説明

ナノ精密焼結システム

【課題】ナノサイズの原料粉末をパルス通電加圧焼結法により焼結して純度の高いナノサイズの粒子構造を有する焼結体を得る。
【解決手段】少なくとも一つのグローブを有する少なくとも一つの密閉式ハウジング21によって画定されていて所定の雰囲気に制御され得る少なくとも一つの前工程チャンバ20と、少なくとも一つのグローブを有する密閉式ハウジング31によって画定されていて所定の雰囲気に制御され得る焼結工程チャンバ30と、前記前工程チャンバと前記焼結工程チャンバとを連通する通路に設けられていて前記両チャンバ間の連通を選択的にかつ気密状態で阻止可能な遮断装置26と、真空雰囲気下での前記焼結を可能にする真空チャンバを有するパルス通電加圧焼結機と、を備え、前記真空チャンバが前記焼結工程チャンバ内にその焼結工程チャンバから隔絶可能に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノサイズの粒子及び/又は結晶構造を有する焼結体を製造するナノ精密焼結システムに関し、より詳しくは、パルス通電加圧焼結法を利用して、ナノサイズの出発原料粉末を、粒成長を抑制して焼結し、ナノサイズの粒子及び/又は結晶構造を有する焼結体を製造するナノ精密焼結システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノ構造材料についての研究が様々な分野で行われ、粉末焼結の分野においても、ナノサイズの出発原料粉末を使用して焼結体(例えば、金属系或いはセラミック系のナノフェーズ材料、ナノコンポジット材料等)をつくる技術が研究、開発されている。従来のいわゆる単なる加熱と加圧を行う焼結法では焼結に時間がかかり、せっかくナノサイズの出発原料粉末を使用して焼結しても、焼結の過程において粒成長が起こり、でき上がった焼結体の結晶粒径をみると出発原料のナノサイズより大きく成長しているのが実情である。このため、微細組織構造を制御する焼結技術或いは粒成長を制御する焼結技術が必要であり、焼結を短時間で行うことが必要不可欠である。
【0003】
本発明者等は、放電プラズマ焼結或いはプラズマ活性化焼結のようないわゆるパルス通電加圧焼結法及びその焼結法を実行し得る焼結装置及びシステムの開発に長年たずさわっており、ナノサイズの原料粉末(ここで、ナノサイズの原料粉末とは、粉末のサイズ自体がナノオーダーを有する粉末及び粉末のサイズはミクロンオーダーであってもその結晶構造がナノオーダーのサイズを有する粉末を言う)を使用した焼結にパルス通電加圧焼結法が極めて有効であることがわかった。しかし、不純物を含まないナノサイズの粉末材料を焼結して純度の高い、しかもナノサイズの結晶粒径構造を有する超精密かつ高機能を有する焼結体をつくるには、従来知られているパルス通電加圧焼結装置を使用して粒成長を抑制しただけでは不可能なことがわかった。これは、ナノサイズの粉末が、通常のミクロンオーダーの粉末に比べて比表面積が大きくかつ粒子表面の活性度が高く、大気に触れることで容易に酸化被膜を形成してしまうことが知られており、このため材料の合成過程でこの酸化物が粒界に析出することにより或いは内部に分散することにより所望の特性が得られないという欠点があるためである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−345208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ナノサイズの出発原料粉末を焼結してナノサイズの結晶粒径構造を有する精密かつ高機能を有する焼結体をつくるナノ精密焼結システムを提供することである。
本発明の他の目的は、ナノサイズの出発原料粉末の大気による酸化、塵、埃或いは吸着水分による汚染を防止し、純粋の出発原料粉末の状態でパルス通電加圧焼結法により焼結するナノ精密焼結システムを提供することである。
本発明の別の目的は、焼結雰囲気をほぼ真空状態にできる真空チャンバを所望の雰囲気制御可能なグローブボックス内に収納し、原料粉末を大気による酸化、塵、埃或いは吸着水分による汚染を防止した状態で焼結型内へ充填し、真空状態で焼結可能にし、それによって精密なナノ焼結体をつくるナノ精密焼結システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の本発明によれば、ナノサイズの原料粉末をパルス通電加圧焼結法により焼結して純度の高いナノサイズの粒子構造を有する焼結体を得るナノ精密焼結システムにいおいて、
少なくとも一つの密閉式ハウジングによって画定されていて所定の雰囲気に制御され得る少なくとも一つの前工程チャンバと、
密閉式ハウジングによって画定されていて所定の雰囲気に制御され得る焼結工程チャンバと、
前記前工程チャンバと前記焼結工程チャンバとを連通する通路に設けられていて前記両チャンバ間の連通を選択的にかつ気密状態で阻止可能な遮断装置と、
真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気下での前記焼結を可能にする真空チャンバを有するパルス通電加圧焼結機と、
を備え、
前記真空チャンバが前記焼結工程チャンバ内にその焼結工程チャンバから隔離可能に配置され、
前記前工程チャンバ内で、原料粉末の秤量、原料粉末の焼結型内への充填、焼結型内への上パンチの挿入、焼結型内の原料粉末の加圧を実行可能であり、
前記原料粉末が充填された焼結型の焼結機への設置を、前記焼結工程チャンバ内の所定の雰囲気下で外気に触れることなく行えることを特徴とするナノ精密焼結システムが提供される。
上記本発明によれば、出発原料粉末の調製時の表面性状が維持されて酸化、汚染がなく、純度の高いナノ結晶粒径構造の焼結体をつくることができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバに隣接して原料装入チャンバが外気に対して密閉可能にかつ前記前工程チャンバと選択的にかつ気密状態を保持して隔離可能に配置され、前記原料装入チャンバ内が所定の雰囲気に制御可能になっているナノ精密焼結システムが提供される。
この発明によれば、原料を装入するチャンバを設けてそのチャンバ内も雰囲気制御できるので更に純度の高い焼結体を得ることができる。
請求項3の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、前記真空チャンバが第1の真空排気装置に接続され、前記前工程チャンバ及び前記焼結工程チャンバの少なくとも一方が前記第1の真空排気装置とは別個の第2の真空排気装置に接続されているナノ精密焼結システムが提供される。また、請求項4の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、前記真空チャンバが第1の真空排気装置に接続され、原料装入チャンバ及び前記焼結工程チャンバが前記第1の真空排気装置とは別個の第2の真空排気装置に接続されているナノ精密焼結システムが提供される。
この発明によれば、前工程チャンバ或いは焼結工程チャンバ内への不活性ガスの充填及びその中の酸素濃度の制御を速やかに行うことができる。
請求項5の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ内に、原料粉末を混合、粉砕するミルと、前記ミルにより調製された原料粉末を秤量する秤量計と、焼結型内に充填された前記原料粉末を加圧するプレス装置とを配置したナノ精密焼結システムが提供される。
この発明によれば、原料粉末を外気に一切触れさせることなく焼結処理ができ、また原料粉末を加圧して充填密度を上げるので焼結体を所望の緻密度、厚さに制御できる。
請求項6に記載の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ内には、原料粉末が充填された焼結型を前記通路を通して外気に触れることなく焼結工程チャンバ内に送る搬送装置が設けられているナノ精密焼結システムが提供される。
請求項7の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ、原料装入チャンバ及び焼結工程チャンバが、それらのチャンバに不活性ガスを供給可能で不活性ガスの酸素濃度を所定の値まで低下できるガス循環精製装置に接続されているナノ精密焼結システム提供される。
この発明によれば、不活性ガスを循環させて再利用可能であるので、不活性ガスを大気中に使い捨てしないで済み、資源の節約及び環境の保護を行うことができる。
請求項8の発明によれば、上記のナノ精密焼結システムにおいて、グローブ組立体を備え、前記グローブ組立体が前記前記ハウジングの側壁に気密状態で固定された取付け部材と、前記取付け部材に取り外し可能に取りつけられ、前記取付け部材と協働して前記グローブの口部を挟んで保持する押さえ部材と、前記押さえ部材に取り外し可能に装着可能な蓋とを備えるナノ精密焼結システムが提供される。
請求項9に記載の発明によれば、前記ナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバを画定する密閉式ハウジングが少なくとも一対のグローブを備え、前記焼結工程チャンバを画定する密閉式ハウジングが少なくとも一対のグローブを備え、前記前工程チャンバ内での原料粉末の秤量、原料粉末の焼結型内への充填、焼結型内への上パンチの挿入、焼結型内の原料粉末の加圧を前記グローブを介して人手により実行可能であり、前記原料粉末が充填された焼結型の焼結機への設置を前記焼結工程チャンバのグローブを介して人手により行えるナノ精密焼結システムが提供される。
請求項10に記載の発明によれば、前記ナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ内には、前記原料粉末を収容するホッパ、前記ホッパ内の原料粉末の計量、切り出しを行い供給する供給装置、前記供給装置により供給された所定量の原料粉末を焼結型内に充填する充填装置、前記前工程チャンバ内に送られた密閉容器を開封してその中の原料粉末を前記ホッパ内に装入する手段、並びに前記装置及び手段の動作を自動制御する自動制御装置を備えるナノ精密焼結システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明によるナノ精密(又はナノ超精密)焼結システムの一実施形態について説明する。
本実施形態によるナノ精密(ナノ超精密)焼結システムは、粉末の調製後又は粉末の入った密閉容器の開封後の粉末の酸化、或いは不純物の混入などにより原料粉末の品質劣化し、更には粉末の充填時或いは焼結機への設置過程での劣化を防止することで製品の純度を保持するため、いわゆるグローブボックス式の雰囲気制御可能なチャンバ内で、原料粉末の混合、粉砕、調製された原料粉末の保管、原料粉末の秤量、原料粉末の型内への充填、及び原料粉末が充填された焼結型の焼結機への設置、並びに真空雰囲気でのパルス通電加圧焼結を行い得るようになっている。
図1において、本発明によるナノ精密焼結システムの一実施形態の全体が平面で示されている。この実施形態のナノ精密焼結システム1は、原料粉末の混合、粉砕から焼結型への調製済み原料粉末の充填までの前工程を行う前工程チャンバ20を画定する密閉式の第1のハウジング21と、パルス通電加圧焼結機の真空チャンバを収容する焼結工程チャンバ30を画定する、密閉式の第2のハウジング31とを備え、それらは図示のように配置されている。第1及び第2のハウジングはそれらによって画定されるチャンバを外部から遮断してその中での作業を外部から行うためのグローブが設けられたいわゆるグローブボックスの形式になっている。
【0009】
図1及び図2において、密閉式の第1のハウジング21は、前述のように、それによって画定される前工程チャンバ20を外部から完全に遮断できしかも前工程チャンバ内をある程度の負圧状態(例えば10Pa)にしても破損しないような外壁(例えばフレームで補強して)によって形成されている。第1のハウジング21の一方(第2のハウジングとは反対の側で図では左側)の側壁211には、原料装入チャンバ220を画定する密閉式の装入ハウジング22が固定されている。装入ハウジング22と側壁211との間には、図示しないが、公知の構造のゲート弁が設けられている。このゲート弁は、閉じ位置にあるとき、前工程チャンバ20と装填チャンバ220との連通を気密状態で阻止し、開き位置にあるとき、それらの連通を可能にできる気密式の遮断装置を構成している。この装入ハウジング22も原料装入チャンバ220内がある程度の負圧状態(例えば10Pa)にされても破損しないような構造、例えば円筒形の構造になっている。装入ハウジング22の、第1のハウジングと反対側の端部には公知の方法で手動で開閉可能でかつ原料装入チャンバ220の開口部を気密状態で閉鎖できるカバー222が設けられている。なお、図示しないが、原料装入チャンバ220の床面は平坦になっている。第1のハウジング21は基台23の上に乗っている。
【0010】
密閉式の第1のハウジング21の前側の側壁212には二つの比較的大きな窓213が設けられている。この窓213は、ハウジング21の外側からハウジング内が見えるように窓ガラス213aが装着されている。この窓は、前工程チャンバ内が負圧になっても窓ガラス213aが破損しないように、公知の方法で補強されかつ窓周辺の気密を保持するようにシールされている。前壁212には、更に、各窓の下側にそれぞれ対のグローブ組立体24が取りつけられている。
各グローブ組立体24は、図4に示されるように、ハウジング21の前壁212の装着穴215に固定された環状の取付け部材241と、その取付け具241に複数(図4[A]では1個のみ図示)の止めねじ243によって固定されるようになっている環状の押さえ部材242と、取付け部材241と押さえ部材242とによって口部が固定されているグローブ244とを備えている。取付け部材241の外側面には外側(図4で右側)に突出する環状の突起241aが形成され、押さえ部材242の対応する面にはその突起を受ける環状の溝242aが形成され、グローブ244の口部をその突起に折り曲げて嵌めて押さえ部材242で固定するようになっている。このようにすることにより、グローブ取付け部を介しての空気漏れを防止できる。グローブ244はもちろんゴム等の気密性の材料でつくられている。環状の押さえ部材242には略円板状の蓋245が取り外し可能に装着されている。この蓋245は一般的に知られているグローブボックスの蓋と異なり、押さえ部材242から、したがってハウジングから、以下で説明するように完全に取り外せるようになっている。すなわち、押さえ部材242には円筒状の内周面242bが形成され、外側面(図4[A]で右側)には半径方向内側に突出しかつ複数(本実施形態では4個で図4[B]では2個のみ示す)の切欠き部242dを形成するようにして円周方向に伸びる凸部242cが形成されている。蓋245には押さえ部材242の円筒状の内周面242bと係合する円筒状の外周面245aと、半径方向に突出しかつ円周方向に隔てられた複数(本実施形態では4個)の凸部245bが形成されせれている。凸部245bの形状は切欠き部242d内に入る形状であり、その凸部245bを切欠き部242dに合わせて蓋を押さえ部材242に嵌め、凸部245bを押さえ部材242の環状の溝242e内に入れ、蓋245を取っ手245cを把持して回転させて押さえ部材に固定するようになっている。なお、242fはグローブ244の外側と蓋245との間(グローブ内の空間)の空気を排出するために使用する空気通路で、図示しない導管を介して前工程チャンバに接続され、前工程チャンバ内とグローブ内の空間との圧力のバランスを取るようにしてある。また242g、241b、241c、241dはシールである。
【0011】
第1のハウジング21と第2のハウジング31とは、連通管25の一端(図2で左端)がハウジング21の側壁215に固定させかつ反対端がハウジング31の側壁311に固定されて、連通管を介して接続されている。この連通管25も、それによって画定される連絡通路250内がある程度の負圧状態(例えば10Pa)にされても破損しないような強度を有する構造、例えば円筒形の構造になっている。連通管25の途中には公知の構造の気密式遮断装置としてのゲート弁26が設けられている。このゲート弁26は、閉じ位置にあるとき、第1のハウジングにより画定される前工程チャンバ20と第2のハウジング31によって画定される焼結工程チャンバ30との連通を気密状態で阻止し、開き位置にあるときそれらの連通を可能にできるようになっている。第1のハウジング21内には、図3に示されるように、連通管25との接続部に隣接して搬送装置27が配置されている。この搬送装置は、連通管25の中心に整合させて互いに平行に隔てて配置された一対のガイドレール271と、そのガイドレールにより移動可能に案内された可動テーブル272とを備えている。可動テーブルは、ゲート弁26が閉じられるときはその先端がゲート弁より前工程チャンバ20側にあり、ゲート弁が開いているときはゲート弁を通って焼結工程チャンバ30内に前進できるようになっている。可動テーブルは、本実施形態では手で押して動かすようになっているが、流体圧シリンダ、電動モータ等のアクチュエータで動作させるようにしてもよい。
【0012】
第1のハウジング21によって画定される前工程チャンバ20内には、少なくとも1種類の原料(粒状又は粉末状の原料)をナノオーダーの所望の粒径の原料粉末に混合、粉砕等して調製する公知の構造のボールミル41と、調製した原料粉末を保存しておく公知の構造のデシケーター42と、必要量の原料粉末を秤量する電子秤量計43と、焼結型内に所定量の原料粉末を入れた後その粉末を圧粉体にするてめに加圧し、或いは後述する焼結機により焼結されてできた焼結体を焼結型から離型するための、公知の構造のハンドプレス44とが図3に示される位置関係で配置されている。なおこの配置は適宜変更可能であり、また、前工程チャンバ内には、例えばグラファイト製の焼結型、焼結型の上、下に嵌められて原料粉末を加圧する、グラファイト製のプレスコア等を保管する場所を設けてもよい。
【0013】
焼結工程チャンバ30を画定する第2の密閉式のハウジング31は、図5に詳細に示されるように、放電プラズマ焼結或いはプラズマ活性化焼結等のパルス通電加圧焼結を行うパルス通電加圧焼結機(以下単に焼結機)50と組み合わせて設けられている。
この実施形態の焼結機50は、台511、その台511に直立状態で互いに隔てて固定された複数(この実施形態では4本)の支柱512及び支柱512の上端に固定された上支持板513を有する本体フレーム51と、支柱512に上下移動可能に支持された下ハウジング組立体52と、支柱512に上下移動可能に支持された上ハウジング組立体53と、下ハウジング組立体52に取り付けられた下通電電極組立体54と、上支持板513に取り付けられている上通電電極組立体55と、台511の中央に取り付けられていて下可動ハウジング組立体を上下動させる駆動装置56とを備えている。下ハウジング組立体52は、軸受けを介して支柱512に滑動可能に案内支持された円板状(この実施形態で)の下可動体521と、下可動体521に取り付けられた下ハウジング523とを有している。ハウジング523は底壁を形成していて下可動体521に取り付ける底板524と、底板524に溶接等により接続された、環状(この実施形態では円環状)の側壁を構成する環状体525と、環状板の上端に固定されたリング部材526とを有している。上ハウジング組立体53は、軸受けを介して支柱512に滑動可能に案内支持されたリング状の上可動体531と、上可動体531に取り付けられた上ハウジング533とを備えている。上ハウジングは、上壁を構成する天板534と、環状(この実施例では円環状)の側壁を構成する環状体535とを備え、環状体535の下端縁は溶接等により上可動体に取り付けている。上、下ハウジング533及び523は互いに協同して内側の焼結チャンバすなわち真空焼結チャンバCを画成するようになっている。上、下ハウジングは、環状体535、525をそれぞれ二重に設けることによって二重壁構造(ウオータージャケット状)にされ、中に冷却水を通す構造になっている。この焼結チャンバCは下ハウジングに取りつけられた導管529を介して、後述する装置により、真空雰囲気に制御されるようになっているが、不活性ガス雰囲気等に制御するようにしてもよい。なお、リング部材526の上面及び上可動体531の下面の少なくとも一方にはシールリングが設けられ、それらの面間の気密性を確保するようになっている。上ハウジングの環状体535には非接触温度計59で焼結型の温度を測定するための窓539が形成されている。窓には石英製の窓ガラスが設けられて真空チャンバ内外を耐熱性を保持しかつ気密状態に遮断している。なお、図示しないが上ハウジングの環状体135には外部から焼結チャンバ内を見れるように覗き窓を設けてもよい。また、図示しないが、通電焼結時の焼結型からの発熱からハウジングの内壁を保護するために、チャンバ内部に単層又は複数の層の環状のステンレス鋼薄板を遮熱板として設けてもよい。なお、上下ハウジングの上下動作は遠隔操作により自動的に行うようになっている。
【0014】
下通電電極組立体54は、下可動体521及び下ハウジングの底板524の中央部に形成された上下方向の貫通穴内に、図示しない絶縁部材を介して下可動体521及び底板524に電気的に絶縁させた状態で固定された下通電電極541を備えている。下通電電極541は円柱状の電極本体542を備え、その内部には図示しないが外部の冷却液供給源と接続されていて中に冷却液を流す冷却通路が形成されている。下通電電極541は、導電体543を介して焼結機の電源装置に接続されている。上通電電極組立体55は、上支持板513の中央部に形成された上下方向の貫通穴内に、図示しない絶縁部材を介して上支持板513に電気的に絶縁させた状態で固定された上通電電極551を備えている。上通電電極151は、この実施形態では、上端にフランジ部553を有する円柱状の長い電極本体552を備え、その内部には図示しないが外部の冷却液供給源と接続されていて中に冷却液を流す冷却通路が形成されている。上通電電極551は、図示しないが、フランジ部553を固定ボルトで上支持板513に取り付けることによって、上支持板に固定されている。この場合、公知の絶縁スリーブ及び絶縁ワッシャ等を用いて、固定ボルトの周囲での上通電電極551と上支持板513との間の電気的絶縁を確保してある。上通電電極551は上ハウジング533の天板534を上下に貫通する穴を通して伸び、下端が内側焼結チャンバすなわち真空チャンバC内に配置されるようになっている。天板534には公知の構造の絶縁部材及びシール部材が取り付けられ、上通電電極と天板との電気的絶縁を図ると共にそれらの間の気密を保持している。下通電電極541の軸心と上通電電極551の軸心とは同軸になるように位置決めされている。
【0015】
駆動装置56は、この実施形態では台511に取りつけられた流体圧シリンダ561で構成され、そのピストンロッド562の先端(図で上端)には下通電電極に電気的に絶縁して固定されている。なお、上記実施例では駆動装置として流体圧シリンダを採用したが、これに代えて電動モータで駆動する方式を採用してもよい。上通電電極551のフランジ部553も銅板等の導電体を介して焼結機の電源装置に接続されている。上ハウジング組立体53を上下移動させる機構は、図示しないが、上支持板513に支持された対の流体圧シリンダとし、そのシリンダのピストンロッドを上可動体131に接続して流体圧シリンダにより上下動させてもよい。流体圧シリンダの代わりに電動モータ等を使用しラック及びピニオン或いはねじ軸及びそれに螺合するナット等の機構を介して行ってもよい。
【0016】
焼結工程チャンバ30を画定する第2の密閉式のハウジング31の天板316は、図5に示されるように、焼結機50の上支持板513の下面に気密状態を保持して固定され、その天板316の縁には左、右の側壁311、312、前側の側壁312(図2)及び後側の側壁の上端縁が溶接等によって密封状態で固定されている。左、右側壁311、315、前側の側壁312及び後壁の下端縁には環状の取付け板317が溶接等によって密封状態で固定されている。取付け板317には底板318が公知のシール装置により気密状態を保持して固定されている。底板318には支柱512及び下通電電極541が貫通する穴が形成されており、それらの穴には底板と支柱及び下通電電極との隙間を密閉する公知の構造のシール装置が設けられている。また、下通電電極と底板とは電気的にも絶縁されている。天板316、側壁311、312、315等及び底板318は焼結チャンバCを形成するハウジングを囲んでいて、その周囲に焼結工程チャンバ30を形成している。
【0017】
前側の側壁312には外部から焼結工程チャンバ30内を見ることができる窓313が設けられ、その窓には窓ガラス313aが取り付けられている。この窓ガラスも公知の方法で焼結チャンバ内外の圧力差による破損を防止する構造になっており、窓周辺の気密状態も確保されている。前側の側壁312には、第1のハウジング21に取り付けられているグローブ組立体と同じ構造のグローブ組立体24が複数個(この実施形態では3個)取り付けられ、グローブを介してハウジング31の外側から焼結工程チャンバ内の作業をできるようになっている。
図5に示されるように、右側の側壁315には上下に長くなった窓314が設けられ、その窓にも窓ガラス314aが配置されている。この窓314は真空チャンバ用の窓539と整合され、非接触式温度計(赤外線温度計)59で焼結チャンバC内の温度を測定できるようになっている。この温度計59は、駆動装置を構成する流体圧シリンダのピストンロッド562に部材591により連結された昇降ロッド592に取り付けられ、下通電電極の上下動に合わせて上下動作するようになっている。なお、図示しないが、焼結型の温度を熱電対式の温度計でも直接焼結型内部を1箇所又は複数箇所同時に測定して測定精度を高くしても良い。
【0018】
図1に示されるように第1のハウジング21の後方(図1で上側)にはガス循環精製装置60が設けられている。このガス循環精製装置60は、図6に示されるように、公知の構造のガス循環精製ユニット61と、不活性ガスクーラー62と、ポンプ63と、酸素濃度計64、水分計65等を備えており、同図に示されるような配管系66により第1のハウジング21、装入ハウジング22及び第2のハウジング31に接続されている。このガス循環精製装置は第1のハウジングにより画定される前工程チャンバ20、装入ハウジング22により画定される装入チャンバ220、第2のハウジングにより画定される焼結工程チャンバ内に不活性ガス、例えばアルゴンガスを選択的に送り、それらのチャンバ内の空気を不活性ガスで置換すると共にチャンバ内の不活性ガス中の酸素濃度を1ppm以下にする。このガス循環精製装置60によれば、不活性ガスが使い捨てで大気中に放出することなく再利用されるので、資源の節約及び環境の保護を図ることができる。
【0019】
焼結機50の真空チャンバCは下ハウジングに取り付けられた導管529を介して、図7に示される第1の真空排気装置70に接続されている。第1の真空排気装置は、図7に示されるように、真空ポンプ71、ディフュージョンポンプ72、ゲート弁73、真空弁74、その他の弁75等を備え、それらは図示のように配管系76により接続されている。この第1の真空排気装置は、真空チャンバC内を6×10―3Pa程度までの真空度にできるようになっている。
装入ハウジング22によって画定される原料装入チャンバ220及び第2のハウジングによって画定される焼結工程チャンバ30は、図7に示されるように第2の真空排気装置70aに接続されている。第2の真空排気装置70aは、ロータリポンプ71aと、弁74a、75aとを有し、図示のように配管系76aによって接続されている。この第2の真空排気装置は、原料装入チャンバ220及び焼結工程チャンバ30内を、真空チャンバCよりも低度の真空度、例えば10Paにできるものであればよい。なお、本実施形態では前工程チャンバ20は第2の真空排気装置70aに接続されてないが、接続してもよい。また前工程チャンバを第2の真空排気装置に接続する代わりに、原料装入チャンバ又は焼結工程チャンバと第2の真空排気装置70aとの接続を止めてもよい。
【0020】
次に、上記システムを使用してナノ精密焼結体をつくる方法を説明する。
まず、システムの使用の先だって、焼結で使用する焼結型a及びその焼結型の穴内に挿入される上及び下プレスコア或いはパンチ部材b、c(いずれも図8[A]に図示)を前工程チャンバ20内に装入しておく。また、各グローブ組立体24の蓋245も押さえ部材242に装着しておく。次に、挿入ハウジング22の開口端に設けられたカバー222を手で開いて原料装入チャンバ220内には、焼結に使用しようとする材料、例えば、SiC或いはAlの粒状体又は粉体を容器に入れて装入しておく。原料装入チャンバ220内への原料の装入が完了したのち、カバー222を手動で閉じて原料装入チャンバを気密状態に閉鎖する。
その後、ガス循環精製装置60によって、前工程チャンバ20及び焼結工程チャンバ30内に空気を不活性ガス、例えばアルゴンガスで置換すると共に不活性ガス中の酸素濃度を所望の程度(例えば1ppm以下、好ましくは0.2ないし0.3ppm)にさせる操作を開始する。チャンバ内の空気を不活性ガスで置換する場合、空気で満たされているチャンバ内に不活性ガスを注入しても置換効率が悪いので、置換を行おうとするチャンバ(この実施形態では原料装入チャンバ及び焼結工程チャンバ)内の空気を第2の真空排気装置70aで抜き取って負圧状態にし、直ぐに不活性ガスを注入するが、チャンバ内が負圧になると押さえ部材242に形成された空気通路242fを通してグローブ内も負圧になり圧力のバランスが取られる。排気のとき前工程チャンバ20と焼結工程チャンバ30との間に設けられたゲート弁及び前工程チャンバ20と原料装入チャンバ220との間に設けられたゲート弁は開き位置になって、前工程チャンバ内の空気も排気される。ガス循環精製装置60により原料装入チャンバ、前工程チャンバ及び焼結工程チャンバ内全体を不活性ガスで満し、更に、全チャンバ内に充填された不活性ガス中の酸素濃度を所望の程度(例えば1ppm以下)まで低下させる。
【0021】
不活性ガス中の酸素濃度が所定以下になったことを確認した後、原料装入チャンバ220と前工程チャンバとを仕切っているゲート弁(図示せず)を開き、前工程チャンバからグローブを操作して原料装入チャンバ内の原料を取り入れる。ゲート弁を閉じた後、グローブを介して人手により、ボールミル41を操作して原料粉末の調製、調製した原料粉末のデシケーター42内への保管、焼結に使用する原料粉末の電子秤量計43による秤量、下パンチ部材bが装着された焼結型a内への調製された原料粉末の充填、充填が完了した後の上パンチ部材cの焼結型aへの装着、ハンドプレス44を利用した原料粉末の加圧(両パンチ部材を押してそれらのパンチ部材間にある原料粉末を加圧する)等を、窓213を介して視認しながら行う。加圧が完了した焼結型及びパンチ部材の組合せ体は、搬送装置27の可動テーブル272の上(ゲート弁26に近い端部)に載せる。これで前工程の作業が完了する。
なお、本焼結システムの外で予め調製された粉末材料を使用する場合は、そのような粉末材料が装入された密閉容器(例えば真空パック状或いは不活性ガス混入パック状密閉容器)を原料装入チャンバ22を介して上述のように前工程チャンバ20内に入れ、その中で密閉容器を開封して粉末材料を取り出して使用するようにしてもよい。
【0022】
次にゲート弁26を開き、前工程チャンバ20と焼結工程チャンバ30とを連通させ、搬送装置27の可動テーブル272を通路を通して焼結工程チャンバ30内に移動させる。これに先立って、図8[B]に示されるように、焼結機50の下ハウジ523は下位置にまた上ハウジング533は上位置にあり両者は互いに上下に離されており、グローブを介して焼結チャンバC内に接近できるようになっている。可動テーブル272が最も焼結工程チャンバ30内に押し込まれたとき、原料粉末が充填された焼結型a及びパンチ部材b、cの組合せ体は図8[B]に示されるように下通電電極の541の直ぐ近くまで送りこまれている。このような状態の下で、第2のハウジング31に取り付けられた対のグローブ24を介して可動テーブル上にある焼結型等の組合せ体を手で下通電電極の上面544上にセットする。これで焼結型等の焼結機50へのセットが完了する。
セットが完了した後、可動テーブル272を手で前工程チャンバ20内に戻すと共に、ゲート弁26を閉じ位置にし、焼結工程チャンバ30を前工程チャンバ20から遮断する。その後焼結機の上ハウジン533を降下させて上、下ハウジングを係合させて両ハウジングによって画定される真空チャンバCを焼結工程チャンバから隔絶すると共に駆動装置56を動作させて下通電電極541を上昇させ、下通電電極541の上面と上通電電極551の下面とでパンチ部材を挟む。その後真空チャンバ内を真空排気装置70により真空状態(例えば、6×10−3Pa)にし、駆動装置で原料粉末加圧しながらそれに直流パルス電流(例えば1000Aないし10000A)を流し、焼結を行う。
焼結が完了したら、真空チャンバを解放した後ゲート弁26を開いて搬送装置27の可動テーブルを焼結工程チャンバ内に移動させ、焼結型が冷却するのを待って、グローブを介して手で焼結型等の組合せ体を可動テーブルに移し、可動テーブルにより前工程チャンバ内に移し、そこでハンドプレスを利用して焼結によりできた焼結体を焼結型aから取り外し、焼結体は材料装入チャンバを介して外に出される。
【0023】
上記実施形態のナノ精密焼結システムは、例えば試作品のような単品の焼結体をつくる場合に適しているが、原料装入チャンバ、前工程チャンバ及び焼結工程チャンバ内に、上記手作業によって行った作業を自動的に行える装置を併設及び/又は共用すると共にそれらの装置の動作を自動制御する制御装置設けることにより、試作により決定した焼結体を量産することも可能である。この場合、原料粉末は、システムの外で予め調製されて密封容器内に入れられているものを使用するのが好ましい。
すなわち、原料装入チャンバには、原料粉末の密閉容器を前工程チャンバに送り込める自動搬送装置を設け、前述の搬送装置27の動作を自動化する。また、前工程チャンバ20内には原料粉末を収容するホッパ、ホッパ内の原料粉末を切り出し、計量して供給する供給装置、供給装置により供給される所定量の原料粉末を受け取って焼結型内に充填する充填装置、所定量の原料粉末が充填された焼結型内に上パンチ部材を装入するパンチ部材挿入装置、焼結型内の原料粉末を加圧するプレス装置を更に設けると共に、原料粉末の密閉容器を開封して原料粉末をホッパ内に装入するロボット、焼結型を充填装置、パンチ部材挿入装置及びプレス装置間で転送する転送ロボット等を設け、これらの動作を自動制御装置により自動制御可能にする。更に、焼結工程チャンバ30内には搬送装置27により送られた焼結型及びパンチ部材の組み合わせを焼結機の所定の位置にセットし、また焼結完了後にはそこから焼結型及びパンチ部材の組み合わせを取り出すロボットも設けてその動作も自動制御装置により自動制御可能にする。
更に、上記実施例の説明ではハウジング21、31にグローブ組立体を設けた場合について説明したが、前述の自動化装置のみをハウジング21、31内に設けてグローブ組立体は省略し、焼結作業を完全に自動化してもよい。この場合は試作品としての焼結体の製造は別の設備で行い、量産可能なことが決定した場合に自動化装置により焼結してもよい。
【0024】
以上の説明から明らかなように、焼結原料を外気、特に酸素にふれさせることなくナノオーダーの微細粉末(粉末のサイズ自体がナノオーダーを有する粉末及び粉末のサイズはミクロンオーダーであってもその結晶構造がナノオーダーのサイズを有する粉末)を作り、できた原料粉末を外気、特に酸素及び又は湿気に触れることなく焼結型内へ充填し、原料粉末の充填された焼結型を酸素に触れさせることなく焼結機にセットでき、更に真空雰囲気での焼結を行えるので、酸素による酸化、塵、埃、吸着水分等による汚染を完全に防止して焼結が可能になり、純度及び品質の高い、特に粒子界面での反応性焼結を特徴とするSPS焼結ならではの精密なナノ構造焼結体をつくることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
不純物を含まない極めて純度の高いナノ構造の焼結体を焼結可能であるから、様々な金属系又はセラミック系のナノフェーズ材料、ナノコンポジット材料(電子材料)の研究開発、生産に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のナノ精密焼結システムの一実施形態の概略平面図である。
【図2】図2のナノ精密焼結システムの正面図である。
【図3】前工程チャンバ内を示す平面図である。
【図4】[A]はグローブ組立体の断面図であり、[B]はグローブ組立体の正面図である。
【図5】図2のナノ精密焼結システムの焼結機の詳細を示す断面図である。
【図6】図2のナノ精密焼結システムのガス循環精製装置を示す図である。
【図7】図2のナノ精密焼結システムの真空排気装置を示す図である。
【図8】[A]は焼結型及びパンチ部材を示す斜視図であり、[B]は焼結型が焼結工程チャンバ内に送られた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0027】
1 ナノ精密焼結システム
20 前工程チャンバ 21 ハウジング
22 装入ハウジング 24 グローブ組立体
25 連通管 26 ゲート弁
30 後工程チャンバ 31 ハウジング
50 焼結機
523 下ハウジング 533 上ハウジング
541 下通電電極 551 上通電電極
C 焼結チャンバ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノサイズの原料粉末をパルス通電加圧焼結法により焼結して純度の高いナノサイズの粒子構造を有する焼結体を得るナノ精密焼結システムにいおいて、
少なくとも一つの密閉式ハウジングによって画定されていて所定の雰囲気に制御され得る少なくとも一つの前工程チャンバと、
密閉式ハウジングによって画定されていて所定の雰囲気に制御され得る焼結工程チャンバと、
前記前工程チャンバと前記焼結工程チャンバとを連通する通路に設けられていて前記両チャンバ間の連通を選択的にかつ気密状態で阻止可能な遮断装置と、
真空雰囲気又は不活性ガス雰囲気下での前記焼結を可能にする真空チャンバを有するパルス通電加圧焼結機と、
を備え、
前記真空チャンバが前記焼結工程チャンバ内にその焼結工程チャンバから隔離可能に配置され、
前記前工程チャンバ内で、原料粉末の秤量、原料粉末の焼結型内への充填、焼結型内への上パンチの挿入、焼結型内の原料粉末の加圧を実行可能であり、
前記原料粉末が充填された焼結型の焼結機への設置を、前記焼結工程チャンバ内の所定の雰囲気下で外気に触れることなく行えることを特徴とするナノ精密焼結システム。
【請求項2】
請求項1に記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバに隣接して原料装入チャンバが外気に対して密閉可能にかつ前記前工程チャンバと選択的にかつ気密状態を保持して隔離可能に配置され、前記原料装入チャンバ内が所定の雰囲気に制御可能になっているナノ精密焼結システム。
【請求項3】
請求項1に記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記真空チャンバが第1の真空排気装置に接続され、前記前工程チャンバ及び前記焼結工程チャンバの少なくとも一方が前記第1の真空排気装置とは別個の第2の真空排気装置に接続されているナノ精密焼結システム。
【請求項4】
請求項2に記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記真空チャンバが第1の真空排気装置に接続され、原料装入チャンバ及び前記焼結工程チャンバが前記第1の真空排気装置とは別個の第2の真空排気装置に接続されているナノ精密焼結システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ内に、原料粉末を混合、粉砕するミルと、前記ミルにより調製された原料粉末を秤量する秤量計と、焼結型内に充填された前記原料粉末を加圧するプレス装置とを配置したナノ精密焼結システム。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れかに記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ内には、原料粉末が充填された焼結型を前記通路を通して焼結工程チャンバ内に送る搬送装置が設けられているナノ精密焼結システム。
【請求項7】
請求項1ないし6に記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ、原料装入チャンバ及び焼結工程チャンバが、それらのチャンバに不活性ガスを供給可能で不活性ガス中の酸素濃度を1ppm以下まで低下できるガス循環精製装置に接続されているナノ精密焼結システム。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載のナノ精密焼結システムにおいて、グローブ組立体を備え、前記グローブ組立体が前記前記ハウジングの側壁に気密状態で固定された取付け部材と、前記取付け部材に取り外し可能に取りつけられ、前記取付け部材と協働して前記グローブの口部を挟んで保持する押さえ部材と、前記押さえ部材に取り外し可能に装着可能な蓋とを備えるナノ精密焼結システム。
【請求項9】
請求項1ないし8に記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバを画定する密閉式ハウジングが少なくとも一対のグローブを備え、前記焼結工程チャンバを画定する密閉式ハウジングが少なくとも一対のグローブを備え、前記前工程チャンバ内での原料粉末の秤量、原料粉末の焼結型内への充填、焼結型内への上パンチの挿入、焼結型内の原料粉末の加圧を前記グローブを介して人手により実行可能であり、前記原料粉末が充填された焼結型の焼結機への設置を前記焼結工程チャンバのグローブを介して人手により行えるナノ精密焼結システム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のナノ精密焼結システムにおいて、前記前工程チャンバ内には、前記原料粉末を収容するホッパ、前記ホッパ内の原料粉末の計量、切り出しを行い供給する供給装置、前記供給装置により供給された所定量の原料粉末を焼結型内に充填する充填装置、前記前工程チャンバ内に送られた密閉容器を開封してその中の原料粉末を前記ホッパ内に装入する手段、並びに前記装置及び手段の動作を自動制御する自動制御装置を備えるナノ精密焼結システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−131921(P2006−131921A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318835(P2004−318835)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(505301941)SPSシンテックス株式会社 (10)
【Fターム(参考)】