説明

ニキビ処置装置および方法

【課題】目に安全で効果のあるニキビ処置用の皮膚病学的装置を提供する。
【解決手段】強い紫青色ダイオード光源と、光放射中に皮膚と接触して皮膚に放熱板を提供する出力ウィンドウを備えるニキビ処置方法およびニキビ処置皮膚病学的装置を開示する。他の形態は、強い紫青色光源と、皮膚に接触する放熱板を備えるハンドヘルド型コードレス装置を備える装置の構成と方法を開示する。さらに、狭い領域を照射し、接触して利用する放熱板を備える構成と方法を開示する。さらに、狭い領域を照射し、接触して利用する放熱板を備えるハンドヘルド型コードレス装置の構成と方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニキビ処置装置およびその方法に関し、特に、光を利用する改良型装置および方法に関する。
【0002】
優先権
本出願は、米国仮出願番号 2003年2月28日出願の第60/451,091号、2003年3月20日出願の第60/456,379号、2003年3月27日出願の第60/458,861号、2003年5月20日出願の第60/472,056号、2003年2月25日出願の第60/450,243号、2003年2月26日出願の第60/450,598号、2003年3月4日出願の第60/452,304号、2003年3月4日出願の第60/451,981号、2003年3月6日出願の第60/452,591号、2003年3月21日出願の第60/456,586号に対して、§35USC119(e)の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
尋常性ニキビ、およびそれに関連する状態(以下、「ニキビ」と呼ぶ)は、非常に一般的な皮膚疾患であり、深刻な感情面への影響と永久に残るニキビ痕を引き起こすことがある。12歳から24歳までの人のうち約85%がニキビに悩んでいるが、一般的には、思春期が終わる頃にはそれは解決する。しかし、人口の25%以上は大人になってもその状態が続く。苦痛の深刻さは個人毎に異なり、また、時によっても異なり、これには、非炎症性の吹出物の発生が一週間続くものから、何年も続く吹出物、また、瘢痕を残して治癒する炎症性嚢胞まで様々なものがある。
【0004】
一般的に、ニキビは、過剰な皮脂と濾胞壁から落屑した上皮細胞が混ざることで皮脂性の濾胞が閉塞することによって引き起こされると考えられている。この閉塞によって、小さな吹出物ができ、(一般的にブラックヘッド、もしくは、ホワイトヘッドとして周知の)吹出物、もしくは炎症性損傷(丘疹、吹出物、嚢胞)に発展する。プロピオン酸菌属ニキビ(ざそうプロピオンバクテリウム)、もしくはその他の生まれつきの組織は、皮脂と上皮細胞が混ざることによって増殖して炎症を広げる。
【0005】
現在最も一般的なニキビ治療法は、市販の(OTC)医薬品や処方薬を使うことであり、いずれも一般的に1以上の病原因子、即ち、皮脂生成の低下、皮脂性濾胞内上皮性落屑の低下、ざそうプロピオンバクテリウム増殖の低下に対応することを目的にしている。市販の医薬品としては、単純な洗浄剤や、サリチル酸などの低濃度の局所薬があり、その抗菌作用によって、落屑や過酸化ベンゾイルを低下することができる。一般的に、このような治療法は比較的副作用が少なく、穏やかな効果を提供する。処方箋を必要とする薬には、皮脂の生成を抑えるための全身性エストロゲン薬、抗アンドロゲン薬、およびイソトレチノイン、落屑を抑えるためのイソトレチノイン、トレチノイン局所薬、および、抗生物質、さらに、ざそうプロピオンバクテリウムの増殖を抑える全身性抗生物質と局所性抗生物質、例えば、テトラサイクリンがある。これらは一般的に市販薬よりも効き目があるが、重要な制限事項と副作用がある。例えば、エストロゲン薬や抗アンドロゲン薬は女性向けのものである。抗アンドロゲン剤は胎児に影響を及ぼす可能性がある。イソトレチノイン経口薬は、非常に効果的であるが、関節痛、腱炎、鬱病、奇形児に関与することがある。また、抗生物質の過剰投薬の問題や、ざそうプロピオンバクテリウムが抗生物質に強くなってきていることが医学界での問題である。
【0006】
薬物療法に代わる、もしくは、それを補助する訴求力ある方法には、光を利用してニキビを処置する方法がある。ニキビの光線療法では、電磁放射によってニキビの原因や症状を処置する。紫外線、可視光、赤外線波長や、パルス調連続波放射を利用した技術や、バイオスティミュレーションと抗菌性と抗皮脂性を含むアクションのメカニズムに関する様々な技術と装置については周知のことである。本発明は、紫青色光(400〜450nm)を利用したニキビの処置に関する。紫青色光は、ニキビ損傷部位に存在する細菌によって生成された内因性ポルフィリンによって吸収されるので、細菌の増殖を削減、もしくは後退させ、損傷の治療に役立つと考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現状の技術
科学技術
細菌がニキビ損傷部位に存在し、ざそうプロピオンバクテリウムから生成されるコプロポルフィリンやプロトポルフィリンなどの各種ポルフィリンを生成することは科学的に立証されている(コルネリウス、ルートウィヒ1967年、リー他1978年、ファンタ他1981年、メロ、ジョンソン1982年、ケルスター他1984年)。ポルフィリンは周知の環状分子であり、生物学的プロセスでは一般的に知られているものである。ポルフィリンはソレー帯で略400nmの強い吸収力をもち、その特長は、特定のポルフィリン種(ラング1996年)によって微妙に変化し、照射後に細胞に損傷を与える感光医薬品である(ジロッティ1983年)。
【0008】
ケルスター他は、内因性ポルフィリンによるざそうプロピオンバクテリウムの感光性化について試験管内で研究し、415nm光によってざそうプロピオンバクテリウムがポルフィリン濃度に比例して不活性化することを発見し、光を利用したニキビの臨床治療を提案している(1985年)。ケルスターとジョンソンはさらに研究を進め、ざそうプロピオンバクテリウムが光不活化する青色および近紫外線作用スペクトルについて報告した(1986年)。作用スペクトルは415nm付近で二次ピークを示す。彼らは、それがポルフィリンの吸収によるものであると考え、ポルフィリンの吸収のピークとポルフィリン濃度の関係について言及している。415nmでの強度は5mW/cmであった。これについて、彼らは410〜420nm帯域における日光の約5倍の強度であると報告している。ポルフィリンの感光性化による細菌破壊メカニズムには一重項酸素の生成が関与している可能性がある(伊藤1978年、ケランド他1983年、ケルスター他1986年、ケルスター1984年、荒金他1996年)。また、光励起ポルフィリンは、それ自体が細菌に対して毒性がある、即ち、一重項酸素以外の有毒先駆物質を生成する可能性がある(R.ロックス・アンダーソン、私信、2004年)。
【0009】
メフェールらは臨床研究を行って、10分間に10回連続で54mW/cmで総量325J/cmの可視光(400〜420nm)を短距離から繰り返し照射することによってニキビや脂漏症が著しく改善されることを発見した(1990年)。メフェールの装置は高圧ランプを利用したものである。
【0010】
シガードソン他は、3つのフィルターを備えるアーク灯から20回連続照射する臨床研究を行い、紫外線、紫青色光、および、緑色光の効果を分類した(1996年)。3光源を用いてそれぞれ20分間の処置を行い、紫青色光(400〜440nm)のパワーレベルは約16mW/cmであった。光源間で有効性は異なったが、その全ての光源で改善がなされた。研究者および患者によれば、紫青色光は他の光よりも良かった。彼らは、紫青色光の照射後にニキビ損傷内のポルフィリンレベルが下がったことについても報告しており、ざそうプロピオンバクテリウムレベルを下げることを示唆している。
【0011】
407〜420nm帯域の長い可視波長の紫青色光を出力するメタルハライドランプを利用した研究の報告がいくつかある。シャリータ他は隔週で8回10分間の処置をした後にニキビ損傷を60%除去できたことを示した(2001年)。彼らは90mW/cmの可視光と約20mW/cmの407〜420nmの紫青色光の出力について報告している。アシュケナージ他は、ざそうプロピオンバクテリウムへの407〜420nm照射を試験管内で実験し、3回の75J/cmの照射によって5桁の光不活化があったことを報告している(2002年)。アミノレブリン酸(ALA)を培養液に添加するとポルフィリン濃度が増加し、光の殺菌効果が改善された。X線ミクロ分析と透過型電子顕微鏡によって、照射によるざそうプロピオンバクテリウムの細胞膜に与えられた構造的損傷が観察された。シュニットキント他は、407〜420nmの狭帯域光はざそうプロピオンバクテリウムに対する抗菌効果の他に、ケラチノサイトに対する抗炎症効果があることを発見した。川田他は、週2回の治療を5週間行うことによって64%のニキビ損傷を除去できることを確認した(2002年)。試験管内での調査から、407〜420nmの光はざそうプロピオンバクテリウムの殺菌に効果的であるがニキビ患者を離れた表皮ブドウ球菌の殺菌には効果的ではないことがわかった。
【0012】
パパジョルジュ他は、紫青色光(ピーク:415nm)単体と、赤色光(ピーク:660nm)を組み合わせた紫青色光による臨床結果を比較した(2000年)。被験者は、4mW/cm強度の紫青色光と3mW/cm強度の赤色光による毎日15分間、12週間の処置を受けた。照射光源はリフレクタ内に設置された蛍光灯であった。統計上、いずれの光源も白色調光に比べて炎症性損傷と吹出物の数が著しく減少し、5%の過酸化ベンゾイルに相当する効果を示した。紫青色光と赤色光を組み合わせると炎症性損傷をさらに除去することができたため、筆者らの示唆は赤色光の抗炎症作用によるものである可能性がある。
【0013】
特許技術
光線療法関連装置や方法は多くの特許文献に開示されている。
【0014】
ディアマントポラス他は、複数の波長を持ち実質的に単色の光源アレイを備え、組織のバイオスティミュレーションを行う装置について開示した(米国特許番号第4,930,504号、1990年6月発行)。これらの光源は、処置対象の組織内の1点を少なくとも2つの波長の光が通過するようにアレイ内に配置される。
【0015】
メンデス他の米国特許番号第5,259,380号(1993年11月発行)では、赤色および赤外線帯域の発光ダイオード(LED)によって光を真皮領域に直接当てる光治療装置と方法について開示している。また、メンデス他の米国特許番号第5,549,660号(1996年8月発行)では、複数の赤色帯域LEDを利用したニキビ処置方法を開示している。
【0016】
コーラーは、青色帯域と赤色帯域の2つの発光スペクトルを組み合わせたことを特徴とする、光を利用したニキビの美容処置方法および装置を開示している(米国特許番号第6,183,500号、2001年2月発行)。
【0017】
PCT出願番号WO00/02491(2000年1月公開)、米国公開出願番号2001/0023363(ハース他)、2002/0173833(コールマン他)、2002/0128695(ハース他)、2003/0216795には、少なくとも405〜440nmスペクトル帯域の光源を利用したニキビ処置装置および方法が開示されている。また、その他の波長帯域や局所的な方法を利用したものについても開示されている。
【0018】
ウィルキンス他は、各種皮膚状態に対応するために400〜500nmの範囲のスペクトル帯域を少なくとも1つを使い、特定のパワーとエネルギーを備える光照射装置を開示している(米国公開出願番号2002/0161418)。
【0019】
チェスの米国特許番号5,486,172(1996年1月発行)では、皮膚に接触させ、光を通すウィンドウを用いて皮膚を冷却する手段を備える皮膚血管損傷処置装置を開示している。また、チェスの米国特許番号5,057,104(1991年10月発行)と5,282,797(1994年2月発行)では、血管損傷処置のための接触冷却について論じている。
【0020】
アンダーソン他は、皮膚の接触冷却をして毛の除去を行う装置、および、その方法について開示している(米国特許番号5,735,844、1998年4月発行、5,595,568、1997年1月発行)。また、アンダーソンの米国特許番号6,659,999(2003年12月発行)では、電磁放射と皮膚の同時冷却を行って皮膚の皴を処置する方法を開示している。
【0021】
商業上の技術
本発明に関連する周知の装置が医学界や消費者に市販されている。
【0022】
その一つはクリアライト(フロリダ州マーゲートの、キュアライト社)である。これは、メタルハライドランプを光源として用いており、これは405〜420nmの帯域を光を30cm×30cmの2つの処置領域を含むデュアルヘッド処置領域に出力する。この装置はファンを備えており、これを患者の皮膚に直接向けることによって患者の皮膚を冷却することができる。この処置プロトコルは15分間の処置である。クリアライトは食品医薬品局(FDA)からニキビ処置の認可を受けている。また、キュアライト社は同様なiClearと呼ばれるシングルヘッド装置も販売している。
【0023】
その他の装置としては、オムニラックス・ブルー(英国、チェシャーの、フォトセラピューティクス社)がある。これは、40mW/cmの強度で407nm出力のLEDマトリクスをもつ処置ヘッドを備える。この処置プロトコルでは、光に曝すことが4週間で週2回20分間行われる。この装置はフルフェイス処置を行うものであり、FDAからニキビ処置の認可を得ている。
【0024】
青色と赤色の帯域の光を出力する蛍光灯をもつ装置がいくつか市販されている。たとえば、ダーマラックスAV(英国、チャタムの、ダーマラックス社)、レッド’n’ブルー(Red’n’Blue)(ドイツ、エルランゲン、チームシルバニアのレッド’n’ブルー)、ベリラックス・ハッピー・スキン(コネチカット州スタンフォードのベリラックス社)などガある。これらの装置は毎日15分間の露光を行うフルフェイス処置用に市販されている。
【0025】
ディマテック社(カリフォルニア州ナショナルシティ)はアクネランプを販売している。これは、青色と赤色の光を利用した装置とLEDを利用した光源を組み合わせたものである。この装置はテーブルトップ型のランプであって、少し離れた位置から顔に照射する、S字形管に1つ、2つ、もしくは3つのヘッドがついている。
【0026】
最新技術に関するレビューによれば、紫青色光はニキビの処置に安全かつ効果的なものである。しかし、既存の装置や方法では不完全である。
【0027】
第一に、これらの光を利用した全ての装置の処置プロトコルによれば、装置から放射された紫青色(および、その他の波長)の光を皮膚に長時間当てる必要がある。これらの処置は迅速に行われることが望ましい。しかし、処置時間を短くするために光の出力強度を上げると、皮膚を過剰に加熱してしまうことになる。従来の装置のいくつかで利用されているファンによる冷却は、強い照射を行った場合に皮膚の温度を許容可能な温度範囲に保つことには適していない。処置時間を短縮することに加えて、弱い光のよる処置時間と同じ時間により多くの照射量を与えることによってさらに効果が得られる。従って、強い照射を行っても皮膚が過熱しないようにすることができる方法や装置が望まれる。
【0028】
現状の紫青色光を利用した装置と方法におけるその他の問題は照射範囲が広いことである。即ち、処置を受ける患者の顔全体、上背、もしくは両肩まで照射してしまうことである。ざそうプロピオンバクテリウム・バクテリアを作り出すポルフィリンは、ざそうプロピオンバクテリウムに感染した損傷部位に実質的に集中しているため、感染していない部位を処置してもほとんどもしくは全く利益がないと考えられる。感染していない皮膚部位を治療することは、少なくとも次の3つの理由から望ましくない。第一に、波長が約405nmの光は皮膚を老化させる可能性がある。第二に、広い範囲を照射する方法や装置では、皮膚の感染部位だけを照射する装置よりも強い照射光源が必要となり、コストやサイズも増加する。第三に、広い部位を照射する際に皮膚の過熱を防ぐことはさらに難しいことである。
【0029】
最後に、現在利用可能な装置や方法は実際に使用するには不都合なものである。何故ならば、それらの装置は大きくて扱いにくいものであり、また、装置に電源コードを取り付ける必要があるからである。そのサイズやコードの存在のせいで、オペレータが皮膚の所望の部位を処置するのに装置を最適な場所に配置することが制限される。さらに、サイズが大きいと、装置を複数の場所で利用するために置き換えたり、複数の場所で共有することが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0030】
発明の概要
本発明は、既存のニキビ光線治療の最新技術における上述の問題点のうちの少なくとも1つを改善するものである。一実施形態では、強い紫青色ダイオード光源と、光出力時に皮膚接触型放熱板として働く出力ウィンドウを備える装置および方法を開示している。別の一実施形態では、強い紫青色光源と、皮膚接触型放熱板を備えるハンドヘルド型コードレス装置を開示している。第三の実施形態では、狭い領域を照射し、接触型放熱板を備える装置および方法を開示している。第四の実施形態では、狭い領域を照射し、接触型放熱板を備えるハンドヘルド型コードレス装置を開示している。
【0031】
従って、本発明の目的は、ニキビやその他の皮膚状態を処置する装置および方法であって、強い紫青色光を利用し、処置する際に皮膚に接触して放熱板として機能する出力ウィンドウを備える装置および方法を提供することである。
【0032】
本発明の別の目的は、強い紫青色光を出力することができ、処置の際に皮膚に接触して熱を除去するハンドヘルド型コードレス装置および方法を提供することである。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、狭い照射領域に強い紫青色光を出力し、接触型放熱板としての出力ウィンドウもしくはその他の構造体を備える装置および方法を提供することである。
【0034】
これらの本発明の目的とその他の目的、利点、特徴については、以下の本発明の好適な実施形態の詳細な説明と添付の図面について検討すれば容易に理解されるであろう。
【0035】
援用文献
以下に、上下で引用されている文献に加えて背景と本発明の概要で説明されたものを含む文献に対応する引用リストを示す。これらは、好適な実施形態の構成要素や特徴に対する代替えの実施形態を開示する際において、以下の好適な実施形態の詳細説明に対する援用文献となるものであって、以下で詳述されていないことがある。これらの文献を単独で、または、1つ以上を組み合わせたものを考慮することで、以下で詳述する好適な実施形態の構成要素もしくは特徴の変形例を提供することができる。その他の特許、特許出願、非特許文献も記述されており、それらは、以下の文献に関する記載と同様の効果を有する好適な実施形態の援用文献である。
【0036】
米国特許 4,930,504、5,057,104、5,259,380、5,282,797、5,486,172、5,549,660、5,595,568、5,735,844、6,183,500、6,659,999、
米国出願公開 2001/0023363、2002/0128695、2002/0161418、2002/0173833、2003/0216795、
米国仮出願 2003年2月28日出願の60/451,091、2003年3月20日出願の60/456,379、2003年3月27日出願の60/458,861、2003年5月20日出願の60/472,056、2003年2月25日出願の60/450,243、2003年2月26日出願の60/450,598、2003年3月4日出願の60/452,304、2003年3月4日出願の60/451,981、2003年3月6日出願の60/452,591、2003年3月21日出願の60/456,586、これらは全て出願譲受人に譲渡される(「クロスリファレンス仮出願」と総称する)、
2004年2月に出願されたトビン・シー・アイランド(Tobin C. Island)、ロバート・イー・グローブ(Robert E. Grove)、マーク・ブイ・レックワース(Mark V. Weckwerth)の米国出願10/ 、「目に安全な、独立型毛再生抑制装置および方法」、2004年2月に出願されたRobert E. Grove、Mark V. Weckwerth、Tobin C. Islandの出願10/ 、「目に安全な、皮膚処置装置および方法」、2004年2月 日に出願されたマーク・ブイ・レックワース(Mark V. Weckwerth)、トビン・シー・アイランド(Tobin C. Island)、ロバート・イー・グローブ(Robert E. Grove)の出願10/ 、「レーザーダイオードを利用した独立型皮膚処置装置および方法」。これらは全て出願譲受人に譲渡される(「クロスリファレンスの出願」と総称する)
PCT出願公開WO 00/02491
科学文献:本願の好適な実施形態の詳細な説明の末尾にある科学文献リストを参照のこと。
皮膚病学的装置の各種態様を開示する出願の同一の発明者による上述のクロスリファレンス仮出願およびクロスリファレンスの出願が注目されているが、これには、毛除去装置および方法、および目に安全な装置および方法が含まれている。これらの出願で開示されている態様や特徴が本願のニキビ処置装置および方法での利用に適するように構成可能であることを、当業者は理解していることは明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
まず本題に入る前に、「青色」光と「紫色」光はそれぞれ、420〜490nm、380〜420nmの帯域幅のものであるが、この用語は当技術分野で広く適用されるものではないことに注意されたい。一般的に、青色、紫色、青紫色、紫青色を指定していることを鑑みると、それは出願目的にとって等価なものと考えられる。また、ここで使用される「光」という用語は、特に指定のない限り、可視スペクトルだけでなく、紫外線領域、可視光領域、赤外線領域を含む電磁放射を意味することを理解されたい。
【0038】
図1に好適な一実施形態に係る装置の概略を示す。本実施形態によれば、装置はハウジング80内に組み込まれている。ここで、ハウジング80は出力ウィンドウ10を備え、ここから強い紫青色光が一皮膚領域に与えられる。光の放射前に、処置対象の皮膚領域にウィンドウ10を密接に接触させる。放射中はウィンドウ10を皮膚に接触させたままにする。放射後、ウィンドウを別の皮膚領域に移して処置を繰り返すことができる。
【0039】
ウィンドウ10の目的の一つは、光源20が生成した光を処置したい皮膚領域に当てることである。よって、ウィンドウ10は、光源20により生成された治療波長の光を透過する物質から形成されていなければならない。好適な一物質はサファイヤであるが、その他の透過材料、例えば、石英ガラスや無水ケイ酸ガラスや高分子材料やオパールガラスやガラスであってもよい。透過材料とは、治療波長に対する透過性が少なくとも50%ある物質を意味するものであるが、様々な理由から透過性がさらに低いものでもあってもよい。その理由の中には、オパールガラスなどの拡散物質を利用して一様性や目の安全性を改良することができ、また、一回目に送られなかった光を光源の周りにあるリフレクタから再び送ることができるからである。
【0040】
ウィンドウ10の別の目的は皮膚用の放熱板を提供することである。これにより、過剰な不快感を引き起こしたり、皮膚を傷めるほどに皮膚温度が上昇しないようにすることができる。紫青色光は皮膚の表面から浅い領域で吸収され(有効吸収長:約0.3ミリメートル)、その結果、皮膚温度が上昇する。皮膚の熱をウィンドウ10に伝達させることによって、この温度上昇が緩和される。5ミリメートルの厚さのサファイヤディスクは、10秒間の露光時の温度上昇が20℃未満であって、25ジュールの熱を受け入れるために十分な熱拡散性と熱容量を備えている。サファイヤ以外の物質をウィンドウ10として用いることもできる。しかし、熱容量は高いが熱拡散性が低い物資は利用できない。何故ならば、熱拡散が不十分なため、露光時間内に物質の全容積を熱することができない場合は物質の全熱容量を利用することができないからである。
【0041】
本発明の好適な一実施形態によれば、皮膚に接触させる前に、ウィンドウ10は公称皮膚温度もしくはそれに近い温度に設定されており、皮膚表面をその公称温度より冷却することは実質的にない。公称皮膚温度とは、接触前、即ち、照射前の皮膚温度であり、一般的には約32〜35℃である。このとき、ウィンドウによって事前に皮膚が冷却されることはないが、光放射の際に皮膚温度が上昇しすぎないよう放熱板として機能する。好適な一実施形態によれば、放熱板によって表皮の最大温度上昇が約25度未満に制限される。
【0042】
本発明の別の一実施形態によれば、ウィンドウ10によって、公称皮膚温度より低い温度、例えば、0℃と公称皮膚温度間の温度にまで冷却することがでる。光放射前にウィンドウ10を皮膚に接触させることによって、事前に皮膚が公称皮膚温度より低い皮膚温度まで冷却する。光放射中は、ウィンドウ10は放射とともに皮膚の放熱を行う。
【0043】
ウィンドウ10の寸法は約1cmが最適である。これにより、わずかな皮膚領域、たとえば、鼻の横や、一つ一つのニキビ傷まで処置することができる。本発明の別の一実施形態によれば、ウィンドウ10の大きさは5cmであっても、25cmであってもよい。これにより、多くの損傷を処置したり、一度に少し広い領域を処置することができる。しかしながら、ウィンドウ10の最大サイズを、皮膚に接触させるウィンドウの全面積に対するニーズに依存して限定することによって、照射されている全皮膚領域に放熱板を提供することができる。ウィンドウが大きすぎると、体の曲線部位、たとえば、鼻や上唇の上やその付近の皮膚領域に適合しないことがある。
【0044】
本明細書で用いている「スポット・サイズ」という用語は、ウィンドウ10の出力面上での処置ビーム領域を示すものである。この領域の周囲とは、処置ビームの強度がスポット中心強度の1/eまで下がる位置として定義される。出力ウィンドウ10の大きさは、例えば、光皮膚センサーに適合するようにスポット・サイズより大きくてもよく、また、それとは異なる形状であってもよい。例えば、処置ビームが正方形、出力ウィンドウ10が円形であると、製造コストが削減され、製造が容易になる。一実施形態によれば、スポット・サイズは0.81cmであり、その断面は正方形、ウィンドウは約1.3cmの面積を有する円形である。
【0045】
本発明の一実施形態は混合器30を備え、光源20から出力された光を皮膚に照射する際の空間的一様性を改善するために用いられる。皮膚への照射の空間的一様性の変動は±40%未満であることが望ましい。これにより、処置された皮膚全体が同量の光照射を受けることになる。好適な一実施形態によれば、混合器30は長さが約2cmで、断面が四角形の中空のアルミニウムチューブである。混合器30の壁は、光源20から放射される治療波長を実質的には吸収しないので、混合器30の壁に突き当たる光を反射させることができる。光が、光源20から混合器30を介して出力ウィンドウ10に送られると、光の空間的一様性が増加する。光を十分混合するために必要な混合器30の長さ、最大吸収量、断面構造は、ウィンドウ10の大きさと光源20の大きさと出力特性に依存する。混合器の設計に関する詳細とその検討結果は、上で言及したクロスリファレンスの出願の中で記載されている。
【0046】
別の一実施形態によれば、混合器30は半導体光ガイドであってもよく、光源20からの光が光ガイドに沿って全反射してウィンドウ10に向かう。混合器、即ち、半導体光ガイド自体が光の出口を構成するので、ウィンドウ10として機能することができる。
【0047】
別の一実施形態によれば、十分な一様性と大きさを備える光源であれば、混合器30は省略可能であると考えられる。
【0048】
好適な一実施形態によれば、光源20はLEDの二次元アレイであってもよい。発光周波数が405nmの複数のLEDを用いることによって2.5ワットの光パワーの光源を構成してもよい。2.5ワットの光源は、10秒間に、約25ジュールのエネルギーを1cmの皮膚領域に与えることができる。これは、前述したクリアライト装置による15分間の処置で出力される量にほぼ等しい。市販のLEDにおける電気的な光を光パワーへの変換効率は約10%であるので、処置のための25ジュールの照射量では約250ジュールの余熱が生成される。
【0049】
図6に、二次元LED光源の一実施形態の概要を示す。本実施形態によれば、光源は128個の発光ダイオード・ダイを二次元配列したものであり、例えば、フロリダ州タンパのメディカル・ライティング・システムズ社から入手可能である。これらのダイは未加工の半導体発光デバイスであり、アセンブリもしくはパッケージの一部をなすものではないためレンズを備えていない。本願では、これらを「レンズなし」LEDと呼ぶ。尚、市販のLEDは、レンズを形成するように成形された封止部と、ダイ、ダイ搭載基板、導線を備えるランプ・アセンブリとして販売されることが多い。本発明の本実施形態によれば、ダイは熱伝導性のあるエポキシ樹脂によって銅放熱板200に接着される。この銅放熱板200は、ダイに通電したときにダイから熱を除去するものである。ワイヤーボンディングによって、即ち、32本の平行線を使ってダイとの電気的接触が形成される。ここで、それらの平行線の各々は4つのダイと直列に接続される。この各系列は、正に充電されたバスバー220と負に充電されたバスバー230にワイヤーボンディングにされる。これにより、一連の4つのダイに電流が流れる。これらのバスバーは銅放熱板とは電気的に絶縁されている。この構成によれば約16Vの電圧供給が必要となる。それぞれのダイの405nm光の出力は、駆動電流20mAのときに公称値4.5mWであり、アレイから約575mWの強い紫青色光を出力する。ダイは、実質的に20mAより高い電流で駆動される。これにより、適度に冷却されている限り、寿命が過度に短くなることなく2.5Wに達する光源を提供することができる。そのような適度な冷却には、銅製の放熱板との良好な接続と、その放熱板とその他の熱除去エレメントとの熱接続が必要になることがある。尚、一般的に、LEDは定格電流では非常に寿命が長いため、現実的には短命化の程度は許容範囲内のものであろう。
【0050】
別の一実施形態によれば、紫青色ダイオードレーザーを光源20として用いてもよい。例えば、ペンシルバニア州マウントヴィレのニチア・アメリカ社では、駆動電流70mAのときに光出力が30mWで、ピーク波長が400〜415nmの帯域で利用可能なダイオードレーザーを製造している(ニチア部品番号:NDHV310ACA)。従って、100mW、500mW、2.5Wの強い紫青色光の光源はそれぞれ、約3、約16、或いは約83個のダイオードレーザーを配列して作成することができる。適切な放熱板に良好に接続され、短命化の程度が許容範囲内であれば、LEDと同様にダイオードレーザーをより高い電流で駆動することができ、必要なダイオードレーザー数を減らすことができる。さらに、紫青色ダイオードレーザーは通常性能をさらに改善するための研究対象であり、ダイオードレーザーは本発明の実行可能な光源である。
【0051】
本発明の光源は、400〜420nmの帯域幅に出力が集中していることが最も好ましい。このことは、一般的にニキビの部位に最も有力と考えられているポルフィリンの吸収ピークと適合する。また、一般的に、この帯域は、クジェルドスタッド(Kjeldstad)とジョンソン(Johnsson)が1986年に報告した試験管内実験結果である412〜415nmがピークの作用スペクトルと適合する。また、400〜450nmというより広帯域幅の出力も可能である。
【0052】
光源は、紫青色帯域で少なくとも100mW/cmの出力パワーを有することが好ましく、紫青色帯域で少なくとも500mW/cmの出力パワーを有することがさらに好ましい。
【0053】
本発明のさらに別の一実施形態によれば、別の構成の光源20を利用してもよい。また、さらに別の一実施形態によれば、紫青色帯域の他に、例えば、ポルフィリン吸収性のある緑色帯域や黄色帯域や、抗炎症性に有効であると考えられる赤色帯域といった波長帯域の光エネルギーを放射することができる。
【0054】
図1に示す好適な一実施形態によれば、混合器30は出力ウィンドウ10によって吸収された熱を熱バッテリー40に伝達する機能も有する。混合器30の熱伝達率は、実際上、前回の露光中に皮膚から伝わりウィンドウ10に入る熱を、次の露光の開始前にウィンドウ10から確実に除去できる程高くなければならない。本発明の別の一実施形態によれば、混合器30、即ち、光混合・熱伝達部の機能は、2つの別々の構成要素によって実現することもできる。
【0055】
また、好適な一実施形態に係る装置は温度センサー50を利用してもよい。これにより、処置パルスを開始する前に、ウィンドウ10、混合器30、光源20、熱バッテリー40からなるアセンブリの過度の温度上昇を確実に防ぐことができる。処置用の数パルス後に過度の温度に到達することがある。照射前にウィンドウ10を室温より低い温度まで冷却する一実施形態に係る装置では、温度センサーはさらに重要である。このような一実施形態によれば、温度センサー50をウィンドウ10に近づけることが望ましい。それにより、皮膚に接触させる前にウィンドウを確実に適切な温度にすることができる。
【0056】
また、本発明の好適な一実施形態は、実質的に十分な熱容量をもつ物質からなる熱バッテリー40を備えている。これにより、10℃未満の温度上昇で、10秒間に10パルスもしくは100パルスで装置を動作させることが可能となる。この熱除去エレメントは、単純に、金属のかたまりであってもよい。あるいは、室温に近い温度で相変化を起こす物質を用いてもよい。これらの相変化物質は、温度上昇をほとんど引き起こさずに大量の熱を吸収することができる。室温に近い温度でもしくは皮膚温度に近い温度で相変化を起こすように設計された最適化物質は、オーストラリア、パースのTEAPエナジーなどの複数の製造業者から入手可能である。これらの物質は、熱を相変化物質に効率的に伝達するように設計された金属製のハウジング内に組み込まれていてもよい。約50J/cm/℃のエネルギー密度を有する相変化物質がすでに利用可能である。100回以上の露光による余熱を許容する熱バッテリーは廉価であり、ハンドヘルド型装置内に容易に組み込むことができる。別のタイプの熱バッテリーでは、COなどの圧縮物質を利用する。これは拡張時に冷えるので、より高温の温度源から熱エネルギーを吸収することができる。
【0057】
装置を室温環境に置くことによって、あるいは、装置を冷蔵庫に入れることによって、もしくは、熱バッテリー40から熱を積極的に伝達するように設計された第二の装置と接触するように装置を置くことによって、あるいは、圧縮物質を取り替えるかもしくは再圧縮することによって、あるいは、その他の再充電メカニズムを使うことによってその装置の熱バッテリー40を「再充電」することができる。
【0058】
本発明の別の一実施形態は、フィン付き放熱板とファンを備え、これにより、熱バッテリーから室内へ効率的に廃熱することができる。1ワット未満のハンドヘルド型装置に適合する放熱板とファンは、ニューヨーク州ペラムのウェイクフィールド・サーマル・ソリューションズなどの製造業者から入手可能である。フィン付き放熱板はハウジング外に外気に晒されてもよいが、エレメントはハウジング内に組み込むべきである。
【0059】
本発明のさらに別の一実施形態では、ペルティエ効果の装置として周知のニュージャージー州トレントンのメルコアから入手可能な熱電冷却モジュールを用いて熱バッテリー40からの熱を除去する。熱電冷却モジュールを用いた装置は小型の熱バッテリーを必要とするか、もしくは、熱バッテリーを必要としないものもある。
【0060】
本発明のさらに別の一実施形態は、装置から直接廃熱する熱除去エレメントとしてフィン付き放熱板とファンを備える。例えば、ファンによって冷却されるフィン付き放熱板に光源と出力ウィンドウを直接熱的に接続してもよい。そのような実施形態は、装置を熱的に再飽和させる必要がないという定常状態の条件で動作し、また、熱伝達という観点では無期限で動作することができる。また、本実施形態では熱電冷却モジュールを用いてもよい。
【0061】
また、本発明の好適な一実施形態はバッテリー60と制御用電子部品70を備える。500J/cmより大きなエネルギー密度を有するバッテリーは既に入手可能であり、100回以上の露光のために本発明に対してパワーを供給するバッテリーは廉価であり、ハンドヘルド型装置内に容易に組み込むことができる。別の一実施形態では、バッテリーもしくはバッテリーパックからではなく、メインパワーから電源供給してもよい。
【0062】
本発明の複数の実施形態によれば、光出力は、特に、レーザーダイオードを利用した光源の場合は、目に安全ではない可能性がある。この場合は、好適な複数の実施形態では、光拡散器を利用して光の積分放射輝度を目に安全な値まで下げる。拡散器はPTFEやオパールガラスなどの透過型拡散器を備えていてもよく、また、スペクトラロン(ラブスフィア社、ニューハンプシャー州、ノースサットン)などの反射型拡散器を備えていてもよい。その他の実施形態、例えば、上述したものと同様のレンズなしLEDアレイは、ここで議論している出力パワーレベルでの目の安全性を本質的に期待することができ、光拡散器を必要としないものである。
【0063】
本発明の好適な一実施形態は接触センサーを備え、装置が皮膚表面と実質的に接触するときにのみ光を放射することができる。接触センサーは出力ウィンドウ10と皮膚間の接触を表示するものであることが最も好ましい。これにより、出力ウィンドウ10は有効な放熱板を皮膚に確実に当てることができる。また、接触センサーは、不快なほど明るいかもしくは目に安全でないような周囲環境への出力を下げるように作用する。接触センサーは、機械式スイッチ、容量性スイッチ、圧電性物質、もしくはその他の方法で作成することができ、出力ウィンドウ10の周辺に配置されるセンサーを備えていてもよい。また、接触センサーは、皮膚などの対象上でのみ作用することが好ましい。これにより、メガネや平らな透過面に接触したとしても接触したことにはならない。このことは、平面や硬い面に接触しても接触センサーの作動ボタンが作動することがないように、例えば、作動ボタンをウィンドウ20の出力面下につけることによって達成される。また、接触センサーは、光出力のトリガとして働くことが最も好ましい。これにより、実質的に皮膚と接触したときに自動的に光出力が開始される。一定の露光時間の経過後に接触が途切れたとき、もしくは、その他の理由により光出力を終了することができる。接触時の自動トリガはユーザにとって便利なものであり、指で作動させるような個別のトリガが必要なくなる。
【0064】
好適な一実施形態、即ち、バッテリー駆動の実施形態は、ダイレクト・ドライブ構成でバッテリーから光源に直接パワーを供給するものである。ここで、「直接パワーを供給する」という言い回しと「ダイレクト・ドライブ」という言い回しは、バッテリーを貫流する瞬時電流と光源を貫流する瞬時電流とが特定の瞬間に実質的に等しくなることを意味する。この瞬時電流は、バッテリーから引き出された少量の電流が、制御用電子部品などの非光源構成要素に電源供給に使用されたときだけ異なる。
【0065】
本発明での利用に適する熱除去エレメント、熱バッテリー、放熱板、バッテリーパック、光拡散器、ダイレクト・ドライブバッテリー電源供給構成、上述した構成要素を制御する回路の詳細については、上述したクロスリファレンスの出願で詳述している。
【0066】
熱計算の詳細
装置と皮膚の有限要素モデルを作成することによって、皮膚の露光前、露光中、露光後に起こる熱伝達をシミュレーションした。様々なケースをモデル化した。本願では、4つのケースが含まれている。それらはケース1、ケース2、ケース3、ケース4と呼ばれ、それぞれ、図2、図3、図4、図5に結果のグラフを示す。図2から図5は皮膚およびウィンドウの温度対位置の関係を示すグラフである。位置x=0から左側の領域は皮膚を示す。位置x=0から右側の領域は、空気(ケース1)もしくは皮膚に接触するウィンドウ(ケース2、ケース3、ケース4)のいずれかを示す。
【0067】
いずれの場合も、これらの計算のために初期皮膚温度は37℃である。ケース1を除くいずれの場合も、時間t=−10sのときに装置の出力ウィンドウを皮膚に接触させ、皮膚に対する照射前の10秒間皮膚に接触したままにする。ケース1では、ウィンドウを皮膚に接触させない状態での処置をシミュレートする。即ち、皮膚に接触しているのは空気のみである。ケース2およびケース3では、初期のウィンドウ温度は37℃であり、これは皮膚温度の公称値である。ケース4では、初期ウィンドウ温度は5℃である。いずれのケースでも、時間t=0秒で照射を開始する。ケース1、2、3では、2.5W/cmの強度の光を10秒間皮膚に照射する。ケース4では、12.5W/cmの強度の光を2秒間皮膚に照射する。いずれのケースでも、皮膚での有効吸収長0.3mmを使って入射光の吸収をモデル化した。この有効吸収長0.3mmは皮膚内での、約405nm光に対するものである。
【0068】
図2に示されたケース1の結果を示すグラフからわかるように、空気のみが皮膚に接触しているときは皮膚温度は80℃を超えて最大温度に達する。80℃という温度は皮膚に損傷を与えるしきい値を超えており、痛みを伴うものである。
【0069】
図3のケース2の結果を示すグラフは、照射用のパルスが出される前に厚さが5mmで初期温度が37℃のサファイヤ・ウィンドウを10秒間皮膚に接触させたときの最大皮膚温度が約52℃であることを単に示している。この温度は皮膚に損傷を与えるしきい値よりも低い。それは熱いと感じが、容易に我慢でき、痛みはほんのわずかであるかもしくは全く痛みがないものである。
【0070】
図4のケース3の結果を示すグラフは、ガラスの熱拡散性が低いため、厚さが5mmで初期温度が37℃のガラス・ウィンドウがサファイヤと同様の性能がでなかったことを示している。時間t=10秒でのガラス・ウィンドウの温度の傾きは、照射用のパルスが出力されている間は熱がガラス裏面に効果的に伝達されなかったことを示している。ケース3での最大皮膚温度は約63℃である。
【0071】
最後に、図5のケース4の結果を示すグラフは、皮膚に接触させる前にサファイヤ・ウィンドウを5℃まで冷却することによって、これまでの3つのケースよりもさらに強い12.5W/cmの照射中でさえ最大皮膚温度は45℃未満であることを示している。
【0072】
これらのシミュレーションから、皮膚の露光前もしくは露光中に皮膚と接触する出力ウィンドウを備える装置は、皮膚の熱損傷を防ぐという点においては有効であることは明らかである。
【0073】
本発明の一例を示す図や特定の実施形態について説明してきたが、本発明の範囲はこれらの特定の実施形態に限定されるものではない。従って、実施形態は限定的なものではなく例示的なものであるとみなされるべきであって、当業者であれば添付の請求項とそれと構成上また機能的に等価なともので示されている本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施形態の変形例に想到できることが分かる。
【0074】
また、好適な実施形態に基づいて実施可能である上述の方法に基づく処理については選択された印刷シーケンスで既に記述した。しかしながら、印刷上の便宜からそれらのシーケンスが選択され順序付けられており、それは、請求項に明白に記載されていないかもしくは当業者が必要とすると判断しない限りその処置動作の順序を暗示するものではない。
【0075】
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http://www.washburn.edu/cas/chemistry/sleung/porphyrin/porphyrin_page.html
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態の概略を示す図である。
【図2】第1の条件設定で皮膚温度を計算した結果を示すグラフである。
【図3】第2の条件設定で皮膚温度を計算した結果を示すグラフである。
【図4】第3の条件設定で皮膚温度を計算した結果を示すグラフである。
【図5】第4の条件設定で皮膚温度を計算した結果を示すグラフである。
【図6】本発明での利用に適した発光ダイオードを備える光源の一実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニキビ処置用の皮膚病学的装置であって、
主に400〜450nmの波長帯域の光を生成する光源と、
出力ウィンドウであって、前記光が当該出力ウィンドウを通って出力され、前記光が当該出力ウィンドウを通って出力されるときに処置を受ける対象の表皮に接触するように構成される、当該出力ウィンドウとを備え、
前記出力ウィンドウの出力面での前記光の強度は少なくとも100mW/cmであり、
前記表皮と前記出力ウィンドウ間の接触によって、前記光による表皮で起こる温度上昇を実質的に低下させるような熱伝導が、前記出力ウィンドウで起こる
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記光源は、ダイオード光源を具備する
ことを特徴とする請求項1の皮膚病学的装置。
【請求項3】
前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項4】
前記1つ以上の発光ダイオードはレンズなしのものであって、2つ以上の場合は2次元アレイとして配列される
ことを特徴とする請求項3の皮膚病学的装置。
【請求項5】
前記光源は、ダイオードレーザーを具備する
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項6】
前記光は光路に沿って伝搬し、
前記光の積分放射輝度を目に安全な値まで下げるための光拡散器が、前記光路に沿って配置される
ことを特徴とする請求項5の皮膚病学的装置。
【請求項7】
前記光拡散器は、透過型である
ことを特徴とする請求項6の皮膚病学的装置。
【請求項8】
前記光拡散器は、反射型である
ことを特徴とする請求項6の皮膚病学的装置。
【請求項9】
前記出力面における前記光の強度は、500mW/cmより大きい
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項10】
前記出力面における前記光のスポット・サイズは、5cmより小さい
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項11】
前記出力ウィンドウは、表皮温度の公称値よりも低い温度に維持されている
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項12】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項11の皮膚病学的装置。
【請求項13】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項12の皮膚病学的装置。
【請求項14】
前記出力ウィンドウは、ほぼ表皮温度の公称値に維持されている
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項15】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項14の皮膚病学的装置。
【請求項16】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項15の皮膚病学的装置。
【請求項17】
前記光源による光の生成を制御するために接続された接触センサーをさらに具備し、
前記接触センサーと接触面とが実質的に接触したときのみ、前記出力ウィンドウから光を放射するように制御される
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項18】
実質的な接触がされたときに、前記光源が自動的に誘発され、前記出力ウィンドウから前記光が放射される
ことを特徴とする請求項17の皮膚病学的装置。
【請求項19】
前記出力ウィンドウに結合された熱バッテリーをさらに具備し、
前記熱バッテリーは、金属、相変化物質、圧縮物質のうちの1つ以上を備える
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項20】
熱電冷却モジュールをさらに具備する
ことを特徴とする請求項2の皮膚病学的装置。
【請求項21】
コードレスの内蔵型ニキビ処置用の皮膚病学的装置であって、
ハンドヘルド操作用に構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に組み込まれた1つ以上のバッテリーと、
前記ハウジング内に組み込まれ、前記バッテリーから電源を供給され、実質的に400〜450nmの波長帯域の光を生成する光源と、
前記光が放射される出力ウィンドウであって、前記光が前記出力ウィンドウから放射されるときに治療を受ける対象の表皮に接触するように構成される当該出力ウィンドウと、
前記ハウジング内に組み込まれた熱除去エレメントとを具備し、
前記出力ウィンドウの出力面における前記光の強度は、少なくとも100mW/cmであり、
前記コードレス装置の総重量は1キログラム未満であり、容積は1500cmよりも小さいものであり、
前記光による前記表皮での温度上昇は、前記表皮および前記出力ウィンドウ間の接触により実質的に低下する
ことを特徴とする装置。
【請求項22】
前記熱除去エレメントは、1つ以上の熱バッテリー、或いは1つ以上のフィン付き放熱板、又はその両方を具備する
ことを特徴とする請求項21のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項23】
前記光源は、ダイオード光源を具備する
ことを特徴とする請求項22のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項24】
前記光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項25】
前記1つ以上の発光ダイオードは、レンズなしでのものであって、2つ以上の場合は、2次元アレイに配列される
ことを特徴とする請求項24のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項26】
前記光源は、ダイオードレーザーを具備する
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項27】
前記光は光路に沿って伝搬し、
さらに、前記光の積分放射輝度を目に安全な値まで下げるための光拡散器が、前記光路に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項26のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項28】
前記光拡散器は、透過型である
ことを特徴とする請求項27のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項29】
前記光拡散器は、反射型である
ことを特徴とする請求項27のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項30】
前記出力面での前記光の強度は、500mW/cm2より大きい
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項31】
前記出力面での前記光のスポット・サイズは、5cm2より小さい
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項32】
前記出力ウィンドウは、表皮温度の公称値より低い温度に維持されている
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項33】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項32のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項34】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項33のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項35】
前記出力ウィンドウは、ほぼ表皮温度の公称値に維持されている
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項36】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項35のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項37】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項37のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項38】
前記光源による光の生成を制御するために結合された接触センサーをさらに具備し、
前記接触センサーと接触面とが実質的に接触したときのみ前記出力ウィンドウから光が放射されるように制御される
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項39】
実質的な接触がされたときに前記光源は自動的に誘発され、前記出力ウィンドウから前記光が放射される
ことを特徴とする請求項38のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項40】
前記出力ウィンドウに結合された熱バッテリーをさらに具備し、
前記熱バッテリーは、金属、相変化物質、圧縮物質のうちの1つ以上を備える
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項41】
熱電冷却モジュールをさらに具備する
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項42】
前記光源に通電するダイレクト・ドライブ電気回路をさらに具備する
ことを特徴とする請求項23のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項43】
ニキビ処置用皮膚病学的装置であって、
400〜450nmの波長帯域の光を生成するダイオード光源と、
前記光が出力される出力ウィンドウであって、前記光が前記出力ウィンドウから出力されるときに処置を受ける対象の表皮に接触するように構成される、当該出力ウィンドウとを具備し、
前記出力ウィンドウの出力面での前記光の強度は、少なくとも100mW/cmであり、
前記出力面での前記光のスポット・サイズは、25cm未満であり、
前記表皮および前記出力ウィンドウ間の接触により、前記光による前記表皮の温度上昇は、実質的に低下する
ことを特徴とする装置。
【請求項44】
前記ダイオード光源は、1つ以上の発光ダイオードを具備する
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項45】
前記1つ以上の発光ダイオードは、レンズなしのものであって、2つ以上の場合は2次元アレイに配列される
ことを特徴とする請求項44の皮膚病学的装置。
【請求項46】
前記光源は、ダイオードレーザーを具備する
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項47】
前記光は光路に沿って伝搬し、
さらに、光の積分放射輝度を目に安全な値まで下げるための光拡散器が前記光路に沿って配置される
ことを特徴とする請求項46の皮膚病学的装置。
【請求項48】
前記光拡散器は、透過型である
ことを特徴とする請求項47の皮膚病学的装置。
【請求項49】
前記光拡散器は、反射型である
ことを特徴とする請求項47の皮膚病学的装置。
【請求項50】
前記出力面における前記光の強度は、500mW/cmより大きい
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項51】
前記出力面における前記光のスポット・サイズは、5cmより小さい
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項52】
前記出力ウィンドウは、公称表皮温度より低い温度に保持されている
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項53】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項52の皮膚病学的装置。
【請求項54】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項53の皮膚病学的装置。
【請求項55】
前記出力ウィンドウは、ほぼ公称表皮温度に維持されている
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項56】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、またはガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項55の皮膚病学的装置。
【請求項57】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項56の皮膚病学的装置。
【請求項58】
前記光源による光の生成を制御するために接続された接触センサーをさらに具備し、
前記接触センサーと接触面とが実質的に接触したときのみ前記出力ウィンドウから光が放射されるように制御される
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項59】
実質的な接触がされたときに前記光源は自動的に誘発され、前記出力ウィンドウから前記光が放射される
ことを特徴とする請求項58の皮膚病学的装置。
【請求項60】
前記出力ウィンドウに結合される熱バッテリーをさらに具備し、
前記熱バッテリーは、金属、相変化物質、あるいは圧縮物質のうちの1つ以上を備える
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項61】
熱電冷却モジュールをさらに具備する
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項62】
コードレスの内蔵型ニキビ処置用の皮膚病学的装置であって、
ハンドヘルド操作用に構成されたハウジングと、
前記ハウジング内に組み込まれ、400〜450nmの波長帯域の光を生成するダイオード光源と、
前記ハウジング内に組み込まれ、前記ダイオード光源に電源を供給するために結合される1つ以上のバッテリーと、
前記ハウジング内に組み込まれ、前記ハウジング内に組み込まれた1つ以上のバッテリー、或いは前記ハウジング内に組み込まれた1つ以上のフィン付き放熱板、又はその両方を備える熱除去エレメントと、
前記光が放射される出力ウィンドウであって、前記光が前記出力ウィンドウから放射されるときに治療を受ける対象の表皮に接触するように構成される当該出力ウィンドウとを具備し、
前記出力ウィンドウの出力面における前記光の強度は、少なくとも100mW/cmであり、
前記出力面での前記光のスポット・サイズは10cm未満であり、
前記表皮および前記出力ウィンドウ間の接触により、前記光による前記表皮の温度上昇が実質的に低下する
ことを特徴とする装置。
【請求項63】
前記ダイオード光源は1つ以上の発光ダイオードを具備する
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項64】
前記1つ以上の発光ダイオードは、レンズなしのものであって、2つ以上の場合は2次元アレイに配列される
ことを特徴とする請求項63のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項65】
前記光源は、ダイオードレーザーを具備する
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項66】
前記光は光路に沿って伝搬し、
さらに、前記光の積分放射輝度を目に安全な値まで下げるための光拡散器が前記光路に沿って配置される
ことを特徴とする請求項65のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項67】
前記光拡散器は、透過型である
ことを特徴とする請求項66のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項68】
前記光拡散器は、反射型である
ことを特徴とする請求項66のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項69】
前記出力面における前記光の強度は、500mW/cm2より大きい
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項70】
前記出力面での前記光のスポット・サイズは、5cm2より小さい
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項71】
前記出力ウィンドウは、表皮温度の公称値より低い温度に維持されている
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項72】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備える
ことを特徴とする請求項71のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項73】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項72のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項74】
前記出力ウィンドウは、ほぼ表皮温度の公称値に維持されている
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項75】
前記出力ウィンドウは、サファイヤ、石英ガラス、溶融石英、高分子材料、ガラスから選択された材料を備えることを特徴とする、請求項74のコードレスの独立型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項76】
前記出力ウィンドウは、サファイヤを備える
ことを特徴とする請求項75のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項77】
前記光源による光の生成を制御するために接続された接触センサーをさらに具備し、
前記接触センサーと接触面とが実質的に接触したときにのみ前記出力ウィンドウから光が放射されるように制御される
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項78】
実質的な接触がされたときに前記光源は自動的に誘発され、前記出力ウィンドウから前記光が放射される
ことを特徴とする請求項77のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項79】
前記熱バッテリーは、金属、相変化物質、圧縮物質のうちの1つ以上を備える
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項80】
熱電冷却モジュールをさらに具備する
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項81】
前記光源に通電するダイレクト・ドライブ電気回路をさらに具備する
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型ニキビ処置用皮膚病学的装置。
【請求項82】
前記表皮の温度上昇は、25℃以下である
ことを特徴とする請求項1の皮膚病学的装置。
【請求項83】
前記表皮の温度上昇は、25℃以下である
ことを特徴とする請求項21のコードレスの内蔵型皮膚病学的装置。
【請求項84】
前記表皮の温度上昇は、25℃以下である
ことを特徴とする請求項43の皮膚病学的装置。
【請求項85】
前記表皮の温度上昇は、25℃以下である
ことを特徴とする請求項62のコードレスの内蔵型皮膚病学的装置。
【請求項86】
ニキビ処置方法であって、
処置対象の皮膚に出力ウィンドウを接触させて配置し、
前記出力ウィンドウを通して前記出力ウィンドウから400〜450nmの波長帯域の光を出力し、前記出力ウィンドウの出力面での前記光の強度は少なくとも100mW/cmであり、
前記光によって表皮で起こる温度上昇が、前記表皮と前記出力ウィンドウとの間の接触によって実質的に低下するように、前記出力ウィンドウを通して熱を伝導することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項87】
前記出力ウィンドウの温度を、表皮温度の公称値より低い温度に維持することを含む
ことを特徴とする請求項86の方法。
【請求項88】
前記出力ウィンドウの温度を、ほぼ表皮温度の公称値に維持することをふくむ
ことを特徴とする請求項86の方法。
【請求項89】
前記熱を伝導するステップは、前記表皮の温度上昇が25℃以下になるように十分熱を伝導させることを含む
ことを特徴とする請求項86の方法。
【請求項90】
前記出力ウィンドウと前記表皮との接触が接触センサーによって感知されない限り、前記出力ウィンドウから光の放射を禁止することをさらに含む
ことを特徴とする請求項86の方法。
【請求項91】
前記光の積分放射輝度を目に安全なレベルまで下げるように、前記光を拡散することをさらに含む
ことを特徴とする請求項86の方法。
【請求項92】
ニキビ処置装置を構成する方法であって、
(a)ハンドヘルド操作用に構成されたハウジング内に
(i)400〜450nmの波長帯域の光を生成するダイオード光源と、
(ii)1つ以上のバッテリーと、
(iii)熱除去エレメントと、
(iv)出力ウィンドウであって、当該出力ウィンドウを通して前記光を出力する、当該出力ウィンドウとを供給し、
(b)前記出力ウィンドウの出力面での前記光の強度が少なくとも100mW/cmになるように、前記1つ以上のバッテリーからのみ前記ダイオード光源に通電し、
(c)表皮と接触するように前記出力ウィンドウを構成し、
(d)前記表皮と前記出力ウィンドウとの間の接触によって、前記光により表皮で起こる温度上昇が実質的に低下するように前記出力ウィンドウを通して熱を伝導することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項93】
前記熱を伝導することは、前記表皮の温度上昇が25℃以下になるように十分熱を伝導させることを含む
ことを特徴とする請求項92の方法。
【請求項94】
前記出力ウィンドウの温度を、表皮温度の公称値より低い温度に維持することを含む
ことを特徴とする請求項92の方法。
【請求項95】
前記出力ウィンドウの温度を、ほぼ表皮温度の公称値に維持することを含む
ことを特徴とする請求項92の方法。
【請求項96】
前記接触センサーによって前記出力ウィンドウと前記表皮との間の接触が感知されない限り、前記出力ウィンドウからの光の放射が禁止されるように、前記ハウジング上に出力センサーを配置することをさらに含む
ことを特徴とする請求項92の方法。
【請求項97】
前記出力ウィンドウの出力面で出力される光のスポット・サイズが、10cm未満となるように構成することをさらに含む
ことを特徴とする請求項92の方法。
【請求項98】
前記光の積分放射輝度を目に安全なレベルまで下げるように、前記光を拡散することをさらに含む
ことを特徴とする請求項92の方法。
【請求項99】
ニキビ処置装置を操作する方法であって、
前記装置は、ハンドヘルド操作用に構成されたハウジングと、400〜450nmの波長帯域の光を生成するダイオード光源と、1つ以上のバッテリーと、熱除去エレメントと、前記光を出力する出力ウィンドウとを具備し、前記出力ウィンドウは表皮と接触するように構成され、
(a)前記1つ以上のバッテリーからのみ前記ダイオード光源に通電し、
(b)前記出力ウィンドウの出力面で少なくとも100mW/cmの強度の光が生成されるように前記ダイオード光源に通電し、
(c)前記表皮と前記出力ウィンドウとの間の接触によって前記光により表皮で起こる温度上昇が実質的に低下するように、前記出力ウィンドウから熱を伝導することを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項100】
前記出力ウィンドウと前記表皮との接触が接触センサーによって感知されない限り、前記出力ウィンドウから光の放射を禁止することをさらに含む
ことを特徴とする請求項99の方法。
【請求項101】
前記光の積分放射輝度を目に安全なレベルまで下げるように前記光を拡散することをさらに含む
ことを特徴とする請求項99の方法。
【請求項102】
前記熱を伝導することは、前記熱除去エレメントを、前記出力ウィンドウに熱的に結合することを含む
ことを特徴とする請求項99の方法。
【請求項103】
前記出力ウィンドウの出力面で出力される光のスポット・サイズが10cm未満となるように構成することをさらに含む
ことを特徴とする請求項99の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−518614(P2006−518614A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501192(P2006−501192)
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/005525
【国際公開番号】WO2004/075731
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(505318905)スペクトラジェニクス インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】