説明

ナースコールシステム

【課題】 車輪を備えた物体を動かしてベッド近傍を通った場合の誤報の発生を防止できる。
【解決手段】 患者のベッド近傍に存在する物体を検出する複数の検出部3を全域に亘って配置したマットセンサー1を設置する。マットセンサー1の縁に配置されている検出部3が荷重を検出した時点から所定時間が経過するまでに、その検出部3に隣接する検出部3が荷重を検出した場合に、荷重がマットセンサー1の縁から線状に検出されるので、マットセンサー1の上を、車輪を備えた物体が通過したと判断されて報知が行われない。また、所定時間が経過するまでに、その検出部3に隣接しない検出部3が荷重を検出した場合または時間の計測が行われていない状態でマットセンサー1の縁以外の場所に配置されている検出部3が荷重を検出した場合に、マットセンサー1の中央部分に点状の荷重が検出されるので、マットセンサー1の上に人が乗ったと判断されて報知が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者からの要求に応じて医療従事者や介護者を呼び出すナースコールシステムに関し、特に、患者や被介護者が徘徊したことを医療従事者や介護者へ知らせるナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、単に病院とする)では、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の部屋(例えば、病室など)内の患者や被介護者(以下、単に患者とする)の近辺(例えば、ベッド近傍など)やトイレなどに設置されたナースコール子機および医療従事者や介護者(以下、単に医療従事者とする)の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール親機によっては、医療従事者が携行している携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)を用いて、無線によってナースコール子機と接続するものも存在する。そして、患者がナースコール子機により呼び出しを行うと、ナースコール親機や携帯通信端末(以下、単にナースコール親機とする)は、自装置に設けられた報知部を動作させて、報知用スピーカーから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。
【0003】
通常、ナースコール子機は、医療従事者を呼び出すための呼出ボタンを備えている。患者が呼出ボタンを操作すると、ナースコール子機は、ナースコール親機や携帯通信端末に対して呼び出しを行うようにしている。
【0004】
ところで、ベッドから降りて病院内を徘徊する患者が存在する。そのため、患者がベッドから降りたことを医療従事者に知らせるためにナースコールシステムを使用する技術が知られている(例えば、特許文献1、2など)。このようなナースコールシステムでは、上述したナースコール子機の代わりに患者がベッドから降りたことを検出するためのセンサーを使用している。特許文献1に記載の徘徊報知器では、患者の居るベッド近傍にシート状センサーを設置し、シート状センサーはシート上の荷重を検出することで、ナースコールシステムへ信号を出力するようにしている。
【0005】
また、特許文献2に記載の行動検出システムでは、複数の検出部がマットセンサー(シート状センサーと同義)の全域に亘って配置されており、物体を検出した検出部を特定するようにしている。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、患者がベッドから降りた場合だけでなく、医療従事者などが医療機器を載せた台車を動かしてベッド近傍を通った場合や、車椅子がベッド近傍を通った場合などでも、マットセンサーがシート上の荷重を検出してしまい報知が行われて、誤報が発生してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−213266号公報
【特許文献2】特開2011−135966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ベッド近傍に設置されたマットセンサーが荷重を検出した場合に、患者がベッドから降りたことを医療従事者に知らせるナースコールシステムにおいて、マットセンサーが車輪を備えた物体の荷重を検出した場合の誤報の発生を防ぐことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムでは、患者が居るベッド近傍に存在する物体の荷重を検出する複数の検出部を全域に配置したマットセンサーを設置する。そして、マットセンサーの縁に配置されている検出部が荷重を検出した時点から計測した時間が所定時間に達するまでに、その検出部に隣接しない検出部が荷重を検出した場合、または、時間の計測が行われていない状態でマットセンサーの縁以外に配置されている検出部が荷重を検出した場合に、報知を行うようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、マットセンサーの縁に配置されている検出部が荷重を検出した時点から計測した時間が所定時間に達するまでに、その検出部に隣接する検出部が荷重を検出した場合には、荷重がマットセンサーの縁から線状に検出されるので、マットセンサーの上を、車輪を備えた物体が通過したと判断されて、報知が行われない。また、マットセンサーの縁に配置されている検出部が荷重を検出した時点から計測した時間が所定時間に達するまでに、その検出部に隣接しない検出部が荷重を検出した場合、または、時間の計測が行われていない状態でマットセンサーの縁以外に配置されている検出部が荷重を検出した場合には、マットセンサーの中央部分に点状の荷重が検出されるので、マットセンサーの上に人が乗ったと判断されて、報知が行われる。従って、マットセンサーが車輪を備えた物体の荷重を検出した場合の誤報の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態によるナースコースシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナースコールシステムのマットセンサーを適用した病室の状態例を示す図である。
【図3】本実施形態によるナースコールシステムのマットセンサーにおける検出部の状態例を示す図(その1)である。
【図4】本実施形態によるナースコールシステムのマットセンサーにおける検出部の状態例を示す図(その2)である。
【図5】本実施形態によるナースコースシステムのナースコール親機の記憶部の記憶内容の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、マットセンサー1、ナースコール親機10を備えて構成されている。
【0013】
図1において、マットセンサー1は、シート状のセンサーにより構成されており、シート上の荷重を検出することでベッド近傍に存在する物体を検出する。ここで、マットセンサー1は、伝送線を介してナースコール親機10に接続されている。また、マットセンサー1は、制御部2、検出部3、インターフェース部(以下、I/F部と記載する)4を備えて構成されている。
【0014】
図2は、本実施形態によるナースコールシステムのマットセンサー1を適用した病室の状態例を示す図である。同図(a)に示すように、ベッドの周囲の三方向には柵が設置されており、ベッドの周囲の柵が設けられていない部分は、人がベッドに乗ったり降りたりし易くなっている。そのため、マットセンサー1は、ベッドの周囲の柵が設けられていない部分の前の床の上にのみ設置されている。
【0015】
ナースコール親機10は、医療従事者の常駐する部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されており、患者がベッドから降りたことを報知するために使用される。また、ナースコール親機10は、患者がベッドから降りたことによる呼び出しに応答するために使用される。また、ナースコール親機10とマットセンサー1との間には、図示しない制御機と図示しない廊下灯とが設置されている。制御機は、マットセンサー1とナースコール親機10との間の通信を制御する。廊下灯は、マットセンサー1が設置されている病室の出入口近傍の廊下側に設置されており、病室の番号や病室を使用している患者の氏名などを表示している。また、廊下灯は、表示灯を備えており、患者がベッドから降りた場合に表示灯を点灯または点滅させて、ベッドから降りた患者が居る病室を医療従事者に知らせる。
【0016】
また、ナースコール親機10が図示しない携帯通信端末(例えば、PHSやコードレス電話など)を無線によって接続している場合、携帯通信端末は、患者がベッドから降りたことを報知する。また、ナースコール親機10は、親機用制御部11、親機用インターフェース部(以下、I/F部と記載する)12、記憶部13、タイマー部14、報知部15、復旧操作部16を備えて構成されている。
【0017】
マットセンサー1の制御部2は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、マットセンサー1の各構成要素を後述するように制御する。検出部3は、シート上の荷重を検出することで物体を検出する。ここで、マットセンサー1には、マットセンサー1上の全域に亘って物体を検出することができるように複数の検出部3が全域に亘って配置されている。また、各検出部3は、荷重を検出できない領域が生じないように、人間の足の裏がマットセンサー1の上に乗った場合に、何れかの検出部3が荷重を検出することができる程度の間隔で配置されている。
【0018】
検出部3が物体を検出すると、制御部2は、検出部3が物体を検出したことを示す検出信号を生成する。ここで、検出信号は、この検出部3を他の検出部3と識別するための検出部識別情報およびこのマットセンサー1を他のマットセンサー1と識別するためのマットセンサー識別情報を含む。また、検出部識別情報は、マットセンサー1に配置されている全ての検出部3に割り振られた通し番号で構成されている。また、マットセンサー1のマットセンサー識別情報は、マットセンサー1が設置されているベッドのベッド番号により構成されている。また、制御部2は、各検出部3が物体を検出すると、その検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を生成する。
【0019】
図3は、本実施形態によるナースコールシステムのマットセンサー1における検出部3の状態例を示す図である。同図(a)に示すように、マットセンサー1には、複数の検出部3がマット本体の全域に亘って縦五行横五列に均等に配置されている。
【0020】
I/F部4は、マットセンサー1にナースコール親機10を接続して通信を行う。ここで、I/F部4は、制御部2にて生成された検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0021】
ナースコール親機10の親機用制御部11は、CPUなどにより構成されており、ナースコール親機10の各構成要素を後述するように制御する。親機用I/F部12は、ナースコール親機10にマットセンサー1を接続して通信を行う。ここで、親機用I/F部12は、マットセンサー1から出力された検出信号を入力する。
【0022】
記憶部13は、メモリなどにより構成されている。また、記憶部13は、検出部3の検出部識別情報と、その検出部識別情報によって特定される検出部3の位置を示す位置情報と、その位置情報によって特定される位置がマットセンサー1の縁であるか否かを示す縁識別情報とを関連付けて予め記憶している。記憶部13は、図5に示すように、検出部識別情報「1」に対して位置情報「1a」、マットセンサー1の縁であることを示す縁識別情報「縁」を関連付けて予め記憶している。ここで、位置情報によって特定される位置がマットセンサー1の縁であるか否かを示すものとして、例えば、位置情報によって特定される位置がマットセンサー1の縁であることを示す「縁」、位置情報によって特定される位置がマットセンサー1の縁ではないことを示す「中」が記憶部13に記憶されている。
【0023】
例えば、図3(a)に示すように、検出部3には、縦方向1、2・・・と行アドレスが割り振られており、横方向にa、b・・・と列アドレスが割り振られている。検出部3の位置を示す位置情報は、行アドレスと列アドレスとを組み合わせたもので構成されている。例えば、行アドレスと列アドレスとを組み合わせたものが1aである。位置情報の値が1aであれば、一行目のa列に配置されている検出部3を示す。
【0024】
また、マットセンサー1に配置されている複数の検出部3のうち、a列に配置されている検出部3、e列に配置されている検出部3、一行目に配置されている検出部3および五行目に配置されている検出部3は、マットセンサー1の縁に設置されている。また、マットセンサー1に配置されている複数の検出部3のうち、二行目〜四行目に配置され、かつ、b列〜d列に配置されている検出部3は、マットセンサー1の縁以外の場所に配置されている。
【0025】
タイマー部14は、時間を計測するためのものである。報知部15は、患者がベッドから降りたことを報知するためのものである。ここで、報知部15は、スピーカーや表示灯、表示装置などにより構成されている。また、報知部15は、検出信号に含まれるマットセンサー識別情報から物体を検出したマットセンサー1を特定することができるように、スピーカーから音声を出力させたり、表示灯を点灯または点滅させたり、表示装置の表示を行わせたりして報知を行う。復旧操作部16は、ボタンなどにより構成されており、報知部15による報知を停止するために操作される。報知部15による報知が行われている状態で、復旧操作部16が操作されると、親機用制御部11は報知部15の動作を停止させる。
【0026】
親機用I/F部12がマットセンサー1から出力された検出信号を入力すると、親機用制御部11は記憶部13を参照し、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報を抽出して、抽出した検出部識別情報に関連付けて記憶されている縁識別情報を取得する。また、親機用制御部11は、取得した縁識別情報がマットセンサー1の縁であることを示すものであるか、マットセンサー1の縁ではないことを示すものであるかを判定する。取得した縁識別情報がマットセンサー1の縁ではないことを示すものであると親機用制御部11にて判定した場合に、親機用制御部11は報知部15を動作させる。
【0027】
一方、取得した縁識別情報がマットセンサー1の縁であることを示すものであると親機用制御部11にて判定した場合に、親機用制御部11は記憶部13を参照して、抽出した検出部識別情報に関連付けて記憶されている位置情報を取得するとともに、タイマー部14を動作させる。タイマー部14は時間の計測を開始する。また、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0028】
ここで、検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3とは、基準となる検出部3から図3(a)の上下方向、左右方向または斜め方向の隣に配置されている検出部3を示す。例えば、位置情報の値が3cである検出部3は、位置情報の値が2b、3b、4b、2c、4c、2d、3d、4dである検出部3に隣接している。また、所定時間とは、ベッド近傍に存在する車輪を備えた物体がマットセンサー1の上を通る際に、ある検出部3が物体を検出した時点から、その検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3が物体を検出するまでにかかるであろう所要時間であり、比較的短い時間(例えば、2秒程度)となる。
【0029】
タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したと親機用制御部11にて判定した場合に、親機用制御部11は報知部15を動作させず、タイマー部14が計測していた時間をリセットさせる。また、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したと親機用制御部11にて判定した場合に、親機用制御部11はタイマー部14の動作を停止させるとともに報知部15を動作させ、報知部15は報知を行う。また、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったと親機用制御部11にて判定した場合に、親機用制御部11は報知部15を動作させず、タイマー部14の動作を停止させる。
【0030】
次に図2、図3、図4および図5を用いてマットセンサー1における検出部3の状態例を説明する。また、この例では、マットセンサー1が設置されているベッドのベッド番号を「201−1」とする。また、この例では、車輪を備えた物体を台車とする。
【0031】
(1)台車がマットセンサー1に載った場合
医療従事者がベッド近傍に台車を移動させ、台車に設けられている右前方の車輪がマットセンサー1の上に載ると、マットセンサー1の検出部識別情報「15」で特定される検出部3が物体を検出する(図3(a)を参照)。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「15」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0032】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12がマットセンサー1から出力された検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「15」に関連付けて記憶されている縁識別情報がマットセンサー1の縁であることを示す「縁」であると判定する。すると、親機用制御部11は、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「15」に関連付けて記憶されている位置情報「5c」を取得するとともに、タイマー部14を動作させる。
【0033】
また、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「5c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「5c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0034】
この状態で、図2(b)の車輪の軌跡に示すように、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、医療従事者が台車を更に移動させると、マットセンサー1の検出部識別情報「14」で特定される検出部3が物体を検出する(図3(b)を参照)。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「14」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0035】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12が検出部識別情報「14」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「14」に関連付けて記憶されている位置情報「4c」を取得する。また、親機用制御部11は、取得していた位置情報「5c」によって特定される検出部3と、新たに取得した位置情報「4c」によって特定される検出部3とが隣接していると判定して、報知部15を動作させず、タイマー部14が計測していた時間をリセットさせる。
【0036】
すると、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「4c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「4c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0037】
この状態で、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、医療従事者がマットセンサー1の上の台車を更に移動させると、マットセンサー1の検出部識別情報「13」で特定される検出部3が物体を検出する。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「13」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0038】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12が検出部識別情報「13」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「13」に関連付けて記憶されている位置情報「3c」を取得する。また、親機用制御部11は、取得していた位置情報「4c」によって特定される検出部3と、新たに取得した位置情報「3c」によって特定される検出部3とが隣接していると判定して、報知部15を動作させず、タイマー部14が計測していた時間をリセットさせる。
【0039】
すると、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「3c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「3c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0040】
この状態で、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、医療従事者がマットセンサー1の上の台車を更に移動させると、マットセンサー1の検出部識別情報「12」で特定される検出部3が物体を検出する。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「12」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0041】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12が検出部識別情報「12」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「12」に関連付けて記憶されている位置情報「2c」を取得する。また、親機用制御部11は、取得していた位置情報「3c」によって特定される検出部3と、新たに取得した位置情報「2c」によって特定される検出部3とが隣接していると判定して、報知部15を動作させずに、タイマー部14が計測していた時間をリセットさせる。
【0042】
すると、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「2c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「2c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0043】
この状態で、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、医療従事者がマットセンサー1の上の台車を更に移動させると、マットセンサー1の検出部識別情報「11」で特定される検出部3が物体を検出する。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「11」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0044】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12が検出部識別情報「11」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「11」に関連付けて記憶されている位置情報「1c」を取得する。また、親機用制御部11は、取得していた位置情報「2c」によって特定される検出部3と、新たに取得した位置情報「1c」によって特定される検出部3とが隣接していると判定して、報知部15を動作させずに、タイマー部14が計測していた時間をリセットさせる。すると、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するため、親機用制御部11は報知部15を動作させずに、タイマー部14による時間の計測を停止させる。
【0045】
一方、親機用I/F部12が入力した検出信号に含まれる検出部識別情報に関連付けて記憶されている縁識別情報がマットセンサー1の縁であることを示す「縁」であるので、親機用制御部11は、抽出した検出部識別情報「11」に関連付けて記憶されている位置情報「1c」を取得するとともに、タイマー部14を動作させる。また、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「1c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「1c」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0046】
この状態で、医療従事者がマットセンサー1の上の台車を更に移動させると、車輪がマットセンサー1の上から降り、全ての検出部3が物体を検出しなくなる。そのため、ナースコール親機10では、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達し、親機用制御部11は報知部15を動作させずに、タイマー部14の動作を停止させる。
【0047】
(2)患者がベッドから降りた場合(その1)
ベッドに居る患者がベッドから降りてマットセンサー1の上に乗ると、マットセンサー1の検出部識別情報「23」で特定される検出部3が物体を検出する(図4(a)を参照)。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「23」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0048】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12がマットセンサー1から出力された検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「23」に関連付けて記憶されている縁識別情報がマットセンサー1の縁であることを示す「縁」であると判定する。すると、親機用制御部11は、抽出した検出部識別情報「23」に関連付けて記憶されている位置情報「3e」を取得するとともに、タイマー部14を動作させる。
【0049】
また、親機用制御部11は、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「3e」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接する位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報「3e」によって特定される位置に配置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したか、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達しても、親機用I/F部12が検出信号を入力しなかったかを判定する。
【0050】
この状態で、図2(c)の患者の移動跡に示すように、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、ベッドから降りた患者が移動すると、マットセンサー1の検出部識別情報「7」で特定される検出部3が物体を検出する(図4(b)を参照)。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「7」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0051】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12が検出部識別情報「7」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「7」に関連付けて記憶されている位置情報「2b」を取得する。また、親機用制御部11は、取得していた位置情報「3e」によって特定される検出部3と、新たに取得した位置情報「2b」によって特定される検出部3とが隣接していないと判定して、タイマー部14の動作を停止させるとともに報知部15を動作させる。
【0052】
(3)患者がベッドから降りた場合(その2)
図2(d)の患者の移動跡に示すように、ベッドに居る患者がベッドから降りてマットセンサー1の上に乗ると、マットセンサー1の検出部識別情報「17」で特定される検出部3が物体を検出する(図4(c)を参照)。すると、制御部2は、この検出部3の検出部識別情報「17」およびマットセンサー識別情報「201−1」を含む検出信号を生成する。I/F部4は、制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。
【0053】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12がマットセンサー1から出力された検出信号を入力し、親機用制御部11は記憶部13を参照して(図5)、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報「2d」に関連付けて記憶されている縁識別情報がマットセンサー1の縁でないことを示す「中」であると判定する。すると、親機用制御部11は報知部15を動作させる。
【0054】
以上、詳しく説明したように、本実施形態のナースコールシステムでは、患者が居るベッド近傍に存在する物体を検出する複数の検出部3を全域に亘って配置したマットセンサー1を設置する。検出部3が物体を検出すると、制御部2は検出信号を生成し、I/F部4は制御部2にて生成した検出信号をナースコール親機10へ出力する。ナースコール親機10では、親機用制御部11は記憶部13を参照して、親機用I/F部12が入力した検出信号に含まれる検出部識別情報に関連付けて記憶されている縁識別情報を取得する。親機用制御部11は、取得した縁識別情報がマットセンサー1の縁ではないことを示すものであると判定した場合に、報知部15を動作させるようにしている。また、親機用制御部11は、取得した縁識別情報がマットセンサー1の縁であることを示すものであると判定した場合に、抽出した検出部識別情報に関連付けて記憶されている位置情報を取得するとともにタイマー部14を動作させる。そして、親機用制御部11は記憶部13を参照して、タイマー部14が計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報によって特定される位置に設置された検出部3に隣接しない位置に配置されている検出部3の検出部識別情報を含む検出信号を親機用I/F部12が入力したと判定した場合に、報知部15を動作させるようにしている。
【0055】
これにより、マットセンサー1の縁に配置されている検出部3が荷重を検出した時点から計測した時間が所定時間に達するまでに、その検出部3に隣接する検出部3が荷重を検出した場合には、荷重がマットセンサー1の縁から線状に検出されるので、マットセンサー1の上を、車輪を備えた物体が通過したと判断されて、報知が行われない。また、時間の計測が行われていない状態でマットセンサー1の縁以外に配置されている検出部3が荷重を検出した場合、または、マットセンサー1の縁に配置されている検出部3が荷重を検出した時点から計測した時間が所定時間に達するまでに、その検出部3に隣接しない検出部3が荷重を検出した場合には、マットセンサー1の中央部分に点状の荷重が検出されるので、マットセンサー1の上に人が乗ったと判断されて、報知が行われる。従って、マットセンサー1が車輪を備えた物体の荷重を検出した場合の誤報の発生を防ぐことができる。
【0056】
なお、前述した実施形態では、検出部識別情報は、マットセンサー1に配置されている全ての検出部3に割り振られた通し番号で構成されているが、これに限定されない。例えば、検出部識別情報と位置情報とを同一にするようにしても良い。これにより、記憶部13が検出部識別情報を記憶する必要が無くなる。
【0057】
また、前述した実施形態では、台車に設けられている右前方の車輪のみがマットセンサー1の上に載った場合のみを例示しているが、これに限定されない。例えば、台車に設けられている複数の車輪がマットセンサー1の上に載った場合でも、本実施形態と同様の動作を行うようにしても良い。この場合、親機用制御部11は、物体を検出した複数の検出部3に対して同時に、取得していた位置情報によって特定される位置に配置された検出部3と、新たに取得した位置情報によって特定される位置に配置された検出部3とが隣接しているか否かを判定する必要がある。
【0058】
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 マットセンサー
2 制御部
3 検出部
4 インターフェース(I/F)部
10 ナースコール親機
11 親機用制御部
12 親機用インターフェース(I/F)部
13 記憶部
14 タイマー部
15 報知部
16 復旧操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が居るベッド近傍に存在する物体の荷重を検出する複数の検出部を全域に亘って配置し、前記検出部が荷重を検出した場合に、荷重を検出した検出部を他の検出部と識別するための検出部識別情報を含む検出信号を生成する制御部と、前記制御部にて生成された検出信号を出力するインターフェース部とを有するマットセンサーと、
前記マットセンサーから出力された検出信号を入力する親機用インターフェース部と、前記患者がベッドから降りたことを報知する報知部と、時間を計測するタイマー部と、前記検出部識別情報と前記検出部識別情報によって特定される検出部の位置を示す位置情報と前記位置情報によって特定される位置が前記マットセンサーの縁であるか否かを示す縁識別情報とを関連付けて予め記憶しておく記憶部と、前記親機用インターフェース部が検出信号を入力した場合に、前記記憶部を参照して、入力した検出信号に含まれる検出部識別情報に関連付けて記憶されている縁識別情報が前記マットセンサーの縁であることを示すものであるときに、前記検出部識別情報に関連付けて記憶されている位置情報を取得するとともに前記タイマー部を動作させ、前記タイマー部にて計測した時間が所定時間に達するまでに、取得した位置情報によって特定される位置の隣の位置を示す位置情報に関連付けて記憶されている検出部識別情報に該当しない検出部識別情報を含む検出信号を前記親機用インターフェース部が入力した場合、または、前記タイマー部が動作していない状態で前記親機用インターフェース部が検出信号を入力し、その検出信号に含まれる検出部識別情報に関連付けて記憶されている縁識別情報が前記マットセンサーの縁ではないことを示すものである場合にのみ、前記報知部を動作させる親機用制御部とを有するナースコール親機と、
を備えることを特徴とするナースコールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−74942(P2013−74942A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215776(P2011−215776)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】