説明

ニコチン酸及びピコリン酸誘導近赤外線蛍光団

【課題】ニコチン酸及びピコリン酸誘導近赤外線蛍光団を提供すること。
【解決手段】本発明は、カルボキシル含有ピリジン環で修飾されるポリメチンリンカー架橋を有する蛍光色素化合物であって、600nm〜900nmのスペクトル範囲において強力な蛍光を生成することができ、且つ染料を共有結合標識に好適なものとする官能基及び/又は可溶化基を含有する、化合物を対象とし、特に生体分子及びその他の標的物質を対象とする。別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物に化学結合する1つ以上の生体分子を含む生体適合性蛍光分子を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国仮特許出願第60/714,074号(2005年9月2日出願)の優先権を主張する。
【0002】
上記出願の全教示は、本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
光学イメージングは、画像の作成に透過光の光線を使用する革新的な臨床イメージング様式である。赤色及び近赤外(NIR)範囲(600〜1200nm)のを使用することで、組織透過性を最大限にし、ヘモグロビン及び水等の天然の生物学的吸収物質からの吸収を最小限にすることができる(非特許文献1;Tromberg,et al.,Phil.Trans.R.Soc.London B 352:661−667,1997)。
【0004】
光学イメージング法は、非侵襲性であるだけでなく、その他のイメージング法よりも優れた幾つかの利点がある;即ち、一般的には高感度であり、被験対象又は実験担当者を電離放射線に曝露する必要がなく、複数の区別可能プローブを同時に使用することができ(分子イメージングで重要)、時間的及び空間的に高解像度である(それぞれ機能イメージング及びin vivo顕微鏡検査で重要)を与える。
【0005】
蛍光イメージングでは、フィルタリングした光又は所定の帯域幅を有するレーザーを、励起光源として使用する。励起光は身体組織を通過する。励起光がレポーター分子(即ち、造影剤又はイメージング剤)と遭遇すると、これは励起光とは検出可能に異なる性質を有する。その結果得られた放射光線を画像の構築に使用することができる。
【0006】
大部分の光学イメージング法は、レポーター分子としての有機及び無機の蛍光分子の使用に依存している。
【0007】
蛍光色素は一般的に知られており、蛍光標識に、並びに蛍光顕微鏡検査、蛍光免疫学的検定試験及びフローサイトメトリー等の操作法による種々の生物学的及び非生物学的物質の検出に使用されている。蛍光色素を使用してこのような物質を標識する一般的な方法には、染料分子上の好適な基と標識する物質上の適合する基との結合によって蛍光錯体を形成する方法がある。この方法では、細胞、組織、アミノ酸、タンパク質、抗体、薬剤、ホルモン、ヌクレオチド、核酸、脂質及び多糖等の物質が化学的に標識され、検出又は定量される場合もあれば、標的物質に特異的に結合できる蛍光プローブとして使用され、蛍光検出法により検出される場合もある。高輝度の蛍光色素は、結合した物質を高感度で検出又は特定することができる。
【0008】
特定のカルボシアニン又はポリメチン染料は、種々の生物学的用途における標識試薬としての有用性が明らかにされている(例えば、何れも参考として本明細書で援用される、特許文献1(Southwick,et al.;1991年);米国特許第5,268,486号(Waggoner,et al.;1993年);米国特許第5,569,587号(Waggoner;1996年);米国特許第5,569,766号(Waggoner,et al.;1996年);米国特許第5,486,616号(Waggoner,et al.;1996年);米国特許第5,627,027号(Waggoner;1997年);米国特許第5,808,044号(Brush,et al.;1998年);米国特許第5,877,310号(Reddington,et al.;1999年);米国特許第6,002,003号(Shen,et al.;1999年);米国特許第6,004,536号(Leung,et al.;1999年);米国特許第6,008,373号(Waggoner,et al.;1999年);米国特許第6,043,025号(Minden,et al.;2000年);米国特許第6,127,134号(Minden,et al.;2000年);米国特許第6,130,094号(Waggoner,et al.;2000年);米国特許第6,133,445号(Waggoner,et al.;2000年);並びに国際特許第WO
97/40104号、第WO 99/51702号、第WO 01/21624号;並びに欧州特許第EP 1 065 250 Al号;並びにTetrahedron Letters 41,9185−88(2000))。
【0009】
ポリメチン染料に関する包括的な考察については、非特許文献2;L.G.S.Brooker,“The Theory of the Photographic Process” Mees Ed.,Macmillan,New York,(1966),p.198;Frances M.Hamer,“The Chemistry of Heterocyclic Compounds”,Vol 18,“The Cyanine Dyes and Related Compounds”,Weissberger,Ed,Wiley Interscience,New York,(1964);G.E.Ficken,“The Chemistry of Synthetic Dyes”,Vol 4,K.Venkataraman Ed.,Academic Press,New York,(1971),p.211;A.I.Kiprianov,Usp.Khim.,29,1336,(1960),35,361(1966),40,594(1971);D.W.Heseltine,“The Theory of the Photographic Process”,4th edition,James Ed.,Macmillan,New York,(1977),chapter 8,“Sensitising and Desensitising Dyes”; S.Daehne,Phot.Sci.Eng.,12,219(1979);D.J.Fry,“Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds”,“Cyanine Dyes and Related Compounds”,Vol.IVb,chapter 15,p.369 Elsevier,Amsterdam,(1977);Supplement to Vol.IVb,2nd Edition(1985),p.267;H.Zollinger,“Color Chemistry”,VCH,Weinheim(1987),chapters3 and 14;D.M.Sturmer,“The Chemistry of Heterocyclic Compounds”,“Special Topics in Heterocyclic Chemistry”,chapter VIII,“Synthesis and Properties of Cyanine and Related Dyes”,Weissberger Ed.,Wiley,New York,(1977);“The Kirk−Othmer Encyclopaedia of Chemical Technology” Vol 7,p.782,“Cyanine Dyes”,Wiley,New−York,(1993)に記載されている。
【0010】
標識として有用であるには、染料は官能基を含有する好適な側鎖を有する必要がある。別の分子とのコンジュゲーション又は結合のために官能基を含有する側鎖を構造内に導入するための方法及び部位は、標識試薬としての染料の使用に関する本発明の革新的な手順である。一般的には、架橋又は精製の問題を回避するために、このように官能化された側鎖が1つのみ使用される。ポリメチン標識試薬の設計における一態様は、以下の化学式(I)の通り、官能化された側鎖を染料の複素環核の1つに結合させる方法である:
【0011】
【化15】


(例えば、非特許文献3;R.B.Mujumdar,L.A.Ernst,S.R.Mujurndar,and A.S.Waggoner,“Cyanine Dye Labelling Reagents Containing Isothiocyanate Groups”,Cytometry,10,11(1989);L.A.Ernst,R.K.Gupta,R.B.Mujumdar,and A.S.Waggoner,“Cyanine Dye Labelling Reagents for sulphydryl Groups”,Cytometry,10,3,(1989);P.L.Southwick P.L.,L.A.Ernst,E.W.Tauriello,S.R.Parker,R.B.Mujumdar,S.R.Mujumdar,H.A,Clever,and A.S.Waggoner,“Cyanine Dye Labelling Reagents−Carboxymethylindocyanine Succinimidyl Esters”,Cytometry 11,418(1990);R.B.Mujumdar,L.A.Ernst,Swati R.Mujumdar,C.J.Lewis,and A.S.Waggoner,“Cyanine Dye Labelling Reagents:Sulfoindocyanine Succinimidyl Esters”,Bioconjugate Chemistry,4,105,(1993);A.J.G.Mank,E.J.Molenaar,H.Lingeman,C.Goojer,U.A.Th.Brinkman,and N.H.Velthorst,“Visible Diode Laser Induced Fluorescence Detection in Liquid Chromatography after Precolumn Derivatisation of Thiols”,Anal.Chem.,65,2197,(1993);H.Yu.,J.Chao,D.Patek,S.R.Mujumdar,and A.S.Waggoner,“Cyanine dye dUTP analogs for enzymatic labelling of DNA Probes”,Nucl.Acids Res 22,3226,(1994);Z.Zho,J.Chao,H.Yu,and A.S.Waggoner,“Directly labelled DNA probes using fluorescent nucleotides with different length linkers”,Nucl.Acids,Res,22,3226.A.J.G.Mank,H.T.C.van der Laan,H.Lingeman,Cees Goojer,U.A.Th.Brinkman,and N.H.Velthorst,“Visible Diode Laser−Induced Fluorescence Detection in Liquid Chromatography after Precolumn Derivatisation of Amines”,Anal.Chem.,67,1742,(1995);S.R.Mujumdar,R.B.Mujumdar,C.M.Grant,and A.S.Waggoner,“Cyanine Labelling Reagents:sulfobenzoindocyanine succinimidyl esters”,Bioconjugate Chemistry,7,356,(1996).Patent Literature:P.L.Southwick,and A.S.Waggoner,“Intermediate for and Fluorescent Cyanine Dyes containing Carboxylic Acid Groups”;特許文献1(1991年1月1日);A.S.Waggoner,L.A.Ernst,and Mujumdar,R.B.,“Method for Labelling and Detecting Materials Employing Arylsulfonate Cyanine Dyes”;米国特許第5,268,486号(1993年12月7日);A.S.Waggoner,“Cyanine Dyes as Labelling Reagents for Detection of Biological and Other
Materials by Luminescence Methods”;米国特許第5,627,027号(1996年5月6日);A.S.Waggoner,and R.B.Mujumdar,“Rigidised Trimethine Cyanine Dyes”;国際特許第WO99/311181号;G.−Y.Shen,T.S.Dobashi,“Cyanine Dye Activating Group with Improved Coupling Selectivity”;T.S.G.M.Little,R.Raghavachari;N.Narayanan;H.L.Osterman,“Fluorescent Cyanine Dyes”;米国特許第6,027,709号(2000年2月22日)を参照)。
これらの標識試薬の調製に必要となる一般的な合成法は、以下の通りである。まず、4級化窒素複素環Zを調製した後、この複素環式塩基をPhNH−(CH=CH)−CH=NHPh.HCl又は RO−(CH=CH)−CH(OR)(式中、Phはフェニル環であり、Rはメチル又はエチル基である)等の求電子試薬であるポリメチンリンカー(PML)と反応させて、いわゆるヘミシアニン染料であるZ−(CH=CH)NHPh又はZ−(CH=CH)NAcPh(式中、Acはアセチル基である)又はZ−(CH=CH)−ORを得る。次いで、これらの中間体を異なる4級化窒素複素環Zと反応させる。このように官能化された側鎖は、第1又は第2の4級化窒素複素環の何れかに結合することができる。
しかしながら、これらのヘミシアニン中間体は、良好な収率及び/又は純粋な形態で得ることが難しい場合がある(例えば、非特許文献4;及びR.B.Mujumdar,L.A.Ernst,Swati R.Mujumdar,C.J.Lewis,and A.S.Waggoner,“Cyanine Dye Labelling Reagents:Sulfoindocyanine Succinimidyl Esters”,Bioconjugate Chemistry,4,105,(1993)を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,981,977号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Wyatt,Phil.Trans.R.Soc.London B 352:701−706,1997
【非特許文献2】L.G.S.Brooker,“The Theory of the Photographic Process” Mees Ed.,Macmillan,New York,(1942),p.987
【非特許文献3】J.S.Lindsey,P.A.Brown,and D.A.Siesel,“Visible Light−Harvesting in Covalently−Linked Porphyrin−Cyanine Dyes”,Tetrahedron,45,4845,(1989)
【非特許文献4】F.M.Hamer,“Some Unsymmetrical Pentamethincyanine Dyes and their Tetramethin Intermediates”,J.Chem.Soc.,32(1949)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、効率的且つ容易に産生することができ、並びに生体分子とのコンジュゲートを調製するのに好適であるポリメチン染料が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(発明の要旨)
約440〜約1100nmで吸収及び発光する高輝度の高蛍光性染料である、ポリメチンリンカー架橋を有する蛍光色素化合物が今回発見された。
【0016】
本発明は、カルボキシル含有ピリジン環で修飾されるポリメチンリンカー架橋を有する蛍光色素化合物であって、600nm〜900nmのスペクトル範囲において強力な蛍光を生成することができ、且つ染料を共有結合標識に好適なものとする官能基及び/又は可溶化基を含有する、化合物を対象とし、特に生体分子及びその他の標的物質を対象とする。
【0017】
一実施形態において、本発明は、以下の化学式(2)により表されるポリメチン蛍光色素化合物であって:
【0018】
【化16】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩を対象とする。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、化学式(2)により表されるポリメチン蛍光色素化合物であって:
式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩を対象とする。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物に化学結合する1つ以上の生体分子を含む生体適合性蛍光分子を対象とする。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物に化学結合する生体分子を含む生体適合性蛍光分子であって、該化合物が約500nm〜約900nmの吸収及び発光最大値を有する、蛍光分子を対象とする。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物に化学結合する生体分子を含む生体適合性蛍光分子であって、該生体適合性蛍光分子が標的相互作用後に活性化される、蛍光分子を対象とする。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物に化学結合する生体分子を含む生体適合性蛍光分子であって、該生体適合性蛍光分子が標的への高い結合親和性を有する、蛍光分子を対象とする。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、
(a)本発明の化合物又は生体適合性蛍光分子を対象に投与する;
(b)化合物又は生体適合性蛍光分子が対象内に拡散するか、生物学的標的と接触又は相互作用するための時間を設ける;
(c)化合物又は生体適合性蛍光分子により吸収可能な波長の光を対象に照射する;及び(d)化合物又は生体適合性蛍光分子により発光される光学シグナルを検出する;
ことを含む、in vivo光学イメージング法を対象とする。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、本発明の化合物に化学結合する生体分子を含む生体適合性蛍光分子であって、該生体適合性蛍光分子が標識細胞である、蛍光分子を対象とする。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の化学式(2)の化合物であって:
【化1】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩。
(項目2)
a)Q上の前記カルボキシル置換基が、エステル、活性化エステルからなる群から選択されるか;又は
b)Q上の前記カルボキシル置換基が、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−スクシンイミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾリル及びCO−Op−ニトロフェニルからなる群から選択され;且つ
c)Q上の前記カルボニル置換基が、ハロゲン化カルボニルの形態である、
項目1に記載の方法。
(項目3)
Qがカルボキシル置換窒素含有複素環式環である、項目2に記載の化合物。
(項目4)
Qが、カルボキシル置換ピリジン、ピリミドン、ピラジン及びピリダジンからなる群から選択される、項目3に記載の化合物。
(項目5)
Qがカルボキシル置換ピリジンである、項目4に記載の化合物。
(項目6)
Qが、イソニコチン酸、ニコチン酸及びピコリン酸からなる群から選択される、項目5に記載の化合物。
(項目7)
Qが、以下からなる群から選択される構造式で表される:
【化2】



項目6に記載の化合物。
(項目8)
Qがカルボニル置換窒素含有6員複素環式環である、項目1に記載の化合物。
(項目9)
Qがカルボニル置換ピリジンである、項目8に記載の化合物。
(項目10)
前記部分R〜Rの少なくとも1つが、スルホン酸部分又はスルホン酸塩部分であるか、これを含有する、項目1に記載の化合物。
(項目11)
及びRが独立して、−H、(CHSO又は(CHSOHである、項目1に記載の化合物。
(項目12)
以下の化学式の何れかを有する:
【化3】



項目1に記載の化合物。
(項目14)
以下の化学式の何れかを有する:
【化4】



項目1に記載の化合物。
(項目15)
以下の化学式(2)の化合物であって:
【化5】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩。
(項目16)
a)Q上の前記カルボキシル置換基が、エステル、活性化エステルからなる群から選択されるか;又は
b)Q上の前記カルボキシル置換基が、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−スクシンイミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾリル及びCO−Op−ニトロフェニルからなる群から選択され;且つ
c)Q上の前記カルボニル置換基が、ハロゲン化カルボニルの形態である、
項目15に記載の方法。
(項目17)
Qがカルボキシル置換窒素含有複素環式環である、項目15に記載の化合物。
(項目18)
Qが、カルボキシル置換ピリジン、ピリミドン、ピラジン及びピリダジンからなる群から選択される、項目17に記載の化合物。
(項目19)
Qがカルボキシル置換ピリジンである、項目18に記載の化合物。
(項目20)
Qが、イソニコチン酸、ニコチン酸及びピコリン酸からなる群から選択される、項目19に記載の化合物。
(項目21)
Qが、以下からなる群から選択される構造式で表される:
【化6】



項目20に記載の化合物。
(項目22)
Qがカルボニル置換窒素含有6員複素環式環である、項目15に記載の化合物。
(項目23)
Qがカルボニル置換ピリジンである、項目22に記載の化合物。
(項目24)
前記部分R〜Rの少なくとも1つが、スルホン酸部分又はスルホン酸塩部分であるか、これを含有する、項目15に記載の化合物。
(項目25)
及びRが独立して、(CHSO又は(CHSOHである、項目15に記載の化合物。
(項目26)
以下の化学式の何れかを有する:
【化7】



項目15に記載の化合物。
(項目27)
以下の化学式の何れかを有する:
【化8】



項目15に記載の化合物。
(項目28)
以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【化9】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩に化学結合する1つ以上の生体分子を含む、生体適合性蛍光分子。
(項目29)
以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【化10】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩に化学結合する生体分子を含む、生体適合性蛍光分子であって、前記化合物が約500nm〜約900nmの吸光及び発光最大値を有する、生体適合性蛍光分子。
(項目30)
前記蛍光色素が約600nm〜約800nmの吸光及び発光最大値を有する、項目29に記載の化合物。
(項目31)
以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【化11】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩に化学結合する生体分子を含む、生体適合性蛍光分子であって、前記生体適合性蛍光分子が標的相互作用後に活性化される、生体適合性蛍光分子。
(項目32)
以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【化12】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩に化学結合する生体分子を含む、生体適合性蛍光分子であって、前記生体適合性蛍光分子が標的への高い結合親和性を有する、生体適合性蛍光分子。
(項目33)
in vivo光学イメージングの方法であって、
(a)以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【化13】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物又はその塩に化学結合する1つ以上の生体分子を含む生体適合性蛍光分子を対象に投与する工程;
(b)前記生体適合性蛍光分子が前記対象内に拡散するか、生物学的標的と接触又は相互作用するための時間を設ける工程;
(c)前記生体適合性蛍光分子により吸収可能な波長の光を前記対象に照射する工程;及び
(d)前記生体適合性蛍光分子により発光される光学シグナルを検出する工程、
を含む、方法。
(項目34)
前記生体適合性蛍光分子により発光される前記シグナルが画像の構築に使用される、項目33に記載の方法。
(項目35)
工程(a)〜(d)を所定の間隔で繰り返すことにより、前記対象における前記生体適合性蛍光分子の前記発光シグナルを経時的に評価することができる、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記対象が動物又はヒトである、項目35に記載の方法。
(項目37)
工程(a)において、シグナル特性が区別可能な2以上の蛍光分子が対象に投与される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記照射及び検出工程が、内視鏡、カテーテル、断層撮影システム、ハンドヘルド型光学イメージングシステム、手術用ゴーグル又は術中顕微鏡を使用して実施される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記蛍光分子により発光されるシグナルの有無又はレベルが疾患状態を示す、項目38に記載の方法。
(項目40)
疾患の検出及び監視に使用される、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記疾患が、癌、心臓血管疾患、神経変性疾患、免疫学的疾患、自己免疫疾患、呼吸器疾患、代謝疾患、遺伝的疾患、感染性疾患、骨疾患及び環境疾患からなる群から選択される、項目40に記載の方法。
(項目42)
工程(a)の前に、項目1に記載の蛍光分子を細胞と混合することで前記細胞を標識し、得られた前記標識細胞を工程(a)において前記対象に投与する、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記蛍光分子により発光される前記シグナルが、細胞内輸送及び局在化を監視するため、又は細胞療法を評価するために使用される、項目42に記載の方法。
(項目44)
以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【化14】


式中、
Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeからなる群から独立して選択され;
及びYが、H、C−C20脂肪族基、並びに−OR、N(R又は−SRで置換されるC−C20脂肪族基からなる群から独立して選択され;
Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を表し;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
が、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、xは0〜6から選択される整数であり、nは2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;
及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;
Qが、カルボキシル基で置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される、
化合物;或いはその塩に化学結合する生体分子を含む、生体適合性蛍光分子であって、前記生体分子が標識細胞である、生体適合性蛍光分子。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、蛍光リアクタンスイメージング(FRI、Kodak 2000MM)装置を使用して得た、24時間後の雌NU/NUマウス(6〜8週齢)の腫瘍内における本発明の化合物の蛍光画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明の好ましい実施形態の説明を、以下に示す。
本発明は、約440〜約1100nm、約550〜約800nm、約500〜約900nm、又は約600〜約900nmで吸収及び/又は発光する高輝度の高蛍光性化合物(染料)、並びにそれらのコンジュゲートを対象とする。可視光及び紫外線スペクトル等のその他のスペクトルの励起及び発光波長を有する化合物(蛍光色素)も本発明に包含されることが理解されるであろう。
【0028】
本発明の化合物の構造は一般的に、高い蛍光量子収率をもたらすニコチン酸及びピコリン酸誘導体に基づいている。更に、本発明の特定の実施形態において、本化合物は、標的分子上の相補基と化学結合するために使用される場合がある官能又は反応基を含有する。
【0029】
「化学結合する」とは、組み合わさった凝集物が1つの単位として機能するのに十分強力な原子間の引力により結合されることを意味する。これには、化学的結合(例えば、共有結合)、非共有結合(例えば、イオン結合、金属結合及び架橋結合)、疎水性相互作用、水素結合、及びファンデルワールス相互作用が含まれるが、これらに限定されない。これには、架橋又はケージングも含まれる。
【0030】
本明細書で使用される「化合物」という用語は、本発明の「ポリメチン蛍光色素」、「蛍光色素」、「蛍光染料」、「シアニン染料」、「カルボシアニン染料」及び「染料」を指す。これらの用語は、本発明の化合物を指すものとして交換可能に使用される。
【0031】
一実施形態において、本発明の化合物は、以下の化学式(1)に記載のような、ポリメチンリンカー(PML)により共に結合する2つの複素環式環系であって:
【0032】
【化18】


式中、Zが、インドリニウム環等の複素環式環系であり、Zが、インドリニウム環等の第2の複素環式環系であり、PMLが、ピリジン等の、複素環式環を含有するカルボキシルで置換されるポリメチンリンカーである、複素環式環系を含む。Z及びZ環系は、場合により種々の置換基で更に置換されるか、或いは場合により更に置換される追加の環に縮合する。
【0033】
一態様において、本発明の化合物は、スルホ又はスルホアルキルにより1回以上更に置換される。「スルホ」とは、スルホン酸又はスルホン酸の塩(スルホン酸塩)を意味する。同様に「カルボキシル」とは、カルボン酸又はカルボン酸塩又はカルボン酸の塩を意味する。「リン酸塩」とはリン酸のエステルであり、リン酸塩の塩を包含する。「ホスホン酸塩」とは、ホスホン酸のエステルを意味し、ホスホン酸塩の塩を包含する。同様に「カルボニル」基については、ハロゲン化カルボニル(例えば、塩化カルボニル)及びカルボキサミドが含まれるが、これらに限定されない。本明細書において、特に記載がない限り、アルキル、アルコキシ、アリールアルキル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、又はペルフルオロアルキル等の置換基のアルキル部分は、場合により、飽和、不飽和、直鎖又は分枝鎖であり、全てのアルキル、アルコキシ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノ置換基は、それら自体が場合によりカルボキシ、スルホ、アミノ又はヒドロキシで置換される。
【0034】
一実施形態において、本発明は、以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【0035】
【化19】


式中、Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeから独立して選択され;Y及びYが、H、並びに場合により種々の形態でN、S、Oを含有する、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和のC−C20アルキルから独立して選択され;Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を形成するのに必要な非金属原子を表し;Rが、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;Rが、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;R及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択され;Qが、カルボキシル官能化窒素含有複素環式環からなる群から選択され;Qが、ピリジン等のカルボニル官能化窒素含有6員複素環式環からなる群から選択され;Qが、イソニコチン酸、ニコチン酸及びピコリン酸からなる群から選択され;Qが、以下に示す群から選択され:
【0036】
【化20】


この場合、カルボキシル基が又、エステル、活性化エステル、又は求核基と反応することができるハロゲン化カルボニルの形態でもあり;カルボキシル基が又、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−スクシンイミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾリル、CO−Op−ニトロフェニルからなる群から選択される形態でもある、
化合物;或いはその塩を対象とする。化学式(2)のこのような分子は、in vivoイメージングを含めた種々の用途のための生体適合性蛍光分子に化学結合する。
【0037】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式(2)により表される化合物であって:
【0038】
【化21】


式中、Xが、C(CH)(CH)、O、S及びSeから独立して選択され;Y及びYが、H、並びに場合により種々の形態でN、S、Oを含有する、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和のC−C20アルキルから独立して選択され;Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を形成するのに必要な非金属原子を表し;Rが、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;Rが、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択され;R及びRが、H、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミン、アミド、スルホンアミド、ヒドロキシル、アルコキシル、スルホン酸部分及びスルホン酸塩部分から独立して選択され;Qが、カルボキシル官能化窒素含有複素環式環からなる群から選択され;Qが、ピリジン等のカルボニル官能化窒素含有6員複素環式環からなる群から選択され;Qが、イソニコチン酸、ニコチン酸及びピコリン酸からなる群から選択され;Qが、以下に示す群から選択され:
【0039】
【化22】


この場合、カルボキシル基が又、エステル、活性化エステル、又は求核基と反応することができるハロゲン化カルボニルの形態でもあり、カルボキシル基が又、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−スクシンイミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾリル、CO−Op−ニトロフェニルからなる群から選択される形態でもある、
化合物;或いはその塩を対象とする。化学式(2)のこのような分子は、in vivoイメージングを含めた種々の用途のための生体適合性蛍光分子に化学結合する。
【0040】
構造式(2)の一実施形態において、Qは、カルボキシルで置換されるヘテロアリール環、又はカルボニル基で置換される6員ヘテロアリール環からなる群から選択される。
【0041】
特定の実施形態において、
a)Q上のカルボキシル置換基は、エステル、活性化エステルからなる群から選択されるか;又は
b)Q上のカルボキシル置換基は、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−スクシンイミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾリル及びCO−Op−ニトロフェニルからなる群から選択され;且つ
c)Q上のカルボニル置換基は、ハロゲン化カルボニルの形態である。
【0042】
別の実施形態において、Qはカルボキシル置換窒素含有複素環式環である。
【0043】
別の実施形態において、Qは、カルボキシル置換ピリジン、ピリミドン、ピラジン及びピリダジンからなる群から選択される。
【0044】
別の実施形態において、Qはカルボキシル置換ピリジンである。
【0045】
別の実施形態において、Qは、イソニコチン酸、ニコチン酸及びピコリン酸からなる群から選択される。
【0046】
別の実施形態において、Qは、以下からなる群から選択される構造式で表される:
【0047】
【化23】



【0048】
別の実施形態において、Qはカルボニル置換窒素含有6員複素環式環である。
【0049】
別の実施形態において、Qはカルボニル置換ピリジンである。
【0050】
直前に記載した9つの実施形態において、複素環式環及びヘテロアリール環という用語は何れも、ピリジン等の本明細書に定義するヘテロアリール環を指す。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、以下の化学式(2)によりZ−(PML)−Zを表す化合物であって:
【0052】
【化24】


式中、Wが、ベンゾ縮合、ナフト縮合又はピリド縮合環を形成するのに必要な非金属原子を表す、化合物を提供する。
【0053】
一態様において、Wは、各環に6個の原子を有する1〜2個の縮合芳香族環を形成するのに必要な原子を表し、これらの原子は、−CH、−C、−CR及び−NR(式中、Rは0又は1であり(これにより各環の窒素は4級化されるか、4級化されない)、各Rは独立してスルホ、トリフルオロメチル又はハロゲンを含有し;Rは独立してC−Cアルキルを含有し、それによって独立してH、アミノ又はスルホを含有する)から選択される。
【0054】
縮合環上における1つ以上の非水素置換基の取込みは、結果として得られる染料の吸収及び発光スペクトルの調節に使用することができる。
【0055】
及びZの基本構造の選択例を、以下に示す。これらの基本構造(3〜6)は、場合により本項に記載の通り更に置換される。
【0056】
【化25】


一実施形態において、Xは、O、S、Se、−C(CH)(CH)(式中、Y及びYは、H、並びに場合により種々の形態でN、S、Oを含有する、直鎖又は分枝鎖、飽和又は不飽和のC−C20アルキルから独立して選択される)から独立して選択される。
【0057】
別の実施形態において、Y及びYは一緒になって、環状環の一部となるか;又はXは−CRから独立して選択され、式中、R及びRは、同じである場合もあれば、異なる場合もあり、アルキル、シクロアルキル又はアリールアルキルであり、一緒になって環状系の一部となり、場合により更に置換される。
【0058】
本発明の一態様において、R及びRは一緒になって、5員又は6員環を完成させる。
【0059】
置換基Rは一般的に、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択される。一態様において、Rは、(CHSO又は(CHSO又はCHCHである。本発明の一態様において、Rは、スルホン酸アリール又はアミノ基又はフタルイミド基を含有する置換基である。
【0060】
置換基Rは一般的に、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択される。一態様において、Rは、(CHSO又は(CHSO又はCHCHである。本発明の一態様において、Rは、スルホン酸アリール又はアミノ基又はフタルイミド基を含有する置換基である。
【0061】
置換基Rは一般的に、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択される。一態様において、Rは、(CHSO又は(CHSO又はCHCHである。本発明の一態様において、Rは、スルホン酸アリール又はアミノ基又はフタルイミド基を含有する置換基である。
【0062】
置換基Rは一般的に、H、(CHCH、(CHSO及び(CHSOH(式中、nは、Rが(CHCHである場合に、0〜6から選択される整数であり、nは、Rが(CHSO又は(CHSOHである場合に、2〜6から選択される整数である)からなる群から選択される。一態様において、Rは、(CHSO又は(CHSO又はCHCHである。本発明の一態様において、Rは、スルホン酸アリール又はアミノ基又はフタルイミド基を含有する置換基である。
【0063】
置換基R及びRは、H、ハロゲン、カルボン酸塩、カルボン酸、カルボン酸エステル、アミノ、アミド、アルキル又はアリールスルホンアミド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、スルフェート、シアノ、ニトロ、アジド、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリアルキルアンモニウム、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、スルホン酸及びスルホン酸塩部分からなる群から独立して選択される。特定の実施形態において、R及びRは独立してスルホン酸又はその塩である。
【0064】
本発明の一態様において、R及びRは、過フッ素化Wの場合のように、過置換を包含する。過フッ素化又は多フッ素化は、蛍光量子収率の増大をもたらす可能性がある。
【0065】
本明細書で使用される「増大」とは、蛍光量子収率が約5%、約10%、約15%、約25%、約50%、約80%、約90%、約95%、約98%、約99%、約100%増大することを意味する。
【0066】
本発明の一態様において、化学式Z−(PML)−Zは、以下の化学式(7)に従って表示される:
【0067】
【化26】



【0068】
本発明の一態様において、本発明の化合物は、1回以上スルホン化される。本発明の化合物がスルホで置換される場合、本化合物は一般的に、R又はR又はそれらの両方においてスルホン化される(即ち、例えばR及び/又はRがスルホン酸部分、スルホン酸塩部分又はスルホンアミドである)か、R又はR又はそれらの両方においてスルホアルキル化される(即ち、例えば、R及び/又はRが(CHSO又は(CHSOHである)か、或いはスルホン化とスルホアルキル化の両方が生じる。特定の実施形態において、本化合物は3回までスルホン化され(R及びRに対応する位置において、並びにR又はRの一方におけるスルホアルキルとして)、R又はRの一方を反応基の特定のために残しておく。
【0069】
本明細書で使用される、スルホン酸及び(CHSOH又はスルホン酸塩基及び(CHSOという用語は、交換可能に使用することができる。しかしながら、特定の実施形態において、スルホン酸部分、スルホン酸塩部分又はスルホンアミドという用語は、スルホン酸部分、スルホン酸塩部分又はスルホンアミド部分により分子の残余に結合する置換基、即ち−SO2NR’R”を指す。
【0070】
特定の実施形態において、R〜Rの少なくとも1つは、スルホン酸部分又はスルホン酸塩部分であるか、これらの何れかを含有する。特定の実施形態において、R〜Rの少なくとも1つは、スルホン酸部分又はスルホン酸塩部分である。
【0071】
特定の実施形態において、R及びRは独立して、(CHSO又は(CHSOHである。
【0072】
本発明の特定の実施形態において、本化合物は、4回までスルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。本発明の別の実施形態において、本化合物は、少なくとも4回スルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。本発明の別の実施形態においては、何れかの反応基(又は化学結合する分子)がQにおいて結合してもよく、更に、本発明の化合物が4回までスルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。本発明の別の実施形態においては、何れかの反応基(又は化学結合する分子)がQにおいて結合してもよく、更に、本発明の化合物が少なくとも4回スルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。この追加のスルホン化、並びに結合部位の変化によって、より高輝度で、より水溶液に可溶であり、染料間のスタッキング相互作用から生じる蛍光消光に対してより抵抗性を有する、反応性染料及び染料コンジュゲートが得られる。
【0073】
本発明の一態様において、化学式Z−(PML)−Zは、以下の化学式(8)により表される:
【0074】
【化27】



【0075】
本発明の一態様において、1回以上スルホン化される本発明の化合物は一般的に、R又はRにおいてスルホンされるか、R又はR又はそれらの両方においてスルホアルキル化されるか、或いはスルホン化とスルホアルキル化の両方が生じる。特に、本発明の化合物は、4回までスルホン化され、R又はRの一方を反応基の特定のために残しておく。
【0076】
本発明の一実施形態において、本化合物は、6回までスルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。本発明の別の実施形態において、本化合物は、少なくとも6回スルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。本発明の別の実施形態においては、何れかの反応基(又は化学結合する分子)がQにおいて結合してもよく、更に、本発明の化合物が6回までスルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。本発明の別の実施形態においては、何れかの反応基(又は化学結合する分子)がQにおいて結合してもよく、更に、本発明の化合物が少なくとも6回スルホン化される(R及びRにおいて、並びにR及びRにおけるスルホアルキルとして)。この追加のスルホン化、並びに結合部位の変化によって、より高輝度で、より水溶液に可溶であり、染料間のスタッキング相互作用から生じる蛍光消光に対してより抵抗性を有する、反応性染料及び染料コンジュゲートが得られる。
【0077】
一実施形態において、PML部分は、以下の化学式(9)であって:
【0078】
【化28】


式中、Qが、カルボキシル官能化複素環式環(カルボキシ基で置換されるヘテロアリール)からなる群から選択される、化学式を有する。本実施形態において、複素環式環及びヘテロアリール環とは、本明細書に定義される通りのヘテロアリール環、例えばピリジンを指し、官能化(される)とは置換されることを指す。
【0079】
本発明の化合物(カルボシアニン染料)に適切なPML部分の好適な例については、非水素置換基、環構造及び剛性化要素を組み込むPML部分を含め、文献に記載されている(何れも全体が参考として本明細書で援用される、米国特許第5,831,098号(Ollmann,Jr.;1998年);米国特許第6,086,737号(Patonay,et al.;2000年);米国特許第6,048,982号(Waggoner;2000年);及び米国特許第5,453,505号(Lee,et al.;1995年);米国特許第5,639,874号(Middendorf,et al.;1997年);米国特許第3,864,644号(Lincoln,et al.;1975年);米国特許第4,011,086号(Simson;1977年);米国特許第6,747,159号(Caputo;2004年))。
【0080】
一実施形態において、本発明は、化学式(9)のPMLであって、式中、Qが官能化窒素含有複素環式環からなる群から選択される、化学式(9)のPMLを対象とする。本発明の一態様は、化学式(9)のPMLであって、式中、Qが置換窒素含有ヘテロアリール環からなる群から選択される、化学式(9)のPMLである。これらの実施形態において、複素環式環及びヘテロアリール環とは、本明細書に定義される通りのヘテロアリール環、例えばピリジンを指し、官能化(される)とは置換されることを指す。
【0081】
本発明の一実施形態において、Qは共有結合により複素環式(ヘテロアリール)環(Q)に結合する反応基である、少なくとも1つの置換基を含有する。一実施形態において、反応基を含有する本発明の化合物は、好適な反応性を有する官能基を含有するか、含有するように修飾される広範な有機又は無機の物質を標識し、これにより本発明の化合物の化学結合をもたらし、コンジュゲートした物質を形成する。
【0082】
本明細書で使用される「反応基」とは、異なる化合物上の官能基と化学的に反応して共有結合を形成することができる、本発明の化合物上の、又は本発明の化合物に付加することができる部分、或いは本発明の化合物上の官能基と化学的に反応して共有結合を形成することができる異なる化合物上の部分を意味する。一般的に、反応基とは、それぞれ求核基又は求電子試薬である対応する官能基への曝露を介して共有結合を形成できる求電子試薬又は求核基である。或いは、反応基とは光活性化可能な基であり、適切な波長の光の照射後にのみ化学的反応性を有するようになる。一般的には、本発明の化合物とコンジュゲートする物質とのコンジュゲーション反応によって、コンジュゲートされた物質に染料を結合させる新しい結合部に組み込まれる反応基の1つ以上の原子がもたらされる。
【0083】
本発明の一態様は、化学式(9)のPMLであって、Qがカルボキシル官能化窒素含有複素環式環(カルボキシルで置換されるヘテロアリール)からなる群から選択される、化学式(9)のPMLである。本実施形態において、複素環式環及びヘテロアリール環とは、本明細書に定義される通りのヘテロアリール環、例えばピリジンを指し、官能化(される)とは置換されることを指す。
【0084】
本発明の一態様において、PMLは、化学式(9)のものであって、式中、Qが、カルボキシル官能化窒素含有6員複素環式環(カルボキシルで置換されるヘテロアリール)、例えばピリジン、ピリミドン、ピラジン及びピリダジン(カルボキシルで置換されるヘテロアリール)からなる群から選択される、化学式(9)のものである。本実施形態において、複素環及びヘテロアリール環とは、本明細書に定義される通りのヘテロアリール環、例えばピリジンを指し、官能化(される)とは置換されることを指す。
【0085】
本発明の別の態様は、化学式(9)のPMLであって、式中、Qが、カルボキシル官能化窒素含有6員複素環式環(カルボキシルで置換されるヘテロアリール)、例えばピリジン(カルボキシルで置換されるヘテロアリール)からなる群から選択される、化学式(9)のPMLである。本実施形態において、複素環及びヘテロアリール環とは、本明細書に定義される通りのヘテロアリール環、例えばピリジンを指し、官能化(される)とは置換されることを指す。
【0086】
本発明の別の態様において、PMLは、化学式(9)のものであって、式中、Qが、ニコチン酸及びピコリン酸又はそれらの塩からなる群から選択される、化学式(9)のものである。
【0087】
本発明の一態様は、化学式(9)のPMLであって、式中、Qが以下に示す群から選択される:
【0088】
【化29】


化学式(9)のPML;或いはその塩である。
【0089】
本発明の別の態様は、化学式(9)のPMLであって、式中、Qが以下に示す群から選択され:
【0090】
【化30】


この場合、カルボキシル基が又、求核基と反応することができる活性化エステル(R15)又はハロゲン化カルボニル(R16=F、Cl、Br)の形態でもあり;カルボキシル基CO−CR15が又、CO−Oベンゾトリアゾリル、CO−ON−ヒドロキシスクシンイミジル、CO−Oテトラフルオロフェニル、CO−Oペンタフルオロフェニル、CO−Oイミダゾリル及びCO−Op−ニトロフェニルからなる群から選択される形態でもある、
化学式(9)のPMLである。
【0091】
PML部分は一般的に、本発明の化合物の合成において使用されるカップリング剤を起源とする。例えば、N,N’−ジフェニルホルムアミジン及びオルトギ酸トリエチルは、PML部分を産生する。塩酸マロンアルデヒドビス(フェニルイミン)、1,1,3−トリメトキシプロパン、及び1,1,3,3−テトラメトキシプロパン及び一塩化グルタコンアルデヒドジアニルも又、PML部分(染料)を産生する。
【0092】
本発明の一態様において、PML部分は、以下に示すマロノジアルデヒド部分を使用して染料中に導入される:
【0093】
【化31】



【0094】
従って、本発明は、以下の化学式(2)によりZ−(PML)−Zを表す化合物であって:
【0095】
【化32】


式中、Rが(CHSO又は(CHSOHである、化合物を提供する。
【0096】
一態様において、本発明は、以下の化学式(10〜11)の何れかを有する化合物を対象とする:
【0097】
【化33】



【0098】
別の態様において、本発明は、以下の化学式(12〜15)の何れかを有する化合物を対象とする:
【0099】
【化34−1】

【0100】
【化34−2】



【0101】
本発明の一態様において、Qが活性化エステルであるか、これを含有する場合、本化合物は、アミノエチルマレイミド、アミノプロピルマレイミド、アミノプロピルアジド、アミノプロピルチオール、メルカプトエチルアミン、プロパルギルアミン3−アミノプロパノール、ジアミノプロパン及びジアミノブタン等の二官能性リンカーに化学結合することにより、中性又は塩基性の条件下で好適な溶媒中に追加の反応性官能基を産生することができる。
【0102】
本発明の一態様において、QがNHであるか、これを含有する場合、本発明の化合物は、プロパルギル酸、ジチオプロピオン酸スクシンイミジルピリジン、マレイミド−PEG−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル等の二官能性リンカーに化学結合することにより、中性又は塩基性の条件下で好適な溶媒中に追加の反応性官能基を産生することができる。
【0103】
環及びポリメチンリンカー内の二重結合の位置を示す構造式により本発明の化合物を示す場合、構造式は、例えば以下の図に示すような何れかの共鳴構造も包含する:
【0104】
【化35】



【0105】
一実施形態において、本発明は、以下の化学式(16)によりZ−(PML−BM)−Zを表す化合物であって:
【0106】
【化36】


式中、BMが、PML上に存在するQを介して化学結合する生体分子である、化合物を提供する。
【0107】
一態様において、BMは、一般構造式Z−(PML)−Zの化合物(蛍光色素)の蓄積、生体分布、脱離、ターゲティング、結合及び/又は認識を変更又は改変又は増強する部分である。BMには、抗体及びそれらのフラグメント、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、抗体(又は抗原結合抗体フラグメント、一本鎖抗体)、糖タンパク質、細胞受容体のリガンド、多糖、ヌクレオシド、アプタマー、細胞受容体自体、酵素基質、酵素補因子、ビオチン、ホルモン、神経ホルモン、神経伝達物質、成長因子、サイトカイン、リンホカイン、レクチン、セレクチン、毒素及び炭水化物が含まれるが、これらに限定されない。種々の生体分子を使用するその他のターゲティング及び送達法も使用することでき、これには、アシアロ糖タンパク質受容体、ソマトスタチン、神経成長因子、オキシトシン、ボンベシン、カルシトニン、アルギニンバソプレシン、アンジオテンシンII、心房性ナトリウム利尿ペプチド、インスリン、グルカゴン、プロラクチン、ゴナドトロピン、種々のオピオイド、及びウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化物質を含むがこれらに限定されない、内在化受容体をターゲティングする葉酸媒介ターゲティング(Leamon &
Low,Drug Discovery Today,6:44−51,2001)、トランスフェリン、ビタミン、炭水化物及びリガンドが含まれる。又、ウイルス及び細菌を含むがこれらに限定されない幾つかの源に由来する、膜、膜貫通、及び核転座シグナル配列も含まれる。BMは又、有機分子、ポリマー、デンドリマー、薬物、脂質、脂質集合体、治療薬分子、ポリマー微粒子、細胞又はナノ粒子であってもよい。特定の実施形態において、BMには又、小分子薬剤、光治療薬分子、及びそれらの誘導体が含まれてもよい。
【0108】
本発明の特定の実施形態において、BMが本発明の化合物に化学的に結合する場合、本発明の化合物の蛍光は増大する。特定の実施形態において、蛍光は、未結合化合物に比べて約10%、約25%、約50%、又は約50%超増大する。
【0109】
本発明の一態様において、BMの幾つかのコピーは、多価リンカーを、又は幾つかの反応性官能基を含有するリンカーを介して、Qに化学結合することにより、構造式(Z−(PML)−Z)−((L)−(BM)q)tの生体適合性蛍光分子(式中、Lはリンカー又は多価リンカーであり;t=l〜6、w=l〜500、及びq=l〜500であり;(L)は、同じリンカー又は異なるリンカーの組み合わせのコピーを表す)を形成することができる。好適なリンカーには、アミノカプロン酸、グルタミン酸、及びポリグルタミン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
本発明の別の態様において、構造式Z−(PML)−Zの1つ以上の化合物(蛍光色素)は、単一のBMに化学結合することにより、構造式[Z−(PML)−Z−BM(式中、k=1〜500)の生体適合性蛍光分子を形成することができる。
【0111】
一実施形態において、Z−(PML−BM)−Zは、化合物が約440〜約1100nm、約550〜約800nm、約500〜約900nm、又は約600〜約900nmの吸収及び発光最大値を有する、生体適合性蛍光分子である。
【0112】
一実施形態において、本発明の化合物(蛍光色素)及び生体適合性蛍光分子は、標的の相互作用の後に活性化される。「標的の相互作用の後に活性化される」とは、蛍光色素又は生体適合性蛍光分子の検出可能な特性(例えば、光学特性)を改変する変化を意味する。これには、蛍光色素又は生体適合性蛍光分子の特性(例えば、光学特性)の検出可能な相違、例えば、蛍光シグナル振幅の変化(例えば脱消光及び消光)、波長、蛍光寿命、スペクトル特性又は極性の変化をもたらす、修飾、改変又は結合(共有結合又は非共有結合)が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態においては、生体適合性蛍光分子の蛍光シグナルを消光するために、消光剤分子が使用される。これらの活性化及び非活性化状態を活用することで、蛍光色素又は生体適合性蛍光分子が対象において活性であるか、不活性であるかを、シグナル強度の変化を特定することによって判定することができる。更に、蛍光色素及び生体適合性蛍光分子は、これらが活性化されるまでシグナルを殆ど又は全く示さないように設計することもできる。活性化は、酵素開裂、酵素変換、ホスホリル化又は脱ホスホリル化、結合によるコンホーメーションの変化、酵素媒介スプライシング、酵素媒介転移、相補DNA又はRNAのハイブリダイゼーション、検体結合(例えば、Na、K、Ca2+、Cl等の検体又は別の検体との会合)、環境の疎水性の変化、及び化学修飾を含むがこれらに限定されない要因よって行われてもよい。
【0113】
一実施形態において、本発明の化合物(蛍光色素)及び生体適合性蛍光分子は、標的に対して高い結合親和性を有する。
【0114】
又、本明細書では、in vivo光学イメージングの方法であって、(a)本発明の化合物(蛍光色素)又は生体適合性蛍光分子を対象に投与する;(b)化合物(蛍光色素)又は生体適合性蛍光分子が対象内に拡散するか、生物学的標的と接触又は相互作用するための時間を設ける;(c)化合物(蛍光色素)又は生体適合性蛍光分子により吸収可能な波長の光を対象に照射する;及び(d)化合物(蛍光色素)又は生体適合性蛍光分子により発光される光学シグナルを検出すること含む、方法も提供される。
【0115】
本発明の化合物(蛍光色素)及び生体適合性蛍光分子により生成される光学シグナルは、断層撮影、リアクタンス、平面、内視鏡、顕微鏡、手術用ゴーグル、ビデオイメージング技術又はその他の方法(例えば、生体顕微鏡検査及び二光子顕微鏡検査を含めた顕微鏡検査)により収集されるか否か、並びに定量的使用されるか、定性的に使用されるかにかかわらず、本発明の態様と見なされる。
【0116】
本発明の一態様は、本化合物(蛍光色素)及び生体適合性蛍光分子により発光される光学シグナルの有無、分布又はレベルが疾患状態を示す方法である。
【0117】
本発明は又、患者又は対象における異常(例えば、癌、心臓血管疾患、後天性免疫不全症候群、神経変性疾患、炎症性疾患、呼吸器疾患、代謝疾患、骨疾患、又は免疫学的疾患等の疾患に関連する何れかの異常)を検出するために、本発明の化合物(蛍光色素)及び生体適合性蛍光分子を使用する方法も特徴とする。本発明は又、本発明の化合物(組成物)を使用することによって特定の分子標的に対する化合物又は療法の効果を評価する方法であって、対象が化合物又は療法による処置の前後にイメージングされ、対応する画像が比較される、方法も特徴とする。
【0118】
本発明のイメージング方法の手順は又、所定の間隔で繰り返すことにより、対象又は試料におけるZ−(PML)−Z含有化合物の発光シグナルを経時的に評価することができる。発光シグナルは、画像の形態をとる場合がある。対象は、脊椎動物、例えばヒトを含めた哺乳動物である場合がある。動物は又、非脊椎動物(例えば、クンニングアメラ・エレガンス、ショウジョウバエ又はその他の研究用モデル生物等)である場合もある。試料には、細胞、細胞培養物、組織切片、臓器、臓器切片、サイトスピン試料等が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0119】
本発明は更に、複数のZ−(PML)−Z含有化合物を選択的且つ同時に検出及びイメージングするin vivo方法も特徴とする。本方法は、光学特性が区別可能な複数のZ−(PML)−Z含有化合物を同時又は逐次的に対象に投与することを含む。従って、本方法は、複数の事象又は標的を記録することができる。
【0120】
本発明は又、ターゲティングされた又は活性化可能な1つ以上の光学イメージングプローブと同時に、或いは磁気共鳴イメージング、コンピュータ断層撮影(CT)、X線、超音波又は核医学的イメージング様式及びそれらの個々のイメージング剤を使用したデュアルイメージングプロトコルで、1つ以上のZ−(PML)−Z含有化合物を選択的に検出及びイメージングするin vivo方法も特徴とする。本方法は、互いに特性を区別することができる少なくとも1つのイメージングプローブを、少なくとも1つのZ−(PML)−Z含有化合物を含め、同時又は逐次的に対象に投与することを含む。一態様において、デュアルイメージングプロトコルは、磁気共鳴イメージング剤(例えば、酸化物系薬剤、又はガドペンテト酸塩等のガドリニウム系薬剤)と同時又はほぼ逐次的に、Z−(PML)−Z含有化合物を使用する、光学及び磁気共鳴イメージングである。従って、本発明は、複数のイメージング様式又はイメージング剤を使用して複数の事象又は標的を記録することができる。
【0121】
別の態様において、本発明は、試料をZ−(PML)−Z含有化合物と接触させる;プローブが活性化するか、又は試料中の対象標的に結合する時間を設ける;場合により未結合のプローブを除去する;Z−(PML)−Z含有化合物により吸収可能な波長の光を標的に照射する;及びZ−(PML)−Z含有化合物により発光される光学シグナルを検出することを含む、in vitro光学イメージング方法を特徴とする。
【0122】
投与後、検出は、例えばin vitro方法(即ち、フローサイトメトリー)により、或いはin vivoイメージング法(即ち、断層撮影、カテーテル、ブレーナ/リアクタンスシステム又は内視鏡システムにより行うことができる。
【0123】
一実施形態においては、ex vivoで使用を標識するために、誘導されたZ−(PML)−Z含有化合物を使用することができる。試料(例えば、細胞)は、対象から直接得ることもできれば、別の供給源(例えば、別の対象、細胞培養物等から)得ることもできる。Z−(PML)−Z含有化合物は、細胞と混合することで、細胞を効果的に(共有結合又は非共有結合により)標識することができ、得られた標識細胞を対象に注入することができる。本方法は、特定の細胞型(T細胞、腫瘍細胞、免疫細胞、幹細胞及びその他の細胞型)の出入及び局在化を監視するために使用することができる。特に、本方法は、細胞系療法を監視するために使用される場合がある。試料は又、非哺乳動物の供給源(植物、昆虫、ウイルス、細菌及びバクテリオファージを含むがこれらに限定されない)から得ることもできる。
【0124】
本発明の別の態様は、生体対象又は試料に対して一般的に毒性を有するジメチルスルホキシド(DMSO)又はその他の有機溶媒(即ち、生理学的緩衝剤又は溶液)を使用することなく、細胞を含めた試料をin vivoでイメージングし、ex vivoで標識するために使用することができる、Z−(PML)−Z含有化合物を特徴とする。
【0125】
BM又は細胞を標識する場合は、本発明の化合物(蛍光色素)を、約4〜37℃にて約5分〜24時間以上種々の濃度のBMと共にインキュベートすることができる。インキュベートの後、遊離基又はBMに化学的に結合していない蛍光色素を、例えば当該技術分野で周知のクロマトグラフィー又は限外濾過法により除去することができる。細胞の場合には、インキュベートの後、細胞を遠心分離して、細胞ペレットを作成し、このペレットから上澄みを除去することができる。細胞は、培地又は生理食塩水に再懸濁することにより、残余の、未結合の又は遊離の蛍光色素を洗浄除去することができ、これを数回繰り返すことができる。この方法で、細胞は、内部又は外部の細胞分子への直接コンジュゲーションによるか、或いはシトゾル、エンドソーム、核、ゴルジ装置及びその他の細胞小器官を含むがこれらに限定されない種々の細胞内コンパートメント内への非特異的な細胞取込みにより、標識することができる。
【0126】
本発明の別の態様は、ヒトを含めた動物対象への投与に好適な薬学的組成物中に配合されるイメージングプローブを含有するZ−(PML)−Z含有化合物を特徴とする。薬学的組成物には、生理学的に許容される(関連する)担体中のナノ粒子及び1つ以上の安定化剤が含まれてもよい。
【0127】
本発明の別の態様は、ヒトを含めた動物対象及び細胞への投与に好適な薬学的組成物中に配合される生体適合性蛍光Z−(PML)−Z含有化合物を特徴とする。薬学的組成物には、生理学的に許容される(関連する)担体中の1つ以上の安定化剤が含まれてもよい。
【0128】
本発明の方法で使用する安定化剤の好適な例には、低分子量炭水化物(一態様において、これは直鎖ポリアルコール(例えば、ソルビトール)及びグリセロール;又はマンニトールである)が含まれるが、これに限定されない。その他の低分子量炭水化物(例えば、イノシトール)も使用される場合がある。生理学的に関連する担体には、水、生理食塩水が含まれてもよく、更には、緩衝剤等の物質、並びに医薬品製剤中での使用に適合する保存剤等のその他の物質が含まれてもよい。
【0129】
本発明は又、蛍光Z−(PML)−Z含有化合物、標識核酸認識分子(DNA、RNA、修飾核酸、PNA、分子ビーコン、アプタマーを含む)、又はその他の核酸結合分子(例えば、短鎖干渉RNA、即ちsiRNA)を使用した遺伝子配列認識の方法も特徴とする。本方法には、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、開裂、組換え、合成、配列決定、突然変異検出、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、in situハイブリダイゼーション、及びマイクロアレイ使用等の技法と共に、1つ以上の蛍光Z−(PML)−Z含有化合物を使用する方法が含まれる。例えば、核酸ハイブリダイゼーションの原理により試料中の一本鎖核酸(即ち、mRNA、cDNA又は変性二本鎖DNA)を検出するには、一本鎖核酸に化学結合する蛍光Z−(PML)−Z含有化合物を、1つ以上の一本鎖核酸を含有する試料に接触させて、蛍光Z−(PML)−Z含有化合物の蛍光を検出し、ここで蛍光Z−(PML)−Z含有化合物により発光される蛍光シグナルの存在又はレベルは、試料中の核酸の存在又は量を示す。
【0130】
−(PML)−Z含有化合物又はその誘導体から発生した光学シグナルは、断層撮影、リアクタンス、平面、内視鏡、顕微鏡、手術用ゴーグル又は画像、ビデオイメージング技術又はその他の方法(例えば、生体顕微鏡検査及び二光子顕微鏡検査等を含めた顕微鏡検査)により収集されるか否か、並びに定量的に使用されるか、定性的に使用されるかにかかわらず、本発明の態様と見なされる。
【0131】
本発明の別の態様は、Z−(PML)−Z含有化合物及び場合によりin vivo又はin vitroのイメージング方法に蛍光色素又はイメージングプローブを使用するための説明書を含んだキットを特徴とする。本キットは場合により、開示方法に蛍光色素又はイメージングプローブを使用するのに役立つ構成部品(例えば、緩衝剤及びその他の配合剤)を含む場合もあれば;或いは、本キットは、対象へのイメージングプローブの投与に役立つ医療機器を含む場合もある。
【0132】
本発明のZ−(PML)−Z含有化合物及び薬学的組成物は、経口的に、非経口的に、吸入により、局所的に、直腸内に、経鼻的に、口内に、膣内に、又は移植したリザーバーを介して投与することができる。「非経口投与」という用語は、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、腹腔内、槽内、肝内、病変内、頭蓋内及びリンパ内への注射又は注入法を包含する。Z−(PML)−Z含有化合物は又、カテーテルを介して、又は針から組織に投与してもよい。
【0133】
一実施形態においては、本発明の化合物が、有効量(蛍光を生じるか増大させるのに有効な量)投与される。一実施形態においては、本発明の化合物が、約1ng/kg〜約100mg/kg、約100ng/kg〜10mg/kg、約1μg/kg〜約5mg/kg、約10μg/kg〜約2mg/kg、約50μg/kg〜約1mg/kg投与される。
【0134】
好ましいZ−(PML)−Z含有化合物は、以下の特性を有する:即ち、(1)高量子収率(例えば、水性媒体中で5%を超える量子収率)、(2)狭小な発光スペクトル(例えば、75nm未満;より好ましくは50nm未満)、(3)吸収及び発光スペクトルの差(例えば、20nm超;より好ましくは50nm超の差)、(3)高い化学的安定性及び光安定性(例えば、露光後に蛍光特性を維持)、(4)イメージングプロトコルに使用される線量における細胞又は対象への無毒性又は最小限の毒性(例えば、LD50又は刺激試験又は当該技術分野で既知のその他の同様の方法により測定)、及び/又は(5)商業的実現性及び大量(例えば、グラム及びキログラム量)生産のための規模拡大性。
【0135】
本発明の化合物は、好適な有機又は無機塩基と反応して塩基付加塩を形成することができる1つ以上の十分に酸性のプロトンを有してもよい。塩基付加塩には、無機塩基(例えば、アンモニウム又はアルカリ又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩)及び有機塩基(例えば、アルコキシド、アルキルアミド、アルキル及びアリールアミン等)に由来するものが含まれる。従って、本発明の塩を調製するのに有用なこのような塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム等が含まれる。
【0136】
アミン等の十分に塩基性の基を有する本発明の化合物は、有機又は無機酸と反応して、酸付加塩を形成してもよい。塩基性基を有する化合物から酸付加塩を形成するのに一般的に使用される酸には、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸等)及び有機酸(例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、酢酸等)がある。このような塩の例には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩、二水素リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、1,4−二酸ブチン、1,6−二酸ヘキシン、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、1−スルホン酸ナフタレン、2−スルホン酸ナフタレン、マンデル酸塩等が含まれる。
【0137】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和の直鎖、分枝鎖又は環状炭化水素を意味する。直鎖又は分枝鎖の場合、アルキル基は一般的に、C1−C20、より一般的にはC1−C10であり;環状の場合、アルキル基は一般的に、C3−C12、より一般的にはC3−C7である。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル及び1,1−ジメチルヘキシルが含まれる。
【0138】
「脂肪族基」は非芳香族であり、場合により1つ以上の不飽和単位(例えば、二重及び/又は三重結合)を含有する場合がある。脂肪族基は、直鎖である場合もあれば、分枝鎖である場合もあり、一般的には1〜12個の炭素原子、より一般的には1〜6個の炭素原子、更により一般的には1〜4個の炭素原子を含有する。脂肪族基内の1つ以上のメチレン基は、場合によりO、S又はNHで置換されてもよい。
【0139】
本明細書で使用される、非芳香族炭素環式環又は非芳香族複素環式環という用語は、単独で又はより大型の部分の一部として使用される場合、単環式環及び多環式環を含む3〜14個の原子を有する、飽和していてもよければ、1つ以上の不飽和単位を含有していてもよい、非芳香族の炭素又はヘテロ原子含有基を指し、この場合、該炭素環式環又は複素環式環は、1つ以上の非芳香族の炭素環式環若しくは複素環式環、又は1つ以上の芳香族(炭素環式又は複素環式)環に縮合してもよい。
【0140】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、−OR**(式中、R**は上に定義したようなアルキル基である)で表される。
【0141】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、−C(=O)R**(式中、R**は上に定義したようなアルキル基である)で表される。
【0142】
「芳香族基」という用語は、炭素環式芳香族環及びヘテロアリール環を包含する。「芳香族基」という用語は、「アリール」、「アリール環」、「芳香族環」、「アリール基」及び「芳香族基」という用語と交換可能に使用される場合がある。
【0143】
炭素環式芳香族環基は、炭素環原子(一般的には6〜14個)のみを有し、単環式芳香族環(例えば、フェニル及び縮合多環式芳香族環系)を包含し、この場合、炭素環式芳香族環は、1つ以上の芳香族環(炭素環式芳香族又は複素芳香族)に縮合する。例としては、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル及び2−アントラシルが含まれる。又、本明細書で使用される「炭素環式芳香族環」という用語の適用範囲には、インダニル、フタリミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル又はテトラヒドロナフチル中等において、芳香族が1つ以上の非芳香族環(炭素環式環又は複素環式環)に縮合する基である。
【0144】
「ヘテロアリール」、「複素芳香族」、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」及び「複素芳香族基」という用語は、単独で又は「ヘテロアラルキル」等のより大型の部分の一部として使用される場合、単環式複素芳香族環及び多環式複素芳香族環を含めた5〜14員の複素芳香族環基を指し、この場合、単環式芳香族環はその他1つ以上の芳香族環(炭素環式環又は複素環式環)に縮合する。ヘテロアリール基は1つ以上の環ヘテロ原子を有する。ヘテロアリール基の例には、2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、2−チエニル、3−チエニル、カルバゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル及びイソインドリルが含まれる。又、本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語の適用範囲には、芳香族環が1つ以上の非芳香族環(炭素環式環又は複素環式環)に縮合する基も含まれる。
【0145】
非芳香族複素環式基という用語は、単独で又はより大型の部分の一部として使用される場合、単環式複素環式環及び多環式環式環を含めた3〜14員の非芳香族複素環式環基を指し、この場合、単環式環はその他1つ以上の非芳香族炭素環式環若しくは複素環式環又は芳香族環(炭素環式環又は複素環式環)に縮合する。複素環式基は、1つ以上のヘテロ原子を有し、飽和してもよければ、1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。複素環式環の例には、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロキノリニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ジオキソラニル、ジチオラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、アゼパニル及びアゼチジニルが含まれる。
【0146】
「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素又は硫黄を意味し、窒素及び硫黄の何れかの酸化形態、並びに何れかの塩基性窒素の4級化形態を包含する。又、「窒素」という用語は、ヘテロアリール又は非芳香族複素環式基の置換可能な窒素を包含する。一例として、酸素、硫黄又は窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和又は部分不飽和環において、窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルの場合)、NH(ピロリジニルの場合)又はNR”(N−置換ピロリジニルの場合)(式中、R”は、以下に定義する通り、非芳香族窒素含有複素環式基の環内の窒素原子に好適な置換基である)である場合がある。好ましくは、窒素は未置換である。
【0147】
本明細書で定義する置換アリール基は、炭素又は窒素環原子等の1つ以上の置換可能な環原子を含有する。アリール又は脂肪族基の置換可能な環炭素原子上の好適な置換基の例には、ハロゲン(例えば、−Br、Cl、I及びF)、−OH、C1−C4アルキル、C1−C4ハロアルキル、−NO、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルコキシ、−CN、−NH、C1−C4アルキルアミノ、C1−C4ジアルキルアミノ、−C(O)NH、−C(O)NH(C1−C4アルキル)、−C(O)(C1−C4アルキル)、−OC(O)(C1−C4アルキル)、−OC(O)(アリール)、−OC(O)(置換アリール)、−OC(O)(アラルキル)、−OC(O)(置換アラルキル)、−NHC(O)H、−NHC(O)(C1−C4アルキル)、−C(O)N(Cl−C4アルキル)、−NHC(O)O−(C1−C4アルキル)、−C(O)OH、−C(O)O−(Cl−C4アルキル)、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH(Cl−C4アルキル)、−NHC(O)N(Cl−C4アルキル)、−NH−C(=NH)NH、−SONH−SONH(C1−C3アルキル)、−SON(C1−C3アルキル)、NHSOH、NHSO(C1−C4アルキル)及びアリールが含まれる。アリール基上の好ましい置換基は、本明細書全体で定義する通りである。
【0148】
アリール基の置換可能な環窒素原子上の好適な置換基の例には、C1−C4アルキル、NH、C1−C4アルキルアミノ、C1−C4ジアルキルアミノ,−C(O)NH、−C(O)NH(C1−C4アルキル)、−C(O)(C1−C4アルキル)、−CO**、−C(O)C(O)R**、−C(O)CH、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C4アルキル)、−SONH−SONH(C1−C3アルキル)、−SON(C1−C3アルキル)、NHSOH、NHSO(C1−C4アルキル)、−C(=S)NH、−C(=S)NH(C1−C4アルキル)、−C(=S)N(C1−C4アルキル)、−C(=NH)−N(H)、−C(=NH)−NH(C1−C4アルキル)及び−C(=NH)−N(C1−C4アルキル)が含まれる。
【0149】
本明細書に定義する好適なアルキル、脂肪族、非芳香族の炭素環式又は複素環式基は、1つ以上の置換基を含有する。アルキル基に好適な置換基の例には、アリール及び脂肪族の置換可能な炭素について上に列挙したもの、並びに以下が含まれる:=O、=S、=NNHR**、=NN(R**、=NNHC(O)R**、=NNHC0(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、=NR**、スピロシクロアルキル基、又は縮合シクロアルキル基。各存在におけるR**は、独立して−H又はC1−C6アルキルである。アルキル脂肪族、非芳香族炭素環式又は複素環式基上の好ましい置換基は、本明細書全体で定義する通りである。
【0150】
(in vitroでの試験及び使用)
本発明の化合物(蛍光色素)及び生体適合性蛍光分子は、その生物学的及び性能特性を評価するために、当業者によってin vitroで試験することができる。例えば、培養物中で成長する種々の型の細胞を使用して、生物学的及び性能特性を評価することができる。蛍光色素及び生体適合性蛍光分子の取込み、標識、結合ターゲティング又は細胞局在化は、分光法、蛍光顕微鏡検査及びフローサイトメトリー等の当該技術分野で既知の技法を使用して評価することができる。例えば、本発明の蛍光色素及び生体適合性蛍光分子は、一定期間にわたり試料と接触させた後、遊離又は未結合の分子を洗浄除去することができる。次いで、本発明の蛍光色素及び生体適合性蛍光分子の光学特性に適合した適切なフィルターを装着した蛍光顕微鏡を使用して、試料を観察することができる。培養物中の細胞の蛍光顕微鏡検査は又、1つ以上の細胞レベル下のコンパートメントで取込み及び結合が生じたかどうかを判定するのに好都合な手段でもある。組織、組織切片、並びにサイトスピン試料等のその他の種類の試料も又、分子の生物学的及び性能特性を評価するために同様の様式で使用することができる。フローサイトメトリー、免疫検定、ハイブリダイゼーション検定及びマイクロアレイ分析を含むがこれらに限定されないその他の蛍光検出方法も使用することができる。
【0151】
(光学イメージング)
本発明の実施には、蛍光、光学画像収集及び画像処理の一般的原理を適用することができる。光学イメージング法のレビューについては、例えば、Alfano,et al.,Ann.NY Acad.Sci.820:248−270,1997を参照されたい。
【0152】
本発明の実施において有用なイメージングシステムは、一般的に以下の3つの基本構成要素を備える:(1)蛍光色素及び生体適合性蛍光分子を励起するのに適切な光源、(2)励起に使用した光の発光を分離又は区別する手段、及び(3)発行された光学シグナルを検出する検出システム。
【0153】
一般的に、光学検出システムは、集光/画像形成システム及び光学検出/画像記録装置を備えるものと捉えられる。光学検出装置はこれらの両装置を組み込んだ単一の統合装置ではあるが、以下では集光/画像形成装置及び光検出/画像記録装置を別個に考察する。
【0154】
特に有用な集光/画像形成装置には内視鏡がある。多くの組織及び臓器(例えば、腹腔(Gahlen,et al.,J.Photochem.Photobiol.B 52:131−135,1999)、卵巣癌(Major,et al.,Gynecol.Oncol.66:122−132,1997)、結腸及び直腸(Mycek,et al.,Gastrointest.Endosc.48:390−394,1998;及びStepp,et al.,Endoscopy 30:379−386,1998)、胆管(Izuishi,et al.,Hepatogastroenterology 46:804−807,1999)、胃(Abe,et al.,Endoscopy 32:281−286,2000)、膀胱(Kriegmair,et al.,Urol.Int.63:27−31,1999;及びRiedl,et al.,J.Endourol.13:755−759,1999)、肺(Hirsch,et al.,Clin Cancer Res 7:5−220,2001)、脳(Ward,J.Laser Appl.10:224−228,1998)、食道、及び頭頚部領域を含む)のin vivo光学イメージングに使用されている内視鏡デバイス及び技法を、本発明の実施に使用することができる。
【0155】
本発明において有用なその他の種類の集光装置には、ファイバーオプティクスデバイスを含めたカテーテルデバイスがある。このようなデバイスは、血管内イメージングに特に好適である。例えば、Tearney,et al.,Science 276:2037−2039,1997;及びCirculation 94:3013,1996を参照されたい。
【0156】
更に他のイメージング技術(フェーズドアレイ技術(Boas,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91 :4887−4891,1994;Chance,Ann.NY Acad.Sci.835:29−45,1998)、光学断層撮影(Cheng,et al.,Optics Express 3:118−123,1998;及びSiegel,et al.,Optics Express 4:287−298,1999)、生体内顕微鏡検査(Dellian,et al.,Br.J.Cancer 82:1513−1518,2000;Monsky,et al.,Cancer Res.59:4129−4135,1999;及びFukumura,et al.,Cell 94:715−725,1998)、共焦点イメージング(Korlach,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:8461−8466,1999;Rajadhyaksha,et al.,J.Invest.Dermatol.104:946−952,1995;及びGonzalez,et al.,J.Med.30:337−356,1999)及び蛍光分子断層撮影(FMT)(Nziachristos,et al.,Nature Medicine 8:757−760,2002;米国特許第6,615,063号、PCT特許出願第WO 03/102558号及び第PCT US/03/07579号)を、本発明の実施に使用することができ、IVIS(登録商標) Imaging System(Xenogen[米国カリフォルニア州アラメダ])、Maestro(CRI[米国マサチューセッツ州ウォーバーン])SoftScan(登録商標)及びeXplore OptixTM(Advanced Research Technologies[カナダ モントリオール])装置も、本発明の実施に使用することができる。
【0157】
好適な光学検出/画像記録装置(例えば、電荷結合素子(CCD)システム又は写真フィルム)を、本発明に使用することができる。光学検出/画像記録の選択は、使用する集光/画像形成装置の種類を含めた種々の要因により変動する。好適な装置の選択、それらの光学イメージング装置への組込み、及び装置の操作は、当業者の知るところである。
【0158】
(診断及び疾患の適用及び方法)
本発明の方法は、幾つかの兆候の測定(対象における蛍光色素及び生体適合性蛍光分子の局在化の経時的な追跡、又は対象における代謝の変化又は改変及び/又は分子の脱離の評価を含む)に使用することができる。これら方法は又、分子の事象をイメージングすることによるこのような疾患の治療法、及びこのような治療法により調節された生物学的経路の追跡(薬効、最適な時期、最適な線量レベル(個々の患者又は試験対象に最適なレベルを含む)、及び複合療法の相乗作用を評価するために使用することができる。
【0159】
本発明は、医師又は外科医が、関節炎、癌及び特に結腸ポリープ又は脆弱性プラーク等の疾患の領域を特定及び特性付ける場合、疾患組織と正常組織を区別する場合、(例えば、脳手術において)通常の手術用顕微鏡を使用して検出するのが困難な腫瘍縁を検出する場合、(例えば、患部が癌性のものであり除去すべきか、或いは非癌性のものであり放置するかを決定することにより)治療的又は外科的介入の判断の材料とする場合、又は外科的に病期判定する場合(例えば、術中のリンパ節の病期判定、歩哨リンパ節マッピング又は術中の出血の評価)に、使用することができる。
【0160】
本発明の方法は又、疾患(特に早期疾患)の局在化、疾患又は疾患に関連する病態の重症度の検出、特徴付け及び/又は判定、疾患の病期判定、並びに外科的処置等の種々の治療的介入の監視及び指針提供、並びに細胞系療法を含めた薬物療法の監視においても使用することができる。本発明の方法は又、疾患又は疾患病態の予後判定においても使用することができる。このような疾患又は疾患病態の例には、炎症(例えば、関節炎、例えば慢性関節リューマチにより生じる炎症)、癌(例えば、結腸直腸癌、卵巣癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、頚部癌、皮膚癌、脳癌、胃腸癌、口腔癌、食道癌、骨癌)、心臓血管疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、血管の炎症性病態、虚血、卒中、血栓)、皮膚疾患(例えば、カポジ肉腫、乾癬)、眼科疾患(例えば、黄斑変性、糖尿病性網膜症)、汗腺性疾患(例えば、細菌、ウイルス、カビ及び寄生虫感染(後天性免疫不全症候群を含む))、免疫疾患(例えば、自己免疫疾患、リンパ種、多発性硬化症、慢性関節リューマチ、真性糖尿病)、中枢神経系疾患(例えば、パーキンソン病又はアルツハイマー病等の神経変性疾患)、遺伝病、代謝疾患、環境疾患(例えば、鉛、水銀及び放射性物質による中毒、皮膚癌)、及び骨関連疾患(例えば、骨粗鬆症、原発性又は転移性骨腫瘍、骨関節炎)が含まれる。従って、本発明の方法は、腫瘍細胞の存在及び腫瘍細胞の局在化、炎症の存在及び局在化(活性化マクロファージ(例えば、アテローム性動脈硬化症又は関節炎の場合)の存在)、冠動脈及び抹消動脈における急性閉塞(即ち、脆弱性プラーク)の危険性がある領域、拡大中の動脈瘤の領域、頚動脈内の不安定なプラーク、及び虚血領域を含めた、血管疾患の存在及び局在化の判定に使用することができる。本発明の方法及び化合物(組成物)は又、アポトーシス、壊死、低酸素及び血管形成の特定及び評価にも使用することができる。
【0161】
光学イメージングの様式及び測定法には、蛍光イメージング;内視鏡;蛍光内視鏡;光干渉断層撮影;光透過イメージング;時間分解光透過イメージング;共焦点イメージング;非線形顕微鏡検査;光音響イメージング;音響光学イメージング;分光法;リアクタンス分光法;生体内イメージング;2光量子イメージング;干渉分析法;コヒーレンス干渉分析法;拡散光断層撮影及び蛍光分子断層撮影、並びに光散乱、吸収、分極、発光、蛍光寿命、量子収率及び消光の測定が含まれる。
【0162】
本発明の化合物(組成物)及び方法は、その他のイメージング組成物及び方法と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の方法は、その他の伝統的なイメージング様式(X線、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子コンピュータ断層撮影(SPECT)及び磁気共鳴イメージング(MRI))と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の化合物(組成物)及び方法は、CT及びMRイメージングと組み合わせて使用して、例えば、断層撮影画像を別のイメージング様式により作成した画像と共に同時登録することにより、解剖学的及び生物学的な情報を同時に取得することができる。特に、MRI又はCTとの組み合わせは、これらのイメージング法が高い空間的解像度を有する場合に好ましい。本発明の化合物(組成物)及び方法は又、X線、CT、PET、SPECT及びMR造影剤と組み合わせて使用してもよければ、本発明の蛍光シリコンナノ粒子イメージングプローブが又、光学イメージングと共にCT、PET、SPECT及びMRのイメージング様式を使用して検出することができる、ヨウ素、ガドリニウム原子及び放射性同位体等の成分を含有する場合もある。
【0163】
(キット)
本明細書に記載の化合物(組成物)は、キットとしてパッケージ化されてもよく、このキットは場合により、種々の例示的な用途において蛍光色素又は生体適合性蛍光分子を使用するための説明書を備える場合がある。非限定的な例には、例えば、粉末又は凍結乾燥形態の化合物(組成物)、及びin vivo及び/又はin vitroの用途のための再構成、用量情報及び保存情報を含めた使取扱説明書を含むキットが含まれる。キットは場合により、直ぐに使用可能か、又は投与に当たり溶液を更に混合することが必要な液体形態の化合物(組成物)の容器を含む場合がある。in vivoの用途の場合、本キットは、特定用途に好適な用量及び形態(例えば、バイアル中の液体、局所用クリーム等)で化合物(組成物)を含む場合がある。
【0164】
本キットは、対象への単位用量の投与に役立つ任意の構成要素(例えば、再構成用の粉末形態のバイアル、注射用シリンジ、専用の静脈内送達システム、吸入器等)を含んでもよい。本キットは、滅菌性を維持しつつ皮下注射針で単回又は複数回穿刺するのに好適なシール(例えば、クリンプオンセプタムシール蓋)を備えた容器内に供給される場合がある。このような容器は、単回又は複数回の対象用量を含有する場合がある。更に、単位用量キットは、in vivo又はin vitroにおける化合物(組成物)の検出に役立つ専用の構成要素(例えば、特殊な内視鏡、光フィルター)を含んでもよい。本キットは又、化合物(組成物)の調製及び投与に関する説明書を含む場合もある。本キットは、1名の対象に対する単回使用の単位用量、特定の対象に対する複数回使用の単位用量として製造される場合もあれば;或いは、本キットは、複数対象への投与に好適な多用量(「バルクパッケージ」)を含む場合もある。本キットの構成要素は、ボール箱、ブリスターパック、ボトル、チューブ等に集約される場合がある。
【0165】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許及びその他の参考文献は、全体が参考として本明細書で援用される。更に、本材料、方法及び実施例は、単に例示を目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
【実施例】
【0166】
以下の非限定的な実施例は、ニコチン酸及びピコリン酸誘導近赤外線蛍光団の合成を示す。本発明の化合物の調製で使用される場合がある代表的な材料及び方法を、以下に詳述する。全ての化学薬品及び溶媒(試薬等級)は、特に精製することなく記載の入手元より供給された状態で使用した。
【0167】
通常使用する分析及び分取HPLC法は、以下の通りである。
Aカラム:Agilent Zorbax 80Å、Extend C18、4.6×250mm(5μm)。移動相:アセトニトリル及び25mM酢酸トリエチルアンモニウム。
Bカラム:Varian Dynamax、100Å、C18、41.4×250mm。移動相:アセトニトリル及び25mM酢酸トリエチルアンモニウム。
Cカラム:Phenomenex Jupiter、300Å、C18。移動相:アセトニトリル及び25mM酢酸トリエチルアンモニウム。
【0168】
(実施例1)
実施例1の合成
【0169】
【化37】


第A部:6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸塩(I)
【0170】
【化38】


6−アミノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸2ナトリウム塩(10g、29mmol)(TCI)を水30mLに溶解し、水50mL及び濃塩酸15mLに添加した。スラリーを氷アセトンバス中で0℃未満に冷却し、亜硝酸ナトリウム(2.2g、32mmol、Aldrich)を冷水40mL中で10分間かけて滴下した。塩化スズ(11g、58mmol)(Aldrich)を水30mL及び濃塩酸6mL中に溶解し、0℃に冷却し、10分間かけて反応混合物に添加した。得られた溶液を攪拌し、3時間かけて室温にまで戻し、透明な茶色の溶液を得た。ロータリーエバポレーターにより溶液の容量を減少させ、イソプロパノールを添加することにより生成物を沈殿させた。生成物(I)を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、真空乾燥させた。
第B部:2,3,3−トリメチルベンズインドール−5,7−ジスルホン酸塩(II)
【0171】
【化39】


6−ヒドラジノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸(10g、25mmol)、イソプロピルメチルケトン(12g、140mmol、Aldrich)及び酢酸カリウム(6g、61mmol)を75mLの氷酢酸中で混合し、22時間かけて145℃に加熱した。溶液を冷却し、ロータリーエバポレーターにより酢酸を除去した。残留物をメタノールに溶解し、濾過した。次に、生成物(II)をメタノール濾液からイソプロパノールを使用して沈殿させ、濾過し、イソプロパノール及びエーテルで洗浄し、真空乾燥させた。
第C部:2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)ベンズインドリニウム−5,7−ジスルホン酸塩(III)
【0172】
【化40】


2,3,3−トリメチルベンズインドール−6,8−ジスルホン酸塩(2.2g、5mmol)を乾燥DMF 50mLに溶解し、透明なオレンジ色の溶液を得た。1,3−プロパンスルトン(2.8g、23mmol、Aldrich)を添加し、溶液を15時間密封試験管内で145℃に加熱し、暗紫色に変色させた。溶液を冷却し、150mLの2−プロパノール中に注ぎ込んだ。混合物を遠心分離し、溶媒を傾瀉して除去した。固体生成物をフィルター上において2−プロパノール各50mLで3回、次にエーテル50mLで洗浄し、真空乾燥させ、暗紫色の固体2.5gを得た(90%)。MALDI−TOF−MS m/e C1822NOについての計算値、492.05[M]、実測値492.05。
第D部:化合物IVの調製
【0173】
【化42】


還流コンデンサーを装着した100mL容量の丸底フラスコに2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)ベンズインドリニウム−5,7−ジスルホン酸塩(565mg、1mmol)、2−(3−ヒドロキシカルボニル−6−ピリジル)−マロンジアルデヒド(98mg、0.5mmol)及び酢酸ナトリウム(587mg、7.1mmol)を添加した。無水酢酸(10mL)及び酢酸(10mL)をフラスコに添加し、混合物を8時間還流下に加熱し、室温に冷却し、酢酸エチル25mLを添加した。暗青色の染料の沈殿を濾取し、水20mLに溶解し、分取逆相HPLCで精製することにより、粉末として化合物IVを得た。収量285mg、50%。MALDI MS:予測値:1139.09、実測値:1139.6732。
第E部:実施例1の調製
化合物IV(11.4mg、0.01mmol)を乾燥DMF 500μL中でジスクシンイミジルジカーボネート(DSC、5mg、0.02mmol)及びN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP、2mg、0.016mmol)と混合し、70℃に加熱した。30分後、冷酢酸エチル(500μL)を反応混合物に添加し、生成物を析出させ、これを濾過し、真空乾燥させ、4℃に保存した。
【0174】
(実施例2)
実施例2の合成
【0175】
【化44】


第A部:化合物Vの調製
【0176】
【化45】


化合物Vは、無水酢酸6mL及び酢酸6mL中に混合したカリウム2,3,3−トリメチル−1−エチル−ベンズインドリニウム−5,7−ジスルホン酸塩(184mg、0.423mmol)、2−(3−ヒドロキシカルボニル−6−ピリジル)−マロンジアルデヒド(40mg、0.21mmol)及び酢酸ナトリウム(300mg、3.66mmol)から調製した。16時間かけて125℃にて加熱した後、生成物を酢酸エチルから沈殿させ、逆相HPLCで精製した。HPLC画分を急速に真空乾燥させた後、粉末形態の生成物を得た。MについてのMALDI.m/z計算値(実測値):952.05(952.16)。収量140mg、70%。
第B部:実施例2の調製
化合物Vの1等量を、DMF 0.5mL中のジスクシンイミジルジカーボネート(DSC)2等量及びN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)1等量と混合し、70℃に加熱した。30分間内に反応を終了させ;酢酸エチルを添加することによりDMF溶液
から所望の生成物を沈殿させ、濾過し、真空乾燥させ、4℃に保存した。
【0177】
(実施例3)
実施例3の合成
【0178】
【化47】


第A部:化合物VIの調製
【0179】
【化48】


化合物VIは、無水酢酸6mL及び酢酸6mL中に混合した2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−3H−ベンズインドリニウム−5,7−ジスルホン酸塩(101mg、0.18mmol)、2−(2−ヒドロキシカルボニル−6−ピリジル)−マロンジアルデヒド(17.4mg、0.09mmol)及び酢酸ナトリウム(88mg、1.07mmol)から調製した。4時間125℃にて加熱した後、生成物を酢酸エチルから沈殿させ、逆相HPLCで精製した。HPLC画分を急速に真空乾燥させた後、粉末形態で生成物を得た。(M+1)についてのMALDI.m/z計算値(実測値):1140.33(1140.13)。収量67mg、65%。
第B部:実施例3の調製
化合物VIの1等量を、DMF 0.5mL中のジスクシンイミジルジカーボネート(DSC)の2等量及びN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の1等量と混合し、70℃に加熱した。反応の進行はHPLCで監視した。30分間内に反応を終了させた後、酢酸エチルを添加することによりDMF溶液から所望の生成物を沈殿させ、濾過し、真空乾燥させ、4℃に保存した。
【0180】
(実施例4)
実施例4の合成
【0181】
【化50】


実施例4は、無水酢酸6mL及び酢酸6mL中に混合した2,3,3−トリメチル−1−(エチル)−3H−ベンズインドリニウム−5,7−ジスルホン酸塩(0.18mmol)、2−(2−ヒドロキシカルボニル−6−ピリジル)−マロンジアルデヒド(0.09mmol)及び酢酸ナトリウム(88mg、1.07mmol)から調製した。125℃にて4時間加熱した後、生成物を酢酸エチルから沈殿させ、逆相HPLCで精製し、HPLC画分を急速に真空乾燥させた後、粉末形態で得た。
【0182】
(実施例5)
実施例5の合成
【0183】
【化51】


2,3,3−トリメチル−1−(3−スルホナトプロピル)−インドリニウム−5−スルホン酸塩(115mg、0.28mmol)、2−(3−ヒドロキシカルボニル−6−ピリジル)−マロンジアルデヒド(27mg、0.14mmol)及び酢酸ナトリウム(80mg、1.0mmol)を無水酢酸5mL及び酢酸5mL中で混合した。125℃にて2時間加熱した後、反応混合物を冷却し、酢酸エチルから生成物を沈殿させ、その後逆相HPLCで精製した。HPLC画分を急速に真空乾燥させた後、粉末形態で生成物を得た。収量87mg、70%。最大吸光(水):635nm;最大発光(水)653nm。
【0184】
(実施例6)
実施例6の合成
【0185】
【化53】


2−メチル−1−(3−スルホナトプロピル)−ベンゾチアゾリウム内部塩(150mg、0.55mmol)及び2−(3−ヒドロキシカルボニル−6−ピリジル)−マロンジアルデヒド(52mg、0.27mmol)を2−メトキシエタノール及びトルエンの混合物(2:1、v/v)に添加し、Dean−Starkコンデンサーを接続して150℃にて還流下に加熱した。4時間後、加熱を停止し、冷却して、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。濃縮した青色の染料を分取用HPLCで精製した。HPLC画分を急速に真空乾燥させた後、粉末形態で生成物を得た。収量95mg、50%。最大吸光(水):643nm;最大発光(水)663nm。
【0186】
(実施例7)
実施例7の合成
【0187】
【化55】


化合物IVのNHSE 10mgを乾燥DMF 100μLに溶解し、これに乾燥DMSO 20μL中の3−アジドプロピルアミン(5mg)の溶液を添加し、混合物を室温にて1時間回転させた。エーテル1mLを反応混合物に添加し、10分間遠心分離した。上澄み溶液を廃棄し、残留物を5分間で急速に真空乾燥させ、水中に再懸濁し、RPC18 semi−prepカラム上で精製した。生成物(実施例7)に対応する画分を収集し、急速に真空乾燥させ、7.2mg(60%)を得た。これをMALDIで特性評価した。計算値:1222.34、実測値:1222.54。
【0188】
(実施例8)
実施例8の合成
【0189】
【化57】


化合物IVのNHSE 10mgを乾燥DMF 100μLに溶解し、これに乾燥DMSO10μL中の3−プロパルギルアミン(5mg)の溶液を添加し、混合物を室温にて1時間回転させた。エーテル1mLを反応混合物に添加し、10分間遠心分離した。上澄み溶液を廃棄し、残留物を5分間で急速に真空乾燥させ、水中に再懸濁し、RPC18 semi−prepカラム上で精製した。生成物(実施例8)に対応する画分を収集し、急速に真空乾燥させ、6mg(52%)を得た。これをMALDIで特性評価した。計算値:1177.32、実測値:1177.21。
【0190】
(実施例9)
実施例9の合成
【0191】
【化59】


化合物IVのNHSE 17mgを乾燥DMF 250μLに溶解し、これに乾燥DMSO10μL及びトリエチルアミン4μL中の塩酸2−(2−アミノエチル−ジチオ)ピリジン(11mg)の溶液を添加し、混合物を室温にて一晩回転させた。酢酸エチル1mLを反応混合物に添加し、10分間遠心分離した。上澄み溶液を廃棄し、残留物を5分間で急速に真空乾燥させ、水中に再懸濁し、RPC18 semi−prepカラム上で精製した。生成物(実施例9)に対応する画分を収集し、急速に真空乾燥させ、10mg(65%)を得た。これをMALDIで特性評価した。計算値:1308.52、実測値:1308.54。
【0192】
(実施例10)
細胞標識
マウス脾細胞を単細胞懸濁液として調製し、脾細胞調製物中のT細胞のサブ集団を、B細胞とマクロファージを除去するカラムを通過させることにより濃縮した(R&Dキット、マウスT細胞濃縮カラム、MTCC500)。T細胞を遠心分離して10個の細胞ペレットを作成した。上澄みを細胞ペレットから除去し、100μLの実施例1の化合物の10mg/mLの溶液を添加した。細胞を室温にて5分間インキュベートした後、2回遠心分離し、生理学的緩衝剤中に再懸濁し、未結合の実施例1を洗浄除去した。細胞は蛍光顕微鏡検査により試験した。
【0193】
(実施例11)
細胞標識及びin vivoイメージング
マウス4T1乳癌細胞を遠心分離して10個の細胞ペレットを作成した。上澄みを細胞ペレットから除去し、100μLの実施例1の化合物の10mg/mLの溶液を添加した。細胞を室温にて5分間インキュベートし、その後2回遠心分離し、生理学的緩衝剤中に再懸濁し、未結合の実施例1を洗浄除去した。細胞は蛍光顕微鏡検査により試験した。細胞を5×10個/匹にてマウスに静脈注射し、注射直後及び注射後24時間に生存マウスを蛍光分子断層撮影によりイメージングした。4T1細胞は主に肺に転移するため、肺の蛍光を定量化する。
【0194】
(実施例12)
実施例1の溶液をナノ粒子のアミン提示表面に化学結合し、in vivo光学イメージングのための生体適合性蛍光分子を得た。腫瘍細胞系統HT−29(ヒト結腸癌/HTB−38)をATCC(米国バージニア州マナッサス)から入手した。HT−29細胞は5%CO2含有湿潤雰囲気下の37℃にて10% FBS添加McCoy中で生育させた。指数生育細胞をトリプシン処理し、3×10個/mLの細胞密度でHank’sBalanced Salt溶液中に再懸濁した。6〜8週齢の雌NU/NUマウス(Charles River Laboratory[米国マサチューセッツ州ウィルミントン])に対し、第1乳房脂肪パッド内に両側性に3×10 HT−29細胞を皮下注射した。1週間後、腫瘍が約30mmとなった時点で、マウスに蛍光分子を静脈注射(1×PBS 150μL中)し、蛍光リアクタンスイメージング(FRI、Kodak 2000MM)装置上で24時間後にイメージングした。結果を図1に示す。
【0195】
以上において本発明を特にその好ましい実施形態について言及しながら提示及び説明してきたが、添付の特許請求の範囲により包含される本発明の適用範囲を逸脱することなく、形態及び詳細の種々の変化が行われる場合があることは、当業者により理解されるであろう。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。


【図1】
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【公開番号】特開2013−14625(P2013−14625A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−232544(P2012−232544)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2008−529356(P2008−529356)の分割
【原出願日】平成18年9月1日(2006.9.1)
【出願人】(508064849)ビセン メディカル, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】