに好ましくは20nm以上300nm以下である。
【0096】
また、本発明にかかるナノ構造材料からなる膜のより好ましい他の一実施形態は、1μm以上1000μm以下の膜厚を有する膜である。かかる膜は、燃料電池の電解質膜、超高周波領域の電磁波吸収材料等の多様な用途に用いることができる。かかる膜の膜厚は、1μm以上1000μm以下であればよいが、より好ましくは1μm以上100μm以下、さらに好ましくは1μm以上50μm以下である。
【0097】
また、本発明にかかるナノ構造材料は、さらに基板を含み、当該基板上に、上記膜が形成されていてもよい。なお、本発明では、基板が親水性であっても、疎水性であっても、上記シリンダー構造(及び、らせん構造の中心軸)を、両側の膜表面から、膜の内部に向かって、少なくとも一部で膜表面に対して垂直に配向させることができる。
【0098】
上記基板としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリコン基板、雲母、ガラス基板、ITO基板等を好適に用いることができる。
【0099】
本発明にかかるナノ構造材料においては、ポリマーブロックAからなるシリンダー構造は、上記膜の一方の表面から反対側の表面に向かって貫通している。また、シリンダー構造の周囲に巻き付いて形成されているらせん構造も、シリンダー構造と同様に、上記膜の一方の表面から反対側の表面に向かって貫通している。これにより、シリンダー構造及び/又はらせん構造を溶解して、空洞化したポーラス構造とした場合、膜を貫通するポーラス構造を得ることができ、当該膜を高機能膜、電解質膜等として用いることが可能となる。
【0100】
また、通常シリンダー構造を有する親水性の相と疎水性の相とからなるブロック共重合体では、膜の表面を疎水性の相が覆ってしまうという問題点があるが、本発明のナノ構造材料では、かかる問題がない。
【0101】
本発明にかかるナノ構造材料においては、膜表面の一部を構成するシリンダー構造の端部を含むシリンダー構造の少なくとも一部が膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が好ましくは45°未満、より好ましくは35°未満、さらに好ましくは20°未満である。
【0102】
すなわち、上記ナノ構造材料においては、上記シリンダー構造は、少なくとも、両側の膜表面近傍では、膜表面に対して垂直に配向している。また、シリンダー構造の周囲に巻き付いて形成されているらせん構造も、シリンダー構造と同様に、らせん構造の中心軸が両側の膜表面近傍では、膜表面に対して垂直に配向していることになる。
【0103】
ここで、上記シリンダー構造(及び、らせん構造の中心軸)は、両側の膜表面から、膜の内部に向かって、少なくとも一部で膜表面に対して垂直に配向していればよいが、より好ましくは両側の膜表面からそれぞれ少なくとも10μm、さらに好ましくは少なくとも2μmが膜表面に対して垂直に配向していればよい。
【0104】
また、本発明にかかるナノ構造材料が1000nm未満の膜厚を有する膜である場合は、上記シリンダー構造は、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であることが好ましい。なお、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値は、より好ましくは35°未満、さらに好ましくは20°未満である。また、かかる場合は、シリンダー構造の周囲に巻き付いて形成されているらせん構造も、シリンダー構造と同様に、らせん構造の中心軸が、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であることが好ましい。
【0105】
これにより、シリンダー構造及び/又はらせん構造を溶解して、空洞化したポーラス構造とした場合、膜を貫通するポーラス構造を得ることができ、当該膜を高機能膜、電解質膜等として用いることが可能となる。
【0106】
なお、「膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満である」とは、膜表面に垂直に配向している場合と、配向角度に一定の乱れがある場合とを含む趣旨である。ここで、上記「配向角度の乱れの絶対値」とは、膜表面に対して垂直な線となす角の絶対値をいい、図8に示される角度θをいい、断面のTEM像を観察することにより測定することができる。
【0107】
(II)ナノ構造材料の製造方法
本発明にかかるナノ構造材料の製造方法は、上記ABC−トリブロック共重合体を含み、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有しているナノ構造材料の製造方法であって、当該ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たすABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解する工程と、得られたABC−トリブロック共重合体の溶液を用いて上記ブロック共重合体を含む膜を形成する膜形成工程と、上記膜から溶媒を除去してミクロ相分離構造を発現させる工程とを含んでいればよい。
【0108】
本発明にかかるナノ構造材料の製造方法では、上記ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマー相互間の相互作用パラメータが、χBC>χAB>χACを満たし、且つ、ポリマーブロックAと、ポリマーブロックBと、ポリマーブロックCとの重量分率が上記範囲内にある特定のABC−トリブロック共重合体を用いることにより、かかるABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解し、膜を形成し、溶媒を除去するという簡便な方法で、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有しているナノ構造材料を製造することができる。また、加えて、膜表面の一部を構成するシリンダー構造の端部を含むシリンダー構造の少なくとも一部が膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であるナノ構造材料を、従来のようにブロック共重合体のゾーン加熱、特性表面粗さ以上の(凹凸のある)基板の使用等のような手段を講じることなく確実に製造することができる。
【0109】
また、本発明にかかるナノ構造材料の製造方法では、上記ポリマーブロックAの重量分率を変化させることにより、上記らせん構造の外径及びピッチを変化させることができる。これにより、所望の形状を有するらせん構造を有するナノ構造材料を製造することができる。
【0110】
また、上記らせん構造の外径およびピッチは、上記ポリマーブロックAの重量分率を変化させる上記方法に加えて、又は、代えて、ABC−トリブロック共重合体に、上記ポリマーブロックAと同じ化学構造からなるホモポリマーをブレンドすることにより変化させることもできる。
【0111】
また、本発明にかかるナノ構造材料の製造方法では、上記ポリマーブロックBの重量分率を変化させることにより、上記らせん構造の線径、言い換えれば、図3中cで示されるらせん構造を構成する相の直径を変化させることができる。これにより、所望のらせん構造の線径を有するナノ構造材料を製造することができる。
【0112】
また、上記らせん構造の線径は、上記ポリマーブロックBの重量分率を変化させる上記方法に加えて、又は、代えて、ABC−トリブロック共重合体に、上記ポリマーブロックBと同じ化学構造からなるホモポリマーをブレンドすることにより変化させることもできる。
【0113】
(II−1)上記ABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解する工程
本工程で用いる上記ABC−トリブロック共重合体については、上記(I)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
【0114】
また、本工程で用いる上記溶媒は、用いるABC−トリブロック共重合体の、ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCのすべてに対して貧溶媒でない溶媒であれば特に限定されるものではなく、用いるABC−トリブロック共重合体の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0115】
かかる溶媒としては、例えば、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、エチルベンゼン、プロピルベンゼン等を好適に用いることができる。例えば用いるABC−トリブロック共重合体がポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートである場合には、クロロホルム等を好適に用いることができる。
【0116】
また、上記ABC−トリブロック共重合体の濃度、すなわち、溶解した上記ABC−トリブロック共重合体の重量の、溶解した上記ABC−トリブロック共重合体と溶媒との合計重量に対する割合は、0.05wt%〜20wt%であることが好ましく、0.1wt%〜10wt%であることがより好ましい。上記ABC−トリブロック共重合体の濃度が上記範囲であることにより、製膜工程に好適に用いることができる。
【0117】
(II−2)膜形成工程
膜形成工程では、上記工程で得られたABC−トリブロック共重合体の溶液を用いて上記ブロック共重合体を含む膜を形成する。膜の形成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜選択して用いればよい。
【0118】
上記膜形成方法としては、例えば、溶媒キャスト法、スピンコート法、ディップコート法等を挙げることができるが、膜形成方法はこれらに限定されるものではなく、他の方法により、行ってもよい。なお、ABC−トリブロック共重合体の濃度、スピンコートにおける回転数や時間、ディップコート法における引き上げ速度等を適宜選択することにより、膜厚を調製することができる。
【0119】
(II−3)上記膜から溶媒を除去してミクロ相分離構造を発現させる工程
本工程では、上記II−2で得られた膜から溶媒を除去してミクロ相分離構造を発現させる。溶媒を除去する方法としては、特に限定されるものではなく、無風乾燥、熱風乾燥等を用いればよい。
【0120】
また、本発明では熱処理を行わない場合でもミクロ相分離構造を進行させることができるが、ミクロ相分離構造を十分に進行させるために、熱処理を行ってもよい。熱処理の温度は通常140℃〜190℃、加熱時間は12時間〜48時間である。
【0121】
従来のナノ構造材料の製造方法では、シリンダー構造を、膜表面に対して垂直に配向させるために、上記特許文献や非特許文献に開示されているように種々の方法が講じられていた。上記特許文献2に対し、本発明にかかるナノ構造材料の製造方法では、試料をシリコーンオイルバス中で加熱処理しないため、熱による試料の劣化を防ぐことができる点に優位性がある。また、上記特許文献3に対し、試料をゾーン加熱しないため、特殊な装置を用いることなく簡易に垂直配向させることができる点に優位性がある。また、特許文献4に対し、基板に特別な加工を施すことがない点で優位性がある。また、特許文献5に対しては汎用高分子材料を用いている点で優位性がある。また、非特許文献4に対しては直流電流の印加を必要としない点で優位性がある。
【0122】
(III)ナノ構造材料の利用
本発明にかかるナノ構造材料は、膜の表面から膜の内部に向かって少なくとも一部が垂直配向したらせん構造を有するので、ナノポーラス材料、ナノスタンプ、ナノテンプレート等とすることにより、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等の幅広い用途に利用することができる。
【0123】
従って本発明には、上記ナノ構造材料を用いて製造されるナノポーラス材料、ナノスタンプ、ナノテンプレート等も含まれる。
【0124】
本発明にかかるナノポーラス材料は、上記ナノ構造材料におけるABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックBからなる相が分解又は溶解によって除去されてなるものである。
【0125】
ポリマーブロックBからなる相を分解する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができるが、例えば、その一例として、オゾン分解処理、イオンビームエッチング等を挙げることができる。また、ポリマーブロックBからなる相を溶解する方法も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、ポリマーブロックBを溶解するが、ポリマーブロックA、Cを溶解しないような溶媒を挙げることができる。
【0126】
これにより、上記らせん構造の線径、言い換えれば、図3中cで示されるらせん構造を構成する相の直径が9nm〜17nmで、膜の表面から膜の内部に向かって少なくとも一部が垂直配向したらせん構造の貫通孔を有するナノポーラス材料を得ることができる。
【0127】
かかるナノポーラス材料は、電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0128】
また、本発明にかかるナノらせんは、上記ナノ構造材料におけるABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相が分解または溶解によって除去されてなるものである。
【0129】
ポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相を分解する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を好適に用いることができるが、例えば、その一例として、オゾン分解処理、イオンビームエッチング等を挙げることができる。また、ポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相からなる相を溶解する方法も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、ポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相を溶解するが、ポリマーブロックBを溶解しないような溶媒を挙げることができる。
【0130】
これにより、上記らせん構造の線径、言い換えれば、図3中cで示されるらせん構造を構成する相の直径が9nm〜17nmで、膜の表面から膜の内部に向かって少なくとも一部が垂直配向したナノらせんを得ることができる。
【0131】
かかるナノらせんは、電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【0132】
また、本発明にかかるナノスタンプは、上記ナノポーラス材料に金属、半導体、無機化合物を充填した後、ABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相を分解又は溶解することによって得られるものである。
【0133】
これにより、上記らせん構造の線径、言い換えれば、図3中cで示されるらせん構造を構成する相の直径が9nm〜17nmで、膜の表面にから膜の内部に向かって少なくとも一部が垂直配向した、金属、半導体、または、無機化合物からなるナノらせんを得ることができる。
【0134】
かかるナノスタンプは、超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0135】
〔実施例1:ABC−トリブロック共重合体の製造〕
ABC−トリブロック共重合体として、ポリスチレン(PS)−ポリブタジエン(PB)−ポリメチルメタクリレート(PMMA)を、Clemens Auschra, Reimund Dtadler, Polymer Bulletin 30, 257-264(1993)に記載の方法により製造した。
【0136】
n−BuLiの1.4Mへプタン溶液20mlを、1200mlの精製したTHFに添加し室温で一晩おいた。これに翌日スチレンを導入し−80℃に冷却した。反応溶液を激しく攪拌し、n−BuLiにより重合を開始させて、オレンジ色のリビングポリスチレン溶液を得た。30分後、ブタジエンを、反応容器中に凝縮し、無色の反応溶液を−10℃まで昇温して4〜6時間かけてブタジエンを重合させた。かかる条件下、殆どのブタジエン(>90%)は反応した。続いて、得られた溶液に過剰の1,1−ジフェニルエチレンを添加した。溶液は数分間のうちに赤色に変わった。この溶液を−60℃まで冷却した後、メチルメタクリレートをゆっくりと添加した。無色の溶液を−40℃まで昇温し1時間攪拌して反応を完了させた。得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートをメタノール中で沈殿させて分離した。
【0137】
重合途中で、分析目的のために、ポリスチレンブロックおよび末端を1,1−ジフェニルエチレンでキャップしたポリスチレン−ポリブタジエンの一部を分離した。
【0138】
得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートは、Mn(ポリスチレンブロック)=34000、Mn(ポリブタジエンブロック)=11900、Mn(ポリメチルメタクリレートブロック)=124100、Mw/Mn=1.06、Mn(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート)=170000であった。また、上記結果より、ポリスチレンブロック(ポリマーブロックA)の重量分率は20%、ポリブタジエンブロック(ポリマーブロックB)の重量分率は7%、ポリメチルメタクリレートブロック(ポリマーブロックC)の重量分率は73%であった。
【0139】
なお、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートの、各ポリマーブロック間の相互作用パラメータは、χAB(χ(PS−PB))=0.098、χBC(χ(PB−PMMA))=0.168、χAC(χ(PS−PMMA))=0.016である。
【0140】
〔実施例2:マイクロメートルオーダーの膜厚を有する膜の製造〕
実施例1で得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートをクロロホルムに5wt%となるように溶解してクロロホルム溶液を得た。このクロロホルム溶液をガラスシャーレに滴下し、室温で24時間かけて溶媒を蒸発させて、膜厚1000μmのフィルムを得た。得られたフィルムから、ウルトラミクロトームを用いて、膜断面の超薄切片を作製し、OsO溶液の蒸気に曝すことによってPB相を染色した。
【0141】
染色した超薄切片を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy,TEM:JEM−2200FS(加速電圧200kV)、日本電子株式会社製)内で傾斜させ、様々な角度で透過像を取得し3次元再構成を行った。得られた3次元データより、らせん構造のピッチや巻き角度などを求めた。
【0142】
図2は本実施例で得られた膜のTEM観察の結果を示す図である。OsOにより染色を行っているため、黒い相がPB相、灰色の相がPS相、最も白い相(マトリックス)がPMMA相である。図2中(a)に示すように、六方格子上に配列された(ヘキサゴナルにパッキングされた)円状の灰色の相(PS相、円状の黒いPB相の内部)を観察することができ、また、図2中(b)に示すように、交差したPB相を含む灰色の相(PS相)からなる平行のパターンを観察することができた。このことから、本実施例で用いたトリブロック共重合体の基本構造はシリンダー構造であることが判った。
【0143】
図3は本実施例で得られた膜の3次元再構成の結果を示す図である。図3中、x及びyで示す相は共にPB相である。図3より、xで示すPB相とyで示すPB相とは互いに交わることのない、左巻きの2重らせんを持つシリンダー構造を形成していることが判る。
【0144】
らせんのピッチは60nm、シリンダー相に対するらせんの傾斜角度は40°、PB相の直径は13nm、らせん構造の外径は40nmであった。この2重らせん構造は、本試料のすべての領域で確認でき、過去に報告された4重らせん構造は全く形成されていなかった。さらに、左巻きのらせん構造だけでなく、右巻きのらせん構造や、1つのらせん構造中で巻き方向が変化しているものも確認できた。
【0145】
図5は、本実施例で得られた膜の膜表面における断面図である。図中(a)で示されるTEM像は、ガラスシャーレ内に形成された膜の空気(図中「Air surface」と表示)に接する側の表面近傍の断面を示す。図中(a)で示されるTEM像から判るように、空気と接する表面では、上記シリンダー構造(及び、らせん構造の中心軸)は、空気に接する側の膜表面から、膜の内部に向かって、少なくとも一部で膜表面に対して略垂直に配向していることが観察された。また、図中(b)で示されるTEM像は、ガラスシャーレ内に形成された膜のガラスシャーレ(「Grass surface」と表示)に接する側の表面近傍の断面を示す。図中(b)で示されるTEM像から判るように、ガラスシャーレと接する表面でも、上記シリンダー構造(およびらせん構造の中心軸)は、ガラスシャーレに接する側の膜表面から、膜の内部に向かって、少なくとも一部で膜表面に対して略垂直に配向していることが観察された。
【0146】
〔実施例3:ナノメートルオーダーの膜厚を有する膜の製造〕
実施例1で得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートをクロロホルムに0.4wt%となるように溶解してトリブロック共重合体のクロロホルム溶液を得た。このトリブロック共重合体溶液を、雲母基板上に滴下後、回転速度4000rpmで、2分間、スピンコーターにより雲母基板を回転させて、トリブロック共重合体溶液を雲母基板上に均一に塗布すると同時にクロロホルムを蒸発させて薄膜を作成した。この薄膜を室温で4日間クロロホルム蒸気に曝すことにより、トリブロック共重合体を配列させ、OsO溶液の蒸気に曝すことによってPB相を染色した。染色した薄膜は水面を使って雲母基板から剥離させ、TEM観察用銅グリッドに転写し、実施例2と同様にしてTEM観察を行った。なお、得られた薄膜の膜厚は30nmであった。
【0147】
図4は、本実施例で得られた膜の表面をTEMにより観察した結果を示す図である。OsOにより染色を行っているため、黒い相がPB相、灰色の相がPS相、白い相(マトリックス)がPMMA相であるが、図4では、PB相とPS相とがともに黒く見えている。図4中スケールバーは、2μmを示す。図4に示すように、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート膜のらせん構造およびシリンダー構造を含むミクロ相分離構造は、観察した領域の全部分で六方格子状に配列されていることが確認された。また、本実施例で得られた膜の3次元再構成の結果より、PB相は2重らせんを形成していることが判った。
【0148】
また、本実施例で得られた膜では、上記シリンダー構造(およびらせん構造の中心軸)は、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が20°未満であることが確認された。
【0149】
〔実施例4:ナノメートルオーダーの膜厚を有する膜の製造〕
実施例1で得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートをクロロホルムに0.8wt%となるように溶解してトリブロック共重合体のクロロホルム溶液を得た。このトリブロック共重合体溶液を、雲母基板上に滴下後、回転速度4000rpmで、2分間、スピンコーターにより雲母基板を回転させて、トリブロック共重合体溶液を雲母基板上に均一に塗布すると同時にクロロホルムを蒸発させて薄膜を作成した。この薄膜を室温で4日間クロロホルム蒸気に曝すことにより、トリブロック共重合体を配列させ、OsO溶液の蒸気に曝すことによってPB相を染色した。染色した薄膜は水面を使って雲母基板から剥離させ、TEM観察用銅グリッドに転写し、実施例2と同様にしてTEM観察を行った。なお、得られた薄膜の膜厚は約80nmであった。
【0150】
図6及び図7は、本実施例で得られた膜の表面をTEMにより観察した結果を示す図である。図6中スケールバーは1μmを、図7中スケールバーは2μmを示す。図6中、黒い相がPB相、灰色の相がPS相、白い相(マトリックス)がPMMA相である。図7では、PB相とPS相とがともに黒く見えている。図6、7に示すように、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート膜のらせん構造およびシリンダー構造を含むミクロ相分離構造は、観察した領域の全部分で六方格子状に配列されていることが確認された。また、本実施例で得られた膜の3次元再構成の結果より、PB相は2重らせんを形成していることが判った。
【0151】
また、図9は、本実施例で得られた膜の断面図である。図9に示すように、本実施例で得られた膜では、上記シリンダー構造(およびらせん構造の中心軸)は、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が20°未満であることが確認された。
【0152】
〔実施例5:ナノメートルオーダーの膜厚を有する膜の製造〕
実施例1で得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートをクロロホルムに1.6wt%となるように溶解してトリブロック共重合体のクロロホルム溶液を得た。このトリブロック共重合体溶液を、雲母基板上に滴下後、回転速度4000rpmで、2分間、スピンコーターにより雲母基板を回転させて、トリブロック共重合体溶液を雲母基板上に均一に塗布すると同時にクロロホルムを蒸発させて薄膜を作成した。この薄膜を室温で4日間クロロホルム蒸気に曝すことにより、トリブロック共重合体を配列させ、OsO溶液の蒸気に曝すことによってPB相を染色した。染色した薄膜は水面を使って雲母基板から剥離させ、TEM観察用銅グリッドに転写し、実施例2と同様にしてTEM観察を行った。なお、得られた薄膜の膜厚は120nmであった。
【0153】
図8は、本実施例で得られた膜の表面をTEMにより観察した結果を示す図である。図8中スケールバーは2μmを示す。図8中、黒い相がPB相、灰色の相がPS相、白い相(マトリックス)がPMMA相であるが、PB相とPS相とがともに黒く見えている。図8に示すように、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレート膜のらせん構造およびシリンダー構造を含むミクロ相分離構造は、観察した領域の全部分で六方格子状に配列されていることが確認された。また、本実施例で得られた膜の3次元再構成の結果より、PB相は2重らせんを形成していることが判った。
【0154】
また、本実施例で得られた膜では、上記シリンダー構造(およびらせん構造の中心軸)は、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が20°未満であることが確認された。
【0155】
〔実施例6:ポリマーブロックAをブレンドすることによるらせん構造の外径およびピッチの制御〕
実施例1で得られたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートに、ポリスチレン(Mn=8400、Mw/Mn=1.03)を、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートとポリスチレンとの合計量に対してポリスチレンの重量分率が30%となるようにブレンドした。クロロホルムに、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートとポリスチレンとが合計で5wt%となるように溶解してクロロホルム溶液を得た。このクロロホルム溶液をガラスシャーレに滴下し、室温で24時間かけて溶媒を蒸発させて、膜厚1000μmのフィルムを得た。作成したフィルムについて実施例2と同様にしてTEM観察を行った。
【0156】
図11に、本実施例で得られた膜をTEMにより観察した結果を、実施例2で得られた膜をTEMにより観察した結果と併せて示す。図11中、(a)は実施例2で得られた膜をTEMにより観察した結果を、(b)はポリスチレン−ポリブタジエン−ポリメチルメタクリレートとポリスチレンとのブレンドを用いて得られた膜をTEMにより観察した結果を示す。
【0157】
図11に示すように、(a)に示される膜におけるらせんのピッチ及びらせん構造の外径はそれぞれ60nm及び40nmであるのに対し、(b)に示される膜におけるらせんのピッチ及びらせん構造の外径はそれぞれ52nm及び60nmであった。本実施例より、らせん構造のコアとなるシリンダー構造を形成するポリスチレン相に、ポリスチレンをブレンドすることでらせんのピッチが狭くなり、らせん構造の外径が広くなることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明は、らせん構造を有するナノ構造材料、ナノポーラス材料、ナノスタンプ、ナノらせん等や、これらを利用するの各種加工品や機器などの応用分野に好適に利用することができる。より具体的な応用分野としては特に超高周波領域の電磁波吸収材料、センサー、アンテナ、高機能分離膜や電解質膜等の高性能膜、偏光板保護フィルム(垂直配向)等として幅広い用途への利用が可能と考えられる。
【0159】
また、電磁波吸収材料を用いた電子レンジ、無線LAN、携帯電話や、電解質膜を用いた燃料電池に応用することができ非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明にかかるナノ構造材料を模式的に表す図である。
【図2】実施例で得られた膜のTEM観察の結果を示す図である。
【図3】本発明にかかるナノ構造材料を透過型電子顕微鏡内で傾斜させ、様々な角度で透過像を取得し3次元再構成を行って得た結果を示す図である。
【図4】実施例で得られた膜のTEM観察の結果を示す図である。
【図5】実施例で得られた膜の膜表面における断面図である。
【図6】実施例で得られた膜の表面をTEMにより観察した結果を示す図である。
【図7】実施例で得られた膜の表面をTEMにより観察した結果を示す図である。
【図8】実施例で得られた膜の表面をTEMにより観察した結果を示す図である。
【図9】実施例で得られた膜の断面をTEMにより観察した結果を示す図である。
【図10】「配向角度の乱れの絶対値」を示す図である。
【図11】実施例で得られた膜をTEMにより観察した結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなるABC−トリブロック共重合体を含み、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有しているナノ構造材料の製造方法であって、
当該ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、
ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たすABC−トリブロック共重合体を溶媒に溶解する工程と、
得られたABC−トリブロック共重合体の溶液を用いて上記ブロック共重合体を含む膜を形成する膜形成工程と、
上記膜から溶媒を除去してミクロ相分離構造を発現させる工程と、
を含むことを特徴とするナノ構造材料の製造方法。
【請求項2】
第1のポリマーブロックAと、該ポリマーブロックAと共有結合している第2のポリマーブロックBと、該ポリマーブロックBと共有結合している第3のポリマーブロックCとからなるABC−トリブロック共重合体を含む、ミクロ相分離したナノ構造材料であって、
該ナノ構造材料は膜の形状を有し、
ABC−トリブロック共重合体におけるポリマーブロックAの重量分率が17%以上26%未満であり、ポリマーブロックBの重量分率が4%以上12%未満であり、ポリマーブロックCの重量分率が63%以上79%未満であるとともに、
ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAB、ポリマーブロックBを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχBC、ポリマーブロックAを構成する繰り返しモノマーと、ポリマーブロックCを構成する繰り返しモノマーとの相互作用パラメータをχAC、としたときに、χBC>χAB>χACを満たし、
ポリマーブロックCからなる相をマトリックスとして、ポリマーブロックAからなる相が、シリンダー構造を有しており、ポリマーブロックBからなる相が、当該シリンダー構造をコアとして、その周囲にまきついているらせん構造を有していることを特徴とするナノ構造材料。
【請求項3】
ポリマーブロックAからなるシリンダー構造は、上記膜の一方の表面から反対側の表面に向かって貫通しており、膜表面の一部を構成するシリンダー構造の端部を含むシリンダー構造の少なくとも一部が膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であることを特徴とする請求項2に記載のナノ構造材料。
【請求項4】
1000nm未満の膜厚を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のナノ構造材料。
【請求項5】
上記シリンダー構造は、上記膜の一方の表面から反対側の表面までの全体にわたって膜表面に対して垂直に配向しているとともに、垂直に配向している部分の配向角度の乱れの絶対値が45°未満であることを特徴とする請求項4に記載のナノ構造材料。
【請求項6】
1μm以上1000μm以下の膜厚を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のナノ構造材料。
【請求項7】
上記らせん構造は、二重らせん構造であることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項8】
ポリマーブロックA、ポリマーブロックB、及び、ポリマーブロックCはアキラルであることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項9】
上記ABC−トリブロック共重合体の重量平均分子量は10,000以上1,000,000以下であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項10】
上記シリンダー構造は、六方格子上に配列していることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項11】
上記シリンダー構造の中心間の距離は、10nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項12】
上記らせん構造の外径は、5nm以上150nm以下であることを特徴とする請求項2〜11のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項13】
さらに基板を含み、当該基板上に、上記膜が形成されていることを特徴とする請求項2〜12のいずれか1項に記載のナノ構造材料。
【請求項14】
請求項2〜13のいずれか1項に記載のナノ構造材料におけるABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックBからなる相が分解又は溶解によって除去されてなるナノポーラス材料。
【請求項15】
請求項14に記載のナノポーラス材料に金属、半導体、無機化合物を充填した後、ABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相を分解又は溶解することによって得られるナノスタンプ。
【請求項16】
請求項2〜13のいずれか1項に記載のナノ構造材料におけるABC−トリブロック共重合体のポリマーブロックAからなる相及びポリマーブロックCからなる相が分解または溶解によって除去されてなるナノらせん。
【請求項17】
上記ポリマーブロックAの重量分率を変化させることにより、上記らせん構造の外径及びピッチを変化させることを特徴とする請求項1に記載のナノ構造材料の製造方法。
【請求項18】
上記ポリマーブロックBの重量分率を変化させることにより、上記らせん構造の線径を変化させることを特徴とする請求項1又は17に記載のナノ構造材料の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−209271(P2009−209271A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53865(P2008−53865)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年9月4日 社団法人 高分子学会発行の「第56回高分子学会予稿集 56巻2号(2007)」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年9月19日 社団法人 高分子学会主催の「第56回高分子討論会」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年11月21日 社団法人高分子学会発行の「第10回環太平洋高分子国際会議予稿集」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月20日 国立大学法人京都工芸繊維大学主催の「博士論文公聴会」に発表
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】