説明

ナノ粒子、ビニルモノマー、及びシリコーンのコポリマー

コポリマーは、(a)(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子と、(b)ビニルモノマーと、(c)メルカプト官能性シリコーンとの反応生成物を含む。(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子は、シリカナノ粒子、ジルコニアナノ粒子、チタニアナノ粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子、ビニルモノマー、及びシリコーンのコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンペンダント基を有するビニルポリマー主鎖を有するもの(例えば、米国特許第4,728,571号(Clemensら)を参照)、及びアクリレートペンダント基を有するシリコーンポリマー主鎖を有するもの(例えば、米国特許第5,202,190号(Kantnerら)を参照)を含むシリコーン−ビニルコポリマーは、感圧性接着剤(PSA)製品の剥離剤コーティングとして有用であることが、当該技術分野において既知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの剥離剤コーティングを比較的高温(例えば約50℃超)にさらされたとき、PSA製品において引き剥がし力及びシート除去力が不所望に高まる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の点を考慮して、我々は、剥離剤コーティングとして使用するとき、従来のシリコーン−ビニルコポリマーほど比較的高温に対して感受性が高くないシリコーン−ビニルコポリマーに対する、当該技術分野における必要性を認識している。
【0005】
簡潔に述べると、本発明は、(a)(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子と、(b)ビニルモノマーと、(c)メルカプト官能性シリコーンとの反応生成物を含むコポリマーを提供する。(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子は、シリカナノ粒子、ジルコニアナノ粒子、チタニアナノ粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。メルカプト官能性シリコーンは、以下の式により表される。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、
p=1〜約1000
m=1〜約40)
R3は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、及びフルオロアルキルからなる群から選択される一価部分であり、
R4は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキレン、アルカリーレン、及びアルコキシアルキレンからなる群から選択される二価結合基である。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート)」、及び「(メタ)アクリル系」は、アクリル及びメタクリル、アクリレート及びメタクリレート、並びにアクリル系及びメタクリル系を指す。
【0009】
本発明のコポリマーは、剥離剤コーティングとして用いることができる。本発明のコポリマーを含む剥離剤コーティングは、従来のシリコーン−ビニルコポリマーを含む剥離剤コーティングより、比較的高温においてより安定である。更に、本発明のコポリマーを含む剥離剤コーティングは、感圧性接着剤(PSA)が剥離剤コーティングから引き剥がされるとき、安定な引き剥がし力を呈する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のコポリマーは、(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子と、ビニルモノマーと、メルカプト官能性シリコーンとの反応生成物を含む。
【0011】
(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子
本発明のコポリマーで有用なナノ粒子は、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、又は酸化チタンを含む。酸化ケイ素(シリカ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、又は酸化チタン(チタニア)ナノ粒子は、(メタ)アクリレート表面改質を有して、官能化ナノ粒子が反応性ビニルモノマー及びメルカプト官能性シリコーンとを共重合することを可能にする。好ましくは、(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子は、シリカナノ粒子である。
【0012】
本発明で有用なナノ粒子は、典型的には、約1nm〜約150nmの平均粒径を特徴とする。本明細書で使用するとき、用語「ナノ粒子直径」(又は「ナノ粒子寸法」)は、ナノ粒子の最大断面寸法を指す。好ましくは、ナノ粒子は実質的に球形状であり、寸法は比較的均一であり、実質的に凝集していないままである。
【0013】
ジルコニアナノ粒子は、典型的には、約5〜約150nm(好ましくは約5〜約75nm、より好ましくは約5〜約25nm、最も好ましくは約5〜約15nm)の粒径を有する。本発明で有用なジルコニアナノ粒子は、Nalco Company(Naperville、IL)よりNalco(商標)OOSSOO8の商品名として、そしてBuhler(Uzweil、Switzerland)よりWO又はWOSの商品名として市販されている。ジルコニアナノ粒子はまた、米国特許第7,241,437号(Davidsonら)に記載されているように調製できる。
【0014】
チタニアナノ粒子は、典型的には、約5〜約50nm(好ましくは約5〜約15nm、より好ましくは約10nm)の粒径を有する。本発明で有用なチタニアナノ粒子は、mknano(M.K.Impex Cananda、Ontarioの事業部)より市販されている。
【0015】
シリカナノ粒子は、典型的には、約5〜約100nm(好ましくは約5nm〜約20nm、より好ましくは約5nm、約8nm、又は約20nm)の粒径を有する。
【0016】
本発明で使用するために官能化できるシリカナノ粒子の好ましい部類は、シリカ、ジルコニア、又はチタニア酸化物のゾルである。非晶質、半結晶質、及び/又は結晶質シリカのゾルが特に有用である。このようなゾルは、様々な技術により、様々な形態で調製することができ、形態としてはヒドロゾル(水が液体媒質として機能する場合)、オルガノゾル(有機液体が用いられる場合)、及び混合ゾル(液体媒質が水及び有機液体の両方を含む場合)が挙げられる。技術及び形態の詳細は、例えば、米国特許第2,801,185号(Iler);同第4,522,958号(Dasら);及び同第5,648,407号(Goetzら)に記載されている。
【0017】
有用なシリカナノ粒子はまた、例えば、Nalco Company(Naperville、IL)(例えば、Nalco(商標)1040、1042、1050、1060、1130、2326、2327、及び2329コロイドシリカ)及びW.R.Grace&Co.(例えば、Ludox(商標)コロイドシリカ)のような供給業者からコロイド分散液又はゾルとして商業的に入手することができる。好ましい市販のシリカナノ粒子としては、Nalco(商標)1130、Nalco(商標)2326、及びNalco(商標)2327が挙げられる。Nalco(商標)1130シリカナノ粒子が最も好ましい。
【0018】
(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子は、例えば、(メタ)アクリレートシランカップリング剤のようなカップリング剤を用いて調製できる。好ましいカップリング剤としては、例えば、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(A−174シラン)、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Z−6030シラン)、及びメタクリルオキシプロピルジメチルクロロシラン(M−8542シラン)が挙げられる。A−174シランが、最も好ましいシランカップリング剤である。
【0019】
メタクリルオキシシラン表面官能化シリカゾルの調製は、例えば、米国特許第7,101,616号(Arneyら)に記載されている。アクリルオキシシラン及びメタクリルオキシシラン表面官能化ナノ粒子の調製は両方とも、例えば、国際公開第2006/073856号に記載されている。
【0020】
好ましい(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子は、以下の一般式により表すことができる。
【0021】
【化2】

【0022】
ビニルモノマー
本発明のコポリマーを作製するのに有用なビニルモノマーの例としては、(メタ)アクリレート、アリル化合物、ビニルエーテル、ビニルエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。有用なビニルモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシドデシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N−ビニル2−ピロリジノン、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸、2−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0023】
好ましいモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートモノマー、スチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物が挙げられる。より好ましいモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、スチレン、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
好ましくは、(メタ)アクリレートモノマーが用いられ、より好ましくは、メチルアクリレート及びアクリル酸が用いられる。
【0025】
メルカプト官能性シリコーン
本発明のコポリマーの作製において有用なメルカプト官能性シリコーンは、以下の式により表すことができる。
【0026】
【化3】

【0027】
(式中、
p=1〜約1000
m=1〜約40)
R3は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、及びフルオロアルキルからなる群から選択される一価部分であり、
R4は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキレン、アルカリーレン、及びアルコキシアルキレンからなる群から選択される二価結合基である。
【0028】
好ましくは、p=約96〜約200であり、より好ましくはp=96である。好ましくは、m=約4〜約8であり、より好ましくはm=4である。好ましくは、R3は同じであっても異なってもよいアルキルであり、より好ましくは、R3は同じであっても異なってもよいC〜Cアルキルであり、最も好ましくはR3はメチル基である。好ましくは、R4は同じであっても異なってもよいアルキレンであり、より好ましくは、R4は同じであっても異なってもよいC〜Cアルキレン又はC〜C10アルカリーレンであり、最も好ましくはR4はプロピレン基である。
【0029】
上記式の有用なメルカプト官能性シリコーン化合物は、例えば、(1)1つ以上のメルカプト置換炭化水素基を有するオルガノアルコキシシラン及びメルカプト基を有しないアルコキシシランからなる混合物の共加水分解縮合、(2)1つ以上のメルカプト置換炭化水素基を有するオルガノアルコキシシランと環状オルガノポリシロキサン又はメルカプト基を有しないシラノール終端ジオルガノポリシロキサンとの反応、(3)1つ以上のメルカプト置換炭化水素基を有する環状又は直鎖オルガノポリシロキサンと、メルカプト基を有しない環状又は直鎖オルガノポリシロキサンとの平衡反応、(4)メルカプト誘導オルガノポリシロキサンを得るための、アミノアルキルのような1つ以上の求核基を有するオルガノポリシロキサンと3−メルカプトプロピオン酸のような求電子試薬との反応、並びに(5)メルカプト誘導オルガノポリシロキサンを得るための、ハロアルキルのような1つ以上の求電子基を有するオルガノアルコキシシランとアルカリ金属スルフィドのような求核試薬との反応を含む、任意の既知の方法により調製できる。米国特許第4,238,393号(Takamizawaら)、同第4,046,795号(Martin)、同第4,783,490号(Eckbergら)、及びカナダ特許第1,233,290号には、メルカプト官能性シリコーン化合物の調製について記載されている。
【0030】
メルカプト官能性シリコーン化合物、特に終端官能基を有するものを調製するための他の好ましい方法は、米国特許第5,032,460号(Kantnerら)に詳細に記載されている。例えば、欧州特許第0 250 248号(「Leir」)に記載されているもののようなオルガノポリシロキサンジアミンは、γ−チオブチロラクトンのような化合物と反応して、ジメルカプト官能性シリコーン化合物を得ることができる。あるいは、米国特許第5,057,619号(Kumarら)に記載されているもののような塩化ベンジル官能性材料は、一官能性又は二官能性メルカプトシリコーン化合物を形成するために、水硫化ナトリウムのようなアルカリ金属水硫化物と反応することができる。
【0031】
好ましいメルカプト官能性シリコーンは、
【0032】
【化4】

【0033】
(式中、p=96、m=4)である。このメルカプト官能性シリコーンは、Shin−Etzu Silicones of America,Inc.(Akron、OH)よりKF−2001として商業的に入手することができる。
【0034】
コポリマー
本発明は、ビニル部分に重合されたシリカナノ粒子を有するビニル−シリコーングラフトコポリマーを提供する。本発明のコポリマーは、一般に以下の式により表すことができる。
【0035】
【化5】

【0036】
式中、
【0037】
【化6】

【0038】
はシリカナノ粒子を表し、
Qは約500〜約100,000の平均分子量を有するビニルポリマーセグメントであり、
R2は、以下の式により表される
【0039】
【化7】

【0040】
(式中、
p=1〜約1000
m=1〜約40)
R3は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、及びフルオロアルキルからなる群から選択される一価部分であり、
R4は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキレン、アルカリーレン、及びアルコキシアルキレンからなる群から選択される二価結合基である。
【0041】
好ましくは、Qは、(メタ)アクリレートモノマー、スチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから形成されるランダムコポリマーである。より好ましくは、Qは、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、スチレン、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマーから形成される。Qは、好ましくは、約4000〜約8000の平均分子量を有する。好ましくは、p、m、R3、及びR4は、上記の通りである。
【0042】
当業者は、上式が単に本発明の1つの可能なコポリマーの提示として与えられたものであり、本発明のコポリマーを限定する意図はないことを理解する。当業者は、例えば、シリカ粒子が、それに付着した4つ超又は未満のビニル−シリコーンコポリマー「分岐」を有してもよく、−OH基のいくつかは更に反応し、架橋してもよいことを理解する。
【0043】
方法
本発明のコポリマーは、ビニルモノマー、上記のようなメルカプト官能性シリコーン、(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子、及び開始手段にさらされたときフリーラジカルを形成することができる反応開始剤を混合することにより合成できる。所望により、溶媒を添加することができる。
【0044】
本発明のコポリマーを合成するのに有用な反応開始剤は当業者に周知であり、20&21章、Macromolecules、第2巻、第2版、H.G.Elias、Plenum Press、1984年、New Yorkに詳述されている。本発明の方法で使用するのに有用な熱反応開始剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
2,2−アゾ−ビス−(イソブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾ−ビス−イソブチレート、アゾ−ビス−(ジフェニルメタン)、4−4’−アゾ−ビス−(4−シアノペンタン酸)のようなアゾ化合物、
ベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシド、第三ブチルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、グルタル酸ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシドのようなペルオキシド、
過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド、
過酢酸及び過安息香酸のような過酸;過硫酸カリウム、並びに
過炭酸ジイソプロピルのような過酸エステル。
【0046】
あるこれらの反応開始剤(特にペルオキシド、ヒドロペルオキシド、過酸、及び過酸エステル)は、熱ではなく好適な触媒の添加により、分解を誘発され得る。このレドックス反応開始方法は、Elias、20章に記載されている。
【0047】
有用な光化学反応開始剤としては、S.P.Pappas、J.Rad.Cur.、1987年7月、p.6に記載されているような、ジエトキシアセトフェノンのようなベンゾインエーテル、オキシイミノケトン、アシルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン及び2−イソプロピルチオキサントンのようなジアリールケトン、ベンジル及びキノン誘導体、並びに3−ケトクマリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
好ましくは、用いられる反応開始剤は、熱分解されるアゾ又はペルオキシド化合物を含む。最も好ましくは、用いられる反応開始剤は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を含む。
【0049】
フリーラジカルを形成するための反応開始剤の均一分解は、熱エネルギー(熱分解)、光エネルギー(光分解)、又は好適な触媒の添加により誘発され得る。「反応開始剤を含まない」重合はまた、電子的に、又は電離放射線へさらすことによっても誘発され得る。
【0050】
熱分解中の反応開始剤の分解速度は、反応開始剤の化学的性質、反応温度、及び(もしあるとすれば)用いられる溶媒に依存する。光分解中の反応開始剤の分解速度は、主に、反応開始剤の化学的性質、並びに放射の強度及び波長に依存する。
【0051】
光エネルギーを供給して、低強度蛍光ブラックライトランプ、中圧水銀アークランプ、及び殺菌水銀ランプを含む、可視又は紫外光源を用いて反応開始剤の均一分解を誘発し得る。好ましい光エネルギー源の選択は、選択した光反応開始剤に依存する。
【0052】
反応開始剤の分解はまた、好適な触媒を用いることにより達成し得る。触媒誘発性である反応開始剤の分解は、還元−酸化(レドックス)反応をもたらす電子移動機構を伴う。過酸化物及びヒドロペルオキシドのような反応開始剤は、よりこの種の分解をしやすい。反応開始剤の均一分解を誘発するのに有用な触媒としては、過酸化物又はヒドロペルオキシド反応開始剤と併用されるアミン、及び金属イオン、並びに過硫酸塩反応開始剤と併用される亜硫酸水素塩又はメルカプト化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
反応開始の好ましい方法は、標準的な反応器内で容易に用いることができる熱分解を含む。熱分解はまた、反応速度及び発熱の制御の容易性を提供する。
【0054】
既に示したように、溶媒の使用は重合において任意である。好ましくは、溶媒は、反応中の粘度を低下させて、効率的な攪拌及び熱伝達を可能にするという理由で利用される。重合プロセスで有用な溶媒は、典型的には、約2.5を超える誘導定数を有する。溶媒が約2.5を超える誘電定数を有する要件は、反応過程中重合混合物を確実に均質に保つためである。好ましくは、利用される溶媒は、重合混合物にとって最良の溶媒和力を提供するために、約4〜約30の範囲の誘電定数を有する。
【0055】
好適な溶媒としては、酢酸エチル及び酢酸ブチルのようなエステル、メチルエチルケトン及びアセトンのようなケトン、メタノール及びエタノールのようなアルコール、並びにこれらの1種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
他の溶媒系も有用である。脂肪族及び芳香族炭化水素は、単独では溶媒として有用ではない、なぜなら溶液からのビニルポリマーセグメントの沈殿を導き、非水性分散重合を生じさせるためである。このような炭化水素溶媒は、他のより極性の溶媒と混合するとき有用であり得るが、ただし混合物の正味誘電定数は約2.5を超えなければならない。
【0057】
溶媒は、フリーラジカル重合で利用される場合、約−10℃〜約50℃の温度範囲で液体であり、約2.5を超える誘電定数を有し、反応開始剤を分離してフリーラジカルを形成するために用いられるエネルギー源又は触媒に干渉せず、反応体及び製品に対して不活性であり、そうでなければ反応に悪影響を与えない任意の物質であり得る。溶媒の量は、使用される場合、一般に反応体及び溶媒の総重量に基づいて約30〜80重量%である。好ましくは、利用される溶媒の量は、反応体及び溶媒の総重量に基づいて約40重量パーセント〜65重量パーセントの範囲である。
【0058】
本明細書に記載する溶液重合に加えて、共重合は、懸濁、乳化、及びバルク重合のような他の周知の技術により実行してもよい。溶液重合が好ましい。
【0059】
ビニルモノマーの充填(charge)、反応開始剤、メルカプト官能性シリコーン化合物、官能化シリカナノ粒子、及び使用される任意の溶媒を、任意の適切な容器に充填することができる。典型的には、全て充填の総重量を基準として、ビニルモノマーの充填は約5〜約60重量%であり、反応開始剤は約0.2〜約2重量%であり、シリコーン化合物は約5〜約60重量%であり、ナノ粒子は約1〜約10重量%であり、溶媒は0〜約90重量%(好ましくは、約40〜約90重量%)である。
【0060】
いくつかの実施形態では、(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子の、ビニルモノマー及びメルカプト官能性シリコーンに対する重量比は、約10:90以下(好ましくは約5:95以下、より好ましくは約2:98)である。いくつかの実施形態では、メルカプト官能性シリコーンのビニルモノマーに対する重量比は、約10:90〜約30:70である。
【0061】
光分解を実施して反応開始剤を分解する場合、反応体及び使用される任意の溶媒をエネルギー源透過性容器に充填し、その中でエネルギー源にさらす。エネルギー源が紫外線放射である場合、好適な紫外線透過性容器が利用される。熱分解を用いて反応開始剤を分解する場合、反応体及び使用される任意の溶媒を好適なガラス又は金属反応器に充填し、その中で熱エネルギーにさらす。典型的には、反応は、約室温〜約120℃(好ましくは、約50℃〜約70℃)の温度で行われる。触媒を用いて反応開始剤を分解する場合、ガラス又は金属反応器を利用してもよい。
【0062】
反応は、好ましくは、攪拌しながら容器内で実施されて、反応体をエネルギー源に均一に曝露することを可能にする。大部分の反応はバッチプロセスを使用して実施されるが、連続重合操作で同じ技術を利用することが可能である。
【0063】
用いられる溶媒の量及び種類、用いられる反応開始剤の量及び種類、供給される温度又は光分解エネルギー、及びモノマーの性質に応じて、約10〜約40時間の反応時間が典型的である。
【0064】
本発明のコポリマーは、必要なとき又は望ましいとき、物理的特性を最適化するために、適合性変性剤とブレンドしてもよい。このような変性剤の使用は、当該技術分野において一般的である。例えば、顔料、充填剤、安定剤、又は種々のポリマー添加剤のような材料を含むことが望ましい場合もある。
【0065】
本発明のコポリマーは、重合後、メタノール、ヘキサン等のような好適な有機溶媒に沈殿させる等の標準的な手順により回収することができる。また、必要に応じて、標準的な抽出技術を用いることもできる。
【0066】
使用
驚くべきことに、ビニルモノマー、メルカプト官能性シリコーン、及び(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子の重合では、ゲル化が生じない。ゲルは、ポリマー鎖の架橋により無限網状構造として形成される単一の巨大分子であり、よってその分解温度未満では全ての溶媒に対して不溶性である(例えば、Principles of Polymerization、第3版、Wiley & Sons、p.108、(1991年)を参照)。
【0067】
本発明のコポリマーは、それ故、コーティング可能な組成物で利用できる。本明細書で使用するとき、用語「コーティング可能」又は「コーティング可能な組成物」は、組成物が溶媒又は水に可溶性又は分散性であり、実質的にゲルを含まず、標準的なコーティング方法を用いて基材に適用できることを意味する。要望であるなら、コーティング可能な組成物は、基材をコーティングする前に、液体(例えば、水及び/又は有機溶媒)で希釈してもよく、又はそれらに分散させ得る。好ましくは、コーティング組成物は、コーティング組成物の重量を基準として、約2〜約20パーセントの固形分(より好ましくは、約5〜約10%)を含有する。
【0068】
コーティング可能な組成物は、例えば、噴霧、パディング、浸漬、ロールコーティング、はけ塗り、又は染着のような標準的な方法により基材(又は基材を含む物品)に適用できる。次いで、組成物を乾燥させて、残りの水又は溶媒を全て除去することができる。
【0069】
コーティング可能な組成物は、剥離剤コーティングとして有用であり、接着剤から剥離特性を必要とする表面に適用できる。本発明の剥離剤組成物を調製する1つの方法は、高純度のコポリマーを提供することであり、これは重合溶媒から直接コーティングされ得る。反応体コーティングは、硬化又は架橋を必要としない。しかしながら、特定の用途にとって溶媒耐性が望ましい場合、放射線硬化(電子ビーム又は紫外線)又は化学的架橋のような、当該技術分野において周知である標準的な方法により、架橋がもたらされる場合がある。
【0070】
本発明の剥離剤コーティングは、固体基材用コーティングとしての使用に最も適しており、固体基材はシート、線維、又は成形物品であってもよい。しかしながら、好ましい基材は、感圧接着剤製品に使用される可撓性基材である。好適な基材としては、紙、金属シート及び箔、不織布、及びポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等のような熱可塑性樹脂のフィルムが挙げられるが、接着剤に対する剥離剤を必要とする任意の表面を用いることができる。当該技術分野において既知である下塗り剤を利用して、基材へのコーティングの接着を補助してもよいが、一般的には必要ない。
【0071】
剥離剤コーティング組成物は、従来のコーティング技術を用いて好適な基材に適用することができる。反応体コーティングは、天然ゴム系、アクリル系、及び他の合成フィルム形成エラストマー系接着剤のような広範な従来の感圧性接着剤に有効な剥離剤を提供する。
【0072】
剥離剤コーティング組成物は、高温多湿条件下でさえ、安定な引き剥がし力を提供する。例えば、剥離剤コーティング組成物は、約1.4未満の引き剥がし力ビルド比(peelforce build ratio)を有する。本明細書で使用するとき、「引き剥がし力ビルド比」は、65℃で2週間エージングした後の引き剥がし力の、初期引き剥がし力に対する比である。
【0073】
剥離剤コーティング組成物は、剥離ライナ、及びコーティングされたシート材料(例えば、第1の主表面の少なくとも一部を被覆する剥離剤コーティングと、第2の主表面の少なくとも一部を被覆する接着剤を有する可撓性シート)において特に有用である。有利なことに、コーティングされたシート材料上の本発明の剥離剤コーティングは、水性及び油性インク(例えば、インクペン又はマーカー)を受け入れることができる。
【実施例】
【0074】
本発明の目的及び利点は、以下の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。
【0075】
【表1】

【0076】
比較例−KF−2001/NVP/MA/AA、33.7/37.5/24.8/4
細口クオートジャーに、40.44gのKF−2001(メルカプト官能性シリコーン)、45gのNVP(N−ビニルピロリドン)、29.76gのMA(メチルアクリレート)、4.80gのAA(アクリル酸)、180gのMEK、及び0.3602gのVAZO−64(アゾビスイソブチロニトリル)を充填した。得られた均質な混合物を5分間Nでパージした。瓶を密封し、55℃の熱水浴中で24時間混転させた。水性に反転させるために、15gの上記溶媒性物(solventborne)(MEK中39%固形分)を8ozの開口ジャーに充填し、続いて52gの脱イオン(DI)HO及び0.25gの水酸化アンモニウムを充填した。得られた均質な分散液を50℃にてロータリーエバポレータ(Rotovap)上でバキュームストリップして、MEKを除去した。本質的に全てのMEKを除去した後、10.3%固形分の水性材料を得た。
【0077】
メタクリル改質(A−174改質)5nmシリカ粒子の合成
Nalco 2326シリカゾル(400g)、イソオクチルシラン(5.4g)、A−174シラン(32.6g)、エタノール/メタノールの80/20混合物(320g)、及びProStab(商標)5198(0.016g)を、攪拌棒、真空ポンプ、冷水コンデンサ、及び熱油浴を備える1Lの3つ口丸底フラスコに充填した。熱油浴にはTherm−o−Watch(TOW)コントローラを用いた。分散液を80℃にTOWを設定して、4時間還流させた。次いで、分散液を、真空蒸留を介して、水及びアルコールからMEKへ溶媒交換した。得られた表面改質ナノシリカ分散液の固形分はMEK中およそ35%であった。
【0078】
メタクリル改質(A−174改質)8nmシリカ粒子の合成
Nalco 1130シリカゾル(400g)、イソオクチルシラン(6.0g)、A−174シラン(36.7g)、エタノール/メタノールの80/20混合物(320g)、及びProStab(商標)5198(0.016g)を、攪拌棒、真空ポンプ、冷水コンデンサ、及び熱油浴を備える1Lの3つ口丸底フラスコに充填した。熱油浴にはTherm−o−Watch(TOW)コントローラを用いた。分散液を80℃にTOWを設定して、4時間還流させた。次いで、分散液を、真空蒸留を介して、水及びアルコールからMEKへ溶媒交換した。得られた表面改質ナノシリカ分散液の固形分はMEK中およそ32.2%であった。
【0079】
実施例1.KF−2001/NVP/MA/AA/A−174改質5nmシリカ、33.7/35.5/24.8/4/2の合成
細口クオートジャーに、40.44gのKF−2001(メルカプト官能性シリコーン)、42.60gのNVP(N−ビニルピロリドン)、29.76gのMA(メチルアクリレート)、4.80gのAA(アクリル酸)、6.86gのA−174改質5nmシリカ(MEK中35%固形分)、175.54gのMEK、及び0.3602gのVAZO−64(アゾビスイソブチロニトリル)を充填した。得られた均質な混合物を5分間Nでパージした。瓶を密封し、55℃の熱水浴中で24時間混転させた。水性に反転させるために、15gの上記溶媒性物(solventborne)(MEK中38.44%固形分)を8ozの開口ジャーに充填し、続いて52gのDI HO及び0.22gの水酸化アンモニウムを充填した。得られた均質な分散液を50℃にてRotovap上でバキュームストリップして、MEKを除去した。本質的に全てのMEKを除去した後、10.3%固形分の水性材料を得た。
【0080】
実施例2.KF−2001/NVP/MA/AA/A−174改質5nmシリカ、33.7/32.5/24.8/4/5の合成
40.44gのKF−2001、39gのNVP、29.76gのMA、4.8gのAA、17.14gのA−174 5nm改質シリカ(MEK中35%固形分)、168.86gのMEK、及び0.3605gのVAZO−64を充填したことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。水性に反転させるために、15gの上記溶媒性物(solventborne)(MEK中38.25%固形分)を8ozの開口ジャーに充填し、続いて51.6gのDI HO及び0.22gの水酸化アンモニウムを充填した。得られた均質な分散液を50℃にてRotovap上でバキュームストリップして、MEKを除去した。本質的に全てのMEKを除去した後、10.4%固形分の水性材料を得た。
【0081】
実施例3.KF−2001/NVP/MA/AA/8nm A−174改質シリカ、33.7/32.5/19.8/4/10の合成
40.44gのKF−2001、39gのNVP、23.76gのMA、4.80gのAA、37.27gのA−174改質8nmシリカ(MEK中32.2%固形分)、154.73gのMEK、及び0.3600gのVAZO−64を充填したことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。水性に反転させるために、66.3gの上記溶媒性物(solventborne)(MEK中35.9%固形分)を1Lのフラスコに充填し、続いて214.6gのDI HO及び0.89gの水酸化アンモニウムを充填した。得られた均質な分散液を50℃にてRotovap上でバキュームストリップして、MEKを除去した。本質的に全てのMEKを除去した後、10.3%固形分の水性材料を得た。
【0082】
実施例4.KF−2001/NVP/MA/AA/8nm A−174改質シリカ、33.7/27.5/24.8/4/10の合成
40.44gのKF−2001、33gのNVP、29.76gのMA、4.80gのAA、37.27gのA−174改質8nmシリカ(MEK中32.2%固形分)、154.73gのMEK、及び0.3603gのVAZO−64を充填したことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。水性に反転させるために、65.3gの上記溶媒性物(solventborne)(MEK中36.3%固形分)を1Lのフラスコに充填し、続いて213.3gのDI HO及び0.89gの水酸化アンモニウムを充填した。得られた均質な分散液を50℃にてRotovap上でバキュームストリップして、MEKを除去した。本質的に全てのMEKを除去した後、10%固形分の水性材料を得た。
【0083】
実施例5.KF−2001/MMA/MA/AA/A−174改質5nmシリカ、30/40/20/5/5の合成
36gのKF−2001、48gのMMA、24gのMA、6gのAA、17.14gのA−174改質5nmシリカ(MEK中35%固形分)、168.86gのMEK、及び0.3603gのVAZO−64を充填したことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。最終固形分はMEK中39.4%であった。
【0084】
実施例6.KF−2001/IBMA/A−174改質5nmシリカ、60/35/5の合成
72gのKF−2001、42gのIBMA(イソブチルメタクリレート)、17.14gのA−174改質シリカ(MEK中35%固形分)、168.86gのMEK、及び0.3604gのVAZO−64を充填したことを除いて、実施例1の手順を繰り返した。最終固形分はMEK中38.9%であった。
【0085】
低接着力バックサイズ(LAB)として試験するための実施例1〜4のコーティング
実施例1〜4及び比較例に記載した上記水性LABを、DI HOで10%固形分に希釈した。LABを、15m/分(50ft/分)でBoise黄色紙(Boise Cascade, LLC)上にグラビアコーターを用いてコーティングし、8に設定したウェブ張力で150℃にて数個の熱缶により乾燥させた。紙の裏側を、0.7%のKelzan S溶液(Kelzan Co.)で湿らせた。Post−it(商標)Super Sticky(商標)メモ(3M Company)に対してコーティングを積層させ、30秒間20.7MPa(3000psi)で加圧した。各LABのシート除去力(すなわち、引き剥がし力)を、最初及び65℃で2週間エージングした後に、ASTM D3330に従って測定した。結果を以下の表に列挙する。本発明の剥離剤コーティングから接着剤でコーティングされたシートを除去し又は引き剥がし、次いで下塗りしたポリエステフィルム(Mitsubishi Co.から入手可能)上にシートを積層させることにより、最初及びエージング後に、ASTM D3330に従って接着力を測定した。接着力結果もまた、以下の表に列挙する。
【0086】
【表2】

【0087】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の反応生成物を含むコポリマーであって、
(a)シリカナノ粒子、ジルコニアナノ粒子、チタニアナノ粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子と、
(b)ビニルモノマーと、
(c)以下の式により表されるメルカプト官能性シリコーンと、
【化1】

(式中、
p=1〜約1000
m=1〜約40)
R3は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキル、アリール、アルカリル、アルコキシ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、及びフルオロアルキルからなる群から選択される一価部分であり、
(d)R4は、同じであっても異なってもよく、独立してアルキレン、アルカリーレン、及びアルコキシアルキレンからなる群から選択される二価結合基である、反応生成物を含むコポリマー。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子がシリカナノ粒子である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子が、シリカナノ粒子と3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物である、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート官能化ナノ粒子が、以下の式により表される、請求項2に記載のコポリマー:
【化2】

(式中、
【化3】

はシリカナノ粒子を表す)。
【請求項5】
前記ナノ粒子が、約5nm〜約100nmの平均粒径を有する、請求項2に記載のコポリマー。
【請求項6】
前記ナノ粒子が、約5nm、約8nm、又は約20nmの平均粒径を有する、請求項5に記載のコポリマー。
【請求項7】
p=約50〜約200である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項8】
m=約2〜約8である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項9】
R3が同じであっても異なってもよいアルキルである、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項10】
R3がメチル基である、請求項9に記載のコポリマー。
【請求項11】
R4がアルキレンである、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項12】
R4がプロピレン基である、請求項11に記載のコポリマー。
【請求項13】
R3がメチル基であり、R4がプロピレン基であり、p=96であり、m=4である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項14】
前記ビニルモノマーが、(メタ)アクリレート、スチレン、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項15】
前記ビニルモノマーが、メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、スチレン、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載のコポリマー。
【請求項16】
前記コポリマーの前記ビニルポリマーセグメントが約500〜約100,000の平均分子量を有する、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項17】
前記コポリマーの前記ビニルポリマーセグメントが約4000〜約8000の平均分子量を有する、請求項16に記載のコポリマー。
【請求項18】
(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子の、ビニルモノマー及びメルカプト官能性シリコーンに対する重量比が約10:90以下である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項19】
(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子の、ビニルモノマー及びメルカプト官能性シリコーンに対する重量比が約5:95以下である、請求項18に記載のコポリマー。
【請求項20】
(メタ)アクリレート官能化シリカナノ粒子の、ビニルモノマー及びメルカプト官能性シリコーンに対する重量比が約2:98である、請求項19に記載のコポリマー。
【請求項21】
メルカプト官能性シリコーンのビニルモノマーに対する重量比が約10:90〜約30:70である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項22】
組成物がコーティング可能である、請求項1に記載のコポリマーを含む組成物。
【請求項23】
前記組成物が剥離剤コーティングである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項22に記載の組成物でコーティングされた1つ以上の表面を有する基材を備える物品。
【請求項25】
前記基材が、紙、金属シート、金属箔、不織布、又は熱可塑性樹脂のフィルムを含む、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
前記基材が紙シートである、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記物品が剥離ライナである、請求項24に記載の物品。
【請求項28】
第1の主表面の少なくとも一部を被覆する請求項23に記載の剥離剤コーティングと、第2の主表面の少なくとも一部を被覆する接着剤と、を有する可撓性シートを含む、コーティングされたシート材料。
【請求項29】
前記ビルド比が約1.4未満である、請求項28に記載のコーティングされたシート材料。
【請求項30】
前記ビルド比が約1.1〜約1.3である、請求項29に記載のコーティングされたシート材料。

【公表番号】特表2011−508058(P2011−508058A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540778(P2010−540778)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/086951
【国際公開番号】WO2009/085740
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】